交通事故の現場検証も警察官により完了しました。もし重症で救急車で運ばれ即入院となった場合の現場検証や供述の聞き取りは、後日行われます。後日の検証であっても、被害者と加害者の同時立ち合いが原則ですが、それが入院等で不可能な場合、それぞれ別に行うこともあります。

1、物損扱いと人身扱い

 事故証明書の右下に「人身」か「物損」かの扱いが記載されています。この違いについては読んで字のごとくですが、問題なのはどちらにするかの選択を迫られた時です。明らかなケガ人がいれば当然「人身扱い」ですが、ケガが軽い、念のため1回だけ診断を受けてこよう・・・実際このような場面の方が大多数と思います。その場合、立ち合いの警察官がどちらにするか聞いてくるのです。迷っているとお巡りさんは「とりあえず物損扱いにしておきます。人身にするなら後で連絡して」と去ってしまいます。なぜなら警察は人身事故として受理すると、自動車運転過失致傷罪、つまり刑事事件として捜査をしなければならず、実況見分調書・供述調書などの刑事記録を作成して、検察庁へ送付しなければなりません。刑事記録の作成は、司法警察職員という資格を持った警察官でなければならないため、立ち合った交通課の警官が資格がない場合や、書類の作成が面倒などの理由で敬遠されがちなのです。    また加害者側へのペナルティも関わります。物損扱いなら罰金や減点はありません。しかし人身となると「刑事罰」の対象となります。さらに免許の点数が減点される「行政処分」が課されます。これはこのシリーズ中、表にまとめますね。

 このように病院へ行くならなるべく「人身扱い」が良いのすが、何かと周囲の影響を受けます。

★ よくある間違い

 追突してしまいました。被害者は大したことはないようなのですが、後になって治療費を請求されるかもしれません。運転の仕事をしていることもあり、なるべく物損扱いとしたいのですが、人身事故扱いにしないと保険がでないと言われました。

 原則として、物損事故では保険会社の対人賠償は生じません。しかし人身事故と言っても数回の通院で済む軽傷事故が大多数なのです。すべて律儀に人身事故にしていては警察もパンクします。保険会社も杓子定規な対応はできません。そこで物損の事故証明に「人身事故取得不能理由書」を添付し、物損事故にとどめた理由を説明します。これによって治療費や休業損害など傷害の支払いを可能とします。これは自賠責保険の請求でも同じです。  人身扱いとしなかった理由の多くは「軽微なケガであったため・・」となるはずです。では大ケガの場合、問題が生じるのか?実際は後遺障害を残すような事故でも物損証明+人身事故取得不能理由書で通しています。これは調査事務所も審査する際、「今更、届出を変更できないし、事実障害があるのだから・・」としているようです。本音と建前の世界ですが、相当の治療が必要なケガの場合は必ず人身事故とすべきです。

人身事故取得不能理由書→http://www.jiko110.com/topics/syoshiki/higaisya_seikyu/1-12.pdf

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 骨折や靭帯損傷など目に見える「器質的損傷」がない、あるいは微妙なケース、筋電図や検査数値で異常が検出されないもの、これらは他覚的症状がないものとして後遺障害は認められません。しかしながら治療状況、症状の推移から、一定の障害があると推測できるものには14級9号認定の救済(?)が果たされます。

 自賠責の認定基準は以下の労災の認定基準に準じています。

 そして「局部の神経症状」について、以下のように労災の認定基準が定められてます。

14級9号 局部に神経症状を残すもの 労働には通常差し支えないが、医学的に説明可能な神経系統又は精神の障害を残す所見があるもの。医学的に証明されないものであっても、受傷時の態様や治療の経過からその訴えが一応説明つくものであり、賠償性神経症や故意に誇張された訴えではないと判断されるもの。 医学的に証明しうる精神神経学的症状は明らかではないが、頭痛、めまい、疲労感などの自覚症状が単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されるもの。 12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの 労働には差し支えないが、医学的に証明できる神経症状をいう。 知覚障害、局部のしびれ感、麻痺があるとき、それがレントゲン写真・CT写真・脳波検査・脳血管写・気脳写・筋電図等の検査によって証明される場合。

   自賠責は下線部に書かれているように、受傷機転、治療経過から説明可能な症状であり、単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されれば、14級9号が認定されます。この解釈に多くのむち打ち被害者は救われています。しかし、治療期間において任意保険会社に詐欺まがい・非常識な請求をした、担当者と大喧嘩した、精神病的な症状となり治療が長引いた・・これらの被害者は、「説明できる・推定される障害」とされない可能性が高まります。自賠責調査事務所はそのような情報を調査権限に基づいてキャッチするからです。

