有鈎骨骨折(ゆうこうこつこっせつ)
(1)病態
鉤骨折(こうこっせつ)とも呼ばれ、右手では、薬指と小指の中間、下方にある手根骨の1つで、手のひら側に、突起=鉤が存在する特異な骨です。交通事故では、バイクのアクセルを握った状態での出合い頭衝突で、右手に多く発症しています。自転車、バイクから転倒する際に、手をつくことでも発症しています。交通事故以外では、ラケットやバット、ゴルフのグリップを振ることで、有鈎骨骨折が発生しています。
有鈎骨骨折(ゆうこうこつこっせつ)
(1)病態
鉤骨折(こうこっせつ)とも呼ばれ、右手では、薬指と小指の中間、下方にある手根骨の1つで、手のひら側に、突起=鉤が存在する特異な骨です。交通事故では、バイクのアクセルを握った状態での出合い頭衝突で、右手に多く発症しています。自転車、バイクから転倒する際に、手をつくことでも発症しています。交通事故以外では、ラケットやバット、ゴルフのグリップを振ることで、有鈎骨骨折が発生しています。
(1)病態
腱鞘炎は、タイピングなどの事務作業で、限度を超えて上肢を酷使した場合、発症する・・と広く知られています。交通事故のように一度の衝撃で発症することは、通常ありません。稀に、骨折や打撲・捻挫の予後、二次的な発症となるかもしれません。少し踏み込んで解説します。まず、前腕~手関節の構造から、
※ 腱鞘 腱が通るトンネル
※ 長母指外転筋腱 親指を伸ばす働き
※ 短母指伸筋腱 親指を広げる働き ◆ ド・ケルバン病 = 狭窄性腱鞘炎(きょうさくせいけんしょうえん)
右手首の腱鞘炎で代表的なものは、ド・ケルバン病です。ド・ケルバン病は、長母指外転筋腱と短母指伸筋腱が、腱が通過する腱鞘で狭窄された状態です。腱鞘、腱が走行するトンネルが炎症し、トンネルの空間が狭められて腱の滑走が妨げられるのです。
症状は、手首の腫れ、痺れ、多少の熱感があり、親指を動かすときに痛みが生じ、物を掴んだり持ち上げたりすることが困難になります。親指を酷使した結果、腱や腱鞘への負担から発症します。妊婦や出産後、更年期の女性に多くみられます。スポーツでは、テニスをしている人に多いと報告されています。1985年に狭窄性腱鞘炎を報告したスイスの医師、フリッツ・ド・ケルヴァンの名前から付けられました。
↑ 親指を曲げ、グー状態で小指側に手首を曲げると激痛が走るフィンケルシュタインテストにより診断されています。
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業務日誌ですが、昨日から「手の後遺障害シリーズ」に突入しました。あやかって手湯を。 伊豆箱根鉄道は、病院同行でも度々利用します。昨日は大仁駅(おおひと駅)でした。一応、温泉のある観光地のはずですが、駅前に人はなく、コンビニどころか空いている商店もありません。しかし、駅のロータリーに温泉があります。足湯もできそうな湯だまりもありますが、手を洗うのに便利です。
今年、三島~沼津地点の整形外科が2院も閉院となりました。過疎化の影響もあるのでしょうか。
手の障害をシリーズしますが、まず、手の構造と働きを説明します。 手や指は、叩く、擦る、物をつかむ、握る役割を果たしていますが、複雑な人間のからだの中でも特に繊細な構造となっています。手や指には繊細な知覚があり、様々な情報を脳との間でやり取りしています。
複雑な構造をした骨・関節、それを取り巻く筋肉や腱、神経、血管がぎっしりと凝縮されているため、ほんの小さな怪我でも、日常生活や仕事上で、大きな支障が出現することが予想されるのです。
指先から下に、末節骨、中節骨、基節骨、中手骨と呼ばれますが、親指には、中節骨がありません。中手骨の下に位置するのは手根骨で、遠位手根列には、大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鈎骨が、近位手根列には、舟状骨、月状骨、三角骨が配列されています。
手根骨のうち豆状骨は尺側手根屈筋腱の中にある種子骨です。具体的には、橈骨と尺骨および8つの手根骨で構成される手関節、指には24の関節など多数の関節を有しており、手の骨は、8つの手根骨、5つの中手骨、5つの基節骨、4つの中節骨、5つの末節骨の合計27本の骨で構成されています。 ※ 種子骨(種子骨障害)
