裁判所へは久々です。入り口から鳴り物入りの裁判の傍聴のため、マニア?の列がありました。やはり地裁でも東京は物々しさが違います。

 案件を弁護士に引き継いだ後も、書類の収集等で被害者さんと弁護士の間をつなぐ仕事は続きます。この被害者さんとも、もうすぐ2年の付き合いです。この裁判は後遺障害の有無、程度を争うもので、医学的な証明も含め非常に長く、難解な審議となっています。初期にしっかり後遺障害の認定がなされていれば、このような苦しい戦いを避けられたはずです。

 受傷時に救急車で運び込まれた場合、病院は選べません。しかし早い時期に間違いのない治療及び診断ができる病院へ行かないと、後遺障害の認定まで悪影響が続きます。本件はその最悪例と思います。被害者も最適な治療先に落ち着くために、主体的に動く必要があるのです。そしてその助力をすることが私たちMCの仕事でもあります。

 交通事故の解決はまず弁護士が浮かびます。しかし交通事故を専門に、もしくは精通している弁護士に巡り合わなければ、おざなりな結果を招きます。しかし行政書士やメディカルコーディネーターが前面に立って「交通事故の解決は私たちに!」と訴えても被害者のほんの一部にしか声は届きません。多くの方は弁護士に相談します。それが重篤なケガであったり、難しい交渉が必要なものであれば当然のことです。やはり現在推し進めている弁護士との連携、共同受任体制が現実的です。

 「立証」と「賠償」という交通事故の2大局面に対し、弁護士がメディカルコーディネーターを上手に使いこなしていくことが理想です。しかしまだまだ多くの弁護士がその有用性に気付いているとは思えません。アプローチをするべき対象は被害者だけではないのです。受傷直後から担当し、MCを寄り添わせること・・・これができればこのような厳しい裁判をせずに済んだのです。引き続き、「受傷初期からの完全対応」を弁護士に対しても訴えていく必要があります。今日の裁判はそれを再確認させられるものでした。  

 裁判官:「この書類は誰が書いたのですか?」

 原告側証人:「行政書士さんです」

 口頭陳述でこのようなドキッとするやり取りがありました。

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 二日間の横浜~厚木相談会を終えて帰宅しました。今回の所感を少し。

1、相談者の数は減少か増加か?

 ここ数か月、首都圏の複数会場、複数の弁護士事務所の報告を聞きますと、相談者が増えているところと減っているところと2分化傾向です。どこの会場、事務所もHPでの募集が中心ですが、もはやHPでの差別化も古い考えのようです。派手で情報が豊富なHPがあまりにも増加し、かえって没個性になっているのかもしれません。  では増加傾向の会場や弁護士事務所は・・・分析したデータからではなく、あくまで私の推論ですが、相談会の定期開催や全国展開、その活況ぶり、これが目を引いているように思えます。交通事故被害者をお客さんとみなすのは不謹慎ですが、いわゆる「客が客を呼ぶ状態」でしょうか。「人の集まるところに人は集まる」心理はすべてに共通のようです。

 今月はすでに4回の相談会に参加していますが、定期開催しているところは安定的に相談者も伸びています。  相談依頼があったら個別にアポを取って事務所で面会をしている=昔ながらのやり方では効率が悪いばかりではなく、じり貧のようです。相談会のネットワーク網の充実は正しい方向性と思っています。

2、心身症患者は相変わらず多い

 厚生労働省の統計でも心の病気、心身症の患者さんは軽重合わせて国民の約30人に1人とも言われています。心を患っている、もしくは予備軍の人が交通事故にあったら・・・多くの場合、他覚的所見が少ない割に重篤な症状に陥ります。中には僅かな衝撃の事故でも体が動かなくなってしまったり、痛みや不眠、めまいなど不定愁訴が何年も続いてしまう・・・毎回、このような被害者さんが必ず一人はいらっしゃいます。乱暴な言い方ですが、交通事故の解決とはつまり、お金での解決です。その為に私たちのできることは損害・障害の立証であって、治療はもちろん、心の病を癒すようなことは専門外です。  しっかり補償を受けて解決を目指す、事故の収束に前向きな姿勢の方ならお役に立てます。しかし医師でも原因のわからない、そして精神的な病の方にはお力になれないのです。

3、遅い、遅すぎる・・

 今回の相談会でも受傷後3年もかかってこれから賠償交渉という方も目立ちました。もちろん重篤な骨折により手術を繰り返したならば、相当の年数がかかってしまいます。しかし当然ながら回復も進み、後遺障害の等級はダダ下がりです。もちろん限界まで回復を目指す努力は大賛成です。しかし症状固定とは症状の増悪緩解が一定の状態になった時期を指します。もう少し早めに等級申請し、早期解決するべきではないかと思う方が少なくありません。なぜなら、事故が解決せず、仕事に復帰せず、だらだらリハビリを続けた結果、社会からの断絶と社会的信用を失うといった、2次的な被害を被るからです。

 ある程度回復努力を果たし、一時金をもらってさっさと交通事故被害者から卒業し、不便ながらも仕事復帰し、傍ら地道なリハビリを継続する、このうようなロードに乗ってもらいたいと思います。

     だって胃を全摘出した人でも半年後は働いてるのですよ!

