骨折と一口に言っても、その折れ方にいくつかの分類があります。

 最近の例ですが・・・圧迫骨折なのか骨挫傷なのか? 

           骨幹部骨折なのか骨顆部骨折なのか?

           複雑骨折なのか粉砕骨折なのか?   

 このよう臨床での判断を迷っているケースを見ます。

 もちろんこれらは診断した医師が判断します。しかしどっちつかずの微妙な画像所見の場合、医師の主観で左右される結果となります。その骨折具合の判定も後遺障害の認定に少なからず関わってきます。

 したがって臨床においての骨折状態を正しい後遺障害診断に結び付けるため、骨折について正確な知識が必要です。

 例えば圧迫骨折における圧壊率は等級認定上の条件に重きをなします。また関節可動域制限も骨顆部(関節の部分)の骨折では説明がつきますが、骨幹部(骨の両端を除いた幹の部分)の骨折では可動域制限の根拠になりづらいのです。

 下肢の骨、大腿骨(太もも)と脛骨(すね)で見てみましょう

骨幹部 

骨顆部 骨の末端の一方ですが心臓から遠い方は 遠位端です 骨顆部 続きを読む »

 交通事故で医療立証をする際、意外と軽視されている「受傷機転」について。

 医師が診断書に書くことは当然、ケガの具合や治療内容、画像所見、残存する障害等になります。しかし交通事故外傷とそれら症状・障害を結び付けるのは事故・受傷の状況です。

 例えば追突されてムチウチや頚部症となることは容易に想像できます。しかし ・・

① 「追突されて、肩腱板を損傷しました」

② 「追突されて、嗅覚がなくなりました」

・・・こう説明されても審査する者は 「?」 です。「なんで追突のショックでそうなるのよ?」と思うのが自然です。医師の診断書では客観的に医学的見地を証明しますが、そのケガに至った状況と合理的な説明が曖昧では入り口でつまづきです。せっかくの医学的所見も疑われてしまうのです。

 実際、先月の相談・受任でこのようなケースが2つありました。

 対応としては、 ①の場合、追突のショックで肩がダッシュボード附近に打撃する様子を写真を使って解説し、状況説明書の補助資料として後遺障害の申請に添付します。

②の場合は、すでに書きあがった診断書に受傷機転として、追突の反動で後頭部がバックレストに強く打ち付けられた様子を(脳神経の損傷に結び付いたとして)補記していただく予定です。  おそらく医師は「事故状況は診断とは関係ないのでは・・・」と難色を示すと思います。それに対してはきちんと必要性を説明し、ご納得いただきます。このやり取りが我々協力行政書士の腕の見せ所と自負しています。

                  

 後遺障害診断書を漫然と書いてもらうだけでは心配です。被害者の後遺障害を立証することは「一つの物語を紡ぐ」ことに似ています。ストーリー(もちろんノンフィクション=事実です)を描くことで客観的な判断(調査事務所の審査)に結び付けることが大事です。

 後遺障害診断書を書いてもらう前にご相談を! ぎりぎりで間に合いますよ

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電話相談でたまに専門外の相談が舞い込みます。

< リンリンリン ♪

  私   「はい!秋葉行政書士事務所です」

相談者 「すみません、交通事故の相談ではないのですが・・・」

  私   「?・・・人生相談ですか?」

相談者 「いえ、ケガなんですけど・・・たぶんヘルニアかも・・」

  私   ...

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  頚椎や腰椎のヘルニアの切除や脊柱管狭窄症の改善のため、前方固定術、後方固定術の手術名が頻繁に登場します。毎度医学書を参考にしていますので漠然とした知識です。しかし実際に執刀している医師からご教示頂くとイメージが変わってきます。おかげで文献ばかりの「頭でっかち」になることを防げます。  

