「フットブレーキに頼った運転で起きたのでは?」

   すでにご存じと思いますが、先週の観光バス横転事故、その原因の可能性に「フェード現象」の可能性が、専門家より指摘されています。事故調査はまだこれからで、断定はできませんが、以下、日テレニュース様より引用します。

 

 静岡・小山町で観光ツアー中の大型観光バスが横転した事故で、警察が可能性の1つとして捜査を進めているのが「フェード現象」です。交通事故に詳しい専門家は「フットブレーキに頼った運転」によりこの現象が起きたのではないかと推測しています。さらに、現場となった道路の“ある特徴”に対する指摘も…。    事前の安全点検に問題はなかったといいますが、野口容疑者は「ブレーキがかからなくなった」と供述しているということです。ブレーキは、なぜかからなかったというのか…。警察が可能性の1つとして捜査を進めているのが、「フェード現象」です。   ※ フェード現象は、今回の事故現場ような長い下り坂などで起こりやすい現象です。そもそもブレーキは、摩擦でタイヤの回転を止める仕組みになっています。しかし、これを何度も繰り返すと熱が発生し、ブレーキが利きにくくなるといいます。

 <中略>   事故は富士山5合目からの長い下り坂の途中で起こりましたが、実際にこの道路を走った車の車載映像には「ブレーキの過熱に注意」と呼びかける看板が映っていました。

交通事故に詳しい交通事故鑑定人の中島博史さんは、事故現場の写真を見ながら、「急なカーブになっていますが、このカーブを曲がりきれないようなスピードでこのカーブに入ってしまったために、恐らくこの辺りでのり面に乗り上げてしまったので、車の左側が持ち上げられ、最終的には横転するような形になった事故だと思います」と分析しました。

さらに指摘したのは、“道路の色の違い”です。事故現場の写真では、真新しいように見える道路と古く見える道路との間に、はっきりとした“切れ目”がありました。

交通事故鑑定人・中島博史氏:「手前側の方が新しくて、非常によく整備されている状態です。切れ目のところから先は少し古そうで、ある程度、摩耗したり劣化したりしているところが見えます。カーブの途中で摩擦力が変わることはあり得る」

古い道路の方が摩擦力は低下するため、ブレーキの利きが悪くなった可能性があるといいます。

交通事故鑑定人・中島博史氏:「フットブレーキに頼った運転をしていてフェード現象が起きてしまって、カーブの手前で減速したかったが、ブレーキが利かず、はみ出してしまったというのが事故の原因だと思います」    また、最新の報道によると、乗客の証言では、事故の1~2分前から「ブレーキが効かない」との運転手の声や、乗務員より「シートベルトの着用を」との指示があり、スピードもかなり出ていて、カーブの際に左右に振られて乗客が悲鳴を上げていたようです。事故を回避する為に、運転手がわざと左斜面に車両を接触させて停止、あるいは減速を計った可能性も想像できます。メカニックのトラブルか、運転ミスか・・いずれにしても、今週中に事故原因の調査、第一報が入ると思います。    

   

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(3)後遺障害のポイント   ① 眼球の運動障害

 眼球の運動は、上下・内外・上下斜めの3対の外眼筋の一定の緊張で維持されています。動眼神経麻痺により、外眼筋の一部が麻痺すると、緊張状態が壊れ、反対の方向に偏位します。

 ゴールドマン視野計で注視野を測定し、注視野の広さが2分の1以下に制限されていれば、著しい運動障害として、単眼で12級1号、両眼で11級1号が認定されています。  

ゴールドマン視野計

  1、注視野

 頭部を固定した状態で、眼球の運動のみで見える範囲のことで、単眼視では各方向50°両眼視では45°となります。

 単眼、両眼の注視野の範囲は、以下の通りです。続きを読む »

 動眼神経麻痺(どうがんしんけいまひ)

 ⇒ 複視・眼球の運動障害・眼瞼下垂・瞳孔散大

 

(1)病態

 動眼神経麻痺は、眼本体の外傷ではなく、頭部外傷、脳幹部損傷や脳圧の亢進により、第3脳神経が圧迫を受け、これが引き伸ばされたときに発症するものです。

  (2)症状

 動眼神経が麻痺すると、真っ直ぐ正面を見ているときでも、麻痺が生じた眼は外側を向いており、モノが二重に重なって見える=複視を発症します。

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非該当、か・・。  

Case2 頚椎捻挫・腰椎捻挫(60代男性・静岡県) 

