頚椎捻挫が認定されると、おまけに腰椎捻挫・認定もついてきます。これはお馴染みのパターン。しかし、本件は足首の捻挫までもが認定されました。このような大サービス?は初です。

 まるで、「今なら3個つけて、お値段据え置き!」通販番組のノリです。調査事務所の運用基準は非公表ですが、「ついでの認定」は聞いてみたいことの一つです。

今なら3個・・1個でもいいのに

14級9号:足関節捻挫(30代女性・茨城県)

【事案】

自動車に搭乗中、優先道路を直進中、信号のない交差点で右方から来た自動車に衝突される。直後から頚腰部痛のみならず、手足のしびれ、頭痛等、強烈な神経症状に悩まされる。

【問題点】

相談時には治療費を打ち切られており、接骨院を併用していたため、通院回数もそれほど多くはなかった。

【立証ポイント】

初期から診断名のあった足関節のことは無視して、頚椎・腰椎に絞って後遺障害申請を行った。もちろん、足関節のMRI検査などするはずもない。頚椎捻挫での14級は狙い通りだが、ついでの腰椎認定はおろか、なぜか足関節まで14級が認定されている。足関節捻挫のみの診断名で申請すれば、すぐに非該当の回答が返ってくるのだが・・。

頚椎・腰椎の捻挫以外の部位で、捻挫の認定は立証が難しく、毎度苦労するものです。しかし、本件はここぞとばかりに14級をくっつけてくるあたり、なにか狙いがあるでしょうか? 調査事務所の担当者に意見を伺いたいものです。 続きを読む »

20120117  下腿骨は脛骨と腓骨の2本の長管骨です。これも大腿骨に同じく、きれいにポキッと折れた場合は、わりと問題なく癒合します。しかし、骨折箇所が膝関節と足関節に接近すればするほど、後遺症は必至となります。手術での整復が完璧であっても、関節部の完全回復は難しいようです。下記実例が示すように、日本一を名乗って良いくらい、あらゆるパターンの下腿、足、足指のケガが網羅されていますが、その多くは関節部です。

 また、折れた骨が皮膚を突き破ってしまう、いわゆる開放骨折は感染症の危険にさらされます。MRSAなどに感染すると、骨折面の骨を洗うというより、ゴリゴリ削らなければなりません。これで、癒合が相当に遅れてしまうのです。難治性骨折となった患者さんは、感染症に対応できる病院、イリザロフ法などが可能な病院に転院しなければなりません。だらだらと何ら対策せず、骨癒合を待つだけの病院にいてはいけません。下肢の障害では何度もその悲劇をみてきました。早めのご相談をお願いします。まず、最善の治療を選択すべきです。障害等級は低いに越した事はありません。  

 

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 大腿骨は太ももの骨です。経験上、ポキッときれいに折れた場合、癒合もよく、深刻な障害が残りません。やはり、深刻となるのは、股関節部、膝関節部の骨折です。人体の関節部は精密にできており、この部分に骨折が及べば、ほとんどのケースで何らかの障害を残します。また、骨折が無くとも膝の半月板や靱帯の損傷も厄介です。 c_g_l_7720150410_3  骨折後の変形から靱帯損傷、半月板損傷、膝関節の可動域制限あるいは動揺性・・秋葉事務所では、同部位ほとんどのケガが網羅されています。  

 

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 かつて、4肢骨折、つまり、腕と脚4本すべて骨折した被害者さんや、高次脳機能障害と骨折4箇所、内臓損傷に嗅覚味覚障害、醜状痕が重なった重傷者も担当してました。これらは実に4人分の立証作業になります。

 本件も残存する症状が多肢にわたり、両手首と右脚のケガがメインながら、被害者さんの転勤で治療先が大阪と東京に分かれ、医師の見解にもばらつきがあって、大変な作業となりました。山本の奔走で結果的に併合9級になりましたが、併合等級の計算上、14級をいくら加えても等級は上がりません。すると一見、無駄な努力に思われます。しかし、引き継いだ弁護士が賠償交渉をする上で、障害の部位数が多いことが慰謝料増額の交渉材料になりうるのです。

 何より、被害者の心情としては、被ったすべての障害をしっかり認めてほしいのです。   山本さんイラストsj山本は大阪と東京の病院を2往復!  等級を完璧に捉える姿勢は、もはや、後遺障害界のアーティストか?  

