3月1~2日東京、29~30日大阪で弁護士向け研修会を実施します。今回は「実戦力」がテーマです。実際に被害者が事務所に相談に訪れた時に的確な対応ができるかを訓練します。  先駆けて今日から高次脳機能障害のチェック項目について概要を押さえていきましょう。  

(1) 事前チェック (書面チェック)

 相談者から基本的な事故情報を事前に聴取、できれば書面で確認します。高次脳機能障害を予断する場合、以下の3項目が必須の情報となります。  

☐ 診断名は?

 傷病名が脳挫傷、びまん性軸策損傷、びまん性脳損傷、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血、脳室出血であること。   骨折後の脂肪塞栓で呼吸障害を発症、脳に供給される酸素が激減した低酸素脳症も含みます。

 では逆に危険な診断名を挙げます。頭部打撲、頭部挫傷、脳震盪、頚椎捻挫・・・これらの診断名をもって脳障害の症状を訴えても、障害とは認定されません。そしてMTBI(外傷軽度脳損傷)が診断されても、自賠責保険・労災は高次脳機能障害とは認めません。臨床上そのような症状が報告されていますが、行政上では存在自体を疑問視されており、はっきり区別されています。

  ☐ XP、CT、MRIの画像で確認できているか?

 受傷直後に急性の血腫が生じた場合は明確に画像が残ります。それは局所性の損傷として重要な画像所見となります。さらにMRIのT2フレアで脳萎縮、脳室拡大の進行が時系列で描出されていれば決定的な画像所見となります。  びまん性脳損傷の場合は点状出血を探すことになります。微細な出血は見逃される危険性がありますので、精密なMRI検査(DWI:ディフージョン)が望まれます。時間が経ってしまった場合はT2スターなどを追加検査する必要があります。    このように「どのような脳損傷の形態か?」を把握し「どの時期にどのような画像検査をすべきか?」これを相談者に指し示すことができなければ取り返しのつかないことになります。つまり画像所見がないために障害が認められなくなってしまうのです。

  ☐ 頭部外傷後の意識障害が少なくとも6時間以上続いていたか?もしくは健忘症あるいは軽度意識障害が少なくとも1週間以上続いていたか?

 意識障害(半昏睡~昏睡状態で呼びかけに開眼・応答しない状態)、JCSが3~2桁、GCSが12点以下の状態が少なくとも6時間以上続いていること。  または軽度意識障害としてJCSが1桁、GCSが13~14点の状態、もしくは健忘症が少なくとも1週間以上続いていることが認定要件となっています。

 通常、脳に器質的なダメージが加われば意識障害の状態に陥ります。意識障害も程度の差があり、完全に意識が喪失している場合、朦朧とした状態が数時間~数日続く場合があります。明確な画像所見があれば、障害の存在は否定されません。しかし画像所見が不明瞭、もしくは脳萎縮・脳室拡大の器質的変化が乏しい場合は、意識障害の有無・度合いが脳損傷の有無を推定させる一つの要素となります。

 相談を受けた法律家は画像所見が決定的ではない場合、画像の追加検査はもちろん、なるべく急ぎ、「頭部外傷後の意識障害についての所見」(専用診断書)を初診の病院に記載依頼して下さい。救急救命科で記録してあるはずですが、命を左右する場面で正確な記録が脳神経外科に引き継がれていない危険性があります。また事故から時間が経っていれば、主治医の転勤等でカルテの記録(ものすごく達筆)しか残っておらず、正確な数値が曖昧となってしまうことも多々あります。急がなければならないのです。

 画像も不明瞭、意識障害もなし・・・万事休す。障害は否定されます。

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 本日は山梨県の竜王へ。前日は東京も雪でしたが、幸い積もるほどではありませんでした。甲府盆地もそれほど深刻な積雪はない地域ですが、途中の大月~笹子付近は結構降ったようです。

 さて今回の病院同行は、相手保険会社打ち切り後、健康保険で通院を続けた被害者の症状固定と後遺障害診断書の依頼です。通常、病院の窓口では交通事故診療と健保診療を明確に分けています。交通事故は加害行為なので自由診療を基本とし、自分で転んだケガなどは健康保険治療となります。両者の一番の違いは病院の利益が2~3倍の差が生じることです。  自由診療は文字通り、治療費の点数1点=〇円を自由に設定します。もっとも20~30円と地域ごとに申し合わせがあるようで、相場があります。対して健保は1点=10円、労災は1点=12円と決められています。このように同じ治療でも病院にとって収入が倍以上変わってくるのです。だからとは言えませんが、健保治療にはなにかと制限がつきます。賠償交渉が付きまとう後遺障害診断書はその最たるもので、健保治療では記載を拒否する医師すらいます。(これは医師法上、少し問題があると言えますが・・・。)したがって健保治療での診断書記載には、大変申し訳ない気持ちでお願いすることになります。東京から足を運んで懇願、誠意を示すしかありません。

26.2.5

毎回、山梨出張は好天に恵まれます。朝日に輝く雪景色はそれは美しいものでした。

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 ホームぺージのトップに昨年の実績数字を挙げました。

 年間相談件数352件 申請数72件 認定率89%

 この数字について補足説明をします。

 相談件数は実際にお会いした被害者さんの総数です。電話・メールのみの相談は含まれていません。本当に一年間に352人も会っているの?確かに一人の行政書士としてはあり得ない数です。しかし事実、昨年参加した相談会は32回に及び、参加されたすべての相談者の総数が352人なのです。首都圏各県の弁護士の協力と、全国各地の行政書士、NPO法人が連なるチームで共同開催していますので多くの被害者さんと面談による相談が可能なのです。これは全国の仲間たちも同様です。この経験則が一番の強みと言えます。    申請数は初回60件、異議申立12件です。

