後遺障害の予断に画像診断は欠かせません。問題なのはレントゲンのみならず、MRI、CTなどの画像を整形外科医が正しく判断できるか?です。これは大変失礼な物言いになりますが、画像の読影は医師と言えども相当の専門分野であり、専門の学習、多くの臨床を経験しなければ正確な読影は難しいのです。それは医療先進国のドイツやアメリカを例に取ればご理解いただけると思います。これらの国では、患者を診る医師と画像読影をする医師の分業化が進んでいます。医師は画像検査を指示し、その読影・解析を放射線科の医師にオーダーします。そして専門医による読影レポートを基に診断し、治療方針のデータとしているのです。特に医療過疎地などは村の診察所からデータ通信を介して、専門医による読影・診断を仰ぐことができます。

 このような背景から日本でも読影専門医のニーズが高まりつつあります。放射線科医を抱える大病院なら院内で完結しますが、町の個人病院においても進んで画像検査と読影を外注する仕組みが広がることが望まれます。

 さて交通事故外傷の現場でも医師の正確な読影なしに障害立証は困難なケースが続出しています。私たちのチームでも専門医に画像の読影を依頼することは日常の作業です。であれば相談会の段階からある程度画像に踏み込みたい、これは自然な欲求です。既に関西では先駆けて放射線科の医師が参加し、町の整形外科医では難解なMRI、CTについてその場で暫定的な読影をしていただいています。  このように医療判断が必須である交通事故外傷の相談において、究極のスタイルを実現しているのです。

 次回12/14、ついに有楽町相談会でも放射線科の医師が初参加します。すでに多くの予約を頂いておりますが、まだ数名予約可能です。是非、画像(XP、CR、CT、MRI)持参でお越し下さい。フィルムでもCD-ROMでもOKです。 

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 今年7月に記事出しした「自転車事故での高額判例」、ふたたび産経新聞で特集されました。気になっていた賠償額の内訳がおおまかに判明しました。以下、記事から抜粋してまとめてみました。

 記事の概要は・・・

 当時小学校5年生だった少年(15)が乗った自転車と歩行者との衝突事故をめぐる損害賠償訴訟で、神戸地裁は、少年の母親(40)に約9500万円という高額賠償を命じた。5年近く前に被害に遭った女性(67)は、事故の影響で今も寝たきりで意識が戻らない状態が続いているだけに、専門家は高額賠償を「妥当」と評価する。  ただ、子を持つ親にとって、1億円近い賠償を命じた今回の判決は、驚愕でもあり注目を集める。9500万円の内訳はどうなっているのか。一方で、保険加入義務がない自転車の事故をめぐっては、高額な賠償命令が出されるケースも多く、自己破産に至る例も少なくないという。こうした中、自転車の保険制度拡充を目指した動きも出始めている。

「監督義務果たしていない」

 子供の責任を親がとることになるのか?

 事故は平成20年9月22日午後6時50分ごろ、神戸市北区の住宅街の坂道で起きた。当時11歳だった少年は帰宅途中、ライトを点灯しマウンテンバイクで坂を下っていたが、知人と散歩していた女性に気づかず、正面衝突。女性は突き飛ばされる形で転倒し、頭を強打。女性は一命は取り留めたものの意識は戻らず、4年以上が過ぎた今も寝たきりの状態が続いている。判決で田中智子裁判官は、少年が時速20~30キロで走行し、少年の前方不注視が事故の原因と認定。事故時はヘルメット未着用だったことなどを挙げ、「指導や注意が功を奏しておらず、監督義務を果たしていない」として、母親に計約9500万円の賠償を命じた。

高額な賠償となった9500万円の内訳はどうなっているのか

田中裁判官の判断は・・・

(1)将来の介護費約3940万円 

 女性の介護費を1日あたり8千円とし、女性の平均余命年数を掛け合わせるなどして算出。

(2)事故で得ることのできなかった逸失利益約2190万円

 専業主婦の女性が入院中に家事をできなったとして月額約23万円の基礎収入を平均余命の半分の期間、得られなかったなどとして計算した。

(3)けがの後遺症に対する慰謝料2800万円

 後遺障害慰謝料 「赤い本」の1級。

この結果について記事より・・・

 これらに治療費などを加え、母親に対し、女性側へ約3500万円、女性に保険金を払った保険会社へ約6千万円の支払いを命じた。特に女性が意識が戻らぬままとなっていることで、慰謝料などが高額となり、賠償額が跳ね上がった。  交通事故弁護士全国ネットワークの代表を務める古田兼裕弁護士(第2東京弁護士会)は、今回の判決について「高額な賠償額だが、寝たきりで意識が戻っていない状況などを考えると妥当」と評価。ただ、「自転車だから責任が軽くなるとはいえないが、11歳の子供の事故で親がどれほど責任を負うかはもっと議論していく必要がある」と話す。

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 今日の病院同行は脊髄損傷で車イスの方です。本人、ご家族と一緒に主治医から今後の見通しを聞きました。医師は苦渋の表情で「残酷な事ですが・・・回復はほぼ不可能と言わざるを得ない・・・」と説明しました。続いて私と治療や検査の内容について淡々と話が進みます。その間、ご家族は落胆の表情です。当然ながらご本人もショックと思います。しかしかなり根性のある方でより回復に向けての闘志は失っていませんでした。

 この数年の人身事故・年間数110~120万件のうち後遺障害認定となるのはわずか6万件ほどです。その6万件のうち約60%がむち打ちによる14級9号です。腰椎捻挫やその他神経症状で14級9号を加えれば、約70%近くが14級9号となります。14級が軽い障害とまでは言いませんが、数年で回復する方、日常に影響しないくらいに回復する方が圧倒的多数です。13級以上はそれなりに長く、もしくは一生障害が続く方です。30%≒年間約1万8千人がひどい障害で苦しんでいます。

