物損事故での自動車の修理見積・査定や過失割合の判定に、AIが導入されていることは聞いていましたが、新たに保険金の不正請求者をあぶりだすシステムができたようです。

 昔から、損保業界では保険詐欺、不正請求を繰り返す人の情報を共有しているのではないか?とささやかれていました。もちろん、そのようなデータの存在など、大ぴらに認められるものではありません。他業種、例えば、商品のクレームでゆすりたかりを繰り返す人は、大手百貨店共通の敵です。某デパートのクレーム係に務めている友人からは、それらしきリストは「ある」と聞きました。たかり屋は同じ手口で各デパートに接触しますから、情報を共有することは悪いことではないと思います。保険金詐欺のモラルリスクが日常である保険会社こそ、必要な情報共有ではないでしょうか。

 今回は東海日動さんとイーデザインさんが、過去データから疑義のある保険請求を抽出するシステムを作ったそうです。これなども、各損保で共有したシステムがより望ましいと思う次第です。

 ちなみに上記イラストを説明します。 アフロス・・・アフターロスの略。すでに壊れていることを隠して車両保険に加入、後に別事故を装って保険請求する古典的手口。      イーデザイン損保、自動車保険の不正請求を早期検知するAI(人工知能)を開発・運用開始! <プエスリリース様より引用>    イーデザイン損害保険株式会社(取締役社長 桑原 茂雄、以下「当社」)は、株式会社PKSHA Technology(代表取締役 上野山 勝也、以下「PKSHA社」)と連携し、契約内容や事故申告状況等に関する情報から不正な保険金請求を早期に検知するAI(人工知能)(以下、AI)を開発しました。2021年6月23日から運用を開始します。

 保険金の不正請求対策は、健全かつ安定的な損害保険制度の運営や保険事業の信頼維持および公平性確保の観点から、保険業界全体の重要課題となっています。一方で近年、不正請求の手口は複雑化・巧妙化していることから、対策には幅広い不正パターンの理解と高度な専門性が求められます。

 この課題の解決のため今般、専用のAIを開発し、高次元の不正請求パターン認識により、保険金請求について自動的かつ高速度・高精度なスクリーニングを行えるようにしました。さらに、不正検知根拠となるデータの可視化により、不正が疑われる請求について事故対応業務に携わる「人」と「ソフトウエア」の協業ができる仕組みを構築しました。

 これにより、当社の専任担当者の持つ専門的ノウハウを活かしつつ、その業務をAIがサポートする形で不正請求対策の高度化を実現します。また、AIが最新の不正請求事例を学習し、環境変化に対応します。  

続きを読む »

 先日、顔面麻痺の被害者がいらっしゃったのですが、顔面麻痺の検査方法がありましたので、記載してみます。    柳原40点法とは、1976年に柳原尚明先生をはじめとする顔面神経麻痺の臨床研究に携わるグループにより作成され、1976年および1984年の国際顔面神経シンポジウムで報告されたものです。柳原40点法は、※「安静時の左右対称性と9項目の表情運動」を4点(ほぼ正常)、2点(部分麻痺)、0点(高度麻痺)の3段階で評価されます。微妙な場合は、中間の3点、1点を採用する場合もありますが、合計点数を計算するには偶数の方が簡便で検者間の誤差が少なくなるため、より妥当な偶数点に変更し、2進法で評価します。柳原40点法は、顔面表情の主要な部位の動きを個別に評価することで、検者の主観をおさえて再現性を高めるとともに、経時的な部位別評価をすることができます。40点満点で10点以上を不全麻痺、8点以下を完全麻痺、あるいは20点以上を軽症、18~10点を中等症、8点以下を重症とします。また、36点以上で中等度以上の病的共同運動(口を動かすと、一緒に目が閉じてしまうなどの症状)のないものを治癒と判定するようです。

 柳原40点法を使用することにより、顔面神経麻痺発症初期に麻痺程度を診断することで予後評価が可能であり、的確な治療法の選択にも有用であることが報告されているようです。発症から1~2ヶ月の経過観察で機能予後をある程度判定できるため、術前評価法として神経再建をすべきか否かの判断の一助となっているようです。しかし、評価基準が3段階のため、術後評価としては実際には大雑把すぎるというのが問題であり、今後の課題でもあるようです。   ※ 10項目としては、「安静時の左右対称性」、「額のしわ寄せ」、「軽い閉眼」、「強い閉眼」、「片目つぶり」、「鼻翼を動かす」、「頬をふくらます」、「口笛」、「イーと歯を見せる」、「口をへの字に曲げる」があります。    後遺障害認定においては、この柳原40点法は参考程度にしか捉えられず、診断名、画像所見によって主に判断されていることが予想されます。「現場で使用する検査」と「立証で使用する検査」に乖離があるのは仕方のないことですが、問題はこの乖離を現場の医師が知らないという点です。交通事故(労災事故もですが)において、この問題が解決する日は来るのでしょうか。まだまだ秋葉事務所の活躍の場がありそうです。

