私が担当した被害者さんの中で、頚椎捻挫に伴う難聴や耳鳴りが発症したケースがいくつかありました。器質的損傷が認められる場合には、聴力検査や耳鳴りの検査で十分に後遺障害等級が認定されますが、そうではない場合には、認定を受けることは容易ではありません。基本的に調査事務所では、単純聴力検査の数値だけでは判断しません。その中でもごまかしがきかないABR検査について触れてみたいと思います。

 ABR検査とは聴性脳幹検査といい、Auditory Brainstem Responseの略です。脳波で聴力を見る検査で、ある一定の音を被験者に聞かせて、聴覚進路の脳幹から出てくる脳波を解析し、その脳幹反応が出るかどうかで聞こえているかを調べる検査です。この検査は年齢に関係なく、生後間もない赤ちゃんから高齢者まで実施できるそうです。聴力を調べるだけではなく、手術時に生じる脳幹の機能異常を調べることや、脳死の判定なんかにも使われているみたいです。

 ABR検査は、音を聞かせたときに神経路からの反応波形を記録します。通常、人間が音を聞くと、その後約1.5ミリ秒で音が蝸牛神経に到達し、その後約1ミリ秒間隔でいくつかのピークを持つ反応が蝸牛神経→脳幹→橋→下丘にかけて発生します。この反応はとても弱いので、1回の記録でははっきりしませんが、約1,000回重ね合わせると、波のピークが見えてきます、純音聴力検査と違い、被験者自らスイッチを押さなくてもいいので、客観的な聴力検査が可能です。(福島病院 臨床検査科より抜粋)

 さて、ABR検査の方法ですが、被験者は左右の耳たぶと頭部(頭頂部と前額部)の計4ヵ所に脳波形の電極を付けます。ヘッドホンから音が聞こえると、脳が反応して脳波に変化が生じるため、その波形を医師が読み取ります。

 純音聴力検査では、40dBでやっと聞き取ることができるといった結果があったとしても、ABR検査で閾値が20dBだとします。このような場合、ご自身の感覚では20dBの音が聞こえないが、耳の機能としては20dBでも聞き取れているということを意味します。音がどのように聞こえているかについては、本人にしか分かりませんが、そのことを客観的に示すためには最適な検査です。本当に症状のある方については、立証方法として役立ちますが、心理的な症状や詐病者には、逆証明となってしまいます。自賠責からABR検査の実施を求められたことはありませんが、上位等級を狙う場合には必要な検査です。町中の耳鼻科では、検査できないことが多いので、専門医のいる病院で検査をすることが一般的だと思います。    聴力の障害を立証することは非常に難しく、厳しい戦いです。まずは、基本的は知識のある弁護士、行政書士に相談されることをお勧めします。  

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 遅くなりましたが、ファイザーにて3回目接種しました。1、2回目に副反応が無かったので舐めていましたが、翌日38°超えの発熱、普通に風邪ひいた状態でした。頭痛い・・で大宮まで被害者打ち合わせに行きました。高校生の時、39°の熱がでながら、都大会の予選試合(剣道)を戦ったことを思い出しました。とにかく、3日間は調子が悪うございました。    オミクロンの感染もピークアウトしておよそ一月ですが、やや下げ止まり、お花見シーズンのリバウンドの状態です。なんとか医療へのひっ迫度は下がってきていますが、一体いつまでコロナに怯えて暮らさなければならないのでしょうか。もう、経済活動の制限や自粛は、その効果も含めコロナ対策として疑問です。未知の病気ですから、この2年数か月、手探りの対策に終始したことは仕方ありません。これからは、既存データからコロナの性質を解明し、実証と経験に即した対策を進めて頂きたいものです。

 マスコミも取り上げ方をみても、すっかり「ロシアのウクライナ進行」の後に少し取り上げるだけ、コロナに関して厭戦気分、関心度も下火、飽き飽きのようです。罹患して苦しんでいる患者さんや、疲弊している医療従事者の皆さんを忘れてはいけませんが、コロナを注意しつつも日常を取り戻したいところです。ロシア軍人も予防接種して戦争しています。戦争が日常行為とは言えませんが・・。

 今までは飲食店、遊興業、旅行業などが大ダメージでしが、今年は関連・派生する中小企業の倒産が多いと思います。コロナ禍の犠牲はまだ続きます。行政に対してこれからは、アフターコロナの対策、例えば企業への補助、個人への失業対策を切に望みたいと思います。今ほどコロナが蔓延していない時期に給付金がありましたが、本当に必要なのはこれからかもしれません。  

