毎年、7月は相談会の回数が多くなります。相対的に参加者が多いようです。8月はまったく相談会を実施しないことも影響しますが、夏休み前にしっかり対策しておきたいところです。    さて、昨年からセカンドドオピニオン(既に、契約もしくは相談している法律家・業者があるにも関わらず相談をご希望されるケース)の増加について、何度も言及してきたところです。今年上半期も相変わらず増加の一途です。すっかり珍しいことではなくりました。もう、この流れは普遍的なのでしょう。    多いパターンは以下の通り・・

1、依頼したが、何も動いてくれない。等級がでるまで場当たり的な対応の先生。

2、一度も弁護士に会ったことがないが契約が成立している事務所。

3、異議申立てを希望も「医学的なことはわからない」と居直り、対応しない先生。

4、HPの解説が詳しいので会ってみたけれど、何もわかっていない先生。

5、以上から委任解除を求めると、弁護士費用特約にどう考えても(何もしてくれないにも関わらず)法外な違約金?を請求する事務所。    これらの相談に、毎回、頻繁に出くわします。    2、のように違法性を帯びるケースは問題外ですが、このような対応をしている専門家(?)を責めても仕方ないでしょう。結局のところ、そのような業者を選んだ依頼者(被害者)さんにしっぺ返しが帰ってくるということです。事故の解決に向けて、しょっぱなからしくじっています。お金を出して依頼しているのにも関わらず、何かと書類を書かねばならず、方々に動き回って・・何事も自分でやらなければならず、へとへとになってしまいます。肝心の先生は最後になって賠償交渉をちょこっとやっておしまい。もちろん、交通事故はそんな簡単な業務ではありません。そのようなコンビニ感覚の先生の解決では結果も芳しくないでしょう。早く気付いて依頼先を代えることができればよいのですが、手遅れになることも往々に起きます。

 いずれにしても、事務所、先生によって対応に差があることを認識しなければなりません。専門家にもそれぞれ守備範囲があるのです。実は後遺障害の立証や初期対応をまったくしない事務所が普通なのです。もっとも、より問題視すべきは宣伝でそれをうたいながら、実際は出来ない・やらない事務所でしょうか。    c_y_184

 やはり、後遺障害認定手続き、保険知識がどの業者にとってもハードルが高いようです。いままで弁護士・行政書士合わせて50名近くと仕事をしてきましたが、数分野を除けば、私より後遺障害や保険に詳しい先生に会った事がありません。決して驕っているわけではありませんが、残念ながら力量を示すものがない以上、経験からそう言わざるを得ません。事故直後から解決まで安心して任せられる弁護士先生はほんの数名しかいないのです。

 であれば、弁護士先生も私達のような専門特化した事務所を大いに活用すべきではないかと思います。しかし、近時、特に行政書士の交通事故業務に関しては非弁行為を指摘する声も多く、協業体制の確立には何かと法的問題が立ちふさがります。つまり、苦手や出来ないことを抱え込み、かと言って他士業を締め出すことを続けている交通事故業界によって・・・被害者の(2次的)受難は続くことになります。    被害者さんに賢明な判断を期待します。

 そして、現在、依頼もしくは相談中の事務所に疑問があれば、遠慮なくご相談下さい。今後は普通の相談に同じく、セカンドオピニオンをお受けするようにします。

 紳士的ルールを重んじ、既契約の先生に対して遠慮、腰が引けていましたが、そのような事を言っていられない状況なのです。   

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win メリット1:加害者がいない場合や支払能力が無い場合の事故でも治療費等を回収できる。

 自分の身は自分で守るというのは、古今東西いわれ続けいている原則です。これは交通事故でもいえることです。文字通りであれば、交通事故に遭わないようにするために様々な対策をすることを思い浮かべるかもしれません。これは間違ってはいませんが、それでも交通事故に遭ってしまうこともあります。  以下では、交通事故に遭うことを前提とした、自分の身を守る方法について、人身傷害特約の上記メリットと併せて述べさせていただきます。

 交通事故の被害者は、まず、治療するために費用が掛かりますが、そのために仕事を休む場合があり、また、交通事故によって怪我・死亡したことで本来健康に働いていれば得られたであろう給料・ボーナスが減少・無くなった場合の損害(逸失利益)が生じます。  これらについては、損害賠償請求できます。さらに、怪我そのものを負わされたことに対する慰謝料請求もできます。

 通常、これらの損害賠償請求は交通事故の加害者に対してするものです。しかし、交通事故の加害者がすべての賠償責任を負うことは現実的に不可能です。そこで、強制加入式の自賠責保険は勿論、交通事故に備えて任意保険に入るのです。これらのことは、保険に加入している方々にとってはあまりにも当たり前のことすぎて、つまらないかもしれません。しかし、皆様にはある意味ホットな話題かもしれませんので、もう少々お付き合いください。

 最近の交通事故で皆様の記憶にあるものは何でしょうか。  交通事故に遭われた方はご自身の交通事故を思い浮かべるかもしれませんが、私は某S川で起きた家族4人が死亡し、子供1人が生き残ったものの意識不明状態が継続している事件を思い浮かべます。ネットやニュースを見てみると、加害者は若く、しかも任意保険は未加入とのことです。

 このような者は例外であるとみてしまえばそれまでですが、実際に任意保険未加入の加害者は派手な事故をしていなくても現実に存在しております。弊所の相談者の中には、加害者が任意保険に加入していなかった方もいらっしゃいました。このような方は全体的にみて多いとは言い切れませんが、決して少ないとも言い切れませんでした。

 皆様は当たり前と思っているかもしれませんが、実際に任意保険に加入していないのに自動車を運転し、交通事故を引き起こしてしまう加害者は存在します。もちろん強制加入の保険である自賠責保険は皆様加入されていると思いますが、実際に交通事故が生じたとしても自賠責で補償される額は最低基準であり、100%賄えません。

※知り合いが交通事故に遭った際、加害者が外国人(加害者曰く、ブラジル系?)の人で日本に出稼ぎできた者でした。その者は交通事故当日に高跳びされたそうです。もう察しの良い方はお気づきかもしれませんが、任意保険は勿論、自賠責にも未加入でした。幸い知り合いは怪我が軽くて済みましたが、治療費等は結局泣き寝入りです。

c_y_164  加害者が任意保険未加入であった場合、被害者は泣き寝入りするしかないのでしょうか。それとも、一生かけてでも加害者を追い続けて何年かかってでも全額支払わせますか?それとも、(某団体に)債権譲渡して少額でもいいから回収しますか?

