脛骨 顆間隆起骨折(けいこつ かかんりゅうきこっせつ)
(左図)右膝関節の正面骨格図、(右図) 𦙾骨近位端の後方図
(1)病態
8~12歳の小児に好発、成人でも発生している前十字靭帯付着部の剥離、裂離骨折です。前十字靱帯損傷と同じですが、交通事故では、自転車やオートバイの転倒、田んぼや崖下への転落で発生しています。 続きを読む »
脛骨 顆間隆起骨折(けいこつ かかんりゅうきこっせつ)
(左図)右膝関節の正面骨格図、(右図) 𦙾骨近位端の後方図
(1)病態
8~12歳の小児に好発、成人でも発生している前十字靭帯付着部の剥離、裂離骨折です。前十字靱帯損傷と同じですが、交通事故では、自転車やオートバイの転倒、田んぼや崖下への転落で発生しています。 続きを読む »
お盆休みですが、金融機関である保険会社は暦通りに営業しており、総合病院も同じく開いてます。お盆の間に診断書の記載や書類の類は割と進むものです。今回は新宿へ。診断書類の依頼ですが、ちょうど買い物もありましたので、都合が良かったのです。
歌舞伎町のゴジラ
歌舞伎町を抜けて青梅街道を西へ、損保ジャパンビルを見上げる歩道橋を渡ります。30年前、ここに通っていたんだよなぁ。当時の早朝、この歩道橋でリゲインのCM撮影に出くわしました。「24時間、戦えますか~ ...
(4)後遺障害のポイント Ⅰ. 後遺障害の対象は、膝関節の可動域制限と疼痛です。弊所の経験則では、脛骨顆部骨折の多くで「4分の3以下の可動域制限」=12級7号が認定されています。
20年前までは、「2分の1以下の可動域制限」=10級11号も多く認定されていたそうですが、関節鏡術が進化したこともあり、10級11号は減少傾向となっています。いずれも、可動域制限の原因を画像で示す必要があります。3DCTで変形骨癒合を、MRIで軟骨損傷、併発した靭帯損傷の程度を立証しなければなりません。
総じて、この部位の骨折からは軽重様々な障害を予断する必要があります。基本通り、受傷時~症状固定時までの画像を見守りながら、立証計画を策定します。後遺障害申請はくじ引きではありません。回復努力を第一としつつ、あらゆる認定パターンを念頭に観察していく必要があります。 可動域制限の実例 👉 12級7号:脛骨プラトー骨折(40代男性・千葉県) Ⅱ.
脛骨顆部骨折(けいこつかぶこっせつ)
(1)病態
診断書には、脛骨顆部骨折、脛骨近位端骨折、脛骨高原骨折、プラトー骨折と記載されています。年配の医師は、脛骨高原骨折、脛骨近位端骨折、若手の医師はプラトー骨折、脛骨顆部骨折と記載する印象ですが、いずれにしても、同一の傷病名です。
脛骨の上端部の外側部を外顆、内側部を内顆と呼んでいます。脛骨顆部骨折は、外顆に多く、陥没骨折の形態となるのが特徴です。脛骨顆部骨折は、膝に衝撃が加わった際に多く発症します。膝に対する衝撃なので、脛骨顆部骨折は単独で起こることは少なく、通常は、膝の靭帯損傷や脱臼、膝蓋骨骨折、半月板損傷などを合併しています。
イラストでは、骨の上端部がホンの少し骨折したイメージですが、軟骨損傷を伴い重傷です。上肢・下肢とも、関節部の骨折は関節の運動制限や骨癒合の不良を残し、難治性です。 (2)症状
症状は、受傷直後から、激痛、腫脹、膝の変形、痛みによる運動制限などが出現し、ほとんど歩くことができません。 (3)治療
診断は、単純XP撮影が中心ですが、軟骨損傷、靱帯損傷、半月板損傷などを想定するのであれば、MRIや関節鏡検査が有用です。
脛骨顆部は海綿状の骨であるところから、骨欠損部には骨移植を必要とし、強固な内固定が得られにくいのが特徴です。転位のないものは、保存的にギプス固定となりますが、多くは手術となります。
陥没骨折では、膝部外顆関節面の軟骨損傷を伴うことから、後遺障害を遺残し、5~10年の経過で、深刻は変形性関節症に発展することも予想されます。
上のイラスト、① ② ③ は、外顆部の骨折と陥没骨折です。
④ ⑤ ⑥ では、外顆、内顆、全体の骨折で、陥没変形をきたしています。
② ④ では腓骨の骨折を合併することもあります。
② の陥没骨折に加えて骨折片転位が認められるときは、関節面を戻すとともに、骨折片をスクリューまたはプレートで整復、内固定術が行われています。このタイプは関節面の壊れ方がひどくなるため、後遺障害を残しやすく、正確な整復には、医師の技術と経験則が必要となります。
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【事案】
原付バイクで幹線道路を横断の際、右方よりの自動車と衝突、大腿骨の股関節脱臼骨折と鎖骨の骨折。股関節は人工関節置換術を施行したが、鎖骨は観血的手術を避け、外部からバンド固定&保存療法とした。高齢者の場合、プレート固定を避ける傾向。
