障害年金(障害第7級から1級)の受給対象者が一括で受け取りたい場合、この書式で請求します。

  (1)受給額

 下表のように給付額が等級ごとに定められています。

 当然、前払い一時金を受け取ると、毎月の障害年金は支給停止状態になります。復活は、前払い一時金の額に年利5%(※)を加算した額に達した後になります。

※ 現在、3%に変更されたかどうか確認中

続きを読む »

 障害給付・・後遺症が残った場合ですから、基本的な申請書類とは呼べないかもしれません。しかし、交通事故を扱う私達にとってはお馴染みの書式になります。   労災では「障害(補償)給付」、自賠責では「後遺障害」と名称を区別しています。   (1)給付内容  障害等級は重い準から、下表の通り1~14級まで区分されています。    14級から8級までは一時金支給、7級以上は年金となります。   続きを読む »

 この書類の作成ですが、請求書は治療費請求とほとんど変わりません。しかし、休業日額の算定にあたり、面倒な「別紙」の作成が必要です。これは通常、会社に記載してもらいます。ここでも、会社担当者、顧問社労士の経験が作用します。すぐに書いてくれる会社もあれば、社労士先生や労基と相談しながら長々とかかるケース、提出後も補正がかかるケースが少なくありません。被害者さん独力では苦労するはずです。  

 なお、一日あたりの休業給付額は、およそ賃金の60%程度の計算になります。それを補うわけではありませんが、別枠で「特別給付20%」が加算されます。これは大変にお得です。なぜなら、交通事故など第3者による被害では、相手から賠償金が入ることがあります。交通事故の場合、相手の自賠責保険や任意保険の休業補償にあたります。それらと労災・休業給付の2重取りはできません。それら賠償金は労災支給額から控除されます。しかし、この特別給付は控除の対象ではなく、丸々、請求者に支払われるからです。

 

 また、休業給付は、最初の3日間は控除されます。つまり、10日休んでも7日分の支給になります。

(1)給付日額の計算   ① 休業給付   給付基礎日額・・・平均賃金= 発病・負傷直前の賃金締切日から遡って3ヶ月の賃金総額 ÷ ...

続きを読む »

 基本的な書類を説明します。 多くの場合、治療費と休業給付を請求することになるはずです。最初の治療費の請求の用紙は、業務災害(様式第5号)、通勤災害(様式第16号の3)となります。業務災害は5号から順番に番号が続きますが、通勤災害の書類は16号の○、○の番号が続く・・と覚えておくとよいです。   【治療費】

 労災指定を受けた病院であれば、以下の書類を窓口に提出すれば、自ら治療費を立替えることなく、労基に書類を送付して治療費を請求してくれます。下の書式はすべて通勤災害の16号です。業務災害は(様式○号)になります。   ① 療養給付たる療養の給付請求(16号の3)(5号)

 最初に提出する書類です。(左:表、右:裏)

続きを読む »

 労災の申請や書類の記載について、詳しく書かれている書籍は少ないものです。この手の相談は被害者さんだけではなく、弁護士や社労士さんからも少なくありません。社労士さんによると、専用ソフトでサクサク申請書を作り、申請慣れしている先生は一部で、驚くことにほとんど申請業務をしないそうです。専門と思われる社労士先生でさえ面倒なようです。

 理由は、労災事故は労基と病院が絡み、とくに病院の窓口ルールが病院ごとに違うものですから、ややこしい事に巻き込まれる印象を持ちます。とくに、交通事故など第3者行為の場合、保険会社や加害者がそれに加わるものですから・・社会保険の知識だけではなく、各方面への横断的な知識とそれをさばいていく交渉力・推進力が必要です。もし、その膨大な手間に対して、見合った費用や報酬が入れば報われますが、顧問先企業から支払われる顧問料だけなら、進んではやりたくないでしょう。中には顧問契約に「労災申請業務は除く」とし、一切やらない先生もおりました。

 これは構造的な問題でもあります。そもそも、社労士先生に顧問料を払うのは企業(社長さん)であって、ケガをした従業員さんではありません。すると、社長さんが「こいつ(ケガをした従業員)は大事な社員だから面倒見てくれ」とでも言わない限り、助ける責任はないことになります。これも労災請求の闇の部分かもしれません。

 構造的な問題と各ジャンルにまたがる業務の煩雑さから、誰も手を差し伸べず、被害者さんが独力で進めているケースが多くなります。労災申請、第2の壁と思います。   労災の申請書類の基本的な流れは、

