高次脳機能障害の原因となる、脳外傷の急性期によく行われる手術について解説します。最近担当した被害者さんもこれを行いました。   <硬膜下血腫>

 脳の表面と頭蓋骨の間には硬膜と呼ばれる硬い膜があります。硬膜と脳表の隙間は硬膜下腔と呼ばれています。硬膜下血腫はここに出血が起きることです。交通事故などの外傷で出血する場合、「急性硬膜下血腫」の診断名がつきます。また、頭の打撲後およそ1~2カ月経過して、この硬膜下腔に血液が徐々に貯留するケースは、慢性硬膜下血腫です。 貯留した血液(血腫)量が少なく、脳に対する圧迫が軽度であれば深刻な症状とはなりませんが、血腫が増えて脳実質を強く圧迫するようになると、半身麻痺や言語障害などの神経症状を呈し、高次脳機能障害の原因となります。受傷初期では意識障害を来たし、圧迫が増大し続ければ命を落とします。  続きを読む »

 出張続きで、またしても事務が大渋滞!明日も長野ですが、順次、頑張って仕上げていきます。

 先月から高次脳機能障害の認定結果がいくつかでています。立証の努力が実り、納得の等級が認定されました。  高次脳機能障害は他の部位に比べて、想定したより高い等級が認定されることが多いように思います。医師の診断と家族の観察データを、書類のみで患者を一度も診ない(”見ない”が正しいかな)審査会の面々がどうとらえるか?一部の数値で測るのではなく、全体像をみて総合評価をしていると思います。今回は医師の診断は7級レベル、神経心理学検査の数値は正常値なので、外傷の程度(画像上の所見)からすれば12級程度、家族の観察は9級相当・・・立証上、整合性をつけるのに苦労しました。

 結果は7級が認められ一安心ですが、今後裁判で相手の保険会社の猛烈な反撃が予想されます。例えば、「家族の観察では9級が妥当ではないか!」と被害者側の揚げ足取りに躍起になるはずです。それでも最初の等級認定にて、しっかりと上位等級を獲得した優位さは揺るぎません。賠償交渉上の戦術も幅が広がります。しばらくは弁護士との打ち合わせが続きそうです。             交通事故解決の道のりで2つの山があります。後遺障害等級認定は最初の大きな山です。後の賠償交渉という山を前に、絶対に軽視できない頂です。この登山道において、被害者の道案内をするのがメディカルコーディネーター(MC)の役割です。地味な役割のせいか現場ではまだ足りていません。法律家として事務所にどんと座り、賠償金の計算だけしている先生はたくさんいるのですけどね・・・。

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 今日は早朝から仙台、今戻りました。

 高次脳機能障害の立証に必要なこと、それは・・・

1、家族の綿密な観察

2、主治医の理解

3、検査設備のある病院

 被害者さんとご家族、主治医と面談するため、受任した弁護士と共に入院先まで訪問しました。 本日のミッションは上の3つが揃っているかを確認することです。

 まずご本人のお見舞いを済ませます。回復が進んでいるようでなによりです。その後、主治医と面談です。まず経過と展望をお聞きし、さらに病院内における言語聴覚士等の専門スタッフ、検査設備の有無にまで話を進めます。そして先の症状固定に向けて、今後の検査の協力を依頼します。病院と医師が被害者の運命を左右するからです。  その後、奥様と打ち合わせをしました。日常の観察、エピソードの記録をすること、現在の保険の加入状況、そして今後の流れを説明します。高次脳機能障害の立証には家族の協力が欠かせません。

 こうして障害立証担当の秋葉、保険会社との折衝と賠償交渉を受け持つ弁護士、治療・リハビリ指導を担う主治医、そして家族…交通事故解決チームが揃いました。受傷後、早期にチーム編成ができれば、事故は良い解決へ向けて一直線に進みます。  後は相手の保険会社さん、お手柔らかにお願いしますよ!

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 この病院は、患者本人が閲覧を申込み、そのうえで開示分の請求を行います。被害者と共に病院へ出向きました。

 ずいぶんと解決が長引いている件です。事故日が平成17年4月26日です。高次脳機能障害が否定された被害者さんですが、否定の理由は「高次脳機能障害の3要件」を満たしていないからです。

高次脳機能障害認定の3要件

①傷病名が以下のように確定診断されていること ・脳挫傷・ びまん性軸策損傷・びまん性脳損傷・急性硬膜外血腫 ・急性硬膜下血腫・外傷性くも膜下出血・脳室出血 ・骨折後の脂肪塞栓で呼吸障害を発症し脳に供給される酸素が激減した低酸素脳症

