ご存じの通り、後遺障害の審査は、相手の(任意)保険会社に書類を託して任せる事前認定と、被害者自ら自賠責保険に提出する被害者請求の2通りがあります。
以前に比べて、その比較論は聞かなくなりました。どちらも、同じ自賠責保険・調査事務所に書類が送られて審査するのですから、提出する書類が同じであれば、同じ結果になるはずです。どちらが有利ということはありません。しかし、書類を自ら収集、追加、取捨選択する被害者請求を被害者が選択したい気持ちはわかります。ネットでは、業者を中心に、被害者請求が良いとの意見が多く、それに反論する勢力がやや力負けの感があります。 秋葉事務所としては事務所立ち上げ当初から、以下のように整理・結論しています。問題は、どこまで書類を完備できるかが勝負ですから、不毛な比較はしていません。 事前認定vs被害者請求 最終決着します! 事前認定vs被害者請求 本質を語ろう 最近、事前認定でのおざなりな仕事をよく目にしています。保険会社の担当者が書類を完備しないで自賠責に送ってしまい、五月雨に追加提出を要請され、1年もダラダラ審査が延びているケースです。特殊な障害ゆえに、医療照会が追加・再追加で要請される場合は、ある程度仕方ありません。しかし、基本的に必要な書類や画像を漏らしています。担当者が忙しいことは私達も承知していますが、なんとかならないものでしょうか。
さらに、頓珍漢な診断書が審査に回るケースも珍しくありません。私どもは、医師に対して修正・追記をお願いすることが日常業務です。なぜなら、医師は治療に関係ないとも言える、治療が終わった後の診断書には興味も熱意も薄れます。最も深刻なことは、賠償上の障害と、医師が判断する臨床上の障害も微妙に食い違う点です。鎖骨の変形はまさにこれにあたるもので、お医者さんは「この程度は日常生活に影響ないし、後遺症じゃないよ」と言いますが、保険上は12級5号となって、自賠責保険では224万円が支払われます。不完全・不正確の診断書が審査される・・・これは交通事故業界の隠れた、いえ、隠された問題なのです。
そのような背景下、事前認定では、診断書の中身を精査する担当者などまったくに近い程、存在しません。そのまま右から左に審査に転送されます。精査しようにも、十分な医療研修を受けた医療調査員でもなければ、読み取る知識自体ありません。そもそも、診断書の内容に干渉するなど、担当者の越権なのです。やはり、任意保険の担当者が”進んでやるべき仕事ではない”のかと思っています。 では、被害者請求なら誰もが安心でしょうか? ここでも同じ陥穽があります。お金をもらって依頼を受けた事務所が、これまた基本的な書類・画像を提出しないで、形ばかりの不慣れな被害者請求をしているケースです。昨年のご依頼者様で、既契約の事務所を解任してきた方に多く見られました。ホームページでは力強く「後遺障害に強い」と表示していますが、ど素人の仕事としか思えません。お金を払っている分、先の保険担当者より始末が悪いものです。 自らの損害・ケガを数字(賠償金)に変えるには、それ相当の証拠書類を突きつける必要があります。もっとも多額の賠償金となる項目は、たいてい後遺障害です。そのための審査に臨むには、十分な準備が必要です。ある意味、これは後の賠償交渉よりも重大な場面なのです。必要な書類・画像・検査結果の提出漏れは、イコールその障害はなかったことになるのです。
人任せ(事前認定)は心配です。また、弁護士・行政書士等に任せる(被害者請求を依頼)にも、選定・依頼は慎重にしなければなりません。