14級9号:前十字靭帯損傷、14級9号:距骨骨挫傷(40代男性・東京都)

【事案】

オートバイで交差点直進中、対抗右折自動車と衝突、その衝撃で左側路外に逸脱、転倒した。受傷から、両手首、左膝、右足首、臀部に強烈な痛みが生じる。

【問題点】

当初の診断名が右橈骨遠位端骨折、左手関節部挫傷・打撲となっていたが、その後すぐに自宅近くの病院に転院し、左手に関しては左有鈎骨骨折、左膝捻挫の各診断となった。ところが、その時点では前十字靭帯損傷、右距骨骨挫傷の診断名が記載されていなかった。事故から2カ月経過後、ようやく左前十字靭帯損傷、右距骨骨挫傷の診断名が確認できた。その後、PTSD、網膜裂孔等次々に診断が増えていくことになった。

相談会では、現在の症状の確認と手持ちのすべての画像を確認することから始まった。網膜裂孔についてはすでに後遺障害診断書にまとめられていたが、診断書や症状を確認して、PTSDと共に等級は認められない可能性を説明し、残りの両手首の疼痛・可動域制限、左膝の疼痛と不安定感、右足首の疼痛でそれぞれ等級を確保すべきと説明した。

また、転勤で地元を離れて東京に住むことになったため、手術・検査が可能な治療先の確保も急いだ。

【立証ポイント】

膝のMRIを確認したが明確に映っておらず、専門医に診て頂く必要があった。大阪まで病院同行したが、地元の主治医は下肢の治療についてはあまり関心を示さず、膝や足関節の専門医の紹介状は書いて頂けなかった。症状固定をする前にどうしても下肢について検査をする必要があったこと、また引越し先で本格的な治療をする必要があったことから、なんとしても紹介して頂く必要があった。そこで、主治医に以前リハビリのために紹介して頂いた東京の整形外科へ行き、下肢の治療の必要性を本人と共に伝え、膝についての専門医の紹介状を入手することができた。ひとまず膝について先に診察、検査を実施して頂くことに成功する。

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 本件は足関節の機能障害ですが、ご高齢ながらご本人のリハビリ努力である程度の回復を果たしました。 kansetu_4 もちろん、被害者最大の努めは回復努力です。しかし、適切な時期に症状固定をしないと、中途半端な回復で後遺障害等級が薄まります。何度も言いますが、これは後遺障害等級・賠償金を目当てとした姑息な作戦ではありません。骨折の場合、折れ方や手術内容、癒合状態や理学療法の成果、これら画像所見を中心とした各情報から自賠責は可動域制限の程度を検討します。ゴニオメーター(右写真の関節用分度器)の計測数値だけで全てが決まるわけではないのです。

 本件は特に、高齢者の三果骨折です。若い人がよく治ったとして、12級は間違いないと予想できます。しかし、本来は10級の後遺障害を想定すべき程の骨折様態でした。リハビリ直後の一番コンディションが良い時の計測値が障害の数値でしょうか? 高齢者の場合、症状固定後も回復が進むとは思えません。むしろ、若い人と違って再生力が弱く、活動量が少ないため、可動域が悪化する懸念を持ってしまうのです。    すると、本件の12級は正しかったのでしょうか?   akiba やはり、適切な時期に10級の審査を仰ぎたかった。「事故の後遺障害に加齢による悪化を予想、斟酌すべきか?」・・あくまで症状固定日の状態で診断する、が正しいです。 それでもお婆ちゃん子だった私は、お年寄りの被害者にはそう思ってしまうのです。  

12級7号:足関節脱臼骨折(70代女性・埼玉県)