 各請求書に、本人(あるいは代理者)記載、 署名・印

⇒ 会社の証明・印

⇒ 病院の証明・印(治療費に関するもの以外は病院を経ません)

⇒労基に提出となります。    書類はすべて厚労省HPからダウンロードできます ⇒ https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken06/03.html

続きを読む »

 零細企業では、いまだに無労災で従業員を雇用している会社が存在しています。

 昭和の時代は、中小企業で無労災はかなり多く、建築や運送、飲食店で1~10名程度では、珍しくないものでした。そのような会社に在籍中、大ケガをした場合は大変です。会社は責任逃れを考えますが、労災には被雇用者救済の制度があります。それが、「事後適用」です。この情報にたどり着き、社長さんの理解を促し、労基にて手続きを行い、やっと申請にたどり着くことになります。   事後適用

 事業主(会社・個人事業主)が故意または、重大な過失により労災保険の加入手続きをしていない期間中に労災事故が起き、労災保険から給付が行われた場合、事業主は最大2年間遡った労働保険料及び追徴金と以下の費用を徴収されます。

1、労働保険の加入手続きについて行政機関等から加入勧奨や指導を受けていた場合

→ 事業主が故意に手続きを行わなかったと認定され、保険給付額の100%を徴収

2、1以外で労働保険の適用事業所となってから1年を経過していた場合

→ 事業主が重大な過失により手続きを行わなかったと認定され、保険給付額の40%を徴収

   事故が起きた後に、掛け金を払って、保険がでる・・・極めて珍しい制度です。数ある保険でも、労災だけでは?と思っています。それだけ、労働者は保護の対象として、手厚く守られていると言えます。

 ただし、それでも会社側に保険料の追徴と、上記のようにに加算金が課されるので・・社長が駄々をこねて払わない、それを労基職員が説得する、かつてこのようなケースを見ました(その後、どうなったのかは知りません)。    現在、非正規雇用が増えた理由の一つに、「正社員に払う社会保険料が企業の負担になっている」ことが挙げられます。確かに健康保険、厚生年金の負担は企業を圧迫します。ただし、労災と雇用保険(失業保険)の掛け金はわりと安いものです。零細企業の社長さんとはいえ、それ位の負担は何とかして欲しいものです。    つづく  

続きを読む »

 通勤中の交通事故は通勤災害、業務中の交通事故は業務災害、いずれも労災を適用することが可能です。しかし、現実的にはすんなり労災が適用されないことが目立ちます。私どもが担う交通事故の諸事務では、多くの案件でこの労災申請が付いてきます。

 改めて数回に渡って、労災について復習・解説したいと思います。   (1)労災請求の実際

 ご存知の通り、被害者が労働基準局に申請(届出)さえすれば、労災の適用可否の審査を経て、労災は支給されます。ところが、多くの被害者は、「会社が労災支給を判断する」呪縛にかかっています。また、会社側も積極的に労災を使わせようとしない傾向です。

 何より、あえて労災を請求しない・・立場の弱い従業員側の事情も存在します。会社側が労災使用に対して難色を示せば、強く言えないのが使われている側の立場です。もちろん、各種申請書には会社の署名・捺印が必要です。それは、確かに第一の関門かもしれませんが、もし、会社にお願いして拒否されたら、労基に提出の際、「会社が判を押してくれない」と言えば、労基から会社に(行政指導まではいかないまでも)電話がいきます。ただし、これは会社を辞める覚悟を伴った非常手段です。会社は、「従業員が労基にたれ込んだ!」と恨むことになるからです。

 やはり、労災制度の利用は簡単ではないのかもしれません。

 また、中小企業では日雇い労働者などのすべてに労災加入しているとは言いがたく、無労災で人を雇っている企業も未だに存在します。建築業では孫請けとなる1人親方の場合、その全てが専用の「特別加入制度」に加入しているわけではありません。

 労災未加入を貫く悪質な企業は罰則がありますが、重大事故の場合は、なんとか事故後適用(事故が起きてからの労災加入でも適用してくれる)をやってもらわなければなりません。

     以上、労災断念を、レアケースとは思っていません。保険と事故の業界に身を置いて今年で30年、何度も「労災がでない」悲劇をみてきました。 労災申請は、その入口が最も大きい壁と言えます。

 つづく  

続きを読む »