 どれも非現実的です。

 またこれらと違って、加害者がひき逃げをしてしまうこともあります。  ひき逃げ加害者がその後捕まればいいですが、捕まらずにいる場合もありますので、加害者はおろか、自賠責、加害者の任意保険会社にも請求できません。

 この点、ご自身で契約された人身傷害特約は現実的な解決ができます。冒頭で述べましたように、人身傷害特約に入っていれば約款上定められている支払限度額(加入額の3000万円~無制限、最多契約額は5000万円)の範囲内で、実際にかかった治療費、休業損害、慰謝料、逸失利益、その他費用が支払われます。

※前回述べた支払額で、裁判所基準等との差が出てくるのは慰謝料と逸失利益の額であり、その他については差がありません。

※死亡や大怪我の場合、上記した支払限度額の範囲内では賄いきれないことがありますので、この場合は無保険車傷害特約が活躍します。

 結局、冒頭でも述べましたが、自分の身は自分で守るしかないのです。

 加害者の保険会社におんぶにだっこの状態で安心するよりも、まずご自身の保険会社で安心した方がより安心すると思いますが、皆様は如何でしょうか。  

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 憲法の話ではありません。先週発生の交通事故ですが、これは事故ではなく事件だからです。

   事故は6日午後10時35分ごろ発生。衝突で永桶さん一家3人が死亡し、次女(12)が意識不明の重体となったほか、車外に放り出された長男昇太さん(16)は後続車にはねられ、約1.5キロ引きずられて死亡した。  sunagawa道警によると、現場付近に設置された防犯カメラに、事故の様子の一部と信号機が写っていた。谷越容疑者は事故直後、「車内で何かが落ちて、拾おうとしていた。信号は確認していない」と話していた。現場にブレーキ痕はなく、衝突された軽ワゴン車は衝撃で約50メートル飛ばされていた。防犯カメラの映像や目撃情報から、同容疑者の車は時速100キロ以上で交差点に入り、衝突事故を起こしたとみられている。

 自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の疑いで逮捕された建設業谷越隆司容疑者(27)=上砂川町=の乗用車が進入した交差点の信号は、事故の約30秒前から赤だったことが12日、捜査関係者への取材で分かった。谷越容疑者は「信号は青だった」と容疑を否認している。

 事故をめぐっては、古味竜一容疑者(26)が7日、砂川署へ出頭。事故の衝撃で車外に放り出された永桶さんの長男昇太さん(16)をはねた上、そのまま約1.5キロにわたり引きずった後、逃走したとして、9日に道交法違反(ひき逃げ)の疑いで逮捕された。同署などによると、古味容疑者は調べに対し、「任意保険に入っていないので逃げた」と供述。「運転前に(同容疑者が運転していたRVの)同乗者と一緒に飲み、ビールをジョッキで1杯飲んだ」とも話しているという。<Yahooニュースより>

   ここまで悲惨かつ悪質な交通事故も珍しい。10年に1度レベルの事故、いえ、事故ではなく殺人事件に等しい。

   私は霊感というものがまったくなく、生まれてこのかた、不思議な現象に出くわしたことがありません。コックリさんは呼んでも来てくれません。金縛りの部屋でも朝までぐっすり、やばいトンネルを通っても何も起きません。夜の病院も墓場すらまったく平気です。UFOを見た事もありません。スプーンも曲がりません。虫の知らせもありません。

 そんな私が怖いもの、3大恐怖は・・

1、猟奇殺人者  ・・人殺しが趣味な人 変質者、放火魔も含みます 2、ヤクザ    ・・犯罪者など人に迷惑をかける人全般 3、交通事故   ・・ある日突然、被害に遭います

 これらは他人に危害を加えます。しかも、一見お化けのように見た目がはっきりしていないから始末が悪いです。

 お化けは人を怖がらせますが、電車で肩がぶつかった位でかっとなって殴る、むしゃくしゃして人を刺すなどしません。まして、酒を飲んで車を運転、信号無視、スピード超過で人を跳ねて、引きずって人を殺す、おまけに無保険のお化けは聞いたことがありません。 続きを読む »

 もう一つの本音にも触れておきましょう。

 成功報酬の請求の局面において、事前認定の場合、賠償総額がまとまって報酬が計算しやすくなります。示談前に自賠責保険を受け取ると、賠償総額が減ってしまい、その分の報酬を取ることに議論が生じます。特に弁護士費用特約を請求する際、弁特社(保険会社)から理解を得ずらい、面倒な議論なのです。

  <被害者請求の憂鬱> 「被害者請求は無駄だからやらない」だけの理由ながら、(被害者請求を希望する)依頼者を必死に説得している事務所があり、この弁護士の意図が謎でした。看板(HP)の通り、等級認定からしっかり取り組んでいるのなら、おのずと診断書や検査データが手元に集まるはずです。行きがけの駄賃ではないですが、そのまま被害者請求としてもよいような気がします。

 これについてある弁護士先生から裏事情を聞き、うなずけました。流れで説明します。

 まず、相手保険会社に事前認定で等級を確定させます。続いて賠償金の請求書を突きつけます。その計算は、まだ自賠責保険金を受け取っていないので、自賠分を含んだ請求書が作れます。結果として獲得額が増大、報酬を高額にできるという仕組みです。

 さらに、後に弁護士費用特約を請求する際、報酬計算上、自賠責保険金分の控除を防ぐ効果もあります。もし、被害者請求等で先に自賠責保険を確保したら・・弁特社から「被害者請求は弁護士が医師から診断書を預かり、自賠に提出するだけですよね、だから自賠責保険金分は獲得した賠償金から引いて下さいよ」と言われ易くなります。    benngosi  もっとも、被害者請求のプロセスでしっかりとした立証作業を行っている弁護士は自信を持って、「自賠責の等級認定においても被害者請求を選択、これこれの作業を行いました。これも獲得した賠償金の一部です」と弁特社に力強く主張、理解を得ています。ところが、「事前認定も被害者請求も同じ」と被害者請求の効果を否定している先生は・・このような抗弁が出来なくなってしまうのです。

 報酬が被害者請求のおかげで減ってしまう? やはり、「依頼者のため」だけとは言い切れない、商売上の事情が存在するようです。

   さて、昨日に続き、双方の本音を垣間見ました。このような裏事情が「事前認定か被害者請求か?」の議論を障害立証という本質から遠ざけ、形式論としてしまったのです。

 当然ですが、被害者にとってそのような業者の事情は関係ありません。改めて事前認定、被害者請求、どちらを選ぶのか? やはり、本質(医療調査を徹底した、障害の立証作業が本来の目的)に立ち返って考える必要があります。  

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 数年前、この問題に対して結論したつもりです。

 事前認定vs被害者請求 最終決着します!