【事案】

横断歩道を歩行横断中、対抗右折自動車の衝突を受け、受傷。足関節は三果骨折となり、プレート固定術を施行。その後、関節可動域の改善の為、リハビリを継続した。 三果とは下図、脛骨・脾骨の遠位端の角を指します。この距骨に接する骨の接合面が骨折して脱臼するので、関節の機能障害はほぼ確実となる。 続きを読む »

 靱帯損傷はそれが画像所見で明らかにならなければ、単なる捻挫となります。

 もちろん、捻挫であれば、消炎鎮痛処置を施せば月日と共に完治するでしょう。しかし、画像上、微細な(もしくは不明瞭な)靱帯損傷であっても、疼痛がいつまでも続く被害者さんを多数経験しています。その場合、無事に14級9号に収める仕事が望まれます。そのためには、できるだけ受傷初期から誘導していく作業になります。つい、捻挫扱いでMRIを撮っていない、湿布を貼るだけで病院に行かない・・確定診断の遅れもさることながら、適切な処置をしなければ改善すら遅れてしまいます。

 捻挫程度で保険会社がいつまでも治療費を払ってくれるわけはありません。長期の治療を確保するためにも14級が必要なのです。例え14級でも、最終的に慰謝料・逸失利益は主婦で200万円近くも増額するのです。 佐藤イラストsj佐藤がしっかり担当しました!  

14級9号:内側側副靭帯損傷(30代女性・埼玉県)

【事案】

道路工事の警備中、停止させていた車が急発進、衝突され受傷した。直後から腰部痛のみならず、足の強烈な痛みに悩まされる。

【問題点】

アルバイト中であったため、救急車は呼ばずに自力で帰宅して当日は整骨院で応急処置した。次の日に総合病院へ受診することに。その後1ヶ月間、病院の通院が空いてしまった。依頼を受けて、即、軌道修正に入った。

【立証ポイント】

次の日に受診した総合病院でレントゲン、触診により膝関節内側側副靭帯損傷となり、転院先のMRIでも所見有りとの診断となった。しかし、弊所の分析ではMRI画像上、明らかな断裂等、損傷は見つけられなかった。そこで、半年間しっかりリハビリするよう促し、14級9号認定を目指した。 想定通り、認定票の理由書では画像上、損傷等の明らかな異常は認められずとも、症状の残存を認めていただいた。続きを読む »

 下肢の実績例が溜まってきたので、シリーズで紹介します。

hiza まず、膝の損傷ですが、太ももの大腿骨、すねの脛骨、どちらを骨折しても、それが膝関節に近ければ、多くの場合で膝の靱帯や半月板に影響が生じます。したがって、靱帯や半月板の損傷を観察し、膝関節の機能障害(可動域制限or動揺性)や短縮障害、骨折部の変形や転位、最後にキズ跡である醜状痕を含め、複眼的に障害を追いかける必要があります。

 当然、併合や相当など自賠責のルールに熟達した者が設計図を描く必要があります。その作業は残念ながら医師の領分ではありません。医師の仕事はあくまで障害を残さずに治すことに尽きます。また、弁護士先生も相応の経験なくしては、間違いの無い後遺障害認定に漕ぎ着けません。

 繰り返しますが、後遺障害の申請とはくじを引く様な当てずっぽうな作業ではなく、設計図通りの併合等級に向けて計画的に進めるものです。  

合11級:大腿骨骨折・後十字靱帯損傷(50代男性・東京都)

【事案】  続きを読む »

山本さんイラストsj連続で!

⑤ デビロービング損傷による場合

 これまでの可動域制限について後遺障害が認められる場合として、骨折や靱帯損傷等の他覚的、客観的な所見が認められる場合に信用される旨、説明してきました。

 今回は骨折も靱帯損傷、神経損傷もない場合の可動域制限についてです。

 デビロービング損傷とは、広範囲皮膚剥脱をいい、交通事故の場合ですと、交通事故の際に皮膚を巻き込んではがれてしまう場合を指します。はがれた皮膚を外傷後すぐに合わせればそのまま再接着して元に戻ることがあります。しかし、損傷があまりにもひどい場合や、皮膚がはがれた後、摩擦熱などで火傷した際に皮膚の再接着・再生ができない場合があります。再接着できなかった場合の手術方法として、植皮術(別の部位から皮膚を切り離して移植する方法)、皮弁術(損傷した皮膚の隣接部位から血流のある皮膚を覆いつなげる移植方法)があげられます。