 

続きを読む »

 ご存じの通り、(簡単に言いますと)最高裁は「夫婦同姓の民法の規定は男女平等の憲法違反とまでは言えない」と判断しました。最高規範である憲法は、そう簡単に違憲判決はしません。過去には政治的な圧力で判断したのか?、と勘繰るような判決がありましたが、民意や世相程度でおいそれと法律判断しない日本は、他の国に比べて法治国家として機能しているのかもしれません。    2015年の前回の判断内容と概ね同じで、「民意・世相の反映、時代の変化による民法改正は、民意を受けた立法府である国会の仕事」と念を押されました。    今回訴えた数組のご夫婦はもちろん、全国の別姓希望者は、「また国会へボールが返ったのね・・」、さぞかしがっかりだったと思います。なぜなら、国会における予備的な審議会では、毎度意見が分かれ、法改正案の先送りを繰り返しているからです。急ぐ必要性を感じていないのでしょう。一定の反対者、その反対理由は昨日にも触れましたが、伝統だとか、役所の混乱とか、その理由は今一つ説得力がありません。しかし、保守派というか原理主義者は頑固なものです。    いずれにしても、時間はかかりますが、ドイツやタイが数年前に改正したように、いずれは「選択的夫婦別姓制度」にルール変更すると思います。国政選挙でこれを選挙公約として争えば、投票率も上がると思いますが・・。    

続きを読む »

  第750条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。    長年、懸案となっていた婚姻後の夫婦別姓について。「結婚すれば夫婦はどちらかの姓を選択すること」、明治以降の常識でした。これは民法の規定で750条です。日頃、保険金支払いの場面など、家族法に関わることは多く、私達や法律関係者はもちろん、広く社会が注目するところです。    簡単にこれまでの歴史、法改正の流れを説明します。夫婦同姓のルールは、明治時代の旧民法から発し、「結婚は妻が夫の家に入ること=夫の姓となる」という、伝統的な家族制度の考え方からスタートしたものです。さすがに古い。もっとも、江戸時代までは貴族や武士階級など、ごく一部の偉い人しか姓が無く、そのお偉いさんも別姓がありましたから、それほどの伝統ではありません。

 戦後、両性の本質的な平等(日本国憲法第24条)の成立後、明治のルールである「夫の姓のみ」は「どちらかの姓を選ぶ」に改正されましたが、それからずっと民法750条「夫婦同氏の原則」ままでした。ただし一応、「選択的夫婦別氏制度は現行の民法では認められていないけれど、特定の社会的活動の場において通称として旧姓を利用することまで禁止する趣旨ではない」と解されています。

 近年、2015年に大法廷が憲法に違反しない「合憲」、つまり、750条維持(夫婦はどちらかの姓に)と判断しました。その理由ですが、「夫婦同姓が不利益を生んでいるとしても、子どもを含め家族の呼称を一つにすることにも合理性がある」とのことです。ちょっと消極的な物言いに聞こえます。こうして、初めて最高裁が判決して以来、明日が2度目の判断となります。    昭和からは女性が社会進出、もはや専業主婦など少数例でしかありません。既婚未婚を問わず、普通に男女が働く社会になっています。「どちらかの姓のみ」である利便性は薄れ、もはや合理性を失ったと言えます。さらに、男女の関係性、性別の多様化、家族の在り方も多種化が進む中、それぞれ個別の事情があるのですから、姓は自由でないと不自由です。「子どもを含め家族の呼称を一つにすることに合理性がある」とする人は、今まで通りどちらかの姓にすればよいだけです。要は、国が規定するのか、それぞれの自由とするのか、だけの問題と思います。

 実際、夫婦別姓を議論すると、改正派:「同姓である必要性がなければ、自由でいいじゃん」に対し、750条維持派(つまり、どちらかの姓であるべきだ)は、「伝統だから、変えちゃダメ!」などと・・理由が感情的・宗教的で論破される傾向です。    さて、今回1審2審では否定した(実のところ最高裁へ委ねた?)夫婦別姓制度、令和まで引っ張ったこの議論は、どのような判断となるのでしょうか。  

