(5)医学論文から実例    ネット上の論文では、開胸・回復術と腹腔鏡術の2例が紹介されています。   ① 73歳、女性、バイクを運転、右折の際、直進の乗用車と衝突、左半身を強打、7m飛ばされる、   ⇒救急車にて当院に搬送⇒XP、CTで、外傷性横隔膜破裂、骨盤骨折、大腿骨々幹部骨折、多発肋骨々折、肩甲骨々折、腓骨々折、足関節骨折と診断

⇒出血性ショックを伴い、人工呼吸器管理下に迅速輸血を行い、緊急血管造影検査を施行

⇒両側内腸骨動脈の数箇所の側枝や両側の第5腰動脈に造影剤の漏出を認め、スポンゼル細片を注入し塞栓止血術を施行

⇒左外傷性横隔膜破裂に対し全身麻酔下、開胸・開腹で緊急手術を施行⇒胃底部前壁と大網組織の一部が胸腔内へ脱出し、心膜底部が一部損傷し、横隔膜の腱中心から食道裂孔に至る約10cmの裂創と無気肺を認める、

⇒滑脱臓器を用手的に腹腔内へ戻し、横隔膜損傷部は縫合閉鎖し、心膜損傷部も縫合閉鎖⇒術後4日で人工呼吸器より離脱、術後9日目に一般病棟に移る、

⇒整形外科で、16日目に左大腿骨々幹部骨折、左足関節、左鎖骨々折に対し、観血的骨接合術を施行、

⇒骨盤骨折、肩甲骨々折に対しては保存療法を行い経過良好、⇒受傷から72日目に退院となった。    ② 70歳、女性、シートベルト着用下での正面衝突事故、   ⇒ドクターヘリで救急搬送、

⇒前胸部痛、軽度の呼吸困難を認め、CTで左外傷性横隔膜破裂と診断し緊急腹腔鏡下手術を施行、

⇒腹腔鏡下観察において他臓器損傷はなく、横隔膜腱性部が横方向に5cm裂け、同部位より胃・大網が左胸腔内に脱出、

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外傷性横隔膜破裂(がいしょうせい おうかくまく はれつ)・ヘルニア

(1)病態

 横隔膜は、膜を上下させることにより、胸の気圧を管理しているのですが、交通事故や高所からの転落などで胸部に強い打撃を受けると、風船を踏みつけると割れるように、排気が間に合わず、横隔膜そのものが裂けることがあります。

 横隔膜が裂けると、今まで横隔膜によって区切られていた臓器=胃、小腸、大腸などが脱出することがあり、これを外傷性横隔膜ヘルニアと呼んでいます。   (2)症状

 外傷性ヘルニアでは、受傷直後に胸骨下部=心窩部の強い痛み、嘔吐、呼吸困難、ショックなどの症状が現れます。胸部XPで、横隔膜と肺との境界がはっきりせず、胸腔内や縦隔内に腸管のガス像を認めます。

 胃などの管腔臓器が脱出すると、肺内に管腔臓器が写し出されます。消化管バリウム造影検査では、より明瞭に脱出した腸管が描写され、確定診断となります。   (3)治療

 外傷性ヘルニアの治療では、緊急的に閉鎖術が実施されています。横隔膜は呼吸に直結している部分であり、脱出した臓器そのものによる症状よりも、脱出した臓器によって横隔膜の動きが妨げられることが危険なのです。閉鎖術により、横隔膜裂孔が閉鎖されれば、予後は良好で、ほとんどは、後遺障害を残すことなく改善が得られています。   (4)後遺障害のポイント   Ⅰ.

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 今年の温泉は、目下、群馬キャンペーンの様相。群馬は近県ながらやや手薄でした。もちろん、有名どころは抑えています。東の横綱、草津は当然何度も行っています。他にざっと挙げますと、伊香保、四万、万座、尻焼、沢渡、湯宿、鳩の湯、大塚、ダム水没前の川原湯・・今回、赤城温泉が加わりました。まだまだ未湯地が多いので、少しづつ温泉地図を塗りつぶしていきたいと思います。

 ただし、仕事に関しては、コロナの影響もありますが、ここ3年、群馬からの受任はわずかに1件だけ。群馬からのご依頼を待っております。病院同行の機会が増えれば、立ち寄り湯が期待できます。