 皮膚がうまく皮下組織に接着したとしても、大抵は醜状痕が残ります。そこでも等級は認められる場合がありますが、手術後、皮膚が固まってしまい、関節が動かなくなることもあります。 この場合、骨折等をしていない部位であっても、デビロービング損傷によって他覚的、客観的な所見が認められることになります。

 皮膚を原因とする可動域制限はレアケースですが、弊所の記録にあります。⇒ 足関節の機能障害  

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 下肢切断の後遺障害・・見た通りの障害ですので、私達の立証作業は無いと言えます。「1下肢を足関節以上で失ったもの」で5級決定です。

 本件は”残ったもう一方の脚の障害”を立証すべく奔走した例です。下肢に限らず、医師は重篤な受傷部位の治療・処置に終始します。骨折箇所が多いと、ひびが入っただけの骨折、処置の必要の無い骨折、保存療法とする骨折・・これらは診断名すら残らないこともあります。

 しかし、障害を余す所なくアピールしなければ、等級を取りこぼします。そのような意味で、本件は切断肢の5級を3級に引き上げた好取組です。私達は後遺障害を常に複眼的な視点で追いかけています。 図1切断肢は近年、医療の進歩で減ったと言えますが・・

併合3級:下肢切断・足関節機能障害+足趾用廃(90代女性・千葉県)

【事案】

青信号の横断歩道を歩行中、相手自動車が右折進入し、両足をひかれた。片足は大きく損傷、そのダメージから整復不能で切断となった。もう一方の足甲も中足骨多発骨折、膝下からデグロービング損傷と重篤。

※ デグロービング損傷とは”広範囲皮膚剥脱”創のことで、皮膚が組織ごとはがれてしまった状態です。ひどいと傷口が壊死し、植皮等が必要となります。

【問題点】

事故から1年以上経過後、症状固定し、後遺障害診断書が出来てから相談に来られた。

下肢の切断については、特に立証作業はない。診断書を確認したところ、切断肢以外の傷病名として、中足骨骨折、肘骨頭骨折、デビロービング損傷、が記載されていた。

一方、切断しなかった片足の足関節の可動域は、他動値で背屈が0度、底屈が35度であったが、足関節に器質的な損傷がみられない。しかし、本件ではひどいデグロービング損傷がある。これにより皮膚が固まり、足関節の可動域制限が生じていると推測した。

また、診断書に足指5本とも用廃レベルの可動域制限があった。

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 骨折の後遺障害は画像審査に尽きます。

 関節が曲がらない、痛みが残った、骨が出っ張っている・・その根拠はすべて画像です。1.受傷時の折れ方、2.手術の固定後、3.癒合状態、この3段階を観れば、訴える症状が裏付けられます。 20140508_6  秋葉事務所では医師面談の際、出来るだけ医師と一緒に画像を観て、予想される後遺症の検討、もしくは、現実に訴えている症状との照らし合せを行っています。ここでの判断が審査側である自賠責・顧問医と同じ見解になれば、問題なく等級が決定します。

 したがって、骨折案件は申請前にほぼ等級の予断が可能です。あとは、間違いの無い等級に収めるべく、該当所見について医師に診断書への記載を求め、関連する必要資料を集積するだけです。

 等級申請とは、当てずっぽうにくじを引くような作業ではありません。自賠責の判断を正確な事実に導くために、審査側に問題点をわかりやすく示し、その審査を助ける材料を集めて預ける作業です。

 これが秋葉事務所が提唱している”被害者側の医療調査”です。  

12級13号:踵骨開放骨折(50代男性・東京都)

【事案】

バイクで交差点を横断中、対抗右折自動車と衝突。右股関節の寛骨臼、右足の踵骨を骨折した。 続きを読む »

