神奈川県は隔月開催で相談会を実施しております。昨日は8名の相談者さまがいらっしゃいました。やはり継続は力なり、徐々に参加人数のみならず、特に内容の濃い相談者が増えてきました。今回はむち打ち被害者は一名のみ、他は骨折、脳損傷の方でした。傷病名と相談内容は以下の通り。  

1、大腿骨遠位端骨折 ⇒ 膝関節可動域制限の立証。まずは画像検査の追加

2、アキレス腱不全断裂 ⇒ 「非該当」に対する異議申立。画像検査とROM測定のやり直し             

3、高次脳機能障害 ⇒ 立証計画の策定。次回はご家族と一緒に打合わせ

4、高次脳機能障害 ⇒ 脳損傷の画像を確認。痴呆との区別、検査の必要性について

5、大腿骨遠位端顆上骨折 ⇒ 成長障害の懸念と短縮障害について。症状固定時期の検討

6、プラトー骨折 ⇒ 後遺障害診断書の重要性と書き方。過失割合

7、頚椎捻挫 ⇒ 今後の治療、休業損害および対保険会社対応について

8、高次脳機能障害 ⇒ リハビリ施設への転院と今後の立証計画。弁護士の選び方

   このうち6件について弁護士の受任が確定的であり、うち5件はメディカルコーディネーター(MC)の出番と判断しました。やはり本当に専門家の助けが必要な被害者は無料相談では収まりません。弁護士、MCと次々にパートナーシップが形成されます。

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 本日2件、高次脳機能障害が疑われる被害者の相談を受けました。1件は電話です。「まず面談」が私の信条ですが、住所は利尻島です。ロシアのちょっと手前、2泊3日は覚悟せねばなりません。取りあえず概要を聞き取り、善後策を助言しました。しばらくは遠隔相談となります。  

 もう一件はご本人と付き添いのご家族に来所いただきました。普通の交通事故相談者と違い、面談は2時間半かかりました。高次脳機能障害の場合、聞かなければならないことが多くので専用チェックリストを用意しています。これは今春、弁護士研修会用に作成したものを活用しています。本件でもこれを使って進めていきましたが、どうも本人の症状・家族の観察が脳の病変部と一致しません。下図の通り、脳はそれぞれの部位によって働きが違います。通常、受傷した、損傷した脳の部位が症状と一致するはずです。例えば言語障害は左側頭~前頭葉に損傷部があるはずです。高次脳機能障害の立証とは、画像(病変部)と症状、対応する検査データの一致が基本だからです。

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 さて、本件被害者は症状と病変部が一致しません。症状に該当する部位とは逆の部位に損傷があります。そして聞き取りを続けていく途中でやや謎がとけました。この被害者は左利き、もしくは両利きの珍しい体質なのです。ペンは右手、道具は左手と使い分けているようです。  野球のスイッチヒッターみたい?私の経験でも以前、一緒のバンドのベーシストが左利きながら右利きでベースを弾いていました。彼はペン・お箸は左手です。何事も両方使えそうで、かなり器用なのです。「絶対こいつは脳の構造が違うはず!」と思っていました。

 まして本件被害者の損傷様態は「びまん性」です。びまん性の損傷は微細な傷が脳のあちらこちらに生じている可能性があります。「局在性」の損傷のように一か所の損傷部に出血・血腫が集中するものとは違います。つまりどのような障害となるかが読めない?ことがあります。

 確定的な医学的検証に及びませんが、脳波の検査でも言語に関する脳の反応が左側頭葉中心に出るのが男性で、右側頭葉にもやや分散して反応するケースが女性と言われています。脳の働きに男女差が存在することは解明されてきています。利き手と脳の仕組みについてはまだよく解明されていません。しかしやはりというか、左利き、両利きの人の脳波は逆の、もしくは教科書通りではない反応を検出することが多いそうです。

 立証上、本件は矛盾した医証をそろえる結果になるかもしれません。この場合、主治医はもちろん、専門医の意見等で丁寧に説明する必要があります。きっと自賠責調査事務所の審査会(高次脳機能障害 専門部会)の先生方も私と同じように悩むでしょう。それだけ脳損傷・脳障害は不規則な症例が多いと言えます。

 このような説明をしたところ、ご家族の方は「神経内科の医師も秋葉さんとまったく同じことを言っていました!」と驚いていました。これはある意味当然です。治療側の医師も立証側の秋葉も審査側の自賠責保険も同じことを考え、同じように悩むからです。

edhi 今日は脳モデル「エディ」が大活躍!