 ちなみに、海外は自由が主流です。ジョン・レノンとオノ・ヨーコさんの息子、ショーン・レノンさんの名前は、ショーン・タロー・オノ・レノンと、両親の姓を名乗っています。両性併記、欧米ではめずらしくありません。自由ですね。  

続きを読む »

 今月の相談会は予約者がたったの1名と、往時からすれば寂しい限りです。しかも、急な発熱で欠席に。0人は10年間で初かもしれません。    コロナの影響をひしひしと感じています。交通事故数は一定数発生していますが、被害者さんの動きは何かと制限され、相談や解決までの流れが滞っているようです。

 先行き不透明な世の中、一体いつになったら回復するのか・・・。

 腐らず、頑張ろう。

   

続きを読む »

 綿密な医療調査によって収集された診断書・画像・検査結果・・これらから、申請前に既に等級は読めています。    以前、弁護士さん向けの高次脳の研修で、ある弁護士さんから質問を受けました。   「高次脳機能障害の依頼者さんを何名か経験しましたが、何級になるのか今一つ基準がわかりません。労災の基準などを参照しても不明瞭です。何かわかり易い基準はないでしょうか?」    この質問にはこう答えるしかありません。   「高次脳の場合、自賠責は特別審査会(通称、高次脳審査会)の合議で等級を決めます。それ以前に、等級は様々な資料から総合的に検討されたもので、認定基準を数値化することに限界があります。答えにならず、すみませんが、私は障害の項目別の障害程度を整理した後、全体像を見て予想、申請時には○級とわかっています。それは8割がたビンゴです。予想を外すことは10件に1~2件でしょうか。」    本件も想定通り9級の結果が返ってきました。   狙い通りとは言いませんが、想定通り!  

9級10号:高次脳機能障害(30代女性・東京都)

  【事案】

自転車で横断歩道を走行中、信号無視の車に衝突される。救急搬送され、CTにて側頭骨骨折、くも膜下出血・脳挫傷が判明、約2週間の入院を余儀なくされる。

続きを読む »

 本例は高次脳機能障害ですが、この障害の多くは、五感をつかさどる神経にも同時に障害をもたらします。また、頭部外傷はそれなりの重傷事故です。整形部門のケガや醜状痕など、複数の障害が重なることは珍しくありません。

 複数の障害が残った場合、自賠責保険の等級は併合して等級を繰り上げて調整しています。12級が2つで併合11級の算定ですが、では、12級が3つなら・・・これも併合11級です。12級がいくつあっても併合のルールはこうなります。しかし、障害が複数残れば、当然、その苦しみは加算されます。この点、自賠責保険は一律の基準で慰謝料と逸失利益を計算しますので、複数の苦しみが正確に反映されないことがあるのです。

 本件では、すでの9級の高次脳を確保しています。他に13級以上が1つあれば、併合8級です。しかし、8級より等級が上がらずとも脊椎で11級、醜状痕で9級、嗅覚・味覚でそれぞれ14級をしっかり確保しました。これら苦しみ加重を、賠償請求で実際の損害に反映すべきと思います。これこそ、「個別具体的な事情を損害賠償額に変換させる」弁護士の仕事です。連携した弁護士に期待しています。   私達はその下準備が仕事です

  11級7号:胸椎圧迫骨折(30代女性・東京都)   9級16号:顔面線状痕   14級相当:味覚・嗅覚障害    

続きを読む »

 交通事故を契機に、肩関節の不調を訴える被害者が後を絶ちません。むち打ち・腰痛の次に多い症状かもしれません。    多くの場合、むち打ちを契機とした、いわゆる頚肩腕症候群の範ちゅうに入ると思います。40~50代が圧倒的に多く、若年層はほとんどいません。中高年ともなれば、体が硬く、頚椎にも年齢変性がみられ、首から肩にかけて過緊張の状態になっています。交通事故外傷以前に、中高年の4人に1人は何等かの症状を持っていると言えます。

 さて、毎度、賠償問題となるのは、これらの症状が事故を原因とするものか否かです。保険会社は受傷の状況に不自然がなければ、およそ3か月の治療は容認します。しかし、それ以上となると・・「打撲・捻挫でいつまで通っているの(怒)」とは言いませんが、治療費打切りを切り出してきます。通常、打撲捻挫の類は消炎・鎮痛処置をすれば、1か月もすれば軽快するものです。3か月でも十分、それ以上は長過ぎると思うわけです。これは、単なる”保険会社の払い渋り”とは言えません。