 もちろん詐病者や大げさな症状を訴える被害者を排除することは良いことですが、逆を言えば審査する担当者によっていかようにも判断できる危険性をはらんでいます。

 14級9号が認定されるであろう被害者、認定が危ない被害者について、事前に受傷からの治療状況を聞けば、私たちはほぼ予想がつきます。対して、JA共済の判断にはびっくりさせられることが多いように思います。自賠責共済ではなく、自賠責保険なら、認定は「損害保険料率算出機構・自賠責損害調査事務所」で行います。

 しかし、JA自賠責共済は、各都道府県のJA共済連にて独自に審査を行います。

 自賠責保険の調査事務所は一応、第三者機関ゆえ、公平中立である? という議論は別として、JAは単なる身内審査ではないか! 農協の職員に高度な医学的判断ができるのか! このような批判も挙がって良いと思います。    共済連の審査が独自と言っても根拠法は自賠法であり、その認定基準は同じく労災に準じています。しかし、どうも判断の自由幅が自賠責保険調査事務所より広く感じます。普通に14級9号が推測→認定される案件も、なぜかばっさり非該当とされることが多いように思います。また、どう考えても自賠責の基準上、間違っている判断も目にしました。

 JAは任意保険でも他損保と一線を置いた対応を見せます。損保は良くも悪くも横並び意識が強いので、対応・判断が読みやすいのですが・・・。

 やはり、JAの身内審査は不公平であり、何故、そのようなことが許されているのか疑問を感じています。       ★ 本記事は2013.3月投稿です。   現在、JAの後遺障害審査は自賠責保険・調査事務所へ委託されました(喜!)   詳しくは ⇒ 朗報! ついにJAが自賠責審査をやめる!  

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 私は弁護士事務所の受任率に注目しています。とりわけ後遺障害案件の受任率を注視します。

 交通事故で大きな収益を上げている事務所は後遺障害案件の受任率が高い。このような事務所は事故相談の場面でも被害者さんが即断、契約します。つまり「等級が取れてからまた来て」などとせず、しっかり初期対応ができる上、後遺障害等級を獲得する実力が評価されたからです。

 実力のある事務所は物損のみの事故、加害者側の依頼は極力引き受けません。やはり後遺障害案件が中心です。重篤な被害者の救済を第一に考えていることもありますが、後遺障害を伴う被害者は賠償金額が大きく、弁護士の収益も大きいからです。弁護士にかかる費用を考慮すれば、軽い損害の事故は保険会社に任せるべきで、代理人を用いるべき仕事ではないと言えます。

  交通事故に特化し、多くの被害者を救い、結果として大きな収益を上げるには、後遺障害の獲得にかかっていると思います。交通事故の支払保険金額の85%が後遺障害の損害額なのです。交通事故に真剣に取り組むのであれば、答えは明快です。「後遺障害等級獲得に強い」事務所になることです。そのためにも「受傷直後から受任」しければなりません。一人で保険会社と対峙する被害者は正しい誘導を失い、等級を取りそびれることが多くなるからです。

 後遺障害が見込まれる被害者であれば、病院同行、医師面談、検査誘致が重要な作業となります。この場面こそメディカルコーディネーター(MC)の仕事が必要とされます。弁護士事務所内、もしくは外部でMCが活躍すれば、飛躍的に後遺障害案件の受任率は伸びます。これは昨年の連携先事務所の数字で如実に表れています。

 「すべて着手金無料」、「画一的な報酬設定」では後遺障害を獲れる事務所にはなりません。また学習を積んだ被害者にも見透かされます。

 過払い利息金返還請求、いわゆるクレサラ業務で大きな収益を上げた弁護士事務所は、次の分野として交通事故に注目しています。しかしクレサラ方式で参入できるほど、交通事故は甘くありません。合理性で臨んでも長続きしません。後遺障害獲得能力を磨かないため、いつまでたっても軽傷ばかり受任し続け、宣伝費ばかりが増大していきます。  そして保険会社はとても手強い相手です。東京海上や損保ジャパンは武富士やアコムではないのです。決して潰れませんし、何があっても保険会社はしっかり利益を得ていきます。対して重篤な案件が少ないため、めったに訴訟をしない弁護士は交渉能力が伸びません。実力がないから重傷被害者は来なくなる悪循環。結果として撤退は目に見えています。    

 交通事故業務は被害者救済事業であると認識していただければ、おのずと道は定まるはずです。私たちも本気で交通事故に取り組む事務所、志のある弁護士との連携を求めています。私たちMCは初期対応と後遺障害認定、この分野で汗をかく準備ができています。そのシステムが長じれば「被害者側の交通事故サービスセンター」が形成されるはずです。サービスセンターとは保険会社の事故処理部門の呼称です。この加害者側のセンターばかりではなく、潜在的に被害者側にもセンターが求められています。受傷直後から被害者を解決まで担当する体制・・これを弁護士が担わなければ、誰が担うのでしょうか?

