今日は珍しく一日事務仕事で事務所に缶詰め。外に出ないつもりでしたが、夜に損保ジャパン以来の代理店の同期が来所しました。現在、この代理店さんに私の保険部門を任せています。  お互い同期入社で共にバブル崩壊~金融ビックバンの時代に保険営業をしてきました。この20年は日本の保険業界の一大転換期であったと思います。

 アメリカは80年代初頭に金融再編を済ませ、保険会社はアンダーライティング(保険の引き受け判断)のみを業務とし、スリム化に成功しています。日本の保険会社はそこまで割り切れませんが、ご存じのように合併を繰り返し、経営の合理化推進中です。同じような歴史をたどりつつも、日米の大きな違いは代理店のあり方です。

 アメリカでは個人経営の代理店はほとんど存在せず、一企業の体制でブローカー業の形態をとっています。また特定の会社の専属は稀で、複数の保険会社を対象に「保険をいくらで引き受け、いくらで保険会社に売る」、この利鞘で営業しています。一方、日本の代理店は保険会社の専属、もしくは乗合(いくつかの会社と取引)として保険会社傘下に連なっています。そして保険会社の決めた料率が絶対で、代理店はそれに従うしかありません。アメリカのブローカーのように対等ではなく、保険会社に従属している状態と言えます。もちろんそれが日本型経営として、保険会社と代理店の親密度が高いことが、高度経済成長期では効率の良い関係であったと思います。しかし代理店手数料の自由化(実質、大幅な引き下げ)後、保険会社と代理店の関係に弱肉強食の論理が加わりました。売上の少ない代理店は手数料を下げる、他社の保険を扱えば手数料を下げる、会社の言うことを聞かない代理店も手数料を下げる、そしてついてこれない中小代理店は他代理店と合併や廃業へと追いやられます。会社の生き残りのためには切り捨て御免なのです。結果として日本の代理店のとくに家業・個人事業主としての命脈は尽きようとしています。大型法人代理店も生き残りの合従連衡(小型代理店の吸収、合併)が続いていますが、規模が大きくなっても事務負担・人件費の増大で純益が上がりません。自動車も減る、人間も減る・・・当然、全体の保険の売上げは下降線の時代なのです。代理店は保険会社の決めた手数料に対し、アメリカのように交渉する手段を持たず、経営体力を維持するに汲々としています。つまり、日本の代理店はアメリカのようにブローカーに成長しえなかったので苦しんでいると言えます。

 これは保険会社と代理店に限定した話ではないと思います。長びく不況、急激な少子高齢化で、右肩上がりの経済構造はもはや望めません。そして企業を潰さないため、労働者派遣法の改正等で益々個人より企業の保護が進んでいます。国道沿いに大型商業施設ができて街の商店街が消えていくように、産業構造の変化がどの業種でも進んでいるのです。

 そのような歴史をかみしめながら築地のお寿司屋さんで2時間。そしてかつての共通の上司や同期の仲間たちの話題が続きます。変わっていく世の中と変わらない人間達・・・お互い、いつの間にか歳を重ねました。

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 本日のニュースはSK氏の記者会見一色でしたね。やはり聴覚障害に触れないわけにはいかないでしょう。

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       さて、本件で問題となっているのは身体障害者手帳の等級です。

 自賠・労災よりはシンプルです。そして全ろう、それに近い重篤な難聴しか認定等級がありません。手続きですが、医師の診断書とオージオメーター(聴力検査)の検査表を市役所に提出すれば該当の等級が認定されます。問題はオージオメーターは本人の意思で嘘の検査値を出すことが可能な事です。これについては耳鼻科の医師によると、経験にもとづいて嘘を見抜くことはできると言っています。

 等級は以下の通り、平衡機能の障害と一緒の表になっています。  

等級

聴覚障害

平衡機能障害

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 高次機能障害の立証が私のライフワークと思っています。しかし障害の立証は被害者とその家族にとって中間地点です。