 炭酸水素塩泉に類しますが、堆積物からカルシウムを多く含むようです。加えて鉄分からか、湯舟に注がれた透明な湯は黄土色に変化します。日に当たると、さらに緑色を帯びます。マニアは「笹濁り」と表現しています。     

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 事務所から横浜までは、宝町から京急に乗って30分あまりです。横浜駅から乗り換えて、みなとみらい駅へ、昨日は神奈川代協の総会の二部に出席、その後の懇親会はパシフィコ横浜のDan-Zeroへ。ベイブリッジを仰ぐロケーションでフレンチです。他県の代協は地下の居酒屋が多かった印象、さすが横浜は港の風に包まれての宴会です。

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気管・気管支断裂(きかん・きかんしだんれつ)

  (1)病態

 気管は空気を口から肺へ送り込む導管です。気管の外傷は、少数例ですが、呼吸に関わることであり、重症例では死に至る深刻なものです。

 交通事故では、バイクの運転者に多く、頚部に直接外力が加わる、転倒時に、頚部を強く打撲する、急激に頚部が引き伸ばされたときや、自動車であっても、高速で走衝突事故で、体に大きな外力が作用し、体内で引き千切られるように断裂すると考えられています。   (2)症状

 症状は、血痰や呼吸困難ですが、頚部皮下気腫や縦隔気腫を伴うことが最大の特徴です。受傷直後から、これらの症状が現れ、進行していくので、救急搬送を急がなければなりません。   (3)治療

 血痰、呼吸困難、頚部皮下気腫が認められると、気管断裂が強く疑われます。胸部CT、気管支鏡検査により確定診断がなされています。損傷が軽度であれば、自然に回復することもありますが、中程度以上の単独損傷では、緊急手術により、気管断裂部の修復術が実施されます。

 多臓器損傷が合併しているときは、気管内挿管や気管切開を行って、損傷部を越えて気管内チューブを健常部にまで挿入し、換気を確保します。全身状態が落ち着いてから修復術が実施されます。外傷後の瘢痕を剥がすように、気管断裂部にアプローチするのですが、頚部には、動静脈や神経、食道が走行しており、当然、専門医の領域です。

 頚部気管の完全断裂症例は、救命が非常に困難な外傷であり、進行性の呼吸困難で窒息の危険があるときは、事故現場で気管切開が実施されることもあります。   (4)後遺障害のポイント   Ⅰ.

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 用があって、久々に銀座に。時間調整でふらりとコーヒー屋さんへ。移転前の事務所から近かったので、以前はここで豆を買ったことが数回ありました。ここは、注文してから豆を煎ります。お店でミル挽きしてくれるところは珍しくありませんが、煎るところからは少ないと思います。およそ15~20分待たされますし・・。

 久々のブラジル豆購入となりましたが、専用機で煎る様子は以下の通り、写真(↓)に収めました。オリーブ色のかかった白い繭のような珈琲豆がだんだん色づいていき、若草の萌ゆる甘いゆらぎから、力強い小麦の焙煎香に変わり、豆が茶褐色から漆黒に変わる頃、古木のくすみを思わせるような香ばしさが加わり、より複雑に、奥深さを増していきます・・・仕上がりの頃には店内のアロマは最高潮、店先を通り過ぎるだけでも香に包まれます。

 コーヒーは、飲むだけがその味わいのすべてではありません。焙煎の段階からお付き合いすれば、まるで四季のような香のうつろいを楽しむことができるのです。まさに、夢見るような15分の官能を味わいました。

 そして、朝一でいれる一杯、事務所でのささやかな楽しみです。

   

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【事案】

オートバイで直進中、対向車が駐車場に入ろうと右折、衝突・受傷する。

救急搬送先の診断名は、ざっくり全身打撲。続いて、精査の為にCT・MRI検査の結果、診断名に肩腱板損傷が加わった。その後、肩関節の激痛と挙上不能から、近隣の整形外科で理学療法を継続した。

