後の損害賠償上、「関節が曲がらない」機能障害の等級は67歳まで逸失利益を請求します。一方、「痛み」の神経症状は14級9号で5年、12級13号で10年と、上限の相場があります。関節の可動域に影響する骨折の場合、その癒合状態から、どうせ認定されるなら賠償金額が高騰する機能障害が望ましいという前提があります。

 本件も機能障害の対象案件でした。しかし、67歳を過ぎた高齢者の場合、機能障害の上限を過ぎており、神経症状での認定であっても逸失利益に差が生じません。したがって、機能障害を克服するよう、リハビリを長く取る判断が良いのです。この判断こそ、正しい解決への道になります。

 本件の場合、そもそも相談が遅かったので、結果論となりますが、なんとか13号でも良いので12級を確保することが課されました。   治療と賠償の両立こそ、秋葉事務所の務めです   

12級13号:脛骨高原骨折(70代男性・神奈川県)

  【事案】

横断歩道を歩行・横断中、右折してきた対抗自動車に衝突され、受傷した。脛骨(すね)の膝下部分を骨折し、スクリューと鋼線で固定した。その後、リハビリを継続し、1年半が経過していた。   【問題点】

骨折と固定の状態から。膝関節の可動域制限で12級7号の対象であったと思う。しかし、長期のリハビリで改善となった点は良いが、14級に下げられた場合、賠償金の低下を甘受しなければならない。急ぎ、症状固定に進め、痛みなど諸症状から12級13号を目指すことにした。   【立証ポイント】

相談を受けてから直ちに病院同行した。改善良好ながら、「正座ができない」等、具体的な症状を診断書に記載頂き、12級へのアプローチを試みた。

結果、12級13号を容認頂いた。引き継いだ弁護士も、短い交渉で慰謝料満額と逸失利益もほぼ10年間にまとめた。可動域制限など残さず、改善させることが一番です。しかし、賠償金獲得との両立こそ完全解決と思います。  

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(1)病態

 足指の基節骨、末節骨が黒ずんで見えますが、これがSudeck骨萎縮です。

 ズディック骨萎縮は、XPでは、関節軟骨や骨質が保たれたまま高度な骨萎縮が認められます。受傷後、比較的短期間の内に関節部の疼痛、関節の拘縮、血行障害を訴え、皮膚に特有の光沢を示します。この特有の光沢を、医学的には浮腫状の腫脹と呼んでいます。

 XPで著しい骨萎縮が認められ、手関節、下腿部、踵骨の骨折に好発しています。骨梁も骨皮質も薄く、スカスカに写し出されるのです。このことを、医学では、関節を中心に帯状脱灰現象を認めると言います。    (2)治療

 治療は局所の理学療法、痛みを緩和する目的でステロイド剤の内服、血行障害等自律神経障害の緩和を目的とした交感神経節ブロック、交感神経節切断が行われます。つまり、難治性の疾患です。普通の整形外科での治療は難しく、専門外来を受診する必要があります。CRPS(Complex regional pain syndrome=複合性局所疼痛症候群)と判断されるものは、その専門外来になります。最近では「痛みの外来」などと称している院も多いようです。

 実際に「痛みの外来」での診療に立ち会ったことがあります。医師は、患部のエコー画像を観ながら、患部に注射をします。薬剤は、痛み止め薬、キシロカインなどの麻酔薬を調合、症状の経過を見ながら工夫して調合しているようです。   ◆ ズディック骨委縮とCRPS

 ズディック骨委縮の状態に陥った患者さんの多くは、すでにCRPSを発症しています。神経性疼痛の最悪例で、その原因は完全に解明されていないと言えます。交通事故外傷後に発症し、その治療が長期化することから、常に賠償問題に発展します。    詳しくは 👉 CRPSについて 概論と近況    (3)後遺障害のポイント

 骨折に起因した難治性疼痛は、CRPS TypeⅡ、カウザルギー(最近はこの診断名を使わない傾向です)が後遺障害等級の対象となります。関節の可動域に影響するケースもありますが、機能障害としての認定は大変に高いハードルになります。やはり、画像所見、つまり、骨が痩せた画像が決め手となります。画像上、明瞭であれば「局部に頑固な神経症状を残すもの」=12級13号が検討されます。画像が曖昧、そもそも骨折等が無い場合は、症状の一貫性から「局部に神経症状を残すもの」=14級9号が残ります。

 ズディック骨委縮を伴うCRPSなどの場合、症状の深刻度から、労災では「神経系統の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」=第9級の7の2や、それ以上の等級が認定された例もあります。しかし、対自賠責保険・対任意保険なると・・9級以上は訴訟で勝ち取るしかないようです。    次回 ⇒ 手の障害に進みます   