 

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 GW前の記事を読んだ被害者さんから質問を頂きました。先日の記事は各関係者に対し色々と配慮が必要であるため、やや不明瞭な主張となってしまったかもしれません。 さて質問ですが、相談会でもよくあるパターンです。今度はわかり易く解説します。(Q&Aのモデルケースにすべく、少し脚色を加えてあります。)  

Q)今年2月、交通事故(停車中に追突された)でむち打ちとなり、治療中です。直後から首の痛みのみならず吐き気、めまいがひどく最初の1週間は会社を休みました。その後、会社に復帰して週2回ほど整形外科に通っていましたが、先生はあまり熱心に診てくれません。そもそも退社後の時間では診察が終了してしまいます。すぐに遅くまでやっている近所の整骨院に転院しました。ここの先生は腕が良いとの評判で、確かに施術も丁寧で親切です。相手の保険会社も問題なく転院と治療費の支払いに応じてくれました。

 しかし秋葉さんの記事を見て「整骨院での治療では後遺障害が認定が不利」とありました。最近は首から手先にかけてしびれもあり、あまりよくなっているとは言えません。また相手の保険屋さんも「もう3か月ですがそろそろどうですか?」とやんわりですが治療の終了と示談を迫ってきています。このまま整骨院で治療を継続でよいのでしょうか?先行きが不安です。  

A) 原則から申し上げれば、患者がどのような治療方法を選択しようがそれは患者の自由です。むち打ちの症例について経験が豊富かつ適切な処置ができる病院であれば心配ないです。しかし下手な病院より整骨院の方が効果が高いことがあります。そのような意味では現在の整骨院を選択されたことは良いと思います。

c_g_a_7 しかし何事もメリットだけではなくデメリットが存在します。本件の場合、しびれなど神経症状が発生しています。これについて病院の医師でなければその事実を診断できません。医師が「単なる捻挫・打撲ではなく、神経症状があること」を診断書に書けば、相手保険会社もそれなりに治療の延長を認めます。しかし現状、病院に行っていないので医師の診断を仰げません。では今更「治療は整骨院でやっていますので診断書だけ書いて下さい」と言ってもお医者さんは面白いわけがありません。その感情を抜きにしても、「しばらくの間、患者を診ていなかったので正確な診断ができない」と記載を拒否します。結果として保険会社から打切りを迫られても抗弁できなくなります。

 さらにこれから3か月後(受傷から半年)、保険会社がかなり強硬に治療費打ち切りを迫ってきます。もしその時点でも症状が残っているのなら、後遺障害の申請をしてある程度の保険金を確保する必要があります。後遺障害がなければ60~70万(保険会社基準)程度の慰謝料で解決ですが、14級9号の後遺障害が認定されればさらに75万円ほど(保険会社基準)加算されます。裁判基準ならさらに100万円以上増額する可能性もあります。後遺障害認定があるかないかでこれほど賠償金が変わるのです。ただし病院に通っていないと、この後遺障害の診断書を書いてもらえなくなる可能性が高いのです。

 つまり、少なくとも医師の指示による転院、もしくは両者を併用した通院が必要だったのです。さらに言わば、後遺障害認定を視野に入れるなら病院中心の治療にすべきなのです。

 昨今の整形外科ではリハビリ、理学療法(機能回復)と付随する緩和治療(症状を和らげる)に積極的です。理学療法士を抱え、設備の充実した個人開業医も増えています。この分野では目的はやや違いながら整骨院と商売敵の状態です。このような整形外科では「できればリハビリの治療費も自院に落としてもらいたい」のが本音です。「他(整骨院等)で治療して、最後だけ病院で診断書を書いて」・・これでは医師もへそを曲げます。このような事情をみても後遺障害の可能性がある場合は病院での治療が望ましいのです。

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 苦い連休明けです。苦労して異議申立を行った結果、「前回認定の通り」と通知が届きました。漏れてしまった障害、不正確な等級、資料不足で薄められた等級など、きちんと拾い集めて再審査を要求するのが異議申立です。しかし簡単に覆せるほど最初の認定がいい加減なわけがありません。私が手掛けた案件では昨年末までの統計で43%です。それでも先月から今月にかけて提出した異議申立4件について、「絶対に等級を変更させる!」信念のもと、魂込めて取り組みました。

