現在、画像専門のクリニックでのMRIは3.0テスラが主流です。総合病院では1.5テスラも多く残っております。オープン型のMRIはまず1.5テスラです。古い病院では0.5テスラも目にしたことがあります。このテスラと言う単位、どうやらMRIの解像度に影響を与えるようです。少し調べてみました。     テスラとは、電磁気の国際単位で,単位面積当たりの磁束密度(磁力線の束)のことです。テスラ(記号T)は,発明家のニコラ・テスラにちなんだ命名で、MRI(磁気共鳴コンピューター断層撮影装置)でお馴染みです。診療報酬点数表でも、このテスラで点数が変わります。高磁場の1.5テスラ以上で医療点数は高く、医療費が上がります。   ニコラス・テスラ <Wikipedia他より引用>

 1856年7月10日生まれ 1943年1月7日没。19世紀中期から20世紀中期の電気技師で発明家。交流電気方式、無線操縦、蛍光灯などといった現在も使われている技術も多く発明した。また「世界システム」なる全地球的送電システムなどの壮大な構想も提唱したが、これは実用化にならなかったそうです。電気や電磁波を用いるテクノロジーの歴史を語る上で重要な人物であり、磁束密度の単位「テスラ」にもその名を残しており、LIFE誌が1999年に選んだ「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」に選ばれている。テスラが遺した技術開発にまつわる資料類はユネスコの記憶遺産にも登録されている。

 彼は8つの言語に堪能(セルビア・クロアチア語、チェコ語、英語、フランス語、ドイツ語、ハンガリー語、イタリア語、ラテン語)で、詩作、音楽、哲学にも精通した万能の才、当時のダヴィンチです。電流戦争ではテスラ側の陣営とエジソン側の陣営はライバル関係となり、結局、テスラ側が勝利しました。エジソン程の知名はないが、科学の世界での評価は変わらないそうです。  

続きを読む »

  続発性緑内障(ぞくはつせいりょくないしょう)  

(1)病態

 緑内障は、眼圧が高くなることで、視神経の入口部、つなぎ目の視神経乳頭陥凹が潰される、圧力で視神経が萎縮することで、視野欠損を生じ、重症例では、失明する可能性のある目の病気です。本来、視神経の病気ですから、事故との因果関係は認められません。ところが、交通事故の外傷をきっかけとして緑内障を発症することがあり、これは、続発性緑内障といい、事故との因果関係を否定することができません。   続きを読む »

   前房出血(ぜんぼうしゅっけつ)     (1)病態

 前房出血とは、外傷により角膜裏面と虹彩の根元が傷つき、出血するものです。角膜と虹彩の間の液体が充満している空間を前房と言いますが、そこに流出した血液が溜まります。程度によりますが、症状が長引くと視力障害をきたすことがあります。

 交通事故では、眼に対する鈍的な打撲で、眼球が陥没し、虹彩や毛様体が傷ついて出血します。眼球破裂となったときも、虹彩や毛様体が傷ついて前房出血が起こります。   (2)症状

 鈍的外傷の直後から、程度の軽いものでは、まぶしさ、重症のものでは視力の低下が認められます。治療により改善しますが、受傷後2~7日後、再出血を起こすことがあります。

 前房出血の症状は、外傷の直後、虹彩から出血した血液が前房全体に散らばり、しばらくすると下部の方へ溜まります。前房出血がおこると、光が当たると眩しさや痛みを感じます。出血が少ないときは、見た目では分からないこともありますが、出血が多いときは、前房全体が血液で満たされる状態になります。   (3)治療

 眼球破裂、異物の有無をCTや超音波検査で確認、視力・眼圧・細隙灯顕微鏡検査にて眼底検査を行います。出血の吸収、再出血の予防のため、ベッドを30~45°に傾けて安静加療とします。虹彩炎の強いときには、散瞳薬=アトロピン点眼薬の投与、ステロイド薬の点眼、止血薬の内服などが実施され、高眼圧に対しては点眼、内服治療を行います。 高眼圧が続くと、緑内障などの視力障害を引き起こすからです。

 大量の前房出血、コントロールできない高眼圧、角膜血染に対しては、前房内を洗浄します。再出血して血液が吸収されないままの状態が長く続くと、視力低下を残します。通常、溜まった血液は1週間ほどで吸収され消失します。  

(4)後遺障害のポイント

  Ⅰ. 

