頭部外傷のシリーズにて、てんかんを集中的に取り下げています。脳を原因とするてんかんは「症候性てんかん」の診断名がつきます。交通事故による外的な破壊=高エネルギー外傷からも多くみられます。    最後にまとめ・総論と後遺障害について。 <総論は医療情報のトップサイト、メディカルノート様から引用しました>   (1) 概要

 症候性てんかんとは、腫瘍しゅようや脳出血、脳梗塞などの脳疾患が原因となり生じるてんかんのことを指します。てんかんは、脳の慢性的な病気のひとつであり、脳の神経細胞に異常な電気的興奮が起こることで、けいれんなどのさまざまな発作を繰り返す病気です。

 症候性てんかんは後天的に発症するものが多く、すべての年齢層で生じる可能性があります。特に、近年では高齢者の症候性てんかんが多くなっており、発作時の転倒による骨折などが問題となっています。   (2)原因

 症候性てんかんは、脳の異常によって生じます。小児の場合には、先天性の脳奇形や出産時の低酸素脳症、脳内出血などの障害が原因になり、成人の場合には、脳梗塞や脳内出血、くも膜下出血などの脳血管障害、腫瘍しゅようなどの脳の器質的な病気が原因となります。小児から高齢者まで共通する原因としては、頭部外傷や髄膜炎、脳炎などの感染症が挙げられます。

 これらが原因となって脳に障害が加わると、神経細胞が異常興奮を生じることがあります。その結果、けいれんなどてんかん特有の発作が引き起こされます。    (3)症状

 てんかんには、大脳半球の一部のみに電気的興奮が限局している部分てんかんと、両方の大脳半球に電気的興奮が生じている全般てんかんがあります。症候性てんかんは、部分てんかんがほとんどです。

 脳の異常がある部分によって、生じるてんかんも異なります。それぞれ側頭葉てんかん、前頭葉てんかん、頭頂葉てんかん、後頭葉てんかんと呼びます。側頭葉てんかんと前頭葉てんかんが多いとされています。

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 本日の病院同行は、朝・夕のダブルヘッダー、一日に2院は久々です。埼玉と神奈川で、それ程遠方ではなく、難なくこなしました。東京の中心に事務所を置いたメリットを活かしています。

 とくに午後の整形外科は、今まで私が同行した数百軒に及ぶ整形外科の中でも高評価でした。まず、交通事故治療に慣れていらっしゃるよう、患者へ治療はもちろん、的確な対応をしてきたようです。そして、症状固定の診察でも、神経学的所見をしっかりとって、的確に診断書に落とし込んでいます。

 一方、多くの医師は、自賠責の後遺障害の認定基準が知らされていないことから、独自の診断になりがちです。それは、臨床上の判断ですから間違いではありませんが、賠償上の見地とは微妙にズレます。つまり、必要な所見が漏れる、無駄な記述、的外れな観察などです。そして、スカスカな記載はまだましな方で、余計なことを延々と書き込む傾向です。

 何故、私共が病院同行を行い、診断書の記載に立ち会い、医師と折衝するのか・・・それは、不正確、不完全、不明瞭な診断書を排する努力の一環なのです。的確な診断書こそ、審査側が欲する情報と思います。無駄なく正確が一番、そこに、誇張や患者が有利になる誘導などの余地はありません。

 診断書は交通事故被害者の運命を左右する、最初の証明書なのです。だからこそ、積極的に介入する必要があるのです。それを保険会社任せにすれば、右から左へ、何ら内容を精査することなく、事務的に審査に回されます。これが、後に再請求(実態より低い等級が認定されて、異議申立)が必要となる理由の一位です。

 また、弁護士や業者に任せても、その経験や力量の差がもろに出ます。知識や経験が乏しければ、何級を想定して、どの検査を追加し、どのような記載が望まれるか、これらが分からないと思います。多くは書かれてから内容を精査しているようですが、一旦書かれた内容を医師に修正させることはかなりの難行です。できれば、書かれる前に手を打つべきです。しかし、病院同行・医師面談は簡単ではありません。知識と実践の積み重ねにより身に付ける特殊技術です。そのような技術の研鑽が、つい数年前から交通事故に取り掛かった弁護士・行政書士にあるか疑問です。    業者選びの問題はさて置き、まずは、医師の交通事故外傷への理解と知見が問われます。今回の医師は★★★でした。実は、秋葉事務所では、首都圏を中心に全国の個人開業医・整形外科、数千軒の情報・評価リストを、12年以上記録し続けています。このデータは、新たな被害者さんの病院選びに大きく寄与しています。これこそ、他者に抜きんでる実力と自負しています。