 もっとも自賠責保険の統計では、21~23年度でたったの7%ほどが「変更あり」、つまり上位等級に変更です。100人中93人は無駄な抵抗となったのです。であれば専門家のあるべき姿は無駄な異議申立を行わず、しっかりとダメならダメと見極めをして差し上げることです。依頼者に期待を持たすことや時間をかけさせることは罪です。

 異議申立について、本HPの実績ページを開くと華々しい仕事もありますが、残念な仕事も同じくらい存在します。やはり専門家の実力とは「目利き」と思います。無理・無駄・無謀なチャレンジを抑制する目を養わなければなりません。受任するからには100%の仕事を依頼者から要求されるのです。今日は反省の一日でした。

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 前置きが長くなりましたが、いよいよ本題に。  

<考察>

① 任意保険会社が治療費を払ってくれるはずでは?

 そもそも、相手に任意保険会社があるのであれば、任意社一括払いで治療費は確保されるはずです。問題の本質は、保険会社が難色を示すような施術料の請求内容なのです。

 また、自賠責以上の慰謝料が確保できるのなら、行政書士の介入の効果はないはずです。相手に任意保険がない、被害者に過失大きく相手任意社の対応がないのであればこの仕事も理解できますが、任意社の一括払いがあるにも関わらず、このような事務で報酬を得ることは不自然極まりないのです。   ② 後遺障害が見込まれる患者はいないのでしょうか?

 そして、最も危惧することは、後遺障害が見込まれる患者の囲い込みです。患者の中には14級9号が認定されるべき患者も混ざっているかもしれません。病院との連携、併用治療を推進している整骨院なら、それなりに後遺障害認定の可能性を残しますが、病院への通院実績が減ることは認定上マイナス要素です。だからと言ってα先生がその患者に対してΩ整骨院への通院をやめさせることができますか?そんなことをしたら、せっかくの連携関係は「パリン!」です。   ③ 行政書士介入のメリットは何?

 したがって、Ω整骨院との連携は「後遺障害のない軽傷被害者が中心」となるはずです。しかし、どうもしっくりこない。なぜなら、3か月の通院で完治する軽傷患者の場合、慰謝料は任意保険会社基準で378000円(3か月)、対して裁判(赤い本)基準で530000円(同)です。差額は152000円です。法律家が介入するにはあまりも僅差、報酬15万円でも消費税の加算で費用倒れです。また、事務所の報酬規程が増額した分の20%ならたった3万円ちょっとです。そもそも、行政書士は賠償交渉ができませんので、増額させることはできません。こっそり書面による賠償交渉をしているのでしょうか?

 この場合、軽傷者は相手保険会社との直接交渉でもそれなりの解決となります。法律家に報酬を払ってメリットがでるような多額の賠償金ではないからです。軽傷案件は、そのまま保険会社との相対交渉で解決することが自然です。何故に法律家が関わってくるのか?つまり、法律家の介入に何か別の理由があるのではと勘ぐってしまうのです。     私の結論    このように、後遺障害が見込まれる重篤な患者をはじめ、法律家を本当に必要とする被害者を救済している業者にとって、整骨院は遠い存在、親和性は薄いはずです。5万円程度の報酬で軽傷案件をどんどん引き受けたい弁護士がいるのなら別ですが、連携は極めて限定的な情報交換しか起こりえないのです。

 それでも、提携・連携を求める理由はどうしても「施術料の自賠責保険請求」に目が行ってしまいます。被害者救済より、「整骨院の収益と法律家の報酬稼ぎの利害一致」に見えてしまいます。少なくとも保険会社はそうにらんでいるはずです。    4回にわたったこのシリーズ、結論が前回までの内容「柔道整復師の施術料急増」の背景に帰結します。そもそも施術料の請求に問題があるのではないでしょうか。なぜなら、保険会社から信頼されているクリーンな整骨院であれば、普通に施術料の一括払い(保険会社からの直接払い)を受けています。ここに、行政書士介在の必要はありません。また、誠実な柔整師は病院での治療が必要と判断すれば、患者を即座に病院へ送り出します。つまり、整骨院においてクリーンなやり取りがなされれば、患者、保険会社、整骨院間でもめることは少なく、法律家の出る幕はないのです。     う~ん、どうしても違和感が残る・・・。曲がったことが大嫌いの私としては、今後もより詳しい事情を柔整師の先生、整骨院と提携している行政書士から継続的に拝聴していきたいと思います。後ろ暗いことない、被害者救済を第一とした健全な提携関係であることを願うばかりです。  