続きを読む »

   角膜穿孔外傷(かくまくせんこうがいしょう)     (1)病態

 交通事故では、バイクの運転者が転倒した際に、眼に対する強い打撲や、ガラスやプラスティック片、金属片などが、目に突き刺さることで発症しています。自動車事故であっても、横転、崖下落下などでは、フロントガラスや眼鏡の破損により、発生するようです。交通事故ではまだ未経験ですが、草刈り作業中の石・鉄片飛来での事故例を聞いています。

 飛来異物、裂傷などにより、眼球に穿孔創=孔が開いた外傷を角膜穿孔外傷といいます。眼球に穿孔を生じると水晶体や硝子体、網膜、脈絡膜などの眼内組織が損傷し、重い合併症を生じることがあります。   (2)症状

 受傷直後から、眼の疼痛、角膜損傷、前房・硝子体出血、硝子体混濁、低眼圧などを原因とした急激な視力障害の症状が現れます。   (3)治療

 穿孔外傷では、全て、神経眼科の専門医による治療が必要となります。点眼麻酔後に、静かに開眼させると、角膜あるいは強膜に穿孔創が認められます。周囲には出血が認められ、大裂傷では虹彩や硝子体などの眼内組織が創にはみ出しています。虹彩や脈絡膜が眼外に飛び出したときは、黒褐色の組織が創口に付着しているのが見られます。先端が鋭いモノが、眼に突き刺さる、また金属の破片が欠けて眼の中に飛び込むと、角膜を突き抜けて眼の奥に深く突き刺さることもあります。

 解説していても、眼が痛くなる悲惨な例ですが、交通事故は不可逆的損傷であり、あり得るのです。眼内異物が疑われたときは、異物を発見する必要から、超音波検査、XP、CTなどの画像診断が実施されています。また眼内組織の損傷レベルを知るために、細隙灯顕微鏡検査(※)、眼底検査などの一般的な眼科検査以外に、超音波検査、ERG検査なども行われています。   ※ 細隙灯顕微鏡検査(さいげきとうけんびきょうけんさ)👉 眼球破裂 ...

続きを読む »

 銀座接待に備え、スタッフの井上さんからおしゃれな中華を教わりました。さすが、都心住まいの女子は良い店をおさえています。食レポを久々にUPしたいところですが、店内の様子から料理や室内の写真は遠慮しました。    場所はヒューリックスクエア東京にある、ジョーズ・シャンハイ・ニューヨーク銀座店。テーブルに配膳されたプレートは、中華クラゲなどの前菜盛り、小籠包、フカヒレスープ、北京ダック、牛しゃぶ、ビャンビャン麺など・・これらを重めの赤ワインに合わせました。定番の中華を西洋風レストランで楽しむコンセプト、写真をお見せできなくて残念です。    このお店の本店は、ニューヨークのチャイナタウンの中華レストランで、アメリカで初めて小籠包を紹介したそうです。 思い出した! 実は28年前、研修でニューヨークに滞在中、このお店(元祖?系列店?)に行っていたのでした。

  続きを読む »

👈 正常   👈 外傷性白内症

 

(1)病態

 白内障といえば、老人性のイメージですが、交通事故外傷でも白内障は発症しています。バイクや自転車の運転者に多いのですが、交通事故の衝撃を眼に受ける、なにかが突き刺さることで、水晶体を損傷し、外傷性白内障を発症することがあります。

