つまり「自身が何等級であるか」分析する冷静さがないとダメなんです。そして認定理由を理解し、第3者が納得できる文章を書く国語力が必要です。
実践的な話に移ります。
■ 異議申立の進め方
① 認定理由をよく読む
残存する症状についてなぜ認められないか、症状別に細かく書いてあるはずです。そこをしっかり読み取って下さい。
例えば、「頚部が痛い、重い」 「腕がしびれる」 「関節が曲がらない」 「めまい、吐き気がする」 ・・・これらは自覚症状です。世の中の人間がすべて天使のように清純であればいいのですが、残念ながら嘘の症状、大げさな症状を訴える被害者も少なくないのです。審査する側はまず疑ってかかっていることを肝に銘じて下さい。つまり「どの主張が信じてもらえなかったのか?」を抽出します。
② 自覚症状と他覚症状を結び付ける
調査事務所 お決まりの非該当決め言葉 1
「同部に骨折、脱臼等の損傷が認められず ~ 自覚症状を裏付ける客観的な医学的所見に乏しいことから、自賠責保険が認める後遺障害には該当しないと判断します」
否定の理由はようするに他覚的見地が乏しいのです。これはずばり医師の診断、検査・画像所見の不足を指します。
・ 不足している検査はないか
神経麻痺なら筋電図や神経伝達速度検査が行われていたか。
・ 症状を裏付ける画像は
骨折の場合レントゲンでOKですが、筋損傷はMRIじゃないと写りません。
・ 可動域制限が正しい計測か
間違った計測は測り直す必要がありますが、そもそも器質的損傷が伴わないのに「曲がりません」と言っても信じてもらえません。
③ その症状はいつから?
調査事務所 お決まりの非該当決め言葉 2
「これらの症状の出現時期は少なくとも受傷から約○日経過した平成○年○月○日以降と捉えます ~ したがって本件事故との相当因果関係を有する障害と捉えることは困難なことから、自賠責保険が認める後遺障害には該当しないと判断します」
これが一番やっかいです。受傷当時に医師が見逃した為に症状の発見が遅れたケースです。最近頻発しています。
症状の出現時期までの経過日数が長ければ長いほど絶望度は高まります。この場合、受傷当時からのカルテを回収し、せめて自身が痛みや症状を訴えていた時期を特定し、切々と確定診断が遅れた状況・理由を説明していくしかありません。
この項目がもっとも調査事務所からの信用度合が試されると思います。
④ 漏れている症状はないか
複数のケガの場合、大きなケガの認定にスポットがあたり、見逃されている症状があります
・ 神経麻痺の場合
足首の可動制限だけか?足指の可動制限が見逃されているケースがあります。
・ 前腕骨の骨折で癒合良好
しかし痺れ、手首の可動制限が残っている場合、橈骨神経麻痺を精査します。
・ 高次脳機能障害が認定
体の麻痺等の症状をすべて高次脳の等級に含めますが、嗅覚脱出やめまいなどを別系統として併合する余地あります。
自信がなければ専門家に依頼するのも良いと思います。特に異議申立てに熱心な事務所も存在します。異議申立ての成功率も7割を超える優れた先生もいるそうです。
最後に、 原則 異議申立ては受任しません。
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