交通事故は「もめごと」です。単独事故を除き、加害者と被害者の(第3者も加わるケースもありますが)争いとなります。当然お互いが権利を主張し合えば難しい交渉に発展します。しかし単なる2者のもめごとで済む問題ではありません。交通事故の場合、保険会社、病院、修理工場、健康保険、仕事・通勤に絡めば労災・・・等あらゆる機関が介在してくるのです。これが事態を複雑にすることが多々あります。

 本日の市役所同行もまさにそのケース。注意喚起の意味を込めて紹介しておきます。(若干フィクションを織り交ぜています)

1、事案は?

 被害者は停車中、追突されて腰椎捻挫となりました。相手は任意保険に加入しており、治療費を自由診療扱いで病院に精算してくれました。ここまでは普通です。

2、治療先は?

 被害者は今までにない下肢の痛み、しびれに苦しみ、改善が進みません。遠距離の病院への通院も辛かったので、近所の接骨院をメインに治療を進めました。病院へは月一回の診察のみです。

3、長期化する症状

 それから半年、症状の改善がないまま、相手保険会社は一方的に治療費を打ち切りました。打撲・捻挫で半年を超える通院は非常識とのことです。しかし本当に痛み、しびれは治っていません。仕方がないので健康保険を使って通院を続けました。

4、一年が過ぎ、症状固定へ

 さすがに治療の効果も薄れてきました。このままではいつまでも解決しないので、ここで症状固定とし、後遺障害診断書を医師に依頼しました。接骨院では診断書が書けないので断られたからです。・・・しかし病院は今更、健康保険での通院と診断書の依頼に対しつっけんどんです。なぜなら保険会社から治療費の打ち切りをされている状態ですので、もめごとに巻き込まれたくない、さらに接骨院をメインに治療費を払い、病院へは月一回、これでは面白いはずがありません。

5、それでもようやく診断書を書いてくれました。

 散々待たせて適当な(?)診断書が出来上がってきました。相手の保険会社の担当者とも関係が良くないので、直接、自賠責保険の被害者請求で進めることにしました。

6、必要書類を集めなければなりません!

 一人で請求書類を集めてなんとか提出しましたが、自賠責保険から、「全治療中の画像、そして診断書・診療報酬明細書(レセプト)を提出して下さい!」と追加の催促がきました。保険会社から治療中の診療報酬明細書のコピーをもらいましたが、それは打切り前までの分。それ以後は病院に請求しなければなりません。しかし病院は「画像は主治医の許可がないとダメです」と。そしてレセプト類も「健康保険に対し提出してしまったので、二重発行はできません」と言って請求に応じてくれません。

 ここで、手続がストップしてしまいました。病院、保険会社を何度も往復しても一向に埒があきません。

 なんで被害者の自分がこんなに大変な思いをするのか・・・

 つづく

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 私の仕事は等級認定で一区切り、その後の賠償交渉は弁護士に引き継いで進めていきます。その賠償交渉も長びくことがあります。紛争センター等の斡旋機関に持ち込めば数か月で済みますが、裁判に発展すれば1年はかかります。その間、交渉が順調であれば見守るだけになりますが、追加の医証が必要となれば再び私も走り回ることになります。そして今月、数件の難交渉案件が解決を迎えました。苦しい戦いを共に戦ってきた被害者さんもようやく安堵し、弁護士も私も晴れ晴れしい気持ちになります。

 毎回、それら解決事案を検証します。どの案件にも共通するのは、交通事故の解決は早いうちに手を打つこと、一貫性をもつことです。つまり受傷後初期から解決までの全体的な戦略を立てることです。行き当たりばったりでは、実利ある解決は遠のくばかりです。難交渉となったものの多くは、最初のつまずきさえなければ、このような長く苦しい戦いにならずに済んだのでは?と思います。その悪い例として3つのパターンがあります。

・相手保険会社に任せっきり ・中途半端な代理人に任せたおかげで迷走した ・そしてなにより被害者自身が冷静に対処できなかった

 相手の保険会社は急場の治療費や休業損害を補てんしてくれるありがたい存在です。しかし自らの権利を守るのはあくまで自分自身です。保険会社には冷静な対応が必要です。そして自分に代わって動いてくれる代理人、多くは法律職者と思いますが、すべてが専門家ではありません。どの弁護士、行政書士も商売上、専門家を謳っていますが、本当に力があるのは、ほんの一握りです。被害者は依頼する相手をしっかり見極めなければなりません。

 良い解決事例のほとんどが、交通事故専門の優秀な弁護士の圧倒的な力、もしくは手前味噌ですが、私と連携した弁護士の連携・共同体制の好取組の成果です。  債務から企業法務やら何でも屋の弁護士事務所は専門性に疑問があります。後遺障害の知識のない弁護士では相手保険会社に負けてしまいます。また代理交渉のできない行政書士に任せても、尻切れトンボのように中途半端な状態に置かれます。後遺障害の立証と後の賠償交渉は一体の戦略で臨むべきです。それは連携先弁護士と気脈を通じて立証作業を進めることによって成し得ます。

 私たちメディカルコーディネーターは全国およそ20地域の弁護士事務所と連携体制を敷いています。この交通事故解決チームで続々と成果を上げています。

 来週は沖縄の相談会にお手伝いに行きます!