 それでも巷では議論が絶えず、被害者が迷っているのが現状です。被害者が客観的に判断できるよう情報発信されるべきですが、それぞれの立場に立脚した意図が邪魔をしているようです。そこで、両派の本音を探ってみましょう。   <被害者請求派>  前回説明したように、メリット・デメリット以前に商売上、被害者請求としなければなりません。審査手続き相手保険会社に任せてしまえば、この分野で行政書士の活躍は制限されてしまいます。だからこそ、必死に事前認定を否定するのです。  そもそも、被害者請求の書類など誰でも書ける簡単なものです。仮に代書するとしてもわずかの手間賃で十分です。被害者請求の効果を誇大化し、さも業者の尽力で等級を獲得したかのようにすり替えて報酬を得ることが問題なのです。

 請求書の提出はおまけ的な作業です。それ以前に、しかるべき知識の下にしっかりとした医療調査を行えば、まさに被害者請求のメリットを生かしたことになります。しかし、中には専門知識乏しく、なんら具体的な立証作業を行わず、単に書類を集めて提出するだけ、この手間賃程度の事務でちゃっかり高額な報酬を抜き取る姑息な先生が存在します。これでは無駄な手間とお金を浪費した事前認定です。ここが被害者請求派の病巣と思っています。

 被害者請求をする意味は、被害者側の立証作業を充実させることです。請求形式ではないのです。形式のみの作業で、(自らの収入のためだけに)被害者請求のメリットを強調する行政書士を見抜かなければなりません。もちろん、支払う報酬額に納得できれば、余計なお世話ですが・・。    報酬はさておき、専門性に疑問を持ったら依頼は慎重にすべきでしょう。     <事前認定派>  等級認定は相手保険会社任せ、等級が出るまで何もしない先生は、結局、交通事故がまったくわかっていない素人かもしれません。必要な検査も実施されないまま、「早く医師に診断書を書いてもらって保険会社に提出して下さい!」と依頼者を急かすだけが仕事となります。確かに等級が決まらなければ賠償交渉ができません。だから「早く事前認定を!」となるのです。

 この先生の推奨する「事前認定」は単なる”手抜き””知識不足”なので問題外です。「事前認定派」と言うより「等級でてから派」でしょうか。この先生は保険会社から紹介された弁護士に多いようです。協力弁護士は加害者(側の保険会社)の味方として、普段は(問題のある?)被害者をいじめています。ある意味、”保険会社と仲良し先生”です。硬派な弁護士はこれを利益相反?に近いと考え、被害者専門に特化、保険会社からの仕事は引き受けていません。    保険会社とガチンコに戦ってくれるのか? 後遺障害の知識があるのか?・・疑問や違和感を感じたら、弁護士交代を考えても良いと思います。

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   一方、足の切断や意識障害で寝たきりなど、誰が見ても明らかな障害の場合、合理的に事前認定を選択するケースも存在します。立証作業いらずのケースですね。  その他、むしろ事前認定にすべき事情があることも経験しています。だからと言って、結論を「ケース by ケース」としてしまうにはあまりにも乱暴ですが・・。

 つづく  

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win

 交通事故の発生件数は、警視庁の発表によれば、平成24年は66万5,138件、25年は62万9,021件、26年は57万3,842件、と減少傾向にあります。

 そして、損害保険損率算定機構(平成25年度の事業概況)によれば、交通事故による死亡者、それによる自賠責保険死亡支払件、が年々減少してきています。また、交通事故の負傷者も年々減少しています。これらのことから、交通事故の発生だけではなく、交通事故による重傷者及び重傷になるレベルの大きな交通事故が減少してきているといえます。

 しかし、支払われる保険金は、平成23年度では8,054億円、24年度では8,000億円、25年度では8075億円、とほぼ変化がありません。また、これに対し、自賠責保険傷害支払件数は、平成23年度では1,155,536件、24年度では1,154,370件と若干減少しましたが、25年度では1,185,334と増加しております。なお、平成21年度では1,117,373件、22年度では1,136,876件であったことから、全体的にみて年々増加傾向にあるといえます。

 交通事故発生数と交通事故による死亡者・重傷者が減少しているにもかかわらず、他方で保険金の支払件数が増加し、支払保険金に変化がありません。なぜこのようなことが起きたのでしょうか。  

(1)後遺障害認定の増加について  上記した自賠責保険傷害支払件数には、後遺障害が含まれています。 この点、損害保険損率算定機構(平成25年度の事業概況)の後遺障害支払件数の推移によれば、後遺障害支払件数は年々減少しております。また、年間の後遺障害認定件数は、全体の傷害交通事故のうち約5%であり、この数値に大きな変化はありません。  よって、後遺障害認定が原因で支払保険金が増加したわけではなさそうです。

(2)治療費や施術費の増加について  損害保険損率算定機構(平成25年度の事業概況)によれば、総治療費及び総施術費の増加及び件数が増加しております。ただ一方で、平均治療費、施術費の変化はほぼありません。 よって、治療費・施術費の値上げは起きていないようです。

※平均施術費については、平成24年度では315,683円なのに対し、平成25年度では311,168円と減少しておりますが、平成21年度から全体的にみてあまり変化がないと考えます。

 上記した通り、交通事故の負傷者が減少しているにもかかわらず、総治療費及び総施術費の増加及び件数が増加しているのは、交通事故負傷者の内、多くの病院や接骨院等へ通院する者の数が増加していると考えます。

※ なお、治療期間・施術期間が少しずつ増加しており、通院慰謝料等の支払数が多くなるともいえますが、平均して1日ずつしか増加しておらず、少数といえるので、これが直接的な原因と解することは出来ません。

 交通事故の負傷者は、多く通院する必要のある者から、軽傷で、数回通院すればいいような者まで様々です。昔では、交通事故負傷者は後遺障害の申請をする以前に、多くの通院をしていませんでした。通院する者が増加しているのは、本来多く通院する必要のない者まで多く通院するようになってきているといえます。何故なら、交通事故の負傷者数そのものが減少すれば、その分通院が必要な者も減少するはずなのに、損害保険損率算定機構(平成25年度の事業概況)によれば、上記した通り交通事故の負傷者数が減少しているにもかかわらず、病院や施術所へ通う人数が増加しているからです。  なお、最近になって、交通事故の負傷者のすべてが多く通院する必要のある者であった可能性が全くないわけではありませんが、非常に低く、現実的ではありません。

 では、なぜ交通事故負傷者が全体的に多く通院するようになったのでしょうか。

 結論として、交通事故の負傷者が後遺障害の申請の方法をインターネットや書籍等で簡単に知ることが出来たことにあるとみています。  特に、交通事故負傷者の診断名のうち、約60%がムチウチであり、ムチウチの後遺障害申請について調べた者は、大抵、通院日数を増やそうと考えます。この点、ここ最近の相談会でもそのような者が増加しているようにみえます。