 日本全国の弁護士事務所に、とりわけ交通事故に取り組む弁護士先生にこのシリーズの主張を強く訴えていきたいと思います。そのために今夏を目標に『交通事故・初期対応マニュアル』の執筆を予定しています。まずは被害者救済業務の技術、ノウハウを全国的に披露しなければなりません。

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 もう一度この特約の約款をみてみましょう。(T社)

第2条 (4)この特約において、弁護士費用および法律相談費用とは下表のとおりです。

①弁護士費用 あらかじめ当社の同意を得て弁護士、司法書士、行政書士、裁判所またはあっせんもしくは仲裁を行う機関に対して支出した弁護士報酬、司法書士もしくは行政書士報酬、訴訟費用、仲裁、和解または調停に必要とした費用 ②法律相談費用 法律相談の対価として弁護士、司法書士または行政書士に支払われるべき費用

 どこの会社もこの定義とほぼ同じです。払われるのは訴訟・仲裁・和解・調停に必要な費用、相談費用です。対象は弁護士、司法書士、行政書士、裁判所、斡旋機関です。かなり広範囲のようです。しかし「あらかじめ当社の同意を得て」と条件がありますので、支払い担当者の解釈で支払い範囲が広がったり、縮まったりします。実際、その保険会社の解釈というよりは、担当者の解釈で支払いOKだったり、ダメだったり・・・統一された解釈がないようです。    このような環境下、弁護士、行政書士が常識的な請求をしていれば、おのずと保険会社の支払い基準、相場が固まってくるのが健全な姿と思います。しかし、法律事務所のHPでは「弁護士費用のある方」、「弁護士費用のない方」と二重表記が目立ちます。その分け方に、商売上の理由が露骨に見える事務所があります。これを保険会社は想像以上に問題視しています。

 そして、某社の担当者から「当社としてはA事務所に対し、弁護士費用の支払いはしません」との宣言!

 A事務所は保険会社を甘く見た報いを受けました。そして保険会社の体質を知らないことが、さらなるペナルティを受けることになります。かつて護送船団方式で全社、同じ約款、同じ掛け金であった体質の名残でしょうか、この保険会社の対応は、他の会社にも飛び火します。少なくとも国内大手の保険会社から、同じ対応をうけることが予想されます。外資系通販は同調しないと思いますが、もともと弁護士費用の支払いを渋る体質なので・・。

 私が心配していることは、A事務所だけの対応に留まればよいのですが、真面目な請求をしている他事務所にまで厳しい目を向けられることです。

 最近はLAC(日弁連の弁護士紹介機関)を受け皿とし、そこでの弁護士費用の基準・相場を多くの保険会社が推奨しています。なんとか弁護士費用特約と弁護士の関係存続は大丈夫と思います。しかし、今のところ行政書士会ではそのような申し合わせはありません。政治力から考えても、行政書士は約款から外れ、排除の危険性があると思います。

 B保険会社などは「行政書士は法律相談費用(10万円限度)のみ!」と請求内容の妥当性など無視、ヒステリックにまで行政書士の業務を否定しています。

 これはズルい請求をする法律家さんたちが招いた、自業自得かもしれません。

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 先日、仲間のMC山崎先生から情報をいただきました。それはある保険会社の担当者さんが弁護士費用特約の支払いに対し、厳しい目を向けざるを得ない、不届きな法律家さん、事務所を名指しで挙げたことです。以前にも記事に取り上げましたが、「保険会社の特約があるのだから・・・」と無茶な請求、アンフェアな請求をする弁護士、行政書士が少なからずいるのです。 困ったものです。

 

弁護士費用特約が出なければ、後は保険会社に文句言ってね

 これはある行政書士事務所の対応ですが、被害者に弁護士費用特約が使えます(使える可能性があります)と言っておきながら、費用が出なくても責任は取らない、やり方です。

① 契約の際は「弁護士費用特約で私どもの報酬はまかなえますので」と言います。被害者は迷わず「お金がかからないなら!」と即断、契約します。

② 仕事の完了後、相手が保険会社なのだから・・と普通より高額の請求をします。

③ 保険会社が支払いを渋ると、

④ すでに委任請求(被害者に代わって請求しますので、自賠責保険金を事務所口座に振り込ませています)で保険金を握っていますので、そこから報酬を抜き取った差額を被害者に支払います。その際、「保険会社が払わないのが悪い、うちには責任ありません」の姿勢。

