【事案】

原付バイクで走行中、前方車に隠れていた対向車が突然出てきたため、避けきれず衝突し、負傷した。直後から全身の痛み、神経症状に悩まされる。   【問題点】

事故から1年以上が経過してからの相談であり、味覚・嗅覚の検査については未実施であった。   【立証ポイント】

眼窩吹き抜け骨折しており、鼻副鼻腔手術を実施していたため、1年以上経過後の検査でも認定上問題ないと判断した。

検査先の紹介状を取り付け、T&Tオルファクトメーターを用いた検査を実施、検査結果を証拠として後遺障害診断書に記載していただいた。一部に嗅覚の低下がみられ、14級相当が認められた。なお、味覚はわずかに風味障害を感じさせたが、検査上、有意な数値とならず、等級認定には至らなかった。

(令和3年8月)

※ 併合の為、分離しています  

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【事案】

交差点で横断歩道を歩行・横断中、前方よりの左折自動車の衝突を受けて受傷したもの。鼻骨と眼窩底を骨折、視神経損傷から片目を失明した。他に歯牙障害2本と頭部外傷。

【問題点】

提出後、自賠責から歯のパノラマXPに質問があった。それに回答したこと、問題といえばそれだけ。

【立証ポイント】

既存障害歯1本に今回の事故によって2本歯冠破損が加わり、14級2号に。もっとも、併合等級は上がらず、加重計算にもならず、賠償請求上の影響はほとんどなかった。

(令和3年4月)  

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【事案】   自転車で横断歩道を走行中、信号無視の車に衝突される。救急搬送され、CTにて側頭骨骨折、くも膜下出血・脳挫傷が判明、約2週間の入院を余儀なくされる。

【問題点】   相談に来られたのが事故から5ヶ月目だったが、それまで耳鼻咽喉科にかかっていなかった。   【立証ポイント】   すぐに総合病院の耳鼻咽喉科へかかり、味覚・嗅覚検査の依頼を実施するよう伝えた。その病院の耳鼻咽喉科の窓口にて検査ができるか伺うと、T&Tオルファクトメーターは設備あり、電気味覚検査かろ紙味覚検査のどちらかしかできないとの回答を得ていた。

 

検査結果を見ると、嗅覚は全体的に悪く、平均値が「中程度低下」の数値となった。味覚は全体的に低下、とくに甘味を認知することができていなかった。

以上の結果を後遺障害診断書に記載していただき、味覚・嗅覚それぞれ14級相当が認定された。   (令和3年6月)

※ 併合の為、分離しています  

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【事案】

被害者は歩行者、交差点で飛び出して優先走行の大型車両と出合い頭衝突、受傷した。主な診断名は脳挫傷、外傷性くも膜下出血、上顎骨骨折、歯牙欠損。記憶と認知機能の低下、情動障害を残す高次脳機能障害に陥った。付随して、左半身麻痺、嗅覚・味覚障害を併発した。他にそしゃく・開口障害の兆候もあった。

事故状況から加害車両の任意保険の対応なく、自賠責保険しか頼れない状態。最大の問題は外国人であるが故、頼れるのは家族・親戚だけで、諸々の手続きが手詰まりの状態で相談会にいらした。

【問題点】

歯については、上顎骨骨折に伴う歯冠破折、外傷性歯髄炎があり、その周辺歯にも治療が及んだ。

【立証ポイント】

日本語のできるご親戚のご協力・付き添いを頂き、歯科を往復し、歯科専用診断書を歯科医と一緒に仕上げた。

結果、「5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」が該当した。ただし、別表Ⅰ(介護)2級を優位等級とし、認定から排除となった。

※ 併合の為、分離しています。

(令和2年11月)   

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【事案】

被害者は歩行者、交差点で飛び出して優先走行の大型車両と出合い頭衝突、受傷した。主な診断名は脳挫傷、外傷性くも膜下出血、上顎骨骨折、歯牙欠損。記憶と認知機能の低下、情動障害を残す高次脳機能障害に陥った。付随して、左半身麻痺、嗅覚・味覚障害を併発した。他にそしゃく・開口障害の兆候もあった。

事故状況から加害車両の任意保険の対応なく、自賠責保険しか頼れない状態。最大の問題は外国人であるが故、頼れるのは家族・親戚だけで、諸々の手続きが手詰まりの状態で相談会にいらした。