   

 

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家の祖母は悪口だけよく聞こえるようです    日常生活において「この人は、自分に都合のいい部分だけ切り取って話を聞いているな。」と思ったことはありませんか?これは、その方の性格によるところもありますが、実は「脳」が関係しているかもしれません。    例えば、人が大勢集まる場所で、「自分自身の話をしているグループの会話が聞こえる」、「気になる人の話だけはしっかり聞こえる」なんてことはありませんか?これは、心理学でいう「カクテルパーティー効果」と言われるものです。このカクテルパーティー効果とは、1953年にイギリスの認知心理学者 エドワード・コリン・チェリーが提唱し、音声の選択的聴取や選択的注意とも呼ばれています。コリン・チェリーは以下の実験にて、このカクテルパーティー効果を発見したようです。 続きを読む »

圧迫骨折に対する術式?    交通事故外傷ではあまり馴染みがありませんが、骨粗しょう症の方や高齢者が転倒などの原因によって脊椎を圧迫骨折することがよくあります。骨粗しょう症患者は一千万人前後いると言われており、特に70歳以上の女性に多い病気です。交通事故外傷の圧迫骨折では保存療法が一般的であり、高い確率で11級7号か12級13号が認定されるでしょうが、今回は高齢者や骨粗しょう症患者が圧迫骨折をした場合に、どのような処置が施されるのか記載してみます。  高齢者や骨粗しょう症患者は、圧迫骨折によって寝たきりの状態につながる危険性があるため、保存療法ではなく経皮的椎体形成術と呼ばれる手術を行うことが多いようです。経皮的椎体形成術はPVP若しくはVPとBKPに分類されます。どちらも同じような手術ではありますが、違いが少しあります。   ○ PVPとは、Percutaneous(経皮的) Vertebro(これはエスペランサ語らしく、英語ではVertebralとなり脊椎のという意味)Plasty(形成する)の略で、圧迫された椎体内に医療用のセメントを注入することによって、瞬時に補強固定し、かつ痛みをとるため、その後の椎体圧迫の進行を抑える治療です。   ○ BKPとは、Balloon(風船) Kypho(後弯) Plasty(形成する)の略で、先程説明したPVPとほとんど同じですが、セメントを注入する前に造影剤入りのバルーンカテーテルを差し込み、膨らませ、椎体を元の形に戻します。(このとき、15分ほど放置するようです。)元の形に戻った椎体内には空洞ができますので、その空洞にセメントを注入し、補強固定します。    どちらも健康保険適用ですが、病院によっては自由診療となる場合がありますので、注意が必要です。尚、PVPは局所麻酔ですが、BKPは全身麻酔でレントゲン透視をしながら行いますので、PVPよりも時間がかかります。しかしながら、バルーンを使った方が入血栓のリスクが軽減され、より安全性も高いようです。BKPはより訓練を積んだ医師しか行うことができないため、限られた病院でしか実施できないみたいです。    先日、同居している祖母が転倒し、圧迫骨折の診断で即入院、GW中に上記手術を行うことになりましたため、この記事を書かせていただきました。この処置が交通事故被害者にも実施することになれば、11級7号の認定が激減することになるでしょうね。   続きを読む »

 交通事故治療を複雑にすることは、加害者となる第3者が治療費を負担することにつきます。つまり、賠償問題が絡むので、医師は診断書の記載に一定の注意、緊張感を持つことになります。例えば、患者が訴える症状は事故外傷によるものか? 直接因果関係が無ければ、相手方に補償する義務はありません。すると、医師は事故とケガに関係があるかないか、その判断を迫られる立場なのです。

