【事案】

バイク2人乗りで左車線を直進中、右隣車線の自動車が急に車線変更、割り込んで来たため、自動車と衝突、転倒したもの。その際、二人とも右下肢がバイクの下敷きとなった。運転の主人は膝関節を捻挫、後部搭乗の奥さんは腓骨を骨折した。

【問題点】

共に膝の痛みひどく、膝の靭帯、半月板損傷が疑われた。すでに弁護士に依頼していたが、その弁護士は症状固定するまで動かず、また事前認定(相手保険会社に後遺障害審査を任す)で十分との判断のまま、「等級が出るまで待っています」との対応。症状固定日が近づく中、不安になり当方へ相談に訪れる。やはりというか、膝の診断名について、主人「捻挫」、奥さん「腓骨骨折」のままで、必要な検査等、精査されていない状態。

【立証ポイント】

すでに委任している弁護士には退場いただき、被害者請求に切り替える。まずリハビリ先の整形外科に同行、膝の専門医への紹介状を記載いただく。そして専門医にMRI検査をしていただき、膝の損傷について改めて診断を乞う。mri案の定、夫婦共々、内側半月板損傷が判明した。それぞれ損傷程度に差があり、夫は14級9号、奥さんは12級13号を予断する。そして専門医の診断結果とMRI画像を主治医に戻して、後遺障害診断書を完成させた。

結果は狙い通り、夫婦で14級と12級。その後、連携弁護士に引き継ぎ、過失割合は0、赤本基準満額の賠償金を交渉だけで勝ち取る。夫婦で約1600万円。元の弁護士であれば捻挫のまま、夫は非該当、奥さんは腓骨の癒合良好で14級が関の山、併せて500万程度しか取れなかったでしょう。

賠償交渉の前に必要な検査・診断を仰ぎ、診断名を確定させること、そして確実に等級を抑え込むことが重要なのです。誰に解決を委ねるかで1000万円も差が出ることがあるのです。

(平成25年8月)  

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【事案】

片側3車線の道路の一番左車線をオートバイで走行中、 中央車線より脇道に入ろうとした乗用車が急に車線変更したため、 巻き込まれた事故。

【問題点】

これまでご家族が頑張って申請の準備を進めてこられたが、行き詰ってのご相談。

カルテ上初診時の意識障害があまりない、画像も入院中の1年以上前に撮ったきりで、 それ以降全く撮っていないなど。

【立証ポイント】

ご家族が、事故時、ほとんど意識がなかったと訴えていたことから、 本当に初診時に意識障害が無かったかどうか、救急隊の記録を取り寄せるところから始める。

その後、入院時の病院に戻り、現在の脳の状態を見るための画像撮影を行い、 それらを診断書にまとめてもらう。pics325また、平行して現在の病院で神経心理学検査の評価表の作成依頼などを行い、

何とか高次脳機能障害として3級3号の認定を受ける。

(平成26年1月) ★ チーム110担当  

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【事案】

自動車直進中、カーブでスリップし、対向車線に停車中のバスに衝突する。その際、左足首をダッシュボード下に挟み、脛骨内果、腓骨頸部を骨折、距骨から関節脱臼した。

【問題点】

100:0事故で相手に何も請求できない。業務中事故なので労災で治療費だけはカバーできた。しかし自車は会社の車両で、掛金節約のためから人身傷害特約、搭乗者傷害保険を付けていなかった。会社も「対人、対物賠償のみ。労災以外、何もおりる保険はない」との認識。肝心の代理店さんも自損事故保険の請求に気付かない状況。また会社側は相手から取れない自社車両の修理費損害に憤慨し、ケガから復職不能の被害者に対して、保険使用に協力的ではない。

【解決ポイント】

まず会社の責任者、代理店、保険会社に丁寧に説明を行い、保険使用の道筋を作る。自損事故保険の請求など誰も慣れていない。請求した方が皆のためになることを理解させなければならない。 このように自分で契約していない会社の自動車保険となると、ほとんどがそのまま泣き寝入りのケースと思う。本件解決の肝はここにありです。