【問題点】

一向に痛みは治まらず、肩腱板(棘上筋)の損傷も不明瞭のまま・・。相手損保との交渉も紛糾、ついには弁護士を入れられてしまった。この時点で相談となった。

早速、肩のMRIを観たが、初期にひどい炎症が観られるも、肩腱板に目立った損傷は見られなかった。これでは、痛みの14級9号止まりか・・。

医師面談当日、病院前での打合せにて、本人から「肩の骨が出っ張っている」ことを初めて聞いた。早速、シャツを脱いでもらうと、明らかなピアノキーサイン(肩鎖関節脱臼で鎖骨が上に出っ張る)!!! 腱板損傷は誤診で、肩鎖関節・亜脱臼(GradeⅡ)と素人ながら確信した。本件は久々に「誤診を正す」ミッションとなった。

肩鎖関節脱臼とは? 👉 肩鎖関節脱臼   【立証ポイント】

すぐさま、主治医に対して「肩鎖関節脱臼」と鎖骨変形を改めて診断の上、診断書にご記載をお願いしたが、素人診断に耳を貸すほど医師は甘くない。どうしても認めてくれないので、少なくとも左右比較の為に、ケガをしていない方の肩もレントゲン撮影お願いした。それも怒鳴るように拒まれたが、必死に頼み込んで撮って頂いた。

次いで、先の左右比較のレントゲン、肩鎖関節脱臼を示すCT、MRIの打ち出しを独自に編集、5枚の打出しを作成した。この打出し資料を持参の上、MRI検査をした病院に戻り、医師に掛け合って診断名を変更して頂いた。ようやく「肩鎖関節脱臼」の診断名、この時点で事故から9カ月が経過していた。   いざ申請へ、本件被害者さんが肩を写メで残してくれて助かった。これらの写真と先の画像資料に、診断名が遅れた理由を経緯書にまとめ、被害者請求を敢行、わずか1か月で鎖骨の変形が認められて12級5号の認定となった。   最終回の逆転劇、これで賠償金が2倍以上に跳ね上がる。立証の苦労が報われたが、運もあったと思う。医師が診断名を間違えると・・たいてい、取り返しのつかない結果となるのです。

(令和5年4月)  

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 どんなスポーツ、競技でもオフェンス(攻撃)とディフェンス(防御)の場面に二分されるものです。どちらかに偏重しようと、片方を完全に捨てることはないはずです。これは、自動車保険にも当てはまる概念です。    自動車保険における攻撃面、これは賠償保険に置き換えられます。加害者になってしまった時、人をケガさせてしまった場合の対人賠償、相手の「物」を壊した場合の対物賠償、これら賠償問題の解決に自動車保険は絶対に必要です。一方、被害者になることも想定すべきです。ケガをさせられた場合の人身傷害、自動車をぶつけられた場合の車両保険が代表的です。他に、無保険の自動車から重度の障害を被った、あるいは亡くなった場合、人身傷害保険を越える損害額となれば、無保険車傷害保険の対応が加わります。無保険車傷害は、ほとんどの保険に自動担保されています。また、相手への賠償請求を弁護士に委任する場合、その費用負担となる弁護士費用保険も、ディフェンスの保険と言えるでしょう。

 この内、人身傷害保険と車両保険は、自身の単独事故による自らの損害を補填することだけに目が行きがちです。掛金が高いので、どうしても、「自爆事故はいいや」と補償を削る傾向なのです。しかし、任意保険をつけていない加害者から、”自らを守るための保険”でもあります。これにも、保険加入の意味が十分にあると思います。皆、自爆事故にはある種の諦めがありますが、他者にやられた場合はそうはいきません。憤慨やる方ない状況に置かれるはずです。そして、何より、無保険の人が「すみません、修理費は全額きっちり払います、治療費も慰謝料も十分に補償させて頂きます」とお財布を開くことなど、ほとんどありません。たいてい、「自分は悪くない」「修理費が高すぎる」とごねて、終には「お金はありません」と居直ることが圧倒的なのです。     事故のおよそ40%は被害事故です。被害に遭った場合、相手が自動車保険に加入しており、かつ、常識的な人であれば、なんとか相手からの補償で解決できます。しかし、日本損害保険協会の統計上、通年約20%前後が任意保険に未加入との現実があります。つまり、街を走る自動車の5台に1台は無保険なのです。意外と思われる多さと思います。しかし、私の経験では、相談会に被害者さんが10名いらっしゃると、その内、1~2名は相手が無保険で・・との相談になるので、「やはり、統計通り」と思います。だからこそ、ディフェンスの保険がより大事に思えるのです。