 残念ながら、後遺症や賠償問題にまったく協力していただけない医師がおります。

 当たり前ですが、医師の本分は治すことです。治らなかった症状をせっせと診断書に書く・・もっとも面倒な仕事なのです。    交通事故被害者は長い治療の末に症状固定し、その後は治療費を絶たれ、後遺症で不自由な生活を強いられます。治療後の補償問題、それは被害者の人生がかかっていると言っても過言ではありません。治療に全力を尽くしてくれた医師には感謝しますが、後遺障害立証のための検査や、後遺障害診断書にもなんとかご協力を頂きたいのです。

 もちろん、補償問題にも心を砕いて下さる医師が多数です。しかし、どの職業にも、極端な主義者、天邪鬼がいるもので、そのような医師に当たったら、患者はたまったものではありません。残念ながら、見切りをつける決断が必要です。

 医師の性格で数百万円を失うわけにはいかないのです。  

12級7号:脛骨近位端骨折(70代女性・埼玉県)

【事案】

原付バイクで交差点を横断の際、右方よりの自動車と出会い頭衝突、鎖骨、中手骨、脛骨を骨折した。脛骨は「プラトー骨折」で、骨折部をスクリュー(ねじ状の金属)で固定した。 c_g_l_55

【問題点】

幸い各部の骨癒合は順調であった。年齢から脛骨のスクリューは抜釘しない方針だったが、骨折は関節面であったため、可動域への影響から抜釘することに。また、膝関節症の既往症があった。

一番の問題は主治医が診断書の記載や、後遺障害診断に非協力的、リハビリ希望も「うちではやらない」そして、「後遺症は無い」と常に患者に対して高圧的。本件被害者も「もう、あの先生に会いたくない」とまで言う始末。

【立証ポイント】

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 「経験豊富です」・・どのホームページでも謳われている宣伝文句です。    秋葉事務所もご他聞に漏れず、経験を売りにしています。しかし、比べれば具体性に大きな違いがあると思います。それは、本件の「腓骨神経麻痺」はじめ、「排尿障害」や「骨盤骨折」などレアな傷病名、そして「高次脳機能障害」「脊髄損傷」のような重傷名、これらが専門書を丸写しした解説ではなく、実際に受任、立証に成功した実例から語られている点です。    宣伝はあくまで客寄せ、誇大、お手盛りの類です。派手な宣伝に踊らされることなく、自らの障害について、実際に経験のある事務所へご相談を頂きたいのです。

 そして、秋葉事務所の実績ページをご覧になる、多くの被害者さまへの参考となるよう、実績で語る姿勢を堅持していきたいと思います。    それでは、今年上半期の下肢の障害について、シリーズでご紹介します。   

併合9級:腓骨神経麻痺・足関節脱臼骨折(40代男性・東京都)

【事案】

バイクで交差点を横断中、信号無視の対抗右折自動車と衝突。 脛骨遠位端、腓骨骨幹部、足関節脱臼、足根骨、中足骨を骨折、プレート固定術を施行。この情報だけで10級以上を予断した。

【問題点】

骨癒合が進み、リハビリも順調、しかし、足関節及び足の親指は自らの意志では、わずかしか動かない。腓骨神経麻痺である。症状固定まで周到な準備を重ねる必要がある。

【立証ポイント】

完全麻痺ではなかったが、神経伝導速度検査を指示、早くに有用なデータを備えた。症状固定時は主治医に面談、足関節・足指は自動値での計測をお願いした。  sinkei1続きを読む »

山本さんイラストsj 山本の膝シリーズ完結!