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 ありがたいことに全国各地から紹介を含めご依頼を頂いております。秋葉事務所なら、良い解決へ、なんとかしてくれはず・・期待の大きさを感じます。     交通事故で被った被害を回復することは、ほとんどが金銭賠償となります。自動車の修理やケガの治療をしたところで、それは事故前の元に戻すだけの作業です。ケガの場合は、精神的損害として慰謝料が加算されるくらいでしょうか。そして、何より大きな損害は後遺障害と死亡です。この二つは取り返しがききません。代わりに逸失利益≒将来の損害として、やはり金銭で償われます。その金額をめぐって交渉や裁判、場合よっては代理人・弁護士の助力を請います。

 秋葉事務所の仕事は、賠償請求以前の損害(ここでは人損)について、正確に漏らさず、書面や画像を集めることです。これら一連の作業を事実証明と呼びます。その端的な成果は自賠責保険の後遺障害認定となります。ここでコケると、いくら有能な弁護士を雇ったところで苦戦は必至、あるいは諦め・妥協が待っています。

 往々にして、事実証明の段階で大勢は決まってしまうとさえ思います。だからこそ、弁護士選びでも、この事実証明に最大限注力している事務所を選ぶべきです。ただし、世の常、宣伝先行は否めません。この10年、既に弁護士に依頼していながら、何故か秋葉への相談が実に多いのです。理由を伺うと・・・「後遺障害は任せて下さい!」と力強いホームぺージを信じて依頼したものの、契約後は「診断書を待っています」の対応に終始とのこと。質問すればアドバイスはしてくれますが、医師との折衝はじめ、何事も被害者が自ら動いて進めているそうです。労災の手続きも、健康保険の手続きも、各種保険の請求手続きも、診断書・画像の収集も、すべて「ああせい、こうせい」と指示ばかり。そこで上手くいかないことがあっても、「役所に聞いて進めて下さい」と・・。

 そこで初めて被害者さんは気づくのです。「この先生、実は何も知らないのでは?」。あるいは、「面倒な立証作業はやらない方針?」。残念ながら、弁護士は法律の専門家であっても、保険や医療の専門家ではないのです。交通事故の解決上、一番大変で、最も重要な作業がこれでは先が思いやられます。

 稀に病院同行してくれる弁護士もおりますが、関節可動域の計測方法を知らないので、計測する医師に何をどう伝えて良いかわかりません。せいぜい基準表と比べて「○級ですね」と判断するだけ、医師が計測をミスしてもスルーです。画像読影も基礎知識がないので、医師との意見交換もままなりません。そして、診断書の修正を医師にお願いするにも、立場からか高圧的な物言いで医師に嫌われてしまいます。実は、医師の多くは弁護士が嫌いです(弁護士=医療過誤?とでも思うのでしょうか)。

 また、主治医が協力的ではなく、他院に転院せざるを得なくても、紹介できる病院を確保していない。専門的な検査をしたくても、検査先の情報も皆無。知識だけで、その弁護士に障害を立証する実力はないのです。それでも、やっと確保した不完全な診断書を基に(結果はどうであれ)さっさと審査 → 賠償交渉へ進めたがります。そのような先生は、たいてい「結果がでてから考えましょう」と言います。それで、大人しくその結果を受け入れますか? 後遺障害申請は最初で最大の勝負、まさに損害の立証作業の集大成なのです。くじ引きではありません。    弁護士を見誤れば、何の役にも立たない、そもそも医療調査業務ができない先生と心中することになるのです。専門的に交通事故の医療調査をマスターしているのは保険会社の調査部門、あるいは下請けの調査会社の者だけです。法律とは全く無関係の部門です。ましてや、行政法を中心に法律をちょっと勉強しただけの行政書士が専門家を名乗るなど、9割方は疑うべきだと思います。

 秋葉事務所の場合、ベテラン医療調査員の指導の下、少なくとも研修を実地を含め徹底的に半年教えます。実戦配備はそれからです。また、その後も数年間、厳しい実務で鍛えていきます。この10年、年間200件以上の病院同行している事務所など他に見当たらないはずです。実績ページをご覧いただければ、ご納得と思います。付け焼刃ではダメなのです。専門家の養成とはジャンルを問わず、そのようなものだと思います。では、秋葉に頼めば後遺障害で良い等級が取れるのでしょうか?

