【事案】
自動車に同乗中、停車中に後方より来た自動車に追突されたもの
【問題点】
医師面談を行ったところ、協力的な医師であった。治療実績も良好。
【立証のポイント】
医師面談を行い、問題のない後遺障害診断書の作成を依頼した
(平成24年10月)
【事案】
自動車に同乗中、停車中に後方より来た自動車に追突されたもの
【問題点】
医師面談を行ったところ、協力的な医師であった。治療実績も良好。
【立証のポイント】
医師面談を行い、問題のない後遺障害診断書の作成を依頼した
(平成24年10月)
【事案】
自動車運転中、後方より来た自動車に停車中に追突された事案
【問題点】
医師面談をしたところ、非常に協力的な医師であった
【立証のポイント】
医師面談により問題のない後遺障害診断書の作成の依頼を行った
(平成24年9月)
③ 自賠責対象外車両の事故に関する紛争
自賠責対象外車両?・・自衛隊車両とか? 最初このように思ってしまいましたが、これはおそらく自賠責保険からの回収ができない車両、具体的に言いますと、「自賠責保険に入っていない車(これはほぼ無車検車)による事故」、「自分が一方的に悪く、相手から賠償金が得られない事故」のことではないでしょうか。私の経験では無自賠責加入車はほぼ無車検で、かなりの犯罪者である傾向が強いです。また短期入国の外国人が運転しているケースも多く、回収絶望的な事故ばかりです。果たしてADRにこのような人たちが出てくるのか、さらに斡旋案に従うのか、そして回収などできるのか、かなり難解な事案です。これこそADR同席の弁護士先生に頼りたいところです。そして自分が100%悪い事故の場合、相手に対する請求を斡旋機関に頼るケースなどほぼないと思います。また、「自らの過失は100%ではない、相手にも過失があるはずだ!」と主張する場合も、訴訟前提で進めないと埒があきません。
このように実効性や実現性に疑問ばかりで、実際どのような場面での適用を想定しているのかわかりません。後日ADR設立に関わった行政書士先生に聞いてみたいと思います。
もし、自賠責が支払われる、つまり回収の見込みのある案件は、自動的に同席の弁護士が持っていき、回収不可能な案件は引き続きADRで話し合って、としたら・・・弁護士に利益がありますが、行政書士会はほぼボランティアとなります。先の物損事故、自転車事故もそうですが、「弁護士が利益とならない事故」はADR、「利益が見込めるもの」は弁護士が持っていく・・・ADRはそのための選別機関?うがった解釈をする人もでてきそうです。
現状、自賠責保険の請求代理は行政書士に認められています。しかし一部の弁護士の見解では自賠責保険の代理請求行為も賠償交渉であり、損害賠償における代理行為の一環である、と主張しています。おそらくこの勢力は「ADRで”自賠責対象外車両の事故に関する紛争”は行政書士(のADR)としているではないか」その反対解釈で「自賠責保険が関与すれば弁護士の独占業務である」と理論武装してきそうです。
つまり交通事故業務を扱う行政書士が眉をひそめる項目なのです。
もっともこの項目からの斡旋申請者は少なく、何も問題はないと思いますが、私には行政書士会が自ら業際線を引いてしまったと思えてなりません。 私もこの分野の勉強が不足しています。引き続き、他の行政書士、弁護士先生から実情を聴取していきたいと思います。
ADRシリーズが未完だったので続けます。
・自転車事故による紛争
・自賠責保険対象外車両の事故に関する紛争 ※ 埼玉県内において発生した交通事故に限る 交通事故における死亡事故発生件数は、ここ数年下降線です。しかし物損事故は相変わらず微増状態です。また後遺障害の申請・認定件数も微増となっています。すなわち交通事故を解決する機関、代理人はまだ必要とされています。これも比較的損害が小規模の事故であれば、時間、経費の点から裁判や弁護士による交渉などは馴染みません。当事者間の示談、もしくは斡旋・仲裁機関の活躍が望まれます。そこで相続や離婚などに続き、交通事故もADRの扱い項目に加わりました。しかし相続や離婚と多少印象が違うように思います。それは相続や離婚と違い、交通事故の解決に「保険」が関与するケースが多いからです。3項目を一つ一つ見ていきましょう。
① 物に関する紛争
物損事故ですね。これはそのほとんどが任意保険会社の対物賠償保険で解決を図っているのが現状です。任意保険の加入率は約80%です。そこから漏れた紛争、もしくは保険会社の関与で解決できなかった紛争が対象でしょうか?となると加害者の支払い能力と斡旋の強制力が問題となります。簡易裁判所の調停ですらこの分野には30%を切る成立率です。それはやはり加害者に資力がなく回収できない場合や、斡旋案の拘束力がないためどちらかが席を蹴っておしまいとなるケースが多いからです。