 しかし、3か月でも症状が治まらない被害者さんは、確かに一定数存在します。さらに、その一定数からも大きく2つに分かれると思います。一つは、頚椎捻挫から頚部の神経症状が発症したタイプです。これは単なる捻挫を通り越して、上肢のしびれを代表に、様々な不定愁訴(頭痛や吐き気、肩の重だるさ、その他不調でなんだか調子悪い)が半年から数年続くことになります。肩関節も痛みから動かさないので、関節が拘縮し可動域制限が残る方も含みます。これを、「90°までしか肩が挙がらない! 肩腱板不全断裂ですから!」と、10級10号の診断書を提出したら・・自賠責保険の怒り(非該当)を買うこと必至です。絶対に10級を認めないと思います。    このような被害者さんは、痛みの継続をもって、後遺障害14級9号「局部に神経症状を残すもの」の認定を受け、その賠償金を得て、長期間の治療・リハビリに備えるべきと思います。この程度(と言っても200万円~)で手を打つべきなのです。治らないからと言って、いつまでも保険会社と戦争すべきではありません。この解決の流れを作ることが私達の仕事でもあります。    もう一つのケースは、事故受傷を契機に頚部や肩の痛みは当然として、肩にそれ程のダメージがないであろう受傷状況から、「どんどん肩が挙がらなくなった」人です。先の説明、神経症状の一環とも思えず、いわゆる四十肩・五十肩、老化による自然な肩関節周囲炎の症状そのままです。この場合、事故受傷により、その衝撃から発症してしまう不幸なケースもあれば、実は事故前から不調だった、あるいは事故後から拘縮が進むケースですから、ケガと言うより年齢変性・運動不足による疾病に近づきます。事故との因果関係について、保険会社は当然に否定します。肝心の医師も判断に困ります。それがわかるほど、現代の医学は進歩していません。そして、賠償問題に関わりたくないので、患者と距離を置きます(逃げ出します)。

 単なる打撲・捻挫、挫傷の類で、「肩が半分までしか挙がらなくなったのは事故のせいだ!」と保険会社と対峙しても、その争いは自賠責保険の後遺障害審査はもちろん、裁判でも負けると思います。骨折や脱臼、棘上筋断裂で手術でもしていれば別ですが、ズバリ、証拠がありません。その点、この問題をさらに複雑にするのが、医師の診断名です。半分も肩が挙がらないことのみをもって、「肩腱板断裂(損傷)」の診断を下してしまうのです。画像検査もなしに確定診断?は軽率に過ぎますが、そもそも町医者の先生に、MRI画像を正確に読影して頂くことなど高望みなのです。

   独り歩きを始めた診断名(診断書)ですが、賠償問題で保険会社と争う段階になれば、「肩腱板断裂」→「肩腱板不全断裂」→「肩腱板損傷の疑い」と、だんだん自信喪失、薄まっていきます。本来、慎重な医師であれば、予想的な診断名を口にしません。肩関節の専門医にコンサル(紹介)します。その専門医も安易に断定しません。問診・徒手検査を経て、MRIやエコー検査の画像を基に丁寧に診断を下します。そして、たいてい「年齢変性による肩関節の拘縮ですね」となりますが。    このように、中高年にとって、事故外傷と(年齢変性による)諸症状の切り分けこそ、交通事故解決の宿命と思います。私達は日夜、被害者さん・保険会社・医師の3者の交通整理をしているようなものです。    かく言う、私も肩の痛みに悩まされています。私には無縁と思っていた(根拠のない自信)五十肩になったのでしょうか? この件はまた、後日レポートしたいと思います。  

続きを読む »

 今週、眼医者さんで眼底検査の予定です。健康診断の高血糖の結果から、医師の勧めがありました。恐ろしいのは糖尿病による網膜症で、自戒の為にも説明をUPしました。

 一度も経験のない眼底検査、この際何でも経験してみたいと思います。  

【1】眼底検査とは  <日本予防医学学会様HPより引用>    眼底検査とは、瞳孔の奥にある眼底を眼底カメラで撮影し、眼底の血管、網膜、視神経等を調べる検査です。眼底とは眼球の後内壁面を覆う網膜のことで、瞳孔を通して観察し写真撮影することができます。私たちは網膜の働きでものを見ますので、その出血や変性などは重大な所見です。また、糖尿病性網膜症(※)や緑内障などの失明に至る恐れのある病気を早期に発見できます。さらに、眼底にある動脈を観察して、高血圧性変化や動脈硬化の程度を調べます。

