先週の大阪研修会の前夜は心斎橋で飲みました。
研修会の準備は大方、東京会場で済んでいましたので、前日の打ち合わせはそこそこに、大阪の夜を満喫しました。写真から事務所全員おのぼりさん状態がうかがえます。
27~28日は大阪会場でした。 前日から全国のチーム行政書士の皆さんと合流、軽く会議を行いました。 1日目は画像ソフトを使った分析、その後、交通事故外傷概論、高次脳機能障害と続きました。 これらは何度も繰り返し研修のテーマとしてきたタイトルながら、最新情報が満載、時間がいくらあっても足りない位でした。
2日目は保険約款の一日でした。普段、自動車保険に接していない方には、非常に難解な内容です。特に人傷(人身傷害保険)は近年、各社共に約款の改定が進み、23社の支払基準を一覧表にする作業に何十時間も取られました。
大阪では弁護士先生のみならず、事務所のパラリーガル・事務員さんも参加されていましたので、理論・判例だけではなく、自動車保険の基本構造から説明しました。よくぞ眠らずについて来て下さったと思います。 続きを読む »
リハビリってどんな整形外科に通院すればいいの?と迷ってしまう方も多いはずです。今回は弊所が気付いた、ちょっとしたことをお話いたします。 毎月たくさんの病院や整形外科等に伺うのですが、初めて同行する際にはまず、病院の受付の方に注目します。受付は患者さんが真っ先に向かうところです。その受付の方たちの対応でその病院や整形外科の雰囲気や先生の感じまで分かってしまうのです。もちろん数多くの病院へ同行している弊所だからこそわかる部分も多いのですが、被害者の方でも少し分かる部分があるかと思います。
例えば、受付の方がいつも笑顔で、楽しそうに仕事をしていたり、患者さんとのコミュニケーションもしっかりしている、仕事もテキパキしている、初めての方への対応も丁寧で優しい等です。あとは受付や事務の方々の年齢層も私はよく見ます。 若い方々のみでも年配の方々のみでもなく、いろんな層の方々が一緒に働いているところはいい病院が多いと思います。
ただ、やはりそのような病院や整形外科は大抵人気があるので、待ち時間が長いというデメリットもあります。皆様がどの点に重きを置くかはそれぞれのご判断でいいとは思いますが、後遺障害申請を狙うのであれば、病院や整形外科の雰囲気に着目してみてはいかかでしょうか。
交通事故を扱う業者は数あれど、被害者救済業と呼べる業者は限定的です。 昨今、弁護士事務所を中心に「交通事故はお任せを」とのホームページが大氾濫しています。もちろん、交通事故の解決とは、主に金銭解決を計ることで、この交渉は裁判も含め、代理権を持つ弁護士の仕事です。しかし、交通事故解決の業務は裁判や示談交渉に限りません。範囲を広げれば、現場検証をする警察、自動車を修理する板金工場、ケガを直す病院・医療機関、各種補償を支払う保険会社・・たくさんの機関が関わります。
これら機関が、サービス業のように被害者に親身にケアをしてくれれば被害者の負担は軽減するでしょう。しかし、現実は被害者自身で情報を集め、相談を繰り返し、各窓口で折衝を強いられ、慣れない書類の山と格闘し、そして何より、仕事や日常を犠牲にして治療に通うのです。 そこでコーディネーターのような案内役が望まれます。これを弁護士事務所が被害者へのトータルケアとして、組織的にサービスを行ってくれれば、依頼者は大変助かるはずです。ただし、宣伝で「交通事故はお任せを!」と謳ってはいますが、受傷初期はのらりくらりと相談を受けてくれるものの、治療終了後までこれと言って動かない事務所が大半です。解決の最後の局面でようやく損害賠償金の計算と請求・交渉を担うだけで、それまでの作業にはほとんど手を差し伸べてくれません。治療先の選定も、健保切替えの手続きも、労災の請求も、検査の誘致も、医師との折衝も、自賠責保険はじめ各保険の請求も、一連の後遺障害の立証作業や異議申立ても、ぜ~んぶ、被害者がご自身でしなければならないのです。 これが多くの弁護士事務所の実態です。中には行き届いたフォローを行っている事務所もありますが、極めて少数です。なぜなら、毎度の相談会にて、”既に弁護士事務所に依頼中、もしくは相談中にも関わらず、何かと困って参加される被害者さん”があとを絶たないからです。