お金のない加害者にどうやって修理費をださせるか?斡旋案が公の認証を受けても、相手から回収できず、空手形となっては意味がありません。また、任意保険会社熟練の交渉でも解決できない案件にどう立ち向かうか?これは大変難しい斡旋となるはずです。
② 自転車事故に関する紛争
近年、高齢者の被害事故が増えている中、高齢者の自転車搭乗中の被害事故も当然増加しています。この分野をあえて自転車の加害事故と読み替えます。自動車が絡めば自動車保険の問題に戻るからです。 まず関係する保険は個人賠償責任保険が対象となりますが、この加入率は自動車任意保険より低いですが、相手が加入していれば回収の目途が立ちます。10年前と違い、個人賠償責任保険もある程度の示談代行を保険会社がやってくれます。しかし保険未加入の場合、ADR、斡旋機関の出番の一つと成り得ます。
③ 自賠責対象外車両の事故に関する紛争
ここが最大の問題点と思います。少し長くなりますので明日に続きます。
土曜日は病院1件同行でした。場所は桜新町、そうですサザエさんの街です。原作者、長谷川町子さんの在住にちなみ、サザエさんをモチーフとした街並みで全国的に有名で
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【事案】
国道上での正面衝突により受傷。奇跡的に頚椎捻挫で済むもしつこい症状に悩まされている。
【問題点】
症状固定直前期でのご相談。主治医が・・・しかし転院するにはタイミングが遅い。画像所見は一定程度明確も神経学的所見無し。全て100点の12級13号には届かなくとも症状残存は明らかで受傷機転から考えて14級9号は認められて然るべき。
どのように資料を整えるか?
【証明ポイント】
明確な医学的所見でどこまで追えるか?追えないのか?TCS経験豊富(手前味噌)な担当MCが即座に判断、資料作成の方向性を見切ってスムーズに14級9号認定。弁護士特約は無いものの21万自費負担で弁護士委任は好判断。必ず納得の決着をすると確信して対応終了。
【担当MCより】
素晴らしい好青年、医学的な異常所見がほぼ無い状況ながら実績投稿できる終わり方をして一安心。ご近所&ご縁もあり趣味も合う。迷惑でなければこれからもぜひ仲良くして欲しいです。
(平成24年10月)
先週予告した通り、今週号の『女性セブン』に私のコメントが掲載されました。
「マダム向け雑誌からなんで私に取材依頼が?」・・・半信半疑ながら有楽町のMCL本社オフィスに記者さんのご来訪を受け、約1時間のインタビューを受けました。女性誌など未知の領域、心細かったのでB弁護士事務所のTさんにも同席してもらいました。
お財布を握る主婦層にも、自動車保険の改正は身近な話題となっているようです。おおむね自動車保険の無事故割引制度改定の背景を語るものですが、紙面の限界もあり、保険会社側との対立軸的な意見にまとまっています。意図する主張が十分にできませんでしたが、それはこの業務日誌でおいおい語っていきたいと思います。
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最近の受任案件から、再度警鐘を鳴らします。
交通事故のケガで後遺障害を残してしまうことは。人生最大級の痛恨事です。いくら加害者や保険会社を恨んでも、もう事故前には戻りません。しかるべく等級認定を受け、お金で解決するしかないのです。最初の関門である自賠責保険への等級申請について、初回申請の方と異議申立申請の方、それぞれの被害者と昨日、電話やメールで意見交換しました。
上がってきた後遺障害診断書をみると、一部不記載、関節可動域の明らかな誤計測がありました。どちらも等級の認定基準に関わることながら大勢には影響は薄いかな?と思っています。しかし初回で正当な等級にぴたっと収めるために、わずかな妥協が影響してはいけません。石橋を叩いて渡る慎重さも必要です。
症状固定後、仕事へも復帰し、再度の医師面談と診断書修正に対し、Aさんも及び腰です。しかし悔いのないように進めるために「一緒にもう一度医師面談をしましょう!」と説得しました。この病院は予約制でなかなか医師面談がかないませんので、まず医師に誠意を込めた手紙を書き、ご判断を仰ぎます。より良い診断書の完成に力は抜けません。後遺障害診断書の作成が勝負なのですから。
初回勝負!はこちら側の事情ですが、審査する調査事務所も正確な審査をするため、正しい情報を必要としています。したがって正確な診断書を提出することは双方にとってよいことなのです。
無料相談を回りながら、ご自身で学習し、初回申請に臨みました。結果は非該当。しかし膝の痛みは受傷以来続いており、医師から手術の必要性すら示唆されています。