 今年私に依頼された方で13級以上は受任数の50%ほどで、残り半分を14級9号が占めています。対して多くの弁護士、行政書士事務所の受任内容はやはり60%以上が14級、そして物損事故なども入れれば、13級以上の重篤者は20~30%ほどではないでしょうか。その比較から私は重篤な被害者の受任が多いと言えます。実数は控えますが、今年の受任の半分が骨折や神経麻痺、高次脳機能障害、脊髄損傷など重篤な障害や見逃されやすい障害です。この仕事は何より経験則が大事です。私は多くの経験を積み、重篤な障害の方にとって力のある事務所を目指しています。今年のデータからその手ごたえを感じています。

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 どうのような事故で、どのようにケガを負ったのか?後遺障害の審査でこの受傷機転もしっかり検討されています。

 交通事故で受傷した状況、経緯の説明は非常に大事です。骨折や靭帯損傷、捻挫、打撲でもなぜそのように痛めたのかを第3者が納得できるシチュエーションでなければ、いくら医師の診断や画像所見、検査結果があっても疑われます。例えば停車中、後続車に追突されてむち打ちとなった場合に、肩腱板損傷や半月板損傷などの傷病名が診断されても「どこを打ったの?」との疑問が付きまといます。これはある意味常識的な判断と思います。この程度の衝撃程度で靭帯が切れるのか?どこをぶつけたらこの骨が折れるのか?等々・・・謎の受傷機転が少なくありません。

 受傷機転が曖昧、不自然・・・これでは立証する側も大変苦慮します。受傷機転について誰もが納得できる状況説明ができなければ、最初から負け戦となります。

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 年間300人を超える交通事故被害者と面談をしています。

 ある日交通事故に巻き込まれ、ケガの苦痛はもちろん、様々な事に日常生活が乱されます。皆それぞれ大なり小なり損害を被っています。そして多くの被害者が口にするのは「加害者に誠意がない」「加害者に誠意を求める」「加害者が許せない」等加害者への恨みです。

 私は保険の代理店を20年以上やっていますが、私のお客様が加害者となった場合で相手の方がケガをしたら、一緒に謝罪に訪問します。一緒に行くことが大事です。なぜなら加害者と被害者の2者での面会はトラブルの危険性があります。また加害者側の保険会社は交渉の窓口となりますが、当事者間で勝手に約束をされてしまうことを懸念しています。「被害者と会っちゃダメ」と言う保険会社すらあります。もちろん迷惑を掛けたら「ごめんなさい」と言うのが人のあるべき姿勢です。しかし現実は一度でもお見舞いに来ることがあればましな方で、加害者から謝罪が実行されないことの方が多いのです。また何度もお見舞いに来たとしても、被害者が満足しないことも少なくありません。

 多くの被害者はこの加害者への感情を訴え、先に進めなくなってしまいます。相談会でも私や弁護士に加害者に誠意がないことを30分は言い続けます。そのような被害者にはキッパリと言います。「誠意?相手の謝罪があれば満足ですか?私たちは謝罪や誠意を引き出すことなど仕事としていません。身もふたもない言い方ですがお金を取ることが仕事です」。つまり損害賠償とはお金での解決に他なりません。誠意とはお金の隠語と解釈するわけではありませんが、被害者にできることは自らの損害に見合った金銭を相手に支払わせること、これまた法律関係者が口にするにはばかられますがヤクザ用語で「お・と・し・ま・え」をつけることに尽きます。

 被害者さんの感情もわかりますが、加害者の誠意云々で立ち止まっていては解決は遠のくばかりです。最近は下のイラストのようにチャーミングに説得し、気持ちを切り替えて頂いています。

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 私のHPにも電話やメールの問い合わせがぽつぽつあります。多くはアドバイスのみで相談は終了しますが、重篤なケガの方は相談会でお会いすることが多いようです。

 最近の傾向として、既に弁護士事務所や行政書士事務所に相談または契約していながら、相談会にいらっしゃる被害者さんが増えたことでしょうか。交通事故で相談先を探す場合、まず知人の紹介、保険会社の紹介など、つてを頼る方が多いと思います。また最近ではネットでホームページを検索、色々と吟味しているようです。    多くのホームページでは後遺障害に強い専門家を謳っていますが、実情は惨憺たるものです。間違った回答をしてしまう先生が実に多い。被害者さんは自分のことなので日夜ネットや書籍で勉強しています。その知識は自称専門家の先生を上回ってしまうことがあります。そして間違った方策を示せば、自然と依頼者は去っていくものです。最近も時効の起算日を間違える先生、自賠責と任意の区別も曖昧な自動車保険に不案内な先生、MRIとXPの違いも曖昧な医療知識に乏しい先生・・・これはつまり交通事故について素人ということです。しかしその先生方を責めても仕方ないと思います。たとえ弁護士の先生と言えども万能ではありません。それぞれ得意分野、未知の分野があります。弁護士には刑事事件、企業法務、過払い金返還請求、離婚、相続、たくさんの業務分野があるのです。すべてに精通することは不可能と思います。  例えばお医者さんですが、それぞれ外科、内科、歯科と専門が分かれています。弁護士も専門分野をはっきり分けて表示してくれないものでしょうか。もしくは自身にとって専門外の依頼者が相談にきたら、専門の先生に紹介するネットワークをもつことが望まれます。

 つまり依頼者第一主義が実現されていればよいと思います。私も交通事故以外の行政書士業務の依頼はほぼ全件、私より詳しい他の先生へ紹介しています。

 すでに他の先生に依頼中の被害者さんをこちらに切り替えさせることなど、極力したくはありません。しかしそのまま任せてはいけない、捨て置けない被害者さんも多いのです。

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 土曜日は都内、台風近づく日曜は埼玉で2日連続相談会。合計16人で少なめでしたが、新MC候補さん2名を伴い、充実した内容でした。地方開催も新鮮ですがホームもいいものです。恒例の所感を。

画像勝負です!