 しかし、本来後遺障害というのは生涯にわたって治らないレベルの者に認められるのであって、軽傷者に認められるものではありません。上記した通り、交通事故による重傷者は減少しています。このことから、軽傷者があえて後遺障害を狙っているようなケースが増加しているようにみえます。

 私達(連携しているNPO法人や弁護士事務所を含む)は、すべての交通事故被害者に対して、後遺障害の申請をアドバイスしておりません。後遺障害が認められる者とそうでない者とを見分けた上で、それぞれの被害者に対して最もよいと思われる交通事故の解決の道筋を模索し、アドバイスをさせて頂いております。そして、後遺障害が残存しないような者については、契約を結ぶことは原則致しません。何故なら、必要ないからです。

 無駄に契約を締結して無駄にお金の支払わせて無駄に保険金を使うようなことは、個人レベルでも、社会レベルでも損失にしかなりません。

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 福井地裁判決の判旨が待たれるところですが、最後に私の注目点について触れます。  

3、司法はこの民事事件の判決の根拠を自賠法にのみ置いたのか?

  20saibannkann 自賠法第3条により有責!

 新聞によると「無過失が証明されなければ賠償責任があると定める自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づき「賠償する義務を負う」と認定。対向車側に4000万円余りの損害賠償を命じた。」とのことです。何が問題かといいますと、判断を自賠法に置いたことです。通常、不法行為を問う民事裁判では民法を根拠に考えます。もちろん、他の法律が検討されないわけではありませんが、まずは対向車の運転手に責任があるかないかについて判断して欲しいところです。

 例えば、「時速○kmでセンターラインを超えて来た自動車を回避することは不可能である。したがって責任はなし。原告の訴えを棄却する。」もしくは、「○m前からセンターラインオーバーの車両を認めることができたはずであるから回避の可能性があった。したがって1割の責任がある(10:90)。被告は賠償金○円の10%を支払え。」とします。つまり、物の筋から言えば、まず、責任関係を明らかにすべきでしょう。

 しかし、これまで解説したように自賠責保険が適用されれば、被害者に大変有利な救済的支払いが成されます。今回の例でも4000万円の支払い判決です。少なくとも自賠責から死亡限度額3000万円が支払われるでしょう。では残り1000万円を対向車の任意保険会社が支払うのか?と疑問が残ります。もし、対向車に過失があったしても仮に10%とすれば、自賠内で支払いが済むはずです。よって、任意保険は支払いを免れます。過失割合はこの裁判で判断されたのでしょうか?この謎は追って確認したいと思います。

 それはさておき、裁判官は民法の不法行為の判断を無視して自賠法のみを根拠に判断したのでしょうか?それとも2つの判断をそれぞれした上で、結論で自賠法を用いたのでしょうか?  

 これは、実は今後の交通事故裁判で重要な分岐点になると思います。

・被害者に有利な自賠法を民法の特別法(優先適用する法律)と位置づけるのか?

 それとも、

・一応は民法で過失の有無が判断されたが、あたかも事情判決のようにそれは適用せず、自賠法にて解決を図りなさい、との判断か?

   前者の考え方であれば、今後の人身事故裁判で、原告側は常に「自賠法に基いた」主張をするようになってしまいます。後者なら私的には納得です。  これから何人かの弁護士先生に意見を聞いてみようと思います。  

 人身事故解決の実際、ほとんどが自賠責保険の支払いで解決しています。任意社は自賠限度額(傷害:120万円、死亡3000万、後遺障害4000万)までなら自賠責保険(自賠法)か任意保険の(被害者にとって)有利な方を適用し、超えれば任意保険(約款)、もめたら民事交渉・司法判断(民法)となります。そのような流れである中、被害者にもっとも有利である自賠法を最後の司法判断まで優先的に通せば、過失責任の判断がすっ飛んでしまうように思うのです。

 この地裁判決はあくまで、被害者救済に則った特別な判断で、実は民事上の責任の有無はしっかり決着されていることを願います。そうでなければ、対人・対物賠償を支払う立場の相手の任意保険会社、人身傷害保険、車両保険を支払う自身契約の保険会社、求償する立場の健保や労災、その他、自賠責保険金を超えた額を請求する立場の人達は困ってしまうはずです。     c_s_j_1

 

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 本判決は自賠責保険の勉強に大変役立つケーススタディとなります。

(注)現在、福井地裁の判決内容を精査していませんので、推測含みな解説となることをご了承下さい。

  2、わずかでも責任がある可能性があれば賠償責任を負う?

 一見、責任がないかに見えた対向車は、「自分にまったく責任がないと証明できない限りは自賠法上、賠償責任を負うべき」と司法判断されました。

 この点、まずは自賠法第3条を復習しましょう。  

第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。

   この条文から自賠責が支払われる3要件が規定されています。  

① 自動車の運行について過失がなかったこと   ② 被害者または第三者(運転者を除く)に故意・過失がなかったこと   ③ 自動車に欠陥がなかったこと    損害賠償を法律面で論じるなら、民法の不法行為から「被害者が立証責任を負う」こと(過失責任主義)が原則となります。つまり、「証拠は被害者が探して突きつけなければ、加害者は弁償しないで済む」ことを意味します。しかし、自賠法では逆で上の3要件=「加害者が自分に責任がないことを証明しなければ、賠償義務を負う」ことになり、立証責任が被害者から加害者へ転換されています。これは自賠責保険の理念である被害者救済の精神が反映されたもので、ほとんど無過失責任(≒無条件で責任を追う)に近いものです。

 したがって、本判決は一見、非のない対向車であっても、「クラクションやハンドル操作で衝突回避ができた可能性がまったくなかったとまでは証明できない⇒わずかながら責任の余地が存在する」と判断されたのです。   c_y_21  常識で考えると勝手にセンターラインを越えて突っ込んできた自動車に対して、「避けないほうが悪い」となれば納得のいかないものです。また、民法上も過失割合に応じた責任を負うこと(仮に回避措置の可能性があったとして、おそらく10:90程度)になり、責任は10%以下となるでしょう。しかし、自賠責保険(自賠法)では被害者を手厚く保護するのです。

 「過失減額」から如実に表れています。

  被害者の過失割合   後遺障害・死亡    傷害 7割未満 ⇒ 減額なし ⇒ 減額なし 7割以上8割未満 ⇒ 2割減額 ⇒ 2割減額 8割以上9割未満 ⇒ 3割減額 ⇒ 2割減額 9割以上10割未満 ⇒ 5割減額 ⇒ 2割減額

