両日ともに相談者が10名を割り、少し寂しい相談会でした。年間を通して5月は毎年少ない印象です。しかしお困りになっている被害者さんはそれぞれ必死に解決を模索しています。こちらも否応なしに気合が入ります。恒例の所感をいくつか。  

■ ポイントをずらした後遺障害診断書

 肩が痛み、拳上困難が長く続いた被害者さんです。対して医師はまず肩甲骨、上腕骨、鎖骨などをXP(レントゲン)で確認しました。異常がないので、「様子をみましょう」と言い、保存療法の継続です。つまり打撲・捻挫の類と考えました。その後、症状が長引くため、腱板損傷を疑い、MRIを撮ります。しかしそこでも原因が特定できません。そして受傷後6ヵ月が経ち、症状固定を迎えることになりました。  後遺障害診断書でも「肩部打撲」のままです。一貫して治療・リハビリを続けて、通院も相当な日数です。しかし残存した症状について、結果は「非該当」。打撲・捻挫の類では極めて少ない例外を除き、ほぼ後遺障害は認められないのです。

 この相談者さんは実は14級9号を取りそびれています。受傷機転から頚部捻挫があり、肩の異常は頚部神経症状が原因と疑われるものです。外傷性頚部症候群、もしくは頸椎捻挫により、ヘルニアや骨棘で圧迫されている神経根が病原となります。昔から「頚肩腕症」という診断名がありますが、これの多くは頚部神経の根症状タイプです。上腕神経につながっているC4/5、5/6あたりの神経根に圧迫があると、首から肩にかけて、痛みや拳上不能など神経症状が起こる症例です。  どうやら本件の医師もそのような認識を持っていたようなのです。

  もし医師が神経症状に注目し、症状の主訴を頸椎捻挫からくる頚肩腕症としていたら、「局部に神経症状を残すもの」として14級9号の認定が得られた可能性があります。本件は医師の捉え方、診断書の表記で運命が分かれたケースと思います。  

■ 嗅覚障害と味覚障害

 匂いがしない?頭部外傷により、嗅覚喪失を訴える被害者さんがいらっしゃいました。詳しく聞くと「味」もしないそうです。しかし診断書上は「嗅覚喪失」とだけ書かれています。

 嗅覚障害を訴える被害者さんの対応で注意があります。嗅覚障害が残るような脳損傷、もしくは嗅覚神経の遮断が起きた場合、味覚障害も伴うケースを多く経験しています。嗅覚、味覚、どちらかに異常があれば、必ずセットで検査をすべきと思っています。

 ここで説明を一つ加えますが、通常、嗅覚に異常があると「風味障害」とも言うべき症状がおきます。人間の味覚は舌の神経による反応のみならず、香からくる「風味」とでも言うべき感覚に味が左右されることもあります。例えばコーヒーの舌上で感じる感覚は「苦味」が中心です。しかし風味で「香ばしさ」を感じ、これがコーヒーの美味さにつながります。  したがって嗅覚が減退、喪失すると味覚も当然に一部減退します。だからと言って嗅覚障害患者のすべてに対し、味覚障害は嗅覚障害からくるものと特定するのは早計です。嗅覚神経と味覚神経は頭蓋低骨の隙間を隣り合って通っています。外傷により、どちらかに損傷があれば、もう一方もやられている・・・決して珍しくありません。また脳の前頭葉にびまん性損傷があり、嗅覚を感じる脳組織が壊れた被害者で、味覚も一緒にダメになったケースを2件経験しています。

 両方に対し、しかるべき検査を行い、嗅覚「脱出」12級、味覚「脱出」で12級、併合11級とせねばならないのです。

 

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 骨折や靭帯損傷など目に見える「器質的損傷」がない、あるいは微妙なケース、筋電図や検査数値で異常が検出されないもの、これらは他覚的症状がないものとして後遺障害は認められません。しかしながら治療状況、症状の推移から、一定の障害があると推測できるものには14級9号認定の救済(?)が果たされます。

 自賠責の認定基準は以下の労災の認定基準に準じています。

 そして「局部の神経症状」について、以下のように労災の認定基準が定められてます。

14級9号 局部に神経症状を残すもの 労働には通常差し支えないが、医学的に説明可能な神経系統又は精神の障害を残す所見があるもの。医学的に証明されないものであっても、受傷時の態様や治療の経過からその訴えが一応説明つくものであり、賠償性神経症や故意に誇張された訴えではないと判断されるもの。 医学的に証明しうる精神神経学的症状は明らかではないが、頭痛、めまい、疲労感などの自覚症状が単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されるもの。 12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの 労働には差し支えないが、医学的に証明できる神経症状をいう。 知覚障害、局部のしびれ感、麻痺があるとき、それがレントゲン写真・CT写真・脳波検査・脳血管写・気脳写・筋電図等の検査によって証明される場合。