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 前回の行政処分から間が空きました。続く罰金ですが、曖昧な解釈の方が多いようです。交通事故における罰金と言っても、交通反則金と罰金があります。この二つは法的性質が異なり、交通反則金は罰金とは別物です。まずこれを整理します。

 交通違反(ここでは軽微な人身事故を含む)に対し、一律に刑事手続きを行っていますと検察庁、裁判所はパンクします。なんといっても違反者の数が交通事故は桁違いです。そしてすべてに刑事処分を適用すれば、国民のほとんどが前科者になってしまいます。したがって交通違反の爆発的な増加に伴い昭和43年、交通チケット制度(俗に青切符)ができました。軽微な違反に対し、一定の金額を収めれば、刑事処分を免除しようとするものです。  この反則金は罰金ではなく、行政庁が課す一種の制裁金であり、分類も「行政処分」の一つとされています。しかし納付しなければ刑事処分に進みますので、厳密に言えば反則金は行政処分と刑事処分の中間に位置するものとも言えます。

 人身事故の場合、原則直ちに、刑事処分に進みます。したがって交通反則金(青切符)は無関係となります。しかし行政処分としての免許の違反点数、停止、取り消しは重ねて科されます。この辺がもっとも「★よくある間違い」なのです。

 罰金を中心に交通事故の刑罰を以下の表にまとめました。しかし軽傷(全治2週間以下)や物損事故はほとんどが不起訴となり、罰金が科されるケースは少ないものです。

 交通事故の刑罰 相場表

責任の重さ

ケガの重さ

刑事処分

故意、飲酒、悪質、 重大な過失

死亡 ※危険運転致死罪が適用された場合

懲役刑 1年~20年

過失によるもの 死亡 懲役刑もしくは禁固刑 7年以下 続きを読む »

 都心から首都圏はもちろん、地方にまで出張相談をしていますが、意外と埼玉県は手薄でした。最近は大宮の弁護士事務所と連携して相談会がスタートしましたが、地元の越谷市でも初の相談会を実施します。

5月19日(日) 10:00~17:00 南越谷 サンシティホ-ル 特別会議室 

← 詳細 (クリック)

 越谷市内だけでなく、この機会に埼玉県の被害者さんに広く呼びかけます。交通事故でお困りの方は、まず無料相談会へお越し下さい。交通事故のあらゆる疑問に対し、交通事故賠償に精通した弁護士、後遺障害専門の行政書士がワンストップでお答えします。 続きを読む »

 連休明けの本日は法人弁護士事務所の社員と電話打合わせからスタートです。

 この連携先弁護士事務所は月に300件を超える電話相談があるそうです。数が多いと当然ながら対応の精度が問題となります。まず電話だと相談者は一方的に疑問点だけをぶつけてきます。その会話の中で回答者が相談者から事故の情報を的確に引き出すことが必要です。事故情報が不十分では正確なアドバイスができません。電話の対応者が一般的な事務員であれば、これは相当困難と思います。また弁護士に電話を代わっても、その弁護士が交通事故案件の経験が豊富でなければ、相談者はがっかりして受話器を置くことになります。

 私のような小事務所ですと、平均2日に一件の電話もしくはメール相談で済みますので、かなり精度の高い対応ができていると思います。しかし大型事務所はたくさんの相談がありながら、全件交通事故に精通した弁護士が対応できるわけもなく、結果として発展的なやり取りになりません。的確なアドバイスができずとも、せめて無料相談会に誘致できれば・・・これが最初の目標ではないでしょうか。

 大型法人事務所だけではなく、弁護士事務所の電話対応の強化は即、受任率の向上につながるはずです。交通事故被害者の最初のアプローチでいかに信頼関係の第一歩を築けるか?これは電話対応する弁護士、行政書士の尽力はもちろんですが、補助者、事務員、パラリーガルの戦力抜きに考えられません。交通事故業務で生き残るには、クレサラ業務で増員した事務員を交通事故戦力に転換すべきと思います。そしてまず手を付けるべきは電話対応ではないでしょうか。

 被害者は法律家の仕事のみを望んでいるわけではないと思います。まず委任者に安心・信頼を求めています。保険会社は弁護士事務所が及びもつかない、すぐれた電話受付体制をしいています。ここがサービス業たる保険会社に敵わないところで、保険会社に学ばなければいけない事の一つと思います。  今月はこの電話対応のマニュアルを作りたいと思います。加えて初期対応シリーズも併せて適時、投稿していきます。 多くの行政書士が損害賠償や後遺障害の勉強に余念がないと思いますが、現在私は電話対応をはじめ、弁護士事務所の初期対応とそのノウハウにも執心しています。 

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 首都圏、主要都市の相談会は毎回参加者も多く盛況でが、ゴールデンウーィーク前とあって、参加者は少な目でした。それでも重傷案件があり、気の抜けない相談者が続きました。

 毎回の所感でもありますが、受傷後早めの相談者は解決に向けて間違った行動を抑え、正しい誘導ができます。交通事故の解決は加害者と被害者だけではなく、間に保険会社が介在し、病院や労災、健康保険などの関わりもあることから、順調に進まないものです。先が見えないと相談者も不安な状態が続くだけではなく、間違った対応をする危険性があります。したがって早期に解決までのロードマップを描くことが必要です。しかし誤情報を信じ、自己流を貫いた結果、抜き差しならない状態に陥ってしまい、ようやく相談会の扉を叩く相談者もいるわけです。

 両者の明暗ははっきりしています。よくある2パターンを例示します。ちなみにA、Bともに同程度のケガです。

例A) 1、停車中、追突を受け、むち打ち・捻挫・打撲となった。保険会社にきちんと補償するよう、びしっと言ってやった。 2、軽傷を理由に保険会社は3ヵ月で治療打ち切りを打診してきた。 3、しかし痛みや不調が治まらないので、保険会社と大喧嘩して治療を継続。 4、その後、相手保険会社は強行的に治療費の支払いを中止。 5、治療費でもめた結果、板挟みとなった病院も冷たくなった。仕方ないので健康保険を使って接骨院に通う。 6、今後の対応に相手保険会社は弁護士を入れてきた。 7、痛みやしびれも収まらず、職場でも休みがちのせいで立場が悪くなり、精神的にも病んできた。 8、そのまま時間ばかりが過ぎて、いつまでも解決しない。ついに相手弁護士から「債務不存在確認訴訟」を提起される。 9、ここでやっと相談会に来る。なんとかこの状況を救って欲しい・・・しかし「もう手遅れです。穏便に相手弁護士と解決を。」と回答された。 10、治療費や休業損害も全額もらえず、後遺障害の認定もなく、泣く泣く二束三文の慰謝料40万円で示談。