結局、「等級が取れてから来て下さい」(それまで何もしないで待ってます)となるのです。
秋葉事務所は弁護士ではありませんので、裁判や示談交渉は出来ません。医療調査を中心とした後遺障害の立証作業が主たる業務です。しかし、多くの弁護士事務所からお預かりした業務は後遺障害の手続きに留まりません。受傷から症状固定まで、上記に挙げた各種手続きを担っています。日々、病院同行はもちろん、書類の収集・作成に奮闘中です。この一貫した”被害者救済業”がトータルで被害者を助け、最後の賠償交渉を担う弁護士によい形でバトンを渡すことができるのです。 一生のうちで深刻な交通事故にあう事は少ないでしょう。依頼先を経験・比較することのない被害者にとって、自身を守るべき業者の選定はとても困難、運任せになりがちなのです。私達はホームページや相談会の宣伝で訴え続けていくしかありません。 このような環境ながら、口コミから相談や紹介が毎日のように事務所の電話を鳴らします。「思念、天に通ず」、大変ありがたいと思っております。時間のかかる道ですが、事務所一同、一つ一つ実績を積み上げていきたいと思います。
鬱じゃない方の山本です 交通事故で後遺障害として認定される可能性が一番高いのが14級9号です。
これは、交通事故で認められる後遺症の割合として大半を占めるのが、ムチウチや腰椎捻挫等であり、これらのうち14級9号が大多数で、12級13号が認められるケースは極少数だからです。
ムチウチ等で14級9号が認められず、非該当となる場合も多くあります。非該当のムチウチの相談者が相談会で多く見かけます。
ムチウチの多くは、骨折の場合と異なり、画像上明確な証拠がなく、症状が調査事務所に信用してもらえるかどうかにかかっています。
MRIなどの検査を実施、かつそれを提出しているのか?、通院回数は症状固定時までに相当数あるのか?、神経症状としてしびれ等があり、かつ診断書上で記載されているのかどうか?等を多角的に検討して、それが将来にわたって治らないか、治りにくい怪我・症状かどうかを調査事務所は判断します。
調査事務所が一度出した結論を覆すことは稀であることは前回述べました。ムチウチの場合も同じです。
そして、ムチウチの異議申立をする場合、症状固定後も通院しているかどうかは重要です。何故なら、後遺障害が認められる怪我というのは、上記したように、将来にわたって症状が治りきらない、または治りにくい症状を指すのであり、そのような怪我や症状に悩まされているムチウチの人は、症状固定後も自費(健康保険を適用して)で通院するのが自然と調査事務所はみているからです。
相談者の中には症状固定後には全く病院に行かなくなった方や、異議申立をするにあたって、病院に通うことに疑問を感じる方もいらっしゃいました。しかし、原則として後遺障害が認められる症状とは、残存した症状が将来にわたって治らないか、治りにくいレベルです。
繰り返しになりますが、明確な証拠が認められにくいムチウチの場合は、立証するにあたって、症状固定後の通院は重要な要素となります。
山本です。現在、異議申立案件を数件お預かりしております。 交通事故で治療しても、症状固定時期に症状が残存していれば、後遺障害の申請をして等級を認定する必要があります。
しかし、症状が残存しても、低い等級のみ認められた場合があり、最悪、等級が認められなかった場合(非該当)もあります。
相談者の中には上記結論に納得がいかず、異議申立したいという者もおります。
私たちは傷病名や残存した症状、画像、等を多角的に検討した上で、異議申立をするか否かを慎重に判断します。何故なら、全国の異議申立の成功率は約6~7%であり、調査事務所は一度出した結論を簡単に覆すことはないからです。
その数%に該当するかどうかの判断基準としては、新しい医証が見つかるかどうか、提出しきれていない資料があるかどうか、がメインとなります。中には原因不明で、想定よりも低い等級認定や非該当となる場合もありますがこれは稀です。
新しい医証が見つかる場合として、例えば、骨折した場合でも、レントゲンでは確認しづらい箇所であったことから、症状固定後に初めて骨折が確認できた場合やレントゲンやCTで骨折箇所を確認できずに放置していたが、実は靱帯や軟骨、半月板等MRIでないと確認できない(または確認しづらい)箇所が損傷していたという場合等があげられます。
