【事案】
自動車の後部座席に搭乗中、交差点で信号無視の自動車の側突を受け、自動車が横転したもの。頚椎、鎖骨を骨折、頭部は硬膜下出血、顔面は切創、以後、強度の神経症状が続いた。
【問題点】
頚部と肩関節の可動域制限がひどく、リハビリを続けるも改善が乏しかった。頚部は機能障害より神経症状に、肩関節は機能障害の立証に標準を合わせたが・・。
【立証ポイント】
肩関節は直接の骨折がなく、わずかに腱板損傷の所見を残すのみ。通常通りに医師面談を重ね、とくに肩関節肩関節は専門医を受診して可動域制限の意見書を記載頂いた。頚部の神経症状は、これも診断書とは別に意見書を加えて申請した。
神経症状で12級は確保できそうだが、横突起・椎間関節内の骨折で8級は厳しいと読んでいたので、できれば、肩関節を実態通りに10級を付けたかった。しかし、認定等級は、頚部の運動障害で8級2号がつき、肩関節の機能障害は非該当、想定とは逆の結果に。
椎間関節内骨折は微小なりとも、椎骨実体の骨折とみれば、自賠責の認定基準をあてはめた結果と言える。総じて頚部は甘く、肩関節は厳しかった。それでも、全体の重症度、腱肩部由来の重篤な症状から8級(醜状痕を加えて併合7級)は好バランスと思う。自賠責の”実態を見る目”に久々に感心した。
※ 併合のため分離しています。
(令和3年4月)