後遺障害立証はいつも通り、医師面談を行い、関節可動域の計測に立合う。しかし、完成された診断書の計測値に誤りがあり、毎度のことですが後日計測値の修正をお願いした。併せて労災の後遺障害診断書も仕上げた後、労災のレセプト開示請求を行い、自社認定へ漕ぎ着ける。保険会社の担当、代理店と何度か電話で協議し、10級11号を抑える。

自損事故特約から後遺障害で10級=280万円、入院と通院で536000円、合計3336000円を確保。そして、労災からは支給調整のない満額の後遺障害給付を得る。支給調整(労災の金額から自損事故保険金を差っ引く?)を検討する労災に対して、「自損事故保険の給付は逸失利益と同視できるものではなく単なる傷害保険です!」と主張した。これも本件のもう一つのポイント。

このように身近に保険に精通する者がいるかいないか、間違いのない専門家に依頼するか否かで大きく運命を分けるのです。弊事務所に相談する前は、どこの事務所からも「残念ながら何もでない」と回答されていたのです。

ちなみに会社は保険金の入った被害者から自社車両の修理費を回収できました。これが会社の協力を引き出す一番のポイントだったかもしれません。

(平成25年8月)  

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【事案】

自転車運転中、路外コンビニエンスストアに右折した車両に衝突されて受傷。

【問題点】

1.事故後一貫する頚部神経症状の評価

2.事故後一貫する難聴・耳鳴りの評価

【証明ポイント】

1.頚部神経症状については症状固定を担当した医師により詳細な神経学的検査が実施され、MRI所見とともにありのままを後遺障害診断書に記載いただくも、通院期間の大半を過ごした前医の診断によれば画像所見も神経学的所見も全て正常とのこと。手は尽くしたものの、この診断内容が重視され頚部は14級9号で決着。

2.難聴・耳鳴りについては主治医協力のもと30dB以上の難聴と耳鳴りの存在を明らかにするも非該当。ABR検査を受け60dB程度の難聴があることを証明し、耳鳴りの訴えが一貫している事実を資料化して異議申立。無事に耳鳴り12級相当の認定を受けた。

(平成25年6月)  

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【事案】

歩行中、右方から来た車に衝突され、右上肢について「右肩関節脱臼」、「右肘打撲」、「右橈骨遠位端骨折」を受傷したもの。

【問題点】

整骨院に偏った治療を行い、柔道整復師も適切に整形外科を案内しなかったことから、右上肢全体がズデック骨萎縮の状態に。受傷した三大関節全てに著しい機能障害(10級レベル)が残存。

1.肩関節の損傷は著しい機能障害を根拠付けるか?

2.手関節の損傷は著しい機能障害を根拠付けるか?

3.肘関節の損傷は著しい機能障害を根拠付けるか?

1.2.については器質的損傷の状態から正確な計測が行われれば10級は手堅いと見るが、傷病名が「右肘打撲」にとどまる肘関節についても10級が認定されるか。整骨院の施術にも相当な問題があると考えられるため慎重に申請する必要があるだろう。

【証明ポイント】

1.3大関節全てについて正確な計測の実施を受けた。

2.3大関節それぞれについて機能障害が生じた理由を後遺障害診断書に詳細にお示しいただいた。特に肘関節については重点的に説明を受けた。

以上の結果、肩・肘・手、それぞれについて10級が認められた。

(平成25年6月)

—————————————

後遺障害実務に詳しい方はおそらくここで「ん?」と思われたことでしょう。併合は通常1回であるため、10級+10級で併合9級になるのではないか?と。しかし本件は8級相当。なぜでしょうか。

・・・実は本件には隠れルールが適用されています。以下、認定文から抜粋します。

『・・・前記1.2.および3.の障害は、同一系列の障害ですが、認定基準上、1上肢の3大関節のすべての関節の機能に著しい障害を残すものは第8級に準ずる障害として取り扱うこととなる・・・』

(別表第二備考6)

 

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【事案】

センターラインをはみ出した対向車との正面衝突。自車は甚大な被害。

【問題点】

・圧迫骨折による変形の度合いは何級レベル? ・神経症状を伴う圧迫骨折であるが神経症状の状態は?

