昨年から、”JA自賠責共済の審査を、自賠責保険の調査事務所に任す”との報が届いていました。最近、JAへの審査案件で具体的な回答がいくつかあり、いよいよ実体の把握に至りました。    具体的に説明しますと、

「(JA共済連で行っていた)JA自賠責共済にかかる損害調査業務を、平成28年10月1日から、平成30年10月までを目処に、その調査業務を損害保険料算出機構・自賠責損害調査事務所に移管します」

 とのことです。今年に入って関東各県では移管が完了しているようです。    これは私達にとっては大変喜ばしいことなのです。今まで、数々のJA自賠責共済の認定でびっくりするようなジャッジを受けて、再請求(異議申立)の手間が増えていました。14級9号は明らかに自賠責保険の審査より厳しかったと思います。さらに、難事案の調査・審査について、農協職員に審査能力があるのか?と思っていました。

 例えば、高次脳機能障害、PTSD、そして異議申立(再請求案件)です。これらは、自賠責保険でも特定事案として、特別な「審査会」に移送して調査・判定をしています。代表的な審査会として、以下3つが挙げれます。   1、脳外傷による高次脳機能障害に該当する可能性がある事案等

2、非器質性精神障害に該当する可能性がある事案等

3、異議申立事案    このように、自賠責保険では外部の医師、弁護士を交えた専門部会で慎重な調査・判断をしていますので、一定の信頼を置いていました。しかし、これら難事案であっても、自賠責共済はJAの各都道府県にある本部組織である「共済連」で決めてしまっていたのです(例外的に15年前、高次脳機能障害は自賠責の専門部会扱いとしました)。特に被害者の一生がかかった後遺障害等級を、加害者側が審査・決定していいのか!と怒りにも似た感情も沸きました。事実、実態より低い等級が判断され、現在も連携弁護士の訴訟にかかっている案件もあるのです。    かつて、身内審査との批判をしたことがあります。⇒ JA自賠責共済の審査・・14級9号は?    「14級9号の初回申請はとりあえず非該当にしとくのか!」、「せめて、後遺障害の審査だけでも自賠責保険の調査事務所に任せてもらえないか?」、私一人が吼えたところで・・でした。今まで、このJAの身内審査について、問題提起する声をそれ程多く聞きませんでした。つまり、批判の声からの改正ではなく、組織内のスリム化の要請からかもしれません。それでも、弁護士を含めた私達のような業者はもちろん、なにより、事故相手がJA自賠責共済に加入していた被害者にとって朗報なのです。きっと、心あるJA担当者もホッとしているのではないでしょうか。

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20120117  下腿骨は脛骨と腓骨の2本の長管骨です。これも大腿骨に同じく、きれいにポキッと折れた場合は、わりと問題なく癒合します。しかし、骨折箇所が膝関節と足関節に接近すればするほど、後遺症は必至となります。手術での整復が完璧であっても、関節部の完全回復は難しいようです。下記実例が示すように、日本一を名乗って良いくらい、あらゆるパターンの下腿、足、足指のケガが網羅されていますが、その多くは関節部です。

 また、折れた骨が皮膚を突き破ってしまう、いわゆる開放骨折は感染症の危険にさらされます。MRSAなどに感染すると、骨折面の骨を洗うというより、ゴリゴリ削らなければなりません。これで、癒合が相当に遅れてしまうのです。難治性骨折となった患者さんは、感染症に対応できる病院、イリザロフ法などが可能な病院に転院しなければなりません。だらだらと何ら対策せず、骨癒合を待つだけの病院にいてはいけません。下肢の障害では何度もその悲劇をみてきました。早めのご相談をお願いします。まず、最善の治療を選択すべきです。障害等級は低いに越した事はありません。  

 

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 大腿骨は太ももの骨です。経験上、ポキッときれいに折れた場合、癒合もよく、深刻な障害が残りません。やはり、深刻となるのは、股関節部、膝関節部の骨折です。人体の関節部は精密にできており、この部分に骨折が及べば、ほとんどのケースで何らかの障害を残します。また、骨折が無くとも膝の半月板や靱帯の損傷も厄介です。 c_g_l_7720150410_3  骨折後の変形から靱帯損傷、半月板損傷、膝関節の可動域制限あるいは動揺性・・秋葉事務所では、同部位ほとんどのケガが網羅されています。  