■頚椎の前方固定術       腸骨とは骨盤の腰の部分です。

■腰椎の固定術いろいろ  ・・・主に後方からの固定術となります。

前方と後方・・・簡単ではありません。以下、正確な理解が必要です。

★脊椎手術における前方と後方

 脊椎手術における前方と後方には、手術展開としての前方(腹側からの手術)と後方(背側からの手術)の意味と、除圧あるいは固定を行う部位としての前方(椎体や椎間板)と後方(椎弓、黄色靭帯、椎間関節など)の意味があります。  たとえば後方経路椎体間固定術という術式では、背中側から手術を行い、後方要素である椎弓を切除して硬膜管を展開し、これを避けながら前方要素である椎体間に骨移植などを行って固定します。  つまり後方術で前方固定というわけです。

無料相談会のご案内

 市町村や公的機関の無料相談、弁護士・行政書士の法律相談・・・交通事故相談はたくさん存在します。しかしそれらに足を運んだが、「悩みが解消した」「方針が定まった」「道が開けた」に至らず、あっちこっちまわっている被害者さんを見かけます。それは解決に向けての全体的な流れ(どの時期に何をするか?)や具体的な作業(どの病院で検査をするか?どの弁護士、行政書士が精通しているか?)に踏み込んでいないからです。  交通事故解決の道は、解決までの方針を固める事、具体的な機関に誘致できること、各分野の専門家を熟知していること、です。それらの施策は早ければ早いほど良いのは言うまでもありません。

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 今朝は早くから病院同行でした。そこで「脳血流SPECT検査」を行いました。   ■ 脳血流SPECT検査 (脳血流シンチグラフィー)   1、検査の目的

 脳の各部における血流状態や、脳の働きをみるための検査です。脳の形態を見るX線CTやMRIではとらえられない、早期の脳血流障害の検出、神経症状の責任病巣の検出、脳の機能の評価などに有効です。

 例えば、脳挫傷が経度で、CTやMRIでの病変部が微妙でも、SPECTではっきり描出できる場合があります。病変部の脳血流が弱まると図のように色がはっきりつきます。

 本日の被害者さんは受傷から5年経った事故でしたが、左前頭葉、左側頭葉脳に血流の低下があり、受傷部と一致していました。   2、検査の方法

 造影剤を静脈注射後、ガンマカメラで脳を撮影し、脳血流分布を示す脳の輪切り画像(断層像)を作ります。検出はベットの上に仰向けに寝ているだけで、1回の撮影は30分程度で終わります。検査の目的によっては、脳の血管を拡張させる薬を投与する場合があります。   3、この検査でわかる疾病

 脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血など、脳血管障害が一般的です。    他に脳神経細胞の機能低下や脱落を原因とする精神疾患、てんかん、認知症(痴呆)があります。高次脳機能障害はこのカテゴリーに入ります。これらの障害では、脳の形態に変化がない部分で脳血流が低下することが多く、脳の病気の診断、病状の評価や治療判定に役立ちます。      <まとめ>

 平成23年4月の審査基準の新様式でも、未だ主流はCT、MRIです。脳血流の低下は病気でも起きます。CT、MRIに外傷性所見がなく、スペクトに異常が現れたとしても、事故受傷による障害の証拠にはなりません。スペクトはCT、MRIによる画像所見の裏付け、あるいは、障害程度を説明する為の補強と考えています。  

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 本日はMRI検査同行です。被害者の症状を説明することが主目的ですが、初めて伺う病院なので、ご挨拶や勉強のためでもあります。  検査前の診断にて、医師から丁寧に説明とご教示をいただきました。早速その内容、私の質問とその回答のやり取りを紹介します。  

秋葉:Q.一般に頭部を打った事故では、頭蓋骨に骨折はないか、脳に損傷はないか、をCTで検査しますが、見落とすことはありますか?

医師:A.

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 5時起きで6時前には事務所をでました。朝一で小田原、その後昼には埼玉に戻り、病院をはしご・・・東奔西走、頑張っています。被害者さんも猛暑の中、必死で通院していますので、弱音を吐いている場合ではありません。

 本日はバレ・リュー症候群の症状で苦しんでいる被害者さんを連れ、専門医の診断に立会です。なんと諸々の症状から「脳脊髄液減少症」の疑いが持ち上がりました。これは事故との因果関係で、常に保険会社と厳しい折衝となる、やっかいな診断名です。健康保険適用になったもののブラッドパッチ等の治療に積極的な病院も限られます。私たち、協力行政書士の連携体制が試されます。気合いを入れて取り組みます!!!