【証明ポイント】

(画像はサンプルイメージです)

圧迫骨折の事案で確認すべきポイントとしては、

① 新鮮骨折であることが確認できるか。それとも陳旧性の骨折か。 ② 圧壊率はどの程度か。後湾が生じていないか。 ③ 可動域に制限はあるか。

主に上記3点が挙げられる。これに対し本例では

① 新鮮骨折であることは明らか。 ② 圧潰率は11級レベル、後湾は無い。 ③ 若干の可動域制限。

このような状況であった。①は前提条件として、③は②が8級レベルでなければそもそも考慮されない。全体像としては11級解決止む無しであるが、問題は神経症状を伴うことにあった。

この点、慎重かつ繊細に神経学的検査の実施を受けたものの、腱反射やラセーグ・SLRの異常所見は確認されず、神経症状としては14級9号レベルとの評価(仮に12級が認められたとしても本例では変形障害に吸収されてしまうが、後の賠償交渉への影響を考えると手を抜いてはいけない部分)。

結果は消化不良であったものの「やれるだけのことはやったという気持ちで先に進める」という言葉を頂いた。後を弁護士に引継ぎ、対応を終了した。

(平成25年5月)  

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【事案】

歩行中に自動車に衝突されたもの。

【問題点】

傷病名は脛腓骨骨折、橈骨骨折。

・手関節の疼痛、機能障害 ・足関節の疼痛、機能障害

これらの症状が残存しているが後遺障害診断書で主張すべきポイントはどこにあるのか。後遺障害等級は認定されるのか。

【証明ポイント】

このような訴えがあるとついつい『神経症状12級13号』や『機能障害12級6号、7号』を考えてしまうが、それは間違いという好例。私たちは初回相談時に必ずレントゲンやCTなど画像そのものをチェックする。本件ではいずれの骨折も骨幹部骨折であり、疼痛、機能障害を主張して後遺障害等級が認定されることは無いと判断。狙いどころを『偽関節』か『短縮障害』に絞り込み、下肢全長のレントゲン撮影を主治医に依頼。結果、それまでは話題にすら上がっていなかった患側1㎝の短縮障害が明らかとなり、無事に13級決着。画像を確認せず自覚症状のみを頼りに申請したのではこのようなスムーズな着陸は不可能。

全下肢長のレントゲン撮影ができる医療機関はある程度限られるため、本件における主治医・医療機関との出会いは今後に向けて一つの財産となった。

(平成25年11月)  

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【事案】

横断歩道を青信号で歩行中、右折車に跳ね飛ばされる。

【問題点】

接骨院主体の通院で、しかも本人は事故当初から股関節の痛みを訴えていたとの事だが、股関節に関する傷病名が出てくるのが事故からしばらく経過してから。

【立証ポイント】

カルテを開示してもらうも、やはり当初から股関節の痛みを訴える所見なし。 関節唇の専門医のところに同行し、怒鳴り散らされながらも何とか事故との因果関係をにおわせる診断書を作成してもらう。 最終的に紛争処理機構まで行き、何とか14級9号の認定を受ける。

(平成26年2月)  