【問題点】

本人が自覚しているか怪しい味覚・嗅覚障害から、該当する検査が必要であった。しかし、多くの検査は日本語か英語、せいぜい中国語版しかなく、検査は通訳が必要だった。

【立証ポイント】

日本語のできるご親戚のご協力・付き添いを頂き、耳鼻科を何度も往復した。これも幸いというか、嗅覚・味覚がすべてスケールアウト(まったく感知せず)なので、検査結果を抑えやすかった。

嗅覚・味覚共に12級を算定。ただし、別表Ⅰ(介護)2級を優位等級とし、認定から排除となった。

※ 併合の為、分離しています。

(令和2年11月)    

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【事案】

自転車で歩道を直進中、路外からの自動車の衝突を受けて転倒。腰椎症の他、顔面・頭部への打撃から、開口障害、そしゃく障害を発症したもの。

【問題点】

専門医への受診を進めるも、慣れない診断書・意見書の記載、費用請求に苦戦が続き、途方もない面倒と時間を浪費することになった。

【立証ポイント】

それでも、基本通り必要な診断書とそしゃく状況報告書を作成して審査に臨んだ。自賠責の医療照会でも一悶着あったが、自賠責・調査事務所の柔軟な対応でクリア、認定に漕ぎつけた。

※ 併合のため分離しています。

(令和2年7月)  

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【事案】

歩行者横断禁止の直線道路をオートバイで直進中、横断してきた歩行者を避けようとして、停車中の自動車に衝突・受傷した。救急搬送され、上下顎骨骨折・下顎口唇挫創、歯牙欠損の診断となった。

治療を続けた結果、噛み合わせが悪くなり、咬合障害とそしゃく障害、顎のしびれが生じていた。また、治療の必要は歯(補綴歯)は3本となった。さらに、口元に傷跡(線状痕5㎝)が残った等の症状が残存した。

【問題点】

相手が歩行者であるので、個人賠償責任保険の加入を探る必要がある。また、相談者は通勤中の事故の為、労災申請も必須としなければならない。まずは、労災から治療費や休業損害確保を目指した。

【立証ポイント】

噛み合わせ・咀嚼障害の原因究明のため、CT、MRI検査を主治医に依頼した。画像上、骨折部位の偽関節が確認できたため、症状固定の際には後遺障害診断書に画像所見の記載を主治医に依頼した。他方、歯牙欠損も含め、顎の骨の変形等により咬合がうまくできず、補綴治療を継続する方針となったが、一旦暫定的に症状固定として、将来発生する予定である治療費を請求できるように見積もりを作成して頂くことになった。

自賠責調査事務所に被害者請求する場合とほぼ同じように診断書・レセプト(開示請求)・後遺障害診断書・画像を収集し、相手方の個人賠償責任保険に対して後遺障害の自社認定を依頼した。このパターン、連携弁護士との歩調は慣れたもの。

申請から約8ヶ月の審査の結果、下顎骨骨折後のしびれで12級13号、そしゃく障害12級相当、歯牙欠損13級5号がそれぞれ認定、ここまでで併合11級となった。最終的に傷跡(線状痕)9級16号が最高等級となり、併合8級となった。

※併合の為、分離しています。

(令和元年10月)  

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【事案】

交差点で横断歩道を歩行中、対抗右折自動車が衝突、受傷した。直後から意識がなく救急搬送され、急性硬膜外血腫、腎損傷、肋骨骨折の診断となる。

【問題点】

高次脳機能障害の諸症状の他、事故後、めまいや耳鳴りが残存した。感覚器の障害は複数に及ぶこと多いことから、視覚・味覚・嗅覚等についても症状を聞き取り、精査の必要があった。

【立証ポイント】

ご本人から「匂いが変」と聞き、念のため、T&Tオルファクトメーターの検査に誘致した。検査結果から嗅覚の減退レベルである14級相当が認定された。

※ 併合の為、分離しています

(令和元年6月)  

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【事案】

自転車で直進走行中、相手方自動車が左折進入し衝突、顔面を受傷した。左側前歯2本、右側前1本の歯を破損した。

【問題点】

受傷直後に相談を受けたが、その時点で口の痛みがほぼなくなり、食事も可能であった。歯だけに後遺障害を絞ることに。

【立証ポイント】

歯の後遺障害はリハビリの必要がない。事故から3ヶ月目に、歯の治療を終えてすぐに症状固定した。虫歯等の既存障害歯はなく、シンプルに3歯以上の歯牙欠損で14級2号が認定された。

(平成30年5月)  

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【事案】

自転車で走行中、併走する自動車と接触、転倒した。頭部を強打、意識不明状態で救急搬送されて、脳挫傷、くも膜下出血の診断となる。

【問題点】

本人との面談時、外見上はとても元気そうで、職場や相手方保険会社の担当者からも症状は軽く見られていた。ケガをした本人も自分はもう大丈夫だと元気さをアピールしていた。