※脳脊髄液減少症について・・・過去記事むち打ち損傷の病態分類 5

                                本日の車窓から

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 本来朝に書くべき業務日誌を夜に書いています。(なんとか今日の日付中にUPできました)

 今朝は5時起きで事務を処理、6時すぎに事務所をでました。朝はラッシュ等で時間が読めない自動車を避けて電車移動です。 小田原への往復は移動中に食事、仮眠ができる特急ロマンスカーが便利です。簡単な事務も可能です。到着後、被害者さんに同行し、医師と後遺障害診断書について打合せ、今後も数回の面談が必要になると思います。遠方ですとなかなか大変です。

 さて後遺障害診断書を書く、「症状固定日」とはどの時期を指すのでしょう。これはなかなか難しいテーマです。何故ならそれぞれの立場で各々判断されているからです。

1、医師・・・・治療の効果がなくなり、症状が一定、もしくは一進一退となった時期。

2、保険会社・・・・打撲・捻挫は3か月、ちょっと重いと半年、それからしぶしぶ延長。            (部位・症状で基準表があります)

3、患者・・・・通院に疲れた時。

4、多くの弁護士、行政書士・・・・1~3者任せ。  

 理論的には医師の考えが最も正当であると言えます。しかし、症状固定時期を「保険会社がせっつくから・・」、「症状固定時期は患者が決めるもの・・」と人任せな判断をする先生もいます。正直何が正しいのやら、わからない時があります。

 我々協力行政書士は後遺障害の認定は傷病名にもよりますが、早い時期に認定を取ってしまおうと考えます。一定の治療を行った後ならば、早期解決のためと審査の易しい初期を見定めて等級認定を早めに行います。症状の改善はその後でもゆっくり果たせばよいと思うからです。ある意味、合理的な判断です。

 交通事故のスムーズな解決は患者本人だけでなく、これら関係者の関与がありますので難しくなるのです。私の仕事は患者主体の立場でこれらを整理することです。立ち止まって理論を追求している暇はありません。帰路そんな事を考えていたら列車は新宿に着きました。  来週の月曜日も小田原です。

            

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 最近の相談事例から・・・

 事故で足首を痛めました。捻挫ですが、腫れと痛みがかれこれ1か月以上も続いています。主治医も初診時にレントゲンを撮り、「骨に異常はないですね」と言ったきりです。湿布による消炎と電気治療が続きます。しかし回復せず、関節もよく曲がりません。医師に相談しても、「様子をみましょう」と・・・

 さて、このまま漫然と治療を続けるとどうなるでしょう。半年後の症状固定時になっても足首の可動域は回復していません。底屈30度、背屈10度と計測し、後遺障害診断書に書いて頂きました。しかし傷病診断名は右足首捻挫です。画像もレントゲンのみ、骨に異常なしのままです。

 これでは確実に「非該当」=後遺障害はなし、です。

 この段階になって、異議申立をして、いくら関節の痛みや可動域制限を訴えてもダメです。

 骨折や靭帯損傷など器質的損壊がないもの、例えば「捻挫・打撲」は治るもの、と解釈されています。そして可動域制限があったとしても、その原因となる傷病名が診断されていなければ無視されます。

 この方は、足首の靭帯に損傷があるものと疑う必要があります。丁寧に足首の靭帯をMRIで描出する必要があります。それも受傷直後、遅くとも3か月以内に。そして「後距腓靭帯、踵腓靭帯、前距腓靭帯の損傷」のような確定診断の記入が必須です。    

 もうおわかりですね、医師の指示は絶対ではないのです。あとで泣くのは自分自身です。「おかしいな?」と思ったら、自分から医師に検査の依頼をしなければなりません。それでも「患者は医者の言うことを聞いていればいい!」と相手にしてもらえないのなら、残念ながらただちに転院です。