 残念ながら、後遺障害を実際より重く、被害者に有利な等級にするなど、そのようなウルトラCは存在しません。症状とその証拠を漏らさず集めて、ようやく障害の実態すべてをカバーするのがやっとなのです。そう、限りなく0に戻すだけの作業です。逆を言えば、世の後遺症の30%程度は等級を取り漏らしたり、薄められたまま賠償交渉に進んでしまうと危惧しています。診断書に書かれていない症状は無かったことになります。また、書かれていたとしても、画像や検査結果が伴わなければ、信じてもらえません。多くの被害者さんはその現実を知りません。自賠責保険の認定結果に直面して、茫然とするだけなのです。    自賠責の後遺障害認定基準は、不特定多数、老若男女を一律に基準しているに過ぎません。すると、実際の障害より、重め、あるいは軽めの認定を目にすることがあります。それが深刻な場合、後に裁判で争点となって、より実態に即した障害、賠償金に是正する審議となります。自賠責とは違う判断、違う等級が訴訟上で認定されることもあり得ます。ただし、それは極めてレアケースです。交通事故の判例を紐解けば、裁判で後遺障害等級が変更されたケースは大変に貴重です。そして、それは限られたほんの一部の弁護士による仕事でした。交通事故専門を謳う弁護士のほとんどは、そこに名前がありません。そもそも、人身事故で裁判まで発展するケースは3%程度なのです。「自賠責保険の等級認定で99%勝負が決まる」、これが結論なのです。     業界の片隅、1ホームページが叫んだところで、なかなか伝わらない現実です。それでも10年20年訴え続けなければなりません。私達こそ、交通事故解決の最重要とされる事実証明、まさにコアを担う専門家と思っています。最近も、傷病名が13も連なる重傷で、既に等級認定済の案件を受任しました。案の定、4つも(後遺障害)等級を取りこぼしています。これからそのリカバリー、0に戻す作業を始めます。  

 

 

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 2度目のむち打ち14級認定は難しいものです。事故状況が車の大破なども含め、相当のケガでなければ2度目は難しい申請となります。

 本件の相手は、無保険、ひき逃げ、その筋の人と訳あり、まともに構える相手ではありません。そこで、相手の自賠責ではなく、人身傷害への請求としました。おかげで、加重障害の判定や厳しい審査を回避できた感があります。人傷社は諸事情を考慮せざるを得なかったと思います。災い転じてでした。後の賠償問題も人身傷害請求にて穏便解決としました。相手が相手なので・・。

あえて人傷  

人身傷害 併合14級:頚椎・腰椎捻挫(50代男性・神奈川県) 

【事案】

自動車で停車中、後続車の追突を受け受傷。

【問題点】

8年前の事故で頚椎捻挫で14級9号が認められていた。加害者車両は逃走したが後に捕まった。任意保険なく自賠責保険のみ。しかも、その筋っぽい。

【立証ポイント】

今回の事故で14級が認定されたとしても加重障害の判断で0円か、そもそも非該当にされやすい。相手が無保険であることから、人身傷害保険への請求・認定とした。

また、今回は腰椎の症状が強かったので、主訴を腰椎捻挫に絞った内容にまとめた。

頚椎・腰痛の両方がすぐに認定された。人身傷害認定はお客様に対しての認定であり、自賠責よりも易しい印象。  

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 それは原則であって、事情によってはそうもいかない時があります。

 骨の癒合期間はその折れ方や部位だけではなく、年齢や体質も影響します。とくに高齢者の場合、癒合は遅くなります。また、癒合後の変形を防ぐ為のプレートやスクリュー、髄内釘など、金属で固定する手術も避けがちです。したがって、高齢者の骨後の変形は残りやすいと言えます。

 骨折後の変形は、骨の癒合を待ってから症状固定時のレントゲンやCTで判断・審査されます。それは年齢に関わりなくです。

 本件では、認知症やコロナの影響から、わずか受傷3か月後のレントゲンで判断して頂きました。この点、柔軟な認定を下さった自賠責に感謝ですが、認知症状の進行による障害はやはりダメでした。多くの高齢者は例え足の骨折をしただけで、介護状態に陥ります。中には認知症状を発症、あるいは進行します。本件、自賠責は慎重に検討下さったようですが、結論はいつも通りでした。損害賠償上、因果関係の立証は難しく・・裁判上でも完全勝利とはいきません。   一勝一敗・・か  