 一つの例として、事故にあった後、肩関節の痛みや可動域制限を訴える患者です。肩腱板損傷となれば、その損傷は事故のダメージによるものか、経年性の劣化(年齢変性)による症状なのかが問われます。年齢が40~50代ともなれば、多くの中高年は普通に五十肩で痛めています。この場合、原因は経年性、いわば病気に近いもので、事故外傷から離れます。それをうかつに「事故のせい」と診断すれば、治療費を負担する加害者側、多くは保険会社に恨まれます。少なくとも賠償問題は治療費等をめぐって激化、長期化することでしょう。したがって、診断書の記載は慎重にならざるを得ないのです。    しかし、事故と因果関係があるのであれば、「ある」と主張するのが被害者側に立つ私達の立場です。まったく関係のない訴えに沿うことはできませんが、医師の見解を求めることが出発点です。なかなか診断書を書いてくれない医師に対して日々、悪戦苦闘となるのです。     書かぬなら、    書かせてみようホトトギス(秀吉)    書くまで待とうホトトギス(家康)    殺してしまえホトトギス (信長)

      私達の取る方法として多くを占めるのは、やはり「秀吉」型の工夫です。診断書記載までの段取りや事情を整理して臨みます。因果関係の資料を提示、医師が安心して判断頂けるよう準備をします。

 場合によっては、時間をかけた「家康」作戦もあります。これは、一回断られようと事情の変化に伴って、再び記載依頼をするものです。中には3か月後に再チャレンジすると、一度記載を断ったことをすっかり忘れて了解した医師がおりました。まるで記載の判断はその日の気分ですね。そして、殺すことはありませんが、「信長」型の強硬手段をとることもあります。数年に1回程度のレアケースですが、この例はここで話すことはできません。    明日の作戦はオーソドックスな「秀吉」型です。初見の先生ですが、これまでの資料を踏まえ、理路整然と事情と経緯を説明すれば、きっとご理解下さると思います。変な先生は10人に1人位、たいてい話せばわかるのです。    

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 スポーツ外来とは、運動中に起こった捻挫や肉離れなど、主に筋肉系のトラブルを対象とした整形外科の専門外来の通称です。患部の診断・治療のみならず、スポーツ復帰までのリハビリテーションや再発防止にも取り組んでいます。中にはプロスポーツチームに帯同するチームドクターも担います。

 スポーツでの3大故障部位は肩・肘・膝です。   肩:腱板損傷、反復性肩関節脱臼・亜脱臼、投球障害肩、SLAP損傷

肘:野球肘、テニス肘、離断性骨軟骨炎、関節ねずみ

膝:靭帯損傷、半月板損傷

   スポーツ中に受傷する外傷(脱臼、捻挫、骨折、靭帯損傷など)はもちろん、肘や肩など関節の繰り返し動作で生じる障害(野球肩・肘、テニス肘など)、これらを専門に診るドクターです。更に肩や膝などパーツに特化した専門医もおり、最近はこれらパーツごとの専門外来も増えたと思います。いずれも、交通事故外傷に通じるもので、大変頼りになります。  

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 被害者さんに代わり、診断書や画像を代理取得することは日常業務の一つです。病院によっては、同意書を提出しても「患者本人じゃなきゃダメです」と受け付けない病院もあります。また、「郵便はダメです。窓口申請で」との対応もあります。何かと、苦労する医証の代理取得ですが、10年前に比べると病院側が柔軟になった印象です。    そもそも、病院側のルールは絶対です。法律や理屈をこねてもダメなものはダメとはねつけられます。請求する患者及び、私共のような業者は従うしかありません。恐らく、交通事故などもめ事に関与したくない病院側の警戒も加算していると思います。それが月日と共に軟化しています。理由は、数が増えたことに尽きると思います。昔に比べ、賠償意識の向上とネット情報の増大が、交通事故賠償で泣き寝入りをする人を減らしています。積極的に診断書等を収集する被害者が増えたはずです。また、関連する業者も10年前に比べ、数倍の数になったと思います。結果、病院側が慣れてきたのだと思います。

 また、ここ数年はコロナ禍により、病院窓口への接触機会を減らすこと=大義名分が加わりました。「コロナ禍ですので・・」との言い訳は各所に有効です。    とかく、病院に対して患者側は平身低頭、弱い立場です。診断書はじめ、医証の収集は治療とは別の問題として、患者側の負担になっています。病院側の理解がより深まり、より融通が利くようになって欲しいものです。   

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 ドクターショッピングとセカンドオピニオン、それぞれの意味ですが、以下の通りです。医療用語ですが、大分一般的になってきたと思います。    さて、交通事故受傷に限らず、複数の病院に足を運ぶ患者さんが一定数おります。改めて、両者の違いを整理したいと思います。   (1)セカンドオピニオンとは?    セカンドオピニオンとは、自分の病状や治療方針について、主治医以外の他の医師の意見を求めることです。