   実際、わずか10%程度の責任でも自賠責が支払われて助かった経験が少なくありません。

 実例⇒ほとんど自分が悪い事故ながら、自賠責保険から補償を得た

 この実例は過失減額すらなく、相手の自賠責から100%(4000万円)が支払われました。

 自賠責保険を熟知している私からすれば、福井地裁の判断は決して特異な判決ではないのです。しかし、尚、意見があります。それは次週に・・

 つづく  

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 被害者に手厚い自賠責ですが、手厚すぎる?との批判が起こりそうな判例がでました。本件、自動車保険(任意保険、自賠責保険)について、非常に勉強になる論点が含蓄されています。

 まずは以下、福井新聞の記事(引用)をご覧下さい。  

「もらい事故」でも賠償義務負う 福井地裁判決、無過失の証明ない

 車同士が衝突し、センターラインをはみ出した側の助手席の男性が死亡した事故について、直進してきた対向車側にも責任があるとして、遺族が対向車側を相手に損害賠償を求めた訴訟の判決言い渡しが13日、福井地裁であった。原島麻由裁判官は「対向車側に過失がないともあるとも認められない」とした上で、無過失が証明されなければ賠償責任があると定める自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づき「賠償する義務を負う」と認定。対向車側に4000万円余りの損害賠償を命じた。

 遺族側の弁護士によると、同様の事故で直進対向車の責任を認めたのは全国で初めてという。

 死亡した男性は自身が所有する車の助手席に乗り、他人に運転させていた。車の任意保険は、家族以外の運転者を補償しない契約だったため、遺族への損害賠償がされない状態だった。対向車側は一方的に衝突された事故で、責任はないと主張していた。

 自賠法は、運転者が自動車の運行によって他人の生命、身体を害したときは、損害賠償するよう定めているが、責任がない場合を「注意を怠らなかったこと、第三者の故意、過失があったこと、自動車の欠陥がなかったことを証明したとき」と規定。判決では、対向車側が無過失と証明できなかったことから賠償責任を認めた。

 判決によると事故は2012年4月、福井県あわら市の国道8号で発生。死亡した男性が所有する車を運転していた大学生が、居眠りで運転操作を誤り、センターラインを越え対向車に衝突した。

 判決では「対向車の運転手が、どの時点でセンターラインを越えた車を発見できたか認定できず、過失があったと認められない」とした一方、「仮に早い段階で相手の車の動向を発見していれば、クラクションを鳴らすなどでき、前方不注視の過失がなかったはいえない」と、過失が全くないとの証明ができないとした。  (福井新聞社)

c_y_21    対向車にしてみればとばっちりの事故です。この交通事故から、保険の適用上の重要論点2つを検証します。   1、自分が契約している任意保険、自賠責保険は自分(の被害)に対して免責となるのか?

 自賠・任意ともに契約者である自分に対して賠償保険は適用となるのか?知人とはいえ、この事故の最大の責任者は運転者のはずです。運転を代わった知人は加害者となります。この自動車に付いていた任意保険及び自賠責保険は契約者自身が被害者となった場合にも適用できるのでしょうか?

 まず自賠責ですが、そもそも賠償保険は「他人」に対して償うものです。いくら加害者にとっては他人であっても、自賠責の契約者自身が被害者であれば他人性は否定されます。  また、おそらく亡くなった被害者は同乗の運転者と知人で、同じ目的地に向かっていると推測しますので運行供用者となるはずです。運行供用者は自賠責の賠償対象から外れます。

★ ...

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 甲府は今年初です。今回も15名のご参加を頂きました。傷病名もバラエティに富んでいます。毎回、所感として共通することは相談時期による明暗です。

  1、受傷から3か月以内の方は解決に向けて先手を取ることができます。あれこれと事前に対策を練ります。どのように保険会社へ対処すべきか、健保・労災の使用について、物損の解決、そして予想される後遺障害について・・言わば作戦会議になります。

2、半年ほど経過した方はのんびり作戦を練る時間はありません。やるべきことを急ぎます。つまり、足りない検査の実施と症状固定に向けたアクションです。相手保険会社はのんびり待ってはくれません。

3、相手保険会社が治療費を打ち切った、相手保険会社が弁護士をいれてきた・・これらで行き詰った状態での相談では、もはやすべきことが限定されます。とにかく症状固定、後遺障害審査に進めるしかありません。治療経緯に問題があっても取り返しがつきません。

4、既に等級審査が終わった後・・認定等級が妥当であれば賠償交渉に進めます。

5、等級が認められなかった・・異議申立の検討となりますが、認定率はわずか7%です。多くの場合、諦めることになります。  

 このように交通事故の解決は先手必勝が望ましいのです。「もっと早く相談に来れば良かった・・」このようにため息をつく相談者さんが少なくありません。

   相談会の会場をでたのは7時を回っていましたので、現地で夕食をとりました。おなじみ、甲州名物の鳥もつ、山菜の天ぷらなどを頂きました。

2015041119580000  

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 原発事故で被害を受けた被害者の皆さんは怒り心頭で東電側弁護士の反証を聞いたことでしょう。では、法律以前の非常識論理が交渉材料となり、加害者側に有利に働くのでしょうか?かえって被害者の態度を硬化させ交渉が長引き、訴訟上では裁判官の心証すら害する・・つまり、逆に加害者側に不利に働くことはないのでしょうか?法律家ではないど素人の私はそう心配してしまうのです。

 これは交通事故でもよく聞く話です。それでは、加害者側(保険会社の)弁護士の「とんでも反証・交通事故編」を紹介します。全部実話です。

  〇 片目を失明した被害者の損害賠償請求に対し、相手弁護士は・・ とんでも反証 「片目が残っているから大丈夫、ちゃんと見えるので逸失利益はない」

 これに対し、被害者は「じゃ、今から(その弁護士の)片目を潰してやる!」と当然に激怒、裁判官もこの反証は一切取り上げず、怒気を示したそうです。  ハムラビ法典がしっくりきますね。 20061121

  〇 横断歩道上の歩行者をスピード超過(およそ60km)の自動車ではねた加害者の弁護士は・・

  とんでも反証 「自動車が来たらよけるべき、したがって歩行者に過失20%ある」

 この弁護士は70代の高齢者である被害者にアスリートを超越した運動神経を要求しています。  刑事裁判でもこの加害者は「被害者は後ろ歩きで横断していた」などと供述しました。被害者はマイケル・ジャクソンのようにムーンウォークで横断したようです。結果は、裁判官「そんなわけないでしょ!」と激怒。民事裁判と同じ弁護士でしたがこれを言わせちゃまずいでしょ。 mj続きを読む »