 

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 関東の桜はもうすぐ開花しそうです。 

 明日は高崎相談会ですが、群馬県での相談会は久々となります。 

 今回は少な目の予約状況ですので、相談枠に余裕があります。近隣の方はこの機会に是非ともご利用下さい。お電話をお待ちしております。

 ご案内 ⇒ 高崎相談会  012-1  交通事故の解決には早期からの計画が大事です。一緒に解決までのロードマップを敷きましょう。      

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佐藤イラストsj佐藤もびっくり

 頚椎捻挫や腰椎捻挫で14級9号を狙う方には、通院回数についてアドバイスさせていただきます。    「医師の指示のもと、リハビリを続けてください。その結果、症状の残存があれば後遺障害申請を進めましょう。」  弊所では整形外科でのリハビリを推奨しています。しかし、整形外科は混みますし、遅い時間や土日祝日はやっていない。会社勤めの方には非常に通院するのが厳しい状況です。そのような中、夜遅くまで営業し、尚且つ土日祝日も営業している接骨院や整骨院は頼れる味方です。リハビリの内容や対応もサービス精神旺盛でついつい通いたくなるのです。私も小学生の時に骨折した際には、接骨院でリハビリに励みました。

 しかし、後遺障害申請の14級9号に関しては、あまりいい結果を生みません。保険会社(自賠責調査事務所)は病院(整形外科)の通院回数を重視しています。例え、医師の指示により接骨院でリハビリをしていたとしても・・厳しい評価となります。相談会にいらした方や、お電話での相談を受けた方にも、整形外科での通院をお勧めしています。もちろん、接骨院や整骨院に腕のいい先生はたくさんいらっしゃるので、効果を否定しているわけではありませんが・・・。

 なぜ、自賠責ではこのような現象が起こるのでしょうか。先日お電話で相談があった案件を再現いたします。   弊所 「今までの治療経過を伺ってもよろしいでしょうか?」

相談者「はい。受傷から5ヶ月間は自由診療で整形外科と整骨院を併用して治療を行ってきました。整形外科に週1回程度、整骨院には週2回~3回程度です。その後は健康保険に切り替えて、立替払いで整形外科のみ通院しています。」

弊所 「なぜ急に健康保険で立て替え払いになったのですか?」

相談者「保険会社さんから連絡がありまして…。どうやら整骨院からの請求が異常に高額だったようです。確認したところ、通院回数も水増し請求しているようでした。」    このようなことが多発したため、施術料の支払いはもちろん、後遺障害申請における通院実績として判断してくれないのかもしれません。

 被害に遭ったときから後遺症の事を考える方は、ほぼいません。接骨院・整骨院で完治するのであれば、それもいいかもしれません。ただ、障害が残ってしまった場合には要注意です。いつの日か両者が和解する日が来るのでしょうか。 jusei002続きを読む »

 頭部外傷によって、忘れっぽくなった(記憶障害)、段取りが悪くなった(注意・遂行能力の低下)、すぐキレる(易怒性)、元気がなくなった(易疲労性)、性格が変わった等・・が起きてしまいました。家族は以前と変わってしまった被害者を前に困惑しています。しかし、必ずしも主治医が「高次脳機能障害です」と診断するわけではないのです・・・    高齢者の場合 ⇒ 医師「お歳なので痴呆のせいですよ」

    = 単なる認知症にされてしまう  

言葉が乱暴、医師に反抗的? ⇒ 医師「(怒りっぽい人だなぁ)ケガは治ったので退院しましょう」

    = 医師は事故前の患者の性格を知らない  

脳内出血が止まった ⇒ 医師「もう危険は去りました あとは安静にして下さい」

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 秋葉事務所では、高次脳機能障害のご依頼を常時10件ほどお預かりしています。