 認定率は初回89%、異議申立は43%でした。    相談者の割に受任が少ないのは、無料相談のみで十分にお役に立てた方、もしくは弁護士のみ受任で完了する方がおよそ8割に及ぶからです。もちろん「取りあえず契約をして、ダメ元で後遺障害の申請をしてみましょう」、このような乱暴な受任は排除しています。後遺障害が認められないような被害者は違う解決法を提示します。被害者にとって無駄なお金や時間をかけさせない方が親切と考えるからです。それでも異議申立は43%と苦戦していますね。出来れば無駄な申立を避けたいのですが、そもそも異議申立の成就率は調査事務所によると、ここ数年は7%前後なのです。いかに初回で漏らさず等級認定させることが重要か…数字が示しています。

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 交通事故相談ではまず事故の基礎情報の聞き込みから始めます。名前、職業、生年月日を踏まえ、事故日、事故状況、ケガの診断名など続きます。さらに加入の保険内容、相手の保険内容、病院名と治療状況・・・これらの聞き込みですでに15分は経過します。ここからご質問への回答や問題点の指摘、方策の検討に入ります。一人当たり1時間はかかってしまいます。電話でも30分以上話し続ける必要があります。いずれも基礎情報の聞き込みなくば、正確な回答ができません。だからこそ回答の精度を上げるためにも、基礎情報の質問⇒回答が入力できるメールフォームが大助かりなのです。

 それでも相談の10件中7件は電話となります。残念なのはいきなりかかってきて質問したいことだけ話す方です。中には名前も名乗らない方もおります。いくら無料とは言え、不正確・無責任な回答はできません。それにどこの誰だかわからない方へ踏み込んだ情報を与えることにためらいがあります。やはりメール相談が一番です。先にメール⇒電話相談もしくは無料相談会参加が好ましいのです。

 今回の改定でもメールフォームを少し整理しましたが、前HP同様、踏襲しています。相談の際にはぜひご活用頂きたいと願ってします。

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 新しいホームページのアクセス解析を見ると、今まで投稿した業務日誌に検索が引っ掛かり、訪問してくる方が相当数おります。検索からはトップページよりも多いかもしれません。それだけ被害者さんの知りたい情報に答えているものと思います。  私にとっても過去の記事は重要なデータベースです。交通事故に関する膨大な知識すべてを丸暗記しているのは無理です。したがって相談会等で過去記事をささっと検索して情報の確認をしています。自身にとっても重要な項目なのです。

 今改定、右のスペースに日誌カテゴリーを検索しやすいように整理・表示していただきました。日々コツコツ記事出しした内容が自らを助けてくれるのです。

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 以前から懸案となっていた報酬の改定を行いました。  今までも契約内容に柔軟性を持たせ、依頼者さんの事情に合わせて「着手金」を頂かないことがありました。とくに等級獲得後、連携弁護士に賠償交渉を任せる、もしくは連携弁護士に全面交渉を任せた上で後遺障害申請を秋葉に依頼する場合について、双方に払う報酬が過大とならないように着手金を免じる契約としていました。また弁護士費用特約で着手金を確保できる場合も同様とすることが多々ありました。私は着手金を頂くことを原則としています。しかしこのように柔軟な対応をしてきた事実もあります。この機にわかりやすく表記することにしました。

 こんな感じです。

通常コースⅠ(むち打ち、軽傷)  着手金 5万円+消費税 成功時 報酬(自賠責保険金額の20%+消費税)

通常コースⅡ(難事案、重傷) 着手金 10万円+消費税 成功時 報酬(自賠責保険金額の20%+消費税)

着手金不要コース   14級の場合 成功時 20万円+消費税 その他の等級の場合 成功時 報酬(自賠責保険金額の20%+消費税)

連携弁護士に併せて依頼する場合は着手金をいただきません。 非該当の場合は決定時に10万円+消費税のみ頂きます。 

  

今まではわかり辛かったと思います。よりシンプルにもう一工夫してみます。

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 前ホームページで毎日更新し続けた業務日誌はおよそ692件。塵も積もれば山です。これを業者さんが移行作業をしました。しかしカテゴリー分けなどの編集作業が必要です。また基本的なページも改編する予定です。時間がないので前ホームページそのままの移植も多いのですが、さすがに古くて陳腐!これは少しずつ改編していきます。  通常記事はもう少し待って!