12級5号:骨盤骨折(70代男性・埼玉県)

【事案】

自転車で直進中、交差点で左折自動車の巻き込みを受けたもの。左恥骨・座骨を骨折、受傷直後のレントゲンを観ると、骨盤が左右歪んでいた。

【問題点】

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 雨の日の月曜日はいつも気分が落ち込むの ♪

   本日月曜も雨、4週連続だそうです。”雨の日と月曜日は”・・ご存じカーペンターズのヒット曲です。歌詞の内容はいつものポジティヴな感じではありません。まぁ、雨の週始めは誰もがテンション下がります。下がる・・音域の話ですが、カレン・カーペンターさんの声は稀有なアルト(女性の低い声)です。マライヤ・キャリーさんの登場以降、ソプラノ全盛で、低い声の女性シンガーが減りました。日本でも、女性歌手はソプラノ(高い声)がもてはやされていおり、とくに90年代以降、アルトは本当に少なくなったそうです。    本題に入りますが、以前の記事から自覚症状の訴え方を再び考察します。

  👉 雨の日と月曜日は    確かに頚部の神経症状は天候や気圧に左右されがちです。これは医学的に矛盾しません。では、頚部神経症状を訴える交通事故被害者がそれを主訴に後遺障害審査を行った場合・・・これはNGワードになります。なぜなら、14級9号「頚部に神経症状のを残すもの」の認定は、「常時性」が問われます。つまり、「いつも痛い」でなければ、認定から遠のきます。一方、後遺症の診断をする医師が患者に問診で、「どういうときに痛いの?」が多いものです。まともに「雨の日が痛いです」と言い、医師がそのまま記載すれば、常時性は否定されます。普段の日は痛くないことになるからです。

 また、患者の説明も「上を向くと痛いです」「首を左右に捻ると痛いです」と言いがちです。動かすと痛い、これは「動作痛」と総称され、逆を言えば「動かさなければ痛くない」ことになり、またもや常時性の否定につながります。最近もしっかり、症状は常時ではないと書かれ、さらに動作痛だけの自覚症状で書かれた後遺障害診断書を前に愕然としました。

 問診、診断書を記載する医師に悪気はないのですが、患者の訴え方や診断書上の表現から14級認定が遠くなることがあるのです。確かに天候・動作による痛みは間違った症状ではありません。しかし、言葉選びやちょっとした気遣いが認定に影響します。病院同行の際、患者さんと事前に打ち合わせする、医師に直接説明する、これらの作業で認定確率は上下します。この辺に私共プロを使って頂く理由があるのではないかと思います。    ポップスのアルト歌手でぱっと思いつく方々、平原 綾香さん、中島 みゆきさん、竹内 ...

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そんな決定権がお前にあるのか!?    今回は年齢変更でも変わらないことについて触れてみたいと思います。お酒やたばこ、公営競技(競馬、競輪、オートレース、モーターボート競走)に関する年齢制限については、20歳のまま変更はありません。飲酒については、「未成年者飲酒禁止法」から「二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律」に、喫煙については、「未成年者喫煙禁止法」から「二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律」と題名が改正されました。競馬、競輪、オートレース、モーターボート競走についても、競馬法、自転車競技法、小型自動車競走法、モーターボート競走法も同様です。    飲酒については国税庁に記載がありましたので、ご参照ください。尚、HPには未成年者との記載がありますが、こちらで20歳未満と変換しております。

20歳未満がお酒を飲んではいけない5つの理由

1. 

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未だに嫁さんも貰えん    前の記事では、年齢変更(引き下げ)による「契約」について取り上げましたが、引き上げられたこともありました。それが婚姻の年齢(女性)です。2022年4月1日から男女ともに婚姻年齢が18歳となりました。今までは女性のみ16歳から婚姻できましたが、ようやく同じになったのです。   民法第731条 (改正前)

「男は、18歳に、女は、16歳にならなければ、婚姻をすることができない。」   民法第737条

「1.未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない。

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新しい時代を作るのは老人ではない    令和4年4月1日から成人年齢が20歳から18歳に引き下がりました。ニュースでもやっているので、ご承知の方がほとんどかと思います。世界的には成年年齢を18歳とするのが主流のため、そこに合わせていくようです。日本では、明治9年以来、20歳となっていましたから、150年近く民法が改正されることはありませんでした。この影響は日常生活の様々なところで実感していくこととなるでしょう。

 例えば、一番大きいのが「契約」でしょうか。今まで18歳・19歳の方と契約を結ぶときには、親御さんの同意が必要でした。同意なく契約をしてしまった場合には、民法5条の第2項によって取り消すことができました。(下記参照)   民法5条> 1.