 まず第一に治療・リハビリでどこまで回復させるか、これが最初の目標であることは変わりません。次に損害に見合った補償の確保、これが私や弁護士の仕事です。最後に社会復帰がテーマとなります。障害者と家族、社会との融合の努力が生涯続くからです。  

 さて本件は第一の目標、リハビリテーションによる回復を目指す段階です。事故後、比較的早くご相談にいらした被害者さんで、手術後の経過もよく、今後は転院して機能回復を図ります。そこで問題となるのは最も適した設備、条件をもった病院の選定と受け入れの可否です。今回は2つのリハビリ病院に同行、病院の医師はもちろん、ケースワーカー、相談員の方と詳細にわたって家族と打ち合わせを行いました。そして2病院とも院内を見学させていただきました。病院選びが被害者本人の回復にとって重要であることは当然ですが、面会や一時帰宅に直結するご家族の事情や退院後の通院など、諸条件を検討しなければなりません。

 幸いもっとも自宅に近く、好条件の病院に決まりまそうです。次の段階である障害の立証まで、しばらくの間は諸手続き、書類のお手伝いでフォローしていくことになります。

 病院の選定、受け入れについてお悩みの被害者さんとご家族の皆様、場合によってはお役にたてるかもしれません。早めのご相談をお待ちしています。  

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 2日目はむち打ち以外で多い交通事故外傷について、前日マスターした画像ソフトを使い、それぞれ病変部の抽出を進めます。

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 取り上げた傷病名は以下の通り   (2)右肩鎖関節脱臼骨折

(3)右股関節脱臼骨折

(4)右脛骨近位端骨折

(5)右足関節内・外果粉砕骨折  

 午後の1時間は毎回の研修で恒例となった放射線科医師による画像解説です。

P302126811続きを読む »

 1日目午前はむち打ち被害者の3通りの対応(非該当、14級、12級)を実践しました。

 さてむち打ち最難関の12級を獲得するために必要なことは何でしょう?まず12級の絶対要件は「画像上明らかな所見です」。医師や自賠責調査事務所がどのようにそれを確認しているのかを学びます。この画像読影は弁護士先生が苦手とする分野です。午後は画像所見の確認方法、画像ソフトの使用方法を徹底的にマスターします。

 「12級は難しいからねぇ・・」 曖昧な対応は今日から捨てて頂きます!  

(2)MRIの画像所見を確保する

   まず画像分析ソフトを使って12級が見込まれる被害者の画像を表示。そして神経圧迫所見を弁護士先生自ら探していただき、的確に指摘できるようにします。この一連の作業、画像ソフトの操作ができるまで特訓です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA矢状断、水平断を並べて表示します    12級の条件はこの画像所見に加え、その病変部から生じる、しびれ・痛み等の自覚症状の訴え、さらに病変部と矛盾しない神経学的所見(スパーリングテスト、腱反射、筋萎縮 等)を後遺障害診断書に落とし込むことです。

 最後に弁護士先生自ら理想的な12級の後遺障害診断書を書いていただきました。ここまでやればむち打ちの全容を掴んだと言っても過言ではありません。

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 3/1~2の土日で第4回 法律家のための交通事故 実務講座」が東京大手町で開催されました。  今回は実戦力がテーマです。私も今回は講師を受け持つことなく、オブザーバーとして参加、とくにロールプレイングを一緒に実践しました。 研修内容について報告します。

 

外傷性頚部症候群

  (1) ロールプレイイング「相談者の後遺障害は非該当?何級?」  

 今までの座学研修と違い、参加した弁護士先生にロールプレイングに参加いただき、交通事故外傷の最大勢力である「むち打ち」被害者の相談に対応します。目的は相談に訪れた被害者の症状を観察し、診断書、画像から「非該当」、「14級9号」、「12級13号」をそれぞれ予断し、適切な対応をすることです。  従来、多くの事務所は「等級がとれてからまた来て」としてきました。これからはこのような事務所に被害者は戻ってきません。交通事故の専門家を名乗る以上、後遺障害(等級)の予断、そして初期対応ができなければ失格です。なにより真の被害者救済とはなりません。  