⑤ すると弁護士費用特約から費用が出ると思っていた被害者は怒り心頭、保険会社に文句を言います。

⑥ 保険会社にしてみれば、「当社の許可なく勝手に行政書士と契約された内容」など、守る必要はありません。

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 よくある質問の一つに完璧にお答えしましょう。  

Q:「後遺障害の申請をするのですが、相手の保険会社に診断書を出して任せてしまう方がよいのでしょうか?ネットで検索すると、被害者請求の方がいいと聞きますが・・・」

 

 事前認定とは、後遺障害診断書を相手の任意保険会社の担当者に提出し、審査機関である自賠責調査事務所へ送達してもらうことです。被害者請求とは直接、自賠責保険に被害者が診断書等、必要書類を提出することです。

 どちらがいいのか?これに対して、有利・不利などの単純な優劣ではなく、論理的に回答しなければなりません。被害者が客観的な情報から選択すべきと思うからです。まずは以下の表をみて下さい。  

事前認定

被害者請求

手続き面 どちらが簡単? 楽です。相手の保険会社が書類を集積して審査先である調査事務所に送ります。 ご自身で、診断書、画像、他、集めて回らねばなりません。 審査面 全件必須ではないですが「一括社意見書」が添付されるケースがあります。被害者にとって有利・不利な情報となるかは担当者次第ですが、被害者に不利な情報があれば漏らさず伝えるでしょう。

また、何か検査が不足していても、立ち止まって親切に教えてくれません。形式上の書類さえ揃えばさっさと提出します。任意保険・担当者の業務範囲では、後遺障害の申請内容など吟味する必要ないからです。 ご自身の障害について積極的に検査や画像を集めることになります。立証上、足りない検査があれば追加します。

また、熟知した専門家に依頼すれば、間違いのない立証作業が望めます。逆を言えば、低レベルの先生に任せると、単に書類を右から左へ、わざわざ被害者請求する意味などない申請となります。 保険金 自賠責保険金は? 自賠責で認定された保険金は任意会社が提示する賠償額に合意、つまり示談するまで、手にできない。 相手と示談する前に、自賠責保険金を手にできる。結果として、その後余裕をもって賠償交渉に臨めます。つまり長期戦も可能となります。 費用面 経費は? かかりません。相手保険会社が無料でやってくれます。 ご自身で動く場合は最低限の経費で済みますが、代理人(弁護士、行政書士)に依頼する費用がかかります。

   この表を示すと被害者の80%以上が被害者請求を希望します。ご自身に弁護士費用特約がついていれば、ほぼ100%が被害者請求を選択します。問題は費用対効果(業者に依頼するか否か、業者の選定)でしょうか。ちょっと考えればわかりますよね、被害者に保険金をなるべく払いたくない相手(保険会社)にその保険金が増えるかもしれない作業を任す?・・やはり気持ちのいいものではありません。相手任意社は露骨な妨害や不正などはしないでしょうが、少なくとも被害者の利益の為には頑張らないでしょう。あくまで事務的です。

 誤解のないように言いますが、どちらの手続きかで勝負が決まるということではありません。提出・審査先は同じ自賠責調査事務所です。審査結果は提出する書類の内容および、必要書類の完備次第です。それらが同一ならば結果は同じです。

 正しい等級は「間違いや遺漏のない診断書の記載内容と必要な検査資料の完備」にて決定します。しかし、現実は・・完璧に正しい診断書、不足のない検査資料が自動的に揃うことの方が少ないのです。協力してくれるであろうお医者さんは治すことが仕事、障害の立証など興味ないからです。そして、審査上、定型書類以外の情報がまったく検討されないわけではありません。意見書の存在も気になるところでしょう。

 ならば、自らの主張を徹底すべく、自ら書類集積・申請をしたいのが人情です。もしくは、精通した先生にお願いしたいのです。

 連携先の弁護士事務所はどちらかの派に分かれていますが、経験を積むと被害者請求中心になっていくようです。なぜなら書類を集める立証過程でいち早く認定後の交渉戦略を構想しているからです。申請前から障害の全容を把握したいのでしょう。このような先生は「等級認定が最初の勝負!」と石橋を叩くように慎重になります。そして、自ら書類を精査・集積する過程を通して自然と被害者請求中心になっていくようです。