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 むち打ちが単なる捻挫ではなかったら?    後遺障害が見込まれるほどの重篤な症状を示す患者に対しては、整骨院(以下、接骨院含む)での施術通院をやめさせます。もしくは医師の診断を受けた上で、病院との連携治療を強く提言します。

 とくに、捻挫・打撲の炎症が治まる時期なのに、頚部から上肢にかけて重だるいような痛み、手指にしびれが走るような患者は、神経症状が強く疑われます。病院に戻ってMRI検査を行い、しかるべき治療を進める必要があります。ロキソニンなど単なる痛み止めではなく、神経性疼痛の対処にリリカの服用も検討すべきです。その上で初めて施術、東洋医学の効用を考えるべきなのです。これ以上は単なる行政書士が語るに勇み足、止めておきます。    たまに整骨院から提携の声がかかります 

 現在、整骨院が交通事故を業務とする弁護士・行政書士と連携を進める動きが活発です。とくに、行政書士では以前から整骨院と業務提携をしている話をよく聞きます。私は以前からこの連携の構図が謎でした。なぜなら、昨日断言したように、整骨院に通院すると後遺障害の認定は非常に厳しくなると思っています。私は後遺障害を立証する立場の業者です。私と同じスタンスの行政書士なら整骨院の患者を依頼者とすることはあり得ません。

 昨年、整骨院の先生から業務提携のお話を頂き、色々と話を聞いてようやく謎が解けてきました。   

行政書士と整骨院の連携の仕組み

  <Ω整骨院の本音>

 交通事故患者は相手自動車の自賠責保険から施術料を回収できる、しかも健保治療と違い自由診療です。利益は2~3倍に膨らみます。交通事故患者は高利益が見込めるお客様なのです。だからなんとでも確保したい。しかし、いざ保険会社に請求すると、請求額が多すぎると渋られる。それでも、なんとか自由診療を続けたい。「患者の為に(整骨院の利益の為にも)・・なんとかいい方法はないか?」   <行政書士αの登場>

 交通事故専門を看板にしているα先生は、Ω先生に提案します。「交通事故の患者を紹介して下さい。私が自賠責保険に請求をして施術料を確保して差し上げますよ。」   <連携成立>

 Ω先生は渡りに船とばかりに、むち打ち患者をα行政書士に紹介し、α先生は慰謝料を患者に、治療費をΩ先生にそれぞれ自賠責保険の請求手続を行います。このように、治療費の請求で任意保険会社が支払いを渋ると、α先生が自賠責に直接請求をかけてくれます。つまり、Ω先生は行政書士をフィルターにして、保険会社との摩擦を避けることができます。そして、α先生は患者の慰謝料から保険金請求代理に対して報酬を得ます。まさか、Ω先生からマージンはないと思いますが・・。     つづく  

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 私は決してアンチ整骨院(以下接骨院も含む)ではありません。柔整師さんの中には、高い技術と高潔な人間性をもったすばらしい先生を何人も知っています。医療機関としての役割も不可欠なものと思っています。西洋医学では対処できない症状に対し、有効な施術がある事実も理解しています。しかし、多くの患者は両者の違い・役割を理解していません。ケガ・症状によって病院と整骨院の使い分けは必要です。では、整骨院の利用目的はなんでしょうか。以前、匿名の柔道整復師から「柔道整復師の仕事は慢性疼痛の緩和ではない!」と誤解を指摘されたことがありました。この機に定義をしっかり把握しましょう。協会のHPから抜粋します。     (公益社団法人 日本柔道整復師会 HPより)整骨院・接骨院の上手な利用法

 整骨院・接骨院では、骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷などのケガについて、痛みの少ない愛護的な施術(治療)で腫れや痛みを軽減させ、早期の日常生活復帰に努めています。ケガをされた場合には、近隣の整骨院・接骨院へ早めの受診をお勧めいたします。早期に対応することで、腫れや痛みを軽減することができます。すぐに受診できない場合でも、電話などで相談し、応急処置の指導を受けることができます。また、休日や受付時間外の施術(治療)も可能です。

 骨折・脱臼の場合は、整復、固定の応急手当てを実施して、医師の同意のもとで施術(治療)を行うことができます。まずは、近隣の整骨院・接骨院に来院ください。      このように、整骨院の役割として応急処置、これは医者・柔道整復師問わず絶対に必要でしょう。次に、愛護的な症状緩和、ここが誤解の元ですが、保険(自賠責、労災、健保)施術の場合は慢性的な症状、外傷以外の病的症状は除かれます。またケガ以外の症状、肩こりなどの慢性疾患の対処には柔道整復師の資格ではなく、あん摩・マッサージ師の資格が必要です。そして骨折・脱臼の場合は医師との連携治療となっています。