 MRIで精査した結果、リスフラン関節(足首~足の甲)の靭帯損傷が判明しました。しかし自賠責の回答は「画像上、判然としない・・・」が「治療経過から推定が及ぶものとして・・・」14級9号とされました。器質的損傷が明らかであれば12級13号の可能性もあります。これはズバリ画像勝負です。虎の子の放射線科医に鑑定をお願いしますが、ここで一つ私たちのネットワークの優位を誇らせて下さい。  それは画像鑑定費用です。単純読影で21000円、もし有用な所見が得られ、鑑定書に仕上げればさらに21000円という2段階シムテムです。これなら最悪、画像勝負を諦めるにしても出費は21000円で済みます。このような被害者に優しいシステムは他では聞きません。(エヘン)

脊椎圧迫骨折の判定

 脊椎の圧迫骨折は縦の衝撃で椎体がつぶれる骨折です。例えば車にはねられ尻もちをついた、車の運転中、出合がしら衝突で車が横転~1回転し、頭を天井に打ち付けた、このようなケースでの受傷を多く経験しています。単純な追突事故では受傷の説明として、どうのように縦の衝撃が加わったのかよくわかりません。受傷機転を明らかにすること、これがまずスタートです。  さらに陳旧性(古傷)か否かも丁寧にチェックします。高齢者には自然に圧迫骨折している方も少なからず存在します。MRIで陳旧性か新鮮骨折を観察しますが、まず受傷直後のXPを見てみないと判定できません。受傷直後から陳旧性っぽければ事故での受傷を否定されます。

以上2点、相手保険会社の反論がきてからあたふた説明しているようではダメなのです。

関節可動域、5°の勝負

 真面目にリハビリを行い、機能回復することは被害者の務めと思います。後遺障害はそれでもなおかつ治らなかったものです。真面目な被害者は本当に必死にリハビリを行います。この日の被害者もひどい骨折ながらよくぞここまで直したと、根性を讃えるべき方です。しかし・・・足関節の可動域制限を測定したところ、わずか5°で10級を逃し12級に・・・。この角度5°で最終的な賠償金は500万円位減ると予想します。関節可動域の5°は長さにしてわずか5mmです。医師の測り方で1cm程度の誤差、言い換えれば計測値の違いがあっても不自然ではありません。この被害者さんの場合、骨折の様態、癒合具合から私は10級11号と思います。つまり計測の瞬間がこの被害者にとって最大の勝負どころなのです。

 何が勝負所なのか?まずこれを理解する必要があります。一生懸命治したのに賠償金は少なくなる・・・それは正しいことですが、ちょっとかわいそうですよね。

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★ よくある間違いから 

Q.「交通事故では健康保健は使えません」と病院窓口で健保使用の拒絶されました。交通事故では健康保健は使えないのでしょうか?

  これは間違いです。業務外の事由による自動車事故をはじめ、第三者の加害行為で、病気やケガをしたときも健康保険で治療を受けることができます。健保の使用如何は被保険者(健保の加入者)の意志で決めるものです。  ただし必要な手続きとして健保組合に届出(第三者行為による傷病届)をすることになっています。これは健康保険法施行規則第65条に被保険者の義務として定められています。この届出を受けて健保組合では、その被害を受けた被保険者または被扶養者が、第三者(加害者)に有する損害賠償の権利を代位取得し、治療に要した費用を加害者(相手方)に求償するわけです。

 この手続きは健康保険法第57条で説明されています。基本として他人にケガなどをさせた人は法律によってその賠償責任を負うことになっています。この賠償責任としての治療費は皆の税金(健康保険税)を集めた健康保険で支払うより、まず加害者が負担するのが筋です。ですから健保組合は、本来その加害者が当然負担しなければならない治療費を一時立て替えている状況にあります。

交通事故以外にも、工事現場のそばを通ったとき何か落ちてきてケガをしたとか、喧嘩等による相手方の加害行為によってケガを負わされたとか、他人の飼犬にかまれたときなども該当します。

第57条(損害賠償請求権) 1.保険者は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を行ったときは、その給付の価額(当該保険給付が療養の給付であるときは、当該療養の給付に要する費用の額から当該療養の給付に関し被保険者が負担しなければならない一部負担金に相当する額を控除した額。次条第一項において同じ。)の限度において、保険給付を受ける権利を有する者(当該給付事由が被保険者の被扶養者について生じた場合には、当該被扶養者を含む。次項において同じ。)が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。

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 お盆です。ご先祖様の魂が一時帰宅します。日本人の死生観をもっとも感じるこの季節、交通事故で亡くなったアニメキャラを通して、交通事故死亡者数の推移、自賠責保険の死亡限度額・増額の歴史を振り返ってみましょう。

 まずはおなじみのグラフから。このように1970年のピーク、1万6765人から減少を続け、90年代にやや盛り返しましたが再び減少を続け、現在は5千人を切るまでになりました。このような推移はやはり世相に反映するもので、70年代のドラマはやたらと交通事故のエピソードが多く、交通事故が身近なリスクと認識されていました。当然ながら子供が観るマンガやアニメにも交通事故の影響があるはずです。マンガやアニメをほとんど観ない私ですが、夏休みなので頑張って調べてみました。

タイガーマスク/伊達 直人 「タイガーマスク」

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 前回に続きます。まず下線部を解説します。

 保険会社にも6000万円の賠償を、とあります。これは被害者側に人身傷害特約(おそらくご家族加入の自動車保険)が加入されており、そこから6000万円の支払いを受けていたことを示します。保険会社もこの既払いにつき、加害者に求償を行うべく、この裁判に訴訟参加したものと思います。

 そして注目すべき論点が2つあります。

① 保険会社の人身傷害が9500万円の判決額全額を支払わない点です。

 人身傷害は保険会社の約款で「当社の基準で計算した額を払う」とありますので、普通は対人賠償とほぼ同額の基準で計算されます。つまり裁判の判決額はそれよりもはるかに高額な基準で計算されます。その差は2~3倍に及びます。この人身傷害が限度額(6000万円)いっぱいであれば問題はないですが、1億や無制限だったら・・・。