 昨日、ハローワークから電話がありました。企業の求人数が低下している中、業種ごとの求人動向、経営状態をアンケートしているとのことです。    昨年からのコロナ不況がひしひしと感じられるのは、消費の落ち込み以上に、求人数低下が最も深刻となっているようです。企業が求人するのは、将来の増収の見通しあってこそです。今年の春の新卒採用率も当然に低下、さらに、非正規社員は派遣切りや雇止めが一層進むはずです。いったいつまでコロナ禍が続くのか・・先行きを考えれは当然の傾向と言えます。    秋葉事務所では、以前からハローワークさんにお世話になっていました。実際、行政書士の求人を出すと、毎回3か月で30件程の応募がありました。多くは、行政書士資格を取得したばかり、あるいは勉強中の方々でした。実務経験を積むことが第一目標のようですが、対して求人をだしている行政書士事務所は、一都三県ですら10件程度、地方は0の県がほとんどです。求人は無きに等しいものなのです。その事務所も、ほとんどが行政書士業務をメインとしない税理士・司法書士・社労士との併設事務所です。ピンの行政書士(法人)による求人は、東京・大阪など都市圏でようやく2~3か所です。「行政書士事務所の求人は、ほぼない」と言っても嘘にならないでしょう。    令和3年1月末集計では、行政書士の総数は49748名、その内使用人行政書士の数は847名ですから、単純計算でも一人開業が98.3%を占める業界です(無資格の被雇用者を含めませんが、それ程多くないと思います)。行政書士事務所とは、そもそも人を雇う業種ではないのです。一人開業、事務所は自宅の応接間、事務員は奥様のみ、これが普通です。ハローワークの方に冒頭から、そのような説明をしたところです。「行政書士の求人動向など参考にならない」、としか言いようがないのです。    弊所の今までの応募者をみると、さらに暗たんたる気持ちになります。行政書士の応募者は、試験合格者より、特認行政書士(公務員として通算17年以上(中学校卒業程度の場合は20年以上)勤務で、希望すれば資格を授与される)が多い位です。年齢も50代後半から80代の大先輩もおりました。初年19万円の給与なのに、一体全体なんで応募してくるのか不思議です。普通は天下り先で後進の指導にあたるか、恩給もらって悠々自適な後半生をおくってもらいたいところです。就労意欲は尊敬しますが、うちの事務所の新人指導係は20代です。子供どころか孫の下について修行をすることになるのです。その先輩方は「それでも構いません」と言いますが、「こっちが困ります」。

 実際、行政書士会があまり出さない集計ですが、49748人中、およそ半分は特認が占めているのではないかと思います。このような業界ですから、行政書士が社会的な認知と評価を得るのは、今世紀中には無理なのでは?と思います。弁護士や税理士、司法書士、社会保険労務士に等しく、士業事務所として確立させるには、特認制度を改正して人数を減らすか、別資格に分化するか、いずれにしても行政書士は試験組を主体に、修習制度を充実させてしっかり独立開業を後援すべきと思います。全体の数も減らして個々の業務量を増やし、せめて30%でも自宅外事務所を持つ業態に変える必要があると思います。

 「街の法律家」などと標榜していますが、今のままでは、法律家どころか一士業者としての尊敬は得られないと思います。まぁ、そりゃ、関係者の誰でもわかっていることですが・・利権構造が絡んだ旧態然とした体制は、一朝一夕では変わらないものです。    以上、ハローワークさんに愚痴っても仕方ない話ですが、行政書士を語ると実に寂しい気持ちになります。

 

続きを読む »

 昨年の自賠責の審査結果には、疑問が多かったと記憶しています。おかけで再請求(異議申立)が頻発しました。    自賠責保険の後遺障害審査ですが、14級程度の審査や明らかな障害では地区審査で判定します。申請のほぼ80%はそうではないかと思っています。しかし、高度な判断が必要となる案件は上部審査に上がり、顧問医の判断が加わることになります。今まで、上部審査とその顧問医の判断に一定の信頼を持っていました。

 それが近年、運用に変化があったのか、専門的な判断が必要なケースを地区審査で済ませる件が目立ちます。それは、審査期間からわかるもので、1か月~40日で結果がでます。上部審査へ上がる場合は2か月以上かかるもので、その通知が届きます。本件の初回審査はおよそ1か月、主治医に診断書と別に記載頂いた意見書、検査画像など、特別用意したものはスルーされました。恐らく画像など観ていない、あるいはチンプンカンプンなのでしょう。恣意的と言うよりは、難しい判断から逃げたかのようです。それなら、「顧問医に聞いてくれよ!」と思います。少なくとも、慎重な審査とは言えません。    結果的に3度の申請を強いられました。初回から(一応、専門家を名乗る)秋葉が全面的にフォローしながらです。障害の真実に到達するには・・「被害者さんにかくも茨の道を課すものなのか」と、悲嘆しています。    高度な後遺障害は秋葉に相談して下さい・・としか言いようがありません