 しかし、必ずしも医師の同意が徹底されていないようで、整形外科の医師から多くの苦言を聞きます。「骨折の患者を勝手に診断して施術を進めている」「神経症状があるのにMRIも撮らずに捻挫の治療を続けている」、つまり「患者を手放さない」ことを問題視しています。上手く病院と連携している整骨院もありますが、現場では「医師vs柔整師」の構図をよく見かけます。今後、両者の明確な区分、つまり、「使い分け」について、行政から指標が示されることを強く願うばかりです。    さて、前回のつづき「落とし穴」について。後遺障害を追いかける者として、毎度口を酸っぱく言っていることを。     むち打ち、頚椎捻挫、腰椎捻挫で症状が長引く被害者、とくに単なる捻挫・打撲の類ではなく、神経症状を示す被害者は半年の治療でも症状が収まらないものです。この被害者に対して保険会社は捻挫・打撲の患者に同じく長期間の治療費の支払いを拒み、治療費打ち切りも辞さないのです。そこで治療費打ち切りを待たず、速やかに後遺障害等級14級9号の認定を受けて、一定の金銭的救済を図らなければなりません。 

 しかし、整骨院で治療を続けた「むち打ち」「腰椎捻挫」の被害者はこの14級9号が絶望的に認定されません。過去の認定経験は病院30回+整骨院200回に通院した被害者、もしくはメインは病院で補助的に整骨院の施術を被害者など数例です。これらの患者さんは、明らかな神経症状や画像所見があったので認定を受けました。本来なら12級13号が認定されるような症状とも言えます。それ以外で整骨院への通院に偏重したむち打ち、腰椎捻挫で等級認定された件は少数例となります。そもそも、整骨院では後遺障害診断書が書けません。医者じゃないので当然です。    例外的に、医師の指示により月に1~2回ほど整形外科に通院し、接骨院等でリハビリ通院を進めた患者ですが、診断書を書いてもらうことは可能です。症状や治療経緯によっては、14級9号の認定の可能性を残します。しかし、多くは険しい道となります。整形外科でリハビリを続けた被害者の方が、はるかに等級認定の可能性が高いのです。なぜなら、多くのむち打ち患者さんに明確な神経学的所見がでないからです。そうなると、審査側は病院での治療実績、つまり治療の一貫性や継続性、相当日数を検討することになります。    はっきり言います。「むち打ち・頚椎捻挫」「腰椎捻挫」にて、重い症状に悩まされる被害者さん、 整骨院・接骨院への通院を続けたいのなら、後遺障害は断念して下さい。    つづく  

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 常日頃から、弁護士はじめ各士業との連携はもちろん、医療機関とも連携することにより被害者救済に益する協業体制を推進しています。当然ですが、医療機関との連携はクリーンな関係を前提としています。法律家と医療機関の関係には高度な道徳心が必要です。とくに、柔道整復師の資格者である整骨院・接骨院さんとは、限定的な連絡体制に留まります。

 整骨院・接骨院との連携が限定的である理由を語る前に、まずは業界の背景から。先日の朝日新聞の記事を見てみましょう。   asahi juusei  車を持つすべての人が加入する自動車損害賠償責任(自賠責)保険に対し、接骨院からの保険金請求が急増していることが分かった。治療費の基準がなく、請求内容の審査もずさんなため、不正請求が横行。「生後半年の赤ちゃんが腰痛を訴えた」など、現実にはありえない診断がまかり通っている。国土交通省、金融庁など関係省庁は、改善策の検討に乗り出した。

 損害保険料率算出機構・自賠責損害調査センターによれば、2012年までの5年間で、交通事故件数は76万件から66万件に減った。負傷者は94万人から82万人に減少。一方、12年度までの5年間で、接骨院が自賠責に請求した総施術費は452億円から673億円と1・5倍に増えている。

