【事案】
 
自転車で横断歩道を走行中、信号無視の車に衝突される。救急搬送され、CTにて側頭骨骨折、くも膜下出血・脳挫傷が判明、約2週間の入院を余儀なくされる。

【問題点】
 
初見の人が見れば、瘢痕がどこにあるのか分からないレベルまできれいになっていた。

【立証ポイント】
 
主治医には本件趣旨を説明し、うっすらと見える瘢痕を計測後、後遺障害診断書を作成していただいた。事故当時の写真と比較できる数種の写真打出しを後遺障害診断書に添付し、自賠責へ提出した。

コロナ禍のため、面接は実施されず、写真のみで判断されることになったのだが、弊所は10円玉銅貨大の瘢痕で12級を想定していたところ、瘢痕が長さ5cm以上と捉えることを理由に9級16号が認定された。

当初、9級16号は線状痕5cmオーバーを例とした等級であり、瘢痕は7級12号若しくは12級14号の選択との認識であった。本件の場合、直径が5cm以上で鶏卵大未満の瘢痕であれば、9級16号が認定される初のケースとなった。

もっとも、本件は別部位でも複数の等級認定を受けており、醜状痕が9級であろうが12級であろうが最終的な併合等級に影響はなかったので、ムチウチでおなじみの「ついで認定」としての結果なのかとも考えられる。直径5cmの瘢痕でも9級が認定されるのか、今後も注目していきたい。

(令和3年6月)

※ 併合の為、分離しています。