 (保険屋さんの気持ち=「なんで交通事故被害者だけそんなに長引くのよ!」)

  追伸: M事務所の皆様、M先生、T先生、K先生、本日はありがとうございました。

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 文例研究シリーズの合間に少し違う話題を。

 首都圏相談会・交通事故戦略会議も規模が拡大、弁護士事務所の協力もあり、全国各地で開催されています。全国の行政書士、MCも大車輪の活躍です。私が担当する首都圏も行政書士2人、MC2人の4人で担当していますが、多くの弁護士事務所の参入で、年中無休状態です。  先週金曜日は新しい試みとして平日に開催してみました。相談者さんも休日の方が足を運びやすいであろうと、土日中心の開催でしたが、平日もなかなかなもの、9名のご参加を頂きました。それぞれ解決に向けて皆真剣です。いくつか所感を。

1、弁護士事務所をはしご

 事故の解決を誰に委ねるか?相談者さんによってはかなり勉強をしています。そしてほとんどの弁護士事務所が無料相談会を開催していますので、複数に当って比べている熱心な被害者も増えました。いままでの弁護士の対応であれば、「症状固定し、後遺障害等級を取ってから」ではないと話が進みません。いずれの弁護士事務所でも「何級が取れるのか?」には慎重な対応となっていると思います。  しかし私達は違います。骨折部位、骨折の状態、治療の経過、現在の状況から、何級が想定されるかを検討します。さらに「このままの状態では腕で〇級、足で〇級」と断言するようにしています。等級の認定が解決へ向けての最大論点です。そして「それまで何をすべきか」、「最後にどのような交渉手段をとるか」・・・必要な事務と落着点を整理します。  私たちの相談会ではこの「目標とロードマップ」を提案することを主眼にしています。曖昧さを排除しなければ、被害者は情報過多で迷ってしまう傾向があるからです。よい道筋を示すことができたでしょうか?

2、優等生の被害者

 相手の保険会社ともめ続けて、いよいよ相手保険会社も弁護士を入れてきました。「さぁ困ったどうしよう?」、この段階で相談にいらっしゃる被害者さんも少なからずおります。散々無茶な請求を行い、怒りにまかせて罵って・・・相手保険会社の態度を硬化させた結果です。正直、弁護士はこの状況での受任を嫌います。後遺障害等級がとれないのなら尚更です。治療費や休業損害の継続についての交渉は医療立証が難しいだけではなく、その獲得金額からでは弁護士報酬は多く頂けないからです。結果として弁護士に受任されず、弁護士デパート(めぐり)、、途方に暮れて、相手弁護士(保険会社)に屈します。 続きを読む »

 14級9号の文例を分析します。    調査事務所の調査結果について、自賠責保険窓口会社(名)で文章回答がなされますが、大量処理の為、テンプレート(文章のひな型)を少し改造して作成している様子がわかります。  

段落 本文 解説 結 論

自賠責保険における後遺障害には該当しないものと判断します。 結果は最初に書かれます。

理 由

前 段

頚部が重だるく、左手先までシビレがある。重い物が左手では持てない等の頚椎捻挫後の症状については、 これは主に後遺障害診断書の自覚症状に書かれていることを抜粋しています。また医師の診断内容を抜粋することもあります。

中 段

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 この統計から年齢層別の事故数と全体の構成比をみてみましょう。

〇 高齢運転者による事故は10年前の1.5倍に増加 原付以上運転者(第1当事者)による交通事故件数を年齢層別にみると、30歳代(構成率19.4%)が最も多く、次いで40歳代(同16.8%)、高齢者(同15.5%)の順となっている。増減数を前年と比較すると、40歳代、60~64歳及び高齢者を除く全ての年齢層で減少しており、中でも50歳代(前年比-5、630件、-5.2%)が最も減少している。  若者の運転による交通事故は、昭和50年代半ばから増加傾向にあったが、平成4年(213、355件)をピークに減少に転じ、その後はほぼ一貫して減少しており、15年には30歳代の運転者による事故件数を下回り、18年に50歳代、21年に40歳代、22年に高齢者の運転者を下回るに至った。一方、高齢運転者による交通事故は、運転免許保有者数が10年間で1.77倍に増加したことを背景に、平成12年の1.48倍となり、75歳以上に至っては同2.20倍(免許保有者数は同2.59倍)となっている。

 この10年間(平成12年~22年)で若年層のドライバーは人口比の通り、減少しています。比して高齢者層のドライバー人口は増加し、事故数も増加しています。  しかし年齢層別事故率はむしろ逆に低下です。下線部の通り、分子(事故数)は分母(免許の保有者)の増加より低いのです。

 やはり事故数の増減は年齢層別の増減にスライドしており、年齢層別の事故率では高齢者が急増したわけではありません。であれば高齢者の値上げはアンフェアといえます。しかし保険の理念である「全体で一人を救う」原則から考えると、全体の比率から掛金負担を慣らしこむことも横暴とはいえません。年齢層別運転者の構成比が変化していることに対して、掛金の調整は保険の制度上、仕方ないと言えます。

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 長期の休み明けには相談メール、電話が集中します。

 メールで必要情報を明示してくださる相談者さんへは非常に答えがし易いです。基本的な情報を把握できるので、大まかな方針が示し安く、細部を聞きこめば、より踏み込んだ話も可能です。

 対して電話の方は、一から基本的な情報を聞かなければならないので、長電話になりがちです。お互い非効率的であるといえます。また名前も名乗らないような非常識な方も多く、一方的に断片的な質問、断定的な答えを求めてくる特徴があります。