 接骨院を営む柔道整復師らでつくる公益社団法人・日本柔道整復師会によると、接骨院による自賠責への請求が増えた一因には、交通事故患者を抱き込んでの不正・過剰請求がある。 (朝日新聞3月22日)      事故が減っているのに、施術料(治療費と区別されています)の急激な伸びは、不正請求以外からの理由では説明できない。このような分析は柔道整復師会(身内組織ですよ!)だけではありません。弊所では、年間360人もの交通事故被害者さんと会い、毎日のように病院に行っています。現場でも、整骨院・接骨院に通院している被害者の例を多く見ています。特徴は以下の通り。   1、病院よりも待ち時間がなく、予約等の制約も少ない。比較的、夜間や休日もやっているところがある。   2、先生も親身に話を聞いてくれる。スタッフも親切。   3、相手の保険会社も病院同様、施術料を出してくれる。    したがって毎日のように通う。    このように、病院とは違った良さがあります。「だから病院の治療費より高くていいのだ!」と断定するのはいささか苦しいと思います。よくよく施術証明書を見ると、事故とは関係ないような受傷名が載っていたり、過剰と思える施術がなされていたり、とどめは通院していない施術日に〇がしてあったり・・・このような不正は決して珍しくないのです。「慰謝料が多く出るから通院日多めに〇つけとくね~」、あけっらかんと言った柔整師もおりました。これは立派な保険金詐欺です。

 もちろん、病院も含め、どの業界にも不道徳な者がおりますので、一部の不正な柔整師だけを非難するのはフェアではありません。しかし、現場からは決して「一部の」とは言えないほど不正を多く目にするのです。

 さらに、後遺障害が残るような被害者にとって、整骨院への通院は深刻なデメリットが存在します。軽傷であればこのまま接骨院での施術で完治して示談、事故は解決となります。しかし、症状が長引く患者さんには、最大の落とし穴が待っています。    つづく   

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 行政書士は都道府県の単位会があり、その下部組織として支部会があります。私は東京都会に転入し、同時に中央支部へ所属したことになります。今日は年に一度の支部総会に参加しました。中央支部の会員は270名弱です。大所帯の支部と言えますが、総会参加者はその30%ほどです。どこの支部もおなじみの顔ぶれ、総会参加者は3割位なのかもしれません。しかしながら東京都会の会長はじめ、たくさんの先生にようやくご挨拶が叶いました。

 意外だったのは東京の中心部ながら、多くの先生は地縁からこの地に開業していることでした。「秋葉さんも元々こちらに縁が?」とよく質問されました。その他、印象としては税理士、弁護士、その他士業の事務所に併設している事務所が多かったように思います。そして共通の知人(弁護士、行政書士)が多かった。皆、顔が広い!

 積極的に研修を運営する若手先生もおり、良い刺激を受けました。ここでも新しい縁が生まれそうです。

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 最近の投稿は上肢が続いたので下肢を投稿しました。下肢の切断を防ぎ、なんとか癒合・整復をした案件です。当然ながら複数の障害を残してしまいました。それでもここまでよく治ったと言えます。

 

併合8級:脛骨開放粉砕骨折(30代男性・東京都)

  【事案】

 バイクで直進中、左路外から飛び出した自動車と衝突、転倒、傷病名の通り左のすねはズタズタに。膝部の近位端から骨幹部まで脛骨の骨折が及び、腓骨も骨幹部で折れていた。受傷直後は最悪、切断の選択もあった。他に左腕(尺骨)骨幹部も骨折。  脚は腰の骨(腸骨)から骨採取し、プレートも複数個所固定する大手術となった。ケガの重篤度から障害認定までの手続きを弁護士から託された。

【問題点】

 癒合は非常に難航し、1年後に恐れていた感染症を発症、再び足を切開し洗浄・消毒する手術となった。立証以前になんといっても回復が優先。感染症の再発ないことを祈る日々が続く。症状固定までの治療・リハビリ期間を通じて丁寧にフォローしていく必要があった。

【立証ポイント】

 明らかな障害は立証も易しいと言える。しかし「余すところなく」立証するためには綿密な立証プランを描くことが重要。緻密に細部まで障害を拾い上げて診断書を完成させる必要がある。もちろん具体的に障害を説明するべく、別紙の申述書は欠かせない。外貌写真の提出も必須である。  認定内容は以下の通り。    まず左足関節の可動域は1/2制限で10級11号、左膝関節は同じく3/4制限で12級7号、ここで同一系列の併合として9級相当を確保。    さらに左下肢の短縮障害も2cmの短縮を計測、13級8号を加算、下肢の開放創&手術痕で醜条痕14級5号、腕は特に障害残らず。    以上、併合結果から併合8級とする。ほぼ計算通りの認定となった。ちなみに骨採取した骨盤の変形は外見上目立たないため取りこぼした。最近の腸骨変形の12級認定は厳しい傾向と言える。