  ※ 糖尿病網膜症(糖尿病性網膜症)とは <メディカルノートさまHPより引用>

 糖尿病の合併症として発症する疾患です。腎症や神経障害とともに糖尿病の三大合併症のひとつとして知られています。糖尿病では血管障害が引き起こされますが、これに関連した網膜病変です。最近の厚生労働省の調査では、国内の糖尿病が強く疑われる方は1000万人を越えていると推定されます。糖尿病の患者さんのうちのおよそ3分の1、約300万人が糖尿病網膜症に罹患していると推計されており 、非常にありふれた合併症であるともいえます。糖尿病網膜症は無症状で進行することも多く、最悪の場合には失明にも至ることがあります。患者さんのうち、およそ100万人に実際に視力低下や失明が起きていると考えられます。つまり、糖尿病患者さんの約10人に1人に、糖尿病網膜症による視力障害が出ているということになります。続きを読む »

 いずれも、病院同行が勝負を決めました。    残念ながら、医療の専門家である医師とは言え、自賠責保険の後遺障害についての造詣は深くありません。まじめな先生ほど、「後遺障害診断書はどう書いたらいいの?」と悩んでいます。そこは、医師面談が手っ取り早いのです。ある意味、病院同行とは、あらゆる医師のタイプに合わせて診断書を共に作成する作業と言えます。   本日、「鬼滅の刃」DVD発売です!   14級9号:頚椎捻挫(50代男性・静岡県)    非該当⇒併合14級:頚椎・腰椎捻挫(40代男性・神奈川県)    

続きを読む »

 先日、SDSAというものを受けた方がいらっしゃったのですが、高次脳機能障害の評価として審査会が判断するのか、今後どのように扱われていくのか興味がありましたので、まとめてみます。    SDSAとは、Stroke Driver’s Screening Assessmentの略で、脳卒中ドライバーのスクリーニング評価は直訳です。イギリスのNouri&Lincoln博士らによって開発され、脳卒中患者が安全に運転できるかどうかを予測するための検査です。これまでイギリスやアメリカ、オーストラリア、北欧で行われた研究により、運転技能予測に有効な検査であることが多数報告されており、4種類の検査から注意機能、空間認知機能、非言語性推測力等を評価し、脳卒中ドライバーの運転適性を見極めるようです。

 検査の内容は、①ドット抹消検査 ②方向スクエアマトリックス ③コンパススクエアマトリックス ④道路標識 の4種類です。   ① ドット抹消検査とは、25行×25列に印字された記号(ドットで構成された何種類もの図形)の中から検査者に指定された記号を選び、印を付けていくものです。所要時間と正誤数等にて判断しますが、注意機能や情報処理速度等を評価します。   ② 方向スクエアマトリックスとは、4×4方眼紙の外側に2種類の矢印が記載されており、大きい矢印がトラック、小さい矢印が乗用車の方向を指しています。手元には16枚のカードがあります。カードには上にトラック、下に乗用車のイラストが描かれており、進行方向が上下左右ランダムになっています。その組み合わせとして正しい枠にカードを入れるテストです。   ③ コンパススクエアマトリックスとは、4×4方眼紙の外側に8種類のコンパスが記載されており、車の進行方向を意味します。カードにはロータリーに2台の車が進入しているイラストが描かれているため、それぞれの進行方向に対応するカードを正しい枠に入れるテストです。尚、このテストでは、対応していないイラストも入っており、その場合には、枠に入れずに除くと作業も含まれております。   ④ 道路標識とは、様々な道路状況を表したイラストが描かれた用紙があります。手元には道路標識のカードがあり、使わないものも出てきます。それぞれのイラストに対応する正しい道路標識のカードを用紙の上に乗せるテストです。  

 私も動画を見てやってみましたが、①はただただ疲れる、②と③は結構難しいです。④は割と簡単かもしれません。但し、高次脳機能障害の立証という点においては、わざわざこの検査を実施しなくてもいいのではないかという気がします。補足資料として添付する分はいいかもしれませんが、運転ができるレベルの方であれば、好成績になる可能性が高いので、後遺障害申請という意味では不利に働くことの方が多いのではないかなと思います。

 特に地方では、車がなくては生活ができないといった側面があると思います。脳卒中患者のためだけではなく、高齢者ドライバーの適性についてもこのような検査を実施し、免許返納等、事故抑制の足掛かりになればと思います。  

続きを読む »

 次に、指を曲げることができなくなった、または伸びたまま硬直した状態、伸展拘縮も検討します。曲がらなくなった理由は一つではありませんが、屈筋腱損傷を前提に考えます。これも基本知識から。