種子骨は、植物の種子のような丸い形をしている骨で、手や足の骨に多くみられます。腱や靭帯を円滑に動かす役割や、骨と腱の摩擦を抑え、腱が外れる(腱の脱臼)を防ぐ役割があります。 さらに、手関節の尺側には、TFCC=三角線維軟骨複合体が存在し、手首の骨を支え、手首の外側の衝撃吸収作用の役割をしています。
次回 ⇒ 腱鞘炎
後の損害賠償上、「関節が曲がらない」機能障害の等級は67歳まで逸失利益を請求します。一方、「痛み」の神経症状は14級9号で5年、12級13号で10年と、上限の相場があります。関節の可動域に影響する骨折の場合、その癒合状態から、どうせ認定されるなら賠償金額が高騰する機能障害が望ましいという前提があります。
本件も機能障害の対象案件でした。しかし、67歳を過ぎた高齢者の場合、機能障害の上限を過ぎており、神経症状での認定であっても逸失利益に差が生じません。したがって、機能障害を克服するよう、リハビリを長く取る判断が良いのです。この判断こそ、正しい解決への道になります。
本件の場合、そもそも相談が遅かったので、結果論となりますが、なんとか13号でも良いので12級を確保することが課されました。
治療と賠償の両立こそ、秋葉事務所の務めです
【事案】
横断歩道を歩行・横断中、右折してきた対抗自動車に衝突され、受傷した。脛骨(すね)の膝下部分を骨折し、スクリューと鋼線で固定した。その後、リハビリを継続し、1年半が経過していた。 【問題点】
骨折と固定の状態から。膝関節の可動域制限で12級7号の対象であったと思う。しかし、長期のリハビリで改善となった点は良いが、14級に下げられた場合、賠償金の低下を甘受しなければならない。急ぎ、症状固定に進め、痛みなど諸症状から12級13号を目指すことにした。 【立証ポイント】
相談を受けてから直ちに病院同行した。改善良好ながら、「正座ができない」等、具体的な症状を診断書に記載頂き、12級へのアプローチを試みた。
結果、12級13号を容認頂いた。引き継いだ弁護士も、短い交渉で慰謝料満額と逸失利益もほぼ10年間にまとめた。可動域制限など残さず、改善させることが一番です。しかし、賠償金獲得との両立こそ完全解決と思います。
(1)病態
足指の基節骨、末節骨が黒ずんで見えますが、これがSudeck骨萎縮です。
ズディック骨萎縮は、XPでは、関節軟骨や骨質が保たれたまま高度な骨萎縮が認められます。受傷後、比較的短期間の内に関節部の疼痛、関節の拘縮、血行障害を訴え、皮膚に特有の光沢を示します。この特有の光沢を、医学的には浮腫状の腫脹と呼んでいます。
XPで著しい骨萎縮が認められ、手関節、下腿部、踵骨の骨折に好発しています。骨梁も骨皮質も薄く、スカスカに写し出されるのです。このことを、医学では、関節を中心に帯状脱灰現象を認めると言います。 (2)治療
治療は局所の理学療法、痛みを緩和する目的でステロイド剤の内服、血行障害等自律神経障害の緩和を目的とした交感神経節ブロック、交感神経節切断が行われます。つまり、難治性の疾患です。普通の整形外科での治療は難しく、専門外来を受診する必要があります。CRPS(Complex regional pain syndrome=複合性局所疼痛症候群)と判断されるものは、その専門外来になります。最近では「痛みの外来」などと称している院も多いようです。
実際に「痛みの外来」での診療に立ち会ったことがあります。医師は、患部のエコー画像を観ながら、患部に注射をします。薬剤は、痛み止め薬、キシロカインなどの麻酔薬を調合、症状の経過を見ながら工夫して調合しているようです。 ◆ ズディック骨委縮とCRPS
ズディック骨委縮の状態に陥った患者さんの多くは、すでにCRPSを発症しています。神経性疼痛の最悪例で、その原因は完全に解明されていないと言えます。交通事故外傷後に発症し、その治療が長期化することから、常に賠償問題に発展します。 詳しくは 👉 CRPSについて 概論と近況 (3)後遺障害のポイント
骨折に起因した難治性疼痛は、CRPS TypeⅡ、カウザルギー(最近はこの診断名を使わない傾向です)が後遺障害等級の対象となります。関節の可動域に影響するケースもありますが、機能障害としての認定は大変に高いハードルになります。やはり、画像所見、つまり、骨が痩せた画像が決め手となります。画像上、明瞭であれば「局部に頑固な神経症状を残すもの」=12級13号が検討されます。画像が曖昧、そもそも骨折等が無い場合は、症状の一貫性から「局部に神経症状を残すもの」=14級9号が残ります。