 膝下の足の骨は、内側の太い骨が脛骨、外側の細い骨を腓骨の二つに分けられます。交通事故で膝を強打した場合、これらの骨の各骨頭部分(膝付近)を骨折する場合があります。 脛骨であればプラトー骨折という傷病名で診断されることがあります。 20120117  これまでのシリーズで述べた通り、膝を骨折した場合、可動域制限による等級や痛み等の神経症状で14級9号や12級13号の等級が認められる可能性があります。

 しかし、腓骨骨頭を骨折した場合、骨折部位ではなく、まったく別部位の足関節や足のゆび(足趾)に影響が出ることがあります。

20150310続きを読む »

山本さんイラストsj シリーズです

 今回は、膝の靱帯を損傷した場合の立証について述べていきたいと思います。

 靱帯損傷でも交通事故から半年を経過したところで、骨折をしている場合には、骨の癒合ができているかどうかを確認してからですが、症状固定時期です。

 この点、症状として膝の痛みのみであれば、14級9号か12級13号が認められる可能性があります。器質的損傷、ここでは膝の靱帯損傷がMRI画像上明確であれば12級13号を狙えます。

 これに対して膝の動揺性が残存した場合は、8級7号(動揺関節で労働に支障があり、常時固定装具の装着を絶対に必要とするもの)、10級11号(動揺関節で労働に支障があるが、固定装具の装着を常時必要としない程度のもの)、12級7号(動揺関節で通常の労働には固定装具の装着の必要がなく、重激な労働等に際してのみ必要のある程度のもの)、が認められる可能性があります。一番認められやすいのが12級7号です。

 しかし、自覚症状で膝の動揺性のみを訴えても、上記等級は認められません。動揺しているかどうかを医師に検査して頂く必要があります。具体的には、以下の2つが必要です。   (1)徒手検査について

 内側側副靱帯や外側側副靱帯を損傷した場合、内・外反動揺性テストが必要です。これは、仰向けの患者のふくらはぎを持って、膝を左右(内側・外側)に動かして、実際に動くか(揺れるか)どうかを診る徒手検査で、診断書には何cm(mm)と記載して頂く必要があります。

 前十字靭帯を損傷した場合、前方引き出しテストやラックマンテストという徒手検査が必要です。これは脛骨を前に引っ張って実際に動くかどうかを診るものです。

 これに対して、後十字靭帯を損傷した場合、後方押し込みテストという徒手検査が必要です。これは脛骨を後ろに押し込んで実際に動くかどうかを診るものです。

 これらも診断書に何cm(mm)と記載して頂く必要があります。   (2)画像所見について

 前回述べましたように、MRI画像上で靱帯損傷が認められることがまず必要です。

 しかし、動揺性を立証するには、MRIだけではなく、ストレスXP撮影という特殊な撮影による所見が必要です。これは、上記徒手検査で動く方向に足を動かした状態でレントゲン撮影をする方法です。実際に膝を動かす場合、医師やレントゲン技師が手で直接引っり、動揺性・不安定性を明らかにする手法です。

 専用の検査器具として、「テロス」(写真 左)、最近では「ニーラックス」(写真 右)という機材を使用する方法もあります。しかし、弊所や仲間の弁護士事務所や行政書士事務所の情報を集積しますと、「ニーラックス」で動揺性の立証に成功する可能性は現時点では低いことがわかりました。自賠責ではストレスXPを審査対象として堅持しているようです。 20120823 main続きを読む »

山本さんイラストsj山本が解説します

 膝には4つの靱帯があります。

・膝の内側にある内側側副靭帯(MCL)、 ・膝の外側にある外側側副靱帯(LCL)、 ・大腿骨の後方と脛骨の前面とを結びつける前十字靭帯(ACL)、 ・大腿骨の前方と脛骨の後面とを結びつける後十字靭帯(PCL)、 c_g_l_32  膝の靱帯を損傷すると、膝の痛みがでたり、膝を支える作用が機能しなくなるため、膝が揺れたりすること(動揺性)があります。交通事故では、膝を骨折(高原骨折等)した場合に併発することがあります。そのため、はじめはプレート固定をして膝が曲げられなくなるので、揺れが生じるかどうかはわかりません。骨が癒合すればプレートを外しますので、その後に揺れが生じているかどうかがわかります。

 さらに、この揺れを放置して歩いたり立ったりすると、膝の支えが不十分なため、大腿骨と脛骨に挟まれている半月板に強く負荷をかけることで半月板が損傷することがあります(変形性質関節症)。 続きを読む »