また、発見できなかった骨折箇所の怪我よりも他の怪我が重く、重い怪我を優先的に治療した結果、軽い怪我の骨折を見逃してしまう場合等もあります。
これらの例の場合、レントゲンではなくCTやMRIを撮って頂き、その画像所見を診断書にまとめて頂く必要がありそうです。 つづく
堀越、初投稿! 「天は決して運命を作りはしない。人間同士を巡り合わせるだけだ」と、どこかの書物で拝読しました。果たして、そのチャンスを掴むか見送るか、或いはその無責任な罠にはまるか上手くかわすか、これは私たち人間の経験や努力と判断にかかっています。
ましてや、ご自身が選定した人物に自分の生活、大げさに言えば、今後の命?人生?を預け、利益を分かち合うのですから、これから共に手を取り合い助け合っていくパートナー選びは非常に重要です。
誰もが、交通事故が我が身にふりかかることなどあるまいと思い、事故をほとんど意識せずに、私たちは日常生活を送っています。 が故に、実際、我が身に事故や災難が起きた時にシドロモドロになってしまいます。
人生においてツイていない時ほどジタバタするのが人間の悲しい習性であります。そんな時に限って無責任な人間に出会ってしまう・・まさに二次被害となります。不幸が不幸をよび、もがき苦しんで溺れそうになるとワラをも掴む思いで弊所に来られる被害者様をたくさん見てきました。もっと早く来られていれば・・相談されていれば・・と思ってしまう場面を多々見受けられます。
上席がよく口を酸っぱくして言う言葉があります。「本当に困っている人ほど助けてあげなければ」と。 私利私欲にかられている人間に果たしてこの言葉の真意が理解できるのでしょうか。
今後の自分の人生にかかわる問題です。 私たちは窮地に追い込まれた時ほど、自分自身の人生をまるで第三者のように冷静に横目で見据え、 慎重なパートナー選びをしなければならないと思います。
先日、病院同行にて主治医が患者さんにこのようなことを仰っていました。
「あなたは標準体型よりも太っているから、その分頚部に負担がかかっている。まずは減量をしてみてはどうか?頚部の痛み等も軽減する可能性がありますよ。」
このように仰ったあと、主治医は患者さんのBMIを計測し始めました。
BMIとは、Body Mass Indexの略で「ボディマス指数」や「体格指数」とも呼ばれているそうです。肥満度を表す指標として用いられます。肥満の基準は国によって異なりますが、日本の基準では以下のようになっています。
日本肥満学会の肥満度判定基準(出典:日本肥満学会)
BMI 肥満度判定 18.5未満 低体重(やせ) 18.5~25未満 普通体重 25~30未満 続きを読む »相談会では外国籍の相談者さまもおり、1年を通して十数名程度いらっしゃいます。 お国も幅広く、中国、韓国は当然として、ヨルダン、パキスタン、ペルー、チリ、ブラジル、モロッコ、ギリシャの方の相談をお受けしてきました。来日してる就労者さんはアジア、南米が多く、比して欧米圏は少なく、本件のアメリカの方は2人目です。
外国の相談者さまと言っても、ほとんどがなんとか日本語を解し、日本語がダメでも、知人の通訳が随行して下さいます。それでも、医師との折衝には明確なコミュニケーションが必要で、本件は可動域計測のやり取りが上手く行かなかった為、等級を取りこぼしました。
外国の方で日本語が話せなくても、賠償交渉は外国人弁護士を使うことで解決します。しかし、後遺障害立証の現場では、言葉以上にコミュニケーションで勝負が決まります。
【事案】
自転車で走行中、後方よりの左折自動車の巻き込みで衝突、受傷した。肩鎖関節脱臼のGrade3、つまり完全脱臼で手術のレベルだが、 脱臼位のまま保存的加療に留まった。後遺症としては、変形に留まらず、9ヶ月のリハビリも肩関節の可動痛が改善していない。 続きを読む »
先日の研修会で23社の弁護士費用特約の比較を行いました。 補償内容・約款の比較は、各社細々と約款改定を行っていますので、実に大変な作業です。見落としはないか、チェックが今でも続いています。やはり、当日の研修会でも、弁護士費用特約の「労災免責」について、ソニー損保で該当条項の有無の検証が生じました。