   自賠責は下線部に書かれているように、受傷機転、治療経過から説明可能な症状であり、単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されれば、14級9号が認定されます。この解釈に多くのむち打ち被害者は救われています。しかし、治療期間において任意保険会社に詐欺まがい・非常識な請求をした、担当者と大喧嘩した、精神病的な症状となり治療が長引いた・・これらの被害者は、「説明できる・推定される障害」とされない可能性が高まります。自賠責調査事務所はそのような情報を調査権限に基づいてキャッチするからです。

 もちろん詐病者や大げさな症状を訴える被害者を排除することは良いことですが、逆を言えば審査する担当者によっていかようにも判断できる危険性をはらんでいます。

 14級9号が認定されるであろう被害者、認定が危ない被害者について、事前に受傷からの治療状況を聞けば、私たちはほぼ予想がつきます。対して、JA共済の判断にはびっくりさせられることが多いように思います。自賠責共済ではなく、自賠責保険なら、認定は「損害保険料率算出機構・自賠責損害調査事務所」で行います。

 しかし、JA自賠責共済は、各都道府県のJA共済連にて独自に審査を行います。

 自賠責保険の調査事務所は一応、第三者機関ゆえ、公平中立である? という議論は別として、JAは単なる身内審査ではないか! 農協の職員に高度な医学的判断ができるのか! このような批判も挙がって良いと思います。    共済連の審査が独自と言っても根拠法は自賠法であり、その認定基準は同じく労災に準じています。しかし、どうも判断の自由幅が自賠責保険調査事務所より広く感じます。普通に14級9号が推測→認定される案件も、なぜかばっさり非該当とされることが多いように思います。また、どう考えても自賠責の基準上、間違っている判断も目にしました。

 JAは任意保険でも他損保と一線を置いた対応を見せます。損保は良くも悪くも横並び意識が強いので、対応・判断が読みやすいのですが・・・。

 やはり、JAの身内審査は不公平であり、何故、そのようなことが許されているのか疑問を感じています。       ★ 本記事は2013.3月投稿です。   現在、JAの後遺障害審査は自賠責保険・調査事務所へ委託されました(喜!)   詳しくは ⇒ 朗報! ついにJAが自賠責審査をやめる!  

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 病院同行というよりは、病院開拓的要素が強い2件でした。山梨でリハビリ設備が充実している病院を見つけました。

 最近の整形外科もリハビリに力を入れているところが多くなりました。西洋医学的な電気治療、ホットッパク、牽引などに加え、針やマッサージを取り入れている病院もあります。外傷性頚部症候群の症状も個人差があります。投薬や理学療法を続けても効果が今一つの方も多くいます。東洋医学的な処方が選択にあることは、患者にとって治療選択の幅が広がりますので、心強い限りです。 症状が収まらないと、ついつい東洋医学的なものを求めて、接骨院や整骨院、針鍼灸に通院しがちだからです。実際、針やマッサージの方が効果的な患者もいると思います。 

 忘れてはならない事・・・

「接骨院・整骨院は後遺障害を残すような重篤な患者の初期治療をするところではありません」

偏見、もしくは断定的な意見ですが、少なくとも自賠責の調査事務所はそう判断しています。

西洋医学的な観察を必要としない患者、急性期を過ぎた慢性疼痛の緩和を目的とする患者・・・線引きが曖昧ですが、接骨院・整骨院が必要な場面は他にあると思います。 なかなか収まらない神経症状に悩まされる交通事故被害者に、これを説明し続けなければなりません。・・それも全国的に!

★Haさん、Hiさん、お土産ありがとうございました!!

  石和温泉駅、またしても湯には浸かれず・・

明日は仙台!

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 遅れがちの日誌も追いついてきました。

 さて今年を振り返る時期です。今年もたくさんの交通事故相談会に参加しました。正確な集計データは年明けに発表しますが、ざっと数えただけでも30回、一回平均12人としてもおよそ360人の被害者さんとお会いしたわけです。

 ほとんどの被害者は何らかの解決策を講じて前へ進ませます。しかし、どうにもこうにもらちがあかない被害者さんもいます。それは謎の重症、因果関係のはっきりしない症状を訴える患者です。この方たちのほとんどが骨折や入院などの重症事案ではなく、むち打ちや打撲捻挫を契機として、受傷から日を追うごとに悪化し、ひどい症状に陥ります。当然、加害者側の保険会社は詐病(うその病気)、心因性(心の病気)として、冷たい対応に切り替わります。保険会社だけではなく、病院ももてあまし気味、さらに自らの職場や家族にとっても困った存在に陥ります。

 

そこで心因性?と疑われる、今年の被害者、難病・奇病 年間ベスト10

 

1 MTBI 脳の傷病名もなく、些細な衝撃で脳障害を訴える… 今年、堂々の1位を獲得! 不定愁訴を訴える患者はすべてMTBIと診断する医師の活躍のおかげか?この業界での勢いはAKB48並み。 2 脳脊髄液減少症 ムチ打ちで脳の髄液が漏れた! 続きを読む »

 先日の相談者さんのケース・・・

 原付バイク走行中、交差点で左方からの自動車と出合い頭衝突。むち打ちと左上肢の痛み・痺れがあります。

 受傷直後に整形外科、その医師の指示で接骨院でリハビリ。施術の内容は針を定期的に打っています。接骨院への通院は100日、しかし整形外科へは10日程度。

 頚部MRI画像は軽度のヘルニア、目立った神経症状はなし、腱反射正常です。肩のMRIは撮っていません。

 受傷から6か月が経過し、相手保険会社から治療費の打ち切り宣告。しかし症状は改善しておらず、頚部の痛み、左上肢~指先にかけての痺れが残存、さらに左肩の痛みで腕が挙がりません。さらに治療を続けるか、後遺障害の申請を行うか・・・。

 この時点での相談です。  

ポイント① むち打ちで後遺障害等級は取れるか?