 しかしながら、最近、相談数そのものが減ったように感じます。事故自体が減ることはよいことです。ただ、心配していることは、既に他事務所に相談・依頼している被害者(ご家族)さまからのセカンドオピニオンの増加でしょうか。その相談者の多くは、現在の依頼先事務所に対して、契約前の宣伝文句から程遠い、頼りない対応に不安を抱えているようです。残念ながら、担当した弁護士や行政書士が高次脳機能障害の経験に乏しかったのでしょう。  20140508  法律事務所やNPO団体、業者による相談誘致が増加、熾烈を極めているようです。ネット上の広告攻勢で相談先が評価されてしまうとすれば、由々しき問題です。なぜなら、ほとんどのHPは専門書から転用した知識の記述に終始して、肝心の障害の立証方法や誘致できる病院の確保については書かれていません。事務所の実力は正にここで、多くのHPはその実力が未知数です。単に書類を取りまとめて申請するだけの事務所に任せてしまったら、重大な見落とし、検査不足、書類不足・・つまり、等級が軽く評価されてしまう危険性があるのです。

 したがって、再三ですが、以下のように呼びかけます。  

高次脳機能障害の相談は実績で選んで下さい

 現在、ネットの世界では多くの弁護士が「我こそ高次脳機能障害の専門家」と名乗っています。専門的な解説がびっしりのHPを観て違和感を感じないでしょうか? 

 高次脳機能障害の認定数はおよそ年間3000件です。このわずかな認定数から、それ程多くの法律家が担当しているわけがないのです。つまり、年に1件あるかないかの受任数でも、専門書丸写しのHPで経験豊富とうたっているのです。やはり、宣伝が先行し過ぎの風潮を感じます。これもネット社会の功罪でしょうか。

 さて、前置きが長くなりましたが、以下の実績は本物です。私達がいかに高次脳機能障害に取り組み、成功したか・・・生きた記録の数々から、ご自身の類似例を探して下さい。必ず道は開けます。  c_n_9

 

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 「むちうちの12級は難しいからねぇ・・」

 相談先でこのような回答をされた被害者も多いと思います。 20140508_6  私達の見解は違います。むしろ、むちうち12級の認定を実にシンプルに考えています。12級は、画像所見で勝負が決まるからです。自賠責の基準は明快で、画像が一番の証拠と捉えています。他には筋電図のような検査数値です。これらを他覚的所見として、自身が訴える「痛み」(自覚症状)と区別しています。    × 症状がひどいから12級、それなりなら14級

○ 画像など明確な証拠があるものが12級、自覚症状だけだが信用できるものが14級    このように説明できます。     「私の症状はとても辛いです、12級になりませんか?」はおなじみの相談です。それでは、改めて実例ページから復習しましょう。秋葉事務所は常に実例からの説明を心がけています。    以下は、明確な画像所見から認定を得ました(特に2番目の栃木の方は明確な脊髄・神経根への圧迫画像を載せています)。そもそも12級レベルは、むちうちの後遺障害認定者100人に2~3名程度の確率なのです。  

   

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 これも珍しいケースです。

 指の伸筋腱とは、指の背側に張り付いて、指をまっすぐ伸ばす時に、手の甲から指を引っ張る役割をしています。この腱が断裂すると指が伸ばせなくなり、ただちに手術で再建します。軽度の損傷では保存療法となります。本件の場合、伸筋腱が指のMP関節(根元の関節)で外れてしまったのです。幸い、指の曲げ伸ばしに深刻な影響はなく、痛みと不具合が残りました。手先を使う細かな作業には影響があるといえます。ピアノを弾く方ならご理解いただけるでしょう。

  zimu80  自賠責の判断はやはりと言うか、14級9号での評価となりました。 後日談ですが、元々、指の伸筋腱が関節部で外れて動く人もけっこういるようです。担当した弁護士さんもそうでした。  

14級9号:手指・伸筋腱脱臼(40代女性・静岡県)

【事案】

自動車で交差点を直進のところ、右方より一時停止無視の自動車に側面衝突を受けた。頚椎捻挫の診断のほか、右手の甲、人差指~中指のMP関節部を傷めた。

【問題点】

右手の診断名は伸筋腱脱臼となった。手の甲(中手骨)から示指(人差指)、中指にかかる指の靱帯が、指の屈曲時に左右に動くようになってしまった。これは、どのような後遺障害に該当するのか? 続きを読む »