 患者さんが他院の医師の意見を求める場合、まず、主治医に相談し、紹介状と共にそこでの診療データの提供をお願いすることが基本的な流れです。

 ひと昔前は、「俺の診察が気に入らないのか(怒)」とへそを曲げる医師もおりましたが、現在はより良い医療を検討、あるいは別の医師の見解を活かすことから、ほとんどの医師が理解を示しています。   (2)ドクターショッピングとは?    一つ目の病院の診察に満足がいかず、二つ目の病院へ行ったけれど納得せず、さらに別の病院へ行く、このような病院巡礼を繰り返すことを言います。

 患者の「もっとよい治療法があるはず」との気持ちはわかりますが、多くは根拠の乏しい単なる思い込みのもと、理想の治療や見解を示す医者を探し求めています。経験上、精神的に弱っている患者さんに多いようです。

  (3)ドクターショッピングとセカンドオピニオンの違い    ドクターショッピングをする患者さんにしてみれば、「自分が納得する治療を受けるために意見を求めるのだから、セカンドオピニオンもドクターショッピングも同じでしょう?」と思います。

 しかし、両者は似て非なるものです。その違いとは、まず、セカンドオピニオンは主治医の「第一の意見」に、別の視点を追加・検討し、患者さんにとって最善の治療法を選択するためのものです。これに対してドクターショッピングは、患者さん自身の勝手な期待から、「理想の治療法を勧める病院・医師を探す」ことに終始します。

 また、セカンドオピニオンでは医師間で診療情報をやり取りし、そのうえで「第二の意見」を聞いて、改めて主治医と患者さんで治療方針を話し合います。対して、ドクターショッピングではこのようなやり取りをすっ飛ばして、勝手に別院に受診することが多いようです。最終的にバラバラに医療情報が集まるだけで、主治医の統括が及びません。結局、自分にとって最善の治療がわからず、医師からも「面倒な患者」扱い・・このような窮地に陥るのです。

「知らんわい」

 

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 膝関節はじめ、各関節の痛みの軽減によく目にする治療法です。スポーツ選手の治療法としても有名です。少し調べてみました。   (1)PRP療法(自己多血小板血漿 注入療法)とは? その効果は?

 ご自身の血液中に含まれる血小板を利用した再生医療です。血小板の成分だけを高い濃度で抽出し、患部に注射します。

 スポーツ外来では肘や膝、靭帯損傷・骨折などの治癒を高める目的で行われます。従来の治療法として、テニス肘、ゴルフ肘、ジャンパー膝などの膝の膝蓋腱炎、アキレス腱炎には、ステロイド剤を注射していました。また、変形性関節症の方に対する薬物療法としては、痛み止めの内服やヒアルロン酸の注射などを行ってきました。総じて、靭帯損傷や骨折では、固定して時間を待つしかありませんでしたが、この療法で積極的に改善を図ることができるようになりました。    この療法が痛みを軽減させる理屈を説明します。血液中の血小板には組織修復=自然治癒力を促進する様々な成長因子、サイトカインなどの分子が多く含まれており、これらの分子が周囲の細胞に働きかけ、損傷した組織の修復が促進され、「早期治癒」や「痛みを軽減」させるのです。   (2)膝の痛みに対するPRP治療

 ひざの変形・痛みは、PRP療法との相性が良いと言われています。例えば、膝関節の変形で悩んでいる方は変形の進行に伴い、軟骨がすり減ったり、半月板が傷んだり、炎症が起きてひざに水がたまったりします。PRPはこうした組織の修復を促したり、関節の炎症を抑制を図ります。

 しかし、血小板自体は軟骨や半月板にはならない細胞のため、完全に軟骨が無くなってしまった部分にPRPが軟骨を作ることは不可能です(それは、iPS細胞による再生医療の分野に期待がかかっています)。完全に軟骨が削れて、骨どうしがぶつかり合い骨も削れてしまいO脚が進行、変形性膝関節症になりますが、PRPではそれを進行を抑制する効果を期待しているのです。

 薬物に頼った既存の治療が無効であった方の中にも、PRPを関節に注射することにより痛みが取れる方がいることが分かりました。また、PRPは自分の血液ですので、薬物のように副作用を起こすことは滅多にないというのも、この治療が欧米でも広く支持されている理由の一つです。    <順天堂医院さま、Dr.KAKUKOスポーツクリニックさまHPを参照しました>  