 残念ながら頚椎捻挫、外傷性頚部症候群での等級は絶望的です。自覚症状(痛い、しびれ)のみで目立った画像、神経学的所見がありません。むち打ちで長い治療を続けている患者の大多数が自覚症状のみです。ほとんどの患者は曖昧な所見しかでてこないのです。これでは何をもって等級を認めるのか?それは整形外科における治療の一貫性と相当回数の治療実績です。続きを読む »

 札幌を皮切りに全国縦断相談会がスタートしました。

 現地は思ったより寒くなく、空気もキリリとした透明感があります。ここ北の大地でも相談の内容はそう変わりません。しかし気になったのは、「脳脊髄液減少症」を訴える方が散見されたことです。

 脳脊髄液減少症とは、交通事故の外傷で脳内の髄液が漏れることにより、めまい、頭痛、不眠、耳鳴り等あらゆる不定愁訴(なんだか調子悪い)がおきる現象として報告されています。しかし、髄液漏れでそれらの症状が起こるのか否かについては医師の見解も分かれ、確固たる傷病としては非常に不安定なものです。健康保険対応になったり外れたり、傷病名もその都度変わりました。どうも政治的な匂いもしてきます。この傷病名で自賠責後遺障害認定はありません。あくまで一過性の症状とされ非該当となるか、外傷性頚部症候群の範囲で14級9号が認定されるにとどまります。何故ならこの症状を訴える患者の多くが非器質性損傷、簡単に言うと、目立った外傷がないのです。骨折もなく、脳挫傷もなく、単なるむち打ちで発症する方が多いのです。

 この症状、最近首都圏では減ってきました。保険会社がその傷病名での治療費支払いを拒絶すること、自賠が認定しないこと、ふたたび健保対応が可能になったこと・・・様々な要因からちょっと下火になったようです。変わってMTBIが台頭してきましたが・・・脳脊髄減少症の患者がMTBIに転向した? なんか釈然としませんね。

 この脳脊髄液減少症を訴える、もしくは診断された被害者さんが札幌、仙台でちらほら・・・首都圏と地方で時間差?のように感じました。

 行政から障害として認定されていない、医師の見解が定まらない、確固たる傷病として認められていない・・・これらは医学的な研究を待たねばなりません。医学に限らず解明されていないことは多いのです。このような立証作業はUFOやお化けの存在を追うようなものです。

 「北の大地に(交通事故外傷の)亡霊を見た」 気分です。

 明日に続く

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 14級9号の文例を分析します。    調査事務所の調査結果について、自賠責保険窓口会社(名)で文章回答がなされますが、大量処理の為、テンプレート(文章のひな型)を少し改造して作成している様子がわかります。  

段落 本文 解説 結 論

自賠責保険における後遺障害には該当しないものと判断します。 結果は最初に書かれます。

理 由

前 段

頚部が重だるく、左手先までシビレがある。重い物が左手では持てない等の頚椎捻挫後の症状については、 これは主に後遺障害診断書の自覚症状に書かれていることを抜粋しています。また医師の診断内容を抜粋することもあります。

中 段

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では昨日の解答から。Aさんの認定結果の全文を掲載します。

  <結論>

 自賠法施行令別表第二第14級9号に該当するものと判断します。   <理由>

 頚部が重だるく、左手先までシビレがある。重い物が左手では持てない等の頚椎捻挫後の症状については、提出上の頚部画像上、本件事故による骨折等の明らかな外傷性変化は認め難く、その他診断書等からも、症状の裏付けとなる客観的な医学的所見に乏しいことから、他覚的に神経系統の障害が証明されるものとは捉えられません。    しかしながら、治療状況等も勘案すれば、将来においても回復が困難と見込まれる障害と捉えられることから、「局部に神経症状を残すもの」として別表第二第14級9号に該当するものと判断します。    Aさんは14級9号が認められました。赤字の部分は先日の<理由>に続く後段です。画像や診断がはっきりしなくても、「局部に神経症状を残すもの」と推定された結果です。つまり症状を信じてもらえた?ということです。ではもう一つのケースを。  

ある被害者Bさん(40才 男性 会社員)のケース

 この方も同じく停車中、追突を受け、首を痛めました。痛みがひどいのでその日のうちに病院へ。そこで頚椎捻挫、腰椎捻挫の診断を受けました。翌日から職場に出社しています。やはり首の痛み、腰の痛みがひどく、市内の総合病院でXP(レントゲン)を撮っていただきましたが、骨には異常ないそうです。この総合病院へは月に1回通院し、あとは土日も開いている近所の接骨院で治療を進めました。