 交通事故外傷の実に65%を占めるむち打ちですが、単なる捻挫・打撲ではなく、神経症状を伴うものは症状が長期化する傾向です。しかし、保険会社は「捻挫・打撲でいつまで通っているんだ(怒)!」と3ヶ月以上の通院は許さない姿勢です。確かに、大げさに症状を訴える者、心因性の被害者が多いと思います。その中から、症状が嘘偽り無くある被害者さんを救わねばなりません。その点、症状の一貫性、信憑性から認定の余地がある14級9号「局部に神経症状を残すもの」は大変便利な評価基準です。

 秋葉事務所でも、この14級9号を想定して、多くの傷病名から認定を引き出しています。

 「14級9号を知る者が後遺障害を制する」

 と後進に指導しています。これら好取組みの中から、いくつか紹介しましょう。 佐藤イラストsj佐藤が担当しました!   

14級9号:めまい、14級相当:耳鳴り(50代男性・群馬県)

【事案】

自動車搭乗中、急な飛び出しを確認したため急ブレーキをかけたところ、車間距離をとっていなかった後続のトラックに追突される。直後から頚腰部痛のみならず、手足のしびれ、頭痛等、強烈な神経症状に悩まされる。特に、めまいと耳鳴りが受傷後から残存した。

【問題点】

症状固定の月、最後の診断では眼振検査で異常がみられなかった。また、頚椎捻挫で難聴・耳鳴りが発症するのか? 続きを読む »

 かつて、4肢骨折、つまり、腕と脚4本すべて骨折した被害者さんや、高次脳機能障害と骨折4箇所、内臓損傷に嗅覚味覚障害、醜状痕が重なった重傷者も担当してました。これらは実に4人分の立証作業になります。

 本件も残存する症状が多肢にわたり、両手首と右脚のケガがメインながら、被害者さんの転勤で治療先が大阪と東京に分かれ、医師の見解にもばらつきがあって、大変な作業となりました。山本の奔走で結果的に併合9級になりましたが、併合等級の計算上、14級をいくら加えても等級は上がりません。すると一見、無駄な努力に思われます。しかし、引き継いだ弁護士が賠償交渉をする上で、障害の部位数が多いことが慰謝料増額の交渉材料になりうるのです。

 何より、被害者の心情としては、被ったすべての障害をしっかり認めてほしいのです。   山本さんイラストsj山本は大阪と東京の病院を2往復!  等級を完璧に捉える姿勢は、もはや、後遺障害界のアーティストか?  

14級9号:前十字靭帯損傷、14級9号:距骨骨挫傷(40代男性・東京都)

【事案】

オートバイで交差点直進中、対抗右折自動車と衝突、その衝撃で左側路外に逸脱、転倒した。受傷から、両手首、左膝、右足首、臀部に強烈な痛みが生じる。

【問題点】

当初の診断名が右橈骨遠位端骨折、左手関節部挫傷・打撲となっていたが、その後すぐに自宅近くの病院に転院し、左手に関しては左有鈎骨骨折、左膝捻挫の各診断となった。ところが、その時点では前十字靭帯損傷、右距骨骨挫傷の診断名が記載されていなかった。事故から2カ月経過後、ようやく左前十字靭帯損傷、右距骨骨挫傷の診断名が確認できた。その後、PTSD、網膜裂孔等次々に診断が増えていくことになった。

相談会では、現在の症状の確認と手持ちのすべての画像を確認することから始まった。網膜裂孔についてはすでに後遺障害診断書にまとめられていたが、診断書や症状を確認して、PTSDと共に等級は認められない可能性を説明し、残りの両手首の疼痛・可動域制限、左膝の疼痛と不安定感、右足首の疼痛でそれぞれ等級を確保すべきと説明した。

また、転勤で地元を離れて東京に住むことになったため、手術・検査が可能な治療先の確保も急いだ。

【立証ポイント】

膝のMRIを確認したが明確に映っておらず、専門医に診て頂く必要があった。大阪まで病院同行したが、地元の主治医は下肢の治療についてはあまり関心を示さず、膝や足関節の専門医の紹介状は書いて頂けなかった。症状固定をする前にどうしても下肢について検査をする必要があったこと、また引越し先で本格的な治療をする必要があったことから、なんとしても紹介して頂く必要があった。そこで、主治医に以前リハビリのために紹介して頂いた東京の整形外科へ行き、下肢の治療の必要性を本人と共に伝え、膝についての専門医の紹介状を入手することができた。ひとまず膝について先に診察、検査を実施して頂くことに成功する。