【事案】

自動車の助手席に同乗中、後続車に追突され負傷。直後から全身の痛み、神経症状に悩まされる。   【問題点】

事故から4ヶ月経過した時点でご相談を受けたが、通院実績が整形外科<接骨院であった。   【経緯】

ご相談を受けた時点から、整形外科中心の治療に切り替えるよう促し、症状固定日までに通院実績を逆転させることに成功する。頚椎・腰椎のMRI検査も実施し、通常通り申請することとなった。   【結果】

本件は当初から耳鼻科にも通院していたため、目眩についても後遺障害診断書を作成。しかし、その分野で医療照会が入り、審査に約3ヶ月を要したが、非該当となった。頚椎捻挫・腰椎捻挫については特に理由もなく、目眩については医療照会で得た診療録の内容を根拠に非該当を突き付けてきた。   【結論】

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 いつも後遺障害認定された実績を載せていますが、今回は「非該当」になってしまった例について、反省も込めていくつか紹介してみます。

 おそらくほとんどのHPが、こんな認定を受けました!という内容ばかりで、非該当になったことなど書かれていないと思います。需要があるかは分かりませんが、交通事故被害者にとっては目新しい記事かもしれませんので、今後も載せてみたいと思います。

認めたくないものだな・・  

Case1 頚椎捻挫(50代女性・神奈川県)

【事案】

自転車で走行していたところ、駐車場から出てきた車に衝突され負傷。直後から全身の痛み、神経症状に悩まされる。   【問題点】

今回の事故以前に頚椎・腰椎で後遺障害認定を受けていた。(1回目が14年前、2回目が10年前)   【経緯】

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 他社でも追加された、行方不明=死亡の推定条項です。生保ではおなじみのルールですが、自動車事故で行方不明とは想定しずらいので、今まで明記していなかったようです。

 しかし、交通乗用具への補償では、飛行機や船舶などが含まれますから、遭難、死体が見つからないなど、様々なケースが想定されます。しっかり書いておく必要に駆られたと思います。6条で、行方不明30日で死亡と推定するルールとしました。

 7条では、事故報告しなかった場合のペナルティが定められました。何を想定しているのか?ですが、これは保険金詐欺対策で、生きているのに死んだことにして・・例えば海難事故に便乗、「実は、あの沈没した船に乗っていました」等、保険金を請求する詐欺でしょうか。    一年間の行方不明者ですが、令和元年は届け出だけで86,933人です。安定した社会の日本でさえ、ここ10年は8万人台で横ばいです。<警察庁生活安全局生活安全企画課の統計発表>     第6条(死亡の推定)

⑴ 当会社は、被保険者が搭乗している航空機または船舶が行方不明となった場合または遭難した場合において、その航空機または船舶が行方不明となった日または遭難した日からその日を含めて30日を経過してもなお被保険者が発見されないときは、その航空機または船舶が行方不明となった日または遭難した日に、被保険者が死亡したものと推定します。

⑵ ⑴の場合、当会社に対する保険金の請求権は、被保険者が搭乗している航空機または船舶が行方不明となった日または遭難した日からその日を含めて30日を経過した時から発生し、これを行使することができるものとします。   第7条(事故通知の特則)

⑴ 被保険者が搭乗している航空機または船舶が行方不明となった場合または遭難した場合は、保険契約者または保険金を受け取るべき者は、遅滞なく行方不明または遭難発生の状況を書面等をもって当会社に通知しなければなりません。

⑵ 次のいずれかに該当する場合は、当会社は、それによって当会社が被った損害の額を差し引いて保険金を支払います。

① 保険契約者または保険金を受け取るべき者が、正当な理由がなく⑴の規定に違反した場合

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 自転車など交通乗用具での自爆事故、あて逃げ(加害者不明)の場合は、慰謝料と休業損害はでない。    今年、令和4年1月1日約款改定より、交通乗用具が復活して \(◎o◎)/! でしたが・・・   👉 人身傷害・今年の約款改定 ① ~ 損保ジャパン、交通乗用具・復活の日    どうやら、先行販売した人身傷害付の傷害保険UGOKUに同じく、制限があることに気付きました。   👉 画期的な傷害保険 UGOKU    これは、先日の茨城県・水戸セミナーで、代理店のMさまから教えて頂きました(ありがとうございます)。補償範囲拡大で喜んでいましたが、新たに増えた補償の支払い項目に一部削減がありました。