 交差点における出合い頭衝突で、バイクが田んぼに転落、刈り取りが終わった稲藁で目を突いた被害者で、相談記録があります。交通事故以外では、ゴルフコンペで、眼に打球を受けた、卓球のスマッシュでピンポン球が眼に当たった、喧嘩で目を殴られたことなど、交通事故110番にて相談を受けています。  

続きを読む »

 

眼球が破裂し、中身が漏出した分、眼圧が低くなっています。

 

(1)病態

 眼球破裂とは、交通事故により、強い外力が眼球に加わり、角膜や強膜が破裂し、中の硝子体やブドウ膜が、傷口から脱出している状態をいいます。   (2)症状

 受傷直後から、視力の低下、目の充血、浮腫、眼痛などの症状が出現します。片目の眼球破裂では、健側の眼球にも同様の症状が現れることがあります。

 異物の混入、細菌による感染など、眼球に付着する異物を早急に除去しないと失明する可能性が高く、非常に危険な状態です。適切な治療が行われても、ほとんどで、視力の低下を残します。   (3)治療

 細隙灯顕微鏡検査(※)、超音波検査、CT検査などで眼球破裂の部位、異物混入の有無、合併症の有無がチェックされ、その後、オペに入ります。  

続きを読む »

【3】適応

 一般的には末期腎不全や急性腎障害により、腎機能が高度に低下した場合に透析を開始します。腎機能は血清クレアチニンと呼ばれる検査値で評価し、健康な人の10%を透析開始の目安とします。ただし腎機能の程度がこれより高い場合でも、症状や治療の経過によっては透析を開始した方がよいこともあり、症状や腎機能のほか、日常生活への影響や年齢、原因疾患などから総合的に判断します。

 血液透析と腹膜透析の基本的な導入基準は同じですが、どちらを選択するかは両方の治療のメリットとデメリットを踏まえながら決定します。   【4】治療の経過

① 透析開始までの流れ

 透析を開始する場合は、体の急激な変化に対応するため入院が必要です。また、入院時に内服薬の調整や食事の指導を行い、腹膜透析の場合はバック交換の手技や緊急時の対応を練習します。

 透析開始前に血液透析ではシャント作成、腹膜透析ではカテーテル留置が必要になります。シャントやカテーテルが使えるようになるまでには一定期間を開ける必要がありますので、時間に余裕があるうちに準備する段階的導入を行うことがその後の合併症予防や体調維持につながります。

 透析開始時の入院期間は、シャントやカテーテルの準備が済んでいる人で、1~2週間程度です。シャントまたはカテーテルの設置と透析開始を同時に行った場合、さらに1~2週間入院します。   ② 透析開始後の流れ

 透析導入入院から退院した後は、血液透析では週3回透析施設に通い、4~5時間の透析治療を受けます。腹膜透析では自分でバックの交換を行い、月1~2回程度通院します。

 透析治療中は合併症に注意しながら、食事や水分量に注意する必要があります。血液透析か腹膜透析かによって食事や管理について、注意すべきポイントが異なるため、透析導入時に十分な指導を受けます。    【5】費用の目安

 治療を受ける病院や治療内容によっても異なりますが、血液透析では導入時の入院で20万円程度、腹膜透析では35~40万円程度かかります。ただし、透析を受ける患者さんは長期高額疾病の高額療養費制度を受けることができるため、自己負担はこれよりも少なくなります。

 導入完了後の自己負担は、上記の制度を利用することで1か月あたり1~2万円程度になります。    腎不全の患者さんは少なくありません。透析で毎週3回通うのは本当に大変ですね。   <メディカルノートさまより引用>      

続きを読む »

 ご依頼者の持病で、少なからず腎不全を持つ方がおります。重度の患者さんは、腎臓機能を保つために透析が必要です。基本知識だけでも少し勉強したいと思います。お馴染みメディカルノート様から参照、引用しました。  