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 病院同行の合間にHP製作会社と断片的に作業を進めています。この機にコンテンツの改定・編集を進めています。けっこう膨大な量です。少し作業時間をいただきます。したがって今日・明日と業務日誌は有用な記事がUPできません。もちろん新しいHPになっても毎日更新は死守します。

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 ある日追突事故に遭い、ひどいむち打ちとなりました。リハビリを続けていますが、痛みは徐々に治まってきたもの、首から肩にかけて重だるさが抜けず、時折、指先までしびれが走ります。めまいや頭痛もあり、夜も寝られないことがあります。

 病院ではレントゲンで「骨に異常はないです」と言われたっきり、痛みどめの薬と湿布しかもらえません。「捻挫だからね」と医師も関心ないようです。そしてこのまま3か月が経ちます。加害者からは何の謝罪もなく、加害者の保険会社からは「そろそろ治療を終わりにしてくれませんか」と毎週のように電話がかかってくるようになりました。言葉もだんだん冷たくなってきて、まるで詐病者、保険金サギのような扱いです。仕事も手につかず、休みがちなせいか職場の空気も気まずく、家庭でもうんざりされて・・・。  

 こんな環境では治りません。  

 むち打ちの多くは捻挫の類であり、通常、腫れがひけば治るものです。しかしそれを契機に頚部神経症状を起こす方がいます。こうなると半年から数年、手指のしびれを代表とした不調が続くことになります。では治るまで相手の保険会社が治療費を払ってくれるのか? 答えは「否」です。

 打撲や捻挫で通院期間が半年も数年もかかるのは医学的な常識から外れます。であれば、頚部に神経症状が起きたことをなるべく早々に立証し、受傷から6か月程度までしっかり整形外科でリハビリを続けることです。そして保険会社に急かされるまでもなく、症状固定し、後遺障害14級9号の認定を受けます。

 14級の認定を受ければ、主婦でもその後の交渉で賠償金が300万円程度に膨らみます。治療費の支払延長で保険会社とやり合いうより、まとまった一時金を手にして、後は健康保険で整骨院でも鍼灸院でも、温泉や整体や祈祷でも好きな治療を続ければいいのです。治療費を相手に出させている事はつまり、治療内容が限定され、常に「治療費打ち切り」される立場なのです。

 むち打ちで症状が長引く被害者の中で、経験上もっとも症状が軽快したのは、このように半年~9か月目で解決させてハワイ旅行に行った方です。

 温暖でさわやかな常夏の気候、青い海、フレッシュなシーフード、事故の苦痛を忘れさせてくれます。すると人間の体に内包する自己治癒作用が活発になり、症状がどんどん改善されていきます。真面目に半年リハビリしてても良くならなかった痛み、しびれが嘘のように軽減してきます。そしてなにより事故から派生する対病院、対加害者、対保険会社、その他諸々のストレスから解放させてくれるのが賠償金とハワイなのです。「病は気から」と言うわけではありませんが、疼痛や神経症状は受傷した部位ではなく、脳が深く関与しているとの学説もあります。

 「ハワイに行けば治る!」、立場上、不謹慎な物言いですが、むち打ち相談が多かった昨日、一昨日の相談会でも思わず口にしてしまいました。(「ハワイに行けば治る」と真面目にメモしていた新人弁護士先生(笑)、これはメモしなくていいよ) しかしケガの苦痛、事故のストレスを抱えて相談にいらした被害者さんは先行きが見えない闇の中です。対して「しっかりリハビリをして、早く解決させて、そしてハワイ」と目標を持たせることにより、目の前がぱっと開けるのです。目標はハワイとは限りません。趣味やレジャーなどできるだけ良いイメージを示すことです。何事も目標のない、行き先の見えない戦いを続ける事は辛すぎるのです。

 医者でもない私たちが出来る事、それは相手から保険金や賠償金を取ることに他なりません。しかしそれは被害者に対して解決の道筋を示し、目標をたてて差し上げることになり、ネガティブな感情を前向きにさせる事につながります。相談会はそのようなケアができる場でもあると思います。  

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 検査結果は芳しいものではありませんでした。  

 膝に重度の障害を負いながら、12級13号の判断に留まっている被害者です。傷病名はプラトー骨折と前十字靭帯、半月板の損傷です。膝の複合損傷ではお決まりのコースと言えます。特に脛骨の骨融合に転位があると判断しています。これが諸症状の原因とにらんでいますが、12級7号の基準以下の可動域制限のみが記載された診断書で12級13号が認定されているのみです。

 可動域制限ではなく、動揺性を主張すべくストレスXP撮影と装具の使用状況を追補した診断書で異議申立てを行いました。結果として12級7号としました。等級は上がりませんでしたが13号と7号では大違い、逸失利益の大幅な増額を主張しやすくなりました。後の賠償交渉を考慮し、号違いの異議申立ても稀に行うことがあるのです。

 しかし間違った障害系統を正すことには成功しましたが、全体的な症状を鑑みるに12級では軽すぎると思っています。神経症状ではなく、可動域制限的ではなく、動揺性だけではなく・・・残るは短縮障害か。前日の日誌にあるように下肢帳の正確な計測に最後の望みを託しました。しかし1㎝の差は計測できず・・・。

 自賠責保険や労災はある一定の数値の基準をもって判断します。何㎝以上か以下か?数字によって有利な等級となるか不利な等級となるか運命が決まります。本件は可動域制限も動揺性も下肢長差もすべて中途半端な数値なのです。こように計測値が及ばないが故、該当する等級に納得がいかないことも多々起きるのです。あとは日常生活の困窮と装具の使用状況から賠償交渉にて決着をつけることになります。数値・基準に満たない個別具体的な事情は裁判等で争うしかないのです。それでも事前に自賠責保険の等級認定で立証するに越したことはありません。

 主治医にも親身にご協力をいただきながら残念です。全力を尽くしましたが、あとは弁護士に引き継くことになります。

 東海道は富士山が綺麗でした。

 