 ・・・6か月を超過する頃、相手の保険会社は治療費の打切りを執拗に迫ってきました。Aさんに同じく、仕方がないので症状固定とし、腰に比べてよりひどい頚部痛の残存を訴えた後遺障害診断書を医師に記載してもらいました。通院日数は40日を超えた位でした。そして同じように後遺障害等級の申請を行いました。

 待つこと40日、「結果」が文章で届きました。今度は最初から全文を読んでみましょう。   <結論>

自賠責保険における後遺障害には該当しないものと判断します。   続きを読む »

ある被害者Aさん(38才 女性 事務職)のケース

 OLのAさん、停車中に追突を受け、首を痛めました。痛みがひどいので直後に病院へ。そこで、むち打ち「頚椎捻挫」の診断を受けました。

 数日で仕事に復帰したものの、首の痛みや手先のしびれが治まりません。医師もムチ打ち程度と軽く考えています。しかし念のため神経症状が長引くことを心配し、MRIだけは撮っていただきました。しかし目立った病変、異常は画像に出ませんでした。

 その後も依然として症状は良くなりません。少し症状が楽になるので、理学療法(電気治療)だけは継続しました。仕事で毎日の通院はできませんが、土曜日や仕事帰りに近所の整形外科に通うことができたからです。

 ・・・6か月を超過する頃、相手の保険会社は治療費の打切りを執拗に迫ってきました。さすがにムチ打ちで長期間の治療は気が引けます。仕方がないので症状固定とし、痛みとしびれの残存を訴えた後遺障害診断書を医師に記載してもらい、後遺障害等級の申請を行いました。    待つこと40日、「結果」と「理由」が文章で届きました。理由の上段落を読んでみましょう。   <理由>

 頚部が重だるく、左手先までシビレがある。重い物が左手では持てない等の頚椎捻挫後の症状については、提出上の頚部画像上、本件事故による骨折等の明らかな外傷性変化は認め難く、その他診断書等からも、症状の裏付けとなる客観的な医学的所見に乏しいことから、他覚的に神経系統の障害が証明されるものとは捉えられません。・・・・    ここで問題です。さて、この方、14級9号の認定はされたのでしょうか やはり非該当?   (答えは明日) ⇒ 後遺障害認定結果の文例 2  

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 毎回被害者さんに説明しています、「自賠責保険における後遺障害申請の流れ」を復習しましょう。    自賠責保険の契約手続きは通販を除く、任意保険会社と交わします。多くの場合、自動車購入時、車検時に自動的に契約しますので、任意保険ほど「契約した!」感はありません。

 交通事故の被害者が後遺障害を負った場合、相手の自賠責保険にまず等級の申請を行います。

 申請ルートは相手の任意保険会社を介した「事前認定」、被害者側で行う「被害者請求」に大別されます(稀に「加害者請求」、「仮渡金請求」もあります)。この申請書類は自賠責保険の引受会社・担当窓口に送られます。そこで提出書類のチェックを行い、不足・不備がなければ、「損害保険料算出機構」の下部組織である「自賠責損害調査事務所」に送致、そこで審査されます。

 そして結果は窓口である自賠責保険会社に戻り、そこから申請した被害者に通知がなされます。この通知は自賠法 16 条の 4 で「文章回答」が義務付けられています。

 自賠責側から見ますと、以下4段階となります。

 契約事務→保険金請求受付事務→審査は別機関→支払、認定結果通知事務

 自賠責保険は平成14年4月に国土交通省の管理運営を外れ、民営化されました。しかし昔も今も調査・審査業務は調査事務所です。上記の流れの通り、窓口業務を民間=損保会社が行うシステムの整備がなされた事、これが民営化の実質的な内容です。

   明日から実際の「文章回答」を載せます。今日の日誌はそのシリーズのプレリュードのつもりで書きました。被害者はもちろん、この業界の皆さんも興味津々、自賠責保険の回答パターンを特集します。一緒に考察しましょう。

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 週末は恒例となりました六本木会場での相談会でした。連携の弁護士、交通事故チームとも呼吸が合ってきました。どのような状況の被害者であっても、各分野の専門家の参加により、しっかり対応できていると思います。  無料とはいえ、相談者にとって有益な回答を行い、納得して帰っていただくことを目標にしています。なかには即時、行政書士、弁護士が有償対応すべき場面もありますが、アドバイスに留めるケースもあります。それはある程度解決の形が見えてきて、被害者本人で完遂できそうな場合です。もう一つは逆に高望みせず、現実的に進めるべきと判断されるケースです。

 例えば14級が認められた被害者ですが、「12級の可能性はないか?」、このような相談も毎回のようにあります。対して多くの専門家は「12級は難しいから・・・」曖昧な回答を行います。結果、被害者はさらにモヤモヤして帰途に着きます。私たちの場合は、症状と画像、診断内容を見比べ、さらに腱反射など神経症状を実際にテストします。なぜ12級ではなく14級なのか、しっかり検証します。多くの方はこれで納得しています。