 私は判決額が決定したら、この判決額9500万円全額を保険会社に請求すべきと思います。 もちろん、保険会社は「当社の基準で支払うと決まっているので・・」と反論しますが、今まで同様のケースで判決額を全額請求した結果、なぜか保険会社は自社基準額を押し通さず、判決額を渋々支払います。人身傷害の支払基準は司法を介すると玉虫色となるのです。

 これは2年前、人身傷害の求償額をめぐった裁判で、「被害者救済上、約款基準より判決額を重視した」判決がでています。以降、保険会社は建前(約款)上は自社基準、司法が絡めば裁判基準とし、人身傷害の支払い基準は混とんとしたままなのです。

 この問題は「そして無保険車傷害は(人身傷害特約に)吸収された」のシリーズの続編として後日書きたいと思います。

★ しかし本件の場合、既払額6000万円はきりが良すぎる数字です。保険会社は既に契約限度額まで支払ったのかもしれません。ただし契約限度額=6000万円は半端な数字です。人身傷害特約は最低3000万円から無制限まで限度額を決めて契約しますが、もっとも多いのが5000万円、次に3000万円です。1億や無制限はかなり少ないはずです。したがって6000万円ちょうど、もしくはそれ以上の契約額もちょっと考えずらい。

 もしかしたら家族の車2台の人身傷害特約がそれぞれ限度額3000万円で、両方の限度額の合計6000万円を支払ったのかもしれません。であるならば既に支払った保険金で限度額いっぱいとなり、判決額全額を請求する議論とはなりません。  

② 現在の人身傷害特約では「自転車対歩行者」事故に関して、多くの保険会社は無責です。

 本件事故は今から5年前です。当時は自転車搭乗中のケガ、自転車による被害事故も対象となっていましたが、現在多くの損保会社はこれを補償から除外しました(三井住友、あいおいニッセイ同和、AIG、日新、全労災は補償範囲を堅持)。歩行中、自転車搭乗中のケガでは相手が自動車でなければ補償の対象外なのです。もしこの事故が現在に起きれば、被害者女性に支払われる賠償金に対応する保険は無く、加害者親子に丸々9500万円賠償金の支払いが請求されることになります。

 近年自転車の加害事故も重大化、賠償金も高額化しています。道路交通法上、自転車は軽車両となっております。自転車もある意味、自動車扱いなのです。再び人身傷害特約でこの部分も補償してもらえないものか・・・本件のような被害者はもちろん、加害者にとっても悲惨な事故から切に望まれます。

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親に9500万円賠償命令 少年が自転車で人はねた事故

 自転車で女性(67)をはねて寝たきり状態にさせたとされる少年(15)=当時小学5年=の親の賠償責任が問われた訴訟の判決が4日、神戸地裁であった。田中智子裁判官は「事故を起こさないよう子どもに十分な指導をしていなかった」と判断。少年の母親(40)に対し、原告の女性側と傷害保険金を女性に支払った損保会社に計9500万円を賠償するよう命じた。  判決によると、少年は2008年9月22日夜、神戸市北区にある坂をマウンテンバイクで時速20~30キロのスピードで下っていた際、知人の散歩に付き添い中の女性に衝突した。女性は頭の骨が折れ、現在も意識が戻っていない。  判決は「少年の前方不注意が事故の原因」と認定。少年側は「危険な走行はしておらず、日頃から指導もしていた」として過失責任を否定したが、判決は母親が唯一の親権者としての監督義務を十分に果たしていなかったと判断した。そのうえで、女性が事故に遭ったために得ることができなくなった逸失利益や介護費などを考慮し、母親には女性側へ3500万円、損保会社へ6千万円の賠償責任があるとした。 (25.7.5 朝日新聞より)

   本件は少年(15歳)の親御さんに「親権者責任」をずしりと科した点がポイントです。裁判では”親権者としての監督義務がちゃんと行われていたか否か”が争われました。でもどう考えても少年の事故における過失と、親の日ごろの指導は直接結びつかないように思います。つまり直接、事故に関与したわけではないが、少年に事故の責任がある以上、民事上の損害賠償責任を取るのは少年に代わって親、ということが本音でしょうか。確かに被害者側にとっては、「少年に支払い能力がないからチャラ」といわけにはいかないでしょう。

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 私は学校を卒業後、直ちに損保業界に入り、その後、一貫して交通事故分野一筋でやってきました。最近、依頼者さんから質問を受けました。    「秋葉さんはなぜこの仕事を選んだのですか?」    この質問には即座に答えることができます。この機会に少し語りましょう。    損保会社勤務の時、担当する顧客さまの御嬢さんが自転車でおばあちゃんにぶつかり、骨盤骨折をさせる交通事故がありました。この顧客さまの契約に個人賠償責任保険が付帯されており、この保険を使っておばあちゃんへの賠償を行うことになりました。このおばあちゃんは御年80歳、このケガから排尿障害や歩行不能となり、ほぼ寝たきりの状態になってしまいました。ご家族は会社員のご長男のみ。対して担当する顧客様(加害者側)に個人賠償責任保険の加入があり、最高3000万円まで支払えます。

 その後、10か月を超える治療を行いましたが、回復の兆しはありません。ついに、治療の長期化を懸念する保険会社の指示のもと、治療費打切り=示談の運びとなりました。事故後、数度にわたり顧客様(加害者)と謝罪に訪れ、それなりに馴染んでいる私が示談交渉に同席しました。