② ①の傷病についての画像所見 ・XP  ・・・頭蓋骨骨折とそれに伴う脳損傷を確認できます。 ・CT  ・・・冠状断といって輪切りにスライスした画像を確認します。連続した画像は脳委縮の確認が容易です。 ・MRI ・・・T2フレアーなどで点状出血や脳委縮等、病変部を確認します。

③ 頭部外傷後の意識障害が少なくとも6時間以上続いていること、もしくは健忘症あるいは軽度意識障害が少なくとも1週間以上続いていること

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 先週土曜日は静岡まで講演会を聴きに行きました。掲題の通り、高次脳機能障害の当事者・家族の支援団体が主宰の講演会です。

 プログラムは以下の通り。

1、講演『高次脳機能障害の理解』  

  橋本 圭司 先生 (国立成育医療研究センター・リハビリテーション科医長)

2、対談 高次脳機能障害 当事者 & 橋本 圭司 先生

3、『高次脳機能障害当事者の就労支援を考える』 シンポジウム

 片桐 伯真 先生 (聖隷三方原病院リハビリテーション科部長)

 S さん (○○障害支援センター相談員)

 T さん (作業療法士)

 内容は橋本先生の高次脳機能障害の解説と対処法の講義、当事者との対談を前半とし、後半は就労支援に携わる先生方の取り組みを紹介するものでした。    高次脳機能障害の方は不可逆的で回復しないものと言われています。しかし一方では多くの医師により回復の研究、努力も続けられています。臨床の現場で多くの患者を診ているのが橋本先生です。最前線で多くの症例を把握している、とくに小児・幼児の脳障害では国内第一人者です。(先月もお世話になったばかりです)  先生の講演で印象的だったことを一つ。「高次脳とは人間の高いレベルでの脳の働きであり、それが失われてしまうことは、より人間らしくなったとも言えます。」 人間の高いレベルでの脳の働きとは、物事を計画する能力、暗記する能力、感情を抑制する能力、行動を指令、コントロールする能力などです。これらが壊れてしまうと、段取りが悪く、忘れっぽく、感情的で、思いつきで行動する・・・つまり多くの人間に共通する弱点がでてきてしまう。『人間だもの』by相田みつお なのです。 この前向きな見方、新鮮な発想は当事者はもちろん、家族をも勇気づけるものです。 続きを読む »

 九州初上陸! 日曜日、早朝の便で博多に降り立ち、相談会に参加、お手伝いをしてきました。

 高次脳機能障害の相談がありました。ご家族の観察を聞き、脳の画像をチェック、現在までの治療経過を確認しました。今後、障害の立証を左右するのは、病院の検査体制、主治医の理解の二つです。脳外傷の治療ができる病院でも、必ずしも障害の検査設備がそろっているわけではありません。むしろ「当院は治療に限定なので、検査はよそでやって」と割り切っている病院の方が普通なのです。また担当する医師も、くも膜下出血や脳腫瘍の患者を助けることが一義であり、その後の微妙な障害に対して、関心が薄まっていきます。

 このような環境から高次脳機能障害は見落とされやすい障害と言えます。この日の相談者も治療してきた病院から、障害を立証するための検査体制のある病院、回復のためのリハビリ訓練ができる病院を探す局面にきています。検査先への誘致や医師との打ち合わせにコーディネーターの調整作業は不可欠です。したがって北九州へ何度か足を運ばざるを得ないかもしれません。それだけ高次脳機能障害立証に長けた法律関係者は少ないのです。

 「高次脳機能障害は任せて下さい!」・・・(医学書丸写しですが)専門的な知識を掲載している法律関係者のHPがたくさんあります。私は少し変に思っています。年間わずか3000件程度が認定される障害です。この少ない被害者者のなかで、法律家が関与しているのは1割程度と思います。なぜなら被害者請求の割合は後遺障害の申請全体で10%を切っているからです。90%は事前認定(加害者側の保険会社に認定手続きを任す)なのです。ほとんどがきちんと検査をせずに、不十分な診断書を調査事務所へ提出して審査をしているのではないかと思います。それらを除くとして、全国で一年間に300件が法律家の手によるもと推測します。ひと月あたりたった25件です。この数ではそんなにたくさんの「専門家」がいるはずがない?と思いませんか。

 交通事故110番のマニュアルを片手に、年間1~2件扱った程度で自信満々、「高次脳機能障害に精通しています」と胸を張ってもらっても困ります。被害者と家族はその人生がかかっているのですから。

 夜はフグ料理に舌鼓を打ちました。今回の相談会へは交通費・宿泊費等、全くの手弁当でした。晩御飯くらいは奢ってもらわないと(笑)

  

 フグ尽くしで”しびれ”ました・・・翌日は大阪で仲間と打ち合わせ、先ほど東京に戻りました。

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 遅れがちの日誌も追いついてきました。

 さて今年を振り返る時期です。今年もたくさんの交通事故相談会に参加しました。正確な集計データは年明けに発表しますが、ざっと数えただけでも30回、一回平均12人としてもおよそ360人の被害者さんとお会いしたわけです。