例B) 1、初めての追突事故でむち打ちとなった。保険会社との交渉やら通院やら大変・・・早めに相談会に参加する。 2、むち打ちであっても、しびれなどの神経症状が生じれば通院が長引くことを相談会で聞いた。 3、相談会で、「医師と相談し、早めにMRIを撮るよう」指示を受け、検査を行った。 4、3か月後、保険会社から症状の打診があった。相談会で言われた通り、「神経症状がありますので、もう少し治療させて下さい」と保険会社の了解を取り付けた。 5、整形外科でリハビリ通院を続ける。症状が重ければ、整骨院・接骨院・針鍼灸には行かないよう、相談会で注意されたからである。 6、6か月後、相談会でのアドバイス通り、保険会社の治療費打切りに素直に同意し、症状固定とし、後遺障害診断を受ける。 7、14級9号の認定を受け、その後弁護士に示談を任せる。 8、弁護士の交渉にて主婦でも300万円を超える示談金で解決。 9、その後は健康保険を使ってのんびり針やマッサージで軽快を図る。 10、ついでに家族でハワイ旅行。

 このように泥沼にはまる被害者、あっけらかんと解決する被害者・・・これは相談会に来る時期で明暗が分かれると言えます。 

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 週末は山梨相談会、4月も半ば過ぎだというのに冷たい雨の降る一日でした。

 今回はむち打ち被害が中心でした。むち打ち被害者の中には重篤な神経症状となる被害者も含まれますが、多くは捻挫のカテゴリーに入ります。保険会社も「むち打ち程度で3か月以上も通院なんて大袈裟な!」と思います。私たち被害者を助ける側も相談者の重篤度を見抜く目が必要です。そしてなんといっても詐病者(うその症状を訴える)、保険金詐欺の類は絶対的に排除しなければなりません。

 損保側も怒りの声を上げています。

 本損害保険協会の柄沢康喜会長(三井住友海上火災保険社長)は20日の記者会見で、保険金詐欺や不正請求を防ぐため、来年1月に協会内に専門の対策室を立ち上げると発表した。

 柄沢氏は「警察庁の統計では、自動車事故の保険金詐欺は、立件分だけで毎年数百件あり、被害額は数億円に上る。保険料負担の公平性の観点からも看過できない」と述べた。対策室では、損保各社から不正請求の情報を集めて分析し、防止策を各社で共有できるようにする。ホットラインで一般の人からの通報も受け付ける。手口などの情報をデータベースに蓄積し、各社からの照会に応じる態勢も整える。  協会は不正請求に対する消費者の意識調査も実施した。自動車に傷が付いて修理代を保険金請求する際に、前からあった別の傷の修理代も便乗して請求するケースを「絶対許せない」と感じる人は47.3%で、公園の花の抜き取り(52.8%)やガムの路上捨て(61.8%)よりも罪悪感が薄いとの結果になった。協会は「啓発活動に生かしたい」としている。

 車両保険の不正請求は日常に溢れかえっています。私も保険代理店を通して、様々な手口を目にしました。

〇 フロントガラスの跳ね石被害・・・この場合の保険金請求は無事故等級が据え置きとなります。わざとヒビを入れて、グルの修理業者にて修理。修理業者から謝礼?を受け取ります。このためか据え置き事故扱いは撤廃されました。

〇 車に落書きされて全塗装する・・・これもグルの修理業者と塗装費を請求する。

〇自動車が盗難にあった!・・・実はグルの中古販売店に売っていた。

 このように業者を介せば、簡単に偽装事故&保険金詐欺は可能です。

 保険会社の払い渋りを糾弾する意見をよく目にしますが、道徳心のない人が多いことが保険会社をスレさせる一つの原因ではないかと思います。

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交通事故を起こすと加害者に3つの責任が科されます。

1、 行政処分 2、 刑事罰 3、 民事賠償

普段、交通事故の解決と言えば3の民事賠償が中心の話題となります。しかし事故相談において加害者側の相談も少なくありません。加害者には被害者への賠償以外にも2つのペナルティがあります。いわゆる免許点数の減点や反則金、罰金のことです。これらを混同している方も多いので、1の行政処分と2の刑事罰について、できるだけ簡便に説明しておきます。

1、行政処分

行政処分は免許の点数制度に減点が加えられること、程度によって反則金が課されることです。交通事故の場合、計算は以下のようになります。

基礎点数 + 付加点数 + 措置義務違反の加算 = 合計点数

基礎点数とは駐車違反やスピード違反など、安全運転を怠った場合の減点です。事故の場合これに付加点数が課されます。ひき逃げ、当て逃げには措置義務違反点数がさらに加算されます。

<計算例> 交差点で信号無視の自動車が横断中の自転車を跳ね、逃走。後日、目撃証言から加害者は捕まりました。被害者は脛骨骨折で全治1か月です。

信号無視2点 + 全治1か月&専らの責任 9点 + 救護措置違反23点 = 34点

2年間免許取り消しとなります。

付加点数について以下の表にて整理しました。

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 出張続きで、またしても事務が大渋滞!明日も長野ですが、順次、頑張って仕上げていきます。

 先月から高次脳機能障害の認定結果がいくつかでています。立証の努力が実り、納得の等級が認定されました。  高次脳機能障害は他の部位に比べて、想定したより高い等級が認定されることが多いように思います。医師の診断と家族の観察データを、書類のみで患者を一度も診ない(”見ない”が正しいかな)審査会の面々がどうとらえるか?一部の数値で測るのではなく、全体像をみて総合評価をしていると思います。今回は医師の診断は7級レベル、神経心理学検査の数値は正常値なので、外傷の程度(画像上の所見)からすれば12級程度、家族の観察は9級相当・・・立証上、整合性をつけるのに苦労しました。