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 悪いタクシー会社の運転手は事故にあうと、必ず懇意にしている病院で「温泉治療が必要」との診断書を書いてもらい、長期休暇=湯治に出かけました。・・・保険会社在籍時、事故処理課(社内ではサービスセンターと呼びます)で研修をしていた時、人身事故担当者からよく聞いた話です。  悪名高い「温泉治療」、当然、ケガの程度からすれば単なる詐病者のバカンスかもしれません。しかし昔から日本人は「湯治」により、自然治療や自己回復を図ってきました。もっと踏み込んで言えば、骨折、靭帯損傷、関節拘縮や神経麻痺、挫傷・・・ほとんどのケガの治療に温泉は一定の効果が認められています。ただ西洋医学との比較の中で、「療養」の位置づけに抑え込まれています。  大事なことは専門医による診断を伴った、効能と目的が合致した温泉治療の確立です。草津をはじめ、いくつかの温泉地では病院を併設し、診断と温泉をリンクしています。今後、温泉専門医と専用病院がすべての温泉地に常設できれば、交通事故外傷の治療としてもっと陽の当たる分野となるはずです。  温泉好きとしては、正しい形での温泉治療について、及ばずながら啓蒙活動をしていきたいと思います。ネタのない日は温泉治療について散発的に取り上げます。今日はプレリュードという事で・・。 

                                                                                                          

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■ 腰部神経ブロック

 腰部への神経ブロックは、トリガーポイントブロック、硬膜外ブロック、神経根ブロック、椎間関節ブロックなどがあり、腰痛の種類によって使い分けています。硬膜外ブロックも腰椎の棘突起の間から注射する「腰部硬膜外ブロック」と、お尻の仙骨裂孔から注射する「仙骨硬膜外ブロック」がありあます。

 「腰部硬膜外ブロック」は、腰椎(せぼね)の中の硬膜外腔という所に局所麻酔薬を注入し、痛みを一時的に和らげ、腰部と下肢の血行を改善し自己治癒力を高める療法です。エピやエピドラと略することもあります。神経を包んでいる一番外側の膜(硬膜)より外側のスペースに注射をする神経ブロックで、神経に直接針を刺したりしませんから、痛みもほとんどなく、腰痛治療の代表的神経ブロックです。

 腰椎椎間関節症(ギックリ腰)は効き目が顕著にでます。交通事故外傷でおなじみの腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症は「硬膜外ブロック」より「神経根ブロック」の方がより直接的な効果が期待できます。しかし脊髄周辺の極めてデリケートな部分に針を刺すので、医師の技術がものをいいます。不慣れな医師はビビってしまい、ピンポイントで神経に注入できないと聞きました。

                                   ■ 最後に

 痛みやしびれの緩和に絶大な効果をもたらす、これらの神経ブロック療法。これはつまり根本的な治療というより、自然治癒能力を高める処置と言えます。大事なことは整形外科医の外科的治療と両輪で進めるべき処方で、整形とペイン、両医師の連携と治療情報の交換が必須です。

 もしこの記事をご覧のペインクリニックの先生がいらしましたら、今後バレリュー症候群や腰椎間板症等の交通事故の患者さんをお願いしたいと思いますので、ご一報下さり、適時ご指導を頂ければと思います。   <参考文献:「星状神経節ブロック療法」 若杉 文吉 先生 著>   

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 レーザーを星状神経節近傍に照射することで、局所麻酔薬を用いての星状神経節ブロックに類似の効果をもたらすレーザーSGBについて。

※ SGB…stellate ganglion block  訳すると「星状神経節ブロック」です。現場の麻酔医は星状神経節ブロックと言わず、SGBと言っています。