 ほとんどの被害者は何らかの解決策を講じて前へ進ませます。しかし、どうにもこうにもらちがあかない被害者さんもいます。それは謎の重症、因果関係のはっきりしない症状を訴える患者です。この方たちのほとんどが骨折や入院などの重症事案ではなく、むち打ちや打撲捻挫を契機として、受傷から日を追うごとに悪化し、ひどい症状に陥ります。当然、加害者側の保険会社は詐病(うその病気)、心因性(心の病気)として、冷たい対応に切り替わります。保険会社だけではなく、病院ももてあまし気味、さらに自らの職場や家族にとっても困った存在に陥ります。

 

そこで心因性?と疑われる、今年の被害者、難病・奇病 年間ベスト10

 

1 MTBI 脳の傷病名もなく、些細な衝撃で脳障害を訴える… 今年、堂々の1位を獲得! 不定愁訴を訴える患者はすべてMTBIと診断する医師の活躍のおかげか?この業界での勢いはAKB48並み。 2 脳脊髄液減少症 ムチ打ちで脳の髄液が漏れた! 続きを読む »

 本日は高次脳機能障害の神経心理学検査の結果を主治医に提示し、確定診断を仰ぐために医師面談を行いました。珍しく弁護士先生と同行しました。そこであることを思い出しました。

 以前、高次脳機能障害をテーマとした弁護士向け研修会で、ある弁護士からご質問をいただきました。

Q 「神経心理学検査の検査結果は絶対的な判断基準にならないのではないか。検査の数値が証拠として裁判上それほど重視されないのではないか?」  高次脳機能障害の神経心理学検査は、記憶・記銘検査、知能検査、遂行・注意能力検査等、様々な角度から患者を観察します。これらの検査数値はいずれもケガをする前の検査数値と比べ、その劣化を確認する必要があります。当然ながら知能指数など個人差がありますので、年齢別平均値と比べるだけでは正確な知能の低下が測れません。ましてやケガの前にこのような専門検査を受けている方などほとんど存在しません。

 したがって前述の弁護士の言うとおり、「絶対的な証拠価値はない」・・・ひとまずこれが正答です。

 では、逆に質問ですが、目の前の依頼者の障害立証に対し、この弁護士はどのように戦うのでしょうか?

 以前、30ページに及ぶ弁護士の作成した”高次脳機能障害裁判の陳述書”をみたことがあります。弁護士から被害者を丁寧に観察し、意見をまとめたものです。文章の内容は「私の見るところ、被害者は明らかに事故後、異常となった。医学書によると、云々・・・」が主張されています。しかし弁護士の意見と言えど、医師でもない専門外の第三者の観察に過ぎません。頑張って主張しても、患者家族の「日常生活報告」以下の判断材料にしかなりません。このような陳述書では確実に負けます。

 高次脳機能障害で成果を上げている弁護士は、当然ながら充実した医証を収集しています。各種の検査結果とそれに対する医師の診断書、意見書、それらを添付した資料、陳述書を山盛り用意します。

 高次脳機能障害のような繊細な障害の立証は、ある検査結果のみをもって「障害の有無」を判断するものではありません。自覚症状(家族の観察)、それに合致する神経心理学検査の結果、対応する受傷部位が明らかな脳の画像、そして専門医の診断、これらを矛盾なく一致させること、一つの線とすることが肝要です。この作業を記憶、知能、遂行能力等、障害のある部分ごとに丁寧に検証していきます。これが立証作業です。緻密な情報の積み重ねによって、自賠責調査事務所や裁判官のような第三者に障害の有無・程度を納得してもらうのです。

 絶対的な証拠となる近道はありません。したがって先の弁護士に対する回答は「絶対的な証拠など元々ありません。しかし相対的には重要な役割となります。」となります。続けて「では検査結果(武器)も無しに、どうやって主張する(戦う)のですか?」と逆質問になってしまうのです。

 「弁護士を丸腰(医証なし)で戦場(裁判)に行かすわけにはいきません!」

 ・・・これが私の結論です。

 私たちMC(メディカルコーディネーター)の仕事を認知している弁護士事務所は医証という武器の調達に余念がないので、良い戦いを展開しています。  逆に医療立証の重要性に理解が及ばない弁護士の場合は・・・最初は意気揚々と保険会社と交渉に入ります。しかし相手保険会社の顧問弁護士、顧問医が用意する、(障害を否定する)意見書に立ちふさがれて、真っ青になって妥協案の回答を持ち帰ります。そして被害者に「ここで矛を収めた方が得策だ」と説得に入ります。何のために弁護士を入れたのか?これは事実上、負け以下の「戦闘放棄」です。これが交通事故交渉の多数例、実態です。依頼した被害者は浮かばれません。                                            私たちが連携する弁護士はしっかり戦います。今日武器調達に同行した弁護士先生も然りです。                      