 あいおいさんも近時の改定より、同じように一部制限をかけました。両社の意図は、おそらく多くのケースで、自転車単独事故は警察の届け出などしない・・・つまり、交通事故以外でケガをしても「自転車でこけちゃって」と偽り、人身傷害保険を請求してくる・・虚偽請求を予想してのことかと思います。また、ひき逃げでも相手が判明しない限り、交通事故かどうかわかりませんので同じことになります。    このように、人身傷害の”交通乗用具への補償”はざる保険なので、東京海上日動さんはじめ、多くの会社が廃止した歴史があります。維持してきた会社(三井住友、あいおい他)、復活させた会社(損J)、いずれも自動車が絡む事故の補償は不変ですが、自転車はじめその他の交通乗用具に対して補償を制限する改定がありました。ちゃんと損保も考えているのですね。   続きを読む »

【2】まぶたの運動障害

 まぶたの運動障害は、顔面や側頭部の強打で、視神経や外眼筋が損傷されたときに発症します。ホルネル症候群、動眼神経麻痺、眼瞼外傷による上眼瞼挙筋損傷、外転神経麻痺が代表的な傷病名となります。    まぶたには、 まぶたを閉じる=眼瞼閉鎖、

        まぶたを開ける=眼瞼挙上、

        瞬き=瞬目運動    以上の3つの運動があり、後遺障害である、まぶたに著しい運動障害を残すものとは、瞼を閉じたときに、角膜を完全に覆えないもので、兎眼と呼ばれています。同じく、まぶたを開いたときに、瞳孔を覆うもので、これは、眼瞼下垂と呼ばれています。

 単眼で12級2号、両眼で11級2号が認定されますが、男女とも、相当に深刻です。 実務上では、顔面の醜状障害として上位等級の9級16号も視野に入れます。   続きを読む »

 外傷性眼瞼下垂(がいしょうせいがんけんかすい)

 ⇒ まぶたの欠損・運動障害  

(1)病態

 眼瞼挙筋は、まぶたや眼球の運動に関わる動眼神経が支配しており、自分の意志でまぶたを開けたり閉じたりすることができる筋肉です。ミュラー筋は自律神経が支配しており、自分の意志で動かすことはできません。また、額の筋肉の前頭筋も眉毛を上げる作用があります。眼瞼下垂などで、まぶたが開けにくい状態では、前頭筋を使ってまぶたを上げることが癖となり、額のしわが深くなります。

 外傷性の眼瞼下垂は、腱膜性眼瞼下垂と呼ばれるものと動眼神経麻痺の2つに分類されます。腱膜性眼瞼下垂は、挙筋腱膜の断裂や瞼板との付着部分が分離するなどにより、瞼板を正しく持ち上げることができず、まぶたが開きづらくなっている状態です。上まぶたが下垂し、まぶたが開きにくくなることで、物が見えにくい状態を眼瞼下垂と呼び、先に説明の、まぶたの切創=裂傷で、眼瞼挙筋や挙筋腱膜を損傷することでも発症します。   (2)後遺障害のポイント

【1】まぶたの欠損

 交通事故によるまぶたの切創=裂傷では、縫合や形成術を行っても、著しい欠損を残すことが予想されるのです。

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 ↑ 片浜駅  用が無ければ、一生降りることはなかったでしょう。電車待ちの夕日に日焼けする思いでした。    週末は病院同行で静岡県沼津市に。10月に入ったのですが、30度に届く真夏日でした。とくに、東海地方は暑かったようです。

 今年の夏は暑く、そして長かった。お盆休み明け以来、丸一日の休日は二日ほど。久々に忙しい日々が続いています。体を壊さないよう、休息も仕事の内です。まずは、帰りの新幹線でしっかり熟睡したいと思います。  

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 昨日は行政書士会の「第15回倫理研修」をwebで聴講しました。足を運ばずに研修を受けることは非常に楽で助かります。コロナ禍で唯一の美点と思います。    行政書士法はじめ、各法令に順法であることは当然のことです。定期的に業務のチェックを怠ならいよう、注意喚起のきっかけとして、このような研修は定期的に受講すべきものです。今回のカリキュラムで、とくに気になったことは掲題の「倫理」です。行政書士法とは別に、わざわざ、倫理綱領として明文化しています。これは、法律で律しきれないことを謳ったものです。

 ただ、法律と違って具体性がなく、抽象的な表現が多く、人によっては解釈が分かれそうです。「道徳的であれ」、これは、意外と難しいルールかもしれません。   第一章 一般的規律

第1条 行政書士は、誠実にその業務を行うとともに、行政書士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。    果たして、私に品位があるのか・・・。自問自答してしまいます。ふざけた言動はダメなのか、風刺の効いたHPのイラストも引っ掛かりそうです。聖人君子といかないまでも、気を付けるべきことは多いように感じました。   👈 品位がない?  