 

非該当⇒12級7号:前十字靭帯損傷 異議申立(30代男性・埼玉県)

 

12級7号⇒10級11号:前十字靭帯損傷 異議申立(30代男性・埼玉県)

  続きを読む »

 本件は、降車の際の転倒ですから、自損事故と言えます。それを助けてくれた人身傷害保険様々です。ですから、普通に傷害保険に請求する感覚となります。しかし、妥協できないのは、後遺障害です。この等級次第で、保険金が桁違いとなることがあります。したがって、基本通りに立証作業を進めます。その点、本件は秋葉事務所にご依頼下さって正解でした。

 また、保険金提示に対しても注意が必要です。人身傷害保険の特徴は、治療費や休業損害の実額だけでなく、慰謝料と逸失利益が計算・支払われます。約款上、慰謝料は入通院日数からの計算式、等級ごとの定額が明記されています。これは約款通りの提示となります。しかし、逸失利益は自由度が高いもので、年収または平均賃金から計算され、喪失率や喪失期間も担当者判断です。この計算で、いかようにも調整が可能なのです。

 本件の場合も、比較的高齢から、「もう隠居でしょ」と勝手に判断されて、最初は低い提示でした。しかし、復職を果たしている事実、まだ数年は労働が見込める点から、ご家族が交渉しました。結果、数十万円も増額しました。もっとも、加害者のいない事故で、助けてくれた保険会社相手にゴリ押しは遠慮したいところ、それなりの交渉で手を打つよう、アドバイスしました。   人身傷害も丁寧に申請すべきです  

人身傷害12級6号 :橈骨遠位端骨折(60代女性・神奈川県)

【事案】

停車後、降車の際に転倒し、手をついて手首を骨折したもの。

【問題点】

骨折後にわずか変形癒合があり、手首の動きがギリギリ12級の数値を示していた。ただし今回は相手がいない事故なので、相手保険会社や自賠責は使えない。相手がいる事故であれば自信をもって12級を狙いに行くのだが、相手のいない事故で自身の保険会社に請求する上で、強交渉は遠慮がち。

【立証ポイント】

まずは手首の状態を確認する為3DCTを撮影、次に本人の診察時に病院へ同行し、レントゲン記録や治療記録等も確認した結果、14級を確実に抑えつつ、12級も狙える内容にする方針を固める。2回目の病院同行前にその3DCTの打出しを作成した。その打ち出しを主治医に提示したものの、変形癒合の判断までは難色を示す。あくまでも本人は治療結果に満足をしている意思を伝え、対保険請求としての意見を求めなんとか記入頂けた。

その他、診断書に12級妥当となる情報をカルテから引っ張って記入頂いた結果、12級の判断を頂いた。

ちなみに、人身傷害の保険金提示では、毎度のことだが逸失利益の少額示など、支払い渋り、否、厳しい査定が続いた。納得のいかないご家族の粘り強い交渉から、70万円近く増額となった。場合によりますが、人身傷害保険も交渉次第なのです。

続きを読む »

 環境省はコンビニ店に使い捨てのフォークやスプーンの提供を規制することなどを盛り込んだプラスチック新法案をまとめました。有料化も検討されています。

 9日に閣議決定されたプラスチック新法案では、使い捨てプラスチックを大量に無償提供している事業者に削減の義務を課すことが盛り込まれています。命令に違反した場合は、50万円以下の罰金が科されます。

 コンビ二店で弁当を購入すると配られるスプーンやフォーク、ホテルのアメニティーなどが想定されていて、今後、対象となる事業者や有料化を含む具体的な削減方法が示されます。

 小泉環境大臣は「これからは無料でスプーンが出てこなくなる。レジ袋有料化の発展版だ」としています。

 新法案は今国会で審議され、来年4月に施行される見通しです。  <テレビ朝日さまニュースより>

 