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 先日の弁護士セミナーにて、S先生の講義から得た事がたくさんありました。研修資料をもとに、いくつかの論点を語っていきたいと思います。

 まず、MTBIと高次脳機能障害の区別についてです。これは以前も取り上げてきたテーマですが、数千件の高次脳機能障害の評価とMTBI患者の診断を行ってきたS医師の解説で、ようやく一定の理解を得ました。

 MTBIは外傷軽度脳損傷の略で、WHOの基準が良く知られています。これをベースに行政側が障害認定をする上で高次脳機能障害と区別しています。    詳しくは 👉 高次脳機能障害の立証 13 <新認定システム> 6    言葉通り、外傷による軽度の脳損傷(と推測される)患者は、現実に多くの症例が報告されています。臨床上の基準であるMTBIは、PTSDや高次脳機能障害の症状を含み、症状の類別はかなり広範囲です。問題はこの診断名が、補償制度や労災、自賠責などの対象外のものとする、行政側の定義と混同することにあります。臨床診断からの「広義のMTBI」と、補償制度の認定基準外と位置づける「狭義のMTBI」、このダブルスタンダードをS先生はご指摘されました。これは後日詳しく解説します。    ・・・S先生は、まずMTBIの症状について説明下さいました。以前、S先生の診断に一度立会ったことがります。患者に対し専門用語を控え、例え話や道具を使い、とてもわかりやすいものでした。    今回の研修では「あしたのジョー」を引用して下さいました。S先生へ敬意を込めて、秋葉なりに追補、まとめました。  

まず「あしたのジョー」を30秒で説明

 1968年連載のボクシング漫画。テレビアニメ放映、アニメ映画化。最近は山下智久さんの実写版も公開されました。

 主人公、矢吹丈という不良少年が南千住 泪橋にふらりと現れます。そこで元ボクサーの丹下段平に見いだされ、ボクシングの指導を受けます。

 その後、少年鑑別所を経てプロボクサーとなり、鑑別所で出会ったボクサー力石 徹とリングで再戦します。しかし試合直後、力石はジョーのパンチがもとで死亡してしまいます。そのショックでスランプに陥るもののカーロス・リベラとの戦いで復活します。

 その後も数々の強敵と戦い、自身もパンチドランカーとなりながら、ついに世界チャンピオン ホセ・メンドーサと対戦します・・・  

強敵カーロス・リベラ戦、そして廃人となったカーロス

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 WPPSI(ウィプシイ)とはWechsler Preschool and Primary Scale of Intelligenceの略です。 

 高次脳機能障害の検査で定番の知能検査、WAIS-Ⅲ(ウェイス)の子供版です。ウェクスラー式知能検査それぞれ年齢別に数種類あります。WPPSI(幼児用 3歳10ヶ月~7歳1ヶ月 45分)、WISC(児童生徒用 5歳~16歳11ヶ月 60分)、そして成人用がWAIS(成人用 16歳~74歳 60~90分)です。  ウィプシィは幼児向けの精密な知能検査として高い信頼性と安定性を得ています。

動作性下位検査 言語性下位検査 動物の家 続きを読む »

 交通事故・後遺障害の立証に必携、交通事故110番「部位別マニュアル」に新刊が加わりました。

平成23年3月の改定に準拠、「新基準対応版」です。等級申請手続きや裁判でもまだ手探りの感がある障害ですが、最新データとともに多くの実例を盛り込みました。高次脳機能障害を担当する弁護士、行政書士、医療関係者、各関係団体の皆様へ是非お手に取っていただきたく思います。

『交通事故 後遺障害診断書 高次脳機能障害』  著者 宮尾 一郎 (NPO法人交通事故110番 理事)     秋葉 祐二 (行政書士)

 ご購入はこちら→ http://jiko110.com/scb/shop/shop.cgi?No=86

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 脳に損傷を受けたり、頭蓋底骨折(脳の下とあごの骨の間にある薄い骨)があると、視覚、嗅覚、味覚、聴覚などに障害を起こすケースがあります。脳そのものの損傷の場合、それらの感覚を認識する「回路の故障」です。頭蓋底骨折の場合は、その周辺部において、脳から通じる神経が切れたり、損傷を受け、神経伝達が絶たれる事を原因とします。これは「ケーブルの断線」ですね。  いずれも眼科、耳鼻咽喉科にて受診し検査をします。回路の故障かケーブルの断線か、原因の特定は脳外科ですが、匂いがしない、味がわからないといった障害の有無、程度の検査はそれぞれの専門科になります。