 結果は7級が認められ一安心ですが、今後裁判で相手の保険会社の猛烈な反撃が予想されます。例えば、「家族の観察では9級が妥当ではないか!」と被害者側の揚げ足取りに躍起になるはずです。それでも最初の等級認定にて、しっかりと上位等級を獲得した優位さは揺るぎません。賠償交渉上の戦術も幅が広がります。しばらくは弁護士との打ち合わせが続きそうです。             交通事故解決の道のりで2つの山があります。後遺障害等級認定は最初の大きな山です。後の賠償交渉という山を前に、絶対に軽視できない頂です。この登山道において、被害者の道案内をするのがメディカルコーディネーター(MC)の役割です。地味な役割のせいか現場ではまだ足りていません。法律家として事務所にどんと座り、賠償金の計算だけしている先生はたくさんいるのですけどね・・・。

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 本日の電話事故相談から。

Q、嗅覚、味覚の障害で申請中(事前認定・・・相手の任意保険会社に診断書を提出)です。なかなか結果がでません。診断書にしっかり嗅覚喪失とあるのに、追加検査の依頼があり、これも提出しました。しかしそれから1か月も音沙汰なしです。任意保険の担当者も「自賠責調査事務所からまだ回答がありません」・・とすげない返事です。どうなっているのでしょうか?

 この質問から示唆されることは2つです。一つは主治医が診断書に「嗅覚障害」と書いても、調査事務所は検査によるデータを見ないと信じません。医師は患者を直接観ていますので「匂いがしない」ことを疑わず治療を進めます。しかし賠償金を払う側、まして書面審査のみの審査員は証拠がないと判断できません。万全の準備をしなければこのように審査が長引きます。最悪、追加調査などの依頼もせず、ばっさり「非該当」もあり得ます。したがって本件の調査事務所は大変親切と言えます。    本件はアリナミンPテスト、T&Tオルファクトメーター、ろ紙ディスク、味覚電気検査が必要です。

詳しくは・・・嗅覚 嗅覚、味覚の検査        味覚 嗅覚、味覚の検査2

 もう一つ、任意保険担当者の立場を考えて下さい。調査事務所に対し、「大変気の毒な被害者です。等級が認められるよう、こちらでも万全の協力をするつもり・・」なわけないでしょう。等級が高ければ支払う賠償金も増大します。任意保険会社と被害者は利益が相反するのです。診断書を受け取るときも、「この検査が不足しています」、「調査事務所にしっかり伝えます」等、被害者のためになる計らいなど期待できようがありません。

 被害者は孤軍奮闘、大変不利な立場なのです。交通事故賠償で勝つには、まず自分の不利な立場を認識する必要があります。だからこそ、いつも早めの相談を訴えています。

 相談すべてを契約勧誘するわけではありません。半分以上の方はアドバイスを活かし、独力でよりより解決へ舵を切っています。私が介入しなければ埒が明かない案件についてのみ、契約を勧めています。安心してメールを下さい。

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事故証明書の取得方法

 発行は警察ではありません。交通事故安全運転センターで行います。この証明書は事故の解決まで何かと必要になってきます。取得方法は3つあります。

① 郵便振替による申し込み

 郵便振替用紙に必要事項を記入のうえ、最寄りの郵便局(振替窓口)に手数料を添えて申込みます。専用の振替用紙は交番や警察署にあります。交付手数料は1通につき540円です。 申請書1通で、何通でも申し込めます。

② 直接窓口での申し込み

 交通事故安全センター事務所の窓口において、窓口申請用紙に必要事項を記入、手数料を添えて申込みます。交通事故資料が警察署等から届いていれば、原則として即日交付します。事故資料が届いていない場合は、後日、申請者の住所又は郵送希望宛先へ郵送します。

③ web請求 http://www.jsdc.or.jp/certificate/accident/index.html

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 交通事故の現場検証も警察官により完了しました。もし重症で救急車で運ばれ即入院となった場合の現場検証や供述の聞き取りは、後日行われます。後日の検証であっても、被害者と加害者の同時立ち合いが原則ですが、それが入院等で不可能な場合、それぞれ別に行うこともあります。

1、物損扱いと人身扱い

 事故証明書の右下に「人身」か「物損」かの扱いが記載されています。この違いについては読んで字のごとくですが、問題なのはどちらにするかの選択を迫られた時です。明らかなケガ人がいれば当然「人身扱い」ですが、ケガが軽い、念のため1回だけ診断を受けてこよう・・・実際このような場面の方が大多数と思います。その場合、立ち合いの警察官がどちらにするか聞いてくるのです。迷っているとお巡りさんは「とりあえず物損扱いにしておきます。人身にするなら後で連絡して」と去ってしまいます。なぜなら警察は人身事故として受理すると、自動車運転過失致傷罪、つまり刑事事件として捜査をしなければならず、実況見分調書・供述調書などの刑事記録を作成して、検察庁へ送付しなければなりません。刑事記録の作成は、司法警察職員という資格を持った警察官でなければならないため、立ち合った交通課の警官が資格がない場合や、書類の作成が面倒などの理由で敬遠されがちなのです。    また加害者側へのペナルティも関わります。物損扱いなら罰金や減点はありません。しかし人身となると「刑事罰」の対象となります。さらに免許の点数が減点される「行政処分」が課されます。これはこのシリーズ中、表にまとめますね。

 このように病院へ行くならなるべく「人身扱い」が良いのすが、何かと周囲の影響を受けます。

★ よくある間違い

 追突してしまいました。被害者は大したことはないようなのですが、後になって治療費を請求されるかもしれません。運転の仕事をしていることもあり、なるべく物損扱いとしたいのですが、人身事故扱いにしないと保険がでないと言われました。