 ビニール袋有料化になって、すっかりビニール袋が貴重になりました。わざわざ購入までは至りませんが、色々な用途に使っていました。買い物ごとに自然と溜まっていくものですから、有料化前までは不足に困ったことなどなかったです。コンビニやスーパーで付いてくるスプーンも割と重宝しまして、洗って数回は使っています。対してフォークはほとんど使わず、増える一方です。したがって、スプーンの有料化は困るなぁと思います。

 もちろん、スプーンは今でも金属製が主流です。子供時代、食卓には大きめのコップに何本も刺さっていました。ほとんど半永久的に使用するものです。対して、プラスティック製はすぐ折れるので、やはり使い捨てになります。資源保護という点では、大量に使い捨てせず、家庭では金属製の使用が好ましいことに異論はありません。    このスプーン、かつての思い出を語りましょう。時は1970年代末、世紀末の雰囲気の中、テレビでは超能力ブームが起きていました。その中心は、ユリ・ゲラー氏です。50歳以上の人で知らない人はいないでしょう。超能力者ユリ・ゲラー氏、その最初の超能力はスプーン曲げでした。スプーンを握って、とくに力を入れずとも念じるだけで金属製のスプーンやフォークがぐにゃぐにゃに曲がるのです。当時のテレビ放送では高視聴率、テレビを視聴していた人は皆真似をして、念を受けたのかスプーンを曲げだす子供が続出しました。   続きを読む »

 ワクチン接種が進む中、その副作用として連日取り上げられていますアナフィラキシーショック、医療従事者とって常識的な言葉ですが、私達も抑えておきましょう。      アナフィラキシーショックとは <メディカルノートさまより引用>   1,概要

 アナフィラキシーショックとは、何かしらのアレルゲンなどに対して全身性のアレルギー反応が引き起こされ、血圧の低下や意識状態の悪化が出現した状態を指します。アナフィラキシーショックが生じた際には、迅速な治療が必要です。また、一度アナフィラキシーショックを起こしたことがある方は、再度同じ原因物質に曝露されることで同じように非常に重い症状を起こします。   

2,原因

 アナフィラキシーショックは、ハチの毒や、ある種の薬剤、食物など、アレルギーを起こす物質に体が曝露されることで発症します。アレルギー反応を起こす可能性がある代表的な物質として、下記があげられます。

 かつて損保時代、蜂に刺されて救急搬送されたお客様がおりました。これがまさにアナフィラキシ-で、蜂の毒成分はアレルギー成分のアミン系(ヒスタミンなど)、いわば神経毒です。日本での害獣・害虫によるケガ・死亡の第一位は、毎年、熊でも鮫でもなくスズメバチなのです。ちなみに、蜂害による入通院・死亡は傷害保険の対象です。   3,薬剤

  ・抗菌薬  ・解熱鎮痛薬  ・麻酔薬  ・造影剤  ・血液製剤 など    交通事故外傷では、やはり外科的処置において麻酔薬が関わります。また、頚部神経症状の緩和に神経ブロック注射が用いられますが、この注射の成分は、キシロカイン、カルボカインですから、処置前にアレルギーの既往を聞かれます。キシロカインショックの症状も同じで、アナフィラキシーショックの典型例です。

 

続きを読む »

 今回は、醜状痕と脊柱の変形の両方が認定されたケースです。それに、神経症状の14級9号の認定が加わりました。   前回 ⇒ 実績投稿:神経症状の認定にこだわる ① 顔面の骨折、その逸失利益請求に備える

    実績投稿:神経症状の認定にこだわる ② 脊柱の骨折、その逸失利益請求に備える    もっとも、本件の場合、剛腕振るって認定をねじ込んだわけではなく、頚髄損傷の診断名から14級認定が容易でした。頚髄損傷(脊髄損傷)も軽重、症状の差があります。しびれも深刻な症状ですが、完全麻痺ですと一生手足が動かなくなります。奇跡でもなければ、ほぼ治りません。それに比べれば、痛み・しびれは軽減の余地がありますから、14級は妥当かもしれません(画像所見さえ抑えられたら12級13号ですが・・)。

医師の初期診断では、MRIを診ずに脊髄損傷(の疑い)の診断名は多いものです  

14級9号:中心性頚髄損傷(40代女性・埼玉県)

【事案】

続きを読む »

 醜状痕の後遺障害認定基準は ↓ にまとめてあります。     実績ページ:醜状痕    問題は、この表に合致しないケースです。今までもいくつかありましたが、面接による審査で柔軟に判定頂きました。本例もそれを期待しましたが、追加提出の写真から普通に基準に当てはめた判断でした。その認定自体、不当とまでは思いませんが、被害者さんの心情を思うと、もう少し悩んで欲しかったように思います。   面接審査が減る一方に感じます  