① 非該当やむなしの被害者

  チェック ⇒ 治療経過、治療先を確認、神経学的所見・しびれ等の症状の有無、程度から後遺障害申請をせずに解決を目指します。すると多くの場合、問題は以下に絞られます。

アプローチ  ⇒ 治療費の確保、休業損害の請求、物損の解決。これら対保険会社への適切な対応、よどみない交渉への誘導が必要です。  

② 14級9号が見込まれる被害者

  チェック ⇒  神経学的所見の発現あり。そして症状、治療の一貫性、実通院日数を確認。主治医の性格等を聞き込みます。

アプローチ ⇒  MRI検査の実施、治療日数の確保、神経学的所見の記録・記載の確認。確実に14級を抑えます。  

③12級13号を目指すべき被害者

  チェック ⇒ 相当の画像所見の有無。画像と自覚症状に矛盾ない神経学的所見、なにより被害者の症状の深刻度を観察します。   アプローチ ⇒ 自覚症状+神経学的所見の検査+MRI画像の一致を後遺障害診断書に落とし込む。医師の協力が必須となります。  

 この3パターンをマスターすれば、むち打ち被害者に対して「非該当」「14級」「12級」の識別と正しい対応が可能になります。

DSC0000821続きを読む »

 すでに発表しております春の実務研修会が明日から東京で2日間行われます。

 今回は座学研修ではなく、参加される弁護士先生に実際に被害者の対応、画像の読影の実戦をしていただくものです。本日はそれに合わせて、全国のメディカルコーディネーター、スタッフが当事務所に集まって打ち合わせです。ロールプレイングのシミュレーション、膨大な画像の編集等、大変な作業です。初めての試みですが、本研修プログラムは必ず日々の交通事故業務の実力UPになるものと思います。

 したがって今日は有用な記事となりません。また週明けに研修の報告をしたいと思います。

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 今朝は好天の中島公園を見下ろすホテルからスタート! 今回の病院同行の目的は正確なROM測定(関節可動域の測定)です。

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 前回の同行で、主治医のみならずPT(理学療法士)の先生とも打合せ、必要な計測項目について計測表をお渡ししました。単に言葉で伝えるより、必要な計測項目が整理された計測表が重きをなします。必要な計測項目が漏れてしまうと、調査事務所から追加計測の医療照会が入ってしまい、病院やドクターにご迷惑がかかるからです。最悪、評価もれで等級が付かないことがあります。

 かつて腓骨神経麻痺で足関節のみ計測され、足指の計測がなかったため、足指の用廃12級が併合されなかった被害者を2例経験しています。これでは数百万円のもらいそびれです。その2件は膨大な時間をかけて異議申立や裁判をすることになりました。

 本件も膝の靭帯損傷、足関節と足指の神経麻痺が重なった複合損傷です。医師と綿密に打ち合わせし、等級の取りそびれがないよう、丁寧な立証作業が必要です。  

<母趾の関節>

部位

MP 関節主要運動

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 8回にわたって続きましたシリーズも今日で一応の完結です。高次脳機能障害は患者ごとに微妙に症状・程度が違うため、完全な分類は困難です。しかしこのシリーズにて典型的な症状をチェックをすることで、等級申請を視野に入れた障害の全容を逃さず把握することができると思います。

 何か異常があっても回復の期待から家族は過小評価しがちです。そして微妙な症状は医師でさえ見逃します。したがって相談を受ける弁護士は言わば最後の砦です。絶対に見逃さないで下さい!    最後は四肢の「脳性麻痺」について。本記事は出張中の札幌にて作成しています。  

6、麻痺

  ☐ 車イス、杖、装具の使用状況は?