 保険代理店さんがお客様に自動車保険をお勧めする時、車両保険の説明で多くの時間を割くことになります。なにせ、賠償保険だけの保険に比べ、掛金が2~3倍になるからです。掛金が高いことイコール、それだけ事故が多く、保険金がかさむからに他なりません。しかし、ギリギリの家計の中、掛金の負担はできるだけ抑えたいのが人情です。人身傷害保険は個人加入の保険では100%近い加入率です。ただし、車両保険に加入していない方は半数と思います。この方々は対人・対物賠償により、加害者になった場合は保険会社任せでOKです。賠償金の負担と煩わしい(加害者としての)交渉をせずに守られます。ただし、やられた場合、それがケガであれば、最悪、人身傷害でカバーできますが、車両保険に入っていなければ、相手から取るしかないのです。そして、無保険の相手がすんなり修理費を払ってくれることなど、実は大変珍しい現象です。また、仮に自動車保険(対物賠償)に加入している人であっても、過失割合でもめにもめます。これが、交通事故で一番多い紛争になるのです。    東京海上日動さんの優秀な代理店さんは、トップクオリティⅢと社内で表彰されています。売上が一定規模を越えていることが条件ですが、そのレベルを維持する為に、損害率=事故の少なさも重要な評価ポイントになります。トップの保険マンは、「車両保険に加入しない場合、そのお客さまは謝絶します」とまで、徹底しています。理由は、「被害事故の場合、必ずもめる」からです。先の説明の取り、車両保険に加入しているお客様は、加害事故・被害事故の双方で守れますが、車両保険が無い場合、助けきれないことが頻発するのです。そのようなお客さまを抱えていては、経営効率が低下、クオリティの維持ができないと、割り切ってしまいます。かなり、思い切った経営判断と言えます。それ位、徹底しているようです。

 自動車保険加入の動機は、大きく加害事故(オフェンス)と被害事故(ディフェンス)対策になります。どこまでの補償を求めるか・・悩ましい問題です。私達のような仕事をしていますと、被害者の悲惨な事故を多く見ていることから、ディフェンスこそしっかり確保したいと考えます。掛金は高いですが、万全の補償で「金持ちケンカせず」を実現したいものです。  

 

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 過ちて改めざる是を過ちという

     孔子さまの格言、「論語」の有名な一節です。意味は、「過ちを犯していながら改めないのが、ほんとうの過ちである。過失はやむを得ないが、過ちと気づいたらすぐ改めよ。」です。    誰だって間違いはあります。ところが、プライドからか、なかなか認めない職業の方もおります。それが医師だったら大変です。その大変な事案が、またしても秋葉事務所に訪れました。顛末は、以下の通りです。   だから、交通事故業界に私達が必要とされているのです  

12級5号:肩鎖関節脱臼(60代男性・神奈川県)

【事案】

オートバイで直進中、対向車が駐車場に入ろうと右折、衝突・受傷する。

救急搬送先の診断名は、ざっくり全身打撲。続いて、精査の為にCT・MRI検査の結果、診断名に肩腱板損傷が加わった。その後、肩関節の激痛と挙上不能から、近隣の整形外科で理学療法を継続した。

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  (1)病態

 高所からの墜落、胸部挟圧などの外力が胸壁に作用して、肺表面の損傷はないものの、肺の内部、肺胞、毛細血管が断裂して、内出血や組織の挫滅をきたすことがあります。打撲では青痣が残りますが、肺に痣=内出血ができた状態を肺挫傷といいます。

 さらに、肺表面部の胸膜を損傷すれば、肺裂傷と呼ばれます。肺裂傷では、裂傷部位から肺の空気や血液が漏れ、気胸や血胸となります。

 交通事故では、電柱に激突、田畑に転落するなどで、胸部を強く打撲した自転車やバイクの運転者に肺挫傷が認められています。   (2)症状

 血痰、胸部の激痛により、呼吸がし辛くなります。広範囲の肺挫傷では、強い呼吸困難となります。

 多発肋骨骨折による、フレイルチェスト=動揺胸郭の合併では、安定した呼吸活動ができなくなり、呼吸不全を起こします。肺挫傷では、時間の経過で、肺炎や急性呼吸窮迫症候群と呼ばれる続発症を発症することも予想されるので、速やかに救急搬送しなければなりません。    👉 体幹骨の後遺障害 ⑯ フレイルチェスト(Flail Chest、動揺胸郭)   (3)治療