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【事案】

優先道路をオートバイで直進中、脇道から一旦停止を無視した車が出てきて衝突。

【問題点】

事前認定で申請するも、精査が必要として、一旦、認定審査を中止され、 資料一式が返送される。

今後どの様に進めていいか全くわからないとのことでご相談を受ける。

【立証ポイント】

もともと通院していた病院に同行し、精査検査のできる病院への紹介状を取り付ける。

検査のできる病院を紹介し、1から神経心理学検査や画像撮影などを行う。 pics326 その後、当初の病院に検査結果を持ち帰り、理想的な後遺障害診断書作成を依頼。

高次脳機能障害として7級4号の認定を受ける。

(平成26年1月) ★ チーム110担当  

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【事案】

信号待ち停車中、追突された事故。

【問題点】

当初通院していた病院が、6か月も通院したにもかかわらず 後遺障害診断書を書かない主義とのことで仕方なく転院。 転院先の病院では、大腿から下腿にかけてしびれると訴えるも打ち身だとの診断。 どうしていいかわからないとのことでご相談。

【立証ポイント】

医師面談するも、やはりシビレは打ち身からくるとの回答。 転院先の病院をご紹介し、丁寧な診察及び後遺障害診断書作成をしていただき、 何とか腰椎捻挫で14級9号の認定を受ける。

(平成25年11月)

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【事案】

高速道路で車を路肩に停車させていたところ、トラックに追突される。

【問題点】

特になし

【立証ポイント】

通院していた整形外科で医師面談したところ、最初はあまり協力を得らなかったが、 お話しするうちにご理解いただけ、何とか意図する後遺障害診断書を作成していただけました。 無事に頚椎捻挫14級9号、腰椎捻挫14級9号の認定を受ける。

(平成25年11月)

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【事案】

バイクで直進中、対向右折自動車と衝突、前方へ飛ばされ顔面から路面に着地したもの。頭蓋底、前頭骨、上顎骨、鼻骨、頬骨、下顎骨を骨折する。他には歯牙2本欠損、つまり顔面が砕けてしまった。医学的にはルフォーⅠⅡⅢの複合型。顔面の修復にまずチタンで5か所の固定を施し、以後数度の形成手術を行った。

【問題点】

受傷2年後に受任する。本人の治療努力もあり、幸い顔面に醜状痕は残らず整復もまずまず。しかしこれだけ損傷があればいくつもの障害が予想される。5感(視覚、嗅覚、味覚、聴覚、触覚)すべてをチェックしたところ、「視野のゆがみ」、「匂いがしないこと」、「味が一部おかしい」、「顔面の麻痺」、「めまい、ふらつき」を確認、それぞれ検査を進める。

【立証ポイント】

ヘスチャートで視野の狭窄、複視から13級2号、T&Tオルファクトメーターにより嗅覚脱失を確認し12級相当を確保する。ろ紙ディスク法による味覚検査では基準以下、その他いずれも微妙な数値しか得られず、結果として併合11級。仮に顔面の多発骨折でその他の症状を追っても神経症状の12級13号となり、併合等級には影響ない。後の賠償交渉における逸失利益期間の確保からも神経症状の13号より、視野、嗅覚での等級が有利となるのでまずまずの結果。

c_g_e_19 ケガの割には回復がよく、私としては11級では物足りないが、もちろんこれは障害が比較的少なくて済んだということです。

※ 併合のため分離しています

(平成25年9月)  

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【事案】

バイクで直進中、対向右折自動車と衝突、前方へ飛ばされ顔面から路面に着地したもの。頭蓋底、前頭骨、上顎骨、鼻骨、頬骨、下顎骨を骨折する。他には歯牙2本欠損、つまり顔面が砕けてしまった。医学的にはルフォーⅠⅡⅢの複合型。顔面の修復にまずチタンで5か所の固定を施し、以後数度の形成手術を行った。

【問題点】

受傷2年後に受任する。本人の治療努力もあり、幸い顔面に醜状痕は残らず整復もまずまず。しかしこれだけ損傷があればいくつもの障害が予想される。5感(視覚、嗅覚、味覚、聴覚、触覚)すべてをチェックしたところ、「視野のゆがみ」、「匂いがしないこと」、「味が一部おかしい」、「顔面の麻痺」、「めまい、ふらつき」を確認、それぞれ検査を進める。

