MRI(magnetic resonance imaging)とは、体に強力な磁気を通し、体の水分の濃淡から磁気共鳴の差が生じ、それを画像にする技術です。詳しく解説するとより難解になってしまいますので、あとは専門書に譲ります。

 さてMRIにも様々な撮影法があります。病態の解明について、同一か所にそのいくつかの撮影法、描出法にて解析します。交通事故被害者や立証側が知っておきべき撮影法について解説します。  まずは基本の2種。ほとんどの場合、このT1とT2はセットで検査されます。簡単に言いますと病変部を示す部分がそれぞれ黒と白となり、コントラストが逆になります。

(1)T1強調画像:T1 weighted Image(T1WI)

 T1では水は黒く低信号で描出され(脳室は黒色)、CTとよく似た画像を呈し、大脳皮質と白質などの解剖学的な構造が捉えやすいという特徴があります。

(2)T2強調画像:T2 weighted image(T2WI)

 T2では水は白く高信号で描出され(脳室は白色)、多くの病巣が高信号で描出されるため、病変の抽出に有用とされている。以下T1とT2の画像上の特徴を整理します。

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 骨端線(こったんせん)損傷について、特に足関節(脛骨と腓骨)の成長線骨折を例にとって解説します。(XP画像は秋元接骨院さまHPより転用)

 成長期ではどんどん骨組織が発達します。脚では脛骨と腓骨がぐんぐん伸びていきます。その時期に足の捻挫などにより骨端線(成長軟骨部分)を損傷することがあります。足関節を構成する脛骨及び腓骨の遠位端には成長軟骨層があり、骨端核を中心に成長と共に成人の骨へと変化していくのですが、骨端部分が成人に近い状態にまで完成されても、脛骨と腓骨の成長が終了するまでは、骨幹と骨端の間に骨端線が残ります。  骨端線部分は完成された骨よりも強度が弱く、外力による影響を受けやすい部分のため、強い外力の働いた捻挫や衝撃で骨端線損傷を起こしやすいといえます。 損傷の程度が軽いものでは、レントゲン検査でも分かりにくく、捻挫と診断されるようなものから、骨端線からきれいに骨折している重傷なものまで、いくつかの種類に分かれます。

 XP画像はタイプⅠです。悩ましいのは骨端線骨折は、癒合を果たしたとしてもくっきり線が残ること、痛めやすく、骨折しやすくなることです。さらに交通事故外傷の場合、「癒合で完治」とは断定できません。前述の通り成長著しい幼児~10代は爆発的に骨組織が伸長しますので骨組織は容易に癒合します。しかしその後骨折しなかった方の足と比べ、転位や骨成長の左右差、軟骨の不具合による関節裂隙の左右差などが残存することがあります。これが可動域制限や、疼痛などにつながれば後遺障害の対象となるはずです。

 最近、小学生時の事故で成長線骨折となった未成年の被害者を2例担当しています。いずれも数年を経て癒合するものの成長による変化を伴った状態です。慎重な立証作業となります。

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 大勢の整形外科医の診断に立ち合ってきました。当然、打腱器を使った腱反射テストも頻繁に目にしています。むち打ちや腰椎捻挫で神経症状に及んでいる被害者さんは相当重篤と言えます。その神経症状の診断に代表的な検査が腱反射です。左右どちらかの神経根に圧迫のある方は概ね反応(左右の差)が低下、消失します。また脊髄圧迫(正中型)では亢進といって反応が大きくでます。

 医師によってやり方は違うようですが気になることがあります。それは「コン!」と一回叩く先生と、「トントン」と短く2回叩く先生に分かれることです。私も整形外科医から教わりながら、相当練習を積んできましたが、はっきりとした反射を取る場合、一発「コン!」と叩きます。経験上、弱く短く2回の「トントン」ではよく反応が診れません。

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 下肢骨折後の変形を立証すべく、XP(レントゲン)検査の手配を行いました。通常、医師は骨折の癒合状態を確認するために骨折箇所のみを撮影します。至極当然なことですが、下肢全体の変形を確認するためには左右差をみる必要があります。つまり両下肢共に一枚のフィルムに撮影しなければ比べることができません。そこでXPをフィルム化するサイズが問題となります。脚全体など長いサイズをフィルム化する場合、ロールフィルム撮影という方法があります。しかしこれを備えている病院は大学病院などそれなりの規模です。ロールフィルムがない場合は、何枚かのフィルムをつなげて確認することになります。