味覚検査

1、電気味覚検査

 まず首にアース極線の首輪をはめます。続いて舌の前後左右の表面に電極を当て、微弱な電気を流します。ピリッときたら手持ちのボタンを押します。「ピーッ」と鳴ります。このように舌の神経が生きているか否かを判別します。  こっちまでピリッとしそうです。最初は恐る恐る検査していた患者も徐々に慣れてきます。所要15分程度でしょうか。

              

2、ろ紙ディスク法

 ピンセットの先の脱脂綿?に薬をつけ、順番に舌に当てていきます。そこで感じた味を申告します。これも舌の左右に分けて判定します。味を変えるたび、頻繁にうがいをします。

 甘味、塩味、酸味、苦味の4種の識別です。回答には無味も含まれます。素朴な疑問として四川料理の好きな私は「辛みはないのですか?」と検査中の看護師に質問しましたが、「辛みはないです」と冷たくあしらわれました。

 検査表はカラーで色を塗ったものや、下図のようなグラフを用います。

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 昨日は都内の某耳鼻科へ。脳の障害を原因する嗅覚、味覚の異常を訴える被害者さんをお連れしました。

 医師から検査の立会についてご許可を頂きました。私は出来るだけ検査に立会うようにしています。まさに被害者と一心同体で進める立証作業です。しかしそれだけではありません。実際に体験、見学すると障害への理解がぐっと深まります。書物だけの知識ではぼんやりしたイメージしか持てませんが、見たもの、体験したものは段違いです。

嗅覚

1、T&Tオルファクトメーター

 甘い匂い、焦げた匂い、腐敗臭 等々・・・5種類の匂いを試験管のような筒の先につけて、それを嗅いでもらい、濃淡0~5まで段階評価します。特に腐敗臭は同じ部屋にいても匂ってきます。この強烈な匂いが匂わないの?・・・嗅覚が完全脱出した被害者さんもいました。時間はおよそ20分程度です。           

2、アリナミンPテスト

 もう一つの嗅覚障害の有無や程度を調べる検査です。静脈性嗅覚検査と呼ばれています。ニンニク臭を感じるようになる注射液を静脈という血管に注射し、ニンニク臭を感じ始めてから消えるまでの時間を測定します。注射液が静脈から肺に流れ、それが呼気に排出され、後鼻孔から嗅裂に達し刺激臭になります。この注射開始から臭いの感覚が生じるまでの時間:潜伏時間、臭いの感覚が起きてから消えるまでの時間:持続時間としてその間隔を開始〇秒、消失〇秒として測定します。  アリナミン・プルスチルアミンとはニンニクとビタミンB1の化合によりできるもので、市販されているビタミン剤に含まれています。元気になる、元気が持続する薬です。検査した被害者さんは「甘い」匂いを感じたそうです。  他にアリナミンFテストがあります。これもアリナミン・フルスルチアミンというビタミンB1誘導体で多くのアリナミン剤の主成分です。  このフルスチルアミンを使った検査は自賠責、労災の審査では参考数値程度として重視されません。ではPテストとFテストで何が違うのか?薬品の成分も親戚のようなものです。検査方法も同じですし・・・今度医師に質問してみます。  

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  昨日は高次脳機能障害が疑われる被害者の病院同行でした。主治医との面談が目的でしたが、急患の為、診断は別の医師が対応し、面談はかないませんでした。

  通常、主治医と面談し、今後の検査、書類について協力を仰ぎます。そして多くの場合、専門的な検査設備や人材がいないので他院への紹介状を頂くことになります。治療のための検査は行うが、障害の立証についての検査は消極的です。検査と治療はまったく別物と考えている病院がほとんどです。特に脳神経外科部門ではそれが顕著です。日々、くも膜下出血や脳梗塞で運ばれてくる患者の対応に1分1秒を争っています。脳外科の医師は超多忙なのです。当然ながら医師も一定の治療を終えた患者に対して興味はなくなります。高次脳機能障害が見落とされやすい障害である理由がよくわかります。この環境で障害を立証するのですから、必要な検査と専門医の診断、それらを落とし込んだ診断書を完璧にそろえるのは難しい。単に病院同行して書類作成を代行するだけでは済まないことが多いのです。高次脳機能障害の評価が可能な病院を確保する必要があること、この仕事に携わっている者なら常識です。

  HPを検索しますと、様々な専門家が高次脳機能障害について積極的な取り組みを喧伝してます。美辞麗句に惑わされることなく選ぶコツ・・・検査・評価のできる病院に誘致できるか否か?これを依頼する前にしっかり確認すべきです。

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 初の横浜相談会、首都圏会議も他士業を巻き込み拡大路線ばく進中です。

 今回印象に残った相談をいくつか箇条書きで。

1、上肢の短縮障害は?