12級14号:顔面瘢痕(40代女性・埼玉県)

【事案】

歩行中、信号のない道路を横断中、原付バイクから衝突される。腰椎破裂骨折、頚髄損傷の他、顔面を強打した。

【問題点】

額に皮下血腫、顎下に4cm以上の線状痕があったが、線状痕については、正面からは分からない場所にあった。また、皮下血腫については、10円玉以上の瘢痕があったが、7級の「組織陥没」に皮下血腫の凹凸が適用されるのかが問題となった。

続きを読む »

 ご存じの通り、一都三県の緊急事態宣言が2週間延長のようです。年毎の統計によりますが、年間の交通事故のおよそ9件に1件はこの一都三県で発生しています。    来週発売の『週刊エコノミスト』のテーマは、”コロナ後に生き残る弁護士”です。文中の記事を以下、引用します。    交通事故減も影響    コロナ禍で多くの弁護士事務所が苦境に陥っている。法律事務所の経営コンサルティングを行う船井総合研究所が昨年10月、全国約250の法律事務所を対象に実施したアンケートででは、前年同期比で「減収」と答えた割合が47%を占めた。19年の同時期のアンケートで「減収」が11%だったのに比べると、大幅に増加している。また、20年上半期の利益額が前年同期比で半分未満に落ち込んだ事務所も15%に上る。

 またコロナ禍で交通事故が大きく減ったことも追い打ちをかけたと見られる。交通事故は一般民事事件を扱う法律事務所の売り上げの柱の一つだが、警察庁の統計によると、全国の交通事故の発生件数は、緊急事態宣言が出ていた昨年4~5月は前年同期に比べ3~4割も減少した。アンケートでも、交通事故の受任件数が「10件未満」と答えた比率は19年は33%だったが、20年は43%に増えた。      この文中、年間の交通事故の受任件数が10件に満たない事務所が19年:33%、20年:43%とは・・全体の交通事故数の減少もさることながら、年間10件程度では、取り立てて交通事故に特化していない地方の事務所、その通年の受任件数と変わらないと思います。

 かつて、船井総研さんがコンサルする弁護士向けに、その研修講師を何度か務めたことがあります。7~8年前でしょうか、クレサラ業務の陰りが見えてきた時期に、「二匹目のドジョウは交通事故だ!」とのノリでした。以来、船井総研さんは交通事故を第一項目にコンサルしてきたはずです。そのコンサルを受ける弁護士事務所は、当時すでに200近くありました。それだけの事務所が、交通事故にクレサラに代わる収益を期待し、それなりに注力してきたはずです。結果は、ネット広告で莫大なリスティング広告を投入できる事務所は年間1000件受任ですから特別として、コンサルを受けた事務所で、年間数十件~100件受任する事務所もあれば、250軒中の4割は年間10件未満です。交通事故を主要な売上げ業務にした事務所と、そうならなかった事務所に二分したことが想像できます。    弁護士ですら大苦戦、勝敗が分かれるところ、いわんや行政書士です。恐らく交通事故を主要業務としている行政書士になど、弁護士を超える年間10数件もの依頼があるのでしょうか? もし、受任数が及んでも、弁護士事務所が断ったぐちゃぐちゃ案件しか電話が鳴らない状態、見込み薄い異議申立て=敗戦処理の引き受けばかりではないでしょうか。弊所では、昨年の受任数及び売上も、谷間であった一昨年を上回りました。しかし、現況をみると、正念場は今年~来年に思います。    被害者さんすべてに必要な事務所ではないかもしれませんが、秋葉の仕事が欠かせない被害者さんは一定数、存在します。その方達に声が届けばよいのですが・・。コロナで状況が一変したのは、飲食業・遊興業・エンタメ業界だけではありません。今後、多くの業種にコロナ減収が波及するはずです。しかし、その少ない件数の中、受任・受注を確保できた会社・事務所は、その実力を示すことになるでしょう。少数の被害者さん達の為にも、しっかり事務所の運営を続けなければなりません。  

続きを読む »

 交通事故の解決は金銭賠償に尽きます。ケガをした体は治療で回復させますが、完全に事故前の状態にしきれるものではありません。それが後遺症であり、ある規準を超えると後遺障害として、賠償金の対象になります。では、それに見合った賠償金を払いさえすれば、加害者の罪は帳消しになるのでしょうか。    まず、基本から。交通事故加害者には3つの罪と罰が科されます。   1 刑事罰 