  良い機会ですので今日はフィルムのサイズについて調べてみました。

種類

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 湿布には冷感湿布といったひんやりするもの、温感湿布といった温かく感じるものの2種が市販されています。それ以外に医師の処方箋が無ければ原則手に入らない経皮鎮痛消炎テープ剤があります。これは交通事故外傷での消炎鎮痛に処方されることが多く、モーラステープがお馴染みです。少し湿布を整理しましょう。

冷感シップ(冷シップ)

 冷感シップには、炎症を抑える消炎鎮痛剤とメントール等の冷感の刺激がある成分が入っています。保湿性があり、貼ったときからひんやり冷たい感じがします。  主に、急な痛みや炎症に使います。患部を冷やし、シップに含まれている鎮痛薬で痛みを抑えます。

温感シップ(温シップ)

 一見冷シップと同じような感じですが、中に唐辛子エキスなど温かく感じる温感刺激をもつ成分が入っています。人によっては、ピリピリとした刺激でかゆみ、発疹が出ることもあります。  腰痛などの主に慢性的な痛みや熱や腫れが引いた後の痛みに使います。患部を温めることで血行がよくなります。また、筋肉の緊張が和らぎます。

経皮鎮痛消炎テープ剤 (モーラステープ など)

 主に肌色で、薄いテープのような貼付剤です。経皮鎮痛消炎剤といって、皮膚から吸収されるタイプの鎮痛剤が効果を発揮します。メントール等のひんやりする成分も入っていますが、シップと異なり貼った瞬間は冷たい感じがしません。しばらく経ってからスーッとしてきます。最近は、シップのように貼り付け可能なテープ剤も販売されています。   急性期・慢性期と分けることなく使われているようです。シップと異なりはがれにくく、伸びやすいことからよく動かす関節部分や、外出時に使われることが多いようです。

       注意:このモーラステープを貼ってから1~3週間は強い日光を浴びてはいけません。紫外線で皮膚炎になるケースが多く報告されています。貼付部位に紅斑や発疹・腫脹・強いカユミ・水疱など、さまざまな症状が現れるようです。

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 懐かしい骨折名です。大学の剣道部で同期の部員が2度経験しています。激しい稽古で消耗すると、自然に足の甲の小指側の骨が折れてしまいます。多くは時間をたてば自然に癒合しますが、怖いのは無感覚の偽関節、または骨折癖、つまり簡単に何度も折れてしまうことです。

 交通事故外傷では一度経験していますが、やはり癒合状態もよく、特に痛みも残らないので後遺障害の対象とはなりませんでした。もし偽関節(くっつかなかった)となっても普通に歩けるようです。しかし症状固定時に偽関節化していれば、当然、後遺障害として申請すべきです。

 今日はいつも骨モデルを購入しているトワテックさんからのメール(メディカルリポート)から抜粋しました。ちなみにスミスやジョーンズなど名前のついた骨折名があります。多くは学会で症例と治療法を発表した医師の名前がついているようです。

               

 Jones骨折とはJonesが自らの経験を基に最初に報告した骨折で、第5中足骨の骨幹近位部に繰り返し加わる外力により生じる疲労骨折の1つです。同じ部位に繰り返し弱い力が加わることによって起こる疲労骨折は、運動しているときに痛み、安静にしている時には痛みは治まります。骨折線の特徴として横走するものが多く見られます。 また再発を繰り返し治療に難渋する事が多く遷延治癒や偽関節になりやすいためスポーツ選手(特にサッカー選手)の場合は、選手生命を左右することが多い疾患と言われています。解剖学的に第5中足骨の基部は短腓骨筋腱・第4中足骨と連結している底側中足間靭帯・立方骨と連結している底側足根靭帯がついており強く固定されています。それにより基部は固定され基部中枢から末梢1.5cmの弱い部分に力が繰り返し集中し発生、骨折線も横走するものが多いのです。  症状として初めのうちは違和感程度で、これといって症状はありません。徐々に時間とともに負荷が加わり、疲労骨折の症状として運動しているときは痛み、安静にしているときは治ったりと増悪や緩解を繰り返します。完全骨折になると激痛で歩行困難となります。鑑別診断として、短腓骨筋の急激な収縮により起こる下駄骨折や残存性骨軟骨障害などが挙げられます。

 治療としては、不全骨折の場合は保存療法を選択します。繰り返し同部位に力が加わるため足圧分散の足挿板を使用したり、足底筋や腓骨筋など筋力バランスの強化。または姿勢反射調整などがあげられます。観血的療法に踏み込む場合は、完全骨折の場合など症状に応じて判断していきます。どちらにしても疲労骨折の1つであるJones骨折の治療の目的として、骨の癒合だけにとらわれず、持続的に同部位への繰り返しによる応力の集中を防ぎ、再発に努めることも大切です。

整形外科医 北村 大也 ...