 自賠責保険の認定項目に下肢の短縮障害があります。しかし上肢、腕の短縮については項目がありません。認定上、明らかな障害であれば「相当」という判断をすることがありますが、基準外としてばっさり非該当とする場合もあります。今回の相談者は重篤な骨折、筋損傷の為、可動域制限はもちろん、見た目でもわかる短縮障害となっています。この被害者の障害を立証するために、各士業の連携で総力をあげて取り組みます。

2、なぜに高次脳機能障害が認定されない?

 診断書にしっかり「高次脳機能障害」が書かれているのにまったく無視されています。何故か?  昨年の高次脳機能障害認定基準の改訂で、「疑わしき案件」は調査事務所が医療照会、本人・家族への照会用紙を送ることで「見落とされない」工夫が盛り込まれました。しかしそのような様子もなく、認定結果の理由書でも触れられてません。理由は実に明快でした。提出先はJA(農協)の自賠責共済だったのです。JAでは高次脳機能障害の特別な審査機関がありません。つまり審査担当者が「高次脳機能障害をさっぱりわからない」状態で事務的に判断、処理したものと思われます。  今後、自賠責保険の窓口がJAの場合、気を付けなければなりません。

3、なぜに14級が否定された?

 頚部神経症状、治療実績と一貫性、それなりに条件を満たしているのになぜか非該当の被害者の相談です。私たちもあれこれ非該当の理由を探します。そしてどうやら突き止めたのはMRIの提出がなされていない事でした。骨折等の明確な外傷がない場合で、「局部に神経症状を残すもの」を明らかにするのは軟部組織を描出するMRIが絶対的です。しかしこの被害者さんは「外傷性を明確にする所見がない」との医師のコメントから提出を控えてしまったのです。確かに外傷によるヘルニアや椎間孔の狭窄などは滅多な事では起きません。しかし年齢変性を伴った頚部に、外部からのショックによって神経症状を惹起(じゃっき)する・・・これが外傷性頚部症候群の「引金論」の説明です。  本例は深読みしすぎた失敗例と言えます。

4、何とかして14級を取れないものか・・・

 骨折、腱損傷等、器質的損傷が問われる後遺障害。しかしそれらがないと、いくら痛みが治まらなくても打撲・捻挫の扱いとして後遺障害は否定されます。医学的な常識では捻挫・打撲は一定期間で腫れが引き、「治るもの」なのです。  痛みの残存を訴えるご夫婦の相談者ですが・・・いろいろと知恵を絞って検討しましたが・・・最後には「同乗のワンちゃんはケガしませんでしたか?」と、犬のケガにまで及びました。「ワンちゃんで14級を取れないか」、一瞬真剣に考えてしまいました。  ちなみにペットのケガは法律上、所有物とされ、物損扱いの損害となります。      そして中華街へ・・・

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平成23年4月の改定事項において高次脳機能障害の「疑わしい案件」について事前照会をかける、といった件がありました。これについて照会方法と用紙が判明しましたので報告します。  (高次脳機能障害を扱う法律職者必見!)

 <まず改定内容のおさらい>

 後進障害診断書において、高次脳機能障害を示唆する症状の残存が認められない(診療医が高次脳機能障害または脳の器質的損傷の診断を行っていない)場合・・・

 高次脳機能障害(または脳の器質的損傷)の診断が行われていないとしても、見落とされいる可能性が高いため、慎重に調査を行う。具体的には、原則として被害者本人および家族に対して、脳外傷による高次脳機能障害の症状が残存しているか否かの確認を行い、その結果、高次脳機能障害を示唆する症状の残存が認められる場合には、高次脳機能障害に関する調査を実施の上で、自賠責保険(共済)審査会において審査を行う。

 つまり「高次脳機能障害をよくわかっていない医師にあたってしまった場合でも、一応、高次脳機能障害を疑って調査をする」、ということです。今までの冷たい門前払いからの進歩ですが、すべてにおいて提出書類がものをいいます。つまり後遺障害の申請が書類審査である以上、書類の完備という基本は変わっていません。今までは門前払い案件に対し、異議申立てをする際にこれらの書類を追加提出していました。たとえばカルテや看護記録の開示を行い、家族の申述書(受傷時~現在の症状)を作成、添付する等です。したがって最初から調査事務所が疑わしき案件に対し、家族と医師に「症状の照会」をかけてくれるのなら一定の救済が果たせます。本来、全件そうすべきと常々思っていました。

 では照会はどのように行われるか?