 最近の個人賠償責任保険はある程度、保険会社の示談代行が可能となりましが、この時代は示談代行ができず、顧客様が示談交渉を行います。しかし、示談金がいくらになろうとも支払額は保険会社の認定額までです。つまり、保険会社の認定額以上の示談金は顧客負担となってしまいます。したがって、心配なので営業担当ながら私も同席し、示談交渉を手伝います。これは実質、担当者である私が示談代行(代理交渉だと違法です。保険会社の人間はあくまで「代行」なので違法ではないと解釈されています)をすることになります。

 そこで被害者親子に保険会社の提示額320万円の説明を行い、「申し訳ありません。これ以上支払いはできません」とひたすら土下座です。

 対して、心優しい親子は、    「秋葉さんがそう言うのなら仕方ないです。それで示談でいいです」と・・・。    会社に戻り、支払担当者から「秋葉くん、よくまとめてくれた!さすがだね!」と賛辞の嵐、支払部門は大喜びです。このように保険会社時代、営業担当でありながら、いくつもの交通事故を解決させました。

 この被害者さんは、骨盤骨折癒合不良による股関節の可動域制限、排尿障害で併合9級(自賠責基準で616万)となるような障害です。介護料なども勘案すれば少なくとも2000万程度の損害賠償が見込まれます。しかし、後遺障害のことなどまったく触れずに示談成立です。

 当時は現在のように後遺障害、賠償の知識がありませんでしたが、320万はあり得ない、その倍額位にはなるのでは?と思っていました。これからおばあちゃんはどのくらい苦しむのだろう・・・息子さんは介護のために仕事を犠牲にするのだろうか・・・それとも自費で介護を行うのか・・・320万では焼け石に水です。    もうね、嫌になったのですよ、保険会社側の仕事が。    このようなケースは決して珍しくありません。交通事故の実際とは、そして保険会社とは・・・時に被害者にとって大変厳しいものなのです。もちろん、保険会社の存在が、広く被害者を助けている現実は承知しています。それでも、重傷者の多くは十分な損害の立証を経ないまま、余りにも低い賠償金で解決されています。被害者が損害の立証方法や賠償額の相場を「知らない」が故、320万円で許すと言えば確かに民事上の契約成立=示談です。なんら違法ではありませんし、安い支払いに抑えることが営利企業である保険会社の望ましい立場です。それはわかっています。そこで割り切れるか否か、先のような経験が少なければ損保業界に残っていたでしょう。残念ながらそのような経験の数は多く、私は割り切れませんでした。しばらく腐って仕事はそこそこに、ロックバンドに加入、ライブ活動中心に生きていました。  

 それからなんだかんだで10数年、腐ったままにはあまりにも長い年月を経て思い立ちました。保険会社は確かに被害者を助けていますが、それはあくまで加害者側の責任を全うすることであり、契約者である加害者を助ける仕事です。結果として、反射的に”広く浅く”被害者を助けているに過ぎません。    そこからこぼれた被害者を担う、”狭く深く”助ける人も絶対に必要です。どうせ仕事をするのなら、そこで仕事をしよう!・・・そして現在に至るのです。    今なら、先の親子のために後遺障害9級の認定を行ない、弁護士と共に1000万を超える額を得るために戦うでしょう。    これが私の原点です。保険会社の社員・関係者は国内に10万人、少しくらい被害者の味方になっても良いと思います。

 すべての仕事に共通しますが、「志」のない仕事は単なる金儲けです。この精神を来月から研修を受け持つ後進に伝えていきたいと思います。  

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 順番が逆になりましたが刑事処分の前に、警察による事故調査、検察の調査、処分の決定という過程を経ることになります。本日は被害者の取り調べ、供述調書作成に同席しました。初期対応シリーズに戻り、触れておきましょう。  

警察の現場検証、取り調べ

  1、警察は事故発生の連絡後、現場に立ち合います

 そこで、事故双方の位置関係、とくに接触場所を聞き込み、道路にチョークで×印をつけます。ブレーキ痕もチェックします。まずは事故状況を明らかにしなければなりません。それらを書面に記入していきます。その際問題は被害者が死亡、重症等で記憶がない場合、加害者の説明だけで事故状況が語られる場合です。その場で目撃者などを話を聞ければよいのですが、時に真実がうやむやになる危険性もあります。  

2、事故当事者双方から供述を取ります

 現場から警察署内に移動し、当事者を交互に取調室に入れて、事故状況をじっくり聞きこみます。当事者双方の話に矛盾がなければさくさく進みますが、食い違いがあると長引きます。警察としてもなんとか一致するよう、何度も説明を求めますが、ここでも重大な問題が存在します。警察が「ここで止まって、こうなったんでしょ」、一致しないとどうしても誘導口調になりがちです。納得できなければ、供述調書に署名・印はするべきではありません。ついつい話がまとまらなければ帰れない?と強迫観念がおきますので、妥協的になってしまう危険性があります。仮に警察の供述調書が双方食い違っても、後の検察にて再度、供述、調査を行いますので、ここですべてが決まるわけではありません。しかし警察は双方一致した調書を何としてでも作ろうとします。だからと言って真実を曲げてはダメです。  

3、相手への処分について

 最後に被害者に向けて「相手への処分はどうしますか?」と聞かれます。後に検察にこの事件を送致して処分の決定をする際、かなり重要な質問です。「そう聞かれても・・・・」と困ってしまう被害者も多いと思います。こうなると多くの場合、「寛大な処分を」と誘導されがちです。やはり刑事処分を重くすることに警察も慎重なのです。では「重い処分を!」と言うのもスマートではありません。模範的な解答は「遵法通りにお願いします」。これはある意味、減刑を拒む意見で、「重い処分を」と同じことになります。ほとんどの被害者が後に加害者への不満を口にします。相手への処分はここで決まると覚悟を決めて下さい。  

4、事故状況が不明、あまりにも事故状況が食い違う場合

 よく道路に「目撃者を捜しています」という看板を目にしませんか。1~2でどうしても第三者の目撃情報が必要な場合、設置します。しかし名乗り出てくる目撃者はほとんどいないのが実情です。