 原則として、物損事故では保険会社の対人賠償は生じません。しかし人身事故と言っても数回の通院で済む軽傷事故が大多数なのです。すべて律儀に人身事故にしていては警察もパンクします。保険会社も杓子定規な対応はできません。そこで物損の事故証明に「人身事故取得不能理由書」を添付し、物損事故にとどめた理由を説明します。これによって治療費や休業損害など傷害の支払いを可能とします。これは自賠責保険の請求でも同じです。  人身扱いとしなかった理由の多くは「軽微なケガであったため・・」となるはずです。では大ケガの場合、問題が生じるのか?実際は後遺障害を残すような事故でも物損証明+人身事故取得不能理由書で通しています。これは調査事務所も審査する際、「今更、届出を変更できないし、事実障害があるのだから・・」としているようです。本音と建前の世界ですが、相当の治療が必要なケガの場合は必ず人身事故とすべきです。

人身事故取得不能理由書→http://www.jiko110.com/topics/syoshiki/higaisya_seikyu/1-12.pdf

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 交通事故でケガをしました。直後から被害者はこれから治療と並行してさま様々な事務手続きを強いられます。周囲に相談できる詳しい人がいればよいのですが、ほとんどがそれぞれの窓口で一つ一つ聞きながら進めていきます。自動車保険の代理店さんなどが手伝ってくれれば良いのですが・・それでも結構大変です。また正確な答えを示してもらえないこともあります。各手続の窓口の人でさえ、間違った知識で対応することもあるのです。したがって「よくある間違い」も適時、挿入します。  ケースbyケースの時も多々ありますが、今日からシリーズで基本的な手続きを説明していきます。

① 事故直後の3義務

 ご自身が被害者となり、ケガを負ったケースを中心に進めていきますが、加害者の義務にも触れておかねばなりません。事故が起きて、まず何を優先すべきか?以下3つを行います。

1、被害者の救護  2、安全措置  3、警察への届出

 けが人が道路に横たわったままでは危ないです。危険回避のため、路側帯に移動させます。また一刻も早く救命措置が必要の場合、止血や人工呼吸も必要です。これについては周囲に人がいれば、助けを求めることも重要です。同時に救急車を呼びます。車両は路側帯に停止させ、停止表示を置く、発煙筒を焚く、トランクを開けるなど後続車による2次的な事故を防ぎます。基本は救命と安全措置です。

 以上が確保されたら、警察への報告をします。これは人身事故でも物損事故でも同じく、道路交通法に定められています。

第七十二条  交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

 このように、負傷者の救護、安全措置、警察への報告(下線)の3つが定められています。

 最後に自動車保険に加入していれば、保険会社に連絡します。アメリカでは先に弁護士に連絡ですが、日本はまだそこまではいってませんね。

★ よくある間違い 1

 軽い追突事故に遭いました。特にケガもないようで、加害者も「後で見積もりを送ってくれれば修理費を払うよ」と言っています。そこでお互いの連絡先を交換してその場は分かれました。急いでいたので警察への届け出はできませんでした。

 これはつまり先の道路交通法72条違反です。事故の軽重に関わらず、報告しなければなりません。そうは言っても急いでいるときなど面倒なケースもあります。その場合は警察に電話をして事情を説明し、後日、当事者双方で出頭すればOKです。しかしそれが許されるのは「事情」の内容によります。仕事で急いでいた、飛行機に間に合わない、などは考慮すべき事情とはなりません。命に係わる急病、出産などで急いでいるなどに限定されます。

★ よくある間違い 2    軽い物損事故でしたが届け出をしたら、交通課のお巡りさんが「(届け出をして)事故証明がでないと保険が下りないのでしょ、何とかならないの(=続きを読む »

 一年は1月から始まりますが、新入学、新学期など4月スタートの刷り込みでしょうか、春から一年が始まる感覚も捨てがたいところがあります。  日々の業務に追われて新しいアイデアを練る、新機軸を打ち出すことができないジレンマの毎日ですが、病院へ行き先生方とお会いし、相談会害で相談者さんたちと向き合うことが一番の基本業務であることは間違いありません。しかし如何せん体が足りない!!

 新年度からは被害者救済の志を持ったメディカルコーディネーターを発掘、育成することも急務です。そしてなんと言っても弁護士先生の力がまだまだ必要です。弁護士の代理交渉を前進させて被害者救済事業と発展させねば、あまねく被害者を救うことができません。この業界に参入している者がそれぞれの都合、スタンスでバラバラに動いていては、いつまでたっても保険会社主導の交通事故業界は変わりません。それだけ保険会社の浸透は深く強固です。

 交通事故賠償における保険会社の功罪の2面性、良い面は加害者対被害者の紛争化の拡大を防ぎ、一定の社会秩序をもたらしていることです。悪い面は裁判判例の賠償基準に比べ、著しく低額の支払い基準がまかり通っていることです。大多数の小損害事故に対して、穏便な解決が図れていることは重要な社会的寄与と思います。反面、後遺障害を伴う深刻な被害者の多くは半分程度の賠償金額で泣き寝入りの状態です。これに対し行政指導はなく、法律業界からの苦言も効果がありません。それは保険会社が一民間企業で営利会社であるからです。この構造はそう変わものではありません。資本主義社会において、保険会社だけに被害者救済の公共性を強く求めることに限界があります。だからこそ被害者側に立つ業者も、草の根からコツコツ努力を積み重ねなければなりません。

 目の前の一被害者を救うことも、交通事故業界全体の大きな視点に立って考え行動することも、結局は目標が一緒です。それをどのようにバランスの良い両輪システムとするか?これが新年度の課題と思っております。話が大上段かつ抽象的で短い文面では説明しきれませんが、これを新年度の抱負としたいと思います。

 まずは・・・本日、健康診断に行ってきます。健康第一!