 また、ここ数回で目立つのは「なぜに14級がとれず非該当なのか」です。以前も14級9号について独自理論で解説したことがありました。→14級9号を考える

 14級9号とは「画像や検査、診断内容から神経症状が医学的に証明されていないが、治療経過からそれなりに重篤な症状が推測できるもの」に対して認定されます。それはつまり被害者の窮状が信用してもらえたということです。それが認められなかったのは何故か?・・ズバリ、調査事務所に訴えている自覚症状を信用してもらえなかったのです。  14級すら取れず非該当となった相談者に対して、非該当の理由を資料から必死に読み取ります。それでも明確な理由が見当たらない時があります。よくよく聞いてみると受傷から現在に至るまで、その交渉過程や治療過程で信用されなかった「因果」がでてきます。

 基本は自覚症状を裏付ける医師の診断と画像・検査所見です。加えて症状の一貫性、治療経過の自然さも重要な審査項目です。そして明確な審査基準はないと思いますが、背景に浮かぶ被害者の素性や人間性、これらもしっかり審査されていると思って下さい。調査事務所は年間数万件の後遺障害を審査しているのですよ。どんなに後遺障害に精通した弁護士や行政書士が専門家を名乗ろうと、誰よりも後遺障害審査のプロなのです。私はその事実を謙虚に受け止めています。

 ツリーよりタワー派です。  

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 初の横浜相談会、首都圏会議も他士業を巻き込み拡大路線ばく進中です。

 今回印象に残った相談をいくつか箇条書きで。

1、上肢の短縮障害は?

 自賠責保険の認定項目に下肢の短縮障害があります。しかし上肢、腕の短縮については項目がありません。認定上、明らかな障害であれば「相当」という判断をすることがありますが、基準外としてばっさり非該当とする場合もあります。今回の相談者は重篤な骨折、筋損傷の為、可動域制限はもちろん、見た目でもわかる短縮障害となっています。この被害者の障害を立証するために、各士業の連携で総力をあげて取り組みます。

2、なぜに高次脳機能障害が認定されない?

 診断書にしっかり「高次脳機能障害」が書かれているのにまったく無視されています。何故か?  昨年の高次脳機能障害認定基準の改訂で、「疑わしき案件」は調査事務所が医療照会、本人・家族への照会用紙を送ることで「見落とされない」工夫が盛り込まれました。しかしそのような様子もなく、認定結果の理由書でも触れられてません。理由は実に明快でした。提出先はJA(農協)の自賠責共済だったのです。JAでは高次脳機能障害の特別な審査機関がありません。つまり審査担当者が「高次脳機能障害をさっぱりわからない」状態で事務的に判断、処理したものと思われます。  今後、自賠責保険の窓口がJAの場合、気を付けなければなりません。

3、なぜに14級が否定された?

 頚部神経症状、治療実績と一貫性、それなりに条件を満たしているのになぜか非該当の被害者の相談です。私たちもあれこれ非該当の理由を探します。そしてどうやら突き止めたのはMRIの提出がなされていない事でした。骨折等の明確な外傷がない場合で、「局部に神経症状を残すもの」を明らかにするのは軟部組織を描出するMRIが絶対的です。しかしこの被害者さんは「外傷性を明確にする所見がない」との医師のコメントから提出を控えてしまったのです。確かに外傷によるヘルニアや椎間孔の狭窄などは滅多な事では起きません。しかし年齢変性を伴った頚部に、外部からのショックによって神経症状を惹起(じゃっき)する・・・これが外傷性頚部症候群の「引金論」の説明です。  本例は深読みしすぎた失敗例と言えます。

4、何とかして14級を取れないものか・・・

 骨折、腱損傷等、器質的損傷が問われる後遺障害。しかしそれらがないと、いくら痛みが治まらなくても打撲・捻挫の扱いとして後遺障害は否定されます。医学的な常識では捻挫・打撲は一定期間で腫れが引き、「治るもの」なのです。  痛みの残存を訴えるご夫婦の相談者ですが・・・いろいろと知恵を絞って検討しましたが・・・最後には「同乗のワンちゃんはケガしませんでしたか?」と、犬のケガにまで及びました。「ワンちゃんで14級を取れないか」、一瞬真剣に考えてしまいました。  ちなみにペットのケガは法律上、所有物とされ、物損扱いの損害となります。      そして中華街へ・・・

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 続けます。まず14級の内容をおさらいします。

1一眼のまぶたの一部に欠損を残し又は睫毛はげを残すもの、

2 三歯以上に対して歯科補綴を加えたもの、

3 一耳の聴力が 1m 以上の距離では小声を解することが出来ない程度になったもの、

4 上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの、

5 下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの、

6 一手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの、

7 一手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することが出来なくなったもの、

8 一足の第三の足指以下の 1 又は 2 の足指の用を廃したもの、

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 今週はスケジュールがズタズタでした。この日誌を20日に書いています。日誌を欠いた日に遡っています。タイムマシンに乗ったつもりでいきます。