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↑ ちょうどこんな状態が2年も続きました

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 暖かいさわやかな日が続きます。事務所の窓を全開にできる季節となりました。  喧騒少ない日曜日ながら、外から聞きなれない声が聞こえてきます。事務所の眼下を見下ろすと祝橋でドラマの撮影が行われていました。しばらく仕事の手を休め見学です。

20140427172028 ← 肖像権に配慮、ここまで    サラリーマン風グレーのスーツのオダギリジョーさんとテレビでよく見る女優さんが祝橋で会話しているシーンのようです。ドラマのタイトルはわかりません。  会話のシーンが何度も繰り返されます。そのたびに通行人のエキストラは位置に戻って歩き直しです。通行人役も大変です。日曜日の午後なので通行人は少ないのですが、それでもスタッフは周囲に気を付けて野次馬が近寄らないようにピリピリしています。ここ事務所の窓から見ていても迷惑にならなかったかな?映らない位置と思いますが・・。  事務所内で弁当を食べながら見学、約3時間の休憩となりました。

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 ツイッター、フェイスブック等は手を付けず、頑固にブログ更新を続けております。少し日誌が滞ってきたので「つぶやき」で埋めます。手指の骨折・脱臼シリーズはあと一つ、これは次回で完結させます。

  〇 初夏のようにシャツで過ごした次の日はばかに寒い日、いつまでたっても冬服と入れ替えができない。寒暖の差が激しい4月は体調管理が難しい。  

〇 先日、保険代理店時代の仲間が多く所属する法人代理店を訪問。保険業界も吸収合併で大変革期です。厳しい時代ながら保険営業を続けている人たち・・本当にたくましい。  

〇 メディカルコーディネーターが1人辞める。しかし今月から補助者行政書士が1人加入。当事務所は厳しいけど頑張って欲しいものです。やはり優秀な人材の確保は難しい。求人が常態化しています。「雇用も縁でしょう」と達観した境地。  

〇 ネキシウムの効果すごい。胃の修復はなされたよう。しかし根本的には生活習慣の改善が必要。家に帰らない生活はやはり問題。  

〇 最近ボブ・ディランが来日したらしい。ポール・マッカートニーの来日公演も行かなかったが、また今年来るらしい。毎度、これが最後と言いながらまた来そう。ポールは前回来日に観戦した相撲にはまったよう。それでまた来るのか?  

〇 音楽ネタもう一つ。ベートーベンのピアノソナタ「月光」「悲愴」が大好き。主題程度なら自ら弾く。そして悲愴のメロではビリー・ジョエルの「This night」を歌ってしまう。GWは事務所にピアノを置こう。まぁ電子ピアノが限界だけど。

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 中断していた指シリーズ5選完結です。最後はいわゆる突き指のひどい病態、マレット変形です。指先へ垂直に衝撃を受ける「突き指」は正確には「槌指(つちゆび)」と呼びます。野球、バレーボールでボールが指先に当たり受傷することが多数例です。もちろん交通事故外傷でも可能性があります。      【病態】

 DIP関節部への外傷が原因でDIP関節の伸展機能が損傷を受けたり、DIP 関節が亜脱臼となったものを言います。屈曲を強制されて生じるもの、軸圧によって生じるものの2種があり、治療法も異なるので注意が必要です。  放置すると関節が固まってしまい、いわゆるスワンネック変形を及ぼします。

swan←白鳥の首変形(スワンネック)  ※meddic様から拝借  

【治療】

 軽度であれば亜脱臼を整復後、消炎鎮痛処置します。しかし伸筋腱損傷や骨片を伴うもの、特に軸圧損傷で脱臼骨折となった場合はスワンネックにならないよう、手術で整復する必要があります。代表的な手術は以下、石黒法です。

マレット変形石黒法続きを読む »

【病態】

 PIP関節はMP関節脱臼に同じく背側への脱臼が普通です。また脱臼の際に骨折を伴うことが多いのが特徴です。つまり脱臼骨折ということになります。中節骨の近位端(=基部:根本の関節に近い方)が脱臼すると、基節骨の掌側に骨片が付着したままになります。理由は側副靭帯が引っ張っているからです。(下図)