この状態で私へ依頼がきたのですが、「なんでこのような重篤な症状で、きちんと検査もせず申請してしまったのですか!」と半ば怒ってしまいます。保険会社や医師に症状固定を急かされた云々・・・言い訳は続きます。厳しいことを言いますが、この被害者は交通事故賠償という戦いの初戦で「負けた」のです。勝手に自分で進めて、失敗してから専門家のドアを叩く・・・こちらとしては「私に最初から依頼しなかったのだから、最後まで自分でやって下さい」と喉まで言葉が上がってきます。
Bさんはじめ異議申し立ての被害者は、この「負け」を認めることから再スタートです。中には「認定されなかったこと」を保険会社に対する恨みつらみに変えて、自身を悲劇の主人公のように思っている被害者さんもいます。このような方は冷静さを欠きますので、単なる自覚症状を羅列した感情的な異議申立文章になりがちです。新たな医証すら得ていないのに、延々と愚痴を並べても話になりません。これから数年、異議申立の連続となります。
「負け」を「リベンジ」するためには、周到な準備と現実的な戦略が必要です。そしてある程度妥協も必要です。
そのような事情から異議申立ては積極的に受任しません。Aさんのような初回申請の方を助けるために、日々全力疾走しているからです。幸い異議申立てを積極的に受任している専門家さんも多数ネットでみられるので、心配ないと思っています。
交通事故賠償も「戦い」である以上、「先んずれば人を制す」の格言のとおりです。 受傷から早期の相談をお待ちしています。
先日の弁護士セミナーにて、S先生の講義から得た事がたくさんありました。研修資料をもとに、いくつかの論点を語っていきたいと思います。
まず、MTBIと高次脳機能障害の区別についてです。これは以前も取り上げてきたテーマですが、数千件の高次脳機能障害の評価とMTBI患者の診断を行ってきたS医師の解説で、ようやく一定の理解を得ました。
MTBIは外傷軽度脳損傷の略で、WHOの基準が良く知られています。これをベースに行政側が障害認定をする上で高次脳機能障害と区別しています。 詳しくは 👉 高次脳機能障害の立証 13 <新認定システム> 6 言葉通り、外傷による軽度の脳損傷(と推測される)患者は、現実に多くの症例が報告されています。臨床上の基準であるMTBIは、PTSDや高次脳機能障害の症状を含み、症状の類別はかなり広範囲です。問題はこの診断名が、補償制度や労災、自賠責などの対象外のものとする、行政側の定義と混同することにあります。臨床診断からの「広義のMTBI」と、補償制度の認定基準外と位置づける「狭義のMTBI」、このダブルスタンダードをS先生はご指摘されました。これは後日詳しく解説します。 ・・・S先生は、まずMTBIの症状について説明下さいました。以前、S先生の診断に一度立会ったことがります。患者に対し専門用語を控え、例え話や道具を使い、とてもわかりやすいものでした。 今回の研修では「あしたのジョー」を引用して下さいました。S先生へ敬意を込めて、秋葉なりに追補、まとめました。
1968年連載のボクシング漫画。テレビアニメ放映、アニメ映画化。最近は山下智久さんの実写版も公開されました。
主人公、矢吹丈という不良少年が南千住 泪橋にふらりと現れます。そこで元ボクサーの丹下段平に見いだされ、ボクシングの指導を受けます。
その後、少年鑑別所を経てプロボクサーとなり、鑑別所で出会ったボクサー力石 徹とリングで再戦します。しかし試合直後、力石はジョーのパンチがもとで死亡してしまいます。そのショックでスランプに陥るもののカーロス・リベラとの戦いで復活します。
その後も数々の強敵と戦い、自身もパンチドランカーとなりながら、ついに世界チャンピオン ホセ・メンドーサと対戦します・・・
この連休は弁護士向けの「交通事故・後遺障害 実務講座」でした。今回も日本全国から50人近くの弁護士先生が集まりました。
1、交通事故の現状について
2、外傷性頚部症候群
3、ヘリカルCTの優位性 特別講師W医師
初日はイントロダクション、交通事故を取り巻く環境と弁護士の取り組みについて宮尾先生より講義がスタートしました。
今回は被害者面談のロールプレイングビデオを作成、上映しました。神戸のMC佐井先生、藤井先生の演技力もなかなかです。
恒例のむち打ち講座では亀井先生の腱反射テストの実演が挿入され、なるべく多くの弁護士先生に実際に腱反射テストをやっていただきました。やはり実技が加わると座学研修も盛り上がります。 続きを読む »
今朝は6時起き。事務をまとめて地元の大学病院へ。ここで脳損傷のセカンドオピニオンと高次脳機能障害評価を依頼しました。こちらの脳神経外科医には適時ご指導頂いております。大変混雑しているにも関わらず丁寧に診断して下さいました。患者のために、治療後もお心配り下さる先生は神のようです。
さて、ここから神奈川県藤沢市へ。今日は藤沢市の病院3件をまとめて訪問しました。分刻みのスケジュールで冷や冷やものです。乗り換えもダッシュです。残念ながら1件は遅刻してしましました。 今月は他に2件藤沢市の案件が控えます。(藤沢市に引っ越しせねばならない?)