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 大阪府議会が決定! 議員と職員・住民との間に上下関係を生む 自分は特別だという「勘違い」につながりかねないと。    最近、このような呼称に関する話題を目にするようになりました。

 確かに、慣習上「先生」と呼ぶ業界は多いものです。身近では弁護士先生です。しかし、いくつかの事務所では、お互いを「さん」付けに統一、「先生」とあえて呼ばないルールの事務所も存在します。きっと、謙虚な精神を忘れないように自戒しているのかもしれません。

 行政書士は世間から決して「先生」と呼ばれていない業界ですが、行政書士会などの集まりでは、お互いを「先生」と呼びます。行政書士間だけのことで・・少し照れます。

 秋葉事務所では、歳の差関係なく「さん」付けです。ただ、他士業の方が私に対して「先生」と呼ぶものですから、なんとなく「先生」の呼称が残っています。「先生」は事務所のルール上、廃止しようかなと思っています。    「先生と呼ばれる者にろくな者はいない」とも言われます。せめて、キャバクラ、フィリピンパブで呼ばれるだけに留めたいものです(そのようなお店には行きませんが)。  

<カンテレさまより>

 大阪府議会の森和臣議長は議会運営委員会の後、取材に応じ「議員と呼んでもらうことによって対等な立場により近づけ、変に上下関係を生まないということにつながっていくのではないかと思います」と話しました。 呼び方の変更については、議長団が28日付で各府議会議員に通知を出すほか、府庁の職員にも議会事務局を通じて周知するとしています。

 

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 後遺症なく、完全に治すことが医師の目標であり、使命です。

 しかし、元通りになっていなければ、自賠責保険に基準に照らして評価してもらいたいのです。確かに臨床上は骨癒合が得られ、完治と言える結果でも、自賠責保険は画像から「変形」の有無を判断します。骨に器質的変化があれば、「変形」の12級や神経症状の12級13号に判定されます。この点、臨床上の判断と賠償上の判断が異なると感じるところです。

 頑なな医師に苦戦するも、14級だけは確保しました。

医師の立場もわかりますが・・   

14級9号:頬骨骨折(70代女性・埼玉県)

【事案】

自動車の後部座席に搭乗中、右折してきた対向車と衝突して負傷、頬骨(きょうこつ:ほほの骨)を骨折した。直後から顔面の痛み、神経症状に悩まされる。   【問題点】

診察の度に医師が変わるため、長期的な話をすることができなかった。最終診察時の医師が後遺障害に無理解であり、何が何でも「完治」とする姿勢であった。

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(1)病態

 まぶたの皮膚は、まつ毛側に近づくにつれて薄くなり、眉毛側は分厚く固い皮膚となっています。薄い皮膚の直下には、皮膚と密に癒着している眼輪筋、まぶたを閉じるための筋肉があります。眼輪筋の下には脂肪層があり、脂肪層の下には、目の縁に瞼板という軟骨があります。    まぶたを開けるのに使われる筋肉には、眼瞼挙筋ミュラー筋5の2つがあります。これらは共に瞼板に付着していますす。    交通事故によるまぶたの外傷では、   ① まぶたの打撲による腫脹 ② まぶたの皮下出血    ③ まぶたの切創=裂傷 ④ 外傷性眼瞼下垂 ⑤ 涙小管断裂が予想されます。    ① まぶたの腫脹    上下のまぶたの打撲による軟部組織の腫脹で、交通事故では、自転車やバイクの運転者に多発しています。眼球内に炎症がおよんでいなければ、安静とアイシングにより、1週間前後で治癒するので、後遺障害を残すことはありません。   ② まぶたの皮下出血

 上下のまぶたの打撲で、まぶたの皮下血管が損傷を受け、内出血します。目の周りが黒ずみ、皮膚が紫色に腫れ、目が開けられなくなることもあります。視力や眼球運動に異常がなければ、安静、アイシングで1、2週間で皮下出血は吸収され、予後も良好で、後遺障害を残しません。

③ まぶたの切創=裂傷

 刃物による切創ではなく、ボクシングでも、不意のバッティングや拳の打撃により、また、交通事故の打撲でも、まぶたが切創することがあります。

 まぶたの創は、ひどい出血を伴いますが、厚く重ねたガーゼで15分ほど圧迫すると、ほとんど止血することができます。止血後に、眼科あるいは形成外科で縫合することになります。普通は、2週間程度で治療は完了します。