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 最近、とある依頼者さまの検査でサーモグラフィーを実施することになりました。お馴染みの赤~緑色に温度変化を観る画像検査です。最近では、コロナ対策として病院の入り口に体温を計るカメラがありますが、これはサーモグラフィーの応用で、スポット放射温度計と呼んでいます。

 サーモグラフィーは様々な症例に使われますが、多くは抹消神経障害や血流障害を観察するものです。どこの病院でも設備があるものではありません。来週あたりに紹介状を得て、患者さんに撮ってもらおうと思います。   (1)サーモグラフィーとは

 簡単に言いますと、赤外線(放射線)温度カメラを用いて皮膚表面の温度分布を測定し、画像表示したものです。この検査は末梢の循環障害検査などに用いられています。   (2)標準値(温度)は?

① 手指:31.1〜33.7℃ 手背:31.8〜34.2℃

② 大腿:32.6〜35.4℃ 下腿:32.6〜35.8℃ 

③ 足首:32.0〜35.4℃ 足背:32.0〜34.6℃    通常、皮下脂肪の多い部分の温度は低く、皮下脂肪の薄い筋肉質の部分では温度が高くなります。また、手指、足趾先端は、血管運動が他の部分に比べて高度であるため、温度変化が大きく、左右差が出やすくなります。四肢の場合、左右対称で、左右差が0.6℃以下が正常とされています。

< 参照:『新訂版 検査値早わかりガイド 第2版』 (編著)江口正信 >      この検査機器、大学病院にしかないと思いきや、意外と個人開業医でもできたりします。かつて、むち打ち患者で上肢~手指に神経症状が残った患者さんのエビデンス(医学的な証拠)として、熱心に検査をして頂いたお医者さんがおりました。面白いので自賠責の後遺障害申請に検査画像を提出しました。

 結果は・・当然に14級9号止まり。やはり、自賠責では検査結果として重きを成していないようです。  

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 今朝のニュースでご存じと思いますが、埼玉の猟銃立て籠もり殺人事件、今回は在宅訪問医が犠牲となりました。先月は大阪の精神科クリニックの放火殺人事件が記憶に新しいところです。それぞれの加害者は、患者あるいは患者の家族です。事後の報道から、両先生は地域で評判の良いお医者さんであり、多くの患者さんに信頼されているそうです。人格者とさえ思います。なぜ、医師の受難が起きるのでしょうか。    私共も交通事故被害者さんの対応が仕事ですが、業務の一つ一つはもちろん、精神面でも丁寧なケアが必要です。それが治療を担う医師ともなれば、責任及びそのプレッシャーは数倍にもなるかと思います。患者さんの中には身体以上に、心を病んでいる人もいるでしょう。少ないとは思いますが、サイコパスのレベルに及ぶ人も含まれているはずです。患者に親身になることで、誤解に基づく恨みや、理不尽なマイナス感情を持たれる可能性があります。人と密接になる仕事ほど、対人リスクが存在すると痛感します。

 かつて、犯罪心理の本で読んだ一節を思い出しました。「人間は持ち上げて落とされることに一番恨みを感じる」そうです。これは、一度手を差しのべて、後に手を離すことです。実例では、最初は親身に話を聞いてあげて、助けてくれる期待値を上げますが、最後になって「これ以上、面倒見れません」と見放すことです。普通に考えれば、期待を上げた側の勝手な思い込みでしかありません。しかし、相手を慮ることや論理的な解釈にならず、恨みにまで発展してしまうのです。これは、診療内科医にとって日常のことだと思います。この点、アメリカでは心療内科医がもっとも危険な医療者だと言われているそうです。

 私も、交通事故被害者をそれこそ1000人近く面談してきました。被害者さんは大なり小なり、身体のケガから精神的ダメージに発展するものです。その中でも、明らかにサイコ的に危険レベルの方もいたと記憶しています。私達でさえ、気を付けて対応しています。患者さんに対して、良い医師ほど面倒見がよく、精神的に濃厚な関係になります。今回の2つの事件でも、きっと懸命に患者さんとその家族にあたってきた先生なのでしょう。とくに在宅医療を志す医師は少ないと聞いています。被害にあった先生は2市1町、およそ300人の患者を担当していたそうです。その地域にとっての損失は計り知れないものがあります。    この機に訪問医療について整理しました。<以下、ホメディさまHPから引用>   ○ 訪問診療と往診の違い