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 大腿骨、脛骨の骨折で癒合後に骨が短くなった場合、または半月板損傷で半月板の切除術を行った場合、いずれも重度の障害を残すことは明白です。骨癒合が良好であれば14級、癒合不良や変形、転位で膝の可動域制限が4分の3、もしくは装具の重労働時の使用では12級7号となります。骨・半月板の明確な変形・転位があり、可動域が半分、または装具の常時使用が必要であれば10級以上の障害が濃厚です。

 いずれも12級以上となった場合、可動域制限や装具の使用状況で12~10級を確保するとして、注意すべきは加えて下肢長の左右差を計測し、診断書に落とし込むことです。仮に1cmの短縮があった場合13級が、3cmの短縮であれば10級が加算されて、結果としてそれぞれ等級が一つ併合で上がります。5cm以上の左右差であればそれは外見上もはっきりわかる大変な障害(8級5号)で、装具もオーダーメイドされた特殊な物になります。これですと短縮障害がメインの障害といえます。

 今年年初からから下肢長の計測が2件続きました。今日は計測法を復習します。  

短縮障害の計測法

(1)CR画像ソフトにて計測

 現在、XP(レントゲン)撮影の際、フィルムに写しだす方法の他、パソコンにデータで取り込むことが主流になりつつあります。それをCR(computed radiography)と呼びます。フィルムの代わりにイメージングプレートを用い、X線の情報をここに記憶させ、これをスキャンしてコンピューター処理により画像を得る装置です。簡単な例えで言いますと、XP(カメラ)⇒CR(デジカメ)です。持ち運びにかさばるフィルムと違い、CD等に落とし込むため取扱いも便利です。

 CRは下肢長の計測についても便利で、CR画像を観るソフトに長さを測る機能が入っています。左の図、脚の上に縦に白い線が入っています。これは画面上でも正確に長さを測ることができる定規です。

 多くの画像ソフトに入っている機能なので、短縮障害が予想される方にはなんとなくこの画像上の定規をあてる癖がつきました。  

(2)ロールフィルムにて計測

 ミラーカメラを使用することにより、人体に照射したX線を蛍光板で受けて画像化する際に使用されるフィルムです。レントゲンのパノラマ写真と思っていただいてよいでしょう。

 長いレントゲンフィルムに巻尺をあてて測ります。等尺大の写真からの計測なのでこれも正確です。審査上、正式な計測方法とされています。  

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 珍しい温泉銭湯です。正確に言えば地下から汲み上げた鉱泉の沸かし湯です。泉質は塩化物泉、よく温まります。

 この銭湯は湯船が3区分されていて、向かって右から温泉、白湯(ジャグジー)、真水です。それ以外は洗い場のみ、壁絵もありません。そして湯船は深めなので、座ると顔がもぐってしまいます。したがって湯船につかまり、しゃがみ込むように浸かります。  塩化物泉でなおかつ湯に含まれる成分がほどよく体液に近いと、浸透圧の関係から体に染み込むのかよく温まり、湯冷めしにくいのです。ここの湯はまさに温まりの湯です。あっという間に汗が噴き出してきます。なるほどそれで真水槽と交互に入るのか・・サウナの効果も望めそうです。

 平日なので程よい人数、先客2人が湯に浸かっていました。手早く体を洗い、2人の横に並んで湯船に滑り込みました。しかしよく温まる・・・あっという間に指先までジンジンしてきます。しかし先に入った横の二人はなかなか湯を出ません。正面から見ると3人とも湯船のへりに両手でつかまり、顔だけだして並んだ状態です。ここで熱い湯が大好きな江戸っ子根性がもたげてきます。後から入って先に出るのはちょっと悔しい。2人が出るまで粘り続けました。5分ほど経ったでしょうか、こんなところで何を張り合っているのか、と自問が生じてきました。限界ではないですが真水槽にチェンジしようと立ち上がりました、すると横の2人もぴったりのタイミングで3人共揃ってザーッと立ち上がりました。しかも二人は見事な総刺青!

 内心「うっ、なんでこんな時に呼吸がぴったり合うんだよ!」、まるでドラマなどで観る「塀の中での入浴シーン」です。何故かこの後も真水に浸かる時間、洗い場で体を洗う時間、妙にシンクロし続けました。

その後、何人か入浴客が入ってきました。もちろん皆、地元の顔見知りなので、和気藹々と世間話が続きます。完全にアウェイ状態でしたが、地元民の会話に耳を傾けるのも旅情の一つです。小一時間の入浴を終え、小雪がちらつく道を急ぎ足でホテルへ。なんとかぽかぽかが持続、やはり冷めなかった。これなら冷たいビールもいけそうだ。

 壁絵はなくともボディペインティングが鮮やかな今回の立ち寄り湯でした。

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20140121083658 札幌出張です。この時期、吹雪で飛行機の欠航があります。空港の手荷物チェックで毎度恒例となったゴニオメーター(関節可動域測定具)の説明を終え、飛行機に搭乗し2時間弱、おりよく晴天の千歳空港に着陸しました。

千歳空港から札幌までの車窓では時折なだらかな山野と平原が開けます。松山 千春さんの声、さだ まさしさんのハミングが流れてきそうです。

今回は主治医と症状固定時期と装具の打ち合わせ、理学療法士の先生には足関節計測の依頼でした。症状固定日は被害者にとって一つの節目です。当然ながら医学的判断を第一としますが、被害者の仕事復帰の目途を睨み、総合的な判断が必要です。患者本人の意思はもちろん、医師の診断内容、そして治療費や休業損害を払っている保険会社の立場も影響します。複数の思惑を整理する必要があるのです。そして必要な検査を漏れなく実施しなければなりません・・。すべてを被害者一人で調整していくのは酷なのです。