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 昨日はやや涼しくなった長野で相談会でした。今回は頭部外傷のオンパレード!幸い重篤な方は一名で、他の方は高次脳機能障害とまではいかないようです。しかし脳に出血があればなんらかの障害を残す可能性が高く、今後も注視が必要です。  では恒例の所感を少し。

空いている病院

 単に人気がないのか、いつもすぐ受診可能な病院があります。昨日の相談者から受診中の病院に対し、「この病院、ヤル気あるのかなぁ」と不安視する声もありました。やはり何か空いている原因があるものと思います。もちろん医師の診断力や人間性が大事ですが、不安を感じたら転院も検討すべきと思います。数か月後に泣きをみないためにも患者に決断力が必要です。  行列のできる病院はやはりいい病院?

鎖骨骨折の変形による障害認定は外見で決まる!

 鎖骨に限らず、骨が折れて無事にくっついた場合でも癒合部が少し太くなってしまうことが多いようです。これをレントゲンでみれば変形ともとれますが、わずかな変形では障害認定はありません。そもそも日常生活に影響がないからです。しかし鎖骨は外見上、服に隠れないかぎり見えるものです。折れ方、癒合状態がひどければ、その部分が出っ張って目立ってしまうことがあります。この写真を提示すれば容易に等級認定となります。しかし皮下脂肪の多い人はそれが目立ちません。つまり太っている人は不利なのです。この場合、女性に対しても「ダイエット命令!」となります。後遺障害があるのに(骨が変形しているのに)等級を取りそびれるわけにはいきません。こっちも失礼覚悟です!

 説明によく用いる肩関節+鎖骨モデル

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 本日は埼玉の病院同行、春日部ですが気温が36°まで上昇、埼玉も暑いです。その後打ち合わせで高崎、翌日は相談会で長野入り、少し涼しいと予想します。今日の整形外科医は神経学に造詣が深く、説明がとてもわかり易いGood Dr.でした。  整形外科医の良し悪しは神経学的所見を診るか否かでわかれるような気がします。   

 むち打ちや腰椎捻挫で痛み、とくにしびれが半年以上長引く被害者がいます。通常、打撲捻挫の類であれば消炎鎮痛処置を施し、3か月ほどで治ります。しかし単なる筋肉、靭帯の炎症では済まず、頚部や腰部の神経に刺激が加わったことによって、神経因性の疼痛、しびれが長引くケースとなります。これは交通事故の後遺障害において最大勢力である、「局部に神経症状を残すもの」に該当する可能性があります。  しかし神経症状を示す診断なければ保険会社は単なる打撲・捻挫と判断します。そして3か月以上も通っていれば「捻挫でなんでそんなに長く通っているのよ!」と怒り心頭に達します。しかし神経症状を示す診断や画像、検査数値があれば一定の理解を得ることができます。つまり医師が長引く症状を打撲・捻挫の類と診断するか、神経症状と診断するかにかかっているわけです。

 年間100人以上の医師と面談していると、医師の診断、特に整形外科の医師の判断のバラつきを感じます。以下典型的な2タイプの医師が存在します。

 

<町で1軒のおじいちゃん医師 A>

  「レントゲンで骨折はなかったよ。捻挫だねぇ。湿布を出しておきましょう。痛かったらロキソニンを飲んで」と診断し、「リハビリで牽引をやってみる?」、そして指先のしびれを訴えても、毎回「様子をみましょう」。こうしてだらだら月日が経ちます。  その後保険会社から打切り打診があると、「痛みは心因性だから、痛いと感じるから治らないんだよ」など意味不明の言葉を残し症状固定とします。

 

<有名医大で学んだ若手医師 B>

 「(レントゲンで)頚椎の隙間が狭いので頚部の神経に圧迫があるかもしれません」と説明し、腱反射、ホフマン・トレムナー、知覚検査を行います。腰部であればSLRなどで神経症状を有無、程度を調べます。そして早期にMRI検査を行い、神経の圧迫部を確認します。急性期の頭痛、めまい、耳鳴りがあれば神経科の受診を勧め、神経ブロックを施します。理学療法も症状に合った内容を試し、効果のあるものを理学療法士と相談し進めていきます。牽引やカラー固定などは敬遠します。処方薬も「手指に末梢神経障害がありますのでリリカを出しましょう。」と神経性の疼痛に対処します。 保険会社から症状の照会があれば、「頚部C6/7左神経孔に椎間板圧迫」など具体的な説明を記載します。つまり打撲・捻挫ではない、神経症状による痛み、しびれの診断が成されるのです。

 