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  1、ウィル・スミスさんに平手打ちをくらう   2、鬼束 ちひろさんの蹴りを受ける   3、河村市長に噛まれる     どれも嫌だなぁ。 日々の仕事も選択の連続です。 明日の病院同行の被害者さん、診断名が実に10か所に及び、事前認定による初回請求では5つも後遺障害を取りこぼしました。毎度のことですが、傷病名が多いと診断書はじめ書類不足のまま、おざなりの審査になりがちです。再請求でいくつか再認定させるミッションとなりました。    本来、整形外科だけではなく3つの科に診断書を依頼する必要がありました。しかし、毎度のことですが、診断書が各科で書かれておらず、整形外科のみの一枚です。当然、いくつかの障害がスルーされてしまいました。秋葉事務所としては、遅ればせながらすべての科に受診し直して進めることになります。しかし、主治医は異動で不在、主治医無きまま各科に当たるのか・・被害者さんも重傷のダメージから体力・気力が尽きて諦めムードです。

 さて、どうしようか? 受診科を一つに絞って診断書を依頼、漏れた障害を一括記載頂いて勝負することにしました。その取捨選択はまさに究極の3択でした。限られた条件で結果をださなければならない難しいご依頼となりましたが、秋葉事務所にはそれを克服するデータを持っています。

 弊所の各地域の病院・ドクター情報は伊達ではありません。主治医が異動ながら、複数の医師が携わった整形外科の診断書に、かつて、ご協力を頂いた医師の名前を見つけました。この患者思いで誠実、そして話のわかる先生なら、きっと本件の複雑な状況でもご理解ご対応下さると思いました。僭越ながら予約の際に、無理を言ってこの先生一択でお願いしました。     理想的な診断書はいつだって医師次第なのです。きっと明日はこの先生によって、良い方向へ進むはずです。    冒頭の三択ですが…鬼束 ちひろさんの蹴りは救急車を破壊する威力ですから、無事では済まない。何よりヒールでのキックは痛そうです(忘れてあげなよ)。やさしい河村市長ならあま噛み、せいぜい歯形が付くだけですが(いい加減、忘れてあげなよ)、この節衛生上よろしくない。したがって、平手打ちのウィル・スミスさん一択(暴力はいけませんが、かっこよかった)、今回の方針を決めました。グーではなくて良かった。  

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 指の後遺障害は足も手も軽視されがちです。指に骨折や靭帯損傷があっても、後遺症診断で可動域が計測されないことは珍しくありません。また、手術をするような重篤な症状が無ければ、多少曲がっていてもそのままです。子供の頃に球技で突き指し、曲がりが悪い・やや曲がったままなど、若干の障害を残している方がおりました。突き指を軽視し、その後の処置が悪かったのでしょう。

 深刻度の低いマイナーな障害であっても、しっかり金銭賠償につなげなければなりません。頻度の低い、些細な障害こそ圧倒的に経験の差がでます。指の障害然り、秋葉事務所が抜きんでている分野でもあります。本件で「小指の思い出」がまた一つ増えました。   小指を噛まれたことはありません  

14級9号:第5指基節骨 剥離骨折(50代女性・埼玉県)

【事案】

信号のない交差点を原付バイクで走行中、右方より一時停止せずに進入してきた自動車に衝突され、負傷した。ドクターヘリも出動したが、救急車にて総合病院に運ばれた。   【問題点】

既に後遺障害診断書が完成した段階でのご相談であったが、後遺障害診断書上、指の可動域は「用廃」の13級6号を逃す中途半端な回復値に。せめて「痛み」による神経症状は・・自覚症状欄にまったく記載がなかった。

このままでは何の等級もつかない。本件は受傷直後にPIP関節が脱臼しており、骨片は癒合も症状固定時にはDIP関節が軽度の屈曲拘縮(※)を起こしていた。残る画像はレントゲンが数枚のみ。実際、ご本人は健側と比べても腫れが引いておらず難儀していた。