【1】腎臓の働きと透析

 透析とは、“透析療法”のことで、腎臓の機能が低下した場合に、その機能を人工的に置き換える治療のことです。血液透析と腹膜透析の2つの治療法があります。

 腎臓は体内の水分やナトリウム、カリウムなどのミネラルの量を調節して体液の量や濃度を一定に保つはたらきや、老廃物を体の外に排泄するはたらきを持っています。腎機能が低下した状態を腎不全と呼びますが、腎不全が進行すると尿毒症と呼ばれる状態を引き起こし、放置すると命に関わる事態となります。現代の医学では、腎移植を行わない限り一度失われた腎機能を回復させることはできません。透析は低下した腎機能を代替する療法で、腎不全患者さんにとってなくてはならない治療であるといえます。

 2019年の調査では、日本の透析患者数は約34万人であり、366人に1人が透析を受けているといわれています。

 透析の目的は、腎臓の機能のほとんどが消失した末期腎不全や急性腎障害などの腎疾患に対して、腎臓の機能を代替することを目的とした治療です。腎臓の機能を回復させるための治療ではないため、病気の治癒を期待するものではありません。    【2】透析の種類

 透析には血液透析と腹膜透析の2種類があります。   ① 血液透析

 血液を体外に循環させ、ダイアライザーと呼ばれる透析膜を介して余分な水や老廃物を除去する方法です。ダイアライザーには透析液と、水分と小さな物質のみを通す膜(半透膜)が設置されており、余分な水や老廃物を除去して、必要な電解質などを補充することができます。通常、透析が受けられる医療機関に週3回通院し、1回4~5時間の治療を受けます。また、通院治療のほかに自宅に透析装置を設置する在宅血液透析もあります。

 腎臓の機能を代行する腎代替療法の中ではもっとも普及した治療法で、日本では透析患者の96.5%が血液透析を受けているともいわれています(2015年末時点)。    ② 腹膜透析

 自分の体の腹膜を透析の装置として用いる方法です。腹膜は胃や腸などを覆う膜状の組織で、お腹の中に透析液を入れておくことで腹膜を通して過剰な水分や不要な老廃物などを透析液に移動させることができます。透析液が入ったバックを1日に3~4回交換する方法(CAPD:continuous ambulatory peritoneal dialysis:持続携行式腹膜透析)と寝ている間に機械を使って自動的に腹膜透析を行う方法(APD:automated peritoneal dialysis:自動腹膜透析)があります。基本的には自宅で治療を続け、月1、2回程度通院します。

 腹膜透析を長く続けることで被嚢性腹膜硬化症と呼ばれる合併症のリスクが高くなるため、一般的には腹膜透析を始めてから8年程度で血液透析や腎移植を検討します。しかし、血液透析に比べて通院が少なくて済むことや、腎臓の機能を長く残すことができるメリットがあり、若年で透析治療が必要になったときには、学業や就労などへの影響が少ない治療法です。

 また、週3回の通院が困難であったり、心血管系合併症のため血液透析が選択しづらかったりする患者さんは、自宅で緩徐に行う腹膜透析が合っている場合があります。高齢で食事量が少ない患者さんは、腹膜から吸収されるブドウ糖がカロリー補充というメリットになることもあります。

 そのほか、血液透析の長期化や加齢に伴う血管系の合併症やシャントの血管不足などで血液透析での透析が困難になったり、週3回の通院が困難になったりするなど、血液透析療法を続けることが患者さんや家族の生活の質(QOL)の低下につながることがあります。透析医療の人生の最終段階における医療(終末期医療)*の1つの手段として、柔軟性が高く身体的負担の少ない腹膜透析を選択する場合もあります。

*平成27年3月に厚生労働省 検討会において終末期医療から名称変更

 つづく  

続きを読む »