 いくつか非接触事故の受任経験があります。相手を避けるために転倒した場合、相手がそのまま行ってしまえば最悪、自爆事故とされます。また、相手がそれなりに責任を感じていた場合でも20:80の事故であれば、非接触を考慮し10%の修正が加わって30:70となることが多いようです。まして、相手が歩行者や自転車の場合は大変です。相手に個人賠償責任保険の加入があるかないかがポイントとなります。

 最近、兵庫県で自転車の賠償保険加入が義務となったニュースがありました。義務化について是非の議論はありますが、自転車の賠償能力が担保されることは良いことです。

 本例は後遺障害の立証が主役ではありません。相手自転車の個人賠償保険から賠償金を勝ち取った好取組です。  

12級13号:足関節外顆骨折 訴訟認定(30代男性・埼玉県)

【事案】

バイクで交差点を青信号で直進中、信号無視の自転車が横断してきた。それを避けようと転倒し、右足関節の外顆を剥離骨折、後距腓靭帯を損傷、手関節もTFCC損傷の疑いがあった。

【問題点】

相手は自転車で、なおかつ非接触の事故であり、まったく賠償交渉の進展がないまま相談会に参加された。外傷についてはCTやMRIを撮っておらず、診断名があやふやで後遺障害が絞りきれなかった。まして、自賠責保険のような申請先がなく、そのまま相手加入の個人賠償責任保険への請求なので難航が予想された。

【立証ポイント】

同時並行して連携弁護士に個人賠償保険社への交渉を依頼した。非接触による過失減額が争点となったが、それ以上に後遺障害の残存が問題となった。それについては主治医と面談し、MRIの追加検査とリハビリ記録を精査するなど進めたが、微妙な所見に留まり、医証をまとめるのに苦慮した。

結局、訴訟に発展し、足関節は12級13号の賠償となった。後遺障害の立証は今一つであったが、非接触事故で相手自転車から1000万円超の賠償金を取ったことは評価できると思う。  

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 毎年1月の交通事故相談会の参加者は少な目です。毎回、びっしり予約が埋まりますが、今回は以下、予約空き時間があります。参加ご希望の方は急ぎお電話・メール下さい。  

1/31 大宮  13:00~  16:45~ の2枠   2/1 本厚木 11:30~  13:00~  14:00~ の3枠

    賠償問題は弁護士、後遺障害は行政書士・メディカルコーディネーターが対応、万全の対応をお約束します。

souweb keitui続きを読む »

 今年も大勢のご参加を頂きました合同無料相談会、来年1~4月の予定が決まりました。首都圏・交通事故戦略会議に端を発し、来年で5年目を迎えます。8月を除き、欠かさず毎月実施してきました。全国規模で相談会を毎月継続しているグループは私達だけだと自負するところです。これほど長く継続できたのは関係者の皆様の尽力はもちろん、積極的にご参加下さった被害者さまのおかげと思います。

 やはり継続は力なり、長く続けていくに従い相談会の内容も飛躍的に進化、充実しています。私たちの相談会の特徴はなんといっても画像読影に尽きます。今年は射線科医の参加を始め、読影力が飛躍的に向上しました。後遺障害の等級を予断するにあたり、レントゲンはもちろん、MRIやCT画像を観ることが絶対条件です。画像を抜きに交通事故外傷を語ることはできません。 keitui  また、交通事故相談を単なる法律の質疑応答の場としては空論をもてあそぶことにあります。「この事故では過失は何割ですか?」・・単発的な質問に場当たり的な回答をするだけでは不十分です。「解決までに何をすべきか?」、解決までのロードマップ(道程)を定めることが大事です。そして具体性がなければ知識も絵に描いた餅です。被害者を検査や診察に誘致すべき病院情報を把握していなければ何の力にもならないということです。 続きを読む »

 自身も交通事故を扱う業者である以上、同業者の事を書くのは非紳士的で躊躇します。そう言いながら座視できないこともあるのでついつい・・被害者に警鐘を鳴らす意味で勇気をもって一つ取り上げます。

 取り上げる例は、交通事故業務の薄利多売化とでも言いましょうか、それが理にかなったものでれば正当な業務なのですが・・・  

 後遺障害・被害者請求の代理を行う行政書士は一時期のピークを境に減少傾向にあると思います。HPの数も頭打ち、下り坂のように思います。それは弁護士が等級認定に積極的になってきた背景があります。一昔のように「14級は相手にしない」や「等級が取れてから来て下さい」との対応では他事務所との競争に後れを取ってしまうからでしょう。地方ならいざ知らず、都市圏ではそんな宣伝を打つ弁護士事務所はありません。その結果、隙間産業的に14級を扱ってきた行政書士は次の販路を求め、後遺障害のない軽傷案件に目を向けだしたようです。やはり、後遺障害を残すような重傷は全体の5%程度、95%は数か月以内の通院で完治する軽傷者なのです。

 さて、以前も軽傷事案を業者に依頼する価値があるかを検証したシリーズをUPしました。

 ⇒ 軽傷事案の解決  (時間のある方は参照して下さい)

 検証の結果、3か月ほどの通院であれば保険会社との示談で妥協も止む無し、と結論しました。確かに保険会社の基準は裁判等の基準額に比べ、一様に低いものです。しかし自賠内で収まるような軽傷事案は、弁護士の交渉によって費用・時間をかけるほどの増額幅はないのです。それでも商才巧みな行政書士は弁護士費用特約から10万円を引っ張って、無理矢理に自賠責保険に被害者請求することを提案します。

 相手が無保険で困っているなど例外的なケースを除き、任意社の提示を蹴ってまで120万円以内の傷害案件で被害者請求をすることに何の意味もありません。そもそも行政書士は法的に代理交渉ができないのですから、任意社の提示に対する増額効果など期待できません。

 最近見かけたHPにはびっくりさせられました。「任意保険会社が30:70の過失割合により、3割減額した賠償提示をしてきた場合、その提示をのまずに、被害者請求で全額を獲得しましょう」と相談を募っている記事を見かけました。軽傷事案、条件的には自賠責の120万円で収まる損害であれば、任f_c_034意保険会社は過失減額をせずに自賠責基準にて100%の提示をします。なぜなら、自賠責の傷害支払いは厳密な過失減額を適用しません。(被害者に70%の過失でやっと2割減額です。)通常、担当者は任意基準で過失減額した数字と過失減額ない自賠責基準の数字を比べて多い方を提示してきます。(そうしないと、示談後、自賠責に求償したときに被害者に払った額より多く回収され・・任意社は不当利得を得てしまうからです。)したがって、ケガの損害が120万以下で、相手の過失が大きく、相手側に任意社が存在する場合は自賠責に被害者請求する意味などありません。このような悪質な宣伝は「不道徳<虚偽広告による詐欺」に近いと思います。