… 刑罰です。懲役や禁固、刑務所行のことで、よく「懲役○年、執行猶予○年」と聞きます。交通事故の場合、常習犯でもなく、悪質性がなければ、死亡事故でも執行猶予が付くことがほとんどです。  また、死亡や重傷でもなければ、裁判までやらない略式起訴の罰金○円が多くなります( 罰金は1万円以上で、その下の科料は千円以上1万円未満とされています)。  圧倒的多数となる車両に対する物損事故や軽傷事案は、ほぼ不起訴(おとがめなし)になります。   2 行政処分

… 免許の減点から、「反則金の支払い」、「免許証の停止(期間)」、「免許証の失効」となります。これらの処分は刑罰ではなく、行政処分となります。反則金の性質も、過料(あやまち料)とされ、刑罰にかかる科料(とがりょう)とは区別されています。   3 民事上の賠償責任

… 民法の損害賠償です。原状回復の費用(治療費、休業損害、修理費など)と、慰謝料(精神的損害)、逸失利益(将来の損害)などです。        加害者にはこれら3つが科せられることになります。       毎度、交通事故被害者に接しておりますと、2の行政罰は加害者のみの問題で、被害者に知らされることはほとんどありません。加害者の免許がどうなろうと、被害者には関係ないものです。    1の刑罰では、警察から検察に送検されるまでに、被害者の(加害者に対する)処罰感情が質問されます。重傷案件や悪質な加害者の場合、相当の刑罰が刑事裁判で判断されます。その判断に処罰感情が関わるものですから、減刑を求める加害者は、被害者に謝罪面談や謝罪文の手紙を申し入れ、熱心に詫びを入れてくることがあります。

 人の良い被害者さんが、ここで情けをかけて「穏便に」と言ってあげたが、それっきり二度と連絡をしてこない加害者が多く、これに憤慨するケースが目立ちます。さっきまでの謝罪は加害者自らの減刑の為と、思い知らされます。せめて、○○万円でも包んでくればかわいいものですが…。 刑事裁判後も謝罪を続ける加害者さんは、極めて稀ということです。

 刑事裁判では、公訴ですから、被告(訴えられる)は加害者で、原告(訴える方)は検察官です。被害者は証人としての参加はありますが、基本的に蚊帳の外でした。現制度では、被害者も当事者であるゆえ、裁判に参加する権利がある程度認められ、「被害者参加制度」で裁判に関わることができるようになりました。    残る3つめ、民事上の損害賠償は、相手保険会社との交渉が中心となります。賠償交渉中、加害者の存在は徐々に消えていきます。そこで、加害者に改めて誠意・謝罪を求めようにも、謝罪がないことを保険会社経由で知らされての、加害者の渋々な詫びなどで溜飲は下がるものでしょうか。

 また、刑罰・行政罰を科され、賠償金も支払った・・・これで罪は消えるものでしょうか? もちろん、法的には消えます。ただし、相手に死亡や高度な後遺障害を負わせたのなら、人として反省と贖罪が消えるものとは思えません。

 一方、人間は基本的にエゴが強く、反省の日々をいつまでも受け入れたくない心情が働きます。最初はやや反省もあったのでしょうが、いずれ、「なんで自分だけ事故を起こしたのか、自分だけが悪いのか、加害者になったのは運が悪いだけだ」と、贖罪自体が理不尽な思いに変化するそうです。何年も自責を続けるなど、心が持たないのでしょう。反省と謝罪を続けるには、強い心が必要なようです。      広く犯罪被害も含め、交通事故被害においての加害者は、被害者にいつまでも謝罪などしないことが普通です。物損事故や軽度のケガでは、たった1本の謝罪電話もしないことが多いのです。よく、被害者さんは「お金ではない、誠意がない」と激怒しますが、残念ながら「お金」しかないことが多く、そのお金を十分に取ることすら苦労の連続です。これが現実と言えます。      やるせない分析が続きましたが、被害者さんは「誠意=お金」と割り切って、交通事故となるべく早く決別し、前へ進むしかないと思います。        

続きを読む »