出張の目的を果たし病院を後にしました。雪道をキシキシ踏みしめてホテルまで街歩きを楽しみます。札幌の人は皆、歩き足が速い!確かに立ち止まると拷問のような寒さが襲います。病院で「今日は5度まで上がる」と聞いていました。5度とはいってもそれは-5°です。こちらではマイナスなどといちいち言わないのですね。この日の最低気温-11°、日中は-5°まで上昇したとはいえ、顔が痛いレベルです。そしてさっきまでの晴天はあっと言う間に吹雪に。本州の雪と違いサラサラのパウダースノウ、頭や肩の積雪も払いのけるだけで体は濡れません。しかし雪にはしゃぐ柴犬のような余裕はもはやありません。足早にホテルに逃げ込み、明日まで部屋に缶詰、事務仕事で過ごすことに。

20140121183643 忌々しく窓の外を見ていました。やはり恒例の出張立寄り湯を断念しきれません。この時期は不安定な天候を考慮して札幌市内を外れる計画はとれませんが、幸い札幌は市内に銭湯が点在しています。何としてでも湯につかりたい、ユニットバスは御免です。容赦ない吹雪の中、てくてく銭湯を目指しました。雪は勢いを増し、視界のせいか道に迷ったようで、なかなか銭湯に着きません。日も暮れ、全身雪まみれで一人「八甲田山」状態。外出を後悔しかけたとき、ぼんやりと煙突と暖簾が現れました。

「凍えた両手にぃ息を吹きかけてぇ~、しばれた体を温ぁめてぇ~♪」

後は湯へドボンです。             つづく

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土曜日は月例の有楽町相談会です。今回は年初で少な目でしょうか、16名の参加となりました。半数はむち打ち・腰椎捻挫でしたが、大腿骨骨頭骨折による人工関節置換術、TFCC損傷、膝蓋骨解放骨折、半月板損傷などの相談もありました。

例によって所感をいくつか。

1、異議共同不法行為と加重障害

不幸にして連続して事故受傷する方も少なくありません。受傷部位が同じ場合、重要なのは1回目の事故と2回目の事故の日付です。これを連続して痛めたケガを連綿して生じた障害と判断し、異議共同不法行為として進めていく方針とする。また1回目の治療が終わり、即座に2回目の事故となれば異議共同不法行為としてではなく、1回目で14級、2回目で加重障害の12級を目指すかの選択になります。ほとんどのケースは14級レベルの障害の連続に留まりますので、加重障害の認定を目指して進めることは稀です。

問題意識を持っている事・・・1回目は頚椎捻挫で14級、2回目も腰椎捻挫で14級の場合、別部位であっても2回目もまず普通に「非該当」となります。別部位にいくら14級が追加されても、1回の事故で両方受傷すれば併合の計算となります。しかしそれぞれの別事故であれば加重の考え方となるはずです。しかし調査事務所の非該当理由で「加重」が語られることはありません。「別部位なら新たな障害が「加重」ではなく、「加算」されたと判断できないか?」、つまりもう一回14級(とその保険金)をくれてもいいのではないか・・・このような突っ込みを受けるべき制度上の矛盾を承知しているようなのです。したがって「加重」を理由とした回答は避けて、普通に「他覚的所見が乏しく・・・」との回答がきます。解せない回答ですが、調査事務所の判断の限界かと思っています。

2、行政書士の仕事は限定的

すでに行政書士に等級認定を任せた後の相談者がいらっしゃいました。自転車同士の接触事故ですが、この事故の最大の論点は過失割合です。双方の言い分が食い違っています。目撃証言に乏しく、このままで50:50の解決で収めるしかないような段階となっています。状況証拠、受傷様態から交通事故の科学鑑定が必要です。後遺障害の立証自体は明確な人工関節置換術が施されいるため、非常に簡単です。この事件の立証のポイントは珍しく後遺障害ではないのです。

ここで行政書士だけではなく、元保険調査員、そして弁護士が連携して相談を受け持つ、私たちの相談会が最適となります。本件はまず画像鑑定を進めることにしました。そして正式に受任すれば科学鑑定と弁護士の交渉がスタートします。

本件のように行政書士の活躍できる場面は特に限定的です。本件以外でも多くの場合、事故解決に行政書士で完結する場面は少ないはずです。等級認定後、依頼者の強い希望であれば別ですが、交渉は弁護士に任せることが基本と思います。しかし案件を放さず、書類交渉や紛争センターへの誘導をして報酬を得ている行政書士がまだ多いのが事実です。すべてが不適切とは言えませんが弁護士会から厳しい監視を受けています。

またそのまま何ら解決の道筋をつけず、等級認定をもって仕事を了してしまうのも被害者にとって寂しいものです。もっと士業間の闊達な連携体制が一般的にならないもでしょうか。連携には弁護士服務基本規程12条で非弁提携の疑いが生じやすく、連携のやり取りに細心の注意が必要なのです。

(詳しくは⇒ 関連法について 3-~研修プログラムから )

私というより、業界全体の憂慮と思います。

 行政書士ADRでは自転車事故の相談が一番多いそうです。

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 暮れから年明けにかけておよそ一日一件程度、メールや電話にて相談を頂いています。昨年から増加傾向である、セカンドオピニオン的な相談がさらに増えているように感じます。セカンドオピニオン的な相談とは、すでに弁護士や行政書士に契約をしている方を指しています。契約している先生ではダメなのかな?どうなっちゃっているのでしょう・・