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【事案】

バイクで走行中、路地から飛び出してきた自動車に衝突される。その衝撃によって対向車線に飛ばされた結果、対向車に脚を轢かれてしまう。救急搬送される前から既に右下肢が離断しており、救急搬送先では切断と形成術が行われ、なんとか一命を取り留めた。   【問題点】

股関節への直接的な傷病名はないものの、下肢の切断後、股関節の拘縮が進んだため、可動域制限も生じていた。    【立証ポイント】

本件は膝上の切断肢であるため、後遺障害診断書に診断名を記載していただき、写真を添付するだけで立証完了=4級5号となった。

切断後の股関節について、可動域数値を確認すると、屈曲・伸展が5°及ばず10級を逃していたが、参考運動である外旋・内旋が1/2であったため、繰り上げとなり10級11号が認定された。

なお、両者が併合すれば3級の計算になるが、「1下肢をひざ関節以上で失ったもの」が上限のルールから、4級相当での認定となった。   ※ 併合の為、分離しています

(令和6年1月)  

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【事案】

バイクで走行中、路地から飛び出してきた自動車に衝突される。その衝撃によって対向車線の飛ばされた結果、対向車に轢かれてしまう。   【問題点】

10級7号は母指あるいは、他の指2本の機能障害であるが、直接的な傷病名はないものの、骨折後に拘縮が進んだため左手の母指(親指)に可動域制限が生じていた。

  【立証ポイント】

多くの部位の認定とその併合結果から、これ以上の繰り上げ等級にはならず、積極的な立証作業は必要なかった。専門スタッフによる計測と記載だけとした。後遺障害診断書の可動域数値は日整会の標準値とはかけ離れていたが、左右差が1/2だったため、何食わぬ顔で請求したところ、10級7号が認定された。   ※併合の為、分離しています

(令和6年1月)  

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【事案】

バイクで走行中、路地から飛び出してきた自動車に衝突される。その衝撃によって対向車線の飛ばされた結果、対向車に轢かれてしまう。   【問題点】

事故から約3年が経過しており、ご相談にいらしたときには、既に12級レベルまで可動域が回復していた。10級が認定されてもおかしくないほどのお怪我だったため、相談がもっと早ければ10級認定は容易だった。

  【立証ポイント】

直ちに病院へ同行し、後遺障害診断と可動域計測を依頼した。重篤な怪我を負った患者が多いリハビリ病院だったため、計測はスムーズにいき、数値も12級レベルに問題なく収まった。

もっとも後遺障害の認定箇所が多岐にわたるため、12級10級のどちらであっても、他部位の認定結果から8級以上にならなければ繰り上げ等級にはならない・・ひどいケースでした。   ※ 併合の為、分離しています

(令和6年1月)  

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(1)病態

 尺骨神経が、ギヨン管というトンネルの中で絞扼・圧迫されているものです。尺骨神経は、頚椎から上腕の内側を走行し、肘の内側を下降し、手首周辺で、有鈎骨の鈎と豆状骨で構成されるギヨン管の中を通過します。

 有鈎骨骨折は、薬指と小指の中間、下方にある手根骨の1つで、手のひら側に、突起=鉤が存在する特異な骨です。交通事故では、バイクのアクセルを握った状態での出合い頭衝突で、右手に多く発症しています。自転車、バイクから転倒する際に、手をつくことでも発症しています。

   手のひら側のCT画像ですが、突起=鉤が骨折しているのが確認できます。有鈎骨の骨折により、ギヨン管症候群を発症します。   続きを読む »

【事案】

原付バイクで交差点を横断の際、右方よりの自動車と衝突、受傷したもの。救急搬送され、診断名は外傷性クモ膜下出血、頚椎・胸椎骨折、右鎖骨骨折、左肩鎖関節脱臼、肋骨骨折、右橈骨遠位端骨折、左小指基節骨骨折、右第3指骨折、右腓骨遠位端骨折など・・。

【問題点】

被害者バイク側に一時停止があり、大けがを負いながら、半分以上の過失減額が予想された。幸い、労災が適用され、治療費は減額なく済んだ。また、人身傷害への加入があり、過失分の回収余地はあった。

その前に、たくさんの受傷部位から、後遺障害を漏らさず認定させなければならない。とくに嗅覚・味覚の減退なども重なり、耳鼻科の受診・検査も必要であった。     【立証ポイント】

整形外科の医師面談にて、耳鼻科へ院内紹介頂き、T&Tオルファクトメーター検査を実施した。ご本人の自覚通り、クサい臭い(スカトール他)など一部の臭いが脱失しており、14級となった。 味覚にも減退がみられたが、微妙な減退から検査の負担を強いたとしても非該当が濃厚であるため、未実施とした。

(令和5年1月)   ※ 併合のため、他部位の認定を分離しています。   

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注目の判決?