「〇〇の場合、保険はおりますか?」・・・事故全体の情報がないと「支払われるケースもありますが、支払われないケースもあります」と答えなければならなくなります。

「私の障害は何級が認定されますか?」・・・これも画像も診ずに、電話の話だけでは絶対的な答えなどできようがありません。

 このような相談者はきっと明確な答えが得られず、方々へ電話しているのだと思います。

 自身の事故を本気で解決したいのなら、安易な電話作戦など甘いですよ。それ相当の準備、姿勢で臨んで下さい。自ら基本事項が整理できる、メールフォーム(お問い合わせの欄をクリック)の利用をお勧めします。

 なにより解決に向けて周到かつ前向きな被害者さんを助けたいのです。

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 交通が便利な為、首都圏=東京都内で開催している相談会ですが、茨城県、群馬県の弁護士事務所の協力で北関東でも開催が決まりました。  事故発生件数も埼玉県はもとより、茨城県、群馬県も全国で上位です。埼玉は3~5位、茨城、群馬もベスト10常連です。埼玉南部、千葉西部、神奈川東部は都心まで近いので東京会場でも大丈夫ですが、北埼玉、群馬、栃木、茨城はちょっと遠いです。やはり北関東各県で相談会が望まれています。(千葉南部も遠いですが事故件数は少ないかな?) 8月25日(土) 茨城県 筑西市 アルテリオ会場

8月30日(木) 群馬県 高崎市会場  続きを読む »

交通事故の交渉はお金を取る戦いです。 

 被害者から委任を受けた弁護士はお金を取るべく戦います。

 お金をできるだけ払いたくない相手(≒保険会社)は必死に反撃してきます。

 戦う場面は直接交渉、調停、紛争センター、裁判などが挙げられます。

 そして武器は賠償金の根拠となる「証拠」です。ケガについてはそれを「医証」と呼びます。

 勝負はこの「医証」という名の武器で決まります。 

 

 M/Cの仕事は受傷初期から被害者に寄り添い、諸々の手続きを潤滑に進め、間違いのない等級認定へ誘導します。そして後遺障害等級認定後、弁護士に案件を引き継ぎ、本格的な賠償交渉、つまり「戦い」に突入します。ここでM/Cの仕事は終了し、弁護士への連携にて完結するのでしょうか?

 弁護士の交渉が進む中、追加医証が必要となる場面があります。これは交渉・審議の経過から、さらなる医学的な証明が要求されることです。ここで多くの弁護士は被告(加害者側保険会社)や裁判官のこの要求に窮してしまいます。なぜなら多くの場合、弁護士は治療中から被害者に寄り添っていませんし、後遺障害の認定にも携わっていません。いきなり主治医やその分野の専門医に診断書を請求したとして、都合良く医師が協力してくれるケースは極めて稀です。当然ながら目の前の患者の治療で忙しい医師は、治療後の後遺障害には興味がなく、まして弁護士を介したもめ事には関わりたくないのです。

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 サッカーは男女とも好調、メダルまでもう少しです。男女とも頭を使った試合運び、必死に走りながらも11人が計算をしながらゲームを進めているように感じます。特に先取点を取ってからの落ち着いたゲーム展開に感心させられます。国際経験を多く積んだ選手によって、もはやサッカー後進国ではなく、先進国を目指す中堅国の余裕でしょうか。あとは何かの勢いが味方してメダルを奪取してほしいです。もちろんゆっくり見ている時間はないですが応援しています。

 サッカーに限らず多くの球技において先取点は大事です。特にサッカーは先取点がゲームを決める競技と言えます。前回ワールドカップのデータによると全112試合で逆転勝ちはわずか3試合。引き分けの16試合を除くと93試合は先制点を取ったチームが勝っています。先取点を取ったチームが勝つ確率は実に83%にもなったのです。その他Jリーグのデータでも先取点を取ったチームの勝率は常に70%オーバーです。   タイトルからサッカー話で終始してしまうところですが、ここで交通事故賠償へ話を展開します。

 賠償交渉とは被害者側が加害者にまず「いくらいくらの損害を弁償して下さい。」からスタートします。そしてその根拠である資料と証拠を相手に示さねばなりません。法律用語で言うところの「挙証責任は原告(被害者)にあり」です。まずこれが原則と思って下さい。

 しかし交通事故の場合、そうでもないのです。それはダメな弁護士と保険会社担当者の関係で成立します。昨年も取り上げましたが、交通事故に不慣れな弁護士に交渉を依頼した場合の最悪例を参照して下さい。  →  首都圏相談会2月お疲れ様でした。そして弁護士について

 委任契約はしたけれど、一向に保険会社に対して賠償請求書を送らない弁護士。そして焦れた保険会社担当者から「こんなもんでいかがでしょうか?」と任意保険基準に色を付けた(少し金額を上乗せした)賠償提示書が届きます。そしてそれをたたき台に「もう少しここを上げて」と形ばかりの交渉をして、示談してしまう弁護士・・・。この弁護士は最初から交渉の主導権を保険会社に渡しています。保険担当者も「この弁護士はくみ易し!」とにんまりです。これは保険会社に先取点を取られたことを意味します。

 賠償の原則どおり、先に「これだけ払え!」を突きつけるのが交渉の第一歩です。払いたくない相手に先に計算させて「こんなもんで」と様子を見られてどうするのでしょう?交通事故賠償でも先取点が命です。なめられた弁護士はどこまでもなめられます。 弁護士に委任したが「仕事が遅いな?」と感じたら、保険会社に請求をしたのか確認する必要があります。