 診断は、胸部XP、CT検査で明らかとなります。

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【事案】

農作物の出荷場で作業中、フォークリフトのリフトが足指に下ろされて受傷、小指の先、末節骨の剥離骨折となった。剥離(はがれた)骨折は通常の骨折より、実は癒合が悪い。

さらに、痛みは軽減するどころか増悪し、ついに半年後、「痛みの外来」、つまり、専門医によるCRPSとしての治療に切り替った。久々に真正CRPSである。   参考 👉 CRPSについて 概論と近況   【問題点】

ところが、相手損保はCRPS?など奇病・珍病の類は認めない。治療費打ち切り攻勢に。この時点での相談・受任となった。健康保険に切り替えて、相手損保との摩擦を避け、専門医の治療を継続させた。このまま症状が収まればよいが、1年経過をみて後遺障害申請の勝負にでた。

CRPSの認定基準上、皮膚温度の低下、骨委縮、関節拘縮などが認定条件であるるが、足の小指ゆえにサーモグラフィーに左右差がでずらく、末節骨はそもそも委縮しているような骨である。専門医の治療が継続していること、第5足趾ゆえの特殊性を訴えたが・・・温度差の左右差がわずかであること、骨委縮や関節拘縮がないことを理由に初回申請は非該当の回答。

より詳細に神経症状を専用の診断書に記載の上、実態上CRPSに陥っていることを再請求で訴えたが、上部審査での判断はまたしても同じく「基準外」で非該当。いつもの自賠責であれば、「CRPS特有の治療(疼痛コントロール)が10か月も継続され、アロデニア(異常疼痛)が続いていること」から、症状の一貫性と信憑性により14級9号でお茶を濁すはず。担当者の悪意すら感じる結果が続いた。   【立証ポイント】

審査員を変える必要がある。確かに基準は絶対かもしれないが、本件の場合、自賠責の判断はあまりにも硬直に過ぎる。粛々と自賠責共済紛争処理機構に上げて結果を待った。

今度は、CRPSの基準に完全に満たないものの、症状が信用されて最低限の14級9号の回答。困窮の程度から、12級13号を得たかったが、基準の壁から訴訟認定も困難と考え、連携弁護士の賠償交渉へ進めた。悔しいが一矢報いたと思う。

(令和5年3月)  

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【事案】

2輪車で走行中、駅前ロータリーで合流するタクシーと衝突、脛骨&腓骨を骨折したもの。それぞれプレート固定術を施行した。整復と骨癒合は良好、リハビリを継続した。   【問題点】

流行のデリバリー業、ただし、特別加入制度の労災(👉 労災特別加入の対象拡大)に未加入であった。自身の過失も大きく、相手損保の一括対応(治療費の直接払い)は無かったため、自賠責保険とデリバリー業者の傷害保険(👉 フードデリバリーサービスの傷害保険比較 ①)に頼ることになった。  

術後の経過は良好で、膝関節の可動域も回復傾向だった。機能障害の7号を諦めて、できるだけ改善を目指した。具体的には、症状固定まで1年以上取って治療に集中させ、自賠責と傷害保険にそれぞれ入通院の補償を請求、最後に後遺障害は神経症状の認定を目指した。とくに、この傷害保険は中々に補償が手厚く、何より後遺障害の有利なジャッジを期待した。   【立証ポイント】

主治医の技術に敬服するが、「痛み」の残存で少なくとも14級9号に収めたかった。完治を目指す医師とは相反する診断書になるが、渋る医師に渋々記載を促した。

自賠責の14級止まりは想定通り、過失減額なく満額75万円を確保した。期待通り傷害保険は甘く、12級13号を得た! やはり、相手への賠償金の増額余地は乏しく、計画通りここで矛を収めた。   (令和5年4月)  

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 コロナ明けを宣言して良い位、このゴールデンウィークの人手が見込まれています、また、海外は往時の人数に及びませんが、国内旅行は活況のようです。