 先日、10歳児童が運転する自転車と乗用車の衝突事故で自転車側に過失100%を認める判決が下されたというニュースがありました。ニュースからの情報しかありませんため詳細は分かりませんが、少し記載してみたいと思います。   ~下記文章は11月18日の産経新聞より抜粋~

 事故現場は信号機のある交差点。男性が運転する乗用車の対面信号は青を示していた。向かって左側に塀があり、見通しは悪い。男性はアクセルペダルを踏まず、徐行して進入。すると左側から赤信号を無視した10歳児の自転車が飛び出してきて、車とぶつかった。車はほぼ停止状態だったため、児童にけがはなかった。

 乗用車の運転手は児童側に修理費用を求めて提訴。大阪簡裁は「本件事故の原因は児童にある」との判断を示し、児童側の過失を認定した。判決のポイントは3つ。1つ目は乗用車側が交差点の手前で速度を落とし、徐行していた点。

 2つ目はドライブレコーダーの映像から認定した児童側の運転の状況だ。自転車は歩道上を徐行せずに走行し、児童は前方の信号が赤であることを確認しなかった。

 3つ目は、車側の事故の予見可能性。この点について裁判所は、現場が見通しの悪い交差点で、赤信号を無視して自転車が飛び出してくることを予見できるとはいえないと指摘した。 児童側は判決を不服として控訴したが、大阪地裁で行われた控訴審でも「児童と男性の過失割合は100対0」と認定された。児童側は上告している。    今回の事故を判例タイムズで照らし合わせると、基本的には【236】自転車80:自動車20となり、そこに児童の修正要素-10が加わり、自転車70:自動車30になることが予想されます。これはお互いに走行していた場合を想定しており、今回の事故では、自動車側がほぼ停止状態にあったということから自転車が勝手に突っ込んできたということになります。また、子どもがケガをしなかったということもポイントかと思います。

 当初ニュースを見たときには、画期的な判例が出たと思いましたが、よくよく調べてみると、個別具体的な判断がなされただけであり、この判例をもって基本過失が変わるとは思えません。ちなみにですが、これがバイク対自動車だった場合は【161】0:100となります。やはり免許の有無が関係しているのかもしれません。今後、自転車にも免許が必要になったならば、過失にも変化が生じてくると思います。  

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【事案】

横断歩道を歩行・横断中、右折してきた対抗自動車に衝突され、受傷した。脛骨(すね)の膝下部分を骨折し、スクリューと鋼線で固定した。その後、リハビリを継続し、1年半が経過していた。    【問題点】

骨折と固定の状態から。膝関節の可動域制限で12級7号の対象であったと思う。しかし、長期のリハビリで改善となった点は良いが、14級に下げられた場合、賠償金の低下を甘受しなければならない。急ぎ、症状固定に進め、痛みや諸症状から12級13号を目指すことにした。    【立証ポイント】

相談を受けてから直ちに病院同行した。改善良好ながら、「正座ができない」等、具体的な症状を診断書に記載頂き、12級へのアプローチを試みた。

結果、12級13号を容認頂いた。引き継いだ弁護士も、短い交渉で慰謝料満額と逸失利益もほぼ10年間にまとめた。可動域制限など残さず、改善させることが一番です。しかし、賠償金獲得との両立こそ完全解決と思います。   (令和6年9月)  

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【事案】

バイクで直進中、交差点で左折する自動車の巻き込みにあい衝突、転倒した際、胸腹部を強打した。救急搬送先で緊急手術も、出血と内臓損傷が激しく、残念な結果に・・。半年後、周囲の勧めで秋葉への相談となった。    【問題点】

二輪車vs自動車の巻き込み事故の過失割合は、通常20:80~10:90で争われる。相手保険会社は早々に10:90の回答であった。裁判での解決を原則とする弁護士は、いつも通り訴訟の準備に入るかに見えた。しかし、事故状況から、バイクの左側すり抜けの可能性を危惧、10:90を維持できない危険を感じていた。もし、バイク側の過失が30%となれば最悪である。    【立証ポイント】