 

(2)屈筋腱損傷の基礎解説 手の掌側にある屈筋腱が断裂すると、筋が収縮しても、その力が骨に伝達されないので、手指を曲げることができなくなります。切創や挫創による開放性損傷、創のない閉鎖性損傷、皮下断裂がありますが、圧倒的に前者です。屈筋腱の損傷では、同時に神経の断裂を伴うことが高頻度で、そんなときは、屈筋腱と神経の修復を同時に行うことになり、専門医が登場する領域です。

手指の屈筋腱は、親指は1つですが、親指以外では、深指屈筋腱と浅指屈筋腱の2つです。親指以外で、両方が断裂すると、手指が伸びた状態となり、まったく曲げることができなくなります。

深指屈筋腱のみが断裂したときは、DIP関節だけが伸びた状態となり、曲げることができません。しかし、PIP関節は、曲げることができるのです。

屈筋腱損傷の治療は、手の外傷の治療のなかで最も難しいものの1つで、腱縫合術が必要です。年齢、受傷様式、受傷から手術までの期間、オペの技術、オペ後の後療法、リハビリなどにより治療成績が左右されます。治療が難しい理由には、再断裂と癒着の2つの問題があります。オペでは、正確かつ丁寧な技術が求められ、オペ後の後療法も非常に重要となります。

(3)DIP関節の伸展拘縮と屈曲拘縮、どちらかで14級7号は認められるのか?

 労災の認定基準では、以下の通りです。

 14級7号:1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

 MCP(指の根元)やPIP(第2関節)は1/2までしか曲がらなくなった場合で用廃と、労災・自賠責共に基準とされています。

続きを読む »

 多くの指の認定例を誇る秋葉事務所でも、まだ未経験の部位・症状があります。今後、それらの受任と実績を待つとして、自賠責・労災の認定基準を明確に把握しきれないケースについて、最新の認例実績をもとに解明していきたいと思います。

 指のケガを検索、秋葉事務所に引っかかった方は、どしどしご相談下さい。初の相談例であっても、指にまつわる経験則は抜きんでていると思いますので。     【1】 DIP関節における機能障害の等級認定は?

 DIP関節は指の一番先の関節です。根本の関節(MP)、中間の第二関節(PIP)、親指の場合は(IP)・・これらの機能障害、欠損の認定基準は上の一覧表を見れば、容易に判断できます。しかし、細かい症状で悩むことがあります。最初に取り上げるのは、第1関節(DIP)の障害です。機能障害としての認定基準、例えば可動域制限などは明記なく、14級7号が唯一明記されています。   「14級7号:1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの」    このような障害の代表は、いわゆる「突き指」で第一関節が曲がったまま固まった状態でしょうか。多くは、伸筋腱か屈筋腱の損傷を原因に、そのまま長期間装具固定した、あるいは放置した結果、関節が拘縮してしまった状態です。こうなると、手術での改善も時すでに遅しに感じます。

 この後遺障害で秋葉が感じる謎は、「屈伸できなない=硬直」は当然として、では、「伸ばすことはできるが曲げることはできない(伸びたまま)=伸展拘縮」、逆に「曲げることはできるが、伸ばすことはできない(曲がったまま)=屈曲拘縮」、これらも14級7号に該当するのか?です。 まずは、基礎解説から(交通事故110番より)。   (1)伸筋腱損傷の基礎解説   指を上から見たときの解剖図

続きを読む »

 交通事故被害者、とりわけむち打ち患者が愛してやまない、整骨院(接骨院)。    私自身、体育会時代と違い、大人になってからは体を痛めた経験はほとんどなく、お医者さんはもちろん、治療機関とはまったく無縁でした。しかし、この節、健康診断なども含め、病院に行く機会がありました。その流れで痛みのある肩を、近隣の整骨院で施術してもらいした。食わず嫌いはいけません。何事も経験です。    徒手の技術はマッサージとは違い、ポイントを絞り的確に筋肉をほぐしていきます。これだけでも気持ちがよい。そして、施術の目玉はハイボルト!、通常の電気治療とは格別の感じです。肩を曲げ伸ばししながら、ぐりぐり当ててきます。このビリビリ感は確かに「効いている」感じがします。下は伊藤超音波社さんのスタンダード機種、アマゾンでも買えます。値段は2,472,500円です。      さて、数回の継続で改善はみられるか・・また報告します。  

続きを読む »