クラビクルバンド
【問題点】
外見上、左右差が分かるほどの変形はなかった。 【立証ポイント】
それでも、変形で12級5号が認められれば、併合で等級が一つ繰り上がるので、簡単に諦めることはできない。改めて、受傷初期からのレントゲン、CTを経過的に編集、変形癒合に至るまでの画像を打ち出し、添付した。
変形の認定はあくまで外見からの判断であるが、鎖骨の癒合状態から認定を引き出した。甘めの認定に助けられたと思う。 (令和5年5月) ※ 併合の為、分離しています。
【事案】
原付バイクで幹線道路を横断の際、右方よりの自動車と衝突、大腿骨の股関節脱臼を伴う骨折となった。即座に人工関節置換術を施行した。診断名は大腿骨の骨頭下骨折、頚部より骨頭寄りの骨折のよう。

【問題点】
事故状況から、バイク側の過失が大きく、相手保険会社から一括対応(治療費の直接払い)はされなかった。また、人身傷害も未加入なので、国保のみ頼りの治療となった。それ以外は自己負担と覚悟していたところ、見かねた代理店さまより紹介となった、。
また、本件の特異な点は、介護保険を使って、入院下での集中リハビリとした点です。介護保険に対しても第3者行為届を記載・提出した。次いで、市役所から「国保の第3者届も提出お願いします!」と、弊所に電話が鳴った。どうやら忘れていたよう。 【立証ポイント】
人工関節なので10級11号は確実であったが、介護保険による治療費のレセプト収集など、いつもより取集する書類は多かった。提出後も、事故状況の回答書が要請された。さらに、介護保険使用に関する資料の提出も要請された。任意社の介在の無い場合、審査は慎重になるので仕方ないと言えます。
これらに丁寧に対応を続け、確実に10級11号の認定とした。予想通り、重過失減額から20%保険金が控除されたが、まったく何も保険金が入らないと思っていた依頼者さまにとっては、恵の保険金となった。
賠償交渉が無い事故だと、弁護士は腰が引けてしまいます。このような自身の責任が大きい事故で、困っている被害者さんは多いと思います。 (令和5年5月)
本日は事務所の暑気払いで一杯。昨年にオープン、鮨とおでんを打ち出したお店に入りました。 感想は、とにかく、素材がすこぶる良い、どの料理も仕入れで勝負が決まったような料理のオンパレード、どれも美味しいの一言。ただし、食材の良さから、値段は少々張ります。接待に使うにはカジュアルな店内、ワイワイガヤガヤの居酒屋とも違う。料理勝負とも言えますが、このようなコンセプトのお店が八丁堀で根付くのか、今後の利用も楽しみです。 お刺身、出汁かけ卵焼きも間違いのない味でしたが、中でもワサビだけをネタの手巻き鮨に衝撃を受けました。最初、ツーンと大波がきますが、割とすぐにツーンが引いていきます。後は、ワサビの妙味+シャリの甘味がちょうどよく残ります。癖になる手巻きでした。
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梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)

【事案】
自転車で直進中、右脇道からの自動車の衝突を受けて転倒、左大腿骨頚部を骨折後、人工関節置換術を施行した。
【問題点】
人工関節の手術後、リハビリを計画していたが、持病での手術入院、さらにコロナ院内感染と、めまぐるしく治療が重なり、落ち着いてリハビリを進めることが出来なかった。何より、病院がコロナ治療と一緒にレセプトを作成したため、公費となるコロナと、健保扱いとなる事故を分けなければならなくなり、5か月も待たされた。 【立証ポイント】
それでも、人工関節なので10級11号は確実であった。レセプトの欠損を説明して提出したが、自賠責は律儀に「書類が揃ってから!」と書類を返してきた。仕方なく、レセプトを待った。また、必要性の薄い可動域計測も追記要請され、それにも対応して再提出、今度は1か月も待たずに認定票が返ってきた。正直、提出書類に関して、もう少し柔軟性が欲しいと思った次第。
(令和5年7月)
今週は火曜日に茨城県ひたちなか市、そして、本日は大阪府吹田市18:00の病院同行です。 関西に着いて最初に気を付けることは、何と言ってもエスカレーター、右側ステイがルールです。エスカレターの左右どちら側に立つのか? これは日本のどこで分かれるのでしょうか・・テレビ『秘密のケンミンショー』で調べてもらいたいところです。
吹田駅は大阪の中心部に近いベットタウンです。駅周辺の整備も行き届ているようで、住みやすい街と言われています。植え込みや花壇も多く、とくにこの季節、日差しをさえぎる街路樹が大変にありがたい。この街に○ックモーターはないのかな?