 複雑で大きな裂傷では、まぶたに瘢痕を残し、顔面醜状として後遺障害の対象になります。 瘢痕であれば10円銅貨以上、線状痕であれば3cm以上で、12級14号が認められます。

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眼底・網膜・硝子体・脈絡膜出血(しょうしたい・みゃくらくまくしゅっけつ)

(1)病態

 交通事故の衝撃をまぶたに受けて、網膜や脈絡膜、硝子体に出血を起こすことをいいます。とりわけ、黄斑部に出血を起こすことが多いのですが、黄斑部は、外傷性黄斑円孔で解説していますが、モノを見る最も大切な部位であり、出血すると、出血が吸収されたとしても、黄斑部の視細胞が損傷され、中心部だけが見えない中心JL暗点と視力低下を残すことがあります。

 治療は、安静と止血剤や消炎酵素剤を投与しますが、視力改善は困難で、オペもできません。   (2)治療

 治療は、止血剤や血管強化剤などの投与や、レーザー光での凝固術が行なわれています。レーザー光凝固術は、出血部の網膜を焼き固めて、網膜の血流をスムーズにし、出血の吸収と再出血を防止させるために有効なオペですが、改善が得られないときは、硝子体切除術を行ない、出血で濁った硝子体を取り除いて、視力回復を試みます。

 硝子体は眼球の丸みを保つために必要な組織であり、切除では、代わりにシリコンオイルやガスが注入されています。   (3)後遺障害のポイント

Ⅰ 後遺障害は、視力低下がポイントになりますが、黄斑部以外の出血では、程度が軽ければ、後遺症を残すことなく治癒しています。   Ⅱ 硝子体出血とは、網膜やブドウ膜の出血が、硝子体に流れ込んでいる状態です。出血が軽度では、出血した血液は徐々に吸収され、眼底が十分に見えるようになると、視力は回復し、後遺障害を残すことはありません。   Ⅲ 大量出血のとき、また、出血が完全に吸収されたものの、膜状の混濁が硝子体に残ったときは、この膜を切除して視力の改善をさせるなどの手術が行われています。網膜剥離を合併しないときは、後遺障害を残しません。    次回 ⇒ 眼瞼=まぶたの外傷  

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 網膜振盪症(もうまくしんとうしょう)

  (1)病態

 交通事故では、自転車、バイクの運転者の眼球打撲で発症しています。

 打撲の衝撃が眼底に加わることで、網膜の黄斑部に浮腫を起こした状態です。皮膚にモノが当たると、内出血はしないものの、腫れることがあります。そのことが、眼底の一部に起こったと想像してください。眼の奥を見ると、黄斑部が乳白色に混濁し、小出血を伴っていることもあります。   (2)症状

 視力は、ダブって見える、ぼやけることもありますが、安静加療で、2、3日で元通りとなります。外傷の程度が強いときは、次に説明する黄斑円孔、脈絡膜出血などが予想されます。   (3)治療

 交通事故による眼球の打撲では、後に緑内障の原因となる外傷性の虹彩離断、外傷性白内障、水晶体亜脱臼、硝子体出血、網膜剥離などを合併することがあります。眼球の打撲では、眼科の受診など、神経質な対応が求められます。   (4)後遺障害のポイント

 平均的には、2、3週間で治癒し、網膜振盪症で後遺障害を残すことはありません。     次回 👉 眼底・網膜・硝子体・脈絡膜出血  

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 角膜上皮剥離(かくまくじょうひはくり)     (1)病態

 角膜とは、眼球の正面に見える黒目を覆う透明な膜です。虹彩と水晶体を保護し、光学レンズとしての働きも有しています。

 角膜の構造は、表面から上皮、実質、内皮に分かれ、角膜上皮は、外気に晒されており、角膜を外界から守るバリアとしての働きと、酸素を取り入れる働きがあります。角膜実質は、最も厚い層ですが透明であり、光をそのまま通すことができます。角膜内皮は、眼球内の房水という栄養分に富んだ水を実質部分に供給しています。

 角膜は、ゴミなどによる刺激や、微生物による感染を受けることがあり、外傷で角膜の透明性が失われ、また変形すると視覚に障害を残します。   (2)症状

 角膜の外傷では、強い眼の痛みを伴います。角膜上皮剥離ですが、皮膚の擦り傷と同じで、黒目に直接、モノが当たり、あるいは、突き刺さり、角膜の上皮が剥がれた状態を角膜上皮剥離と呼んでいます。