 医療は受ける場所によって、以下の三つに分かれます。

① 外来医療(外来診療):病院や診療所の外来に通って受ける

② 入院医療:入院して受ける

③ 在宅医療:患者さんの自宅などで受ける

 在宅医療のなかで医師が患者さんの自宅などに出向いて行う診療が「往診」や「訪問診療」です。

 医師が、診療上必要があると判断したとき、予定外に患者さんの自宅などに赴いて行なう診療が「往診」です。これに対して、在宅医療を行なう患者さんで、疾病や傷病のため通院が困難な方に対し、医師が、あらかじめ診療の計画を立て、患者さんの同意を得て定期的に(たとえば1週間に1回あるいは2週間に1回など)患者さんの自宅などに赴いて行なう診療が「訪問診療」です。

 在宅医療は、医療関係者が、患者さんやご家族と相談の上、計画にもとづいて定期的に訪問し、治療や経過観察をする医療行為で、24時間体制で対応しています。在宅医療には、医師が訪問して診察や経過観察を行う訪問診療、看護師が訪問してケアを行う訪問看護、理学療法士や作業療法士が行う訪問リハビリテーションなどが含まれます。

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 あるランキングによると、辻堂は住みやすい街でNO.1だそうです。駅前のショッピングアーケードの灯りがキラキラ、整然と計画された街です。      冷たい風の吹く中、辿り着いた整形外科は明るく、看護師さん・理学療法士さん達がきびきび動いています。受付の事務員さんもにこやか、すると当然のように院長先生も優しく丁寧・・良い病院は一貫しているのです。

 逆に、院長先生が高圧的、かつ院内のヒエラルキーが他人が見てもはっきりしている院は、すべての職員が仏頂面で冷たく、笑顔はありません。ホスピタルでありながら、まったくホスピタリティを感じません。院長先生の姿勢が院の雰囲気を作るようです。    本日は予約時間通りに待ち時間もなく、説明も的確に短く、速やかに診断書を依頼、流れるように後遺症診断を終えました。このような院に当たると、帰路の足も軽くなります。

 コロナ下、昨年~今年の病院同行数は少ないものでした。来年こそは、従来のフットワークを発揮した立証活動に戻りたいものです。

 

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 興味深い記事があったので、記載したいと思います。因みに待機的手術とは、外科的機器やメスなどを用いて、計画的に患部を切開して治療的処置を行うことを指すようです。要するに緊急手術のような場合を除いた、手術する前に十分検証、説明をした上で行う手術ということですね。    多くの一般的な待機的整形外科手術は保存治療と比較して、全体/サブグループにおいて有効と思われるが、より効果的であることを示す強力で質の高いエビデンスはないという。英国・National Institute for Health Research Bristol Biomedical Research CentreのAshley W.

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TUGテストとは、Timed Up & Go Test の略です。    最近、水頭症の専門医と面談の機会があり、医師から教わった事を基に、日本運動器科学会さまのHPから引用、記事にまとめました。今後も高齢者のご相談・ご依頼者さまの介護や障害の評価として、度々目にするはずです。      Timed Up & Go Test(TUG)は開眼片脚起立時間とともに運動器不安定症(MADS)の指標となっています。 続きを読む »

日誌、連投します1    12月22日、政府が2022年度の診療報酬改定について全体で0.94%マイナスとすることを決めたようです。その中で「リフィル処方箋の導入」というワードがありましたので、調べてみることにしました。

 リフィル処方箋とは、一定期間内であれば反復使用できる処方箋のことを指し、薬が必要なときに調剤薬局でリフィル処方箋を提出すれば、医師の診察を受けることなく薬をもらうことができるようです。既にアメリカやイギリス、フランス、オーストラリアでは既に導入されている制度のようですね。

 日医工によると、ずいぶんと前からこのリフィル処方箋については議題にあがっているらしく、2010年に「チーム医療の推進について」の中でリフィル処方箋が提案されたとの記載もありました。普段あまり病院に行かない私としてはメリットしかないように思いますが、日医工は導入によるメリットとデメリットを各目線で解説していましたので、その表を載せてみます。   続きを読む »