■ レーザーSGB

 星状神経節ブロックと同じ要領で、第6または7の頚椎(C6またはC7)横突起のやや内側に(胸椎T1付近が正しい)、半導体レーザーのプローブを圧迫気味に当てます。照射時間は、60mWでは5分間、150mWで3分間、1000mWで1分間が目安です。レーザー照射により、頭頚部および上肢の局所温度上昇に伴い、疼痛の軽減、しびれ感の改善および患部の温感を自覚します。つまり、星状神経節ブロックに近似の効果をもたらします。

 神経ブロックとは異なり、ホルネルの徴候(縮瞳、眼球陥没、眼瞼下垂)の発現をみることはほとんどありません。また、ブロックではブロック側だけの局所温度上昇を認めますが、レーザー照射では両側の温度上昇がみられます。

 ブロックと比較して、レーザー照射の場合には、手技が容易で、合併症がなく、局所麻酔薬を用いないので薬物アレルギーの心配もありません。注射針を使用しないので痛みや恐怖感もありません。浦和のペインの先生から聞きましたが、女性は「早くブロック注射を!」と言いますが男性は「まずはレーザーで・・」との傾向だそうです。男性は度胸がないようです。

 レーザー照射の効果はブロックに比較すれば穏やかですが、効果の持続時間は、ほぼ同程度です。レーザー照射は、星状神経節ブロックの適応となる非定型顔面痛、緊張性頭痛、偏頭痛、群発頭痛、レーノー現象などの有痛性疾患、無痛性疾患である顔面神経麻痺、突発性難聴、鼻アレルギー、網膜血管閉塞症などに応用できます。高齢者や年少者に対する適応は大きく、頻回の治療が必要となる場合には、とくに有用な手段となります。

 開心術後患者などの抗凝固治療中の患者や糖尿病患者などでは、ブロックに伴う出血や感染が危惧されますので、レーザー照射が有用となります。     バレリュー症状がひどい場合、やはりブロック注射が望ましいと思います。しかしペインクリニックの現場では、まずレーザー+投薬で様子を見て、次に注射とする傾向です。    次回 ⇒ 腰部への神経ブロック    

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■ 自律神経について

 バレ・リューの代表的な症状、めまい、ふらつき、不眠、吐き気、耳鳴り、倦怠感はどのようにしておこるのでしょうか?これは自律神経の異常からおこる症状です。

 自律神経系には、交感神経系と副交感神経系とがあり、その中枢は間脳の視床下部にあります。呼吸、脈拍、血圧、体温、発汗、排尿、排便など、みんな自律神経によってコントロールされています。早い話、眠っているときでもちゃんと呼吸をして、心臓も止まらず、生命が維持できるのは、自律神経が働いているからです。

 交感神経と副交感神経は、拮抗的に働き、心拍数は交換神経が興奮すると早くなり、副交感神経が働くと遅くなります。運動している時=交感神経、休んでいる時=副交感神経、両者の関係はアクセルとブレーキに例えられます。 バレリュー症候群のしくみは自律神経の失調でも、とりわけ交感神経、副交感神経両者の異常亢進があげられます。つまり、アクセルとブレーキを逆に踏む、両方踏む状態です。日中は副交感神経が働き、だるくなり、眠りに入る時は交感神経が興奮して眠れない・・・。

 これらの悪循環を断ち切らない限り、患者の体力は奪われ、回復どころではなくなるのです。星状神経節ブロックは交感神経の異常亢進を抑え込むことを目的とします。星状神経節は胸から上の皮膚、内蔵の交換神経が集まっている、交感神経のバスターミナルのようなところです。ここの交通整理をすることで、自律神経の失調を回復させます。    つづく ⇒  レーザーSGB?  