 断言します。(任意)保険会社の賠償提示は絶対に自賠責を上回ります。    それなりに交通事故業務歴がある先生ですので、まさかこのような基本的な事を知らないはずはありません。受任が減って食い詰めた結果、このように被害者をだましてまでも売上げが欲しいのでしょう。弁護士費用特約を支払う保険会社はいい迷惑です。本当に悲しくなります。知らない先生ですが、思い切って抗議しようと思ったくらいです。

 また、接骨院・整骨院と提携している行政書士であれば、さらに不透明感が募ります。わざわざ任意社を避けて自賠責に請求?・・任意社に施術料の支払いを渋られている院を助ける行為にも見えるからです。

 このような不毛な業務を行政書士に依頼するのはいかがなものでしょうか?単に行政書士の懐を利するだけの行為です。そして任意会社(の弁護士費用特約)に不当な出費を強いる結果となります。

 まぁ、これを反面教師として、この機に自賠責の積算について補助者に教授した次第です。

 どのような業種でも競争は良いものです。業者間の切磋琢磨は依頼者へより良いサービスの提供につながります。しかし食い詰めた業者はこのような無茶な営業を打ってくることもあります。行き過ぎた商魂が被害者の二次被害にならないか心配です。本例は弁護士費用特約を請求される任意保険会社の受難ですが・・。  

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 これは新しい主張ではありません。今更ながらに感じていることです。

 被害者の置かれている状況は過酷なのです。交通事故に遭うと以下の苦役が待っています。  

1、ケガをしてすごく痛い

2、入通院、治療、損害物の修理や買替えにに時間を取られる

3、当然、仕事に支障が起きる

4、家族や周囲の人達に迷惑がかかる

5、警察や医師との折衝にストレス

6、加害者や加害者側保険会社との交渉に強烈なストレス

7、書いたこともないような面倒な書類を何枚も書かなければならない

8、被害者の側で診断書や検査等、証拠を揃えなければならない

9、保険金や賠償金がでるまで待たされる

10、望みの金額を得るために必死に交渉を重ねなければならない

11、これら作業を代理人に頼めば費用が発生する

12、場合によっては一生治らない障害が残る

13、結果として必ずしも納得のいく賠償金が得られない  

 このように、理不尽極まる立場に置かれます。これらの難渋に酬いるものは何でしょうか?それは加害者の謝罪でしょうか?

 結論はわかりきっています。苦しみの対価はお金です。毎度、身も蓋もない表現ですが、相応の損害賠償の実現に他なりません。被害者の務めは2つです。1に損害の自力回復、具体的にはケガを治すことです。2つ目が損害の対価の獲得、つまりお金を取ることなのです。

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 交通事故の相談で「相手の保険会社に弁護士が付いたのですが、どうすれば良いでしょうか?」が少なくありません。これは加害者側の保険会社と被害者が交渉を進めていく中で、相手の保険会社担当者がブチ切れて弁護士対応としたケースです。

 まず、被害者の元に弁護士名のずらーっと並んだ文章が届きます。「今後の交渉は弊所が担当します」と書かれています。被害者はびっくり、今後は加害者や相手の保険会社ではなく、弁護士と交渉しなければなりません。この弁護士に治療費の延長や、自動車の格落ち代金を請求しても、今までの担当者よりさらに冷たい返答が返ってきます。

 それでも強交渉を続ければ、弁護士から「法廷で会いましょう」と返答がきます。これは「債務不存在確認訴訟」と言って、「これ以上を支払ういわれはない!」との訴えで、「払わないで良い」ことを裁判で決めましょうと逆に訴えられている状態です。ここに至り被害者は崖っぷちに追い詰められます。選択は裁判で争うか相手の主張を飲むかになります。

 債務不存在確認訴訟をされるまでもなく、保険会社担当者から弁護士に交渉相手が代わった状態で泣きついてこられる被害者さんに対して、被害者側の相談を受ける弁護士も苦慮します。なぜなら争点となっている請求の多くが、長期にわたる治療費や過大な物損の請求であったり、どうも被害者の主張に無理があるようなケースが多いのです。本来、被害者側の請求が常識的な金額であれば、相手保険会社は弁護士を立ててまで拒まず、少ないながらそれなりの金額を提示してきます。普通に交渉の余地があります。

 もちろん慰謝料や逸失利益など保険会社の基準額は一様に少ないのですが、これを争う場合、保険会社が弁護士を立てるのではなく、被害者側が弁護士を立てて交渉することが自然な流れです。

 つまり、保険会社が先んじて弁護士を立てるケースは、圧倒的に被害者側の請求内容、交渉態度に問題があると言えます。以下が代表的な例です。

  1、乱暴・非紳士的な口調、担当者を罵倒

2、加害者に直接連絡を取る、怖い人が登場する、人間性に問題のある被害者

3、打撲・捻挫の類で長期間、通院を止めない。

4、どう考えても事故の症状ではなく、既往症(元々の病気・けが)や心身症(心の病)での通院が続く。

5、判例や常識であり得ないような自動車の格落ち代、自営業者が過少申告した結果の休業損害額、慰謝料の過大請求。

6、詐病(けがを装う)、詐欺(実は高額の時計が事故で壊れていた)が疑われる怪しい請求。   c_y_28  c_h_76    最近は、10年前と違って弁護士が増えた影響か、保険会社はわりと簡単に弁護士を入れるようになってきました。それでも、横暴に弁護士を入れるケースは少なく、被害者側の問題が多いようです。確かに高圧的で無礼な対応をする保険担当者もいますが、担当者も人間ですので感情があります。被害者の出方によって態度を変えるでしょう。冷静・紳士的な被害者には相応の対応をしますが、被害者感情むき出しで強硬な口調には、合わせ鏡の対応となるでしょう。

 根底にある被害者側の大きな思い違いは、「被害者なのだから、当然に補償されるべき」です。これは高い確率で落としたお財布が届く、相互信用社会である日本の特殊な現象からでる感情です。正しい認識は「被害者となった、これから大変だ」という現実です。誰も被害者の言いなりに補償してくれる者などいません。被害者は大変な交渉の末に補償を勝ち取らなければならない身なのです。資本主義社会では、お金を請求する側が弱いに決まっています。