最近経験した知覚検査について

 この検査は、皮膚の感覚を検査し、末梢神経疾患、熱傷、術前・術後の神経診断や回復時のリハビリに使用されることが多いようです。全部で20本あり、下の品番から「1.65、2.36、2.44、2.83、3.22、3.61、3.84、4.08、4.17、4.31、4.56、4.74、4.93、5.07、5.18、5.46、5.88、6.10、6.45、6.65」とあり、1.65が一番直径の短いものです。

 検査方法としては、まず患者に目を閉じてもらいます。その後、2.83番のモノフィラメントを使い、どこを刺したか当ててもらいます。このとき、皮膚から2センチ程度離したところから1.5秒かけてフィラメントを垂直に下ろします。フィラメントがたゆむまで力を加え、再度1.5秒かけて皮膚から離します。この刺激を3回まで行い、反応をみます。このモノフィラメントで認識できるようであれば、知覚検査は正常と判断され、検査は終了となります。認識できないようであれば、徐々に直径の大きなモノフィラメントにしていき、どこで認識できるのかみます。 6.65については評価にばらつきがありますが、大体同じ評価となります。

 より細かく領域を区分する場合には、正常域を緑、低下域を青、防御低下域を紫、防御喪失域を赤、深部圧痛のみor測定不能を赤+黒斜線で当該部分を塗ります。その他、異常な応答や3秒以上の反応遅延、皮膚の乾燥、硬化、光沢、色調及び発汗異常など、特記すべきことがあれば記載することとなっています。

 もちろんこの検査も他覚的所見として捉えることは可能ですが、やや自覚症状に重きを置いた検査であるため、審査側はそこまで重要視していないのではないかと考えます。現に6.65でも判別不可の被害者であっても、神経症状は醜状痕に含めての評価に留まっております。とはいえ、「神経症状も評価に含まれる」という文言を付けてもらうことが、示談交渉で役立ってくるのです。残存した症状をあますことなく後遺障害認定に結びつけられた被害者こそが、最後に笑うことができるのです。    おなじみの針とブラシは鞄の中に持っているよ  

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鬱の検査シリーズ    QIDS-Jとは、Quick Inventory of Depressive Symptomatology(※JはJapaneseのことだと思います。)の略で簡易抑うつ症状尺度と呼ばれています。この検査は、16項目の自己記入式の評価尺度で、うつ病の重症度を評価できるほか、アメリカ精神医学会の診断基準DSM-IVの大うつ病性障害(中核的なうつ病)の診断基準に対応しているという特長を持っているようです。世界的に知られた精神科医ジョン ラッシュ先生によって開発され、世界10ヵ国以上で使用されています。尚、日本語版は慶応大学医学部の藤澤大介先生のグループによって作成されました。    それでは、質問について記載していきます。

第1.

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 前回、SDS検査を特集しましたが、うつ病について、簡易検査がいくつかありましたので、シリーズとして少し記載してみます。    PHQ-9とは、Patient Health Questionnaire-9の略で患者の健康状態に関する9つのアンケートという訳になるでしょうか。元々はアメリカの多忙なプライマリ・ケア医(普段から何でも診てくれるような身近な医師のこと)が、短時間で精神疾患を診断・評価するシステムとしてPRIME-MD(Primary Care Evaluation of Mental Disorders)が開発されましたが、実施時間がかかるため、時間短縮のために改良されたのがPHQのようです。そこから更に大うつ病性障害に関わる9つの質問項目のみを抽出したのがPHQ-9だとされています。    この2週間、次のような問題にどのくらい頻繁に悩まされていますか?右の欄の最もよく当てはまる選択肢( 0.

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鬱の検査です    交通事故では、精神面にも影響が出てしまうことがあります。後遺障害申請の場面で必要とすることはあまりないかもしれませんが、精神科の病院などを受診すると、入口としてこの検査を実施することがあるようです。

 SDSとはSelf-rating Depression Scaleの略で自己評価式抑うつ性尺度と呼ばれています。この検査では患者さんが20の質問に答えていく心理検査で、うつの程度を客観的に数値化することができるようです。主観的な心理検査なので、SDSの結果でうつ病が診断できるわけではないようですが、症状の程度を推測することで、治療方針や治療効果の判定に生かすなどを目的として用いられているようです。この検査の原案を作ったのは、デューク大学のツアン教授ですが、日本においては1965年に福田一彦さん、小林重雄さんらで日本語版の作成に至りました。作成時から大幅な改定もありませんが、古くなるということもなく妥当性を得られている検査なので、未だに多くの医療機関の心理検査として実施されています。    SDSはうつ症状による心身両面の特徴的な症状を質問(下記の表)し、点数の高さである程度の状態判断をします。