 もちろん何軒かの法律家、業者、公的窓口に相談をし、よりよい解決を吟味することには賛成です。しかし既に他に委任契約している方については問題含みです。現在の弁護士や行政書士に100%の信頼がない、もしくは疑問が解決しないから他にも聞いてみよう、となったのでしょう。当然、既契約先と違う回答もする事もあります。気を付けなければ「契約の切替えを勧めている」、「既存契約先への誹謗中傷」と誤解される懸念があります。当方も留意して対応しなければなりません。  それにしてもセカンドオピニオン、多すぎるのですよ・・・。

 そのような相談者の多くは、十分な情報もないまま知人の紹介や保険会社から紹介された事務所をよく検討せずに選んでいます。または宣伝を鵜呑み、もしくは過度な期待を持ちすぎて契約してしまったようです。交通事故の解決を他者にゆだねる事、それはスマートフォンを選ぶような安易な買い物ではないはずです。重篤な障害で賠償金が高額となる場合は厳格な判断力が求められます。  したがって紹介や広告だけで任せてしまうのは危険なのです。やはり複数の事務所、委任するであろう先生に会って、自分の目で見極める慎重さが必要です。HPをみますと、誰も彼も「交通事故の専門家」「後遺障害はお任せください」と謳っています。そのすべてが本物なわけがありません。やはり会って、質問をぶつけて解決方針を聞いてみなければ、本物か偽物か、そして信頼できるか、自分に合っているかがわからないはずです。私達が無料相談会を強く勧めるのはこのような背景があるからです。

 被害者の皆さん、安直に契約せず、是非とも当方の実力を測りに相談会に参加して下さい。セカンドオピニオンからのスタートは気を使うのですよ!

 

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 昨日は自賠責保険の請求形態を復習しました。いずれも請求者本人で手続をすることになりますが代理人による手続も可能です。つまり法的な代理権をもつ弁護士に代行してもらうことが可能です。ちなみに行政書士の代理請求も認められています(「行政書士はできない」という学説、見解もあり)。あまりケースはありませんが①保険会社の一括払い後の求償も理論的には弁護士等に委任ができます。

 さて、問題提起です。一昨日の話では委任請求は報酬の「取りっぱぐれ」を防ぐ手段であることを解説しました。もちろんこれは本音であって、建て前上は「プロによる委任請求なので安心です!」ということになります。もちろん委任された法律家の名前で保険金を受け取ることは代理権を持つ以上、不自然ではありません。が、しかし・・・請求を受けた自賠責にとっては受け取り方が違います。そもそも人身事故では請求の80%以上が①の保険会社による一括払い後の求償であって、当事者もしくはその代理人による請求は圧倒的に少なく、とても目立つのです。例えば被害者請求とした理由は「加害者側に任意保険がない」、もしくは「被害者に責任が大きい事故」である理由から加害者側保険会社の一括払いとならなったケースしかない・・・と自賠責側は思っています。したがって不自然な被害者請求は厳しくチェックされています。それが代理人によるものであれば尚更です。

 私は委任請求をまったくやならいわけではありませんが、原則しません。なぜなら後遺障害の立証を仕事をしている以上、このような自賠責側のチェックを避けたいと思っています。もちろん不正に障害を誇張したり、法的、道徳的に問題のあるような申請は絶対にしていません。しかし自賠責調査事務所は常に詐病者(うそのケガ)など不正請求や大袈裟な被害者の訴えに騙されないよう、厳しく審査しているのです。後遺障害等級を獲ってあげたい業者(からの申請)は調査事務所にとってまったく逆の立場、ある意味「敵」なのです。であれば、業者はなるべく目立たないようにする方が恣意的な審査を避けられると考えています。特に全申請の60%を超える「むち打ち」による14級は、被害者が「痛い」と言っているだけで、他覚的な症状が乏しいケースが圧倒的です。この場合、審査側は「症状の一貫性」「治療過程」等からしか判断できず、最終的には被害者の訴えている「痛い、しびれる」を”信じるか否か”で決定します。だからこそ業者による委任請求という緊張を与えず、フラットに審査していただきたいのです。  しかし被害者側に弁護士が早期に介入した事故であれば、弁護士が委任請求することはむしろ自然なので、余計な予断は与えないと思います。やはり問題なのは行政書士やその他の業者でしょう。

 昨年からむち打ちの認定は厳格化の傾向と聞きます。理由は単に業者による(認定に満たない)請求数が増えた結果かもしれません。それでも私のむち打ち認定は80%以上を確保しています。その全件、行政書士名による委任請求ではありません。委任請求を行い、私の名前を出すことで認定率が上がればそうしますが、保険会社のいらぬ予断を与える弁護士以外の委任請求は、特別な理由がなければ抑制すべきです。少なくとも保険会社出身の私はそう思っています。

 着手金無料を掲げる業者はほぼ全件、委任請求をしているはずです。しかし委任請求すべきか否かについて、案件ごとに判断する慎重さが必要かと思います。後遺障害審査で被害者の運命はほぼ決まります。決して神経質なことではないと思います。

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 昨日の話、自賠責保険の委任請求について続けたいのですが、先に請求方法について復習しましょう。