 結果としてA医師にかかれば早期に治療費を打ち切られ、後遺障害は認定されません。B医師にかかれば一定期間の治療費は確保され、後遺障害の認定も受けやすくなります。    被害者の運命を変える医師・・・被害者には「医師選び」が必要です。厳しい言い方をすれば最適な環境で治すことも患者の自己責任です。自分は被害者だから・・・甘えは通用しないのです。

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たまに取り上げる薬シリーズ。今回はロキソニンのお供です。

ロキソニン⇒薬シリーズ2 ロキソニン

レパミピド(ムコスタ)

■ 適用  胃酸の分泌抑制、胃粘膜の血行改善、粘液の分泌増加、胃粘膜の障害修復といった作用があり、潰瘍)の発生を抑え、潰瘍の治癒を促進させます。胃潰瘍の治療、急性胃炎の他、慢性化した消化性潰瘍の治療に用いられます。  また胃に負担のかかる薬を服用する際、一緒に処方されます。交通外傷の場合、ロキソニン(痛み止め)が処方されると必ずセットでついてきます。各製薬会社で扱っていますが、大塚製薬の「ムコスタ」の名の方が有名でしょうか。

   1回1錠、100mgが基本です

■ 薬理  胃粘膜プロスタグランジンE2増加作用や胃粘膜保護作用により胃粘膜傷害を抑制し、胃粘液量や胃粘膜血流量の増加で血行動態の障害を改善し、炎症を抑えて胃粘膜を修復します。すなわち胃酸分泌をコントロールするのではなく、防御機構を回復させることで胃潰瘍を治療する。

■ 副作用  主な副作用として、発疹、かゆみ、薬疹様湿疹などの過敏症状、蕁麻疹などが報告されています。例として以下の症状が現れたら使用を中止し、医師に相談が必要です。 ・冷汗、血圧低下、呼吸困難などのショック症状 ・眼と口唇のまわりのはれ、蕁麻疹などアナフィラキシー様症状 ・のどの痛み、発熱、倦怠感 ・鼻血、歯茎の出血、四肢などの皮下出血 ・倦怠感、食欲不振、皮膚や粘膜などの黄染(黄色くなる)

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 昔のバンド仲間にお医者さんがいまして、よく医学生時代の話を聞きました。

 「やはり医大ではドイツ語を勉強するの?」 → 「いや、とっくの昔から英語一辺倒。ただしカルテやクランケなどドイツ語は用語として残っている・・・」

 医療用語は確かにドイツ語が多いのですが、インフォームド・コンセント(十分に納得して同意)など、英語が幅を利かせています。先日の研修から脊椎の読み方を復習しておきたいと思います。  

 体幹骨は椎骨の連結したもので脊椎 【Vertebra】 ”ヴァーテブラ” と呼ばれます。その脊椎も部位によって頚椎、胸椎、腰椎と分かれます。お尻に及ぶ仙椎は体幹骨から外れ、骨盤骨の一部を形成します。その呼び方、書き方も多くの医師は省略して英語の1文字(胸椎は2文字が多い)で表します。

 

頚椎 【Cervical】 ⇒ C1~C7

”サーヴィカル” Cに上から順番に数字がつき、7つまでありましす。C1は環椎、C2は軸椎と別称があります。

胸椎 【Thoracic】 ⇒ Th1~Th12

”ソラシック” Th1は第一胸椎と呼び12個まであります。

腰椎 【Lumber】 ⇒ L1~L5

”ランバー”   L1からL5まで5つの椎骨。   ※ ちなみに仙骨は【Sacrum】 ”サクラム”で 5つの骨の結合体ですが、腰椎からの連続で体幹骨扱いをする場合、S1、S2の二つを指すことが多くなります。 

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 高次脳機能障害の原因となる、脳外傷の急性期によく行われる手術について解説します。最近担当した被害者さんもこれを行いました。   <硬膜下血腫>

 脳の表面と頭蓋骨の間には硬膜と呼ばれる硬い膜があります。硬膜と脳表の隙間は硬膜下腔と呼ばれています。硬膜下血腫はここに出血が起きることです。交通事故などの外傷で出血する場合、「急性硬膜下血腫」の診断名がつきます。また、頭の打撲後およそ1~2カ月経過して、この硬膜下腔に血液が徐々に貯留するケースは、慢性硬膜下血腫です。 貯留した血液(血腫)量が少なく、脳に対する圧迫が軽度であれば深刻な症状とはなりませんが、血腫が増えて脳実質を強く圧迫するようになると、半身麻痺や言語障害などの神経症状を呈し、高次脳機能障害の原因となります。受傷初期では意識障害を来たし、圧迫が増大し続ければ命を落とします。  続きを読む »