 取り組んでいる案件が後ろ髪を引きますが、秋葉も思い切って休みを取ろうと思います。ただし、中間の平日は通常通り業務をします。また、事務所のハイビスカスに水をやらなければならないので、ちょくちょく事務所には戻ります。

 とりあえず、温泉で瞑想してきます。それは、またレポートしたいと思います。今日はこれ位で、早上がりしようと思います。手抜き記事ですみません。

 

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 秋葉事務所にも顧問社労士の先生がおり、その他、提携関係まで及ばずとも親しくしている社労士先生が何人かおります。交通事故に労災が絡むことが多いことから、社労士と相互質問は度々のことです。その経験から恐れずに言いますと、社労士の先生で労災に詳しい方はごく一部です。制度の詳細や、とりわけ医学的な知識が必要な障害給付について、詳しい先生に会ったことがありません。    労災は社労士の専権部門であり専門分野です。ただし、それは”企業が労災を設定する場面において”の専門家と言えます。では、労働者がケガをして労災を請求する際に、社労士先生はその専門性を発揮できるでしょうか? 実は、顧問先の社労士先生によると、「労災請求はめったにない」「あっても、積極的にお手伝いしない」「顧問先の社長から特別に指示を受けない限りノータッチ」が普通だそうです。これは、そもそも労災の構造が原因と思います。    労災は会社に入ると義務的に加入されます。その掛金は会社が負担します。雇用保険(失業保険)は労使折半と言って、会社と社員がそれぞれ掛金を負担するシステムです。しかし、労災保険は「会社が掛金を払ってやっている」ことになります。また、会社は労災事故が起きること自体、不名誉に思っています。それが、業務中の事故であれば、労働基準局に睨まれる、行政指導を受ける等、ネガティヴに捉えます。これは、公共事業を受注される建築業に顕著です。労災事故が多いと、それが点数化して公共事業の入札・受注に不利に働くからです。ひどい企業ですと、労災の使用をさせないように、内部的に事故を隠すことすら平気でします。

 労災隠しなど、そこまで悪質でなくとも労災請求は常に消極的なものです。”掛金を払ってやっている”社長のよくある勘違いですが、「労災を使わせるかどうかは俺(会社)が決めるのだ」と思っています。正しくは、労災制度は被雇用者の権利であり、申請主義です。申請主義とは、被災者が申請さえすれば足ります。免責かどうかは別として、書類・要件が揃っていれば労基は受理しなければなりません。確かに申請書類では、会社の承認欄みたいなところに、会社の署名・印(河野大臣のおかげで2年前より印は不要になりました)があります。よくある相談に「会社が署名してくれませんので労災は諦めました(泣)」があります。この質問に対して、先の通り、「会社の許可は関係ありません。さっさと労基に提出を」と指導します。ただし、会社に逆らうのですから、辞める覚悟は必要ですが・・。使われている側は常に弱いのです。    ”労災を使わせないようにする” こと、これが労災請求の影の部分と言えます。ここで、冒頭の話に戻ります。百歩譲って、会社側が労災請求に勘違いがあっても仕方無いと言えますが、指導する立場である顧問社労士が間違った誘導をすることがあまりにも多いのです。労災を認めない社長の言い分でよく「顧問社労士に聞いたら、労災はでないから」、「社労士がダメと言った」などが多いのです。理由は、その社労士に顧問料を払っているのは社員さんではなく、社長さんだからに他なりません。社長の意に沿うよう働くのが顧問の存在意義と言えます。ケガをした気の毒な社員であっても、”肩入れなどしない”立場なのです。それ以外の理由としては、社労士が単に勉強不足、あるいは面倒だからでしょうか。    社労士先生は企業側、あるいは社長の味方である以上、労働者は自ら請求手続きを押し通すしかないのです。もちろん、労災請求に理解のある社長さんと、それに協力的な社労士先生もおりますが、残念ながらそのようなペアは小数に感じています。とてつもなく多くの被災者が、労災請求を断念しているのではないでしょうか。    被災者は誰を味方に付けるのか? 労災請求の専門家は? もう、答えはおわかりですね。    困った被災者が、このHPにたどり着く事を祈るばかりです。  