山本さんイラストsj  半月板とは、膝関節の大腿骨と脛骨の間にあるC型をした軟骨様の板を指します。これは、内側、外側にそれぞれあります。 c_g_l_33  この半月板は、大腿骨(モモ側)と脛骨(すね側)の各部分のクッションのような役割や、歩いたりする際にバランスをとるための役割をはたしています。

 半月板を損傷した場合、膝の曲げ伸ばしの際に痛みやひっかかりを感じたりします。ひどい場合には、膝に水(関節液)がたまったり、急に膝が動かなくなり(ロッキング状態)、歩けなくなるほど痛くなることもあります。

 交通事故の場合、骨折や靱帯損傷と共に損傷することがありますので、注意が必要です。半月板は骨ではないのでXPでは写りません。MRI撮影で明確な所見が必要です。この点、例えば、大腿骨等も骨折した場合、プレート固定をすることがあり、金属が入っていると、MRI撮影で反射してしまい(アーチファクト)、損傷を確認できなくなることがあります。

 半月板の大部分は血液を送り込んでいる血管がないため、再生が非常に難しいです。半月板損傷に対する治療法は、温熱療法や薬物療法、痛み止め等の内服、リハビリの保存療法が中心となります。さらに、放置すると変形性膝関節症に発展する可能性があり、手術をする場合もあります。

 交通事故から半年で症状固定時期です。それでもなお、上記症状や、軋轢音がする場合、それらは後遺症ですので、後遺障害診断書に記載して頂く必要があります。その際、医師には、①マクマレー・テストや②グリティング・テストを実施して頂く必要があります。 c_g_l_34続きを読む »

山本さんイラス  本日は山本が解説

 脛骨高原(プラトー)骨折とは、足の脛骨の近位端を指し、端的に言えば、膝のすぐ下の部分の骨折です。

 骨折の内容としては様々で、例えば、骨が割れるように折れて、左右に分かれたりする場合や陥没するように潰れたりする場合、等があります。なお、後者の場合、腓骨骨折している場合もあります。

c_g_l_55 手術方法としては、プレートで固定する手術や関節鏡を利用した手術があります。手術後は骨の癒合を待ちます。

 交通事故の場合、事故から半年後に骨が癒合していれば基本的に症状固定時期です。その時期に痛みやしびれ等の神経症状があれば、14級9号、12級13号が認められる可能性があります。

 さらに、脛骨高原骨折は、膝関節の動きに大きな影響を与えます。よって、上記症状だけでなく、膝の動き、屈曲運動が制限される場合があります。膝の屈曲運動で可動域制限が認められた場合、4分の3制限(正常値は基本的に130度で、ここでは100度です)であれば12級7号、2分の1制限(65度)であれば10級11号、4分の1制限(15度)であれば8級7号が認定されます。 kansetu_21続きを読む »

山本さんイラス 本日は山本が担当

 膝蓋骨とは、俗にいう、膝の皿のような骨です。これは、大腿骨の遠位端(太ももの骨の一番下)付近で浮いているように存在しています。

 この骨の役割は、一般的に膝関節(靱帯等を含む)を守ったり、大腿四頭筋の機能を助けたりすること等と言われているそうです。

c_g_l_31 もし交通事故で膝蓋骨を骨折した場合、最初は保存的にギプス固定し、その後の治療方法としては(1)手術か、(2)保存療法、等を選択することになります。前者は、基本的にキルシュナー鋼線、ワイヤーでの固定術を指します。簡単に言えば、膝蓋骨が割れていくつかに分かれた場合に針金で固定する方法です。  これに対して後者は、膝蓋骨が少し欠けているレベルでしか折れていないような場合に、くっつくのを待つことをいいます。

 膝蓋骨が骨折した場合、症状としては、痛みが出ることがありますが、上記したように、少し欠けたレベルであれば、痛みが出ない場合や、怪我をしてからしばらくすると痛みが消える場合があります。

