【事案】

自動車にて直進中、中央線を越えて走行してきた対向車に衝突され負傷。直後から頚部痛、右手の痺れ等、強烈な神経症状に悩まされる。
 
【問題点】

受傷機転や症状の一貫性等、14級の要素は揃っていたため、認定は恐らく問題ないだろうと予想したが、本件は症状の重篤度から12級を狙いたいというご意向であった。そのためには、画像所見と神経学的所見の合致が必須であるが、MRI画像の所見と神経学的所見が一致していなかった。

【立証ポイント】

ご相談を受けたのが打切り3日前だったため、治療費打切り日に病院同行し、後遺障害診断書と頚部神経症状についての検査票を依頼した。神経学的所見はあるものの、MRI画像の所見とは一致していないため、自覚症状(日常生活の困窮点等)についての申述書とMRI画像所見の打出しを添付し、12級13号認定を試みたが、結果は想定通り14級9号認定であった。

ご本人としては、可能性は低くとも12級13号認定を目指して異議申立手続きをしたいとの事で、画像鑑定報告書を添付し、再度申請したが、結果は変わらなかった。理由書によると、「12級13号が認定されるためには、症状固定時に残存する自覚症状が、医学的な整合性の認められる画像所見および神経学的所見等の他覚的所見によって裏付けられることが必要」との説明がなされており、尚且つ神経学的所見が受傷初期から一貫していることも求められるという。この説明を見る限り、頚椎捻挫・腰椎捻挫で12級13号の認定を受けた被害者が1年間に何人いるのか…というようなレベルの話である。「捻挫」の診断名から12級の認定を得ること、いかに高い壁であるかを、今更ながら再確認した案件となった。

(令和4年6月)