 私たちが連携している弁護士は等級認定後、ただちに請求書を突きつけます。少なくともそのようにすべく私達が支援体制を整えています。

 保険会社に対し証拠を最初からドンと提示、紛争センターでも最初の1~2回での早期斡旋を目指します。

 また某弁護士は裁判において要求されるであろう証拠をなるべく先に集めて、第一回弁論ですべて提出する準備をします。相手保険会社は諦め顔、裁判官も審議が早く進み原告側に好印象です。    交通事故の交渉でも勝ちたいなら先取点を取らなければなりません。

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  六本木会場の相談会ですが、月の第三土曜日は今回が最後です。9月からは平日に移り、なるべく隔週で実施していくことになります。そして第三土曜は丸の内周辺で従来の首都圏会議の形を継続します。お陰様で多くの相談者さんの後押しにより、相談会が発展しています。感謝はもちろんなのですが、相談者の増加に複雑な心境になります。   この20年、死亡事故、重大事故の数自体は減少傾向です。しかし後遺障害の申請・認定数は微増を続けています。そして保険会社の対応力ですが、掛け金の自由化にさらされ、なりふり構わず支払削減に走っている会社もあります。被害者を取り巻く環境は相変わらず厳しいようです。 

今日から週明けまで都内滞在です。メール等でのご連絡を推奨します。よい週末を!

 

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 今日は弁護士と保険会社の交渉でありがちなパターンを解説します。

 治療も終了し後遺障害も確定した後、弁護士に交通事故解決を依頼しますと以下の流れになります。

1、弁護士は被害者から損害賠償請求の委任を受けたら、まず加害者(の保険会社)に賠償請求書を送ります。 「私の損害はこれこれだから、赤い本の基準にのっとり、これだけ下さい」、まず請求の趣旨、根拠、請求金額を伝えます。 2、対して相手側、多くの場合、相手の保険会社担当者から返事がきます。

 「弊社の考える損害はこれこれだから、弊社基準により、これだけなら払えます」、保険会社の査定と独自基準、支払可能金額の回答があるわけです。

 最近の保険会社は「これこれ」の部分についてしっかり明示せず、「先生、請求額の8割でどうでしょうか?」と回答してくるケースが多いそうです。何故、8割か?きちんと理由、査定の根拠を説明してほしいのですが・・・。これは被害者に代理人(弁護士)がつき、赤い本基準での請求があった場合の紋切型の回答です。根拠をただすと、「訴外交渉ですから」と答えます。

 「訴外交渉」とは訴訟で解決せずに話し合いで解決することです。つまり裁判のようにお金と時間をかけて交渉するわけではないのですから、「少し負けてよ、先生」ということです。なるほど保険会社の言い分も解らないでもありません。しかしここからが弁護士の力を発揮する場面です。おおむねAとB、2つの弁護士に分かれます。

A弁護士:「分かりました、では交渉決裂なので訴訟、もしくは紛争センターの斡旋にふしましょう。私も被害者も徹底的にやる方針です。長いお付き合いになりますね。

保険担当者:「待って下さい!少し上の者と検討します」 → 上司と相談します。つまり決済を仰ぎます。

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 弁護士からもよく聞きます・・・「うちも病院同行しています」、「医師面談をしています」、「後遺障害の立証に長けています」・・・

 是非言葉通り頑張ってほしいと思います。

 やはり交通事故における損害賠償の肝は、何と言っても後遺障害の等級認定です。

 昨日は立証作業に乗り出した行政書士の「転院ミッション」を披露しました。数は少ないですが昨日のような「無責任スーダラ型医師」に出くわすこともあります。この医師にかかればどんな優秀な弁護士・行政書士であろうと、経験を積んだメディカルコーディネーターであろうと医証獲得は不可能です。この場合、最後の手段として「転院」となります。しかし、できれば転院させず現状の病院、医師と協力して診断書を仕上げるに越したことはありません。

 つまり医療立証や医証獲得に関するミッションは一つではなく、いくつもパターンが存在します。

A 医師面談を数回重ね、医師の信頼を得て、後遺障害診断に対して協力を取り付ける。

B 治療に必ずしも必要のない検査であっても、後遺障害の立証のために実施していただく。

C その検査設備がなければ、他院への紹介状を書いていただく。

D セカンドオピニオン(他院にて診断を受ける)のご理解を頂き、別院の専門医に診断書を書いていただく。

  このように転院までさせずとも、かかっている主治医の協力を取り付け、必要な検査と理想的な後遺障害診断に牽引していくことがメディカルコーディネーターの仕事です。  医師も千差万別、色々な主義、性格をもった先生が存在します。どんな医師に出くわしても、瞬時に医師のタイプを判別し、どのようなパターンで進めていくか判断します。つまりメディカルコーディネーターの腕、センスが試されます。そしてなにより経験です。私は年間100人の医師と面談し、200回近く病院同行をしています。仲間の行政書士、メディカルコーディネーターも年間100件以上の病院同行を励行しています。

 この経験数と活動量だから言えます。患者の治療に多忙な医師に対し、余分な時間を取って、検査・診断していただき、診断書を書いていただく作業、これは簡単ではないのです。

稀に後遺障害に対し深い理解を持つ医師にあたります。これは文字通り「当たり!」です。この医師なら誰でも後遺障害の立証はできます。しかし残念ながらこのタイプの医師はごく少数、そして理解はあっても良い医師ほど多忙、患者の治療が優先なのです。