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 昨日は終日甲府相談会、15組の相談者がいらっしゃいました。3つほど所感を。

1、既往症について質問

 交通事故で障害を負った被害者さん、その中に持病、既往症をお持ちの方もおります。先天性の疾患はもちろん、高血圧や糖尿病、アレルギー等々、まったく健康な人の方が少ないくらいです。事故の障害とまったく関連性のない傷病であれば、問題はありませんが、影響があると考えられる傷病があります。これは「既往症」として後遺障害診断書に記載する欄があります。私の場合、相談の段階から既往症について詳しく聞き込むようにしています。いずれは医師の診断のもと記載される項目ですが、後遺障害の予断には避けて通れない情報なのです。

 昨日も何人かの方に質問しました。事故による障害の予断にはまず、既往症との関連性を追究しなければなりません。この質問にうろたえている、はっきり答えられない、このような被害者は今後の審査が思いやられます。調査事務所の医療照会で判明する前にしっかりと把握しておくべきなのです。

2、解決の本丸は?

 多くの相談者に共通するのは、加害者への処罰感情、相手保険会社の対応への不満です。大喧嘩に発展し弁護士対応にされてしまう方は論外ですが、感情にとらわれ解決に向けて一番大事な事を見失っている方が多いのです。

 「加害者は全く誠意がない、懲らしめることはできないのか?」  「相手保険会社の担当者が許せない!」

 多くの相談者が詰めかけていますので、これらの愚痴を聞いている時間はありません。私はバッサリと言います。「いつまでもそんなことにとらわれていないで大人の解決をしましょう。結局のところ、しかるべきお金を取るしかないでしょう」ときっぱり戒めます。そして解決の本丸である後遺障害の立証に向け具体的な作業を明示します。多くの場合、後遺障害の慰謝料と逸失利益が一番高額で最大の論点です。それ以外の費用など、例えば通院中の慰謝料や休業損害は、しょせん二の丸、三の丸なのです。恨み辛みでは戦になりません。被害者は何を優先すべきか理解する必要があります。

 「相手を恨むより、今ここでしっかり検査しないと500万円失いますよ!」・・・冷静になった被害者は自分が何をすべきなのか気付きます。ここから被害者と二人三脚の戦いが始まるのです。

3、重篤な被害者は学習している

 席に着くなり、いくつか質問をしてきます。こちらの回答を聞く目に、当方の力量を量っている様子が浮かびます。きっといくつかの相談会へ行き、がっかりした経験をお持ちと思います。または既に法律家に契約をしている方もいるでしょう。

 当然ながら本人も日夜ネットや専門書で学習をしています。自らの、もしくは家族の障害が重ければ重いほどそれは顕著です。したがってにわか専門家などすぐに見抜かれます。私はこのような相談者が大好きです。今後一緒に戦っていくパートナーとして、被害者自身もしっかり学習を積むことが大事と思っているからです。

 その一方、まったく学習しない被害者さんは心配です。専門家におんぶにだっこでも良いのですが、少なくとも信頼できる専門家を見極めてほしいと思います。派手な宣伝、専門的な解説が満載のホームページだけで判断するのは危険です。実際の弁護士は昨年まで過払い金返還請求ばっかりしていたクレサラ先生、また行政書士でも後遺障害をよく知らず、書面による賠償交渉で報酬を狙う赤本書士など・・・このような僭称専門家が溢れかえっているのです。

 昨日のみならず最近の相談会での所感でした。

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 最初に言います。

 私は無料が嫌いです。  

 なぜなら、「無料です」には必ず隠された意図があるからです。それがわかると少しキズつきます。そもそも「無料で」誰かに助けてもらおうなどとは、恐縮してできません。昔からタダほど高いものはないと言いますが・・・。

 巷には無料の文字が大氾濫しています。交通事故業界然り。かくいう当ホームページでも交通事故の相談会には無料で誘致しています。だからこそ言い訳じみていますが、相談会について綺麗ごとを並べず本音で語ります。おなじみQ&A方式で。  

Q1)「無料でも結局、商売目的でしょ?」  

A1)商売上の目的ですねと言われれば、「はい、そうです」と答えます。しかし職業上の倫理観とプライドは持ち合わせています。お金儲けで北海道から沖縄まで飛び回っていると思いますか?(ちなみに両方とも飛行機代・宿泊費は手弁当です。) 重篤な障害を負った被害者から、むち打ちの相談者まで、私の知識やアドバイスだけで上手く解決まで進めることができるのなら、それでいいと思っています。しかし残念ながら毎回、その中で一人ではどうにもできない状態の被害者も含まれるのです。その際、具体的な作業が生じれば、希望で有償対応とします。結果として残念ながら「今日は一日ボランティアで終わったね」という相談会は少ないのです。  

Q2)「しつこく契約を迫られるのでは?」  

A2) キャッチセールスであるまいし、人様の一大事に付け込んで・・・。そんなことをすれば士業は懲戒の対象となります。むしろ、私達ではお役にたてない、もしくは手助けの必要がない被害者が「なんとかお願いします!」と懇願してきた場合、それをお断りすることに苦慮しています。交通事故の場合、法律家が介入すべきか否かの判断が大切です。被害者の利益を考えると、御代を取ってまでお手伝いする必要のない事案も多いのです。すべてが契約の対象ではありません。  

Q3)「無料相談会はしょせん無料、それなりの対応では?」  

A3)そのような方こそ無料なのですから実際に来て下さい。交通事故相談は有料・無料で内容に差をつけることなどできません。差があるとすれば、それは相談を受ける者の力量の差と思って下さい。私も自分の仕事になるわけでもない遠隔地の相談会に勉強のために参加しています。昨年は一年で500人に及ぶ被害者とお会いしました。またグループの強みとして毎月複数都市の開催を可能とし、その規模、参加人数は日本でトップクラスと自認しています。必然的に膨大な経験則が得られるのです。常に実力をつけるべくチームで研鑽を図っています。  