【立証ポイント】

ヘスチャートで視野の狭窄、複視から13級2号、T&Tオルファクトメーターにより嗅覚脱失を確認し12級相当を確保する。ろ紙ディスク法による味覚検査では基準以下、その他いずれも微妙な数値しか得られず、結果として併合11級。仮に顔面の多発骨折でその他の症状を追っても神経症状の12級13号となり、併合等級には影響ない。後の賠償交渉における逸失利益期間の確保からも神経症状の13号より、視野、嗅覚での等級が有利となるのでまずまずの結果。 T&t

T&Tオルファクトメーターの検査キット

ケガの割には回復がよく、私としては11級では物足りないが、もちろんこれは障害が比較的少なくて済んだということです。

※ 併合のため分離しています

(平成25年9月)  

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【事案】

バイクで直進中、左路外から飛び出した自動車と衝突、転倒、傷病名の通り左のすねはズタズタに。膝部の近位端から骨幹部まで脛骨の骨折が及び、腓骨も骨幹部で折れていた。受傷直後は最悪、切断の選択もあった。他に左腕(尺骨)骨幹部も骨折。

脚は腰の骨(腸骨)から骨採取し、プレートも複数個所固定する大手術となった。ケガの重篤度から障害認定までの手続きを弁護士から託された。

【問題点】

癒合は非常に難航し、1年後に恐れていた感染症を発症、再び足を切開し洗浄・消毒する手術となった。立証以前になんといっても回復が優先。感染症の再発ないことを祈る日々が続く。症状固定までの治療・リハビリ期間を通じて丁寧にフォローしていく必要があった。

【立証ポイント】

明らかな障害は立証も易しいと言える。しかし、「余すところなく」立証するためには綿密な立証プランを描くことが重要。緻密に細部まで障害を拾い上げて診断書を完成させる必要がある。もちろん具体的に障害を説明するべく、別紙の申述書は欠かせない。外貌写真の提出も必須である。

認定内容は以下の通り。

まず左足関節の可動域は1/2制限で10級11号、左膝関節は同じく3/4制限で12級7号、ここで同一系列の併合として9級相当を確保。

さらに左下肢の短縮障害も2cmの短縮を計測、13級8号を加算、下肢の開放創&手術痕で醜条痕14級5号、腕は特に障害残らず。

以上、併合結果から併合8級とする。ほぼ計算通りの認定となった。ちなみに骨採取した骨盤の変形は外見上目立たないため取りこぼした。以前と違い、最近の腸骨変形の12級認定は厳しい傾向と言える。

(平成26年1月)  

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【事案】

原付バイクで直進中、対向自動車が駐車場に入るため急に右折して衝突。肩から転倒して左上腕骨の大結節、肩甲骨、左第6、7、10肋骨を骨折。 kata【問題点】

癒合状態は良好なものの、肩関節の可動域制限が改善しない。職業もフリーターでなかなか復職しない被害者に対し、相手保険会社は治療費を打切る。その後健保でだらだら接骨院でのリハビリが続き、症状固定しないまま1年が過ぎた。病院も半年以上ご無沙汰になってしまい、診断書の記載に難儀して連携弁護士に相談に訪れた。

【立証ポイント】

症状固定しなければ話が進まない。まずは病院への通院を再開し、なぜ肩が挙がらないのか精査する必要がある。弁護士から案件を預かり、主治医に面談してMRI検査を追加依頼する。靭帯の損傷を検証し、骨折箇所の確認と可動域制限の理由を診断書に落とし込み、可動域の計測に立ち合って外転90度を計測していただく。

大結節の骨折状態と癒合状態が可動域制限に直接影響があるのかがポイント。わずかながら肩甲骨骨折もあり、それら複合的な原因があったものとして10級を確保する。

さらに逸失利益の確保のため、復職を急がせるなど生活再建に厳しい指導を行う。ケガから早く社会復帰させることも私たちの使命と思っています。

(平成25年9月)  