さて、今回のミッシションですが、再請求の提出書類の依頼です。医師面談で主治医の先生と打合せしました。遠方の病院同行では、毎度、医師や受付の方に怪訝な顔をされるものですが、ごく手短に同行の趣旨を説明すれば、ほとんど理解を得られるものです。病院・医師との折衝において多弁は禁忌です。
新大阪駅にて、たこ焼きで夕食を済ませ、20時発の「のぞみ」に滑り込みました。今日の日付の内に余裕で戻れそうです。
今回は自撮り写真を控えます。道頓堀まで足を延ばしてグリコポーズをしたいところですが、この節、「仕事中に観光とは何事か!(怒)」とお叱りを受けそうです。
大阪出張の過去記事 ⇒ グリコとマリコ
それはズバリ、多少の変形が残ろうと、手術を避けるからです。
手術には、多少のリスクはつきものです。感染症の危険だけではなく、全身麻酔による事故です。それは、麻酔後、意識が戻らないこと、麻痺の残存などが挙げられます。医師としては、命の危険や深刻な障害とならない程の、ましてや鎖骨の変形程度でリスクを冒したくないのです。そのような事情から、高齢者の鎖骨骨折は、変形を残しやすいと言えるのです。
本件でも、外部装具(クラビクルバンド等)で固定、保存療法としました。外見上、明確な変形は残さなかったのですが、レントゲン上、手術回避によって癒合部には変形が残っていました。その辺を評価してくれたようです。
鎖骨認定、全勝中です!
この夏、ちょうど大腿骨の股関節部分である、頚部と転子部の認定が続きました。秋葉事務所では、この部位の認定も多いと思います。また、後遺障害の解説:下肢シリーズのUP最中ですので、より立体的に理解が深まった次第です。
10級11号:大腿骨骨頭下骨折 人工関節(70代女性・千葉県)
10級11号:大腿骨頚部骨折 人工関節(70代女性・静岡県)
地元の方によると、この辺の交通は、本数の少ない電車より圧倒的に自動車だそうです。本日は、東京から特急ひたちで茨城へ、覚悟して水戸駅からローカル線に乗り換えました。 電車はワンマンですから、運転席の扉から出てきた運転手に切符を渡して降ります。不慣れな私をよそに、降りる乗客は慣れたもの、互いに会釈をかわしつつ、降りていきます。お互いご近所、顔見知りなのでしょう。

幸い、病院は駅から1.5Km程度、さらに殺人的猛暑も、朝からの雨降りのおかげで気温が30°程度まで下がりました。これなら余裕で歩けるでしょう。
無人駅の駅前にロータリーなど存在しません。単線の踏切を渡って、↓ の写真の駅前通り(!)に踏み入りました。
大腿骨 顆部骨折(だいたいこつかぶこっせつ)・顆上骨折(顆上骨折)
(1)病態
脛骨と膝関節を構成している大腿骨の遠位端部の骨折です。大腿骨遠位端骨折、大腿骨顆上骨折の傷病名も同義語で、分かりやすくは、膝近くの、太ももが骨折したということです。交通事故では、車のバンパーやダッシュボードに大腿骨遠位部を打ちつけることで発症しています。
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(1)病態
大腿骨の中央部で関節を有していない部位を大腿骨々幹部といいます。交通事故では、この部位の骨折が多発しています。バイクを運転中、大腿部に車の衝突を受けたときは、意外と簡単にポッキリと骨折します。衝突の衝撃で空中に投げ出され、膝を地面に打ちつけて転倒したときは、捻れるように骨折します。衝突の衝撃が相当に大きいときは、粉々に骨折します。しかしながら、大腿骨々幹部は、比較的血行が保たれており、骨折後の骨癒合は良好です。 (2)症状
症状は、骨折した部位の腫れ、疼痛と変形により患肢が短縮し、歩行はまったくできません。 (3)治療
単純XP撮影で骨折の確認ができます。大腿骨々幹部骨折ですが、2000年頃までは直達牽引(下図)+ギプス固定の保存療法が主体でした。昔のドラマでおなじみですが、石膏のギブスで固定します。お見舞いに来た悪友が卑猥な落書きをするものでした。
現在、ほとんどの整形外科医は、直達牽引後のギプス固定は、入院期間が長くなること、長期の固定による精神的・肉体的ストレス、筋萎縮、関節拘縮などの合併症を無視できないことから、入院期間を短縮し、合併症を最小限にする固定術を積極的に採用しています。小児の骨折であっても、同様にオペが選択されており、歓迎できる傾向です。
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【事案】