 色々な交通事故相談があります。弁護士の法律相談、行政書士の後遺障害申請相談、保険会社の保険請求相談・・・でも色々と回る必要はありません。手前味噌ですが私たちは弁護士、行政書士、保険調査員、保険代理店、NPO法人等々、各分野のスペシャリストが揃っています。つまりワンストップサービスです。

 机上も専用アイテムで溢れています

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 本日は某弁護士事務所にて打ち合わせ。

 交通事故専門事務所として大御所の先生、最近、他事務所を解除してくる被害者の多さに辟易しているそうです。その事務所とは、クレサラ業務(過払い金利息返還請求)で急成長した余勢をかって、交通事故に乗り出してきたカタカナ大手法人事務所です。私はそれら弁護士事務所のアグレッシブな姿勢と旧弊を破壊する若い力に共感をしています。しかし肝心の被害者対応については、実態を聞くと暗澹たる気分になります。

 大御所の先生によると・・・そもそも裁判経験が少なく、一度も判決を取ったことがない弁護士が、後遺障害が重度な事案を受任し、保険会社と妥協的な示談を進めたり、裁判となってもしっかり戦ってくれず、敗北に等しい和解にのってしまうそうです。重度の障害を持った被害者は、その交渉、裁判にその人の一生がかかっているのです。クレサラ方式で事務的に保険会社と示談されるわけにはいかないのです。また最初から戦う気のない和解前提の裁判など到底容認できるものではありません。  そのような被害者が既に契約している弁護士を見限って相談にやってくる件数がうなぎ上りだそうです。多くはその弁護士に不本意な進行をされ、ぐちゃぐちゃになっているそうです。これを先生は「被害者の二次被害」とまで断罪しています。

 やはり弁護士も私たちも人生を賭けた戦いを引き受ける覚悟、そしてなにより実力が必要と思います。安易にクレサラ方式で処理できるほど交通事故は甘くありません。なぜならいつも言うように東京海上や損保ジャパンは武富士やアコムではないのです。年間数万件の交通事故処理をしているプロ中のプロなのです。弁護士も相当の経験、実力がなければ太刀打ちできません。クレサラ業務は専用ソフトに入力すれば計算されて、後はサラ金に送りつけるだけです。それらの事務は事務所の補助者がやるので、弁護士はいるだけでいいのです。このような濡れ手に粟の業務ばかりしてきた弁護士になんの力があるのでしょうか?委任解除されても仕方ないと思います。そのくせ商才ばかり先立ち、弁護士費用特約で、不合理もしくは法外な費用を保険会社に請求し、保険会社から猛烈に嫌われています。その法人事務所を懲戒請求すると息巻く保険会社もあります。

 大手法人は莫大な資金でテレビ、ラジオ、ネットで派手な宣伝を展開し、出版やHPで専門家を謳っています。多くの被害者はまずそれに目を引かれてしまいます。マーケティングの観点でいえば、「多くの方は交通事故など初めてで、弁護士の比較ができない以上、宣伝で引っ張り込んでしまえば勝ち」となります。しかし交通事故はスマートホンを各社比較して買うのとは別次元の問題のはずです。被害者もその真贋を見抜く目を持たねばなりません。    もし弁護士事務所に相談する際、次の質問を用意して下さい。

 「先生はこのケガでの裁判を経験したことがありますか?」

 「先生は交通事故賠償で判決を取ったことがありますか?」

 これに対し納得のいく回答ができる弁護士は極めて少ないことを覚悟して下さい。これは専門家と名乗っている行政書士にも言えます。それだけ日本の交通事故業界は保険会社による示談交渉が80%を超え、超保険会社主導社会なのです。

 最後に知人の保険会社担当者の本音を。

 「カタカナ弁護士法人が被害者につくとある意味ホッとします。この交渉は安く上がりそうなので(笑)」

 すげぇー悔しいです。私自身はもちろん、連携する弁護士先生はこのように思われないよう、もっともっと実力をつけなければならないのです。

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 昨日夕方、近所のバーでビールを飲みました。事務用品の買い物の帰りです。明るいうちにビールは美味しいです。しかし一つ困ったことが・・・それは足が  だったことです。このままでは飲酒運転に???

 道路交通法上、自転車は軽車両に分類されます。れっきとした車両?なのです。したがって原則論で言えば、例えビール一杯でも酒気帯び運転で、違法行為になります。今までは厳密な法の適用がされない飲酒自転車でしたが、自転車の加害事故、被害事故の増大に伴い、東京都では厳しい取り締まりが行われ、実際に免停の処分(自動車免許の)を受けた話も聞きます。これは極端な例(泥酔かつ危険運転)と思いますが、やはり違法は違法です。

 仕方ないのでてくてく手押しで帰りました。

 交通事故においても最近目立つ過失割合の修正要素です。例えば交差点で横断歩道上を自転車で走行中、左折自動車が自転車を巻き込んだ事故の場合、普通歩行者では過失0となります。しかし「自転車走行中では過失が5~10ある!」と相手保険会社が主張してくる時があります。つまり自転車走行中は道路交通法上、歩行者扱いはしない=軽車両だということです。まさか幹線道路で自転車を手押しで渡らなければ車両扱いとなり、かつ注意義務ありとは法を逆手に取った主張に思えてなりません。実際に判例上、認めたケースもあるようですが、万人が納得できないケースと思います。

 確かに危険な走行をしている自転車が多いのは事実です。厳格な法の適用は、自転車事故の増加によりもたらされたようです。

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 昨日はつい2週間前に事故に遭った被害者と面談、入院先で本人はもちろん、ご家族、主治医とお会いしました。

 初動の内容について少し語ります。

① 本人・・・まずは症状の確認です。実際に傷を確認したり、関節の動きやしびれなどを聴取します。この先、予想される後遺障害の予断を行います。さらに既往症なども聞き取っておきます。ここまでは事務的な作業ですが、なんといっても解決に向けて少しでも早くお会いすることが、安心につながるのではないかと思います。まずはご不安、心配を取り除き、治療に専念していただきたいのです。