健康保険税が高いんです!    令和4年4月1日に実施された22年度の診療報酬改定によって、「大病院への紹介状なしでの受診」に関する特別料金の増額が決定し、令和4年10月1日から変更となることとなりました。そもそも、「なぜ、紹介状なしで大病院を受診してはいけないのか」ということですが、大病院では高度な医療が必要な患者が多いため、専門的な医療や対応を大病院が担い、日常的な病気やケガについては個人病院やクリニックが担うという分業体制になっているのです。まずは町の医師に診てもらい、大病院での検査や診察が必要と判断された場合に、紹介状を作成し、受診するという流れになるわけですね。また、大病院側としても、紹介状があるということは、一定の担保がある(町の医師が検査等を必要としている、背景事情等に不可解なことがない)ため、安心して診ることができるのです。    さて、この特別料金ですが、現在の金額と改定された金額を比べてみましょう。      ここで勘違いをしないでいただきたいこととしては、この改定によって病院側が儲かるといった仕組みではないということです。患者負担になった金額というのは、元々保険適用となっていた項目が適用外になっただけなので、病院に支払われる金額に変わりはありませんが、健康保険が負担する金額が圧縮されるということです。あえて紹介状をもらわずに大病院を受診する患者に対して、健康保険がそこまで手厚いサポートをする必要があるのか?ということだと思います。現在は高齢化社会が進み、健康保険の負担が国と若年層に重くのしかかっています。(現に私は1年間に1回も病院に行かないにもかかわらず、高額な健康保険料を毎月収めていますので・・・。)

 そもそも、ほとんどの方は払ったことがないと思いますし、今後も払うことがないと思いますので、そこまで心配する必要はありません。しかし、私たちの知らないところで、日々色んなことが変化しているということは知っていても損はないと思います。  

続きを読む »

 お盆休み明けは、裁判、再申請、セミナーのレジュメなど書類作成がかさみ、ようやく業務日誌に取り掛かっています。今日の日付けは8月31日。宿題は夏休み最終日に、小学生からまったく進歩の無い秋葉です。    まずは、夏休みの思い出として絵日記で埋めたいと思います。    今年、病院同行で数度訪れております伊豆ですが、伊豆長岡温泉に逗留しました。そこの宿がユニークで、吹き抜けのメゾネットになっており、今までにない変わった温泉宿として記憶に残りました。お料理も沼津港の海鮮がたっぷりの高レベルでしたが、如何せんお湯が循環+塩素で、ただでさえ微感覚のアルカリ単純泉をスーパー銭湯のお湯に引き下げており、もったいない気がしました。普段はひなびた湯治宿ばかりですが、お湯を捨て、お部屋とお料理で選ぶ高級宿も一興と思いました。部屋付露天風呂・・プチ贅沢です。     続きを読む »

 高次脳機能障害における記憶障害のほとんどは「短期記憶障害」です。短期記憶障害とは、今日の日付がわからない、同じ質問を繰り返すなど、直前のことが覚えられない記憶障害です。昔のことを忘れる長期記憶障害とは違います。「私は誰?ここはどこ?」、いわゆる記憶喪失は長期記憶障害の範疇になります。   ○ 長期記憶障害・・・一般的に知られていること(信号は赤で止まる)、当たり前のこと(日曜日は休み)を忘れる。また、自分が通った学校の名前や自分の職業、新婚旅行は何処に行ったかなど、名称や出来事を忘れてしまい、最終的には家族の名前や顔も忘れていくなどの症状がみられます。   ● 短期記憶障害・・・記憶を貯蔵する時間が数十秒から1分程度と短い期間のみ残る記憶を忘れること。さらに、新しいことを覚えにくく、具体的には、今日の日付が分からない、どこに物を置いたか忘れる(いつも探し物をしている)、何度も同じことを聞くなどの症状が見られます。    新しいことが覚えられない、これは正確に言うと記銘力の低下です。記銘力の低下は前向性健忘と重なります。この記銘力障害を短期記憶障害の一つとするか、区別するのか、多くの専門医との面談から、医師によって見解に多少のズレを感じています。高次脳機能障害の立証上、記憶障害の種類・傾向について、被害者を前にしっかり見定める必要があります。   ○ 逆向性健忘・・・障害を受けた時点より、以前の記憶が失われる。よく物語にでてくる記憶喪失の類です。ひどいと、自らの名前、家族も忘れてしまいます。脳外傷による、脳実質への器質的損傷の他、精神的ショックなどでも発症します。この場合は一過性の症状であることも多いようです。   ● 前向性健忘・・・障害を受けた時点より、以後の記憶が失われる。または、障害を受けた以降、数日・数分前の記憶が保てない。これは記銘力障害になります。これらは短期記憶障害の範疇になります。    さて、笑点でおなじみの円楽師匠、先日、脳梗塞から復帰しました。自らの記憶障害を説明しています。師匠の説明から、短期記憶障害、とくに記銘力の低下が読み取れます。