 本日の病院同行は以前、別の依頼者(膝の骨折)のリハビリでお世話になった整形外科です。

 丁寧に治療やリハビリを行ってくれただけではなく、後遺障害診断書にもしっかりと心配りしていただいた医師です。このような院長先生のいるクリニックは大抵混んでいます。評判が評判を呼ぶのでしょう。また特徴が共通しています。

1、受付の事務の方が笑顔、丁寧な対応。

2、看護師も笑顔できびきびと動き回っている

3、理学療法士の先生も明るく親切

4、そして医師は患者の声に真摯に耳を傾ける

 このような共通点があるようです。逆に昔ながらの威張った先生、つっけんどんな受付、冷たい看護師・・・これらは押しなべて後遺障害診断書もいい加減、書きたがらない、待たせるなどの特徴が一致します。

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日本心身医学会で津田教授(川崎医科大学)によって報告されたレポートによると・・・

 「初診患者2000人の内742人(約36%)が心身医学患者で、病気の中で最も多い風邪の2倍である。病状の内訳でみると、肉体的には全く異常がないのに、腹痛や頭痛や手足の痛みや視力の低下を訴えた人が547人 残る195人は、下痢や吐き気がする過敏性腸症候群など、心の状態(病気ではなく、健康度が低下した状態)が強く影響する身体の病気(心身症)だった。」

 このように程度の差はありますが心を病んでいる人は多く、3人に1人という臨床上の統計データが存在します。実数のカウントが非常に難しい疾病ですが、通院や薬を服用するほどでもない、鬱やノイローゼの人は確かに多いようです。  心身症、これも交通事故外傷と無関係ではありません。例えば自分に何も落ち度がないのにある日、交通事故でケガを負って日常生活に多大な損害を受けます。痛みなどの苦しみに加えて、加害者、病院、保険会社、職場、あらゆる第三者が関係してくることになります。まさにストレスの洪水が押し寄せるのです。先の統計数値では3人に1人が心身症患者です。事故で心の病が発症、もしくは増悪することは想像に難くありません。

 「この患者(被害者)の症状が長引くのは心の病のせいでは?」対応する医師や保険会社担当者が被害者に対してこのような偏見をもっても無理はありません。誰も自分の苦しみを分かってくれない・・・確かに辛いと思います。しかしこのような状態で相談会にやってきても私たちのできることは限られています。私たちの仕事は交通事故外傷の適正な評価をさせ、後に弁護士によりしかるべき賠償金を確保する。つまり「お金をたくさん取ることです」。身も蓋もない物言いですが、実利ある解決のお手伝いに尽きます。したがって心身症の対応、治療は心療内科の先生の仕事であって、私達には解決できない相談なのです。

先日のむち打ち被害者と会話

Aさん:「事故のせいで寝れなくなったので心療内科で睡眠薬を処方してもらいました。これから心療内科にも通います!」

秋葉:「辛いのはわかりますが、後遺障害は諦めますか?」

Aさん:「どうしてですか、事故で精神的におかしくなってしまったのですよ!」

秋葉:「しかし半年後、『むち打ちで痛みが残った』と症状を訴えても、Aさんはこれから心身症患者になりますので、症状も心因性、つまり心の病気のせいとされますよ。だって心を病んでいる人の訴える『痛い』など信用されると思いますか?」

Aさん:「そんな・・・」

秋葉:「Aさん、そんな弱々しい精神では交通事故賠償で勝てませんよ」

 このように叱咤激励することもあります。それでも自ら心身症患者を名乗るのなら私の仕事はここでおしまい。後は心療内科の先生にお任せすることになります。

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 サイエンス記事からコピペ、手抜き記事ですが、まずはご一読を。  

 再生医療というのは、病気や怪我などで傷ついたり機能を失ったりした体の細胞・組織・器官(臓器・筋肉・骨など)の再生や機能回復を目的とする医療技術の総称である。生きた組織や器官を移植する皮膚移植・骨髄移植・臓器移植だけでなく、人工材料で作られる義手・義足・関節、そして身体機能回復訓練のリハビリテーションなども広い意味での再生医療とされている。

 ただし、こうした方法では難病の根本治療には至らず、臓器移植にはドナー(臓器提供者)の不足、臓器移植後の免疫拒絶反応リスク、他人の臓器を移植することに対する倫理上の問題なども指摘されている。