 都内のさくらは散り始めています

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 前日よりつづきます。    弁護士事務所にとって「交通事故被害者の初期対応」を困難にしているもの・・・

 それはズバり報酬体系です。

 いくつかの弁護士事務所のHPをみてみました。それぞれの細かな違い、料金の多寡はスルーしますが、おおまかに二つのタイプに分かれることに気づきました。

1、着手金なし+成功報酬10%+20万円 

 これは大手事務所に多いパターンです。着手金無料をうたって集客力強化を図っていますが、最後に20万が加算されるので、正確に言えば「着手金後払い」と思います。この構図は某大手法人事務所が業界に先駆けて打ち出した「着手金無料」攻勢に他事務所が引きづられて、どこの事務所も「着手金あり」ができなくなってしまった状態です。また、依頼者側に弁護士費用特約がついていれば、別体系の報酬規程になります。多くは旧日弁連の報酬基準に準じています。このダブルスタンダードは今回の着目点ではありません。指摘したいのは受任時期です。    この報酬基準はどの段階から依頼しても同じ料金となります。例えば、後遺障害の被害者請求から弁護士に依頼し、その後の賠償交渉まですべて面倒を見てほしい被害者も、既に後遺障害等級を相手保険会社の事前認定にて、認定されてから代理交渉を依頼する被害者も同じ料金となります。前者と後者では作業量も違ってきますし、等級認定の成否も大きく弁護士の力に関わってくるはず・・・なのにです。    受傷直後に相談に来た被害者、賠償交渉ができる状態まで等級などが整っている相談者、どちらも同じ料金なら、「等級がとれてから来てくださいね」となるのが人情です。同じ報酬なら仕事量が少ない方がいいに決まっています。まして着手金が無料ですので、等級が認定されるかどうかわからない受傷直後の被害者を受任するのはリスキーだと考えます。    多くの事務所がこの「着手金無料」+「画一的な報酬体系」のおかげで、「事故直後から受任します」とアピールできません。頼りない印象を持った相談者は戻ってはきません。当然、受任率も低迷します。

2、等級認定前、等級認定後で違う報酬体系をもつ事務所

 この事務所は仮に1の「着手金なし+10%+20万」を掲げつつも、受任時期を等級認定「前」、「後」と分けて報酬設定をしています。つまり等級認定までの作業に対する費用は当然に発生するものと考えている事務所です。等級認定の手間、難しさを理解していますので、この作業を別料金としてオプションメニューにしている事務所さえあります。これらの事務所は自信を持って、「受傷直後から相談に来てください!」と呼びかけています。この言葉の真贋、嘘か真かは事務所の利益面からも裏付けられているのです。

 細かな報酬設定は煩雑に見えますが、被害者にとって初期から助けてもらえ、等級認定にも尽力してくれるなら、十分に納得できるものです。例として、弁護士費用特約がない被害者であっても、等級認定の重要性に理解が及べば、お財布から着手金をさっと出します。それくらい被害者は必死になって助けを求めており、それにかなう事務所を見つけたら迷いはありません。

連携を阻むもの

 1の弁護士事務所に連携を呼びかけるとどうなるか・・・私が「初期対応、特に等級認定は私達、行政書士、メディカルコーディネーター(MC)がやります」とアプローチしても、「秋葉さん、それは助かるけど・・・でも秋葉さんにその分の報酬を払ったら、うちの報酬が減っちゃうよ」と消極的になってしまいます。その分の仕事について、事務所の報酬規程では余分に報酬はいただけない、このような自縄自縛に陥っているのです。さらに事務所内の弁護士、事務員も「初期対応や等級認定は自分たちでできる!」と息巻きます。しかし実態は昨日書いたように「初期対応をやっているつもり」、「被害者請求すらせず」の事務所が多いのです。なぜなら繰り返しますが、同じ報酬なら、なるべく事務が少ない方がいいからです。

 では「報酬規定を改定し、別料金を設定すれば?」これに対しては競争力低下を心配してか、初期対応・等級認定の重要性に気づいていないか、私達MCの仕事の評価が低いのか・・・このような理由から踏み切れません。

 対して2の事務所は渡りに船とばかりに連携が進みます。初期対応をMCに預けることで、受任率は40%を超えます。さらに進化した事務所では事務所内においても初期対応、等級認定に力を入れつつ、等級が見込まれるか否か判別がつかないもの、難事案、とくに病院同行や特殊な検査が必要な案件は私(MC)に任せるなど、案件ごとに使い分けを行っています。

 被害者もこのような事務所に集まってきます。「受傷直後からの受任」に偽りはなく、報酬が高くなろうと、それに見合った仕事をしてくれる上、獲得した等級により最終的に受け取る賠償金も増大するケースが多いのです。結果として顧客の満足度は非常に高いものになります。何故なら初期のフォローから等級認定まで尽力してくれた弁護士の姿・仕事が「見えて」いるからです。多くの事務所は受任したのち、(見えないところで)「保険会社と交渉し、まとまりました」との連絡のみが返ってきます。・・・結果として頼んでよかったのか、わからない状態で解決します。     弁護士費用特約がある被害者であれば、迷わず2の事務所を選びます。そしてMC側=秋葉もこの連携によって報酬がしっかり頂けますので、どんどんこの事務所に案件を紹介します。逆に「秋葉さんに報酬を払ったらうちの報酬が減っちゃうよ~」と心配している事務所に案件は紹介しづらくなります。

 結論。すべて「着手金無料」は現実的ではない。「画一的な報酬体系」では被害者を救いきれない。これを理解し一歩踏み出さねば、連携はもちろん、交通事故に特化した弁護士事務所へ脱皮できないのです。  

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「受傷直後から受け付けます!」

法律事務所が「初期対応」可能であれば、交通事故被害者は安心して治療に専念できます。最近のHPでも初期対応をうたう事務所も散見できるようになりました。私も弁護士事務所との連携の打ち合わせでは、まずこの部分を綿密にお話しさせていただいています。すると弁護士事務所の受け取り方は大きく3つに分かれる傾向があります。

1、初期対応?何をするの?