☐ 片側の足や手をよくぶつける。片側の腕や足にキズ・痣が絶ええない

☐ 火傷をする。お風呂に入る際、手や足の左右で感じる温度が違う

☐ 自力で排便・排尿ができない。尿漏れや逆におしっこがでない

   車イスや装具の使用状態から、左右の上肢、下肢の運動麻痺(動かない)をチェックします。さらに細かく肩・肘・手首・指、股関節・膝・足首・足指のどの関節が動かないか、麻痺の程度「完全に動かない~やや動く」、「硬直して動かない、または力が入らない」も把握します。

 また麻痺は触覚の低下、逆に過敏もあります。右腕の触覚が低下したため、よくぶつけ、痣が絶えない被害者がいました。温冷感の低下も困った症状です。熱湯に触ってもすぐ手を引込めないため、常に火傷の危険性があるからです。

 排泄やED障害については本人から言いづらいものです。これは少し時間をおいてから確認すべきでしょう。  

 この機に麻痺を整理しましょう。  

 

麻痺する部位

病変部位

単麻痺

  上下肢のうち一肢だけに麻痺がある場合。 大脳半球とくに皮質 片麻痺

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5、味覚・嗅覚・めまい・ふらつき

  ☐ 味がついているのに大量に醤油をかけて食べる

☐ 事故後、苦手で食べられなかった魚介類が食べられるようになった

☐ 足元にガソリンがこぼれているのに煙草を吸おうとしてライターを点火した

☐ 腐った果物を平気で食べている  

 これらは実際に担当した被害者さんの例です。ガソリンの強烈な臭いがしない、痛んでいる果物の腐臭や腐った味がわからない・・・大変危険な障害と言えます。多くの場合、味覚と臭覚の異常は併発します。

 味覚・臭覚は前頭葉に損傷を受けた場合に失われる感覚です。また頭蓋底骨折から嗅覚、味覚、視覚、聴覚に障害を起こすケースがあります。機械で例えるなら脳そのものの損傷の場合、それらの感覚を認識する「回路の故障」です。神経の損傷の場合は神経の伝達が絶たれる事を原因とします。これは「ケーブルの断線」ですね。    高次脳機能障害でこれらを多数経験しています。五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)が正常か、すべてチェックする必要があります。該当する障害について眼科、耳鼻咽喉科、神経科にて受診し検査をします。回路の故障かケーブルの断線か、原因の特定は脳外科ですが、臭いがしない、味がわからないといった障害の有無、程度の検査はそれぞれの専門科になります。 c_n_2 c_n_4 続きを読む »

 土曜日の大宮相談会後、そのまま新幹線で長野入りする予定でした。しかし早めに終了しましたので、一旦東京に戻り、急ぎの仕事を片付けて夜長野入り、高崎相談会終了後の弁護士チームと合流です。新幹線の往復が続きます。  

 さて今回は高次脳機能障害の相談が4件です。そのうち2件は昨年から相談を受けている方でしたが、再度ご家族の同伴を促し、ご家族で来ていただきました。しかしご本人の回復も良好で、家族へ「高次脳機能障害」のチェック質問をしましたが、なんの障害も見出せません。意識障害や脳に器質的損傷があるのですが、障害を残さないケースもあります。しかし仕事柄、高次脳機能障害を見逃すことは絶対にできません。しつこく綿密に質問が続きます。障害がなかった方が良いのは言うまでもないのですが・・・。

 それでも明らかな障害を残す方が2名(2家族)。これから解決までやるべきこと、問題が山積しています。一緒に一つ一つ進めていくことになります。高次脳機能障害の場合、ご本人一人で解決することは絶対に無理です。立証は家族が主体となります。しかし私たちのようなメディカルコーディネーター、そして弁護士が助力しなければ困難極まると思います。

 今年に入って高次脳機能障害の受任は4件に及びます。まだまだ全国に助けを必要としている被害者さんがいるに違いありません。頑張らねば!