 医師、本人(ご家族)に対して、以下の用紙を送り回答を求めます。これは高次脳機能障害の診断書に添付する重要な副診断書とも言うべき書類です。高次脳機能障害にたずさわる者にとってお馴染みのものです。新しく照会用紙を作ったわけではなかったようです。(少し肩すかし)

医師に対して → 「神経系統の障害に関する医学的所見」    

http://www.jiko110.com/topics/syoshiki/koujinou/2-02.pdf

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 毎月のように高次脳機能障害の被害者が相談にやってきます。まず最初にご家族から相談がもちかけられる事が普通ですが、本人が単独で相談に見えることがあります。  はたしてこの方は高次脳機能障害なのか?ご自身で電車を乗り継いでやってくるわけですからそれほど重篤と思えません。お話しを伺ってもよくわかりません。同居のご家族の観察や意見をきかないと判断できないのです。

 何故か? 以下解説します。

 経験上、「私は高次脳機能障害です」と自覚している方は稀です。ほとんどが、「何かおかしい」、「家族からおかしいと言われた」位の認識です。高次脳機能障害の障害者の最大の特徴は「病識の欠如」です。「病識」とは自分が脳のケガで、認知や記憶の障害を負っていると自覚していることです。  はっきり自覚・自己診断している人は ×障害者 → ○心身症 と思えてなりません。

 話を戻します。このように稀に単独で訪ねてくる相談者には「よくわかりません、家族と一緒にまた来て下さい」と家族の同伴の上、再来を求めます。そして後日家族からの聴取によって記憶障害や性格変化のエピソードが語られ、やっと障害ありとの認識に至ります。  そして今後の立証作業にご家族の検査同伴はもちろん、日常生活報告書作成、その他最大限の協力が必要となります。障害者本人だけでは立証作業は絶対にできません。  軽度の記憶障害は度忘れ、言語障害も多少言葉がでないだけ、性格変化は多感な時期だから? 被害者の異変はどんどん回復するはずであるとご家族は期待しがちです。脳外傷による障害は一般的に不可逆的(回復不可能)なものです。ご家族も冷静な判断、対応が必要です。  

ある相談者(被害者の奥さん)とのエピソード。

私   「日常生活であれっ?と思ったことを教えて下さい。」   奥さん「はい。主人に食事をだしたら、『いつもありがとう』と言いました。」

私 「それがどうしてですか?」

奥さん「結婚以来、初めて言われましたよ!これで主人はおかしくなったと確信しました。」 続きを読む »

 高次脳機能障害の研修会での質問から~「神経心理学検査の成績には年齢差、個人差があると思いますが、良い悪いはどうのように判断されるのでしょうか?」。  

 なるほど・・・神経心理学検査の多くは年齢別平均点数、もしくはカットオフ値が設定されています。年齢ごとに平均値がありますので年齢による数値修正は可能です。カットオフ値は「この点数以下は障害あり」となる目安です。そしてこの点数自体は障害の絶対的な判断基準とはなりません。これら数値を分析し、診断につなげるのは脳神経内科医、脳神経外科医の仕事です。加えて検査をしたST(言語聴覚士)のレポートも重要な分析となります。    しかし個人差まではいかがでしょう?これは難しい問題です。実例から説明しますと・・・

 Aさんは現場の肉体労働です。子供の頃から体育が得意で勉強は苦手でした。そして17歳で就職、現場でバリバリ活躍しています。  Bさんは小学校から常に学年トップの成績、そしてパソコンが大得意です。大学を卒業し大手企業に就職、プログラマーとして活躍しています。

 さて、この同世代(年齢差は3歳)の両者が高次脳機能障害となってしまいました。知能検査であるWais(IQ)の成績をみてみましょう。

 Aさん IQ70 平均以下です。 Bさん IQ100平均値です。 Aさんの方が重い障害かな・・・しかし!

 Aさんは元々のIQ90位?(やや平均以下)、BさんはIQ140(入社試験でやったそう) 

 だとしたらどちらが重い障害でしょうか?

 それ以外の検査もAさんの方が数値が低いのですが、元々の能力を考えるとBさんの方が能力の落ち込みが大きいと思えてなりません。

つまりIQ100=平均値だから日常生活に困らない、平均的な能力を保っている、と判断されては困るのです。事実Bさんはシステムのプログラムを制作する仕事へ復帰すべく努力を重ねています。しかし短期記憶障害、ワーキングメモリー(日常や仕事上のごく短期間の暗記)障害でそのような高度な仕事はまったく無理です。メール、ワープロ程度しかコンピューターが扱えません。一方Aさんはコンピューターなどからっきしダメです。それは事故前も後もかわりません。

 日常生活を基準に考えればAさんの方が重い障害、しかし元々の能力を基準とすればBさんの方が重い障害に?。しかし事故前の知能検査の数値が残っていた!なんてことは一度もありません。