【立証ポイント】

受傷箇所が前頭葉であったので、感覚器障害を疑い、本人・家族から、味覚と嗅覚の異常を聞き出した。 (味覚・嗅覚などの感覚器障害は、前頭葉へのダメージで頻発します)

主治医の病院では、T&Tオルファクトメーターやろ紙ディスク検査設備が無かった為、設備と専門医のいる病院へ誘致した。その後、結果結果を持ち帰り、後遺障害診断書にまとめて頂いた上、被害者請求を実施した。

味覚・嗅覚ともに一部の低下がみられ、それぞれ14級相当が認められた。

※ 併合の為、分離しています

(平成30年3月)  

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【事案】

オートバイで直進中、交差点で左方から相手方自動車が進入し、衝突、受傷した。

【問題点】

事故当初は頭部外傷の治療をメインにしていたため、味覚・嗅覚の検査が後回しになった   【立証ポイント】

リハビリ先を退院後、専門医がいる耳鼻科へ誘致した。そこで、ろ紙ディスク法、電気味覚検査、T&Tオルファクトメーター、アリナミン検査を実施したところ、味覚・嗅覚がすべて喪失していた。しばらく治療後、念のため、症状固定時にもう一度、上記各検査を実施し、味覚・嗅覚の各脱失について、後遺障害診断書を記載頂いた。

結果、味覚・嗅覚の各脱失につき、それぞれ12級相当が認定された。別に高次脳機能障害で7級4号も認定され、併合6級となった。

※ 併合の為、分離しています。

(平成29年12月)  

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【事案】

自転車搭乗中、交差点で右方から来た車に衝突され、前歯を折った。

【問題点】

相談時には、歯で後遺障害申請が出来るとは思っておらず、治療完了からそのまま放置していた為、歯科医には診断書の依頼をしていなかった。

【立証ポイント】

事故前に奥歯を1本治療しており(既存障害)、今回の事故で破折が1本、さらに治療を行った歯牙打撲が2本、計4本が現存障害歯と計算できた。すぐに歯科医の予約を手配し、歯科専用の診断書を依頼した。通常、歯科医は自賠責の加重計算のルールを知らない。歯科医と診断書記載についての打合せを重ねた結果、無事に14級認定となった。

※併合の為、分離しています

(平成29年12月)  

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【事案】

通勤帰宅中、原付バイクで交差点を直進のところ、対抗右折自動車と衝突した。脳挫傷、硬膜下血腫、くも膜下出血の診断で、救急搬送後、開頭手術で命を取り留めた。

その後、記憶障害、言語障害、注意機能障害、開口や嚥下にも異常があり、味覚・嗅覚の喪失も確認できた。

【問題点】

受傷一ヵ月後から、弁護士経由で受任となった。急性期治療が済めば、高次脳機能障害の評価ができる適切な病院を選び、リハビリと各種検査を進める必要がある。

【立証ポイント】

秋葉の主導で、地域で懇意にしている医師の元に転院、以後、計画的に作業を進めることができた。受傷初期からの依頼は大変ありがたいのです。リハビリが続く中、他院で嚥下障害のVF検査、嗅覚・味覚の検査を備え、立証の困難は2年9ヶ月に及ぶ期間のみだったと言える。

嗅覚は問題なく完全脱失で12級を得たが、味覚は脳損傷との関連を直に認めず、等級はつかなかった。味覚は鼓索神経・舌咽神経領域での測定検査が望まれるようになった。これは最近の傾向のようです。

※ 併合の為、分離しています

(平成29年5月)  

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【事案】

旅行先でレンタカー搭乗中、直進道路で信号待ちしていたところ、後続車の追突を受ける。直後から頚部痛、手のしびれ、頭痛、耳鳴り等の他、異常に鼻づまりが生じ、しばらくしてから嗅覚や味覚が喪失していることに気が付く。

【問題点】

鼻の骨折はなく、神経や脳を損傷していないにもかかわらず味覚と嗅覚を喪失しているという。相談を受けた際には嘘をついている様子はなかった。相手保険会社は味覚嗅覚の喪失については信用しておらず、味覚嗅覚の治療費を出さなくなってた。 T&t 【立証ポイント】