 年間100人医師面談をしている私が「この仕事は難しい・・」と毎回苦戦しているのですよ!  「病院同行を当たり前の業務としているか」、「医師面談を年間100件苦も無くできるのか」、「理想的な医証の獲得ができるのか」、「医者がダメな場合、他院に誘致できるのか」そして「医療ネットワークを持っているのか?」

 これらが交通事故解決力を示す新基準ではないでしょうか。逆に言えば、それができないのなら少なくとも「後遺障害の専門家」は名乗れないはずです。

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 会議や打ち合わせが今週末~来週と続きます。この半年、交通事故被害者救済業務に携わる仲間が劇的に増えました。多くは志を持った弁護士、行政書士ですが、資格自体は許可証のようなものです。当然ながら資格で許可される業務権限を守ることは基本です。しかし現実は無資格者である保険会社が「この国の交通事故解決の第一人者」であることは周知の事実です。保険会社の活躍で大多数の軽微な事故は穏便に解決されているはずです。

さて、現在多くの法律事務所が「受傷初期からの対応」「事故が起きたらすぐ相談して下さい」とスローガンを打ち出しています。以前のように、「後遺障害が残ったら相談して!」「等級が取れてから来て!」と限定的な対応しかしなかった事に比べ隔世の感があります。

さて一口に初期対応と言ってもどのような業務となるでしょうか?これが私が交通事故業務を始めるにあたって、20項目を整理した事に戻ります。その受傷直後の項目について復習してみましょう。  

1.

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 初の横浜相談会、首都圏会議も他士業を巻き込み拡大路線ばく進中です。

 今回印象に残った相談をいくつか箇条書きで。

1、上肢の短縮障害は?

 自賠責保険の認定項目に下肢の短縮障害があります。しかし上肢、腕の短縮については項目がありません。認定上、明らかな障害であれば「相当」という判断をすることがありますが、基準外としてばっさり非該当とする場合もあります。今回の相談者は重篤な骨折、筋損傷の為、可動域制限はもちろん、見た目でもわかる短縮障害となっています。この被害者の障害を立証するために、各士業の連携で総力をあげて取り組みます。

2、なぜに高次脳機能障害が認定されない?

 診断書にしっかり「高次脳機能障害」が書かれているのにまったく無視されています。何故か?  昨年の高次脳機能障害認定基準の改訂で、「疑わしき案件」は調査事務所が医療照会、本人・家族への照会用紙を送ることで「見落とされない」工夫が盛り込まれました。しかしそのような様子もなく、認定結果の理由書でも触れられてません。理由は実に明快でした。提出先はJA(農協)の自賠責共済だったのです。JAでは高次脳機能障害の特別な審査機関がありません。つまり審査担当者が「高次脳機能障害をさっぱりわからない」状態で事務的に判断、処理したものと思われます。  今後、自賠責保険の窓口がJAの場合、気を付けなければなりません。

3、なぜに14級が否定された?

 頚部神経症状、治療実績と一貫性、それなりに条件を満たしているのになぜか非該当の被害者の相談です。私たちもあれこれ非該当の理由を探します。そしてどうやら突き止めたのはMRIの提出がなされていない事でした。骨折等の明確な外傷がない場合で、「局部に神経症状を残すもの」を明らかにするのは軟部組織を描出するMRIが絶対的です。しかしこの被害者さんは「外傷性を明確にする所見がない」との医師のコメントから提出を控えてしまったのです。確かに外傷によるヘルニアや椎間孔の狭窄などは滅多な事では起きません。しかし年齢変性を伴った頚部に、外部からのショックによって神経症状を惹起(じゃっき)する・・・これが外傷性頚部症候群の「引金論」の説明です。  本例は深読みしすぎた失敗例と言えます。

4、何とかして14級を取れないものか・・・

 骨折、腱損傷等、器質的損傷が問われる後遺障害。しかしそれらがないと、いくら痛みが治まらなくても打撲・捻挫の扱いとして後遺障害は否定されます。医学的な常識では捻挫・打撲は一定期間で腫れが引き、「治るもの」なのです。  痛みの残存を訴えるご夫婦の相談者ですが・・・いろいろと知恵を絞って検討しましたが・・・最後には「同乗のワンちゃんはケガしませんでしたか?」と、犬のケガにまで及びました。「ワンちゃんで14級を取れないか」、一瞬真剣に考えてしまいました。  ちなみにペットのケガは法律上、所有物とされ、物損扱いの損害となります。      そして中華街へ・・・

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 今日から数日は日付通りに日誌を書いていません。月曜から出張で昨日夜戻りました。遡って日誌を埋めていきますね。

2日連続の首都圏会議

 恒例のレポートですが、2日間30人を超える相談者の事後対応にてんてこ舞いです。印象に残ったことを少しばかり・・・

1、罪作りな医師  単なるムチウチで、「脊髄損傷」。これをよく目にします。ムチウチでも神経症状を伴い、バレリュー症候群の状態に陥ると、被害者さんは結構きつい自覚症状を訴えます。そのとき医師の診断力が運命を左右します。適切な緩和措置をとればいいのですが、「様子を見ましょう」と的確な治療ができない。反対に「脊髄損傷」等、重症の判断をする場合があります。この軽薄に診断した傷病名が患者の頭を支配し、精神的に重症化します。ここから病院デパートが始まります。検査であっちこっちの病院へ行きますが結局、確定的な所見は出ません。これで医師に嫌がられる、さらに保険会社に疑われる、会社からも信用をなくす・・・迷える被害者の出来上がり、事故解決は泥沼化となります。  脊髄損傷は歩けないほどの重症です。それなのに「軽度損傷の疑い」程度の診断は珍しくありません。その結果、あらぬ方向へ交通事故が迷走する。困ったものです。