 相談者の中には、膝蓋骨骨折で膝の動きが悪くなっているので、可動域制限で等級が認められるかという相談される方がおりますが、基本的に可動域制限で等級が認められる可能性は低いです。何故なら、膝蓋骨が膝の屈曲運動で影響が出ることは少ないからです。痛みで曲がらないことはよく伺いますが、痛みはいずれ引くものなので、可動域制限では等級は認めにくいのです。よって、骨の癒合後(事故から半年後?)、まだ痛みが残存している場合、14級9号か12級13号が認められる可能性があります。

 この点、膝蓋骨骨折後、痛みが残存しているだけでなく、(遊離)骨片が残存している場合があります。これらはレントゲンでも確認できることはありますが、(3D)CTで確認して頂くようにすることをお勧めします。

 ただ、膝蓋骨を骨折しても、身体機能に影響はほぼ無いため、仮に遊離骨片が存在していたとしても、12級13号が認められることは少ないです。また、中途半端に癒合している場合もあり(遊離していない)、14級9号が認められる可能性が高いと言えます。  

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 自賠責保険の等級は、大勢の後遺症の被害者・不特定多数を一応区分する独自ルールに過ぎません。

 と言いつつも、その等級が賠償額の根拠となり、それを後の任意交渉で覆すことは困難です。仮に弁護士が裁判で自賠責が認定した等級を否定、上位等級を主張しても、変更はめったにありません。いくら訴えても裁判官は「自賠責に差し戻して等級をもう一度審査して、確定してきて下さい」と逃げます。自賠責等級は医学的な判断に関してそれだけ権威があるわけです。 裁判官差し戻し  実態よりも低い等級となってしまった場合、弁護士の交渉に委ねる前に自賠責への異議申立てで等級を固めることが一つの必勝パターンになります。本件の場合、人工関節の手術をすれば自賠責の基準上、容易に10級となります。裁判上で難しい議論をせずとも、自賠責の審査で立証できるのです。弁護士と呼吸を合わせ、案件を引き継ぎました。秋葉事務所の活躍場はまさにここにありです。

 何より被害者の人生がかかっています。諦めるわけにはいきません。6年越し、粘り強く認定を引き出しました。  

12級7号⇒10級11号:脛骨近位端骨折 人工関節 異議申立(40代男性・静岡県)

【事案】

以前、12級13号を12級7号に変更させた案件です。(←詳しくはクリック)

【問題点】

実態では12級を上回る後遺症です。その後も膝の回復は思わしくなく、依頼者様は大型トラック運転の仕事が事実上できなくなっていました。それでも自賠責の基準では10級に届かなかった。

これ以上の等級は数年後予想される「人工関節」への手術しかない。それから2年、その時はやって来た。

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 開放骨折の場合は、骨が皮膚の外に出てしまいます。これは骨の中にばい菌が入り、感染を起こす可能性が非常に高くなります。処置はデブリードマンと言って、傷口はおろか骨までガリガリ削るように洗浄します。それで一安心ではなく、その後も骨折部位に直接にプレートや髄内釘を接触させた結果、感染を起こし化膿性骨髄炎を引き起こす可能性を残します。ひどいと切断の可能性も予想されます。  kaihou開放骨折のガステロ分類  感染症はMRSA(methicillin‐resistant Staphylococcus aureus メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)と呼ばれ、抗生物質が効きづらいので、開放骨折の場合は医師から最も警戒されます。   met  ○ 黄色ブドウ球菌は、基本的に弱毒菌のため、私たちの抵抗力がしっかりあれば、特に重症化することはありません。 MRSAはこの黄色ブドウ球菌の仲間で、性質は黄色ブドウ球菌と一緒ですが、耐性遺伝子を持っており、抗生物質が効きにくくなっています。その為、治療が思うように進まず、患者の抵抗力だけが頼りになる場合が多いのです。重症化すると敗血症、髄膜炎、心内膜炎となり、骨髄炎などに陥って死亡する事もあります。   ○ 緑膿菌は土壌・水中・植物・動物(ヒトを含む)などあらゆるところから分離される常在菌で、ヒト・動物はもちろん、植物にも病気を起こすことがありますが、その病原性は低く、抵抗力のある人はデブリ洗浄で傷口をきれいにすれば、通常は発病することはありません。   続きを読む »

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