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 本件は足関節の機能障害ですが、ご高齢ながらご本人のリハビリ努力である程度の回復を果たしました。 kansetu_4 もちろん、被害者最大の努めは回復努力です。しかし、適切な時期に症状固定をしないと、中途半端な回復で後遺障害等級が薄まります。何度も言いますが、これは後遺障害等級・賠償金を目当てとした姑息な作戦ではありません。骨折の場合、折れ方や手術内容、癒合状態や理学療法の成果、これら画像所見を中心とした各情報から自賠責は可動域制限の程度を検討します。ゴニオメーター(右写真の関節用分度器)の計測数値だけで全てが決まるわけではないのです。

 本件は特に、高齢者の三果骨折です。若い人がよく治ったとして、12級は間違いないと予想できます。しかし、本来は10級の後遺障害を想定すべき程の骨折様態でした。リハビリ直後の一番コンディションが良い時の計測値が障害の数値でしょうか? 高齢者の場合、症状固定後も回復が進むとは思えません。むしろ、若い人と違って再生力が弱く、活動量が少ないため、可動域が悪化する懸念を持ってしまうのです。    すると、本件の12級は正しかったのでしょうか?   akiba やはり、適切な時期に10級の審査を仰ぎたかった。「事故の後遺障害に加齢による悪化を予想、斟酌すべきか?」・・あくまで症状固定日の状態で診断する、が正しいです。 それでもお婆ちゃん子だった私は、お年寄りの被害者にはそう思ってしまうのです。  

12級7号:足関節脱臼骨折(70代女性・埼玉県)

【事案】

横断歩道を歩行横断中、対抗右折自動車の衝突を受け、受傷。足関節は三果骨折となり、プレート固定術を施行。その後、関節可動域の改善の為、リハビリを継続した。 三果とは下図、脛骨・脾骨の遠位端の角を指します。この距骨に接する骨の接合面が骨折して脱臼するので、関節の機能障害はほぼ確実となる。 続きを読む »

 弊所の案件の一定数は弁護士事務所からの依頼です。

 とくに、病院同行・医師面談、検査手配・立会、画像分析の実動業務は専門性と経験が必要です。交通事故に精通した弁護士先生ほど、医療調査を軸とした立証作業と等級申請を重視しています。本件のオーダーはシンプルながら、難易度が高いものです。誤計測の可能性があった足関節の可動域数値の再検証と修正です。

 弁護士で自ら医師面談をされている先生もおりますが、餅は餅屋、ここは私達にお任せ下さい。ご期待に応えます! coordninate

12級7号:足関節脱臼骨折(40代男性・千葉県)

【事案】

バイクで交差点を直進のところ、対抗右折自動車と衝突、受傷したもの。足関節の内果(脛骨)と外果(尺骨)、つまり、両くるぶしを骨折して脱臼した。

【問題点】

当然のように足関節の可動域に制限が残った。しかし、医師の計測数値は、わずか5°差で非該当の角度であった。受任した弁護士は諦めきれず、「秋葉君、なんとかならないかね」と依頼してきた。

本人のリハビリ努力で可動域を改善させた事は、後遺症を残すより良いに決まっている。しかし、画像を確認したところ、骨癒合は良くとも、わすかに転位がみられた。改めて本人の足関節を計測したところ、左右差はギリギリ4分の3以下、つまり、12級7号の数値となっている。私の計測の方が正しいはずである。「なんとかしましょう」とお受けした。

【立証ポイント】

早速、主治医に面談し、不承不承、再計測の理解を得た。うるさく計測に立会い、医師に計測をさせること3回、なんとか正しい数値に訂正していただけた。整形外科の医師といえど、理学療法士や作業療法士のように正しい計測を学んだわけではなく、往々に不正確な計測をするのです。 続きを読む »

 仕事柄、毎日のように診断書をみていますが、どうして医師は左右間違えて書くのでしょうか?    ケガをした脚は右脚なのに、左脛骨骨折。 足関節の可動域制限は骨折した左足首なのに、左右逆に角度を書く。 醜状痕は右腕なのに左腕にキズを図示。 右耳難聴なのに左耳聴力低下。 