「憲法9条を考える」ではなく「14級9号を考える」と題し、意見展開します。

 今週の等級認定実績は山崎先生が手掛けたPTSD(心的外傷後ストレス症候群)も出色ですが、私の右足挫傷もレアケースと思います。これらは骨折等の損傷を伴わない非器質性障害です。精神的なダメージや打撲捻挫の類は、医学的に「治るもの」とされています。長期化しても後遺障害としては成立しづらく、客観的に障害を示すような画像や検査数値が表れにくいと言えます。いくら自分が「精神的におかしくなった」、「痛みが消えない」と主張しても、信じてもらうことは大変難しいのです。なぜなら多くの被害者はその被害者意識から、被害を強く訴えがちだからです。

 それら客観的な証拠がない場合(画像や検査数値がはっきりしない)でも、訴える症状やその治療経過から「障害がある」と推認、等級が認められることもあります。その最大パターンがむち打ち、頸椎捻挫、外傷性頚部症候群です。多くの場合、追突されて首を痛めるのですが、まず医学的な常識から言えば、捻挫は消炎鎮痛処置を施し、安静にすることで完治します。それは個人差がありますがおよそ3か月以上かかることはありません。保険会社をこれを根拠に治療費の支払いを打ち切ります。

 しかし、単なる捻挫ながら、それが頚部の神経になんらかのきっかけを与え、謎の神経症状が長きにわたり続くことがあります。これを外傷性頚部症候群と曖昧な傷病名で定義しています。具体的な症状は疼痛だけではなく、しびれ、首から上肢・指先にかけての放散痛(首を曲げると指先まで電気が走るようなしびれや痛み)、そしてこれまた医学的に曖昧な表現になりますが、不定愁訴(なんだか調子悪い)、そして自立神経失調症と同じような症状を示すバレリュー症候群となります。

 このような相談者を100人以上経験しています。この方達は「なんで大したケガでもないのにそんなに長く通院しているの?」、「単なる更年期障害じゃないの?」・・・周囲から理解されません。確かに精神的な鬱や更年期障害等、心や体の不調と交通事故が重なりやすいことも事実です。調子悪いときに事故に遭って、それが事故のせいと思い込む、または事故のストレスで余計悪化する・・・。私も多くの場合、内在的な理由かな?と思っています。しかし事故外傷の起因性が大きく、それが強く推察される患者も一定数存在します。これらを医学的な証拠の有無だけで判断すれば、すべて非該当(障害なし)です。後遺障害等級は1~13級までとなります。しかし障害認定において「推察」できる、つまりある程度被害者の訴える症状に耳を傾ける余地を残したのが14級9号ではないかと思います。

 つづく  

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 おはようございます。週末は打ち合わせ、会合等で休みとなりませんでした。休暇が必要なのはわかっていますが、この年度末の3月も月末にかけて研修会、首都圏会議が続きます。前倒しで事務処理が必要です。

 今日はあいにくの天候ですが、なんと外出先なし!これは天啓、一気に事務を片付けようと思います。

 子供のころから雨の月曜は憂鬱で、学校へ行くのが嫌でしたね。なんか体の調子も悪くなってきます。心と体はリンクしているもので、気分次第で体調も上下するものです。なぜ話がこの展開になったかというと・・・先日拝見した被害者の診断書にこのNGワードがあったからです。  

<診断名>    頚部捻挫

<自覚症状>   頚部から肩にかけて痛み 寒くなると痛みが増す  雨の日は肩が上がらない 

   この下線部は後遺障害を否定するものです。神経症状の後遺障害とは「事故後一定の治療を続けたが、痛みやしびれなどの症状が常時残ってしまった」状態をさします。暑さ寒さや天候で左右することもないとは言えませんが、一般的にこれは慢性痛、リウマチ、神経痛の症状です。この場合、五十肩、頚肩腕症などの既往症を匂わすものです。

 これでは自ら外傷による神経症状の残存を否定をしているようなものです。

 後遺障害の評価の基本は・・・

自覚症状:「痛い」    + 他覚症状:医師の診断   +  医学的証明:「画像所見、検査結果」  この3つが一致していなければならないのです。医師の診断や画像、検査が絶対であっても自覚症状もしっかりとした表現をする必要があります。                                 もっとも今回の診断書の被害者は事故前から神経痛があったようで、事故との直接因果関係が乏しいことは明白です。実通院日数も整骨院の通院が中心で、後遺障害等級の対象とは言えません。通院慰謝料のみで解決するようアドバイスを行いまいした。

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 最近の出来事から。

 むち打ちでなかなか症状が回復しない被害者Xさん。真面目に病院通い、リハビリをしていますが、痛みやしびれがなかなか改善しません。星状神経ブロックもこころみました。画像上や神経学的な所見も決して重篤な状況ではありません。主治医もいい加減、心因性を疑っています。保険会社担当者もそろそろ本気モードで打ち切りを迫ってきました。