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■ 痛みのしくみ

 痛みには「有用な痛み」と「無用な痛み」の2種類があります。

 体に傷を受け、痛みが起こると、反射的に自律神経系の交感神経が緊張し、副腎(腎臓の上部にあるホルモン分泌器官)からアドレナリン(血管や内臓を支配し、全身の活動力を高める働きをする交感神経を刺激して、心臓や血管の収縮力を高めるホルモン。一般に興奮状態を促すものと解釈されています。)が分泌され、心臓の働きが早くなり、血圧が上がり、呼吸も大きくなります。血管が収縮し、障害された局所への血流が少なくなり、血管が固まり易くなって、血液が失われるのを防ぎます。

 こうした、自分の体で「痛み」を直そうとするものは「有用な痛み」です。これは、体を守るための応急処置といえます。しかし何日も、何か月も、何年も、続く慢性的な「痛み」となると話は変わります。

 もう警告の役目はとっくに終わっているのに、スイッチの切れた警報器のようにいつまでも続く慢性の疼痛は「痛み」そのものが病気です。これによって体力が失われ、ケガの回復を遅らせ、辛い状態が続きます。   ■ 神経を「ブロック」するとは?

 先に述べた通り、神経ブロックは皮膚の外から注射針を刺し、麻酔液を注入することです。つまり、脊髄から分かれる末端神経を麻酔液によって麻痺させ、抹消神経節から脊髄に渡る神経伝達を遮断します。これによって「無用な痛み」の伝導路を断ち切るのです。   ■ 星状神経はどこにある?

 先日の被害者さんは、「あれって喉から刺すんですね・・」と言っていました。頚部=うなじ、と思う方も多いです。頚部の交感神経節は上から、上頚神経節、中頚神経節、椎骨動脈神経節、そして星状神経節の4つです。星状神経節は長さ約3cm、幅1cm、厚さ0.5cmで、最新の研究で第一胸椎の横にあることがわかりました。(古い本では第7頸椎の横と記載されていますがこれは間違いです。)つまり首の付け根、鎖骨のすぐ上のあたりでしょうか。

(第7頸椎)の下がT1(第一胸椎)です

    次回 ⇒ 自律神経  

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■ 神経ブロックとは

 神経、またはそのそばに注射をして、神経の働きを一時的、あるいは永久的に休ませて、病気を治す治療法のことです。局所麻酔薬を使用し、一時的に神経を休ませることで、自己治癒力を高めます。麻酔薬はキシロカインが主で、カルボカイン、マーカイン、アナペイン、ステロイド剤があります。副作用を伴うステロイドは敬遠されています。

 「痛み」が発生すると、自律神経のひとつ「交感神経」が緊張していまい、毛細血管は収縮して血行が悪くなってきます。ところが、これは痛みを治すためには困ったことで、血行を良くしないと痛み物質が滞り、炎症は治りにくく、痛みはどんどん強くなってしまいます。そして、自律神経失調症をまねいてしまう原因ともなります。

 神経ブロック療法には、血行を良くする働きがありますので、この痛みの悪循環を断ち切ることができ、治癒を促進するのです。

                                      ■ 星状神経節ブロック

 目下、ペインクリニックで注目の神経ブロックです。喉にある交感神経を一時的にゆるめ、ヒトが本来持っている自己治癒力を高める治療法です。自律神経、ホルモン分泌、免疫力、抵抗力のバランスを整えますので色々な症状や病気に有効です。

 喉には星状神経節といって、脳・顔面・頭部・頚部・上肢・心臓・肺などに交感神経の細い線維を送っている交感神経の「中継所」のようなところがあります。この神経のターミナルに局所麻酔薬を注射し、交感神経の働きを一時的に遮断するのが「星状神経ブロック療法」です。この療法をすると、局所麻酔薬が効いている間、脳を初めとする支配領域の血行がよくなり、機能低下していた様々な器官が機能回復するのを助けます。そのため、痛みや様々な症状が楽になってくるのです。

 星状神経節ブロック療法の特徴は、繰り返していくと脳の視床下部の機能が改善され、自律神経、ホルモン分泌、免疫力(抵抗力)のバランスが整い、自己治癒力が高まってくることにあります。そしてその改善した自己治癒力により、さまざまな病気に適応できます。

 また、副作用がないことも「星状神経節ブロック療法」の特徴です。老若男女を問わず、妊娠中の女性でも、大丈夫です。ただ時々、ブロック注射のあと、声がかすれる、ものを飲みこみづらい、注射した部位が痛い、腕があがらない、といった症状がみられることがあります。これらは、一時的なものですから心配はいりません。1~3時間でもとにもどります。稀に、キシロカインにアレルギー反応を起こす人もいるので、注意が必要です。    星状神経節ブロックを詳しく ⇒ 神経ブロック 2