ズディック骨委縮を伴うCRPSなどの場合、症状の深刻度から、労災では「神経系統の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」=第9級の7の2や、それ以上の等級が認定された例もあります。しかし、対自賠責保険・対任意保険なると・・9級以上は訴訟で勝ち取るしかないようです。 次回 ⇒ 手の障害に進みます
(1)病態
尺骨神経が、ギヨン管というトンネルの中で絞扼・圧迫されているものです。尺骨神経は、頚椎から上腕の内側を走行し、肘の内側を下降し、手首周辺で、有鈎骨の鈎と豆状骨で構成されるギヨン管の中を通過します。
有鈎骨骨折は、薬指と小指の中間、下方にある手根骨の1つで、手のひら側に、突起=鉤が存在する特異な骨です。交通事故では、バイクのアクセルを握った状態での出合い頭衝突で、右手に多く発症しています。自転車、バイクから転倒する際に、手をつくことでも発症しています。
手のひら側のCT画像ですが、突起=鉤が骨折しているのが確認できます。有鈎骨の骨折により、ギヨン管症候群を発症します。
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注目の判決?
先日、10歳児童が運転する自転車と乗用車の衝突事故で自転車側に過失100%を認める判決が下されたというニュースがありました。ニュースからの情報しかありませんため詳細は分かりませんが、少し記載してみたいと思います。 ~下記文章は11月18日の産経新聞より抜粋~
事故現場は信号機のある交差点。男性が運転する乗用車の対面信号は青を示していた。向かって左側に塀があり、見通しは悪い。男性はアクセルペダルを踏まず、徐行して進入。すると左側から赤信号を無視した10歳児の自転車が飛び出してきて、車とぶつかった。車はほぼ停止状態だったため、児童にけがはなかった。
乗用車の運転手は児童側に修理費用を求めて提訴。大阪簡裁は「本件事故の原因は児童にある」との判断を示し、児童側の過失を認定した。判決のポイントは3つ。1つ目は乗用車側が交差点の手前で速度を落とし、徐行していた点。
2つ目はドライブレコーダーの映像から認定した児童側の運転の状況だ。自転車は歩道上を徐行せずに走行し、児童は前方の信号が赤であることを確認しなかった。
3つ目は、車側の事故の予見可能性。この点について裁判所は、現場が見通しの悪い交差点で、赤信号を無視して自転車が飛び出してくることを予見できるとはいえないと指摘した。 児童側は判決を不服として控訴したが、大阪地裁で行われた控訴審でも「児童と男性の過失割合は100対0」と認定された。児童側は上告している。 今回の事故を判例タイムズで照らし合わせると、基本的には【236】自転車80:自動車20となり、そこに児童の修正要素-10が加わり、自転車70:自動車30になることが予想されます。これはお互いに走行していた場合を想定しており、今回の事故では、自動車側がほぼ停止状態にあったということから自転車が勝手に突っ込んできたということになります。また、子どもがケガをしなかったということもポイントかと思います。
当初ニュースを見たときには、画期的な判例が出たと思いましたが、よくよく調べてみると、個別具体的な判断がなされただけであり、この判例をもって基本過失が変わるとは思えません。ちなみにですが、これがバイク対自動車だった場合は【161】0:100となります。やはり免許の有無が関係しているのかもしれません。今後、自転車にも免許が必要になったならば、過失にも変化が生じてくると思います。
デイリーで記載できず、貯めてUPすることもある業務日誌ですが、HP開設以来15年の営業日、欠かさずUPして参りました。現在、かなりサボってしまい・・多忙が理由ではありますが、ここが踏ん張りどころです。
HPでいくら美辞麗句を並べても、その実力や経験、何と言っても人間性を示すことはできません。多くの業者は自ら筆を執らず、事務員に指示して資料を丸写し、さらに業者からコンテンツごと買ってUPしています。これも経営効率優先のことなので、事務所それぞれの考え方でしょう。その点、弊所が唯一差別化を志していることが、業務日誌の励行による、情報発信と信頼性です。