 以下、オリコンニュース様の記事より引用します。これからも円楽師匠のご活躍を祈っています。  

三遊亭円楽、高次脳機能障害を告白 短期記憶に障害も「昔覚えた落語は忘れてない」

 脳梗塞によりリハビリを続けている落語家の三遊亭円楽(72)が11日、東京・永田町の国立演芸場で行われた『8月中席』で高座復帰した。

 出番を終えた円楽が取材も受けた。現在の体調を問われると円楽は「体調はまぁまぁだけど、高次脳機能障害っていうのが。難しいのはよくわからないけど」と短期記憶障害があることを告白した。しかし、落語家として現役であり続ける。「ありがてぇなとおもったのは長期記憶で昔覚えた落語は忘れてないんだよ。それはスゴいなと思った。しゃべっていると、なんとかストーリーで出てくる」と感謝しながら「これなら、まだまだ。みっともない形でもやれる。スタッフも『みっともなくても構わないからやりましょう』と言ってくれる。しがみついてでも」と力強く語っていた。

 板付きで高座に上がった円楽の目には涙が。手ぬぐいで涙をぬぐいながら「みっともなくてもいいから死ぬまでやります」と話す。また「ICUから3度目の帰還」と冗談めかして語ると「みんな歌丸が悪い」と笑わせていた。

 先月19日に所属事務所の公式サイトで高座復帰を報告。「今後は、笑点へのVTR出演、ラジオ出演、紙媒体への出演等から始め、ゆくゆくは遠方への移動や本格的な高座復帰を目指してまいりたいと考えております」と説明し、「高座復帰の第一弾は、8月11日から始まります、国立演芸場の8月中席公演です。復帰と申しましても、満を持しての長講一席とはならず、短時間のよもやま話やごく短い落語から、少しずつ慣らして参ります。お客様におかれましては、どうか『リハビリを見てるんじゃねえ』とお怒りになりませんよう、何卒ご容赦を賜りたく存じます」と伝えていた。

 1月25日に脳梗塞のため入院した円楽は、5月20日に退院していたが、7月放送の日本テレビ系『笑点』(毎週日曜 後5:30)にVTR出演。同月には、五代目圓楽一門のイベント『三遊まつり』にも登場し、元気な姿を見せていた。 円楽は、11日のほか、14日、15日、20日も出演を予定している。  

続きを読む »

(4)MTBIのまとめ    脳外傷の画像所見がなくても、脳損傷はあり得るのか?    意識障害がなくても、脳損傷はあり得るのか?    これら2つの問題は、今もなお、明解な結論が出ていません。

 少なくとも自賠責保険の現状では、画像所見・意識障害がなければ、「脳損傷はない」と判断しています。先の高裁判決も、極めて限定的に、被害者救済の見地から判示したもので、今後、同様の裁判が積み上げられるとしても、「裁判上での認定が増加する」、とは思いません。したがって、「認定基準を変更する」など、しばらくは無いと思います。

 また、一時期のブーム(?)が去って、MTBIの被害者さんが激減しました。MTBIの診断を下す医師は、何故か数人の医師に集中しています。そのお一人が一線から退いたことも影響しているように思います。