 その点、保険会社は便利な機関です。加害者に代わって、少ないとは言え、一定の補償を実行してくれます。その保険会社・担当者に向って、「上司を出せ!」「担当者を替えろ!」「本社に苦情を言い立ててやる」「加害者と直接話をするから」・・これらすべて無駄です。そんな恫喝交渉で賠償額が上がることはなく、担当者の逆恨みを買うだけ、より自身が不利になる相手弁護士の登場となるだけです。つまり、弁護士対応とされた被害者は”交渉の失敗”を自覚すべきと思います。    さらに、こちらも弁護士を立てようが、1~6例のような被害者を助けたい弁護士は少ないはずです。引き受けてくれる弁護士を探すのには苦労します。      被害者は保険会社担当者の挑発?に乗ることなく、クールに戦わねばなりません。被害者の目的は、自身の損害に見合った補償の獲得、実利ある解決のはずです。証拠を揃えて提出、理路整然と交渉を進めなければなりません。保険会社とは、被害者にとって”上手に利用すべき存在”なのです。とにかく、ケンカとなる前にご相談にいらして下さい。    繰り返しますが、保険会社が弁護士を立てるのは「もう相手にならん」とさじを投げられたのです。自らの立場を追い詰めたのは被害者自身なのです。  

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 途方に暮れる草薙さん、いくつかの法律事務所に相談しましたが、電話の段階で「30万円請求の物損事故?」ではどこも相手にしてくれません。なぜなら経済的利益が30万円程度の事件では弁護士事務所も利益が薄く、仮に20万円ほどの報酬で受任しても、「相手が保険を使ってくれない=回収の見込みがない」と敬遠してしまうのです。そして加害者が保険を使ってくれない、だから保険会社も対応しない、という相手保険会社の対応に一様に納得しているようです。”交通事故に強い”と喧伝している弁護士も「相手が保険を使わないなら修理費の回収は難しい」との回答です。

 それでも無料相談会を開催しているジャーニー法律事務所を訪れました。そして対応した弁護士・香取先生から目からうろこの回答を聞きました。  

草薙さん:「やはり相手の稲垣さんに法的手続きを取るしかないのですか?それでも30万円は取れないのでしょうか?」

香取先生:「相手の稲垣さんに法的手段をとって請求することは可能ですが、やはり回収の問題があります。そんな面倒なことをしなくても、保険会社の東京ダイレクトに請求しましょう」 

草薙さん:「えっ、でも稲垣さんは保険を使わないと言っていますし、東京ダイレクト担当者の中居さんも『契約者が保険を使わないと言っているので対応しません』と取り付く島なしなんですよ。」

香取先生:「この場合、保険約款上の直接請求権を行使します。つまりあくまで東京ダイレクトに請求をします」

草薙さん:「直接請求権?初めて聞きますが、それは何ですか?それで何とかなるのですか?」

香取先生:「損害賠償請求権者、本件では草薙さんですが、事故相手の保険会社に直接請求を行うことが約款上、認められています。その請求に対し、一定の条件はありますが、保険会社は対応せざるを得ないのです。支払いに対してはやはり稲垣さんの同意が必要ですが、ひとまず交渉の窓口を開かせ、中居さんに稲垣さんを説得させる効果はあります。」

草薙さん:「では、今までの”稲垣さんが保険を使わないなら、東京ダイレクトは動かない”・・これは間違っていたのですか!」

香取先生:「中居さんがとぼけていたのかどうかはわかりませんが、保険会社の担当者も弁護士も困ったことに直接請求権を知らないのです。 手続きですが、あくまで東京ダイレクトに修理費の請求書を突きつけ、『保険約款 第〇条(損害賠償請求権者の直接請求権)にもとづいて請求を行います』と通知します。おそらく30万円程度なら保険会社も支払いを検討するはずです。ここで稲垣さんの同意が得られないと支払い拒否の回答をしてきたら、稲垣さんに法的手段を講じると揺さぶりをかけます。ここで稲垣さんが折れて結局、保険使用に進むはずです。」

草薙さん:「それでは、香取先生、是非お願いします!」

香取先生:「報酬は多くいただけませんが、お受けしましょう。」  

 さてようやく請求の目途が立って一安心の草薙さんですが、なぜ紆余曲折したのか、問題は「直接請求権」につきます。これを説明する場合、実例を踏まえずに約款解説しても何のことやら?になってしまいます。

 前置きが長くなりましたが、明日は「直接請求権」について解説します。

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<ケース> (以下、仮名)

 草薙さんは自動車同士の衝突事故に遭いました。自動車の修理費を相手の稲垣さんに請求しなければなりません。しかし、お互い事故状況の説明が食い違い、稲垣さんは責任を認めません。

 仮に自分(草薙さん)に多少の過失があったとしても、相手(稲垣さん)の責任が大きい事故です。稲垣さんの車は古くキズだらけで、今更修理するまでもない損害です。しかし、草薙さんの車は買ってから一年未満のピカピカ、フェンダーのへこみの修理費は30万円です。

 幸いお互い自動車保険(任意保険)に入っています。草薙さんは保険会社の交渉に委ねることを稲垣さんへ提案しました。それでも稲垣さんは責任はないの一点張りです。警察への届け出が済むと、稲垣さんは現場から逃げるように走り去ってしまいました。

 やはり当人同士ではなく、保険会社同士の交渉でなければ進みません。まず自分の加入している太陽損保に事故報告し、稲垣さんへは東京ダイレクト損保にコンタクトをとるよう電話で伝えました。これで保険会社の交渉になると思いきや・・・(以下 電話での会話)

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太陽損保 担当者 木村:「本件担当の木村と申します。稲垣さんも東京ダイレクトに事故報告をあげていただけませんか?保険会社同士での話し合いで進めたいと思いますが。」

稲垣さん:「俺は悪くない。そっち(草薙)が突っ込んできた事故です。」

木村:「まぁ、とにかく東京ダイレクトの連絡先を教えてくれませんか。」  

なんとか電話番号を聞き出し、木村氏は東京ダイレクトの担当者 中居氏に電話をしました。」  

木村:「本件を担当します木村です、よろしく。ぶっちゃけ判例タイムス〇ページの10:90ではどうすか?」

中居:「ちょっと待って下さい。稲垣さんからの事故状況報告と違っています。また稲垣さんは自分に責任はないと言っています。稲垣さんのオーダーを確認して折り返します。」  

それから3日  

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 昨年の実績ですが、自動車に同乗していた複数の被害者全員に14級認定を受ける事案が多かった。3人まとめてが2件、2人は3件、まだ4人以上はないです。同乗者全員への認定は比較的取り易い印象です。 

 

事案】

駐車場に入るため停車中、後続車に追突される。同乗していた3人全員むち打ちに。

【問題点】

1人1人の症状は微妙に異なるが、課せられたミッションは全員14級を獲ること。

【立証ポイント】

私を含めて4人診察室前に待機し、順番に医師面談する。3人それぞれ神経学的所見を明らかにし、一人一人の症状を的確に診断書に記載いただく。このような流れ作業で3人まとめて14級認定。

1人だけ取れない・・なんてかわいそうでしょ。

 

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