【事案】
原付バイクで交差点を横断の際、右方よりの自動車と衝突、受傷したもの。救急搬送され、診断名は外傷性クモ膜下出血、頚椎・胸椎骨折、右鎖骨骨折、左肩鎖関節脱臼、肋骨骨折、右橈骨遠位端骨折、左小指基節骨骨折、右第3指骨折、右腓骨遠位端骨折など・・。
【問題点】
被害者バイク側に一時停止があり、大けがを負いながら、半分以上の過失減額が予想された。幸い、労災が適用され、治療費は減額なく済んだ。また、人身傷害への加入があり、過失分の回収余地はあった。
その前に、たくさんの受傷部位から、後遺障害を漏らさず認定させなければならない。とくに嗅覚・味覚の減退なども重なり、耳鼻科の受診・検査も必要であった。
【立証ポイント】
すべての部位について各科ごと医師面談を進めた。高次脳機能障害の程度としては9級に合致するかどうかであった。一方、主治医は以前にお世話になった医師で、診断書の記載内容や傾向が読めたことが何かと助けになった。また、ご家族から日常生活の変化を丁寧に聞き取り、精密な文章を作成・添付した。
結果として、上肢の機能障害は厳しいジャッジで等級を逃すも、高次脳機能障害は、神経系統の障害として総合的に重くみて頂き、7級まで届いた。
逆に、労災では苦戦を強いられ、自賠責の結果とは逆に、高次脳が軽く、肩関節の機能障害を認めるめる内容であった。
その後の賠償請求は、裁判基準での全額回収を目指し、訴訟前提で試算を重ねたが、高次脳の等級維持に懸念があり、人身傷害の回収額をみて、訴訟断念とした。
(令和5年1月)
※ 併合のため、他部位の認定を分離しています。