 このため再生医療で注目されているのが、患者自身や他人から採取した幹細胞を移植して組織や器官を再生する技術だ。幹細胞というのは組織や器官に成長(=分化)する細胞のことで、分化能力を保ったまま自己増殖する能力を持っている。体の組織や器官が傷ついた場合に、残存する細胞の中で幹細胞が増殖し、傷ついた部分を修復して元の状態へ回復する現象を再生と言う。骨髄造血幹細胞、神経幹細胞、筋肉幹細胞などが知られているが、これらの幹細胞は分化できる範囲が限定される。そして、近年特に注目されているのが皮膚細胞などから作製するiPS細胞(人工多能性幹細胞)がある。

 iPS細胞は受精卵のように体を構成するすべての細胞に分化できる能力を持っている。そして患者の皮膚細胞から作製したiPS細胞を、治療に使う神経や筋肉などの細胞に分化させ、患者に移植することで病気や怪我で失われた機能を回復させることが可能になる。皮膚という完全に分化した状態の細胞に4つの遺伝子を組み込むことによって受精卵のような状態に戻し、受精卵と同様の万能性を作りだしたことが画期的とされ、生物学の常識を覆したと言われている。

 ES細胞の場合は患者と別人の細胞のため免疫拒絶反応リスクが大きくなるのに対して、iPS細胞の場合は緊急時などを除いて患者本人の細胞のため免疫拒絶反応リスクが小さく、倫理面の課題も少ないと考えられている。iPS細胞の基本特許は2009年に日本で成立し、2011年7月に欧州、そして8月には米国で製法に関する特許が成立している。

 iPS細胞による再生医療実用化に向けた課題としては、発がんリスクを低下させる技術、緊急時など他人のiPS細胞を利用する場合に備えたiPSバンクの整備、安全性や品質に関する基準・規制の策定などがあるが、動物が本来持っている自己再生能力を最大限に活用するため、iPS細胞が未来の再生医療の本命という見方が有力である。

     昨年、日本のiPSの最前線、京大の先生から半月板の手術についてご講義を頂きました。その先生は関節の専門医で、半月板の修復・再生手術について日本でトップクラスの技術、実績をお持ちです。研修後の会食でも、術式の説明が続きました。

 交通事故で膝の半月板など軟骨の損傷を負った場合、血の通っている骨と違い、血の通っていない軟骨部分は、自己修復ができないのです。つまり、骨折はくっつくが、軟骨がつぶれたら再生不可能が基本です。そこで損傷した半月板の修復は外科手術が必要となります。手術方法はいろいろありますが、影響のないところの半月板を円形にくり抜いて、損傷個所に埋め合わせる移植術があるそうです。この移植術も半月板組織をiPS細胞の培養で作ることが可能となるはずです。    交通事故外傷で重度の骨折の手術の場合でも、腸骨や腓骨など比較的人体に影響のない骨を採取し、損傷個所に使う手術が多くあります。これもiPS細胞ですべて解決できる未来が目前のようです。    

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 膝や肘など関節部分を骨折すると、高い確率で後遺障害が残ります。ざっくりと後遺障害の指針を示します。   1、骨折の癒合後の骨変形や転位(ズレてくっつく)、関節面の不整による可動域制限   2、骨折が完全に癒合しなかった場合、偽関節による動揺関節   3、骨折と併発した靭帯損傷、軟骨損傷による痛みから、関節が曲がりづらい   4、骨折と併発した、もしくは単独の靭帯断裂、靭帯損傷(靭帯が伸びてしまった)による動揺関節   5、骨折と併発した軟骨損傷による、関節の隙間の狭小化による可動域制限   6、骨折が正常に癒合したが、関節硬縮や疼痛による可動域制限(ただし、14級9号止まり)   7、靭帯や半月板が損傷し、疼痛による可動域制限(14級~12級)      さて、もうお解りと思いますが、関節の機能障害は大きく分けてこの2種です。赤は関節の動きが悪くなったもの(可動域制限)、青は関節がぐらぐらになったもの(動揺性)です。両者は同じ骨折を契機とした障害であっても、障害の種類が違うのです。    可動域制限は、ケガをした腕(膝)と、ケガをしてしない方を比べて、4分の3位までしか曲がらない(12級)、半分しか曲がらない(10級)、硬直、ほぼ曲がらない(8級)と基準が分かれます。

 (ただし、自賠責保険は、この計測だけをもって判断しません。画像上、損傷と一致していないと疑われます。)    動揺関節は、労災の基準では、硬性補装具の使用状態から12級(たまに装着)、10級(重労働時には装着する)、8級(お風呂以外は常時装着)とします。膝の靭帯が損傷、多くは不全断裂によって、緩んでしまったので、装具をつけないと膝がぐにゃっと崩れます。とくに、階段を降りる時は恐怖だそうです。