 直ちに弁護士介入すべき事故もあれば、相手の反応を窺うように、まず、本人からの請求とすることがあります。    自賠責保険や労災が絡まない事故の場合、その後遺障害等級は誰が決めるのでしょうか? 多くの場合、企業・スポーツ施設は施設賠償責任保険を付保しています。加害者側である、その保険会社の”自社認定”の審査に付すことになります。すると、お手盛り審査ですから、最初から弁護士が介入するのは得策ではありません。施設側の保険会社は、被害者と穏便に(つまり、安い保険金額)相対交渉で解決する期待を持ちます。ですから、相手の等級回答を待ってから、弁護士介入が望ましいのです。これを、私達は「時間差介入」と呼んでいます。交渉事ですから、駆け引きは当然で、綺麗ごとだけでは済まないのです。    本件もその形を取りましたが、高望みなく、妥当な等級に落ち着きました。一方、施設側(裏に隠れた保険会社)も、最初から賠償保険の存在を隠し、安い傷害保険金のなめた提示をしてきたのですから、お互いさまです。    このような企業保険では、約款上、自動車保険のように担当者がじかに示談代行をしません。相手保険は加害者側企業の後ろに隠れて、操ることになります。その点からも、自動車保険の示談代行は便利です。お金を取っての示談代行は、非弁護士行為との指摘もありますが、保険会社の示談行為は、弁護士会が許している数少ない例です。このような企業の賠償保険でも、お互い駆け引きの無駄をなくすためも、示談代行OKとすべきかなぁ、少し思います。   現場調査でコースを回ってみたかった(経費で落ちますよね?)    

施設賠償11級7号:胸椎・腰椎圧迫骨折(50代男性・神奈川県)

  【事案】

ゴルフのプレイ中、キャディが操縦するリモコン式カートが背後から衝突、転倒したもの。直後から全身の痛みに悩まされる。診断名は胸椎と腰椎の圧迫骨折となった。

続きを読む »

 交通事故では、被害者さんに関係ないところで、色々な問題が重なることが多いものです。その多くは、治療費を払う保険会社と治療をする病院との三角関係が崩れることです。    本件は同乗していた二人のケガについて、その受傷機転(軽い衝突)から過剰治療と思った保険会社と、患者離れ悪い病院から、大変に紛糾しました。依頼を受けた弁護士は、相手保険会社から先に打たれた訴訟(債務不存在確認訴訟)上、その紛争収束に難儀しました。怒り狂う保険会社に対して、有効な策は・・・

 相手(任意)保険会社にとって、治療費の負担が自賠責を超えないようにすれば文句はないのです。本件は幸いというか、業務中の事故でした。そこで、弁護士の指示を受けた秋葉事務所が労災手続きを進め、治療費負担を自賠責内に圧縮し、労災14級認定のおまけをつけて、なんとか解決までこぎつけました。    不毛な感じは残りますが、これも紛争を終息させる事務処理かと思います。   誰かが動かなければ、収まりつかないのです     労災14級9号:頚椎捻挫(30代女性・栃木県)   【事案】

自動車にて信号待ち停止中、後続車に追突される。直後から頚部痛のみならず、頭痛等、強烈な神経症状に悩まされる。

続きを読む »

 慣れない用語が含まれますので、先に解説します。    ○ 肩関節炎・・・中後年の肩の痛み、腕が挙がらないなどの症状の多くは、いわゆる「50肩」、加齢による肩関節周囲炎の診断が多くを占めます。処置として、最近ではヒアルロン酸注射が多いようです。本件の場合は、肩にケナコルト注射を打ちました。これはステロイド系に属し、肩関節腔内に注射して炎症を抑える効果を期待します。   ○ 医療過誤・・・(いりょうかご、 Medical malpractice)とは、治療行為における誤りによって患者に被害が発生すること。医療ミスともいう。   ○ 医療賠償責任保険(医師賠)・・・医師が加入する、医療過誤など患者に賠償責任を負った場合、その賠償金を肩代わりする保険です。主な支払い項目は以下の通り。   ① 法律上の損害賠償金

法律上の損害賠償責任が発生した場合において、被保険者が被害者に対して支払責任を負う損害賠償金

※ 賠償責任の承認、賠償金額の決定についてはあらかじめ保険会社の同意が必要となりますのでご注意ください。   続きを読む »

お問い合せはお気軽に!

事務所メンバー

「交通事故被害者救済」がスローガン! 病院同行に日夜奔走しています。解決まで二人三脚、一緒に頑張りましょう。

代表者略歴を見る!

部位別解説 後遺障害等級認定実績(初回申請) 後遺障害等級認定実績(異議申立)

今月の業務日誌

2025年1月
« 12月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

月別アーカイブ