おなじみの「等級が来てからまた来て下さい」という対応を続けてきた事務所です。すべての損害が明らかになってからではないと積算(損害の計算)し、代理人として相手に請求できないので・・と考えます。確かに弁護士の仕事を代理人による賠償交渉のみ、にとらえればそうなります。しかしいつも主張するように、後遺障害を残すような被害者さんたちは、等級認定が大きな勝負の分かれ目であり、そこにたどり着くまで大変な苦難を味わいます。もしくは苦難がない場合、多くは保険会社の支払基準で保険会社の都合のいいように進められてしまった方です。 この仕事は「被害者の救済事業」です。助けるべき局面、仕事は受傷後からたくさんあるのです。弁護士とはこの大きな視点から一緒に考えていきます。

2、うちは受傷直後から受任しています!

実に頼もしい答えが返ってくる事務所もあります。しかし、実際は・・・ちょっと意地悪ですが、2~3質問してみます。

①「治療費を健康保険に切り替える際、第三者行為による傷害の届け出を行いますが、これも御事務所で対応を?」 → 「はい。電話で『健保組合に聞いて進めてください』とアドバイスをしてます。」

②「労災の請求はどのようにしていますか?」 → 「はい。『労働局に聞いて進めて下さい』とアドバイスしています。」

③「後遺障害診断書の依頼はどのようにしていますか?」 → 「主治医に手紙で『よろしく』と添えています。」

ようするに何もわからないけど対応しているつもりになっています。質問に答えていませんし、実際、被害者のなんの役にも立っていません。ひどいと後遺障害の認定も相手保険会社に診断書を提出(事前認定)し、すべて任せっきり・・・。これでは受任中に被害者が離れていきます。場当たり的なアドバイスで誤魔化してもメッキは剥がれます。しっかり被害者をグリップできるかは、これら初期手続きのフォローにかかっていると思います。

3、初期対応、後遺障害認定こそが課題です

対応しているつもり?の事務所ではなく、どうしたらよいか明確に自己分析ができている事務所です。早くから相談にきた被害者の対応に苦慮している、後遺障害等級の獲得に苦戦している、異議申し立ての受任判断が難しい・・・等々、謙虚に仕事に向き合っている先生です。 こことの連携はすこぶる良好になります。裁判、示談交渉以前の事務を私たちメディカルコーディネーター(MC)に任せ、被害者を煩雑な事務から開放し、保険会社との交渉が生じれば直ちに間に入り、被害者をこの交渉ストレスから切り離します。そしてMCは医師面談や検査同行を通じて間違いのない後遺障害認定に落ち着かせます。最後に弁護士が賠償交渉でばっちり解決します。また異議申立の準備も、裁判での医証集めも、MCが弁護士の指揮下で暗躍します。このようにトータルで被害者救済業務が完成されます。結果として依頼者の満足度は非常に高いものになります。

現在、多くの連携先でこのシステムが主流となっています。ボスとイソ弁2人、事務員3人・・この規模の事務所では外部のMCと連携することによって、良い結果を量産しています。また大規模法人事務所は、事務所内の事務員・パラリーガルをMCとして養成、自事務所で完結する流れを作り上げています。このMCを養成するのも私の仕事と自負しています。

交通事故業務への向き合い方は、弁護士事務所によってそれぞれ違います。残念ながら多くは1か2のタイプです。私は「交通事故業務を弁護士に取り戻す」には3の「連携体制」+「受傷直後からの完全対応」の確立にかかっていると思います。1の考え方では、被害者は相手保険会社に取り込まれてしまいます。2の対応では看板に偽りありです。

では、私が利害を説いた結果、簡単に3の対応になるのか?ここでも問題が立ちふさがります。

つづく

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 飛び飛びで投稿しております、「被害者救済業務を分析」再開します

前回まで→ 被害者救済業務 を分析 ⑥

 「交通事故業務を弁護士の手に取り戻す」・・・そのためにはどうするべきか、今日から私の考えを示していきます。

 前回まで交通事故被害者を取り巻くを解説しました。保険会社主導で80%が解決されている環境下で何が必要か?私はそれを交通事故の初期対応に求めるべきと考えます。

 最初の表に戻ります。

        <完全解決までの基本的な流れと役割>

 

事故

発生

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 やはりというか、私たちを待っている被害者さん達が大勢いました。今回も弁護士、行政書士を含む首都圏チームで長野を訪れました。弁護士はやはり敷居が高いのでしょうか、なかなか相談のきっかけをつかめずにいる被害者さんには、こちらからのアプローチが必要と実感しました。

1、高次脳機能障害の解決はどう進めるのか?

 受傷から治療に専念してきたご本人とご家族、大変であったことでしょう。しかし何年も様子を見続けているわけにはいきません。解決へ向けて舵を切らせます。  どうのような症状を示しているのか?治療先で専門的な検査は可能か?相手保険会社との折衝は?公的補償制度の検討は?・・・やるべきことが山積しています。手前味噌ですが、弁護士&行政書士のコンビでこれらをワンストップで対処していきます。解決までのプログラムを説明すると、ご家族の不安な顔はみるみる安堵に変わります。

2、東京から来た意味・・

 相手保険会社との交渉で解決できない場合どうするか。裁判という手もありますが、訴額や内容が裁判にそぐわない案件もあります。それらは紛争センターの斡旋を利用することがオーソドックスな手段です。その紛セン、山梨や長野など関東甲信越はなんと東京の管轄です。したがって東京の弁護士が新宿の住友ビルに通えばOKです。つまり東京は交渉上、遠隔地とはならないのです。病院同行やきめ細かいフォローはメディカルコーディネーターが対応しますが、関東甲信越の大概の地域が、都心から特急や新幹線で2時間です。なんとかなるものです。このような話をすると相談者さんも納得、相談会後にメールや電話でフォローが始まります。

3、東京であるゆえの・・

 東京在住のご息女の病院対応が必要な相談もありました。相談会には地元にお住いのご両親がいらしたのですが、御嬢さんは東京の大学に在籍、近隣に在住のため、通院先も都内です。この場合、「首都圏の我々にお任せください!」と自信を持って対応できます。こうしてご両親は御嬢さんのそばに法律家を確保することができました。  さらに偶然ですが、来週、私の事務所のある越谷市に引っ越しを予定している方もいらっしゃいました。早速、転院先の相談となりました。