余剰効果として、先に述べた人間性のアピールに寄与していると思います。皆勤賞を取ることは、すなわち、代表者の信用性です。何事も、継続とは一番その人となりを表すもので、病欠などない業務体力です。これらが、15年毎営業日、業務日誌UPから評価されています。実際に他事務所とHPを総覧し、この点を評価頂き、ご契約頂いた依頼者様もおりました。
まずは、20年完遂を目指し、年内から年明けまでに遅れを取り戻していきたいと思います。
本日は3組の御来客・相談でした。ご相談者さま、弁護士先生、ご足労頂き大変感謝です。
いずれも難しい申請になります。とりわけ、今年は人身傷害や自損事故保険など、自身が加入している保険への請求で困っている方が目立ちました。損害賠償の相手ではなく、自身が掛金を払っている保険会社への請求ですから、請求者はお客様ということになります。その点、担当者の対応は軟らかいと思います。
ところが、それが後遺障害の請求となると・・・相当な時間を待たされ、結果も芳しくないものです。一般に請求内容が入院〇日、通院〇日と簡単に計算が立つものであれば、問題なく支払われるようです。それだけ、後遺障害〇級は、簡単に認めてくれないもののようです。
私達が請求をお手伝いする場合、支払先の保険会社がお手盛り回答しないよう、自賠責保険・調査事務所に諮問を掛けて頂くよう誘導します。自賠責の審査であれば、比較的、後遺障害が読めます。審査も基準に則った固いものに感じます。この点、自賠責の実力を感じます。そのような前提から、自分の保険会社に対する請求でも、後遺障害が絡めば、是非頼って頂きたいと思います。
今年、後遺障害で躓いている被害者さん、数件受任しました。保険会社は大金を支払うことになると、それなりに慎重なのです。
日曜から前のリで病院同行、昨日、高速バスで東京へ戻りました。4時間余りのバスは疲れるものです。
あいにくの曇り空でしたが、ホテルの窓から美しい山並みが望めます。
駐車場のネコちゃん
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手根管症候群 (しゅこんかんしょうこうぐん)
(1)病態
正中神経は、手根関節、手首の関節の手のひら側のくぼみの辺りに存在する手根管靭帯などで形成された、手根管と呼ばれるトンネルを通り、支配する指に枝分かれします。
手根管症候群とは、手根管が障害されたことによる正中神経麻痺です。手根管症候群の原因は種々ありますが、交通事故では、橈骨遠位端骨折、特にコーレス骨折、月状骨脱臼等により発症しています。フォルクマン拘縮でも、手根管症候群を発症しています。 正中神経麻痺 👉 上肢の後遺障害 ㉝ 正中神経麻痺 フォルクマン拘縮 👉 上肢の後遺障害 ⑯ フォルクマン拘縮 手の掌の関節部をゴムハンマーで叩くと示指・中指に痺れ、痛みが響きます。これを、チネルサイン陽性、チネル徴候を示す、と言います。
後骨間神経麻痺(こうこつかんしんけいまひ)
(1)病態
橈骨神経は、肘から先を走行して、前腕部の各筋肉を支配しています。それらの筋肉は、全ての指を伸ばす、親指を外に広げるなどの働きをしているのです。後骨間神経は、肘部で橈骨神経から分岐し、フロセのアーケードという狭いトンネルに入ります。トンネルの中は、移動性がなく、絞扼、圧迫を受けやすくなっています。フロセのアーケードで後骨間神経が絞扼、圧迫を受けると、後骨間神経麻痺と診断されます。肘から下で、手指の伸展は不能でも、手関節の背屈は可能なのが後骨間神経麻痺です。
後骨間神経麻痺は、下垂手と皮膚の感覚の障害のないことで、橈骨神経麻痺と鑑別できます。後骨間神経麻痺では、下垂指 = drop fingerとなりますが、皮膚の感覚障害はありません。下垂指は、手関節の背屈は可能ですが、手指の付け根の関節の伸展ができなくなり、指のみが下がった状態になり、後骨間神経麻痺は下垂手と感覚の障害のないことで診断できます。病院での確定診断には、筋電図、XP、MRI検査、エコー検査などが実施されています。
前骨間神経麻痺(ぜんこつかんしんけいまひ) (1)病態
前骨間神経は、肘部で正中神経から分岐したもので、親指と人差し指の第1関節を動かす筋肉を支配しています。この部位で損傷を受けると、傷病名は、前骨間神経麻痺と記載されています。