② ご家族・・・交通事故の解決に周囲の協力は欠かせません。動きが取れないご本人に代わり、事務が目白押しです。それらをサポート・代理するために、ご家族との協力体制を築く必要があります。さらに対保険会社、対病院等の対応について事前対策を授けておくのです。とくに健保や労災の使用について正しい選択を促すことが可能です。

③ 主治医・・・加療は当然として、今後の検査等でお世話になるのです。ご挨拶が叶えば僥倖です。あとは症状について2~3質問するだけでOKです。協力的な医師であれば私も安心です。                                          とかく被害者(相談者)はもめてから相談にお越しになります。取り返しのつかない状態になっている方も多いのです。しかし上記の①~③が受傷初期に成されていれば、今後、問題が生じても「あ、聞いていた展開だ、アドバイスに従って回答しよう」と余裕をもって対処することが可能で、間違った方向へ行かずに済むのです。

 そのために、受傷直後にご相談いただければ入院先へもお伺いします。

 今回の被害者も実利ある解決に向けてロードマップが敷かれました。

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 午後は被害者面談1件、弁護士と打ち合わせ後、羽田空港へ。明日の那覇相談会に向け、夜から現地入りです。

 昨年から勉強のため全国各地の交通事故相談会に参加していますが、沖縄は初です。日本は全国共通の法律、交通事故でいえば、道路交通法、刑法、民法を根拠に解決を図ることになります。しかし世界ではこれは当たり前のことではありません。アメリカには州法があり、場合によっては連邦法より優位に作用することがあります。道路交通法や軽犯罪法などは量刑に州ごとにかなり差があります。また極端な例ではパキスタンのアフガニスタン国境、カイバル峠の一帯”トライバルエリア”です。この地域はパシュトゥーン族の自治地域としており、パキスタンの法律は適用外としているのです。

 さて、話が飛びましたが、日本でも日本の法律で単純にくくれない地域があります。それは米軍の基地内です。特に基地の多い沖縄では大問題です。基地内はあくまでアメリカとしても、基地の外ではアメリカ人の法的な立場が問題となります。交通事故で説明しますと自賠責保険加入は日本では車を運転する上で法的義務です。しかしアメリカ人に厳密に適用できるかが議論となります。これについて憲法に詳しい弁護士の先生に質問したところ、法的な根拠を追究すると、ここに行きつくそうです。

 日米地位協定 U.S.

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 前日の被害者さんはその後どうなったのでしょうか・・

7、画像の請求のために医師に再度受診

 保険請求に使いますので・・・、なんとか主治医の許可を得、画像の貸出を受けました。貸出料金は1枚500円。10枚ですので結構な出費です。

8、健康保険に開示請求

 さらにレセプトですが、病院が出してくれないのであれば、提出先の国民健康保険に対し、開示請求です。市役所の国民健康保険課に訪問し、開示請求関係の書類を記載します。しかしここで大きな問題が発生しました。

9、第三者行為による傷害届けが未提出だった

 そもそも加害者のいる交通事故の場合、役所は相手からの賠償金(ここでは自賠責保険)が健康保険に優先されると考えます。そもそも本件は保険会社に打ち切られた後の健康保険使用なので、事故扱い如何が曖昧な状態で病院にかかり続けました。今の今まで健康保険使用に必要な届け出をしていなかったのです。そこで数枚に及ぶこの書類の作成に奔走することになります。

10、添付書類にまたもや苦戦!相手への誓約書・・・

 誓約書は加害者側が署名するものです。加害者本人と相手保険会社に署名をお願いしましたが・・・最初からなしのつぶて、まったく協力してくれません。「すでに賠償としての治療費は打切りです。その後の治療に責任は持てない。」と言われました。役所にはそれを説明し、事情により誓約書は免除してもらいました。役所では相手に打診し、拒否されてやっと誓約書の割愛を認めるルールとなっています。

11、そしてようやく追加書類の提出、そして結果は?

 症状固定から書類の収集・作成・提出で半年も食ってしまいました。そしてようやく自賠責から結果が届きました。  残念ながら接骨院中心の治療(正確には施術)だったので「非該当」です。したがって後遺障害保険金はもちろん、健康保険使用後の治療費や休業損害は一切認めてくれません。書類集めにかかった費用もほとんど認められず、膨大な時間も無駄となりました。

12、通院のみの傷害慰謝料では・・

 ここで弁護士に賠償交渉を依頼すべく相談しましたが、どの弁護士も「等級は難しい」と。そして「半年間の傷害慰謝料では弁護士を立てても経済的効果がないので・・」と受任に消極的です。 こうして泣く泣く二束三文の慰謝料で相手保険会社と示談です。

 お気づきと思いますが、この被害者さんにおける賠償交渉は最後の11、12のみで、受傷から症状固定、そして後遺障害認定までのほとんど「書類集積」に費やしています。本記事のテーマがお解りですね。交通事故の厄介なところは書類集め=証拠集めであり、それが事故相手以外の様々な機関が介在するが故、非常に大変な作業なのです。とくに本件の被害者さんは、本人の責任というにはあまりにも不運、各局面で面倒な方向に進んでしまいました。これはすべての交通事故被害者にとって他人事ではないのです。

 いつも主張する「受傷直後から相談に来て!」は各局面で間違った選択をさせないよう、私たちが寄り添って各機関と折衝し、スムーズな解決に誘導するためです。そしてある意味、賠償交渉よりこの初期対応の成否が勝負の決め手となるです。

 初めての事故、運が悪ければ誰しも間違った方向へ進みます。もめてから相談、行き詰ってから弁護士に・・・これでは手遅れになることがあるのです。

 結論、交通事故の依頼をする際は「初期対応」がしっかりしている事務所を選んで下さい。

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