そして、なんとか3件を完遂しました。同行した被害者さんはもちろん、医師の協力に感謝しきりです。
現在、銀座オフィスで倒れこんでおります。明日は連休の弁護士研修会の準備で、山崎先生も泊まり込みで打ち合わせに上京します。そして神戸から美しすぎる行政書士・藤井先生、研修の講師を務める大御所、交通事故110番の宮尾先生と合流です。
へとへとですが頑張ります!!!
【事案】
右折レーンで信号待ち停車中、後ろから追突された事故
【問題点】
依頼を受けた時点で、 どこの病院でもきちんと話を聞いていただけないとのことで複数の病院を転々とされていた
【立証のポイント】
きちんと話を聞いていただける病院を紹介。 本人も納得して数か月通院後、後遺障害診断書への記載を依頼し14級9号認定 (平成24年9月)
【事案】
優先道路を走行中、渋滞している反対車線側道から飛び出してきた自動車に衝突される
【問題点】
器質的損傷のない外傷性頸部症候群から来る耳鳴りで、どもまでの等級が認定されるか
【立証のポイント】
事故当初からの通院実績やオージオメーター、スピーチオージオメーター、耳鳴り検査の認定基準にのっとった間違いない検査結果などを申述書にまとめ12級相当認定。
(平成24年9月) ★ チーム110担当
【事案】
信号待ち停車中、後ろから追突された複数台の玉突き事故
【問題点】
依頼を受けた時点で病院同行したところ協力的な先生で、 「患者さんのためになるのに協力しない先生が何故いるのか分からない」とおっしゃっていた。
【立証のポイント】
ところが、数か月通院していざ後遺障害診断書記載を依頼すると、 こちらがお願いする検査を全く行っていただけません。 仕方なくその場は何も言わず退散し、別の病院を紹介。 そこで、きちんと検査を行っていただき14級9号認定 (平成24年9月)
【事案】
ご自身が加害者の立場での相談
【問題点】
相談を受けた時点で接骨院主体の通院だったため、きちんとリハビリをしていただける病院を紹介
【立証のポイント】
今回は人身傷害に対する申請のため被害者請求が出来ないが、 間違いのない後遺障害診断書を作成していただくよう医師に依頼し14級9号認定 (平成24年8月)
【事案】
横断歩道を歩行中、突然動き出した車に衝突された事故。
【問題点】
相談を受けた時点で、後遺障害診断書が保険会社にすでに提出されていたが、 本人が治療継続を望んだためいったん後遺障害診断書を回収、 医師の協力の下、数か月治療を継続し新たな後遺障害診断書を作成していただく。
【立証のポイント】
間違いのない後遺障害診断書を作成していただくよう医師に依頼し14級9号認定 (平成24年8月)
本日も「自動車保険改定」について飛び込みの取材依頼がありました。
20年以上損害保険、自動車保険に関わってきましたが、改定は毎度大きく取り上げられますが、すぐにしゅんとします。のど元過ぎればなんとやら・・でしょうか。
神戸の震災後、地震保険の加入希望者で保険会社の窓口に列ができました。その1年は地震保険加入者がうなぎ上りだったのですが、数年もすると加入率が下がりだしました。このような経験から、自動車保険の改定も時間が経てば何事もなかったかのように普通となります。改定側の保険会社もその辺の心理をよくわかっています。
さて今回の雑誌は『女性セブン』です。マダム向け雑誌と思いますが、どのような記事になるのか?来週発売なので、またUPしますね。
・離婚時の離婚給付(財産分与、慰謝料)に関する紛争
・離婚後に生じた離婚給付(財産分与、慰謝料)に関する紛争
・遺産分割協議に関する紛争