 MTBIと診断された被害者さんの相談はそれこそ30人を越えますが、中でも、強烈な印象を受けた2例を紹介しておきます。   ◆ 某被害者団体のAさん

 道路を横断しようとしたとき、前を通り過ぎるタクシーと大腿部がかするように接触し、よろけて転倒、それに気づかないタクシーを怒鳴りながら、走って追いかけ、停車させたとのことです。このような事故発生状況ですが、数日を経過すると、めまい、頭痛、内臓疾患などの不定愁訴が出現し、やはり毎度お馴染みの医師からMTBIと診断されていました。

 明らかに元気そうです。なんでも被害者団体の役員も務めているそうで、自分の障害立証はさて置き、秋葉も団体に参与するよう熱心に勧めてきました。

 

◆ 無料相談会に参加されたBさん

 信号待ち停止中に追突にあった被害者さん、単なるむち打ちのはずが・・・事故受傷から2年を経過して、やはり特定の医師からMTBIと診断されています。医師の指示で受けた拡散テンソル画像で、脳の器質的損傷を立証できたとのことで、鼻息も荒かったのですが、私に言わせれば、その器質的損傷が本件事故に起因したものか、この肝心なポイントは立証できていないのです。

 保険会社にのみならず、方々の医師や弁護士にMTBI被害者と訴えかけますが、相手にされていませんでした。どの医師からも、心療内科の診察を受けるよう指示を受けたそうです。

  続きを読む »

 頭部外傷の最後にどうしても触れておかねばならない傷病名です。10年前の弁護士向け研修のレジュメを追記修正の上、再度UPします。また、高次脳機能障害は専門カテゴリーにて取り上げる予定です。

最近、めっきり居なくなったけど・・      頭部に直接の衝撃が加わり、硬膜下・くも膜下血腫、脳挫傷、びまん性軸索損傷などの脳損傷では、通常、6時間以上の昏睡を含む意識障害が生じ、CT・MRI画像においても、脳の器質的損傷を捉えることができ、これを頭部外傷後の高次脳機能障害と呼んでいます。

 高次脳機能障害については、この13年間におよそ140人の相談受けました。その内、受任して等級認定を得た件は60件に及びます。    高次脳の実績 👉 高次脳機能障害の相談は実績で選んで下さい    自賠責保険における高次脳機能障害の3要件から、以下のように整理できます。   続きを読む »

 秋葉は、被害者さんの意を酌んだ仕事を目標にしています。しかし、時として、お気持ち<お金 とした解決を推奨します。それは何も賠償交渉だけの話ではありません。後遺障害の等級認定の場面でもあるのです。

 本件は、心臓機能の障害より脳障害でまとめた方が、高い等級が付くと睨みました。軽重様々な障害が現れる高次脳機能障害は、「神経系統の障害」で総合的に判断される傾向です。審査側のその思考こそ、障害の実態に沿うものです。依頼者さんに損得の面から説得の上、狙い通りの結果を得て弁護士に引継ぎました。損害賠償とは、結局のところ金銭の多寡、「なんぼ取ったか」です。本例は高次脳機能障害・立証の応用例として、事務所の実績に刻みたいと思います。

 でも、「お金より内容を!」と言われたら・・悩みどころです。  

7級4号:高次脳機能障害(40代男性・神奈川県)

【事案】

夜間、道路を横断中、自動車に跳ねられた。加害自動車はそのまま逃走した(翌日出頭、任意保険の存在も確認できた)。幸い、目撃者の通報で救急搬送された。胸部の大動脈に損傷があり、人工血管置換術にて回復。他に脳挫傷、頚椎棘突起骨折、肋骨骨折など。   【問題点】

ご本人にとって、血管の手術後の体力低下や運動制限が将来に禍根を残すものとなった。脳外傷としては、易疲労性や鬱症状などが見られたが、比較的軽微と言えた。ご本人の訴える症状すべてに漏らさず等級を付ける原則は変わらないが、どれも12級レベル、12級をいくつ取っても併合11級止まり。   【立証ポイント】

熟考の結果、「神経系統の障害」を一まとめに高い等級を狙う方針とした。ただし、目立った脳障害・精神障害は見られず、神経心理学検査では有意な結果は得られそうにない。初期に受診したのみで「もう来なくていいよ」と言われた脳外科を再診し、症状を細かく医師に伝え、高次脳機能障害を主訴に診断書を揃えて審査に付した。