 信じられないと思いますがこのような間違いは頻繁に起こります。だからこそ、診断書の記載内容はよく見てから受け取るべきで、まして保険請求や障害審査の場合は慎重に確認してから提出すべきです。もちろん、単なるミスであることがわかれば、保険会社や審査機関は修正のために返してくれます。しかし、不自然でなければそのまま審査されることもあり、ぞっとする話です。なぜ、専門家である医師がこうもよく間違えるものか・・間違いの原因を考えてみましょう。   1、忙しい

・・医師は毎日、多くの患者を診ています。当然ですが、まず症状を良く観察すること、適切な処置をすること、要するにケガや病気を「治す」ことが最優先なのです。診断書の記載は、言わば雑務でしかありません。急患が入れば、昼食もとらずに診察を続け、夜はくたくたに。したがって、診断書は週末にまとめて記載する医師が多いようです。溜ってしまえば、診断書を書くまで数ヶ月も待たされることもざらです。やはり、診断書の記載は気が抜けてしまうのでしょうか。 c_h_77 2、患者に向かって右は人体の左側?

・・医師は患者と正面から向かい合って診断をします。したがって、医師から患者に向かって右は人体の左側です。カルテの記載も画像読影も基本的に左右逆の状態が続きます。これも左右の間違いが多い理由の一つではないかと思います。 20140508_6 3、医師が書いていない?

・・ここに書く事が躊躇われますが、診断書を医師が書いていないことがあります。医師によっては手術をするような重傷患者を診ることなく、軽傷の診察が中心となります。整形外科の個人開業医や内科の個人クリニックがそうです。打撲捻挫や風邪の類で診断書を毎日のように依頼されます。すると、それらの記載を看護士や事務方に任せてしまうことが珍しくないのです。おじいちゃん先生の記載のはずが、丸文字=もろ女子!をよく目にします。もちろん、医師が最終的に記載内容の確認後、署名・印をすると思いますが、それすら怪しい病院もあります。そのような場合、患者を診ていない者が記載するので、やはりミスは起こりやすくなるはずです。    いかがでしょうか。自らの保険金、障害等級、それらの軽重もあるかと思いますが、自らの運命を決める一枚はこのような危うい状況を経ているのです。最近も、提出の直前に左右が逆に書かれた診断書に気付きました。医師の間違いに患者が気付かなければ・・・診断書を精査する私達の仕事ですが、潜在的ながら重要であると改めて思いました。

20060502続きを読む »

 靱帯損傷はそれが画像所見で明らかにならなければ、単なる捻挫となります。

 もちろん、捻挫であれば、消炎鎮痛処置を施せば月日と共に完治するでしょう。しかし、画像上、微細な(もしくは不明瞭な)靱帯損傷であっても、疼痛がいつまでも続く被害者さんを多数経験しています。その場合、無事に14級9号に収める仕事が望まれます。そのためには、できるだけ受傷初期から誘導していく作業になります。つい、捻挫扱いでMRIを撮っていない、湿布を貼るだけで病院に行かない・・確定診断の遅れもさることながら、適切な処置をしなければ改善すら遅れてしまいます。

 捻挫程度で保険会社がいつまでも治療費を払ってくれるわけはありません。長期の治療を確保するためにも14級が必要なのです。例え14級でも、最終的に慰謝料・逸失利益は主婦で200万円近くも増額するのです。 佐藤イラストsj佐藤がしっかり担当しました!  

14級9号:内側側副靭帯損傷(30代女性・埼玉県)

【事案】

道路工事の警備中、停止させていた車が急発進、衝突され受傷した。直後から腰部痛のみならず、足の強烈な痛みに悩まされる。

【問題点】

アルバイト中であったため、救急車は呼ばずに自力で帰宅して当日は整骨院で応急処置した。次の日に総合病院へ受診することに。その後1ヶ月間、病院の通院が空いてしまった。依頼を受けて、即、軌道修正に入った。