 交通事故、特にバイクの運転中、まぶたを閉じる間もなく電柱などに激突する、装用しているメガネのグラスが破損して飛び散る、コンタクトにより傷つけることで発生しています。

 交通事故110番の相談例では、バイクで転倒した際に、栗のイガが眼に刺さった、自動車を運転中に、蜂が飛来し、メガネと眼の間に閉じ込められた蜂が、パニックとなり、目を刺された方がおりました。バイクに搭乗中に蜂で眼を刺された場合、偶然・急激・外来の要件を満たしており、自動車保険の人身傷害保険で補償されます。

   角膜の上皮は、外力に対して弱く、容易に傷つき、一部が剥がれたりするのです。症状は、痛みが強く、涙が止まらない、モノが見えない、異物感があり、まぶたを開けることができない、眩しさを感じるなどの症状が出現し、大騒ぎとなります。   (3)治療

 一方で、角膜上皮は再生力が非常に強く、小さな傷であれば2~3時間で治ることもあります。ビタミンB2の点眼は、この再生力を促進させる働きがあります。感染症予防の必要から抗生剤の点眼も行われています。   (4)後遺障害のポイント

 角膜上皮に限定された外傷であれば、後遺障害を残すことなく治癒します。眼科で薬の処方をお願いしましょう。    次回 👉 網膜振盪症  

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 球結膜下出血(きゅうけつまくかしゅっけつ)     (1)病態

 眼球結膜=白目の部位には、大小の血管が多数存在しています。この血管が、交通事故によるまぶたや顔面打撲などで破れ、結膜の下に出血が広がるものを球結膜下出血といいます。白目の部分が赤く出血するので目立ちますが、痛みや異物感の自覚症状はありません。   (2)治療

 眼科医の処方する点眼薬で、5日前後で改善します。放置しておいても、1~2週間の内に、出血は自然に吸収されます。   (3)後遺障害のポイント

 球結膜下出血で後遺障害を残すことはありません。眼科を受診、目薬を差しましょう。

 

 次回  👉  角膜上皮剥離  

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 タイトルを見て、「何のこっちゃ」と思いますが、実は、現場ではそう珍しいことではありません。

 医師は、臨床上の判断で症状固定を判断しますが、それはあくまで医師の独断かもしれません。症状固定とは、一定の治療を経て、症状が一進一退となり、積極的な治療の見込みがない安定した時期に、賠償行為としての治療に区切りをつけるものです。これは医療用語ではなく、賠償用語と解されています。もちろん、医師の意見は重きを成しますが、最終的な判断は”賠償請求権者である被害者さん”が判断すべきと考えています。

 本件は、医師が良かれと思って設定した症状固定日が仇となり、治療費は打切られ、迷走しかけていました。佐藤が軌道修正しましたが、そのまま進めていたら・・恐らく大混乱、慰謝料算定に影響し、果ては後遺障害の認定なく残念な解決になっていたかもしれません。

 交通事故治療は複雑です。現場では、状況如何でしばしば症状固定日を変更しています。

力業? いえ、正しい記録に直しただけです  

12級8号:尺骨茎状突起骨折(20代男性・東京都)

【事案】

通勤で自転車走行中、駐車中の自動車のドアが突然開いて衝突、受傷したもの。尺骨の先端、茎状突起に骨折があった。その後、実家に帰省、現地の整形外科で治療をして、診断書も書いてもらった。

 👈  参考写真

【問題点】

東京に戻り、引き続き治療ができる整形外科を探すことになった。保険会社に事情を説明し、治療費の支払いを依頼するも、「すでに症状固定とされていますから・・・。」と支払い拒否???、仕方なく労災を適用して治療を継続した。

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 先月からセミナーを再開していますが、企画・準備の最中にオミクロンが蔓延しました。やはり、ご参加者は思うように伸びません。非常に厳しい再スタートとなっています。    それでも、ご参加頂く以上は、参加者の多寡に限らず全力投球です。地道な努力はいずれ報われると信じています。

 少ない参加者ですと、座学形式は馴染みません。円卓会議さながら、意見交換の場にします。今回はご参加の社長さんから、色々と業界の話をお聞ききしました。実は、私達も大変に勉強になっています。

 空間が広がるハイセンスな会場でした。こちらは、数年前の社労士セミナーでもお世話になりました。  

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