そこで、弁護士は秋葉に現場の再現映像の作成を指示した。左折車のスピードを二段階に設定、その速度、曲がる角度、バイクからの視点など、自動車の走行動画をおよそ20通り撮影した。現場の静止画を含め、単なる巻き込み事故と断定せず、事故状況の実際を調べた。

弁護士はその調査結果を検証し、裁判の方針から任意交渉に切り替え、交渉を重ねて保険会社と合意した。異例のスピード解決となったが、弊所にとっては久々に原因調査の仕事となった。   (令和6年11月)  

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 いつも利用している東京駅八重洲口の駐輪場は、ヤンマーの地下になります。その地下スペースですが、普段は一般に開放して休憩スペースになっています。何かイベントや展示があると、以下の通りです。今回の展示はゴージャスで、思わず写真に残しました。 しかし、令和になってヤン坊マー坊も様変わり、イケ面になっています。

 

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【事案】

横断歩道を横断中、後方より左折車の巻き込みにあった。頭蓋骨骨折、急性硬膜下血種となり、救急先で息を引き取った。   【問題点】

加害者となる運転者は接触を認めず、警察が該当カメラの映像を見せても否認を続けた。ここまで認めないとは珍しい。ご家族から相談が秋葉に入り、急ぎ弁護士と共に対応を開始した。   【立証ポイント】

連携弁護士は直ちに刑事事件のフォローにあたった。否認のまま刑事裁判まで行くかと思ったが、加害者側の弁護士が誘導したのか、相手の否認は「不明」に変わった。相当の刑事罰が決まり、その結果を受けて民事裁判に着手した。およそ1年できっちり判決を取って解決させた。

明確な死亡事件の場合、弁護士の仕事が99%で秋葉の調査はほとんどない。秋葉は呆然とするご家族を励まし、共に書類収集をするだけでしたが、一応記録しておきます。   (令和6年11月)  

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 デイリーで記載できず、貯めてUPすることもある業務日誌ですが、HP開設以来15年の営業日、欠かさずUPして参りました。現在、かなりサボってしまい・・多忙が理由ではありますが、ここが踏ん張りどころです。

 HPでいくら美辞麗句を並べても、その実力や経験、何と言っても人間性を示すことはできません。多くの業者は自ら筆を執らず、事務員に指示して資料を丸写し、さらに業者からコンテンツごと買ってUPしています。これも経営効率優先のことなので、事務所それぞれの考え方でしょう。その点、弊所が唯一差別化を志していることが、業務日誌の励行による、情報発信と信頼性です。

 余剰効果として、先に述べた人間性のアピールに寄与していると思います。皆勤賞を取ることは、すなわち、代表者の信用性です。何事も、継続とは一番その人となりを表すもので、病欠などない業務体力です。これらが、15年毎営業日、業務日誌UPから評価されています。実際に他事務所とHPを総覧し、この点を評価頂き、ご契約頂いた依頼者様もおりました。

 まずは、20年完遂を目指し、年内から年明けまでに遅れを取り戻していきたいと思います。  

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 本日は3組の御来客・相談でした。ご相談者さま、弁護士先生、ご足労頂き大変感謝です。

 いずれも難しい申請になります。とりわけ、今年は人身傷害や自損事故保険など、自身が加入している保険への請求で困っている方が目立ちました。損害賠償の相手ではなく、自身が掛金を払っている保険会社への請求ですから、請求者はお客様ということになります。その点、担当者の対応は軟らかいと思います。

 ところが、それが後遺障害の請求となると・・・相当な時間を待たされ、結果も芳しくないものです。一般に請求内容が入院〇日、通院〇日と簡単に計算が立つものであれば、問題なく支払われるようです。それだけ、後遺障害〇級は、簡単に認めてくれないもののようです。

 私達が請求をお手伝いする場合、支払先の保険会社がお手盛り回答しないよう、自賠責保険・調査事務所に諮問を掛けて頂くよう誘導します。自賠責の審査であれば、比較的、後遺障害が読めます。審査も基準に則った固いものに感じます。この点、自賠責の実力を感じます。そのような前提から、自分の保険会社に対する請求でも、後遺障害が絡めば、是非頼って頂きたいと思います。

 今年、後遺障害で躓いている被害者さん、数件受任しました。保険会社は大金を支払うことになると、それなりに慎重なのです。

 

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 日曜から前のリで病院同行、昨日、高速バスで東京へ戻りました。4時間余りのバスは疲れるものです。

 あいにくの曇り空でしたが、ホテルの窓から美しい山並みが望めます。      駐車場のネコちゃん 続きを読む »

 手根管症候群 (しゅこんかんしょうこうぐん)