これは今まで行政書士が行ってきた業務をなぞるようにADRの対象となりました。離婚も相続も膨大な件数が発生します。これらのほとんどが、厳密な法的判断を必要としたり、高額の慰謝料の争いとはならないものです。当事者間の話し合いで解決するのが理想です。しかしそれはそれでもめ事、冷静な第3者の仲裁、助けがないとまとまらないものです。ADRの本丸はここかもしれません。
今までもこの分野に多くの行政書士が介入してしてきた事実があります。代理権を持たない行政書士が有償で離婚や相続の解決に乗り出すこと自体、弁護士法72条「非弁行為」(弁護士以外は代理人として有償で交渉してはいけない)に抵触するといった解釈があります。交渉を伴わず、文章作成にとどまる業務であれば、行政書士でもOKとの認識もあります。しかし当事者の間に入って説明・説得という場面は常に生じやすく、厳密な法解釈は実情にそぐわないと思います。やはり代理交渉までいたらずとも、それなりの介入が望まれます。だからこそ、このグレーゾーンというべき民事部門に行政書士が関わるなら、紛争性を帯びた瞬間にADRの利用、弁護士への連携という流れが適切かつ自然であると思います。 つまり常に紛争化の危険をはらむ民事業務について、ADRは行政書士で完結できる流れを作り出したといえます。
・居住用賃貸借建物の敷金の返還に関する紛争
・居住用賃貸借建物の現状回復に関する紛争
簡単に言うと”大家と店子のもめごと”です。アパート退去の際、「敷金の返却が少ない!」、「クロスや畳の取り換え費用を請求された!」など頻繁に起きる問題です。近年、仲介業(不動産屋さん)に対して、賃貸借契約の約款をわかりやすく明示すること、事前説明の徹底について厳しく行政側は指導をしています。私も最近物件を借りる時、不動産屋さんの担当者から丁寧な説明を聞いて、それを実感しています。 さらに敷金というしきたりも、もはや都市圏では下火、どんどん無くなってきています。さらに修理費についても法的解釈がはっきりしており、「畳やクロスの日焼けは自然劣化であり、店子の現状回復義務(元通りにして退去する約束)には入らない」となっています。 それでも特に地方では古いしきたりや、ルールの不徹底から、賃貸借にまつわる紛争は少なくありません。この問題も一つ一つ司法判断に頼っていくには数が多すぎます。当然ながら、争うお金の額からも裁判には馴染みません。第三者の仲裁・斡旋で解決することが適切です。簡易裁判所の調停や少額裁判という方法もありますが、行政書士に相談が持ちかけられることが多い案件でもあります。なにせ全国に4万人以上も行政書士がいるのです。紛争化した時の受け皿(ADR)があってこそ、積極的に相談が受けられる土壌ができたといえます。
時間が無くなってきたので「交通事故」は明日に
昨夜は全国のMCとスカイプ会議でした。集合せずとも、様々な議案について同時に意見交換ができるので便利です。 それぞれ地域、環境が違う中、抱えている問題にも若干の温度差を感じました。その中で各地の行政書士会が推進するADRに話題が及びました。
ADRとは「裁判外紛争解決手続」の略で、訴訟社会のアメリカでは広く知られています。アメリカは桁違いに訴訟が多く、裁判所の渋滞を防ぐため、軽微な紛争はこのような斡旋・仲裁機関での解決が必要とされています。これの日本版を行政書士会が認証機関となり主宰するのです。つまりもめごとの解決を当事者がADRに申し込み、そこで話し合いがなされ、合意された内容を公に認めるものとする働きをもちます。
司法制度改革の一貫でADR法が制定されて以来、各地の行政書士会が続々と組織を立ち上げています。私の所属する埼玉会でも「行政書士ADRセンター埼玉」がこの夏、発足しました。奔走された諸先輩方には頭の下がる思いです。
内容は民事部門で4つに整理されています。早速みてみましょう。
・離婚後に生じた離婚給付(財産分与、慰謝料)に関する紛争
※ 未成年の子供がいる夫婦の離婚は除く 続きを読む »