前骨間神経麻痺では、親指と人差し指の第1関節の屈曲ができなくなります。親指と人差し指で○を作ると、親指と人差し指の第1関節が過伸展となり、○ではなく、涙のしずくに似た形となります。前骨間神経麻痺は、涙のしずくサインと、感覚障害のないことで診断できます。確定診断には、針筋電図検査、MRI検査などが必要となります。
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尺骨神経麻痺 (しゃくこつしんけいまひ)
(1)病態
尺骨神経は、腋の下から肘の内側を走行し、手首を越えて手先まで走行、この神経は薬指と小指の知覚と手指を動かす筋肉を支配しています。肘には尺骨神経溝と線維性腱膜で形成された肘部管があり、この中を尺骨神経が走行しています。
交通事故により肘関節部の切創・肘部管症候群、上腕顆上骨折、上腕骨内上顆骨折、事故による変形性肘関節症、外反肘、手関節切創などが、尺骨神経麻痺の原因になると考えられています。 〇 薬指と小指が強烈に痺れる 〇 薬指と小指を完全に伸ばすことができない 〇 手の筋肉、骨間筋が萎縮、骨がうき出ている 〇 肘の内側部分を叩くと過敏なところがあり、小指へ響く痛みがある=チネルサイン これらの症状があれば、尺骨神経麻痺を疑ってください。尺骨神経が圧迫を受けると、薬指と小指が痺れ、手に力が入りづらくなります。母指内転筋・小指外転筋・骨間筋が脱力し筋萎縮を起こします。この結果、手は「鷲手 = claw hand 変形」をきたすのです。
尺骨神経は、薬指と小指の感覚を支配しているので、この部位に感覚障害が生じます。
橈骨神経麻痺(とうこつしんけいまひ)
(1)病態
橈骨神経は頚椎から鎖骨の下を走行し、腋の下を通過して、上腕骨の外側をぐるりと回り、外側から前腕の筋肉、伸筋に通じています。橈骨神経は手の甲の皮膚感覚を伝える神経です。橈骨神経の障害が起こる部位は3つあり、腋の下、上腕骨中央部、前腕部です。交通事故では、上腕骨骨幹部骨折、上腕骨顆上骨折、モンテジア骨折等で発症、上腕中央部の麻痺が多いのが特徴です。
症状としては、手の掌は何ともないのに手の甲が痺れます。特に、手の甲の親指・人差し指間が強烈に痺れるのです。手首を反らす筋肉が正常に働かないので、手関節の背屈ができなくなり、親指と人差し指で物をうまく握れなくなり、手は、「下垂手 = drop hand 変形)をきたします。
橈骨神経の支配領域は、親指~薬指の手の甲側なので、この部位の感覚を失います。診断は、上記の症状による診断や、チネル徴候などのテストに加え、針筋電図も有効な検査です。患部を打腱器で叩き、その先の手や足に電気が走ったような痛みを発症するかどうかの神経学的検査法を、Tinel徴候、チネルサインと呼んでいます。
およそ、相談・受任の過半数は捻挫・打撲の軽傷に入るものです。ただし、その内から一定数は軽度とは言えない神経症状に陥り、通院が長びきます。そのような被害者さんに後遺障害14級9号をつけて、実利的な金銭解決を図ります。これが、弊所の考えです。
一方、被害者さん及びご家族の人生を左右するような重傷案件も少なくありません。そのようなご相談に対しては、先約・予定を飛ばして直ちに駆け付けます。ご本人はもちろん、ご家族の心配は想像を絶するものがあります。できるだけ早く、今後の流れや予想される事態への対処を説明します。これで、ご心配は少なからず解消するものです。でなければ、精神的な疲労で参ってしまいます。
周囲からの間違った情報や、定かではないネット情報に翻弄されず、正しい解決へのロードマップを引きます。解決まで計画的に進めなければなりません。やはり、ご相談は事故後、早ければ早いほど良いと言えます。死亡案件でも、同じことが言えます。業界の通例では、相手保険会社の対応は荼毘に付すまで、一般的には49日後になります。それまでは、ご遺族にはお見送りに専念することになります。
死亡事故は取り返しのつかない事態です。秋葉事務所では、死亡の因果関係に疑義でもない限り、とくに調査・証明することはなく、諸手続きのお手伝いに留まり、直ちに弁護士に任せることになります。秋葉事務所の役目は限定的と言えます。生きていればこそ、事務所の力を発揮できるのです。勿論、ご家族の気持ちも、できれば命を取り留めて欲しかったと思います。
死亡のご相談は、平均年間1~3件でしょうか。今年もすでに2件を数えました。わずかのお手伝いでも、心を込めて尽くしたいと思います。