私達の認識では、ソニーさんは三井住友さんと並んで「労災免責」を採用していたはずです。「労災免責」とは、”通勤や業務中の交通事故は、労災適用事故なので、自身が加入している自動車保険の弁護士費用特約が使えない、但し契約車両に搭乗中は除く”との条項です。
具体的な例で言いますと、「徒歩で通勤中、交差点で車にはねられても、自身が加入の自動車保険の弁護士費用特約は使えない」ことになります。
以前、三井住友さん他、通販系の数社にみられる、この不合理な免責条項について、疑義を表明したことがあります。⇒ 弁護士費用特約にまつわるエトセトラ ⑩
前述の通り、今回の研修会の為に最新の約款から、各社の比較を行いました。三井住友さんは相変わらず、この免責条項が健在でした。国内社では他に富士火災さんにも存在を確認しました。
通販系はソニーさんとアクサさん、と承知していましたが、なんとソニーさんの約款にその記載が見当たりません。研修会では、「重要事項説明書では免責となっています!」とK弁護士先生がその場で調べて下さいました。その場では、「約款では不記載、しかし、重要事項説明書での免責記載は有効か?」との議論になりました。
※ 重要事項説明書・・・契約の際、契約者に説明・交付する、読んで字のごとくの書類早速、研修明けの昨日、ソニーさんの約款、重要事項説明書を数年間にわたり精査、さらに直接、ソニーさんに電話でも問い合わせを行いました。
結果は、少なくとも2年前の平成26年4月以降版から「労災免責」の記載は消えておりました。
何らかの理由で削除されました。ここは不合理を理由に削除されたと、好意的に解釈したいと思います。これが保険会社の自浄作用かもしれません。 さて、残るは三井住友さん、富士火災さん、アクサさんです。 もちろん、このような細かい約款規定を比較して、加入の選択をする消費者は存在しないでしょう。しかし、自家用車に保険をつけてのマイカー通勤ではなく、歩行・自転車・他の自動車で通勤している契約者は大勢います。いざ、事故に遭い、弁護士に頼ろうとも通勤中を理由に免責となり、せっかく掛金を負担した保険から払われない・・怨嗟の声は小さくないはずです。
オリンピック開催もそっちのけ、レジュメ作成から講義まで、全23社の保険約款と睨めっこの1週間が終わりました。
秋葉が担当する科目は高次脳機能障害と保険約款です。 保険約款はどの会社も通常、毎年10月1日、秋の改定を予定していました。しかし、近時は細かい変更、特約の追加の必要から各社とも、年に数回、ちょこちょこ約款改定をしています。したがって、昨年までの約款を確認しても安心できないのです。つい先日の8月1日改正の会社もあり、研修までの1週間、23社に及ぶ約款の確認・解読作業を強いられました。
特に研修のテーマでもある、人身傷害、弁護士費用特約は毎年のごとく変更があり、また、各社、記載内容もまちまちで大変でした。10年前は、どの会社もほとんど同じ約款だったのですが・・。
灼熱の二日間、参加された弁護士先生の皆様、大変お疲れ様でした。月末は大阪会場に移ります。東京での成果と課題を持ち込みたいと思います。
最近、依頼者との病院同行や相談会で静岡に行く事が多くなりました。依頼者様と一緒に整形外科を探すことがあったのですが、【交通事故】というワードを言っただけで断られてしまったり、「交通事故として通院しないのであれば診ます」というようなところが多いような気がします。東京と違い、地方では整形外科の数もそこまで多くないので選ぶことが難しいということもあり、毎回苦労しています。しかし、どこにでもたくさんあり、交通事故でも受け入れてくれるのが「接骨院や整骨院」です。被害者の皆様にとってはとても心強い存在でもあるのですが、一度通院してしまうと抜け出すのがさらに大変になってしますのです。
先日、静岡の病院同行で、整形外科の中にこんな張り紙がしてありました。