【立証ポイント】

次の日に受診した総合病院でレントゲン、触診により膝関節内側側副靭帯損傷となり、転院先のMRIでも所見有りとの診断となった。しかし、弊所の分析ではMRI画像上、明らかな断裂等、損傷は見つけられなかった。そこで、半年間しっかりリハビリするよう促し、14級9号認定を目指した。 想定通り、認定票の理由書では画像上、損傷等の明らかな異常は認められずとも、症状の残存を認めていただいた。続きを読む »

 下肢の実績例が溜まってきたので、シリーズで紹介します。

hiza まず、膝の損傷ですが、太ももの大腿骨、すねの脛骨、どちらを骨折しても、それが膝関節に近ければ、多くの場合で膝の靱帯や半月板に影響が生じます。したがって、靱帯や半月板の損傷を観察し、膝関節の機能障害(可動域制限or動揺性)や短縮障害、骨折部の変形や転位、最後にキズ跡である醜状痕を含め、複眼的に障害を追いかける必要があります。

 当然、併合や相当など自賠責のルールに熟達した者が設計図を描く必要があります。その作業は残念ながら医師の領分ではありません。医師の仕事はあくまで障害を残さずに治すことに尽きます。また、弁護士先生も相応の経験なくしては、間違いの無い後遺障害認定に漕ぎ着けません。

 繰り返しますが、後遺障害の申請とはくじを引く様な当てずっぽうな作業ではなく、設計図通りの併合等級に向けて計画的に進めるものです。  

合11級:大腿骨骨折・後十字靱帯損傷(50代男性・東京都)

【事案】  続きを読む »

山本さんイラストsjシリーズを続けます   ⑥ 関節面に異物が入ってしまった場合

 交通事故で関節を脱臼する方もいらっしゃいます。しかし、それだけではなく、脱臼と同時に骨折する方も中にはいらっしゃいます。診断名には脱臼骨折と記載されています。脱臼骨折の場合も治療方法は、基本的には脱臼や骨折と同様、関節をはめて(整復)、骨の癒合を目指すことになります。  

<脱臼の整復~肘関節の場合>   ①           ②           ③ IMG11続きを読む »

 最近、めっきり相談者の減った脳脊髄液減少症ですが、一昨年、健保治療が復活して名前も改められました。

 CSFH は、 Cerebro Spinal Fluid Hypovolemia の略語です。健保適用から自由診療、再び健保適用へと変遷にあわせて傷病名も変わりました。現在、脳脊髄液減少症は低髄圧液症候群に戻りました(現場では脳脊髄液漏出症も合わせ、主に3つの傷病名で呼称されています)。この謎の症例には以下の診断基準が存在します。

image2701   (1)症状(自覚症状)

起立性頭痛

 国際頭痛分類の特発性低髄液性頭痛を手本として、起立性頭痛とは、頭部全体に及ぶ鈍い頭痛で、坐位または立位をとると 15 分以内に増悪する頭痛と説明されています。

 CSFHを訴える患者さんは横になると症状が緩和されるそうです。また、応急処置として水分を取ることも有効のようです。点滴で体液を増やす?処置も多く目にしています。

体位による症状の変化

 国際頭痛分類の頭痛以外の症状としては、項部硬直、耳鳴り、聴力の低下、光過敏、悪心、これらの5つの症状です。しかし、多くの患者さんはこの5つに留まらず、あらゆる不定愁訴を訴えています。    (2)基準(他覚的所見)

MRIアンギオで、びまん性の硬膜肥厚が増強すること

 この診断基準は、荏原病院放射線科の井田正博医師が、「低髄液圧の ...

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 脳脊髄液減少症の相談は大分少なくなりました。MTBIの相談はその診断を下す医師の引退のおかげで、ほぼなくなりました。    交通事故外傷では時折、大流行する謎の傷病名があります。その2大傷病名が前述の脳脊髄液減少症とMTBIです。臨床上、脳脊髄液の漏出で重い不定愁訴で悩まされる患者さん、軽度の衝撃でも脳障害が生じる患者さん、いずれもその存在は報告されています。しかし、多くの執刀数をこなす脳神経外科の医師、脊椎はじめ神経科、精神科医の専門医のほとんどが懐疑的です。それらの傷病名は未だ科学的に解明されていないからです。専門分野の医師を科学者と読み替えれば、臨床上になんらかの症例が存在しようと、あいまいな定義からその傷病名の存在を肯定できないのです。もちろん、障害を調査・立証する私達としても医学の進歩を待つしかありません。