審査側に意図が伝わったのか、総合的な判断で7級4号の結果が返った。ご本人の訴える障害とは違ったものの、賠償金が目的である以上、「何が認められるか」より「数字」である。異例の成功例となった。

続きを読む »

 昨夜は深夜に東京駅に戻り、今朝は早起き、東京駅からバスに乗って病院同行。昨日は沼津港、今日は銚子港・・まるで漁師。今夏の病院同行です。    海からの風のおかげか、やや涼みを感じます。県道沿いの玩具屋さんは目にも鮮やか、店先に浮袋と花火が並んでいます。無人の店内に「ガラガラ」とくたびれた扇風機が回っています。これだけで潮と火薬の香りを感じます。 海まで出かけるのか、家族連れのワゴン車が止まりました。       あと1週間で夏休みです。厳しい仕事が続きますが、猛暑&コロナにも負けず、突き抜けよう。    

続きを読む »

 昨夜からの雨のせいで、酷暑も一息、本日は割と涼しい中でのセミナーでした。コロナでご無沙汰していた皆様との再会、セミナー後の懇親会も大いに盛り上がりました。

 会場の沼津は人気アニメの舞台となっているそうで、ファンからは聖地とされています。確かに、伊豆箱根鉄道は萌え鉄でした。セミナー会場でも、催し物のポスターが萌え一色でした。 (あ、セミナー中の写真を撮るのは忘れました。)      テーマは人身傷害保険の約款改定でした。ここ数年の交通乗用具特約の変更を、各社比較で解説しました。また、ご質問やご意見も活発に飛び交い、お互いの経験則を共有することができました。今回も有意義な時間となりました。  

(今日の旅猫)駅前のロータリーに佇むトラちゃん

続きを読む »

 お仕事やご家庭の事情から、通院を阻むことがあります。もちろん、体が第一、ケガの治療が最優先のはずです。しかし、そうもいかない事情もあるのです。本例の場合、むち打ち治療ごときで仕事に穴を開けるわけにはいきませんでした。それでもし、安易に転院すれば、転院先の医師が「最初から症状を診ていないから、後遺症の診断書は書けないよ」と判断する事があるのです。つまり、「治っていない」のに、後遺障害を断念することになります。    秋葉事務所には、各地域の整形外科医のリストがあり、リハビリ対応や診断書記載から医師のお考えまで、情報集積を13年続けています。その情報から安全に治療先を選ぶことができ、また、情報の無い病院であっても、医師面談の励行により、後の診断書確保に余念がありません。本例も、転院後の継続治療と後の診断書依頼について、医師の理解を促しました。ここまで対応するからこそ、遺漏の無い等級認定と、間違いのない解決へ誘導できるのです。

よかったです  

14級9号:頚椎捻挫(40代女性・山梨県)

【事案】

自動車を運転中、渋滞のため停止していたところに追突される。その衝撃により前方車にも衝突し、いわゆる玉突き衝突による2重の衝撃で負傷した。直後から頚腰部痛、両手の痺れ等、強烈な神経症状に悩まされる。

【問題点】

早期にご連絡をいただいたため、順調に進んでいた。しかし、事故から3ヶ月半が経過したときに、仕事の都合から通院先整形外科の診察時間に間に合わなくなってしまう状況に・・。通院回数が激減してしまうという観点から、「転院する」か「後遺障害申請を諦めるか」の二択となった。

続きを読む »

お問い合せはお気軽に!

事務所メンバー

「交通事故被害者救済」がスローガン! 病院同行に日夜奔走しています。解決まで二人三脚、一緒に頑張りましょう。

代表者略歴を見る!

部位別解説 後遺障害等級認定実績(初回申請) 後遺障害等級認定実績(異議申立)

今月の業務日誌

2025年4月
« 3月    
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

月別アーカイブ