 自賠責保険の請求とは・・・自賠責保険の請求には分類すると4形態あります。申請数の多い順から説明します。教科書的な解説にならないよう、経験にもとづいた※の補足を加えています。

① 任意保険会社による一括払い後の求償

 現在およそ80%の自動車に任意保険が付保されています。多くの場合、交通事故の人身事故であれば加害者が加入している保険会社が治療費や慰謝料の話し合いや交渉を担当します。そして、示談の末、賠償金を支払うことになります。事故の解決後、あるいは途中、この任意保険会社は被害者に支払った分について、自賠責保険にこの金額を請求・回収します。入院・通院分の傷害支払限度は120万、後遺障害は4000万まで回収できます。一括払いはある意味、任意保険会社の立替え払いです。  数回通院した程度のケガであれば任意保険会社は自賠からほぼ100%回収可能です。超えた分が任意保険会社の負担分となります。

※ 被害者に相手保険の契約があるにも関わらず、自分の自動車保険の人身傷害特約から自らの治療費や慰謝料を受け取るケースもあります。多くは事故の責任が自分にあるケースでしょうか。これも同様に人身傷害特約を支払った任意保険会社が相手の自賠責保険に求償を行います。私は勝手に「16条的一括払い」と理解しています。(本文を読み進めればわかります)

② 被害者がみずから相手の自賠責保険に請求(16条請求)

 これは被害者が加害者もしくは加害者の任意保険会社に対してではなく、直接、自賠責保険に保険金の請求を行います。通常、①の一括払いのように任意保険会社が立替え払いとしてくれるので、わざわざ被害者が手続きをする必要がないとも言えます。しかし例えば相手に任意保険がない場合、また被害者の過失が大きい、責任関係がもめていて埒が明かない、そのような理由から相手の保険会社が対応してくれない場合などの場面には必要な救済方法です。

※ この被害者請求は後遺障害が残った事故の場合に私たちが推奨するやり方です。流れは通院期間の治療費や休業補償などは①の一括払いで任意保険会社にお世話になるとして、後遺障害の審査から②の被害者請求に切り替えます。これで相手保険会社と示談せずとも、後遺障害保険金の先取りが可能です。何より保険金をあまり払いたくない、利害が相反する相手の任意保険会社の手を借りずに自ら審査書類の精査・提出ができます。

③ 加害者が被害者に支払った分を請求(15条請求)

 限定的な方法ですが、典型的なケースで説明します。加害者が任意保険に未加入で被害者のケガについて治療費や慰謝料を自らのお財布から支払ったとします。その金額について自身の自動車についている自賠責保険に請求します。条件は実際に被害者や病院に支払った領収書があることです。特に慰謝料の回収は示談が完了している、つまり示談書の提出が必要です。慰謝料の金額は、あくまで自賠責基準以下を限度に加害者が支払った金額です。

※ 立替え分の回収と言えますので①の一括払いと同じことになります。任意保険会社の自賠責への回収は15条請求となります。  ちなみに③のケースについて私は保険代理店時代の20年で2度しか経験していません。いずれも加害者に任意保険がなく、加害者と被害者と間に入ってこの加害者請求にて解決させました。両件とも1ヵ月通院ほどの軽傷で治療費・休業損害・慰謝料の合計が120万円以下だったので、この加害者が先にお財布から払うことが可能でした。逆を言いますと大きい金額なら加害者の支払い能力が及ばず、結局多くの場合、被害者が②の被害者請求をすることになってしまいます。つまり加害者の経済的な理由(お金がない)、もしくは任意保険に入らない主義(このような人が素直に責任を認めるか?)、うっかり任意保険を切らした(だらしない)・・・このような加害者が誠意をもって自分のお財布から速やかに支払うことなど極めて稀なのです。

④ 仮渡金請求(17条請求)

 被害者が相手から治療費等支払いを受けられない場合、例えば相手に任意保険がない、被害者の責任が大きく相手の保険会社が一括払いをしてくれない等で、急ぎお金が必要なときに以下の表のとおり治療中でも一時金が請求できます。特徴は表の症状となる診断書さえあれば、領収証等がなくても支払われることです。言わば「予想払い」ですね。もちろんこの保険金は治療後の本請求で最終的な保険金から差し引かれます。

症状

金額

死亡

死亡された場合

290万円

重症1

脊椎の骨折で脊髄を損傷したと認められる症状を有するもの

左のいずれか

40万円

上腕または前腕の骨折で合併症を有するもの 大腿または下腿の骨折 内臓の破裂で腹膜炎を併発したもの 14日以上病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの

重症2

脊柱の骨折

左のいずれか

20万円

上腕または前腕の骨折 内臓の破裂 病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの 14日以上病院に入院することを要する傷害

軽傷

医師の治療を要する期間が11日以上要する傷害 (上記、死亡・重症を除く)

5万円

  ※ 最新の自賠責保険請求案内から抜粋しました。今までは要件=症状が抽象的でわかり辛かったのでしょうか、改定のたびに具体的な症状の記載が増えています。

  ※ あまり知られていませんが診断書、診療報酬明細書(なくてもOKの場合あり)、治療費の領収書があり、被害者の負担が明らかであれば治療中でも仮渡金請求ではなく本請求(16条請求)が可能です。私の場合、当座のお金が必要な被害者に対し、本請求か仮渡金か、どちらの金額が多いかで選択しています。