原付バイクでT字路を直進中、狭路から右折してきた自動車と衝突し、負傷した。直後から大腿部の痛み、神経症状に悩まされる。
【問題点】
救急搬送先では見当違いの部位をレントゲン撮影し、骨折が見逃されてしまった。翌々日に別病院を受診し、即入院・手術が実施された。一安心と思ったら、「症状固定は手術から1年経たなければ判定しない」と言う、頑なな医師であった。また、被害者自身が人に弱みを見せず、医師に「痛みや困窮」を言わない気質であった。 【立証ポイント】
初診時に骨折の傷病名がなかったが、保険会社が一括対応をしているため、その点は問題とならずに済んだ。また、定期的にご家族へ連絡し、痛みを訴えない本人の実状を聞き取り、その内容を細かく描写した。
後遺障害診断書の作成に後ろ向きであった主治医が事故から1年が経過する段階で転勤となったため、後任の医師に自覚症状を説明し、可動域計測、手術痕の計測等、細かく検査していただいた。後遺障害診断書上、股関節の可動域数値は3/4制限となったが、骨折の癒合状態が良好だったため、1ヶ月も経たずに14級9号で認定された。
高齢者が骨折すると、事故前に比べ生活は一変し、ご家族への負担が増大する。その点を踏まえると14級9号認定は軽いように思うが、認定基準に照らし合わせると、仕方がない…と納得せざるを得ない。予想通りの結果ではあるが、モヤモヤが残る案件である。 (令和5年7月)
大腿骨転子部・転子下骨折(だいたいこつてんしぶ・てんしかこっせつ)
(1)病態
従来、関節包の内側骨折を大腿骨頚部内側骨折、関節包の外側骨折を大腿骨頚部外側骨折と2つに分類していたのですが、最近では、欧米の分類にならって、関節包の内側骨折を大腿骨頚部骨折とし、関節包の外側骨折を大腿骨転子部骨折、大腿骨転子下骨折と3つに分類しています。
大腿骨転子部骨折は、足の付け根部分の骨折であり、交通事故では、自転車・原付VS自動車の衝突で、自転車・原付の運転者に多発しています。高齢者の転倒では、橈骨遠位端部、上腕骨近位端部と大腿骨頚部・転子部の骨折が代表的です。 (2)症状
転子部・転子下骨折では、事故直後から足の付け根部分に激しい痛みがあり、立つことも、歩くこともできません。骨折折の転位が大きいときは、膝や足趾が外側を向き、外観からも、変形を確認できます。 (3)治療
単純XP撮影で、大腿骨転子部に骨折が見られ、確定診断となります。安定型、不安定型のどちらであっても、早期離床を目的として、ほとんどで、手術が選択されています。早期の手術、早い段階からリハビリテーションで、起立、歩行ができるように治療が進められています。大腿骨転子部骨折は、頚部骨折に比べて血液供給のいい部位であり、骨癒合は比較的順調です。
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大腿骨頚部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ) (1)病態
大腿骨の上部は、大腿骨頭、大腿骨頚部、転子部と呼ばれる3つの部位で構成されています。

大腿骨は頚部で内側に屈曲し、大腿骨頭と骨盤骨である寛骨臼蓋で股関節を形成しています。ヒトは、屈曲した大腿骨で身体を支えているのですが、屈曲した部分は、転倒や転落の際に、外力が集中することになり、骨折しやすい形状となっています。
この骨折は、骨粗鬆症で骨が脆くなった高齢者に多発することでも有名です。交通事故では、自転車や原付VS自動車の衝突で、自転車や原付の運転者に多発しており、とくに、高齢者では、骨折をきっかけとして寝たきりや、外に出かけようとしない、引きこもりになってしまうことが、社会問題となっています。
医学的には、股関節の中で骨折する大腿骨頚部骨折と、股関節より膝方向に離れた関節外の部分で骨折する大腿骨転子部骨折、転子下骨折の3つに分類されています。3つの分類の中では、大腿骨頚部骨折が、圧倒的多数です。 (2)症状
事故直後から、痛み、腫れ、関節の可動域制限を訴え、歩行できないことが一般的ですが、安定型の骨折では、転子部・転子下骨折に比較すると、痛みも軽く、受傷直後は歩けることもあります。頚部骨折は股関節内骨折であり、骨折による腫れが、肘や膝のようには、目立たないのです。 (3)治療
単純XP撮影で、大腿骨頚部の骨折を見ることができます。頚部骨折では、受傷直後に、XPで骨折が見えないことがあります。こんなときは、MRIで、骨折を探らなくてはなりません。

Grade Ⅰ 不完全な骨折、 続きを読む »