2、罪作りな弁護士

 某弁護士に依頼し、「12級が取れる!」と言われたケース。これも頻繁に目にします。何を根拠に12級を想定したのか・・・自賠責の認定基準をよく知らず、労災の認定基準のみを頼りに判断しているようですが、「甘い」読みは被害者を迷わせるだけです。この弁護士先生は画像も見ず、医師にも面談せず、診断書の記載内容だけで判断し、動き出しました。しかし勝手に12級を想定して医師に診断書の追記をお願いしましたが、医師の反対意見に対し何も言えません。そして12級の掛け声はトーンダウンする・・・心意気はわかりますが、経験不足だなぁと思います。交通事故外傷に対し、常に謙虚に、また正確に被害者を観察する目を持たねばなりません。私たちも「14級か12級か」について毎回丁寧に検証をしますが、初回の面談である程度わかります。経験こそすべてなのです。

3、弁護士の寄り添い方

 弁護士と一緒に仕事をしていて常に気を付けていることがあります。それは弁護士が事件を受任し、「私が〇〇さんの代理人です!」と事故相手の保険会社に通知するタイミングです。  被害者と保険会社で話し合いが上手くいかず、諸々の問題が生じてきた場合、代理人弁護士は頼れる味方です。しかし、信頼関係までとは言えないまでも、保険会社担当者と被害者間の関係が良好で、何も問題が起きていないケースもあります。ここで「代理人通知」を送れば、保険会社担当者もびっくり、一気に関係は険悪、戦闘モードに突入です。  いずれ厳しい賠償交渉を弁護士にお願いするとしても、それまでは保険会社とは良好な関係を保つべきと思います。保険会社は加害者=敵でありません。事故直後、治療費や休業損害など急場の補償をしてくれるありがたい存在です。保険会社との関係を風通し良く順調に進めて行くために、当然に弁護士が間に入ることが有効となります。しかし場合によっては陰となり、アドバイスを通じて被害者を誘導していくことが適切なケースもあります。事件によってどちらのやり方でいくか?どのタイミングで間に入るか?この判断が代理人弁護士に求められます。  交通事故に不慣れな熱血弁護士や杓子定規に業務を行う弁護士はこの判断を間違えます。受任後タイミングを計らず、保険会社に代理人通知を行って事故解決の流れを壊します。

 保険会社との関係・・・人の機微を知ること、これも事故解決に必須のマインドです。

 交通事故の相談は法理論や知識だけでは埋まりません。このような人の機微に関することも皆で知恵を出し合います。「3人寄れば文殊の知恵」ですね。

 相談会に参加された弁護士、行政書士、その他スタッフの皆様、お疲れ様でした。

   都内に3連泊後、その足で岐阜へ向かいました。明日報告します。

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 アメリカの自動車保険事情を簡単に言いますと、訴訟社会であるが故、賠償保険が絶対的に必要です。そして無保険車が多く、ぶつけてきた相手が十分な保険に加入している、もしくはしっかり補償をしてくれるなど、まったく期待していません。移民も多い多国籍国家なので、日本と違い他人への信頼度が低いと言えます。したがって自身の補償保険も必須です。

 加入率ですが、都市部では70~80%、一方地方は加入率も当然低く、30%を切る州もあります。これは州によって最低保険の加入額や関係する法律に違いがあることが一因です。

  <一般的な内容>

■ Liability Coverage(≒自賠責保険)

 日本のように自賠責保険加入が車検の絶対条件としていません。それに代わる制度として自動車の登録・更新制度があります。更新料(Renewal Fees) の支払いとともに、スモッグチェック証明書(Smog Certification)、自動車損害賠償責任保険(Liability Insurance) に加入していることを証明するもの(evidence)を提出しなければなりません。多くの州で2年更新です。

 この強制保険には最低補償額が設定されており、それに満たない運転者には罰則で対処しています。カリフォルニア州では対人は、事故1件、1人の死傷に対し15,000ドル。2人以上に対して30,000ドル。対物として5,000ドルです。

■ Bodily Injury Liability (対人賠償)

 自動車事故により他人を死傷させた場合に、医療費や休業補償をするものです。相手が死亡する、後遺障害を負った場合、十分な額が必要です。

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  昨日は月例の首都圏戦略会議でしたが、場所を六本木に移し、連携弁護士と協力して20人を超える相談者に対応、盛大な相談会となりました。オブザーブ参加者も数名列席。おかげで相談者の皆さんも緊張しきりだったと思います。これについてはお詫びを申し上げます。列席者は専門家を目指す志のある者達です。交通事故に真剣に取り組み、学習していることをご理解下さい。

 さて、印象に残ったことをいくつか。

1、同じ12級でも6号と13号では天地の差!

  相談者さんは手関節部分の骨折で手首の関節がよく曲がらなくなりました。関節可動域の制限は多くの場合、痛みも伴います。この被害者は行政書士に等級認定業務を依頼し、無事に12級13号が認定されました。これが大問題なのです。13号は「神経症状を残すもの」、つまり「痛い」症状の持続です。6号は「機能障害」、これは「曲がらなくなった」障害です。

 ではなぜ同じ12級でも13号では問題なのでしょう?