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 高次脳機能障害のチェックリストは明日から再開、残り2つの論点で終了です。

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 本日の病院動向はCRPSの疑いのある被害者です。骨折後、癒合も進むも、半年以上たっても痛みが無くなりません。いえ、さらに増悪しているともいえます。痛みを感じる神経が暴走、一向におさまりません。これは器質的損傷から神経損傷が推定されるのでTypeⅡ(カウザルギー)に類別されます。

 しかし臨床上、医師がそう診断したとしても、自賠責保険、労災、その他障害認定において行政側の判断は厳密な基準をクリアしなければその診断名とはなりません。カウザルギーの場合、他覚的所見として骨萎縮、骨の脱灰現象、皮膚色・温度変化、浮腫などが観察されなければなりません。立証するにはMRIや骨シンチ、サーモグラフィーなどの検査結果も必要です。さらにそれらを総合した専門医の確定診断が必要です。すると多くの方はこれらの条件に及ばなくなります。 pics324    本件も主治医の診断がカウザルギーでも自賠責保険の後遺障害としてはその診断名を維持できないとみています。そもそも自覚症状としてアロデニア(灼熱痛)が絶対的な所見です。これはちょっと触っただけで悲鳴をあげるレベルですが、本件被害者はそれほどの反応ではありません。

 こうして臨床診断と行政判断が食い違い、「私はなんの障害なの?」被害者は混乱してしまうようです。これを私の立場から時間をかけて説明していくことになります。

 医師の診断は絶対ではない?この仕事ではなかなか悩ましい問題です。

 

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 セカンドオピニオンとは主治医の診断や治療方針を聞くだけではなく、他の医師の診断、意見を聞くことです。かなり一般的になってきたと思います。ただしその意義や重要性が広く浸透した一方で、「主治医に失礼」「心証を悪くする」といった不安から、躊躇(ちゅうちょ)する患者が多いもの事実です。また経験上、セカンドオピニオンに寛容、積極的な医師は診断書の記載や後遺障害立証への理解があり、患者おもいで協力的です。逆にセカンドオピニオンでへそを曲げる医師はまったく協力をしてくれません。  

 2月21日発売の週刊朝日MOOK「手術数でわかる いい病院2014」はその辺の事情を特集していました。記事から引用します。  

 医師に遠慮する患者さんの気持ちはわかるし、伝わってもきます。でも、こちらはまったく気にしていないし、それで万一の見落としが防げるならそのほうがいい」 そう言い切るのは日本医科大学武蔵小杉病院脳神経外科講師の太組一朗医師だ。もしセカンドオピニオンで異なる治療方針が提示されたら、患者の意見を尊重しながら治療方針を立てていくという。

20070406  では、患者がセカンドオピニオンを取りたいと申し出て、医師は絶対に腹を立てないのかといえば、必ずしもそうとはいえない。一部の年配の医師や、若くても一つの術式にばかりこだわっている、言い換えれば、自分に自信がありすぎるような医師の中には、機嫌を悪くする医師が存在するのも事実だ。

 しかし、相手が医療の専門家である医師だからといって、何ものにも代えがたい健康や生命を預けるのは患者の側だ。「俺の言うこと」に従って命を差し出さなければならない理由などない。セカンドオピニオンを申し出て嫌な顔をされたら、それは医師を代えるチャンスと考えるべきだ。自分の考えだけを押し付ける医師とは、信頼関係が築けないだろう。

 あるアンケートでは、セカンドオピニオンを取った経験のある人の7~8割が、「セカンドオピニオンを取ったことで主治医(元の医師)との信頼関係が深まった」と答えている。セカンドオピニオンは「疑い」ではなく「信頼」を得る手段なのだ。

 では、どうすればセカンドオピニオンに好意的な医師と巡り合えるのだろう。前出の太組医師は苦笑しながらこう語る続きを読む »

20140219104348 記録的な大雪の週明け、都内の雪はあっという間に溶けましたが、今日の本厚木の積雪はすごかった。まるでスキー場に来たよう。

 当然ながら雪災の事故報告が殺到です。損保ジャパンの代理店さんによると埼玉だけでも1万件を超える見通しとのことです。火災保険の雪災とその他対象保険を解説します。   

(1)風災・雹災(ひょうさい)・雪災

 風災・雹災(ひょうさい)・雪災により家屋が損傷した、などの損害に、保険金をお支払いします。対象は家屋のみならず、通常、ガレージ・物置・門塀垣根も含まれますので証券にそれらが含まれているか確認して下さい。今回もガレージが潰れた被害が多かったようです。また雨どいが落ちたなどの損害も対象なので、家の周りをチェックして下さい。

★ フランチャイズ20万とは?