 (ただし、自賠責保険は、装具の装着だけをもって判断しません。画像上、損傷と一致していないと疑われます。)    通常、「可動域制限と動揺関節は並立しない!」これが原則です。この2つの機能障害の次いで、茶色の神経症状の残存(痛みやしびれの継続)が検討されます。この審査の視点に乗って進めないと、後遺障害の立証が迷走します。    例えば、骨折後、靭帯の複合損傷で動揺性が残ってしまった障害であるのに、靭帯損傷や補償具の使用頻度に触れず、関節可動域の数値が記入されている後遺障害診断書を見たことがあります。つまり青の種類の損害なのに、赤を主張している診断書です。これはズバリ的外れ。当然ながら可動域は、ほぼ正常なので、骨の変形や転位がなければ、茶色の12級13号もしくは最悪14級9号の判断が返ってきます。    お医者さんも、その辺をよくご理解していない状態で診断書を書いてしまうことがあります。だからこそ、障害の予断が大事なのです。「このケガであれば、このような障害が残りやすい」と予想し、「可動域制限なのか動揺性なのか」を明確に区分しておくのです。これこそ、秋葉の仕事です。医師の「治療」と障害の「立証」を結びつけることなのです。

 

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 骨折や靭帯損傷などの器質的損傷がない傷病名、例えば頚椎捻挫、腰椎捻挫の場合、神経症状が残存すれば14級9号の対象となります。しかし椎間板ヘルニアの圧迫所見、その他明らかな変性がある場合は器質的損傷ありとして、12級13号の判断となります。

 しかしこの器質的損傷も外傷性であるか否かの議論を残します。多く場合、事故の外傷で骨が一気に変形することなどなく、仮に外傷でヘルニアが飛び出るような衝撃となると命に係わるケガです。しかし年齢変性であってもヘルニアや骨棘(骨の角が変形してとんがった)が脊髄や神経痕を圧迫している画像を見ると私の目の色も変わります。

 ← たとえばこんなMRI画像

 これは12級にせねば! 続きを読む »

 本日サッカーワールドカップアジア最終予選、日本vsオーストラリア戦です。引き分け以上で予選突破です。今夜決めたいですね。

 さて半月板損傷の長友選手が復帰しそうです。かつて本田選手も経験した半月板損傷、これはサッカー選手の職業病、かなり多いケガです。交通事故外傷でもおなじみで、大腿骨や脛骨の顆部骨折で一緒に痛める症例を何度も経験しています。その際、外傷による完全な断裂であれば、文句なく後遺障害の対象となります。しかし微細な損傷では陳旧性(古傷)の疑いとなります。これを読影するには専門医の力を借りねばなりません。最近、専門医の診断に立ち合い、初歩的な指導を受けてまいりました。

 まず復習→ 半月板損傷・・・専門医の診断から

 それではお待たせしました。「わさわさ」した画像を見てみましょう。

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 交通事故は「もめごと」です。単独事故を除き、加害者と被害者の(第3者も加わるケースもありますが)争いとなります。当然お互いが権利を主張し合えば難しい交渉に発展します。しかし単なる2者のもめごとで済む問題ではありません。交通事故の場合、保険会社、病院、修理工場、健康保険、仕事・通勤に絡めば労災・・・等あらゆる機関が介在してくるのです。これが事態を複雑にすることが多々あります。

 本日の市役所同行もまさにそのケース。注意喚起の意味を込めて紹介しておきます。(若干フィクションを織り交ぜています)

1、事案は?

 被害者は停車中、追突されて腰椎捻挫となりました。相手は任意保険に加入しており、治療費を自由診療扱いで病院に精算してくれました。ここまでは普通です。

2、治療先は?

 被害者は今までにない下肢の痛み、しびれに苦しみ、改善が進みません。遠距離の病院への通院も辛かったので、近所の接骨院をメインに治療を進めました。病院へは月一回の診察のみです。

3、長期化する症状

 それから半年、症状の改善がないまま、相手保険会社は一方的に治療費を打ち切りました。打撲・捻挫で半年を超える通院は非常識とのことです。しかし本当に痛み、しびれは治っていません。仕方がないので健康保険を使って通院を続けました。

4、一年が過ぎ、症状固定へ

 さすがに治療の効果も薄れてきました。このままではいつまでも解決しないので、ここで症状固定とし、後遺障害診断書を医師に依頼しました。接骨院では診断書が書けないので断られたからです。・・・しかし病院は今更、健康保険での通院と診断書の依頼に対しつっけんどんです。なぜなら保険会社から治療費の打ち切りをされている状態ですので、もめごとに巻き込まれたくない、さらに接骨院をメインに治療費を払い、病院へは月一回、これでは面白いはずがありません。

5、それでもようやく診断書を書いてくれました。

 散々待たせて適当な(?)診断書が出来上がってきました。相手の保険会社の担当者とも関係が良くないので、直接、自賠責保険の被害者請求で進めることにしました。

6、必要書類を集めなければなりません!