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【事案】

自転車交差点を通過のところ自動車と出合頭衝突。意識を失うも、幸い脳は受傷なし。外傷は鎖骨骨折、他打撲のみ。鎖骨は骨幹部にプレート固定を施す。

【問題点】

鎖骨は幸い外見上の変形はなく、2cm程度の手術痕を残すのみ。その後経過も良く、後遺障害の認定基準である12級5号の鎖骨変形は無理。また外貌醜条痕14級4号も鎖骨部分では顔や手足と違い該当しない部位であり、大きさも障害の基準外。

そして完全な回復を願う両親は相手保険会社の示談の提示について応じず、そのまま2年間放置状態に。

【立証ポイント】

こうなったら、努力賞・お土産とも言うべき14級9号を目指すのが我々の仕事。

まず無駄と分かっていながら、事故当初の意識障害に注目し「頭部外傷後の意識障害の所見について」の記載を主治医に依頼する。これは事故の深刻度を理解いただくことはもちろん、脳障害の残存を心配し、長い治療期間を必要とした根拠とする。

そして無駄と分かっていながら、外貌写真を添付。なんといっても18歳の女子です。1mmの傷でも許せないのです。

さらに無駄と分かっていながら腰痛の訴えを含めた父親による切々とした気持ち、一連の経過を書面にして添付する。

申請後、なぜか自賠責から腰部のXPの提出依頼がきたので取り寄せて提出する。

結果として鎖骨部の疼痛で14級9号、腰痛で14級9号のダブル認定で併合14級に。こちらの主張を好意的に受け止めてくれたよう。

自賠責も人の子、娘を思う親の気持ちに応えてくれたのかな?

(平成25年6月)  

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【事案】

自転車で通勤途中、右後方よりの自動車の車線変更で接触、転倒する。自動車はそのまま逃走。目撃者もいない。

頭蓋骨骨折、急性硬膜外血腫、急性くも膜下血腫となる。その後、体が回復するも、短期記憶障害、倦怠感から職場復帰ができず、何事に対しても自発性が極端に低下する。性格変化、嗅覚障害も確認できる。 c_n_91 【問題点】

実家から離れひとり暮らしのため、家族の観察が及ばない。同居人である女性ともその後別れることになった為、私がぴったり付き添い立証を進めるしかない。さらにひき逃げ犯は捕まらず、治療費は労災で賄えたものの、後遺障害については政府の保障事業に対して申請を行うことにした。

【立証ポイント】

神経心理学検査が可能な病院へ誘致し、2か月にわたる検査を病院に同行し辛抱強く行う。ある日は電車で寝込んでしまい検査に間に合わないこともあった。嗅覚検査も事故から4年経っているが、専門医にお願いしてデータをそろえる。また家族の観察については遠隔地の実家と連絡をとりつつ、同居していた女性に懇願し、なんとか協力を取り付けて日常生活状況報告と申述書を完成させた。(ふーっ)

政府の保障事業の1年にわたる長い審査で高次脳機能障害5級、嗅覚障害14級相当が認定される。現在は労災への障害給付(年金)の請求を進めるかたわら、並行して実家の父が加入している自動車保険に対して、無保険車傷害特約・人身傷害特約の請求を連携弁護士から行っている。解決までまだしばらく時間がかかりそうです。

(平成25年10月)  

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【事案】

自転車直進中、後方より左折のトラックに巻き込まれた。右硬膜下血腫、右硬膜外血腫、右くも膜下血腫等、右側頭葉に重大なダメージを受ける。3回の手術を受け、回復が進むも、健忘、注意・遂行能力障害、そして性格変化がもっとも大きな障害として残る。  硬膜下血腫1(参考画像:右硬膜下血腫) 【問題点】

やはり性格変化を明らかにすることです。記憶や遂行能力などはある程度神経心理学検査でデータ化が可能です。しかし事故前後の性格の変化は家族しかわかりません。また易怒性が顕著なため、入院先の病院でもトラブル多く、追い出されるように退院した。これでは病院の協力も望めません。

