【事案】
交差点で信号待ち中、左方からの右折車の衝突を受けたもの。その際、右足関節を骨折したもの。
【問題点】
近隣の整形外科へ救急搬送され、頚・肩・肘・両膝・胸・腰・股関節と実に8か所のレントゲンを撮影したが、何故か足関節だけ撮影なし。確かに各部に痛みを訴えていたが、骨折した足だけ診断名が遅れた。それが後日、別院での治療・手術になって、相手損保の不支払いの原因となった。
足部は事故から3週間後のレントゲン撮影で、診断名はそれからの記載となった。相手損保の疑いを晴らす為、院長先生に「足部の訴えがカルテにあるか」を確認したが、やはり、足部の記載は遅れたレントゲン後となっていた。それからは平行線、院長先生は「痛みの訴えがあったのであれば、必ずレントゲンを撮るはず」と譲らない。
【立証ポイント】
足の治療については、病院が認めず、それを受けた相手損保も支払いを拒んだ。仕方なく、足部については、健保適用を進めた。
また、少なくとも足以外の部位で14級9号を確保すべく申請した結果、おなじみの頚部&腰部で認定はおりた。ただし、足部は診断が3週間遅れたことを理由に非該当とされた。最も重傷な足部の非該当は納得いくものではない。
結果的に、足部(腓骨遠位端)骨折はスクリュー固定で癒合が得られたこと、可動域制限を残さなかったことから、14級が妥当と判断、この問題は「益なし」でこれ以上の追求はせず収めることとした。
ここからは想像ですが・・・足以外の部位の痛みはそれ程でないにも関わらず、普段から山盛りにレントゲンを撮る病院であったので、上から8部位も撮ったことで収益的に満足、足までは(撮り過ぎで?)見逃したと思う。問題は、その後、足部の痛みを訴える被害者さんに対し聞く耳持たず、足のレントゲンをなかなか撮らなかったことにつきる。さらに、診断名の遅れについて、相手損保の調査にも、カルテを観て「訴えはなかった」と回答したよう。まさか、8か所も撮っておきながら骨折を見逃したなど、恥ずかしい限りなのでしょう。被害者さんにしてみれば、「責任逃れ」の誹りは無理もない。
交通事故治療とは、治療費の支払いが第3者の保険会社となります。とくに、本件の場合、治療先の普段から交通事故治療(自由診療)でたくさん儲ける、否、丁寧にレントゲンを撮る病院だったからこそ、このような不合理が起きたのです。被害者さんは治療先にも細心の注意を払う必要があります。
(令和4年12月)
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