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【整復】

 まずは徒手整復してシーネ、テーピングで固定します。PIP関節脱臼は多くの場合、靭帯の損傷を伴っています。固定期間が長いと関節硬縮が起こりやすいので徒手整復後は早めに可動域訓練に進ませます。  脱臼骨折の場合は、骨片との癒合が得られるよう観血的手術も必要となります。靭帯に引っ張られて分離した骨片をきれいにくっけることはなかなか難しいのです。固定には専用のアルフェンスシーネが便利なようです。

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【病態】

 指が逆関節、つまり外側に強く曲げられて起きます。母指以外でのMP関節は頻度が低く、過伸展外力(指を逆関節=外側に開く)による背側脱臼がほとんどを占めます。ちなみにPIPも外側への脱臼が多いです。 MP

【整復】

 MP関節過伸展位をとっていますが、亜脱臼例の方が脱臼例よりも外見上の変形は高度です。しかし亜脱臼例は徒手整復が可能ですが、完全に脱臼をしてしまうとkaplanの井桁状の絞扼(下図)として知られる軟部組織の締め付けのために徒手整復は困難であり、ほとんど場合観血的手術が必要となります。 続きを読む »

 東京都行政書士会中央支部に移転して3か月が過ぎました。支部長はじめ、支部会の先生方の事務所へご挨拶に伺いましたが、隣駅に交通事故業務で有名なヨネツボさんの東京本社があります。本日ようやくご挨拶がかないました。転入のご挨拶だけのつもりでしたが、米中先生、大坪先生の両代表先生とお話する機会を頂きました。

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 私たちの大先輩事務所です。事務所も東京、大阪だけではなく、全国にヨネツボパートナー行政書士がいます。交通事故・後遺障害でこれだけの経営展開しているところはありません。最大手と言えます。

 業際問題から報酬計算方法、業界の最新情報まで大変勉強になりました。そして最も驚いたのは業務スタンスの相似性です。行政書士資格としてより医療調査業として仕事を捉えている点や弁護士との協業体制など、まさに私の事務所と同じです。被害者救済の精神はもちろん、病院同行を主軸としている点も大いに賛同しました。同じことを考えている行政書士が、しかも業界の最先端に存在していたのです。

 お隣の事務所と言うには僭越ですが、支部会の先輩として頼もしい存在です。

 

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【病態】

 中手骨は手の甲の5本の骨です。中手骨骨折は5番目である小指側に頻発します。中手骨の頚部骨折はボクサー骨折と呼ばれ、固いものを殴ると折れるようです。  

【整復】    10°以上の転位例では患指を牽引しながらMP関節、PIP関節を90°屈曲し、掌側より骨頭を押して整復します。 この固定法ですと皮膚壊死、屈曲硬縮が生じる可能性があるため、整復後はMP関節60°、PIP関節30°屈曲位で外固定します。

中手骨  

【後遺障害】    ベネット骨折は母指(親指)の表でしたが、母指以外の指の表を参照します。2分の1制限で「用廃」=12級10号となります。もっともこの骨折から2分の1程の関節可動域制限が起きること稀で、きちんと整復がなされれば、変形の12級相当や変形・転位が残存したの場合の疼痛=12級13号もめったにありません。やはり癒合状態が良好ながら痛むケース=14級9号の判断が多いようです。

部位

MP ...

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【病態】

 第1中手骨基部関節内斜骨折のことです(下図左参照)。母指外転筋の牽引により骨片が近位に転位(ずれる)すると手術の適用になります。

【整復】

 母指をけん引しながら外転、伸展し中手骨基部を橈側(親指側)・背部より圧迫して整復します。ベネット骨折は折れた基部が脱臼しやすい構造となっています。中手骨自体が長母外転筋の作用で外側に引っ張られ、逆に折れた基部が第2中手骨側に引っ張られるからです。このように牽引・圧迫を緩めると転位するため経皮ピンニングが必要です。経皮ピンニングとは鋼線を指に差し込んで折れた骨を固定する手術です。

ベネット

【後遺障害】

A:やはり可動域制限の計測が第一です。2分の1制限で「用廃」10級7号となります。もちろん関節可動域制限の基本通り、曲がらなくなるほどの変形、転位が前提条件です。もちろん対象はMP関節です。IP関節は受傷部から離れているのでベネット骨折と関係ないはずです。その場合は他の理由を追究しなければなりません。   B:可動域に制限なく痛み等が残れば、14級9号を抑えます。変形の12級相当や神経症状の12級13号は画像次第、相当の転位・変形がなければダメです。

 

部位

MP ...

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