【事案】
仕事中、自動車から降車する際、前に降りた者がそれを知らずにドアを閉めたため、左足首がドアに挟まってしまい受傷。後のMRI検査で足関節側副靭帯損傷が判明。
非該当ながら、自賠法の勉強になる取組例ですので掲載します。
【問題点】
普通なら労災の適用で終わり・・のはず。しかし私たちは交通事故のスペシャリストを自認しています。なんと乗っていた自動車の自賠責保険へ請求をこころみました。
自賠責保険が適用されるか否か?3つの問題
① そもそもドアの開け閉めは交通事故か?
常識的に考えて交通事故となるのか。
② 仕事中で同僚による加害行為、被害者は他人にあたるか?
同乗者も運行供用者(運行で利益を得るもの)に入るか。
③ 運転補助者は運行供用者になるのでは?
いずれもクリアしなければ自賠責保険は適用できません。法解釈をフル動員、申述書にて主張を展開しました。
【立証ポイント】
① ドアの開け閉め=自動車の運行の一貫であると法解釈。
② 被害者は運転者ではなく同乗者である。同乗者には「他人性」が発生すると法解釈。
③ 運転を禁じられている作業補助者は運行を支配する立場になく、かつ会社の業務のための同乗で、運行供用者にあたらないと法解釈。
このように自賠法上、有責の判断となる法的根拠を固める。結果として有責を導く。自賠法に精通している者にしか成し得ない成果と思う。
しかし、靭帯損傷の後遺障害は否定され・・・傷害慰謝料と治療費、休業損害のみ入金。このような「おち」となりました。
(平成24年1月)
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