   次の表がその質問に対応する評価です。

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 五十肩の痛み、私、秋葉も今年経験することになりました。

 持病なく、さしたるケガもなく、今まで病気らしい病気にかかったことが無い健康優良児であっても、寄る年波を感じるところです。    日常において、それほど困る痛みではありませんが、後ろに腕を回す、ふいに斜め方向に腕を伸ばすなどから、それなりの激痛を感じます。最近は和らいできたと思います。仕事上でも、肩の痛みを訴える大勢の被害者さんと接してきました。おかげで、痛みの表現や感じ方の勉強になりました。

 病院に行くほどのことはないのですが、せっかくの機会です。接骨院と整形外科、両者に行ってみました。自ら患者に、これも貴重な体験になります。それぞれレポートします。   1、接骨院

 事務所の金澤(柔道整復師)に近隣の院から厳選してもらいました。その院では女性が担当でした。しっかりとした施術であれば、男女の関係はありません。まぁ院としては、中年のおっさん対策なのかもしれません。問診では、肩関節の痛みを緩和したいとリクエストしました。

 彼ら柔道整復師は、経験と感性、いわゆる「腕」がものをいう世界と思います。触診から、「三角筋の痛みが原因」と判断しました(そうは思いませんが・・)。お馴染みの電気をあて、さらにハイボルトでグリグリ患部にあてました。そして、曲がり辛かった肩の可動域を広げていきました。前後のマッサージは気持ち良かった印象ですが、ハイボルト後、肩の痛みが増しました。これも症状軽快に向けての痛みなら納得できますが・・。

 二回目の施術では、ハイボルト後の痛みを訴えましたが、「それは悪化ではありません」と。そして、またもやハイボルトを・・。「痛い」って言っているのに、何故、ふたたび・・。    私は修行僧ではありません。マゾでもありません。    3度目はありませんでした。   2、整形外科

 やっぱり医者じゃないと信用できません。接骨院・整骨院では、レントゲンなど画像を観ずに経験と感性で施術をするものです。触診と勘で判断?とも言えますが、当たればすばらしい治療者となります。しかし、的外れでは無意味な施術、いえ、むしろ悪化します。痛みの増した肩をさすりつつ、近隣の整形外科に行きました。

 診察で症状を説明したところ、冷たく「単なる五十肩だね」と切り捨てセリフ。(五十肩程度で病院に行くまでもないのか?)なんか、医師の姿勢が高圧的に感じられました。さらに、いきなり腕を掴んで、後ろにぐいっと捻りました。「ギャーッ!」と悲鳴を上げそうでした。最初に言いますと、私はわりと痛みを耐える方です。若い頃ですが、旅行先で脚に切創を負った時は、お酒で消毒しながら、自分で5針縫いました。

 しばし悶絶・・。なんで急に曲げるかなぁ。普通、「後ろに曲げますね」とか言わないものか。もっとゆっくり曲げられないのか。正直、医師に対して殺意がわきました。

 以前に肩を痛めた依頼者さんを思い出しました。その患者さんも医師にいきなり腕を曲げられ、却って痛めてしまったそうです。お年寄りだったら、肩関節脱臼や棘上筋断裂の危険性だってあります。親の仇のように、なんで急に強引に曲げるのかなぁ。このようは話は被害者さんからよく聞きます。乱雑な医師が多いこと。もっとも、急に曲げる医師は、仕事柄もあるのでしょうが、圧倒的に整形外科医です。おおむね他科のお医者さんは説明も丁寧で、触診の際に気遣いを感じます。このような話はまったく聞きません。

 最後に整骨院でもできる電気とホットパットを指示、リハビリに通うよう言われました。正直、こんな気休めの理学療法で良くなるとは思えません。また、痛み止め薬の処方箋も持たされました。薬を飲む程の痛みではありません。この医師に腕をひねられさえしなければ・・。    理学療法の予約をせず、処方箋を破り捨て、この院への2度目はありませんでした。

 

 

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