【事案】
自転車で横断歩道を走行中、自動車に衝突される。頭部を強打したため救急搬送され、外傷性くも膜下出血、脳挫傷、側頭骨骨折の診断が下された。
【問題点】
受傷から1年以上経過していることから保険会社から打切りを迫られて、ご相談にいらした。主治医は高次脳機能障害に理解がなく、高次脳機能の検査すらまともにしていなかったため、すぐに検査できる病院と検査結果を評価できる医師を探す必要があった。
【立証ポイント】
直ちに病院同行の日程を調整し、主治医と面談することができた。大きな病院のため、恐らく高次脳機能障害の検査をすることは可能だったが、この医師では正しい評価・診断書作成は厳しいと判断し、以前、別件でお世話になった病院への紹介状を依頼した。
ひとまず検査と評価に問題はなくなったため、夫に事故前・事故後の変化を詳細に聞き取り、医師に提出した。診察では分からないような日常生活についてのエピソードを盛り込み、検査結果だけでは書ききれない項目についても、実情に踏み込んだ記載をしていただくことができた。本件は意識障害が軽度であったため、9級認定を想定していたが、日常生活の観察が評価されて7級4号が認定された。
一見すると、事故前と同様に回復しているが、ご家族や近しい人にしか分からない苦労が多々あるのが高次脳機能障害である。今回、無策のまま元の主治医に後遺障害診断書を依頼していたならば、12級13号若しくは14級9号で終わっていたかもしれない。
(令和4年8月)