 現在、脳脊髄液減少症は低髄圧液症候群と名前を変え、以下の基準で診断されています。

 ⇒ 日本神経外傷学会による基準

 この基準全てを満たす患者さんに、未だ出会ったことがありません。極めて少数となるはずです。    それにしても、それら傷病名の信憑性を最も貶めていることは、”流行り廃り”があることではないでしょうか。一時期、相当数の患者さんが相談会に参加され、それが地方相談会でわかるのですが、各地に波及していきました。だいたい、インフルエンザじゃあるまいし、事故外傷による症状が流行するのでしょうか? 急に増えたり、下火になったりするわけはありません。

 また、根底に別の力が働いているのではないでしょうか。脳脊髄液減少症は、健保対応になったり、自由診療になったり、その都度、傷病名が変わりました。この謎の傷病名に熱心に取り組んでいる医師もいる一方、どうも政治や金の臭いがしてきます。ある特定の医師の診断を受けたら、その患者のすべてがMTBIになってしまうのもおかしなものです。その傷病名の存在が深刻であれば、もっと多くの医師から声が上がってくるはずです。そう言えば、一時期、積極的に取り組んでいた弁護士・行政書士も(傷病名を主張して争った裁判の連敗からでしょうか?)すっかり大人しくなってしまったようです。

 これらの傷病名について、事務所のスタッフへの指導や、研修会で弁護士先生から質問を受けた時、このように答えています。    「UFOは存在すると思いますか?」    ・・未確認飛行物体は確かにあるでしょう。空にある物の全てが常に確認できるものではないからです。問題はUFOは宇宙から宇宙人が乗ってきたと推定することが、認識の飛躍なのです。未確認=必ず宇宙人なのでしょうか? 光の反射、たまたま確認できない飛行機他、たくさんの可能性があるでしょう。それらを排除して宇宙人とは、まったくもって短絡的な決め付けです。どうして、そんなロマン溢れる説明に飛躍してしまうのでしょうか。 

 つまり、症状を訴える患者さんは存在するとして、その謎の症状のすべてをある傷病名に断定してしまうことがおかしいのです。 症状を訴える患者さん達は、別の疾患、更年期障害、神経症状の一環、心因性の関与等が多く含まれており、実はほとんどこれらが原因との指摘もあるのです。 yjimage2HG2MA3F  医学上、まだ研究段階にあるものを追いかけることは、私達の仕事ではないと思います。障害の立証作業は、ある種の謙虚さが必要です。病名はともかく、事故外傷・症状の深刻さを主張するお助けはできますが、不確定な傷病名を振りかざすなど、僭越極まりないと思うのです。  

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 2月は短く、あっという間の3月到来です。毎年、年明け~年度末は稼働日数の少なさから、バタバタしがちです。変化と言えば、3月から事務員のアルバイトさんが加入しました。    事務員さんの募集をしていますと、法律事務所出身の事務員の動きが目立つようです。クレサラの最盛期である5年前の大量雇用から、その業務の終焉と共に解雇が進んでいるのでしょうか。事務員だけではなく、多くのイソ弁・軒弁弁護士先生も移動が頻繁のようです。

 昨年から雇用は上向きと言われていますが、それは新卒者だけで、中途採用の市場はまだまだ、とりわけ中高年層は漂流状態と、ハローワークの職員さん、社労士さんは口を揃えています。  ben003new    弊所の業務は景気に関係ない業務と言えます。しかし、交通事故の発生数は減少の一途です。安全装置の向上や交通インフラの整備、安全意識の向上がその理由とされていますが、そもそも、車や人が減っているのですから、事故の発生件数も減って当たり前です。どの業界もパイ自体が減っている時代、新たな飯の種を見つけない限り、パイの食い合いとなります。    交通事故業界も同様、依頼者の数が減れば質が問われることになります。派手な宣伝攻勢は一部の大手さんしか出来ないでしょう。その点、小事務所は少々頑固かもしれませんが、目先の業務に振り回されないことが大事と思います。何より、選ばれ続ける事務所となるために、日々、経験と研鑽を重ねるのみです。  

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