最近、ハイボルト治療の事を思い出したので少しネタに…

近年は整形外科でも導入が増えてきたハイボルト治療器 名前の通り高電圧治療だ。

筋肉の痛みは、筋肉が固まり、毛細血管が圧迫されて血流が悪くなり、疼痛発生物質がとどまって痛みを発生させている状態。 損傷している筋肉・腱・靭帯・関節包(以下軟部組織と言う)に高電圧を流すことで、強制的に筋肉を収縮、弛緩させて血流を最大にあげ、組織の修復を図ることが出来る。

筋肉が固まり、関節包や靭帯まで固くなったり、癒着した状態では、血行不良で痛みも出るし、関節もどんどん固まってくるし、損傷した部分の修復ができない。そんな癒着を起こし動かなくなった筋肉を、動く筋肉に変える事ができ、血流を上げて組織の修復が可能となる。

神経に高圧電流を通すことで、脳に神経が痛みと言う電気信号を伝えるのですが、痛みの信号を遮断する事ができます。

電気を流す際、いきなり強い電圧でスタートする施術者がいるけど、 それはさすがに驚くと思います(;・∀・)

僕は電気が苦手な方なので、最初は弱い電流で流してもらい、慣れてきてから強くして貰っています。 一度こんな感じかと分かってしまえば、全く問題ありません。

ムチウチ後のリハビリでハイボルト治療を取り入れている整形にかかる際は、是非最初は弱い電圧からお願いしますと、子羊の様に訴えて下さいね。 そうすると、優しくされます(笑)

私個人的にはとても良い治療機器だと思いますよ!

続きを読む »

 誰だってもめ事は早く解決したいはずです。しかし、例外をいくつか経験しています。

 その理由は様々ですが、大別すると以下のパターンでしょうか。   1、復職したくない?

 解決したい気持ちが無いわけではありせん。しかし、治療や手続きが進むと、何かと言い訳して解決を引き延ばします。ケガ人なら堂々と仕事しないで家でプレステ三昧、この生活に甘えてしまう人もいるのです。

 怠け者と言えばそれまでですが、元々ハンデキャップを持った人や、例えばアスペルガーの方は職場でトラブルを起こすなど、そもそも困っている人がおります。また、障害がなくとも、人間関係の悩みやストレスで苦しんでいる人も少なくありません。それに交通事故のトラブルが重なり・・。ケガの回復より、精神面の休養が長期間必要なのかもしれません。

 仕事をどうするかは別として、解決こそ精神的、肉体的にも健全なので私達も丁寧に説得することになります。「早く解決して、一定のお金を得たら、ハワイでも行ったらどうです?」、何か目標を示すことが良いようです。

 例外的ですが、かつて公務員のご依頼者さんで、事故の解決に向けて進めるも、実際、後遺障害申請に直面すると、あれこれ理由をつけて先延ばしにする方がおりました。心を込めて説明をしてもダメです。それどころか、また事故に遭った、転んだなど、ケガを重ねていきます。どうやら給与が保障されてクビにもならない地位から、ずっとケガ人でいたいようです。

 

2,自分の障害を永久に追求したい?

 医師が訴える不調を聞いてくれない、保険会社は治療費打ち切りを打診し、相談した弁護士も相手にしてくれない、そして、後遺障害が認められない。

 このような周囲の対応に戦い続ける人がおります。お聞きすると事故から5年も経っています。とっくに治療費は打ち切られています。それでもドクターショッピングを続け、たまに元気になると弁護士など業者に相談をします。疲れると半年くらい動きません。これはケガではなく精神的に参っている患者さんで、心療内科の先生が担当すべきなのです。すでに通っていたりしますが。

 このタイプの被害者は解決のない無限ループにおります。仮に、妥協的でも妥当な線で解決させたいと思いますが、ケガや障害を否定する意見には耳を貸しません。残念ながら私達の専門外、何もできません。いずれ誰も相手にしなくなり、心療内科含め違う病気にかかって退場するようです。

 

続きを読む »

 最近、キックボードに乗っている方をよく見ます。1990年代後半に流行しましたが、その後衰退の一途を辿った記憶があります。自転車の方が便利で速い(しかもキックボードほど疲れない)にもかかわらず、友達がキックボードで集合する風景が懐かしいです。今も小学生たちがキックボードを乗っている姿をたまに見かけますが、大人たちは電動キックボードです。電動キックボードはまだ法整備が追いついておらず、グレーな存在かと思っておりましたが、都市圏ではシェアリングサービスが普及し始めました。

 本年4月23日付で経済産業省が産業競争力強化法に基づく新事業活動計画を認定したようです。これにより認定された4つの事業者(株式会社Luup、株式会社mobby ride、株式会社EXx、長谷川工業株式会社)に対して国家公安委員会及び国土交通省において「道路交通法施行規則」及び「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」の適用に関して新たな規制の特例措置を講じられたことから、本特例措置の対象となる電動キックボードの通行に関する安全性等について検証することになりました。   参照:警視庁HP、経済産業省HP 特例電動キックボードの実証実験の実施について 警視庁 ...