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 交通事故でムチ打ちとなり、頚部痛だけではなく、倦怠感、吐き気、めまい、不眠、耳鳴り・・・これらの症状が続く場合、バレリュー症候群を疑う必要があります。この症状の患者に、電気治療や牽引、マッサージを行っても改善がみられません。「痛みどめを出しておきます」といって病院を後にしますが、バレリューの症状が続く場合、頚部症共通の治療・処置=「安静」 をすることができません。    そこで治療法にペインクリニックの導入を検討します。

 今日からペインクリニックと神経ブロックの基本について解説します。

  ■ ペインクリニックとは

 「ペイン(Pain)」というのは「痛み」のことで、ペインクリニックというのは、頭が痛い、腰が痛いなどの「からだの痛み」だけでなく、やる気が出ない、イライラするなどの「こころの痛み」も治療する診療科です。 日本では1962年に、若杉文吉先生が、東京大学にペインクリニック外来をつくられたことに始まります。整形外科を経て麻酔科医になられた若杉先生は、当時整形外科、耳鼻科などで行われていた「星状神経節ブロック療法」を積極的に取り入れ、痛みだけでなく、全身のさまざまな病気に効果があることを研究しました。  麻酔科医がペインクリニックを担当するようになったのは、もともと、手術中の「痛み」をとることが専門だったことによります。痛みの原因は全身の病気に由来しますから、内科、外科、小児科、産婦人科など幅広い科の知識を持ち、全身を診ることが専門だったという点も合致したからです。  これらの経緯から、ペインクリニックは「神経ブロック療法」を中心に治療を行っています。中でも「星状神経節ブロック療法」は「痛みの病気」だけでなく、自律神経、免疫力、ホルモン分泌のバランスを整え、自己治癒力を高める治療法ということになります。

 明日に続きます。

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 昨日の筋電図に続いて神経伝導速度検査を。 筋電図ができないときに実施します。既に筋電図検査を行っている場合は必要性は薄れます。 

■ 神経伝導速度検査とは

 末梢神経を皮膚上で電気刺激し、誘発された電位を記録し、伝導速度、振幅などを測定するものです。これによって末梢神経疾患、脊髄疾患の診断、病態の把握に活用できます。運動神経刺激によって筋肉で誘発される波形を検査する運動神経伝導検査と、感覚神経自体の電位の波形を検査する感覚神経伝導検査とに大別されます。  刺激をすることで神経や筋肉の反応が得られ、得られた反応を用いて伝わる速さを測定したり、波形の分析を行います。検査中ピリッ、ピリッと感じます。正常の場合にはある程度の決まった速さで伝わる興奮の速さが遅くなるか、もしくは反応が出ないなどの所見が認められます。障害がある場合には、障害の部位や障害の程度、障害の範囲を判断することができます。

■ 上肢、下肢の場合

 皮膚の上に電極を貼り,神経に体表から刺激を加えます。腕では通常正中神経か尺骨神経でそれぞれ運動神経線維と感覚神経線維を調べ、足では後脛骨神経で運動神経線維、腓腹神経で感覚神経線維、腓骨神経で運動と感覚神経線維を調べます。

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 昨日は「腓骨神経麻痺」の疑いのある被害者さんと主治医面談でした。足首が完全に動かないわけではないのですが、背屈(足首を上にそらす)が不能なので「不全麻痺」が正確な表現でしょうか。しかしその可動域の制限だけでは後遺障害の認定は得られません。それを裏付ける検査数値と確定診断が必要です。そこで主治医先生にタイトルの検査依頼となるわけです。

 中には「なんで治療が終わったのに検査するの?必要ないよ」、「保険請求のため?それは医者の仕事じゃないよ(・・めんどうだなぁ)」という対応の医師もいます。ましてや、「むち打ち」ごときでは、通常、医師の協力は得られません。