 さて、この状況で私がとった対応。

 「さっさと事故を終わらせましょう」 です。

 真面目に半年治療を行っても改善しないわけですから、同じ治療を続けても急激によくなるわけはありません。Xさんも長いこと仕事から離れて、社会からの隔絶により精神的に自虐的になってきています。献身的な看護を続ける家族にも不穏な空気が流れてきます。

 これらを打破するには、思い切って医師の治療を減らしていき、自己回復努力にシフトすることです。

 事故前に好きだった趣味を積極的に行う、気分転換に旅行する、とくに温泉がお勧めです。自分で軽い運動、ストレッチ等を行い体力改善に努める。体力の向上が治癒向上の基本です。

       

 「治してもらう」 から 「自ら治す」 への転換が必要です。

 そして症状固定、示談し、一時金をもらい、保険会社ともさっさと縁を切ることです。

 いつまでも事故から頭が離れず、保険担当者とストレスのある交渉が続く・・・これでは症状も良くなりません。     ちょっと乱暴な体育会的な理屈ですが、以下のように進めます。

1、 さっさと症状固定させて、治療に目途をつけさせます。

  保険会社担当者は大喜びで私に感謝しきりです。(私の仕事は保険会社も大助かりなのです)

 また、病院側も打ち切り攻勢の保険会社と患者の板挟みにうんざりしていたので、おなじく歓迎。

2、 後遺障害14級を取って、弁護士による交渉、そして一時金をもらって解決。

  保険会社担当者は少し苦い顔ですが、案件終了にはなります。保険会社では長く案件を抱えることを最も「悪」としています。

3、 病院のリハビリは健康保険(自費)となります。 そして徐々に回数を減らしていきます。

  毎日病院通いでは気が滅入ります。   4、趣味で気分転換

  好きな山歩きを再開したら、嘘のように症状が改善した方がいます。また旅行、とくに温泉などもお勧めです。

5、 仕事に復帰

  ...

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続きます・・  

■ 治療

 1995年に雑誌『Spine』に発表された、ある論文があります。ケベックむち打ち症関連障害特別調査団の治療に関する知見、という長い題名の論文ですが、この論文が頚椎捻挫の治療に与えた影響は大きいと思います。

 この論文によれば、

(1) ほとんどの頚椎捻挫は自然経過が良好で、かつ現在行われている治療法のほとんどは、その有効性が科学的に評価されていない。

(2) 頚椎捻挫受傷後安静を保つ意味はなく、頚椎カラーは有用でない。頚椎を固定するような治療を長期間行うことは症状を長引かせ労働不能な状態を長期間持続させる。

 この論文以降多くの研究論文が発表され、やはり受傷後早期から活動性を維持することが有用である可能性が高いとされています。今でも漫画やドラマなどでは交通事故の患者が頚椎カラーをまいている描写をたまに見かけるかもしれませんが、現実にはそのような治療が行われることはほとんどありません。   固定をするよりも、動くこと。仕事や日常生活を制限するのではなく、出来ることは積極的に行っていくことが、早期回復、早期社会復帰には重要といえます。

← 安静がダメ?   ■ 予後

 交通事故における頚椎捻挫では、長期間症状が持続し仕事や日常生活に復帰できない人達が一定数存在するという問題があります。そして、そのような人達の多くは追突などをされた被害者というのが自分の印象ですが、いかがでしょうか。自損事故などはほとんど見かけません。画像検査で器質的異常を認めないにもかかわらず遷延化する交通事故被害者の疼痛、社会復帰不能期間の長期化の影には組織の損傷といった生物学的要因だけではなく、心理社会的因子が密接に関わっている可能性があります。

 リトアニアやギリシャでは追突事故被害者に対する補償が行われていないそうですが、それらの国で行われた研究によれば、交通事故が原因で生じた症状は全て回復し、症状が長期化した例は一例もなかったと結論づけられています。

 長期化する痛みの原因のすべてを補償問題などの疾病利得や、加害者への他罰的意識に結びつけるつもりはありませんが、治療時には考慮しておかなければいけない問題だと思います。  

<私的感想>

 否定論であっても、専門医の研究結果や数的データは拝聴に値します。客観的な考察も立証の現場では大いに役に立つものです。  しかし否定論文がすべての臨床、つまり現場で実際に起きていることを否定するほどの説得力はありません。外傷性頚部症候群の患者は、外傷的な衝撃を契機として、痛みやこりのみならず、今まで経験したことのないような手指のしびれ、めまい・吐き気・不眠の自律神経失調症状を起こします。これらは必ずしも器質的変化を伴ったものではなく、画像所見が乏しいものが圧倒的です。実際に画像上の変性がなくとも、神経検査等で数値化する作業を現場の医師は行っています。その医師も常に確定的な診断結果を導くことに苦労しています。つまり神経症状の客観化は常態的な問題なのです。  今後、研究も肯定・否定とブレながら進んでいくと思います。結論を急ぐ必要はないと思います。