 注意が必要なのは、「20万円以上の損害に対し支払います」と条件が付いている場合です。これは20万円以上の損害となった場合は支払いますという条件で、19万円の見積もりでは保険は出ませんが、見積もりが20万円を超えれば全額支払われます。  最近の火災保険には少なくなった条件です。証券をよく確認して下さい。

※ 雪災:豪雪、雪崩(なだれ)等をいい、融雪洪水を除きます。 ※ 雨・雪・雹(ひょう)または砂塵の吹込みによって生じた損害については建物またはその開口部が風災、雹災(ひょうさい)または雪災によって直接破損したために生じた場合にかぎります。

(2)残存物取片づけ費用保険金

 損害保険金が支払われる場合に損害を受けた保険の対象の残存物の取片づけに必要な費用で、実際にかかった費用をお支払いします。 支払いする費用保険金の額:実費(損害保険金×10%限度です。)

(3)臨時費用保険金

 損害保険金にプラスしてお支払いします。保険のご契約をされている建物や家財が損害を受け、損害保険金が支払われる場合に、損害保険金とは別にお支払いする費用保険金を「臨時費用保険金」といいます。臨時費用保険金は、損害保険金との合計額が保険金額を超過する場合でもお支払いします。  

 東京海上さんの不払い問題も細かい特約の支払い漏れです。請求する側もしっかり確認して積極的に請求をしなければなりません。  

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4、情動障害、人格変化

   これも前日の注意・遂行能力の障害に同じく、元々の個性を考慮しなければなりません。性格が怒りっぽい人やわがままな人もいるので、やはり家族から聞かなければわかりません。些細な変化では主治医でも把握できないのです。  

☐ 些細なことでキレる

☐ 幼児に返ったように行動・発言が子供っぽくなった

☐ 人前で着替えを始めてしまう

☐ 好きなお菓子ばかりずっと食べ続け、他の食べ物に見向きもしない  

 「易怒性」と言って多くの被害者で経験しています。理由なく不機嫌になる人もおりますが、多くは電車で人の声が大きいとか、テレビのニュースの内容が気に食わない程度のことで、いつまでも文句を言い続けています。通常は理性で抑えられるようなことも我慢できないようです。

 幼児退行は認知症患者に多い例です。高次脳機能障害でも30歳になるいい大人が部屋をぬいぐるみで一杯にしたり、家族に甘えたりわがままを言うようになります。

 羞恥心が低下する、感情を抑えられずにすぐ泣く、気に入らないと物にあたる、これらは「脱抑制」に分類されます。一つのことに執着する「固執性」がみられることがあります。

 このように感情を理性で抑えることができず、より本能的になってしまうようです。   c_g_ne_92  

☐ 毎週のようにゴルフをしていたのに、家にあるゴルフクラブに見向きもしなくなった

☐ 猫好きで何匹も飼っていたのに、世話をしなくなった

☐ 明るくよくしゃべる人だったのに、無口で暗くなった

☐ 「誰かが私の財布を隠した」など、被害妄想がある

☐ 掃除、片づけをまったくしなくなり、部屋は散らかり放題。逆にずぼらだった性格が几帳面になり、神経質に掃除をしている

☐ いつも疲れていて家でゴロゴロ、居眠りが多い。突然、寝落ちする      「性格変化」は文字通り性格が変わってしまうことです。久々に友人が訪ねてきてもそっけなく、友人は「人が変わった?」ように感じます。私の経験では性格が陽気になった例はなく、多くは陰気、人見知り、悲観的になる傾向でした。

 極端に疲れやすい。これは肉体的な疲れというよりは精神的な疲れです。「易疲労性」に分類されます。この障害により職場や学校への復帰が困難となります。

c_n_91続きを読む »

3、注意障害、遂行機能

 注意障害と遂行能力障害の兆候は重なる部分が多く、多くの場合、併発します。障害ではなく、そもそも飽きっぽい人、要領が悪い人がおります。元々の能力、性格かもしれません。やはり事故前後の比較が必要で、家族の観察を聞かねば判断できません。