  (1)病態

 正中神経は、手根関節、手首の関節の手のひら側のくぼみの辺りに存在する手根管靭帯などで形成された、手根管と呼ばれるトンネルを通り、支配する指に枝分かれします。

 手根管症候群とは、手根管が障害されたことによる正中神経麻痺です。手根管症候群の原因は種々ありますが、交通事故では、橈骨遠位端骨折、特にコーレス骨折、月状骨脱臼等により発症しています。フォルクマン拘縮でも、手根管症候群を発症しています。    正中神経麻痺 👉 上肢の後遺障害 ㉝ 正中神経麻痺    フォルクマン拘縮 👉 上肢の後遺障害 ⑯ フォルクマン拘縮    手の掌の関節部をゴムハンマーで叩くと示指・中指に痺れ、痛みが響きます。これを、チネルサイン陽性、チネル徴候を示す、と言います。

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 後骨間神経麻痺(こうこつかんしんけいまひ)

(1)病態

 橈骨神経は、肘から先を走行して、前腕部の各筋肉を支配しています。それらの筋肉は、全ての指を伸ばす、親指を外に広げるなどの働きをしているのです。後骨間神経は、肘部で橈骨神経から分岐し、フロセのアーケードという狭いトンネルに入ります。トンネルの中は、移動性がなく、絞扼、圧迫を受けやすくなっています。フロセのアーケードで後骨間神経が絞扼、圧迫を受けると、後骨間神経麻痺と診断されます。肘から下で、手指の伸展は不能でも、手関節の背屈は可能なのが後骨間神経麻痺です。

 後骨間神経麻痺は、下垂手と皮膚の感覚の障害のないことで、橈骨神経麻痺と鑑別できます。後骨間神経麻痺では、下垂指 = drop fingerとなりますが、皮膚の感覚障害はありません。下垂指は、手関節の背屈は可能ですが、手指の付け根の関節の伸展ができなくなり、指のみが下がった状態になり、後骨間神経麻痺は下垂手と感覚の障害のないことで診断できます。病院での確定診断には、筋電図、XP、MRI検査、エコー検査などが実施されています。

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 事務所から宝町の駅まで徒歩7分、そこから3つ目の大門駅で降りると、大門と東京タワーの背景です。かつて、竹芝桟橋から東海フェリーで大島へ向かうために降りた駅です。

 ↑ 新しいスマホの試写を兼ねて記録しました。本日は急遽、都内での打合せでした。事務所から近場への移動は、珍しい移動になります。さらに今年は、事務所から徒歩圏内、近所の交差点で2件の事故受傷がありました。都心の事故は、意外と少ないものですが・・。  

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 前骨間神経麻痺(ぜんこつかんしんけいまひ)   (1)病態

 前骨間神経は、肘部で正中神経から分岐したもので、親指と人差し指の第1関節を動かす筋肉を支配しています。この部位で損傷を受けると、傷病名は、前骨間神経麻痺と記載されています。

 前骨間神経麻痺では、親指と人差し指の第1関節の屈曲ができなくなります。親指と人差し指で○を作ると、親指と人差し指の第1関節が過伸展となり、○ではなく、涙のしずくに似た形となります。前骨間神経麻痺は、涙のしずくサインと、感覚障害のないことで診断できます。確定診断には、針筋電図検査、MRI検査などが必要となります。

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 尺骨神経麻痺 (しゃくこつしんけいまひ)

(1)病態

 尺骨神経は、腋の下から肘の内側を走行し、手首を越えて手先まで走行、この神経は薬指と小指の知覚と手指を動かす筋肉を支配しています。肘には尺骨神経溝と線維性腱膜で形成された肘部管があり、この中を尺骨神経が走行しています。

 交通事故により肘関節部の切創・肘部管症候群、上腕顆上骨折、上腕骨内上顆骨折、事故による変形性肘関節症、外反肘、手関節切創などが、尺骨神経麻痺の原因になると考えられています。   〇 薬指と小指が強烈に痺れる   〇 薬指と小指を完全に伸ばすことができない   〇 手の筋肉、骨間筋が萎縮、骨がうき出ている   〇 肘の内側部分を叩くと過敏なところがあり、小指へ響く痛みがある=チネルサイン    これらの症状があれば、尺骨神経麻痺を疑ってください。尺骨神経が圧迫を受けると、薬指と小指が痺れ、手に力が入りづらくなります。母指内転筋・小指外転筋・骨間筋が脱力し筋萎縮を起こします。この結果、手は「鷲手 = claw hand 変形」をきたすのです。

 尺骨神経は、薬指と小指の感覚を支配しているので、この部位に感覚障害が生じます。

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