まず、基本的検査を進めた。味覚については電気味覚検査とろ紙ディスク法検査、嗅覚についてはアリナミンテストとT&Tオルファクトメーター検査を実施した。

この点、アリナミンテストは通っていた耳鼻科の病院で実施されていたが、フルスチルアミンによるものと、プルスチルアミンによるものとに分けられ、調査事務所が重要視している検査はプルスチルアミンの方である。本件病院ではどちらで行われているのか医師も不明であった。やむを得ず、通院を継続していた整形外科に上記検査をやって頂ける病院を紹介して頂き、検査を実施した。

結果、味覚検査双方を喪失している検査結果が出た。紹介元の医師だけではなく、以前通っていた耳鼻科にも検査結果を持参して診察して頂いた後、症状固定した。

器質的損傷が認められない状況での味覚嗅覚の喪失であるため、ある種、むち打ち14級と同様、信じて頂くしかないので、後遺障害診断書や上記検査結果だけではなく、事故後の症状について詳しくまとめた申述書を調査事務所に提出した。

結果、非常に長い審査期間を経て嗅覚の喪失は認められたが、味覚の喪失は認められなかった。双方の等級が認められた場合、それぞれ12級相当が認められ、併合11級になるが、器質的損傷が認められない場合、少し厳しい。毎度、風味障害(匂いがしないと、ある程度、味も無くなる状態)として、一くくりにされるのか、嗅覚のみが認められる傾向がある。やはり、少し疑いが残っているのか?。

(平成28年3月)  

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【事案】

バイクで交差点を直進、対抗右折自動車と衝突、転倒した。左膝の内側側副靱帯を損傷、歯は1本破損し、2本治療を余儀なくされた。

【問題点】

歯科医に後遺障害診断書の記載を求めるも、不慣れのよう。決め手は完全に破損した歯と補綴(ほてつ)歯のカウント。 c_s_k_21【立証ポイント】

直接、歯科医へお伺いして説明を加えた。歯科用後遺障害診断書を提出したが、それでも医療照会が入り、細々とフォローが続いた。欠損したわけではないが事故で治療を余儀なくされた歯が2本あり、それを障害歯としてカウントするか慎重に確認したよう。でも、障害歯3本=14級なので、膝で12級となっている以上、直接、保険金・賠償金に影響はない。 c_s_k_22★ 補綴(ほてつ)とは、歯が欠けたり失われた場合に、冠、クラウン、入れ歯(義歯)やインプラントなどの人工物で補うことを言います。

※ 併合の為、分離しています

(平成27年4月)  

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【事案】

自転車で直進走行中、前走バイクが急転回し、衝突したもの。頬骨骨折により、顔面に神経性疼痛、嗅覚・味覚の異常も生じた。また、脳挫傷があり頭痛やめまいに悩まされる。その他、歯を数本折った。 リハビリ後も完全回復とならず、現場の仕事から内勤に転任を余儀なくされていた。

【問題点】

高次脳機能障害の立証が最優先。

【立証ポイント】

味覚・嗅覚はおなじみの検査を実施するのみ。歯については既存障害歯と事故で欠損した歯を分けて把握する必要がある。歯科医と打合せし、XP画像を預かり、専用診断書に記載頂く。 結果、味覚喪失で12級相当、嗅覚減退で14級相当とした。歯については事故前からの障害歯から新たに折れた歯をおなじみの既存障害を差し引く計算で13級5号。     c_g_m_3 c_g_m_2 諸々の症状から盛りだくさんの障害を集めて併合11級。それは高度なパズルを組み合わせるような作業。

※ 併合のため分離しています。

(平成27年7月)

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【事案】

自転車走行中、前方より自動車の衝突を受け、転倒。直後、救急搬送され、前頭部脳挫傷、外傷性硬膜下血腫、くも膜下血腫の診断となった。病院では、脳外傷後のせん妄の影響で、医師や周囲に対して暴言や問題行動が続き、追い出されるように3日で退院させられた。その後、転院先でも易怒性や病識欠如から、十分な検査はもちろん、高次脳機能障害の診断を得ないまま、保険会社に促されるまま症状固定を迎えてしまった。認定等級は神経症状12級13号、嗅覚障害12級相当。結果、併合等級11級の評価となった。

【問題点】

自賠責調査事務所は高次脳機能障害について医療照会を行ったが、主治医は「すべての項目で異常なし」と回答してしまった。また、家族へも「日常生活状況報告書」を送ったが、これも本人の病識欠如により未回答。なんとか嗅覚障害のみ追加検査したに過ぎなかった。結局、審査期間は1年を要したが高次脳機能障害は見逃された。