 う~ん、悩んでしまうところです。

       研修の質問によって浮上した課題がいくつかあります。それらを立証マニュアルに加筆掲載していきます。締切は明日!徹夜必至です。

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 昨日に続き、MTBIについて。

 先月の弁護士研修会において、「MTBIと高次脳機能障害の区別」を解説しました。限られた時間、30分でこれを解説するのは少し無理がありました。ざっくりとした内容になってしまい、頂いた質問にも完全にお答えできませんでした。

 MTBIの医学的な考察は専門書がいくつか出版されていますのでそちらを参考にしていただくとして、「交通事故相談」「後遺障害立証」という立場から、もう少し踏み込んでお話する必要があります。

 以前、「平成23年4月新認定システム」シリーズで集中掲載したものに加筆修正し、現在執筆中の立証マニュアルに織り込む予定です。先んじて今週末の弁護士研修会において追補版レジュメを配布します。その一文をUPします。

 ご参加の弁護士先生の皆さん、交通事故110番と協力行政書士は責任回答をモットーにしています。十分にお答えできなかったことについては誠実に追加・修正をします。不十分な回答、間違った回答のままにしません。つまりリコールは積極的に開示します!

 

 <追補版から抜粋> MTBIって言葉をご存知でしょうか?これは Mild traumatic brain injury=軽傷頭部外傷 の略語です。  外傷性のない、もしくは希薄な頭部の受傷により、脳障害を残すものとしておおむね認識されています。  症状の臨床実績は比較的新しく、90年代湾岸戦争で爆風にさらされた帰還兵で一定の認知・記憶・情動障害を残す例があり、TBI(外傷性脳損傷)の診断名がクローズアップされました。そして必ずしも脳損傷、脳外傷がないケースも多数含まれ、M(マイルド)をつけてMTBIという呼び方が一般化されました。  これはベトナム戦争の帰還兵がPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、傷病名が一般化された経緯によく似ています。    高次脳機能障害は「脳の器質的損傷」が前提である以上、MTBIは高次脳機能障害とは認められていません。したがって高次脳機能障害が疑われる障害を残しながら脳外傷がない=MTBI、と位置づけられる患者が少なからず存在します。    当然自賠責や労災の基準に満たないこれらMTBI患者は障害認定されません。平成22年9月の高裁判決で障害を認める判決がでたとされましたが、判旨をみるとMTBIが障害認定されたとは読み取れません。この判決も周囲の誤解・曲解を呼び、依然として灰色的な存在が続いています。高次脳機能障害に携わる者にとって、まさに奥歯に刺さったとげです。  続きを読む »

 先月の弁護士研修会の最後のコマで「高次脳機能障害とMTBIと区別」について30分ほど講義しました。

 脳の器質的損傷によって認知、記憶障害となった、遂行能力の低下や注意障害となった、性格変化がおきたものを高次脳機能障害と呼びます。しかし中には脳に損傷がないか、わずかの損傷で同じような症状を示す患者さんがいます。これを現状MTBIというカテゴリーで分類しています。

 平成23年4月の新認定システムでもMTBIは「永続的ではない症状」「治るもの」「長引くのは精神的なものが考えられる」とし、高次脳機能障害とは距離を置いています。22年9月のEさん裁判での9級認定もMTBIの診断名において認めれれたとは捉えていません。

  しかし現実にはにいらっしゃるのです・・・

① 脳にはっきりとした外傷がない 

② 画像上「異常なし」とされている

③ 受傷直後に意識障害がない

  なのに、短期記憶障害(ひどい度忘れ)、ワーキングメモリーの障害(直前にした事、発した言葉をまったく記憶していない)、性格変化(キレやすい)に悩まされている被害者さんです。

 なかには「こりゃ高次脳だ、MTBIだ」と簡単に判断できない患者もいます。この判別は非常に難しく、講義でも「(経験を積んだ上での)勘です」と言ってしまいました。

 何を無責任な!と怒られそうですが。 判別の方法としてあと一つだけ挙げるとしたら・・・

 「高次脳機能障害の患者は病識がない」  

 病識とは「自分はケガや病気で〇〇という障害を負っている、」と自覚できることです。

 これがMTBI患者となると「私は高次脳機能障害なんです」もしくは「私はMTBIです」とはっきり自己主張します。この自信満々度が高ければ高いほど高次脳機能障害とは思えなくなります。脳に障害を負うということは大変重篤な障害なのです。そんなにはっきり自己分析はできないはずです。

 それでも、これは精神疾患の影響か薬の影響か?もしかしたら画像や意識障害が見落とされているのでは・・・迷ってしまうこともしばしばあります。

 今日も難しい被害者との面談でした。しかし診断名、画像所見、意識障害の高次脳機能障害認定の3要件がすべて揃わないので自賠責の審査上では可能性は0です。しかし見落としがないか、もう一度主治医面談、医証の確認をする必要があります。その被害者や家族の人生がかかっています。安易な判断はできないのです。

              

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