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 年に1~2回、雑誌等の取材依頼があります。公共性の高いものはもちろん、テーマが有意義であればできるだけ協力しています。全国紙ともなれば取材費を頂くこともあります。しかし先日の依頼には一言 言わずにはいられません。

 聞いたこともないようなビジネス誌からの依頼です。なんでも東京で活躍する経営者のインタビューを毎号、数十人掲載している雑誌だそうです。そしてインタビュアーは引退した某プロ野球K選手。もうこれでお解りの方もいると思います。これは純粋な取材ではありません。内容もなんだかとってつけたようなテーマで、今回は「起業は人なり」?だそうです。そして取材に対する報酬などはなく、逆にK選手へのギャラを取材される側の私が負担してくれと・・・。普通、取材であれば雑誌社から些少なりとも報酬があるか、公益性のある雑誌であれば無償もあるでしょう。本件は「お金払えば有名人に会わせます。雑誌に載せます。」なのです。100歩譲って宣伝効果があるタイアップ企画でなければ理屈が通りません。今回は即座に「あぁよくあるやつね、お断りします!」と電話を置きました。

 これはつまり、引退したプロ選手や(売れなくなった)芸能人のプロダクションと組んだ、「営業」なのです。雑誌掲載のお題目と有名人をエサにお金を集める商法です。この雑誌社は雑誌を売ることなど主たる目的ではありません。取材されるの側の経営者達からお金を取って、有名人に会わせる=有名人の小遣い稼ぎの段取りをしているに過ぎません。おそらくそこからバックマージンもせしめているのでしょう。だから「雑誌の取材・掲載」などはまやかしです。それでも有名人や宣伝効果(こんなとってつけたような出版物ではほとんどないはずですが・・)に釣られて引っかかる人もいるのでしょう。

 このように人が食いつきそうなお題目を見せかけ、実は違う狙いで稼ぐこと・・・私は「すり替え商法」と名付けたいです。

 世の中「すり替え」が蔓延しています。翻って私たちの業界は士業です。より倫理観が求められる世界です。しかし、どうかなぁ?という表現も蔓延しています。

 例えば 「着手金無料」

 いかにも被害者救済的な言葉を並べていますが、「費用は結果がでてからでOK」、しかし「報酬は経済的利益の10%+20万円」となっています。ん?20万円ってこれ着手金相当額じゃないの?つまり「着手金無料」ではなく「着手金後払い」が正しい表現のはずです。

 着手金の設定についてはどうも胡散臭さを感じてしまいます。私は原則着手金を頂いています。なぜなら病院同行など、実動する際に交通費や日当がかかります。着手金無料はこれを立替えている状態です。もし途中で事情により解約した場合や、結果が伴わない場合でも結局後で請求することになります。したがって先にもらうべきなのです。それだけ実動業務に自信と誇りを持っています。無料や立替えなど不健全に感じているのです。それに依頼者側にも出費が伴う、ある意味、相当の覚悟をもって委任していただきたいのです。それでも「着手金無料」が多いのは、商売上の競争からの理由と思います。どの事務所も思案のしどころですね。

 しかし内幕をばらせば、着手金無料のところはほぼすべて自賠責保険に委任請求を行っています。これは保険に請求する際、認定された保険金を依頼者の口座に入れず、まず行政書士・弁護士の口座に入金させてしまうことです。そこから交通費や報酬を差っ引いて依頼者に送金しますので、決して取りっぱぐれがないのです。事務所にとって着手金無料でも後で確実に回収できるのです。報酬全体をよく見れば特別な値引きとなっていないことがわかるはずです。とにかく商売上「無料」でまず契約を確保すべし!なのです。だからこそこれも「被害者に優しい」などの言葉がつくと胡散臭くなるのです。依頼者の為などと言う言葉に「すり替え」を感じてしまうのです。

 もちろん経済的事情で着手金が苦しい方もいるでしょう。しかし私の場合、傷害保険や共済、とくに搭乗者傷害の請求を先行させ、軍資金を確保することによって少しでも着手金をお預かりするようにしています。このようなプレゼン?から私の仕事に価値を感じた方は着手金を渋ることはありません。    いずれにせよ着手金無料は難しいテーマです。掲げるにしても誠実な看板としたいものです。

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 昨日に続き先天性の体幹(骨)の等級表といきたいところですが、見ての通り体幹とは限定されていません。病気による障害も含むため、症状のカテゴリーが広範囲になるからです。また交通事故の自賠責、労災には先天性(生まれつき)という概念がないため、単純な比較は困難です。まったく別の等級表と思って下さい。?

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 上肢、下肢については割と労災・自賠責と同視できましたが、体幹(骨)からは独特のカテゴリーとなります。

 そもそも障害者手帳はケガのみならず病気のケースも含みます。また生まれつきである先天性、元気な人があるときケガや病気で障害を負うこともあります。交通事故は当然ながら「あるときに起きたケガ」なのでその程度・評価は限定的です。上肢・下肢では先天性と後天性の障害にそれほど差がないのでしょうか、同じ表となっています。しかし体幹では障害判定を分ける必要があるようで、障害等級は「あるとき」に負った後天性の障害と、「生まれつきの脳障害」である先天性の障害に区分されています。

 最初に体幹の定義ですが、一般に脊椎と胸骨、肋骨、肩甲骨、骨盤骨を指します。障害はそれぞれ骨折だけではなく、病気による変形(奇形)とそれに付随する運動障害(可動域制限)、荷重障害が該当します。

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