 これがわかならい弁護士、行政書士は専門家を名乗ってはいけません。辞めるべきです。

 障害の理由は賠償交渉における逸失利益算定に関わる重要な要素です。機能障害なら一生、もしくは相当長期にわたり改善せず、日常生活や仕事面で大変なハンデキャップになるはずです。当然逸失利益(失うであろう利益)は賠償上、長期間の判定になります。 しかし「神経症状=痛み」は数年で軽減、もしくは完治の可能性を残すものとして、逸失利益は5~10年程度までしか伸びない判断とされることが多いのです。

 担当した行政書士曰く「13号の方が取りやすから」と安易な請求を行ってしまったのです。これで被害者の受け取る自賠責保険金224万円は変わりませんが、追加請求する賠償金は数百万円程度失います。

 即、弁護士による等級の「号違い?」の珍しい異議申立て手続きとなりました。

  2、腕と足、両方を骨折、症状固定時期は?

 それぞれの重篤度が違うとはいえ、別々に症状固定するわけにはいきません。さらに腕は手術の可能性を残すもので、症状固定時期の判断は難しくなります。どのタイミングでどのような手を打つか、計画的・戦略的な解決を目指す私たちもあらゆる可能性を考えます。そして被害者に寄り添って適時、適切な判断を加えていきます。この高度な判断には受傷直後から被害者に寄り添い、一緒に進めていく軍師足るべき存在が必要です。多くの弁護士が「後遺障害等級が認定されたら来て下さい」と、この作業を軽視します。結果としてあらぬ方向へ被害者が曲がってしまい、適切な等級を逃します。

 本件のように複数の後遺障害が生じた事故の場合、弁護士の指揮のもと、専門知識を持った担当者の密着が必要とされます。

  3、すでに依頼しているはずなのに・・・

 昨日目立ったのは、既に弁護士や行政書士に依頼しながら、つまづいた、不安になった・・・相談者の来訪です。  ホームページで探したり、知人の紹介で頼んだ・・・なぜその法律家さんにそのまま任せられないのか?共通しているのはその専門家を名乗る先生の知識不足はもちろん、専門外であるのに安易に受任してしまった門外漢?であることが原因のようです。

 前述1のようなミスをする行政書士、交通事故の知識に乏しい弁護士、・・・この方たちの問題は依頼者の前で恰好をつけすぎていることです。私も交通事故に携わって20年超ですが、交通事故外傷のすべてを経験したわけではなく、まだまだ勉強不足です。しかしそれを補うべく、全国の仲間と常に情報交換、学習を怠っていません。そしてわからない事、迷った時は、「他の先生に聞いてみます」とはっきり言います。  昨日の弁護士先生もわからないことは素直にこちらに質問してきます。皆被害者のために必死で学んでいますので、資格や学歴や肩書などつまらない自尊心は皆無なのです。

 エセ専門家が少なからず存在し、その安直な仕事から被害者に2次被害をもたらしている現状を座視できないと感じました。被害者は専門家を名乗る法律家の真贋を見極めることが大事です。また、相談を受ける側の宣伝、被害者への訴えかけも絶対に必要です。  昨日のような垣根を越えた専門家集団による相談会の継続、そして受傷~解決まで一貫した体制の構築。これが交通事故解決のスタンダードになるはずです。

 弁護士、行政書士、役割は違っても被害者に寄り添い一つの流れとなる・・・交通事故業界の風向きが変わった瞬間です。

  5月の風薫る六本木

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現在、月例の首都圏相談会に加え、全国レベルでの相談会を展開しています。全国の協力行政書士、連携弁護士の協力で、主要都市での開催が続きます。

なぜ、首都圏戦略会議が全国的にモテモテなのか?

難しい法律話、役に立たない机上論に終始する保険会社や市町村の相談窓口とはまったく違うからです。個人の弁護士や行政書士の無料・有料相談とも規模、質、共に隔絶しています。それは首都圏だけでも年間300人に及ぶ面談数から推察して下さい。 また無料相談と言いながら「着手金無料ですからとりあえず契約を!」などとしつこい勧誘もしません。なぜなら大勢の相談者がいらっしゃるので、そんな時間も惜しいのです。

交通事故の実利ある解決とは、しっかりとした方法論をもって計画的に進めるものです。相手保険会社と喧嘩している暇はありません。この完全解決計画の立案は専門家集団のネットワークがあるからこそ実現できるのです。

手前味噌ですが、相談会レポートを再掲示します。単なる交通事故相談との違いを感じて下さい。  

ミニチュアによるシミュレーション

交通事故における過失相殺の相談も多いものです。

細かい状況説明いらず。事故を再現する事により分析を進めます。

   

実際に可動域の計測をします  理屈よりまずその場でゴニオメーター(関節計測用定規)で測ってしまいます。続きを読む »

今月の相談者は21名。弁護士&行政書士数名のオブザーブ参加もあり、相談室は盛況かつ時間通りサクサク進行しました。

■ 今回印象に残った相談案件を振り返ります

・ 醜状痕は見る人の主観で左右される?

 醜状痕の判定は自賠責の審査の 「原則=書面審査」 唯一の例外です。キズの確認の為、面接を行います。この際、審査員の主観を排除するため、専門家の同行が効果的です。キズが目立つか否か?その判断に個人差があるものです。しかしここは基準通り、しっかり長さや面積を測定をすべきです。

・ 毎度おなじみ関節可動域の間違った測定

 既に間違った測定で記入された診断書・・・これを修正するのは大変です。測定・記入した医師が「はい間違ってましたね。じゃあ測定し直しましょう」・・・なんて簡単に事は進みません。医師は間違いを認めないことが多いのです。多忙な医師は診断書一つで時間をかけていられません。しかし被害者が受け取る保険金や賠償金は数百万円減ってしまうこともあるのです。  この修正作業を美人弁護士N先生へ託しました。頼むぞ!