続きを読む »

 満を持して2年ぶりの上梓、交通事故110番の最新刊(上・下巻)が発売(6月7日)です。

 交通事故・後遺障害の3大重傷「高次脳機能障害・脊髄損傷・遷延性意識障害」 + 「死亡」を過去の判例から徹底分析!    同テーマの書籍は過去、数冊存在しています。しかし、弁護士ではない、業界No.1の実務家による書籍は唯一無二と思います。その切り口は、この業界の業界の元祖であり、いまだ最高峰のネット情報「交通事故110番」の面目躍如です。一切の忖度なく、弁護士の喉元に突きつけられた日輪刀の刃のごとき切れ味は、交通事故の3者(被害者、弁護士、保険会社)すべてを刮目させること間違いなしです。    けっこう高額ですが、専門家を名乗るなら、必携の2冊と言えるでしょう。      購入先 ⇒ かもがわ出版    アマゾンで購入できます ⇒ 『高次脳機能障害 判例の分析と検証』  

続きを読む »

 主治医の技術と熱意で、その手術により可動域制限なく回復できました。それはもちろん最良の結果です。しかし、後遺障害の専門を標榜する私達にとっては・・悔いが残りました。

 抜釘手術前であったら、可動域制限の8級2号を標準としていました。しかし、コロナの影響がここでもありました。詳しくは、以下の通りです。

 賠償問題上、抜釘手術による改善は等級認定後で良かったのです    

11級7号:頚椎脱臼骨折(50代女性・埼玉県)

【事案】

自動車搭乗中、センターラインオーバーの車に正面衝突され、さらに後続車の追突を受けた。直後から全身の痛み、上肢のしびれ、なにより、頚部の固定術(C5~6)によっての首の可動が失われた。  

【問題点】

続きを読む »

 というのも、10年前位は、診断書の数値通りの認定が容易だったと思います。しかし、近年、後遺障害申請数は増加の一途、また、ネット情報の伝搬から可動域を装う詐病者や、それを示唆する業者の影響からか、より厳しく可動域制限を審査するようになったと感じます。

 そもそも昔も今も、審査基準に照らせば、関節の機能障害における可動域制限は、骨折部位・様態と症状固定時の癒合状態から、「物理的に曲がりが悪くなった」原因を必要としています。つまり、画像所見で判断しています。また、計測の正確性も見ています。医師の書いた診断書の記載内容は絶対ではなく、常に審査側の判断・解釈に委ねられているのです。

 本例の骨折箇所と骨折様態から、癒合状態が良好ながら、それ程可動域の数値は疑われないものでした。すると、後は正確な計測だけです。関節可動域の回復のために一生懸命な理学療法士先生には頭が下がる思いですが、ケガの苦しみに見合った等級を残したいものです。シビアに計測をして頂きました。

理学療法士先生の気持ちはわかります   

12級6号:上腕骨頸部骨折(60代女性・埼玉県)

【事案】

自転車で道路を走行中、後方から前方不注意の車に追突を受ける。肩関節内で上腕骨を骨折し、救急搬送された。6ヵ月間のリハビリに励むも、可動域制限が残った状態で症状固定となった。

【問題点】

今回の件では、症状固定前に何度か病院へ同行、リハビリにも立ち会っていた。理学療法士の技術と尽力から可動域は回復傾向に。改善は何よりではあるが、毎回一生懸命に可動域拡大訓練の後に計測をするので、12級6号の基準「4分の3」を超えてしまう懸念があった。

もう一点は、幸い良好な骨癒合から、可動域制限を否定される可能性があった。

上記2点を対策しなければ、機能障害を否定される。 続きを読む »

お問い合せはお気軽に!

事務所メンバー

「交通事故被害者救済」がスローガン! 病院同行に日夜奔走しています。解決まで二人三脚、一緒に頑張りましょう。

代表者略歴を見る!

部位別解説 後遺障害等級認定実績(初回申請) 後遺障害等級認定実績(異議申立)

今月の業務日誌

2025年1月
« 12月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

月別アーカイブ