   この3日間も大変勉強になりました。地域性を感じる遠征相談会、なにより各地のたくさんの相談者に接する事は経験則の洪水です。色々なケース・性格の被害者さんの解決策について、弁護士や専門家の先生達と一緒に知恵を絞ります。傷病や法律の知識を学ぶだけではなく、斬新な実験、コロンブスの卵的な発想が次々と飛び出します。忙しいとついつい考えが硬直化します。頭はつねに柔軟に保たねばなりません。

 ← 相談会会場のホテルの屋上露店風呂

 温泉天国の長野県、しかし今回はこれで我慢です。

 ← 朝食のお蕎麦

 前日の夕食はバカ刺盛り(馬肉、鹿肉です)、ぴょんぴょん揚げ(カエル)・・・ワイルドです。  朝は写真の通り、さっぱりとお蕎麦でした。

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 ♪ けんかをやめて~ 二人を止めて~ 私のために争わないで もうこれ以上~ ♪

これは竹内まりやさんの「けんかをやめて」という曲。三角関係にある女子からの歌です。(男子側から)歌詞を見ていると、この女子にイラっとしますが・・。

さて、交通事故の電話相談で必ず挙がるのが、「相手保険会社との交渉」です。特に請求している費用が支払われないことについて打開策を求める相談です。 慰謝料などは治療終了後の示談時に交渉しますが、治療費や休業損害、通院交通費、自動車の修理費、代車代などは至急の支払いが求められます。もちろん、事故との因果関係がはっきりしている項目については保険会社もあっさりと認めて支払ってくれます。しかしすんなりいかない項目もあります。以下、代表例を挙げます。

 

1、どう考えても軽い衝撃なのに、重篤な症状で入院・通院が長引く

2、(過少申告している)自営業者が申告書以上の休業損害を請求する

3、単なる、むち打ちや足腰以外のケガで通院にタクシーを使う

4、事故での損傷以外が盛り込まれていると疑われる自動車の見積もり

5、古い自動車の修理代=価値を上回る修理費

6、代車も特定の車種にこだわる「ベンツじゃなきゃ嫌だ!」

7、5年以上も乗っている軽自動車の格落ち代

8、過失割合、特に交差点の出合頭衝突で「0:100じゃないと納得できない!」

9、可能性が定かでない、就職、進学がかなわなっかた等の将来損害

10、その他、事故とは関係ない出費 (爆笑「あきれた請求」についてはいずれ取り上げます)

 

 これらで保険会社と激しくやり合います。打開策は、まずしっかりと証拠を示すことです。それでも交渉が暗礁に乗り上げたら、弁護士に依頼し交渉を進めることです。「支払い側」=「お金を握っている」保険会社が圧倒的に有利です。法律家のバックアップなしにはあまりにも苦しい戦いとなります。 しかし少なからず、冷静さを失って保険会社担当者とケンカになってしまう被害者もおります。紳士的に交渉ができなければ、保険会社は伝家の宝刀、「弁護士対応」とします。担当者を罵倒した数日後、弁護士名がずらっと並んだ通知書が届きます。内容を簡単に言いますと・・・「これ以上、お金が欲しくば法廷で会おう!」です。ここに至って被害者は行き詰まり、相談の電話をかけてくるのです。

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① 法的に保険会社の示談代行を可とした。

② 紛争センターのような仲裁機関を設置した。

③ 保険会社が顧問弁護士、協力弁護士を受け入れる。

 示談代行付き保険は3つの制度を引き換えとばかりに誕生しました。以降、保険会社による示談・支払いの一貫した解決が可能になり、それが当たり前になっていきました。一方、弁護士は保険会社の交渉でも解決に至らない案件を受け持つようになりました。

 時は流れ平成に入り、私は旧安田火災(現 損保ジャパン)に入社しました。一年目にサービスセンターに短期配属され、山のような事故時払いデータや統計を目にしました。そこで警察に届出された交通事故に対し、保険会社による示談解決は84%との数字をみました。このほとんどが保険会社 対 被害者の交渉で解決しています。このうち弁護士が介入する代理交渉はどのくらいの数字でしょうか?これについてはデータがありませんでしたが、多くは問題のある被害者に対し、保険会社側が雇う形が多かった印象です。

 被害者側に立つ弁護士が少ないのでは?その頃から長らく疑問に思っていました。

 ここ2~3年急激に被害者側にアプローチする弁護士が増えてきましたが、未だ弁護士に委任して解決を図ることは一般的ではないと思います。やはり圧倒的に「保険会社vs被害者」の直接交渉なのです。理由を考えました。

保険会社主導の解決

 あまりにも保険会社のシステムが優秀で、被害者は保険会社のペースで解決に誘導されます。人身担当者がついて病院への一括払い(病院に治療費を直接、精算してくれる)や、物損担当者がついて、さらに物損アジャスターが活躍(被害車両を見るため、足を運び検証)し、組織的に解決を図ります。特に任意保険の加入者同士の事故で、双方に車両保険や人身傷害特約が付いていれば、両社の保険会社によりスムーズに解決してしまいます。もちろんその方が円満でよい結果も多いと思います。しかし後遺障害を残すような事故の場合、保険会社の基準=少ない賠償額で円満解決ではあまりに被害者がかわいそうです。

保険会社寄り?の弁護士

 交通事故を扱う弁護士の多くは顧問、・協力弁護士出身です。そして保険会社との関係が切れても、世話になった保険会社と争う案件は受任しない、徹底的には争わない、このようなケースを未だに目にします。

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「交通事故被害者救済」がスローガン! 病院同行に日夜奔走しています。解決まで二人三脚、一緒に頑張りましょう。

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部位別解説 後遺障害等級認定実績(初回申請) 後遺障害等級認定実績(異議申立)

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