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☐ 仕事を始めてもすぐぼーっとしてしまう。集中力がもたない

☐ お皿を洗っている途中で、テレビを観始めてしまう

☐ 窓の掃除をすると、ずっと同じところを拭いている    注意障害とは集中力が極端に低下します。したがって脈絡のない行動にでたり、会話もまとまりがなく、話が飛びがちです。同時にいくつかの作業を進めることができなくなります。また逆に一つのことに固執してしまうこともあります。これでは仕事や勉強も長続きしません。

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☐ 旅行の計画はおろか、スケジュールを組むことができない

☐ 買い物の段取りが悪く、売り場を行ったり来たりして何倍も時間がかかる

☐ コピーを取ってFAXをする、その間に電話をするなど同時並行で複数の作業ができない

☐ ...

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 先週に続き、またしても積りそうです。こんな日は溜まった事務に集中です。異議申立をご依頼中の皆様、現在残すところ5件です。あと少しご猶予下さい。

 しかし明日の有楽町相談会が心配です。

26.2.8

 高次脳機能障害のチェック項目は来週から再開します。

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2、視覚認知機能、失認、失行

  ☐ 歩いていてよく左肩をぶつけませんか?  

 左目が見えないというより左目に映る映像を認識できない状態です。これは「半側空間無視」です。圧倒的に左側に問題が生じます。通常、人は眼に映った情報を脳で解析しています。しかし脳の解析システムが故障することよって、映るものが認識できない状況に陥るのです。したがって当人は見えてないことすら自覚できません。コブクロのギターを持っている方しか見えない?状態です。

 以下の兆候がないか家族から聞き取る必要があります。

・ 食卓に並んだいくつかのおかずの皿から右半分しか箸をつけない ・ 片側から話しかけられても反応しない、片側に人が立っていても存在に気づかない ・ 家の絵を描かせると片側半分だけしか描かない

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☐ 右手を出してと言われて左手を出したり、よく左右を間違えませんか?  

 左右の側頭葉のどちらかが損傷した被害者で数例、経験しています。左右が定かではなくなり、よく右と左を間違えます。一般に「左右失認」と呼ばれています。些細な事のようですがこの障害から様々な場面で判断力が低下する傾向があります。  また病院内で一回廊下を曲がると帰ってこれない、自分の位置に混乱をきたす「空間認識能力の低下」などは右側頭葉の障害で経験があります。  

☐ 主治医の顔、もしくは新しく会った人の顔を覚えられないなどありますか?

   顔を覚えるのが苦手のレベルでは済まない症状は「相貌失認」と言われています。相貌失認では人の区別だけではなく、「笑っているのか、怒っているのか」など表情を読み取る観察力も失われることがあります。

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  ☐ 箸やスプーン、歯ブラシが使えなくなったり、よく使っていた電気器具の使用法を忘れてしまったことはありますか?  

 「失行」とは日常動作がスムーズにできなかったり、今まで使っていた道具が使えなくなる障害です。着衣の動作がぎこちない、ズボンを逆に履いてしまう、さらにそれに気づかない、愛用していたステレオが使えなくなった…。ご家族から色々エピソードを聞き出します。 続きを読む »

 お待たせしました。被害者さんと家族に症状の質問を始めます。

1、記憶障害

c_n_7   ☐ 昨夜、夕食は何を食べましたか?事故以来、物忘れがひどくなっていませんか?  

 高次脳機能障害患者の80%に記憶障害があると報告されています。それは昔のことが思い出せない「逆向性健忘」と新しいことが覚えられない「前向性健忘」に大別されます。逆向性健忘とは以前の記憶が失われる記憶喪失の一種です。前向性健忘とは記銘力(そもそも物事を覚える能力)の低下です。  

☐ カップラーメンにお湯を入れてそのまま・・このようなことはないですか?    問題なのは「うっかりお湯を入れたのを忘れていた」との反応ではなく、「誰がお湯を入れたの?」とまったく覚えていないことです。これは前向性健忘でもさらに直前のことも覚えることができない「ワーキングメモリーの喪失」です。暗記力そのものが低下するので、カードの暗証番号が覚えられない、新聞を読めない、足し算も2桁になるとできなくなることもあります。  

☐ 家族全員の名前、主治医の先生の名前、飼っているペットの名前が言えますか?