 医師の言う事もごもっともと思いますが、後遺障害を残した患者にとっては切実な問題なのです。毎度苦労させられますが、昨日の医師は検査の必要性に御理解をいただき、誠実に対応して頂けました。本当にありがたいです。    では針筋電図について・・・   ■ 筋電図とは  筋線維が興奮する際に生じる電気活動を記録することで、末梢神経や筋肉の疾患の有無を調べる検査です。筋電図検査といった場合には,筋肉の活動状態を調べる針筋電図と筋肉・末梢神経の機能や神経筋接合部を検査することができる誘発筋電図の両者を含める場合もあります。   ■ 脊髄損傷に対しては  脊髄にある前角細胞と呼ばれる運動神経以下の運動神経と筋肉の異常を検出するために行われます。これらの部位に疾患がある場合には,その障害がある部位や,疾患の重症度などを評価することもあります。異常を示す筋肉が限局している場合には,その分布により末梢神経が原因か脊髄が原因かなどをある程度推定することができます。   ■ 顔面神経麻痺に対しては  表面筋電図検査は四肢や顔面などに不随意に起こる運動が見られる場合に時として有用です。この検査の利点は、針電極や電気刺激を用いないので、疼痛を伴わないことです。                                     

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 昨日の病院同行で痛感させられました。交通事故外傷は奥が深い、ということです。

 被害者は事故後、肩周辺の筋萎縮と左腕の挙上不能(腕が上がらない)が続き、改善が見られません。これは頚部神経症状なのか、それとも肩腱板損傷なのか・・・画像所見も判然としません。そこで専門医の診断を仰ぎました。

 受傷後の頚部MRI読影、そして徒手筋力テスト、神経症状の問診が流れるように進みます。そして下った診断名が頚椎性筋力低下を伴った「脊髄前角障害」です。脊髄のMRI・T2画像に点状の高輝度所見がみられます。私も見落としていました。ヘルニアの圧迫や脊柱管・神経孔の狭窄にこだわっていたからです。そして肩のMRIばかり凝視して腱板損傷を探していました。  結果としてこの患者は「前方固定手術」とよばれる頚椎の手術で改善が図れるかもしれない、という道筋が立ちました。

 教訓です、教科書通りではダメなんです。やはり経験を積んだ専門医の診断の前には生兵法甚だしい結果となります。

  改善が見られない、診断名がはっきりしない、などの場合があります。このままでは治療方針が定まらず、有効な治療も行われず、患者の回復の助けにはなりません。後遺障害の立証の過程で、それらを見極め確実な診断と適切な治療に結びつけることも重要な仕事です。                 頚椎症を二分する脊髄圧迫型と神経根圧迫型、               しかしそれだけではないことを学習しました。           

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 おはようございます。梅雨空が続きますが、今朝は少し晴れています。洗濯物を外に出してきました。

 さて、土曜日は恒例の首都圏会議でした。今回は相談者さんが少なかったのですが、有意義な経験を積むことができました。それは可動域測定の実践です。たまたま担当している腰椎圧迫骨折の被害者さんがご丁寧にもご挨拶にきてくれました。1週間後に症状固定の診断を控えています。せっかくの機会ですから可動域測定の予行練習をしようということになり、教則ビデオを観ながら実際にゴニオメーターを使って測定してみました。これは本当に大事な、大事な、事なんです。なぜなら多くの整形外科医は自己流、もしくは間違った方法で測定してしまうのです。むしろ正確な測定の方が少ないくらいです。  自賠責保険調査事務所は日本整形外科学会の測定方法や基準を採用しています。もし別法(測り方も〇〇方式、というように別の計測方法があります)や自己流、目見当で測定しても、「測定方法が間違ってませんか?」なんて親切に忠告してくれません。そのまま審査したり、あまりに不自然だと無視されます。  これで「数百万円の保険金を失ってしまう」被害者がたくさん存在するのです。間違ってしまった、知らなっかった、ではすまされません。

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