 一人で請求書類を集めてなんとか提出しましたが、自賠責保険から、「全治療中の画像、そして診断書・診療報酬明細書(レセプト)を提出して下さい!」と追加の催促がきました。保険会社から治療中の診療報酬明細書のコピーをもらいましたが、それは打切り前までの分。それ以後は病院に請求しなければなりません。しかし病院は「画像は主治医の許可がないとダメです」と。そしてレセプト類も「健康保険に対し提出してしまったので、二重発行はできません」と言って請求に応じてくれません。

 ここで、手続がストップしてしまいました。病院、保険会社を何度も往復しても一向に埒があきません。

 なんで被害者の自分がこんなに大変な思いをするのか・・・

 つづく

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 朝一の新幹線で長野へ。先ほど事務所に戻りました。

 大きい病院には社会福祉士の先生が在籍する患者相談室があります。後遺障害の立証には主治医の協力が欠かせませんが、何かと相談室にもお世話になります。本日も検査内容・データの開示をお願いに伺いました。

重い障害者の場合、足りない検査があるのに診断書が書かれてしまっては大変です。医師は通常、治療やリハビリのための検査しか行いません。しかし後遺障害の正しい評価には治療とは関係のない検査も必要なのです。また後の賠償交渉にも重要な証拠として残ります。ここに治療側と障害立証側の「理解の壁」が存在します。

 ご理解を頂くためには新幹線代など気にしていられません!何度でも通うつもりです。なぜなら本件の後遺障害認定には被害者の一生がかかっているからです。こちらの立場、希望が上手く伝わらなくて、もどかしいことが続きますが、必ず誠意は通じるものと思っています。頑張らねば!

    まだ桜が残っていました。散り際です。     ほぉー、日本で一番海から遠いと・・

 

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 私たちの相談会では被害者さんにレントゲンやMRIを持参するようお願いしています。 

 後遺障害の予断には、レントゲンやMRI、CT画像の読影が欠かせません。もちろん私たちは医師ではありませんので、障害についてある程度の見当をしますが、正確・詳細な診断はできません。当然ながら診断をした主治医の判断を重んじます。しかし、レントゲンならまだしもMRI、CT、その他最新の画像検査の読影は専門性が高く、現場の医師も読影には大変苦戦しているのです。  興味深いレポートがありましたので紹介します。

日本放射線科専門医会 遠隔画像診断に関するガイドライン(以下 抜粋、要約) 

 現在の医療において、画像診断は急性・慢性疾患を問わず医療を遂行する上で大きな役割を担っており、国民皆保険制度の下ですべての国民は適切な画像診断による医療の恩恵を浴する権利を有している。しかしながら、地域医療格差という現在の我が国の医療問題は画像診断にも及んでいる。その問題の根底原因のひとつには米国に比べ人口比0.3にすぎないといわれる画像診断の専門医不足があると考えられる。一方では、世界に類を見ない多くのCT, MRI機器の存在と地域分散があり、我が国の画像診断医療においては、いわば「量と質の不均衡」が発生している。

 これらの問題を解決するための一つの方法が画像診断の専門医による遠隔画像診断である。画像診断を専門とする医師が時宜を得た的確な画像診断を下すことにより、常勤画像診断専門医のいない医療機関においても一定レベル以上の画像医療を享受することが可能となり、医療の効率化も図られる。ただし、医療の質の向上を目的とする遠隔画像診断の質を担保するためには、正確で迅速な画像データならびに患者情報の転送、過去画像等の検索機能、適切なレポーティングシステム等が必要であり、また、画像診断の専門医による読影が不可欠である。

 遠隔画像診断とは、読影を現場の医師の診断から切り離して放射線科の専門医に委ねる、一種のアウトソーシングです。これは既にアメリカでは一般化しつつあります。画像を読み違えるミス、見落とすミスは即、医療過誤の追及にさらされる訴訟社会=アメリカなら無理もありません。日本では医療過誤対策というより、先の文章にあるように画像診断医不足と画像診断をあまねく地域医療に生かすことが第一義的な目的のようです。

 本題に戻ります。私たちもこのような流れを当然に意識しています。現在、放射線科の医師に後遺障害の立証作業への指導・協力を仰いでいます。医師の正確な判断なくして障害の立証はできません。後の裁判にも有力な証拠となるのは画像と専門医の診断です。後遺障害立証のコアはまさにここです。

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