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 毎度思いますが、自賠責の後遺障害とは、1級~14級の段階別に”不特定多数を一律に判定する”基準に過ぎません。顔面醜状痕の場合、例えばキズが3cmですと12級14号で保険金は224万円です。それが2.9cmだったら非該当で0円です。  あくまで判定は基準に沿ったものですが、基準に1mm足りないからと言って、後遺症が無くなった訳ではありません。障害は残っているのです。この損害を回復すべく、弁護士が損害賠償を実現させることになります。

 連携弁護士に引き継ぐ際、秋葉事務所ではこのように言います。   「先生、15級がないだけです! 慰謝料の増額事由として2.9mmのキズを主張して下さい!」    後は弁護士先生の頑張りになります。それでも、損害を金銭に換算するには根拠が必要で、それこそ自賠責の等級こそ、最良の根拠であることは間違いありません。本件では醜状痕での等級は逃がすも、14級9号を残しました。主婦でも300万円に届く賠償金になります。つまり、形成外科・美容整形外科でキズを消すことができます。お釣りも残るはずです。

顔面のキズで神経症状の認定は比較的珍しいものです  

14級9号:顔面打撲皮下血腫・鼻唇溝挫創(50代女性・埼玉県)

【事案】

信号のない交差点を原付バイクで走行中、右方より一時停止せずに進入してきた自動車に衝突され、負傷した。ドクターヘリも出動したが、救急車にて総合病院に運ばれた。   【問題点】

既に後遺障害診断書が完成した段階でのご相談であったが、後遺障害診断書上、3センチに満たない醜状瘢痕が記載されており、線状・瘢痕のどちらで審査されても12級の数値に満たないものであった。 続きを読む »

 昨日はゼレンスキー・ウクライナ大統領のオンライン国会演説をご覧になった方も多いと思います。政治的なことを一個人事務所のHPで取り上げるべきではありませんし、これから個人的な主義主張を述べるものでもありません。同大統領の演説から、学ぶべきプレゼン能力を検証してみたいと思います。      原稿は多数の専門家からなる側近の皆さんと作成したと思います。演説先の国によって、その国の事件や歴史に関わるキーワードを散りばめ、主張のニュアンスや言葉の強弱も実に計算されたものに感じました。アメリカ議会では、「真珠湾攻撃」「9.11テロ」が挙げられました。イギリスでは有名な第二次大戦中のチャーチルの演説、ドイツは「ベルリンの壁」、イスラエルでは「ホロコースト」、ヨーロッパ諸国では必ず「ナチス」に触れました。それでは、日本向けキーワードを挙げてみましょう。

 

(1)日本に関するキーワード   ① 大惨事が起きた原子力発電所

 チェルノブイリの原発事故、その後何十年も続く放射性物質の除去・・震災による福島の原発事故に重ねてきました。現在進行形で苦しむ日本の痛みです。   ② サリン

 ロシア軍が生物化学兵器を使うかもしれない・・その恐怖、世界中が震撼したオウム真理教事件を想起させます。毒ガス・生物化学兵器「サリン」、これを忘れた日本人はいないでしょう。   ③ 核兵器

 人類で唯一、無差別核攻撃を受けた国は日本だけです。   続きを読む »

高齢者・・弊所では圧倒的に被害者が多いのですが    昨今、高齢者ドライバーの事故についてニュースで取り上げられることが多くなってきたように思います。そのほとんどが操作ミスや判断の遅れによるものです。今まで免許更新時に認知検査を実施していましたが、これからは実車試験も加わるようです。埼玉県警察のHPからの抜粋ですが、見てみましょう。

  改正道路交通法施行後の高齢者講習等について

 令和4年5月13日に改正道路交通法が施行予定です。

 施行後は、実施する認知機能検査と高齢者講習の内容が変わり、新たに運転技能検査が導入されます。   新認知機能検査

1.検査内容が、時間の見当識、手がかり再生の2項目になります。※時計描画はなくなります。

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 何も好んで保険会社をディスる記事を書いているわけではありません。社員一人一人は皆、真面目で善良な人達です。ただし、組織となると・・昨日のように、契約者様をないがしろにするようなことになってしまうのです。