 確実に覚えているはずのことも、少し考え込んだり、間違ったりする・・・これは単なる度忘れなのか否か?家族の判断を聞く必要があります。これは「固有名詞失名辞」と呼ばれ、失語症の方に併発するケースが多いようです。人名、地名、固有名詞が想起できない、つまり意味や関係性はわかっているが言葉として出てこない状態です。  ひどいと認知機能の障害に分類されます。認知機能の障害は痴呆のように明らかな知能低下の症状が現れますので、ここでしっかりチェックせずとも見逃されることは少ないと言えます。

 固有名詞失名辞20140219_0001続きを読む »

 昨日に続き、チェックを進めます。  

(2)面談前チェック

 いよいよ高次脳機能障害の相談者が事務所に来所しました。症状の質問に入る前に前提条件があります。他の障害にはない独特なものです。  

☐ お一人でいらしたのか、家族のみでいらしたのか  

 高次脳機能障害の方の多くは病識がありません。病識とは「自分がケガで障害を負っているという自覚」です。2級の重篤な被害者でも「家族からおかしいと言われています」程度の自覚しかなかったケースもあります。多くの場合、本人は回復したと思っています。したがって家族の方からお話を伺わなければ障害の有無・程度がわからないのです。またご家族の方だけ相談にいらした場合でも、本人の様子を観察する必要から、改めてお連れいただくか、外出が難しい方の場合はご本人に会いに行く必要があります。  

(3)面談での観察

 普通の交通事故被害者から法律相談を受けるのとはまったく違います。障害を見抜く観察力が必要であることを肝に命じて下さい。(高次脳機能障害を見逃した弁護士を何人も知っていますよ!)  

☐ 被害者の話し方を観察します。    ここで言語機能に関する障害をチェックします。言語障害、失語などと呼ばれる症状ですが、高次脳機能障害では以下の2種が代表的です。   1、運動性失語…左前頭葉のブローカ領域の損傷。

 話し言葉の流暢性が失われます。したがって極端にゆっくり話す、どもりがち、滑舌が悪い、言葉が出てこないで考え込むなどが表れます。  

2、感覚性失語…左側頭葉に位置するウェルニッケ領域の損傷。

 流暢性は保つものの、言い間違いが多く、発言量の割に内容も乏しくなります。同じことを繰り返し話す、話しが回りくどい、意味不明な事を話す、質問と答えがかみ合わない頓珍漢な会話となります。   20120404  

☐ 態度を観察    些細なことで激高する、ムッとする、わずか10分の面談でも疲れ切ってうなだれてしまう、気が散ってキョロキョロ見回す、子供のように家族に甘える…だんだんおかしな態度が現れてきます。「易怒性」、「易疲労性」、「集中力の欠如」、「幼児退行」などを疑わねばなりません。これは後述の情動障害、行為障害、人格変化で再度、質問項目を挙げます。  

☐ ご家族から日常生活でのエピソードを伺い、ギャップを抽出します。  

 失語や態度で何か異常を感じたとしても、元々ケガをする前からそのような方もいますので、ここで家族の意見が重要となります。ケガをする前との比較は家族しかできません。つまり「この話し方は事故からですか?」、「事故前から怒りっぽかったですか?」と家族に追質問する必要があります。    相談を受ける弁護士のみならず、主治医でさえケガをする前の被害者を知らないのです。主治医は24時間患者と生活を共にし、観察しているわけではないのです。限られた診断時間では些細な変化に気付かないことは無理もありません。まして一見普通に歩き、普通に話す患者には「もう治った、障害がなくてよかった」と断定してしまう医師もおります。慎重に家族からの聴取をしなければ医師とて見逃す、繊細な障害なのです。

 具体的な症状のチェック項目は明日に。

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