 理論や研究結果が前提であっても、現場の事実とは必ず一致しないことは多いものです。医療の世界はまさにこれが当てはまるのではないでしょうか。

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 交通事故外傷で最大の勢力は「ムチウチ」の俗称でおなじみの「外傷性頚部症候群」です。

 外傷性について因果関係の争いが絶えない症状です。被害者は追突されても側突されても、それが軽い接触でもとりあえず「くび(頚部)を痛めた」と訴えます。詐病?心身症?の疑いのある相談者も存在しますが、事故を契機に神経症状に悩まされる患者が後を絶ちません。

 私達は被害者の利益追求のみで働く商売人ではありません。法律家を名乗る以上、倫理感を持って業務にあたっています。具体的には面談時、被害者の病態の見極めを最重要と考えています。それは被害者の訴えている症状を客観的に観察することです。「本当に訴える症状と診断名が一致しているのか?画像や検査の所見で説明できるのか?」・・・医師ではない私達にとって限界がありますが、細心の注意をはらっています。

 話が長くなりました・・・保険会社は頚椎捻挫・頚部症について、事故の外傷であることに否定的な論文を根拠とし、保険支払いに消極的です。しかし事故外傷を立証する立場の私達も、それら否定的な論文のチェックを怠りません。全否定vs全肯定の単純な図式とは思っていないからです。  否定的論文で比較的新しいものがありますので、掲載します。         【頚椎捻挫 最新の医学的知見】   整形外科医 北村 大也 先生

■ 病態

 頚椎捻挫の主な病態は筋や筋膜、靭帯、椎間板、関節包などの頚椎支持軟部組織の損傷で骨折は伴いません。症状としては頚部痛と可動域制限以外にも頭痛、めまい、視力低下、しびれ、上肢痛など多彩な症状を示すこともあります。しかし、その多くは原因としての器質的異常を見つけることが出来ません。

■ 検査

 器質的な異常が存在しないかどうかを調べることは大事です。主に用いられる検査はレントゲンとMRIです。

〇 レントゲン

 レントゲンでは骨傷がなければ頚椎捻挫の診断になります。しかしそれ以外にも、加齢による骨棘の形成や靭帯の骨化、側面像での湾曲の異常がみられることが多くあります。一般的には前弯消失(ストレートネック)や局所的な後弯変形は軟部組織損傷による一過性のものと考えられていますが、事実は違うようです。慶応大学の松本先生らは、健常者と頚椎捻挫患者のレントゲンを比較して、両者とも湾曲異常は同程度にみられたと報告しています。

〇 MRI

 MRI検査は骨以外の軟部組織の描出に非常に有用な検査です。麻痺や知覚鈍麻などがあり、神経症状を疑う場合には必須の検査になります。しかし頚椎捻挫の主病変と思われる軟部組織損傷を描出することはほとんど出来ません。また、レントゲンと同様に加齢による変化も多くみられます。椎間板変性や後方への突出、それらに伴う脊髄の圧迫などです。慶応大学の松本先生らは健常者と急性期頚椎捻挫患者(それぞれ約500名)のMRIを撮影し比較した結果を報告しています。それによると、MRIで前出の異常を認める頻度は両群とも変わりなく、患者の自覚症状とMRIの異常所見に関連性はありませんでした。また10年後の所見も両群で変わりはありませんでした。

 ・・・明日に続きます。

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  頚椎や腰椎のヘルニアの切除や脊柱管狭窄症の改善のため、前方固定術、後方固定術の手術名が頻繁に登場します。毎度医学書を参考にしていますので漠然とした知識です。しかし実際に執刀している医師からご教示頂くとイメージが変わってきます。おかげで文献ばかりの「頭でっかち」になることを防げます。  

■頚椎の前方固定術       腸骨とは骨盤の腰の部分です。

■腰椎の固定術いろいろ  ・・・主に後方からの固定術となります。

前方と後方・・・簡単ではありません。以下、正確な理解が必要です。

★脊椎手術における前方と後方

 脊椎手術における前方と後方には、手術展開としての前方(腹側からの手術)と後方(背側からの手術)の意味と、除圧あるいは固定を行う部位としての前方(椎体や椎間板)と後方(椎弓、黄色靭帯、椎間関節など)の意味があります。  たとえば後方経路椎体間固定術という術式では、背中側から手術を行い、後方要素である椎弓を切除して硬膜管を展開し、これを避けながら前方要素である椎体間に骨移植などを行って固定します。  つまり後方術で前方固定というわけです。

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 市町村や公的機関の無料相談、弁護士・行政書士の法律相談・・・交通事故相談はたくさん存在します。しかしそれらに足を運んだが、「悩みが解消した」「方針が定まった」「道が開けた」に至らず、あっちこっちまわっている被害者さんを見かけます。それは解決に向けての全体的な流れ(どの時期に何をするか?)や具体的な作業(どの病院で検査をするか?どの弁護士、行政書士が精通しているか?)に踏み込んでいないからです。  交通事故解決の道は、解決までの方針を固める事、具体的な機関に誘致できること、各分野の専門家を熟知していること、です。それらの施策は早ければ早いほど良いのは言うまでもありません。

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