 通常、相手保険会社と敵対、バチバチ交渉することは普遍的な姿勢であり、被害者の権利です。ただし、それが掛金を支払っている保険会社に丸め込まれるとは、実にやるせない。その保険会社はお客様に対して背信的であると言えます。    さて、昨日のケースは最大の問題ですが、問題の規模が小さい件、つまり、金額の低い物損事故での過失割合の争いはより多いものです。この場合、自身契約の保険を使うことは、被害者=契約者の損得を計る上で、それ程の問題ではなく、むしろ自身契約の車両保険で完結する流れが得策であると言えます。これは、昨日とは逆の評価です。   ※ 人物名は仮名です。   (2)自分の保険を使えば、「金持ちケンカせず」で解決ですよ    南野さん、交差点の出会い頭事故に遭いました。幸いケガはありませんが、愛車のジャガー(英国製)の修理で50万円の損害です。優先道路を走っていた自分に責任はないと思いっています。今回も双方、同じ令和損保に加入していました。物損の交渉を自身加入の令和損保の対物担当:久保さんに任せたものの、相手の令和損保の対物担当者:吉田さんとの交渉で、10:90ならまとまるとのことです。

 納得できない南野さんは、直接、吉田さんと交渉しました。   吉田さん:「交差点では原則、両者に責任があります。南野さんは幹線道路で優先、相手は一時停止、判例では10:90、これでご納得できませんでしょうか?」   南野さん:「私が優先なので、責任はありません(怒)。0:100ではないですか」   吉田さん:「弊社としても過失10%は譲れません」   南野さん:「・・・」       交渉はこのまま平行線です。    そこで、久保さんから提案がありました。   久保さん:「このままでは埒があきません。南野さんは車両保険にご加入頂いているので、弊社の車両保険を使って頂ければ、即、修理できます。後は私が同じ会社とは言え、相手損保に取り立てして解決です。」   南野さん:「私が悪くないのに、自分の保険を使うんですか? それに、来年の掛金も上がってしまいますよ。」   続きを読む »

 私が保険業界に就職した30年前、国内損保社はおよそ32社、外資系3社だったと思います(不正確ですみません)。加害者側と被害者側が同じ保険会社だった事故は何度もあります。現在、吸収合併の進んだ業界、当然に同じ保険会社同士がぶつかることが増えたと思います。    同じ保険会社同士の事故は、正直好ましいと思いません。その弊害を実例から解説したいと思います。同じ保険会社同士なら話が早く、合理的に処理が進むケースも確かにありますが、それは、自身加入の人身傷害保険の出番ない、明らかな0:100のケースです。過失があれば、その減額分の確保のため、人身傷害保険が関与します。相手と示談して、賠償金をもらった後に、差し引かれた過失分を人身傷害に請求する流れが自然です。ところが、真っ先に自分の保険会社が人身傷害による解決を迫ってくるのです。   ※ 人物名は仮名です。   (1)人身傷害保険で解決しましょうよ    伊東さんは小型バイクで直進、交差点で一時停止無視の自動車と出会い頭事故となりました。バイクの修理費はたかが知れていますが、転倒による脛骨骨折でプレート固定の手術、入院10日・通院40日(後に後遺障害12級7号も)の人損の請求をすることになりました。判例タイムスなどから過失割合の相場は乙15:甲85です。しかし、加害者(甲)・被害者(乙)共に納得がいかないようです。双方保険会社の対物担当者・対人担当者にはしっかり交渉してもらいたいところですが・・・。  本件の保険会社は共に令和保険㈱です。事故後、伊東さんは相手損保からの連絡を待っていたところ、先に自身加入の令和保険の担当者:森保氏から電話が入り、こう提案されました。   森保氏 :「この度はお見舞い申し上げます。今後の補償問題ですが、相手の損保も弊社と同じです。そこで、提案なのですが、恐らく伊東さんにも過失がでて、賠償金を減額される恐れがあります。その点、弊社の人身傷害保険は過失減額なく支払えますので、相手との過失割合はじめストレスある交渉を続けるより、人身傷害への請求で進める方が良いと思います。いかがでしょうか?」   伊東さん:「えっ、私は悪くないのに、自分の保険ですかぁ?」   続きを読む »

 なぜなら、症状の一貫性が命の14級9号「局部に神経症状を残すもの」の信用性に響くからです。    転院にはそれなりの理由が必要です。最初の病院では処置できない症状がある、これが一番普通です。しかし、打撲・捻挫の類で転院を繰り返すと・・ドクターショッピング(※)を繰り返す患者か? 心因性の痛みか? お医者さんともめるタイプか? 変な印象を持たれます。これは認定を危うくされる要素です。