【立証ポイント】

高次脳機能障害に理解のあるリハビリ病院へ誘致し、主治医、作業療法士と共にリハビリ計画を策定する。諸先生方の熱意とホスピタリティのおかげで、荒れていた本件被害者さんは落ち着いてリハビリと神経心理学検査を行うことができた。

さらに同居の長女、近隣に住む長男夫婦と病院同行の傍ら何度も打合わせを行い、日常生活状況報告書はもちろん、その別紙「申述書」を勝負どころと捉え、性格変化を徹底的に記述する。

5~7級を覚悟した本件ですが、性格変化の重篤度が全面的に認められ3級となった。怒りさえしなければ、家族や近隣とも普通に接することができるのです。一歩間違えれば性格変化が見落とされ、低い等級になってしまったかもしれない案件でした。

(平成25年2月)  

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【事案】

30代の男性。バイクで自動車と衝突、救急搬送され即入院、目立った脳の損傷はなく、意識も朦朧としていた程度だったので1週間後に退院となった。しかし、めまい・ふらつき、見当識・記憶障害に悩まされる。改善なく高次脳機能障害として後遺障害を申請するも否定され、めまい・ふらつきのみの評価で12級認定されるのみ。

【問題点】

受傷初期において普通に会話ができ、歩ける姿を見て、主治医は早々に退院を指示、めまいは経過観察とされる。また、記憶障害、認知障害などは事故のショックのせいと考えられ、家族も深刻に捉えず、また当時の婚約者とも予定通り結婚する。異常がなかなか治らないことに気付くも、妻は妊娠・出産で障害の立証どころではなくなってしまった。こうして高次脳機能障害が見逃されたまま月日が流れ、時効が迫る。

【立証】

受任後、時効を止めるため連携弁護士がただちに訴訟を提起、並行して2年の間にのべ18回の検査通院(うち12回同行)を行った。受傷初期の意識障害、画像所見はいずれも微妙であったが、専門医の協力のもと神経心理学検査のやり直しと画像鑑定を進める。データから認知、記憶、注意機能、遂行能力の障害が顕在化する。

しかし裁判上での異議申立てで、自賠責の回答はまたしても「前回通り12級」。相手損保の代理人も、「高次脳機能障害ではなく、元々知能が低い」等、えげつない反論を展開する。

結局、判決まで突っ走り、法廷で本人と家族の口頭陳述、審問を経てようやく5級を勝ち取る。その後相手損保が控訴したが、高裁でほぼ地裁判決通りの和解となった。 20140508_9 なぜこのような苦しい道となったのか・・・最初の病院で医師が高次脳機能障害の予断をしなかったことに尽きます。主治医は事故前の患者の性格・能力を知りません。繊細な変化は捉えづらいのです。また家族も本人の様子が多少おかしくても、普通に歩けたり話ができれば、時間の経過とともに回復するはずと判断してしまいます。確かに多くの患者は回復するでしょう。しかしこのように主治医、家族から見逃される被害者も存在するのです。

【後日談】

一般的な就労に制限があるこの被害者は現在、家族で田舎に転居し農家の手伝いをしています。障害を抱えながらも、妻と二人の子供を力強く養っています。何か困ったことがあればいつでも駆け付けようと思っています。

(平成25年7月)  

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【事案】

歩行中、後方より自動車に衝突され、頭部を負傷。画像所見、意識障害があったものの、退院後の経過もよく、単なる脳外傷の診断のまま、神経症状の残存(14級9号)に留まる。

【問題点】

当時ひとり暮らしであったため、易疲労性(精神的に疲れやすい)や性格変化について家族の観察が及ばず、事故後微妙な変化を主張する者がいなかったために見逃されてしまった。 c_n_9【立証】

別住まいの親族が改善しない症状に気付き、当方に依頼、連携弁護士と共同して異議申立てを行い、正しい認定に至った。その後訴訟に移行、異議申立ての結果が尊重され、争点少なく、ほぼ勝訴内容の和解となる。

(平成26年7月)  

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