「交通事故で通院される方へ 当院では、接骨院、整骨院との併用通院はご遠慮していただいております。併用されている場合には、交通事故としての書類等は記載いたしませんのでご了承ください。 また、事故から一定期間、接骨院や整骨院で治療された方は、交通事故との因果関係が不明瞭になってしまうため、当院での治療をお断りさせていただきます。」 確かに気持ちは分かりますが、少し大人気ないのでは?と思ってしまうのは私だけでしょうか。交通事故に遭い、一定期間の治療で完治するのであれば接骨院・整骨院はいいと思います。腕のいい先生もたくさんいらっしゃいますし、夜遅くまで営業しているため仕事終わりに通院出来ます。
しかし、交通事故においては整形外科をお勧めします。機械でのリハビリが主ですが、中には柔道整復師や理学療法士が勤務していて、マッサージ等をしている整形外科も増えてきています。やはり、まずは医師の診断(判断)のもとで治療を受けていただく事が大事です。ご自身の治療ないしは、後遺症が残った場合の障害認定や賠償問題に、その治療実績が生きてくるのではないでしょうか。
続きを読む »自賠責が単なる保険請求の審査に比して厳しく見る点、この道に熟知している者は一様に口を揃えて言います。
相当因果関係
簡単に言えば、「事故のせいで痛めた」事がはっきりしていなければなりません。後遺症を残すような大ケガの治療や診断が遅れることは、どんな言い訳(主治医がヤブで診断できなかった、他の部位を優先して治療していた・・)をしようとも、不自然極まりないのです。また、部位によっては既往症の疑いがあります。以前から痛めていたのではないか?との検討もしているのです。
したがって、事故受傷にすべての原因があるか否かについて、白黒をつけるのは大変難しい時があります。その場合、「逃げ」ではありませんが、労災での認定をもって矛を収める現実路線をとることがあります。本ケースはその典型例です。労災からの給付だけですとやや少ない補償額となりますが、争って0円よりはずっとましです。
すべての解決が明瞭ではありません。それでも私達は依頼者の利益の最大化を模索しているのです。
【事案】
自動車で通勤中、交差点で後方よりの左折車の巻き込みで受傷、膝と手首を傷めた。後にTFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)が判明した。
【問題点】
受傷後は膝の治療が中心となり、手関節の治療及び診断が遅れた。後に専門医から手関節の手術の示唆を受けるが、保存療法を選択した。治療経過から自賠責は因果関係を厳しく見てくると覚悟した。
【立証ポイント】
今年上半期、おなじみの鎖骨骨折や肩鎖関節の脱臼をはじめ、TFCC損傷、肩腱板損傷など交通事故外傷を代表する傷病名が続きました。傾向として、明らかな障害より、微妙な症状を14級9号に結びつけた取り組みが目立ちました。
被害者さんは事故で半年以上も痛い思いをして、通院やリハビリに相当の時間を浪費させられます。後遺障害の認定を受け、しかるべき賠償金を得なければ泣くに泣けません。
秋葉事務所では鎖骨の骨折・脱臼について、事務所開設以来、その全件に等級を獲得しています。諦めないで下さい。ご相談をお待ちしております。
【事案】
原付バイクで交差点を横断の際、右方よりの自動車と出会い頭衝突、鎖骨、中手骨、脛骨を骨折した。
【問題点】
年齢からプレートによる固定術を避けた。すると高い確率で変形癒合となり、12級5号が視野に入る。しかし、骨折部は鎖骨の中央部(骨幹部)で、折れ方も亀裂骨折であることから、微妙な判定を覚悟した。 続きを読む »
毎年8月は相談会をお休みしています。したがって、相談を早めにお願いします。
本日は、高次脳機能障害が予想される被害者様のご家族にご来所頂きました。今月の事故ですので、まず治療費の労災切り替え、その他治療環境作りについて打ち合わせができました。受傷の初期段階で間違いの無いロードマップをひくことができれば、先々憂い無しです。逆にここでボタンの掛け違いをすると、後に取り返しのつかない失点を食らいます。
おかげさまで高次脳機能障害は日本全国からご依頼・ご相談を頂いております。夏休み前に早めの対策を呼びかけています。
明日はこの夏、最後の相談会です。今日は早仕舞いしたいと思います。
山本です。現在、高次脳機能障害の依頼者様を担当しています。 交通事故で高次脳機能障害となる方の家族や本人から相談が来ることがあります。
脳を損傷したり、血腫で脳を圧迫したりした場合、様々な症状が現れます。記憶力が低下してたり、事故前と事故後で人格が変化したりした、等多種多様です。