・ 鎖骨の変形癒合

 ここ数日3例の相談に遭遇。3名それぞれレントゲン写真で確認しましました。明らかな転位(ズレてくっついた)ものについては、医師の初期段階の判断に疑問があります。手術を避けるにしても、もう少し整復に工夫ができなかったものか?です。  また今回2名の方については医師の判断・診断に任せると、「きれいに癒合した」とされてしまう懸念を感じます。変形してくっついたかどうか?は見る人の主観に左右されます。苦労して整復を果たした医師にとっては「なんとかここまできれいにくっつけた→施術は成功した→変形癒合とまでは言えない」、この論調に流れがちです。したがって診断書上「変形なし、転位なし」とされます。   しかし本人は変形を自覚しています。医師の診断書にそれを落とし込む説得に加え、裸体写真+レントゲン写真で客観的に変形を確認してもらう作業が加わります。

・ 順調、受傷初期相談者と継続相談者

 「受傷後、早めにご相談を!」・・・症状が深刻な場合、受傷初期から解決まで計画的に解決プログラムを策定する必要があります。特に後遺障害の認定は「手遅れになる前に事前に手を打つ」必要があります。  この主張が浸透してきております。受傷初期から適時報告、相談を重ねている被害者さんは間違った方向へ行かず、理想的な解決に落着します。今回も受傷直後の方、そして継続的に参加し、完全解決の軌道を順調に進んでいる方が5名参加です。良い傾向です。

  ■翌日は行政書士仲間の昼食会

 理想的な被害者救済システム、後遺障害立証ノウハウについて昼食をとりながら会議です。普段なかなか時間を取って懇親会が開けないので良い機会となました。会はちょっと洒落たレストランで行いました。ボランティア活動が多い貧乏書士でもたまには贅沢をお許し下さい。

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既に報道でご存知と思いますが痛ましい交通事故が起きてしまいました。  京都・祇園で発生した乗用車が歩行者を次々とはねた死傷事故、車を運転していた男性はてんかんの持病があることが報道されています。

 私も高次脳機能障害の検査・診断の傍ら、てんかんの有無はもちろんですが、障害が自動車運転に与える影響について家族と一緒に医師と相談します。軽度、障害9級で車の運転を続ける方も多いのです。その際、医師が運転の可否について診断を下します。今後この診断書に重みが増すことは間違いありません。

 実は事故発生の2日前となる4月10日、小川敏夫法務大臣が危険運転致死傷罪の法改正に関する考えを述べていました。大臣の発言は、昨年4月に発生した栃木県鹿沼市クレーン事故の遺族が、危険運転致死傷罪の適用範囲にてんかん無申告の運転免許不正取得者による死傷事故も盛り込むようにとの要望書を提出したことを受け発言したものです。遺族が集めた最終的な提出署名数は、刑法の条文改正が17万0829名、運転免許交付制度の改正が16万7398名でした。

 このタイミングでの昨日の事故、法改正への動きが加速しそうです。現在免許を取得、更新する際に自らの障害を申告するのはほぼ任意です。病歴情報はセンシティブ情報(特に取り扱いに配慮が必要な個人情報)で、行政側はその病歴・既往症の告知義務に消極的なのです。しかしこれに一定の法的義務を課すべきとの声は以前からありました。

 以下は、法務省のウェブサイトに掲載された記者会見の概要から抜粋しました。

 質問:昨日、栃木県鹿沼市クレーン事故の御遺族の方がお見えになって,危険運転致死傷罪の適用範囲にてんかん無申告の運転免許不正取得者による死傷事故も盛り込むようにとの要望書を手渡されました。 危険運転致死傷罪に関しては,元々は,交通事故遺族からの強い要望で創設された条文ですが,適用をめぐっては慎重な適用が多いかと思われます。一方,罰則強化をすると道路交通法との兼ね合いでひき逃げといいますか,逃げ得を許してしまうのではないかとの指摘もあります。法改正の是非も含めて大臣の御見解を伺えればと思います。   小川大臣:危険運転致死傷罪を導入する際にも,随分と議論があったわけですが,その際には,国会の議論の中で附帯決議等で厳格な運用をということが言われていいました。  最近出てきている現象の中では,危険な行為というものは千差万別でいくつもあるので,その中で危険運転致死傷罪を適用する4つの類型だけを取り上げている関係で,同程度に悪質でありながら,4つの類型に入らないから危険運転致死傷罪が適用されないというような構造的な問題があると思います。   ですから,本来,それまでは過失犯ということで事件処理していたものが,法改正を行うと故意犯に近い量刑になってくるということの問題点もありますので,今すぐ法改正を行うとは言えないと思います。

 しかし,実際に,危険運転致死傷罪に規定されたこの類型と同じ程度に悪質な態様でありながら,一方で法が適用され,他方で適用されないという現象が起きてますので,これはこの法の背景も踏まえて検討する必要があるのかなというところです。   今,どういう方向にという方向性を私の方で説明できる状況ではありませんが,そういう問題意識を持っているということで御理解いただきたいと思います。  一方、こうした動きを受け日本てんかん協会も、てんかんと運転免許についての要望書を、法務大臣と国家公安委員長宛に提出していた。要望の項目は、次の3点です。 1.

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