ドクターショッピング

 私達はむやみやたらに転院をさせません。もちろん、地域の医療情報を持っているので、協力的な医師・病院と保険会社の顔色を伺うような医師・病院を知っています。気安い病院へ誘致することはむしろ簡単です。それは我慢して、できれば不自然な治療経緯を残さぬよう、転院は抑制的、最後の手段としています。

地域の医療情報・・これがこの仕事の生命線とすら思っています。  

併合14級:頚椎・腰椎捻挫(50代女性・静岡県) 

【事案】

自動車で直進中、左から合流する自動車からほぼ正面衝突を受けて受傷。以後、痛み上肢のしびれが続いた。   【問題点】

衝撃度から、頭部や胸部の画像検査を実施、幸い骨に異常なく大事無かった。しかし、頚腰部の痛みや上肢のしびれが収まらなかった。その総合病院では理学療法が出来なかったため、転院先を探すことになったが、近隣の整形外科は事故治療にに消極的で、「事故で保険会社ともめてる?」とでも思ったのか、受け入れ拒否された。   【立証ポイント】

仕方なく、交通事故で毎度お世話になっている整形外科に誘致、リハビリを続けた。 続きを読む »

バイト時代の話も少し    昨年の6月に千葉県八街(やちまた)市で下校中の児童5人をはねて死傷させたというニュースを覚えていらっしゃいますか?とてもショッキングなニュースでしたが、加害者の運転手は飲酒による居眠り運転であり、車内にお酒が大量に見つかったという考えられない状態だったことを覚えています。被害に遭った児童たち、そのご家族や関係者のことを考えるとやるせない気持ちでいっぱいです。  この事故によって運転事業者への取り締まりが強化されることとなり、道路交通法が改正、令和4年4月・10月から順次施行されることとなっています。そもそも飲酒運転などあってはなりませんが、運転手個人に任せるのではなく、管理者がしっかりと管理し、予防することが盛り込まれています。早速みていきましょう。    既に緑ナンバーであるバスやタクシー等の事業者には適用されており、2011年5月から運転前後のドライバーへの点呼にて、アルコール検知器を使った検査をすることが義務付けられていました。因みに2019年には航空業界・鉄道業界にもアルコール検知器が義務付けられました。今回の改正法では、乗車定員が11人以上の白ナンバー車1台以上を保持、または白ナンバー車5台以上を保持する企業です。このとき、原付をのぞくオートバイは0.5台でカウントされます。    4月1日から義務付けられることは、「運転前後の運転者の状態を目視等で確認することにより、運転者の酒気帯びの有無を確認すること」、「酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存すること」です。因みに「目視等で確認すること」とは、運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子等で確認することを指すようです。基本的には対面が原則だが、直行直帰の場合など対面での確認が困難な場合には、運転者に携帯型アルコール検知器を携行させ、測定数値を報告させる、カメラやモニターを用いて顔色の確認、携帯電話や無線を用いて声の調子等を確認するといった代替案が示されています。 また、記録については、①確認者名、②運転者名、③運転者の業務に係る自動車登録番号又は識別できる記号・番号等、④確認の日時、⑤確認の方法、⑥酒気帯びの有無、⑦指示事項、⑧その他必要な事項と定められています。    その後10月1日から義務付けられていることは、「運転者の酒気帯びの有無の確認を、アルコール検知器を用いて行うこと」、「アルコール検知器を常時有効に保持すること」です。そのため、4月1日から行わなければならない記録については、⑤アルコール検知器での確認が追加されます。   続きを読む »

 前回まで、自動車事故の衝撃度を表す上でよく使われる「ビルからの落下・計算」を説明しました。ケーススタディを重ねましょう。今度はバイクが衝突した場合です。   3、自動車にバイクが追突した場合  

 Cさんは原付バイク(ヤマハ 車体重量90㎏)で走行、信号待ちのハイエースバンに追突してしまいました。原付なので時速30kmが制限速度です。まぁ、これを守っていたとして30kmとします。修理費はバンパー交換+αで20万円でした。修理費は問題なく保険で支払いました。しかし、ハイエースのドライバーDさん、むち打ちとなって毎日通院を始めました。治療費を払う損保は「3カ月まで!」と、業を煮やして治療費を打切りました。不満のDさんに対して、損保は以下の計算を示しました。    それでは、ハイエース(車体重量1960kg)の受けた衝撃を計算してみましょう。    時速30km ≒ 秒速 8.3m の場合では、    8.3m × 8.3m  ÷ ( 2 × 9.8 )= ...

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