高次脳機能障害を立証するにあたっては、その人の事故前と事故後の変化を分析し、病院にその症状の立証に必要な検査を依頼したり、検査ができない病院であれば検査先を紹介して頂いたりする必要があります。医師は被害者の事故前を基本的に知りません。よって、人格が変化したり、記憶力が低下してももともとそういう人だったとしか見ない場合があります。脳を損傷した場合には、医師に事故前と事故後との変化を伝える必要があります。
高次脳機能障害は脳の損傷部位によって現れる症状が変化します。これは、脳の部位によって働きが異なるからです。
一般的には以下のように考えますが、その部位を損傷したからといって必ずその症状が現れるとは限りません。これも個人差があります。また、その部位を明確に損傷したわけではないが、その部位を損傷した場合にあらわれる症状を発症することもあります。現状の考え方はまだ脳の構造が明確になっていないところがあるからです。
(1)前頭葉
前頭葉(左右含む)→遂行機能障害(旅行の計画を立てたりできなくなる)
左前頭葉→非流暢性失語(話すとき突っかかってしまう・ブローカー失語) (2)側頭葉
左側頭葉→流暢性失語(話し方は流暢であるが、中身が意味不明な会話になってしまう)・聴覚失認(会話を理解できない)
右側頭葉→地誌的障害(迷子になったり、自分がビルの何階にいるのかわからなくなったりする)
両側側頭葉の内側→記憶障害(見当識障害)(日時、場所、人の名前を憶えられない等) (3)頭頂葉
頭頂葉→失行症(日常生活の動作がわからなくなる、道具の使い方がわからなくなる)
右頭頂葉→半側空間無視(視界に入る情報の半分が脳で認識できず、何かにぶつかっても気づかなかったり、並べられた食事を半分は全く手を付けずにいたりする) (4)後頭葉
後頭葉→視覚失認・相貌失認(人の顔を覚えられない) 先月の某新聞に、脳の構造や働きに関して180の領域に分けたと米ワシントン大のチームが英科学雑誌ネイチャー(電子版)に発表したという記事が掲載されていた。脳の構造はいまだ謎なところが多くあり、前述したように、損傷部位と症状が合致しないこともあります。
しかし、脳の構造が解明されていけば、医師が家族でしか知りえない症状についても、脳の損傷部位から推測でき、効率的に検査ができれば治療やリハビリ、今後の生活で起こりうる支障等について診察ができるようになる可能性もあります。
下肢切断の後遺障害・・見た通りの障害ですので、私達の立証作業は無いと言えます。「1下肢を足関節以上で失ったもの」で5級決定です。
本件は”残ったもう一方の脚の障害”を立証すべく奔走した例です。下肢に限らず、医師は重篤な受傷部位の治療・処置に終始します。骨折箇所が多いと、ひびが入っただけの骨折、処置の必要の無い骨折、保存療法とする骨折・・これらは診断名すら残らないこともあります。
しかし、障害を余す所なくアピールしなければ、等級を取りこぼします。そのような意味で、本件は切断肢の5級を3級に引き上げた好取組です。私達は後遺障害を常に複眼的な視点で追いかけています。 切断肢は近年、医療の進歩で減ったと言えますが・・
【事案】
青信号の横断歩道を歩行中、相手自動車が右折進入し、両足をひかれた。片足は大きく損傷、そのダメージから整復不能で切断となった。もう一方の足甲も中足骨多発骨折、膝下からデグロービング損傷と重篤。
※ デグロービング損傷とは”広範囲皮膚剥脱”創のことで、皮膚が組織ごとはがれてしまった状態です。ひどいと傷口が壊死し、植皮等が必要となります。
【問題点】
事故から1年以上経過後、症状固定し、後遺障害診断書が出来てから相談に来られた。
下肢の切断については、特に立証作業はない。診断書を確認したところ、切断肢以外の傷病名として、中足骨骨折、肘骨頭骨折、デビロービング損傷、が記載されていた。
一方、切断しなかった片足の足関節の可動域は、他動値で背屈が0度、底屈が35度であったが、足関節に器質的な損傷がみられない。しかし、本件ではひどいデグロービング損傷がある。これにより皮膚が固まり、足関節の可動域制限が生じていると推測した。
また、診断書に足指5本とも用廃レベルの可動域制限があった。