このまま、この事故は終わるかに見えた。しかし、嗅覚に並んで味覚喪失を自覚していたご本人から電話で「味覚がない」旨の相談を受けた。ある種の予感を感じ、相談会にお呼びした。観察したところ、やはり高次脳機能障害を予断、さらに奥様をお呼びして記銘力の低下と性格変化を確信した。相手保険会社との折衝、11級の後遺障害保険金の先行請求を連携弁護士に任せて生活の維持を図り、長く険しい立証作業へ突入した。

【立証ポイント】

主治医と面談、事情を説明して再評価への理解を得た。まずは相談・受任のきっかけである味覚検査を実施。結果は訴え通りの完全脱失(全喪失)。

高次脳機能障害は7級4号を改めて立証、味覚障害12級相当を新たに認定させて併合6級となった。当然の結果であるが、当然とならないことが多発するのが交通事故・後遺障害の世界。間違った等級の変更に時間で2年余り、検査通院およそ15回。その内、私との病院同行は8回にも及んだのです。

※ 併合のため分離しています

(平成27年3月)  

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【事案】

横断歩道を自転車で横断中、右折してきた自動車と衝突したもの。

【問題点】

診断書上ではいろんな傷病名があり、一見重傷を思わせるが、通院状況などから考えると後遺障害の可能性があるのは嗅覚の障害のみになりそうであった。そのため、何としてもその部分だけは確保する必要があったが、嗅覚脱臭まではなかった。

【立証のポイント】

当初通院していた耳鼻科ではT&Tオルファクトメータ検査が出来ないと言われたため、こちらが指定する病院に紹介状を書いてもらう。検査後、元の病院に戻って、検査結果とともに間違いのない後遺障害診断書作成を依頼。無事に14級相当が認定される。

(平成26年3月)  

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【事案】

高速道路で渋滞中、後続車に追突された。直後、脳震盪を起すも、自走して目的地に向かった。翌日から通院開始する。単なるむち打ちでは説明がつかない頭痛、目のかすみ、不眠、健忘症が生じた。

そして数日後、匂いがしなくなったことに気付く。

【問題点】

頚椎捻挫を契機に様々な不定愁訴(なんだか調子悪い)が生じることは珍しくない。しかし本件は「むち打ちで嗅覚が失われた?」ことを立証しなければならない。器質的損傷がない嗅覚障害である。これは我々の仕事の中で最も難しいミッションの一つと言える。

【立証ポイント】

整形外科だけでは話にならない。複数の科で丁寧に検証していくことなる。まず基本通り、耳鼻科でT&Tオルファクトメーター検査、アリナミンPテストを実施して「嗅覚脱失」を明らかにする。しかし嗅覚脱失の原因に踏み込まなければ非該当が待っている。 c_n_26

続いて脳神経外科を受診し、CT、MRI、スペクト等あらゆる画像検査を実施する。やはり目立った所見はでない。そこで方向を変えて高次脳機能障害の評価で有名な医師を受診し、MRI(T2スター)等の画像検査、数種の神経心理学検査を実施する。高次脳機能障害の発露の一環、つまり脳外傷に起因する感覚器障害であるかについて専門医の意見を乞う為である。

いよいよ自賠責へ提出の際、事故直後の受傷機転について詳細な説明、写真を添付する。追突の衝撃はヘッドレストの軸がへしゃげて後方に飛んだ位の衝撃である。

これらの診断結果、検査結果、申述書から嗅覚障害12級相当の認定を導いた。脳障害については 当然、否定された。しかし長期にわたる治療、その過程で行った執念深い検査などが訴えの信ぴょう性を担保したと自負している。

(平成25年11月)  

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【事案】

自動車で直進中、センターラインをオーバーして対向車と衝突、横転した。同乗していた女性は頭部を強打、前頭葉の脳挫傷となった。記銘力、遂行能力の低下、軽度の情動障害、性格変化が見られた。また、匂いがまったくしないと訴えていた。

【問題点】

地方の出張相談会にご両親が相談にいらした。被害者本人は東京の大学に在籍のため都内に下宿しているとのこと。ご両親の委任を受け、都内で弁護士と対応を開始した。

まず、嗅覚障害を明らかにするためT&Tオルファクトメーター検査を実施した。結果は「嗅覚脱失」となった。 c_n_26

【立証ポイント】

結果は高次脳機能障害を立証、7級4号とし、嗅覚喪失で12級相当が併合され、併合6級となった。

続く賠償交渉では連携弁護士の請求に対し、相手保険会社は細かな計算の修正だけで請求額のほぼ全額を認め、異例の早期解決となった。立証が強固だとこのように「戦わずして勝つ」ことができるのです。

※ 併合のため分離しています。

(平成26年5月)  

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