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 いよいよ、GW明けの来週から、コロナの扱いが第5類に移行します。このレベルですが、例年流行するインフルエンザに並ぶことになります。昔の表現ですと、「悪い流行風邪」に近いでしょうか。

 周知の通り、オミクロンとその変種は最大の感染力でしたが、重症化率は低下の一途、弱毒化したと言われています。それでも、基礎疾患者や高齢者には対策が必要で、予防接種も続くようです。つまり、インフルエンザに対するタミフルのように、特効薬の普及なきままコロナは残ります。人類はこの変種の風邪を克服したわけではなく、しばしの共存を強いられるようです。    5月8日より、以下の通りにガイドラインが変わります。   ○ マスク: 原則着用 ⇒ 個人や事務業者の判断(発症後は1日間着用が目安)   ○ 3密: 原則必要 ⇒ 個人・事業者の判断   ○ 手指の消毒: 原則実施 ⇒ 個人・事業者の判断   ○ 検温: 原則実施 ⇒ 事業者の判断、自主的な取り組み   ○ アクリル板: 原則設置 ⇒ 事業者の判断、自主的な取り組み   続きを読む »

 自賠責保険の後遺障害申請は、自賠法上、何度もできます。ただし、厳格な認定基準が存在しますので、たいてい、2度目の申請=異議申立(上部で再審査)で勝負は決します。等級の上位変更の為には、初回申請で不足した医証(診断書や画像、検査結果)を補充することが基本です。あるいは、新たな検査結果を追加することが望まれます。

 秋葉事務所では、たいてい初回申請で遺漏なく書類を提出し、望み通りの認定結果を得ています。また、むち打ち14級9号の申請で多いのですが、2回目の申請までで等級を固めています。したがって、3度の申請は珍しい例と言えます。本件では、自賠責での審査を諦めて、自賠責・共済紛争処理機構に上申しました。ここも、自賠責保険と認定基準を同じくするので、初回から検査や書類を完備する私達としては、あまり実効性を感じていません。CRPSという難病、その特殊事例から仕方ありませんでした。

 それにしても、一番軽い後遺障害である14級9号こそ再申請が多いのです。被害者さんも私達も大変です。   被害者にこれだけの苦難を課すの?

紛争処理機構14級9号:CRPS 第5足趾末節骨 剥離骨折(40代女性・千葉県)

【事案】

農作物の出荷場で作業中、フォークリフトのリフトが足指に下ろされて受傷、小指の先、末節骨の剥離骨折となった。剥離(はがれた)骨折は通常の骨折より、実は癒合が悪い。

さらに、痛みは軽減するどころか増悪し、ついに半年後、「痛みの外来」、つまり、専門医によるCRPSとしての治療に切り替った。久々に真正CRPSである。   参考 👉 CRPSについて 概論と近況   【問題点】

ところが、相手損保はCRPS?など奇病・珍病の類は認めない。治療費打ち切り攻勢に。この時点での相談・受任となった。健康保険に切り替えて、相手損保との摩擦を避け、専門医の治療を継続させた。このまま症状が収まればよいが、1年経過をみて後遺障害申請の勝負にでた。

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 等級を取ることは、何も自賠責保険に限りません。秋葉事務所では、労災はじめ障害年金、障害者手帳はもちろん、傷害保険や共済の認定も豊富です。

 多くは自賠責と同程度の等級に収まりますが、不一致も少なからず存在します。本件は最初から自賠責は14級止まりを予想、むしろ傷害保険の12級を模索しました。    被害者にとって実利ある解決とは・・最終的にお財布になんぼ入れるか、と思っています。   デリバリー業の受傷事故、増えました  

14級9号・傷害保険12級13号:脛腓骨 近位端骨折(50代男性・埼玉県)

【事案】

2輪車で走行中、駅前ロータリーで合流するタクシーと衝突、脛骨&腓骨を骨折したもの。それぞれプレート固定術を施行した。整復と骨癒合は良好、リハビリを継続した。   【問題点】

流行のデリバリー業、ただし、特別加入制度の労災( 👉 労災特別加入の対象拡大 )に未加入であった。自身の過失も大きく、相手損保の一括対応(治療費の直接払い)は無かったため、自賠責保険とデリバリー業者の傷害保険( 👉 ...

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