 経済的な面も無視できません。症状固定後、被害者は治療費を絶たれます。仕事に復帰できなければ休業補償もなくなります。被害者さんは賠償金を得るまで長い交渉期間を待つ身なのです。先に自賠責保険金を確保する、このような権利を使わない手はありません。

 やはり、被害者は自らの窮状を明らかにする作業を人任せにするのは心配なのです。実際、被害者請求すれば調査事務所から追加調査や不足書類の打診が直接、自分もしくは依頼している弁護士事務所に届きます。調査内容にもよりますが、事前認定では多くの場合、任意社や病院に打診されて、追加調査の内容・進行が不明となります。この医療照会で勝負が決まることが往々にしてあるのです。

 相手任せ、不透明な手続き、それで認定結果に納得できますか?  

 一方、どっちを選択しても結果は同じですよ、被害者請求は面倒なだけです。」と依頼者を説得している弁護士も少なくありません。

 私はなぜこのように考える弁護士が多いか考えてみました。そこで思い当たるのが、このような考えの弁護士はほぼ保険会社の顧問弁護士、もしくは協力弁護士の経験者ではないか?です。

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三井住友さんは特約を細分化している

① 弁護士費用特約

 ・・・日常生活で事故にあい、ケガをしたりモノが壊れるなどの被害を受けたとき、弁護士に相談する費用などを補償します。日常生活の事故には、自動車に乗っていて衝突された事故や、歩行中に自動車にはねられた事故も含みます。

 つまり交通事故だけではなく、事故や犯罪により第三者から被害を被った場合、弁護士に相談、交渉の依頼について費用がでます。例としてイベント会場で下敷きになりケガをした場合や、マンションの階上の水漏れで家具に損害が生じた場合も、弁護士などに相談する費用を補償します。従来の弁護士費用特約は交通事故限定でしたが、補償が拡大したと言えます。

② 自動車事故弁護士費用特約

 ・・・自動車に乗っていて衝突された事故や、歩行中に自動車にはねられた事故で、ケガをしたりモノが壊れるなどの被害を受けたとき、弁護士に相談する費用などを補償します。

 つまり、自動車事故にまつわる交渉に限定します。注意しなければならないのは、ご自身が契約している車両に搭乗中以外の場合です。他の家族の自動車に乗っているときは適用外です。他人の車はOKですが、奥さん所有の自動車に乗っていて被害事故にあった場合はその自動車に特約がついていなければ適用外です。また家族内で50ccバイクに乗っている子が事故に遭った場合、そのバイクにもこの特約が付いていなければ補償外です。従来の弁護士費用特約は、①のように家族内の一台の自動車にについていれば全車両(他人の車も含む)補償内でした。これは①とは逆に補償が限定された形になります。

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さらに弁護士費用の第2条(4)について。

第2条 (4)この特約において弁護士費用および法律相談費用とは下表のとおりです。

①弁護士費用 あらかじめ当社の同意を得て弁護士、司法書士、行政書士、裁判所またはあっせんもしくは仲裁を行う機関に対して支出した弁護士報酬、司法書士もしくは行政書士報酬、訴訟費用、仲裁、和解または調停に必要とした費用 ②法律相談費用 法律相談の対価として弁護士、司法書士または行政書士に支払われるべき費用

    弁護士費用が支払われる対象者と内容についてさらに詳しく規定しています。T社他、国内損保はおおよそこのような内容となっております。外資系通販損保は司法書士や行政書士が対象外となっている会社もあります。

ここでのポイントは下線「あらかじめ当社の同意を得て」の部分です。これは弁護士等が依頼者と先に報酬を取り決め、契約したとして、その金額を無条件で支払うことはしません、ということです。あくまで保険会社の納得する金額までしか払いません、という意味です。これは保険会社の約款には欠かせない、毎度おなじみの条件です。この条件をめぐって、以下のやり取りが繰り返されています。  

依頼者:「先生、交通事故で依頼をしたいのですが、費用はどのくらいかかりますか?」

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 最近、弁護士費用特約についての質問が重なりました。どのような場面で使える保険か?少し約款に踏み込んでみましょう。

 まず、弁護士費用特約を簡単に説明します。

 交通事故で被害者となり、事故相手との交渉や賠償金請求行為をするために代理人を使ったり、公的機関を利用した費用について、自分がかけている自動車任意保険のこの特約からその費用が支払われるものです。  各社多少違いがありますが、限度額は以下の通りです。

弁護士費用

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今日は弁護士事務所で被害者さんと3者打ち合わせです。暮れに等級が認定されたのですが、今後の賠償交渉をどう進めるかについてです。色々と検討することがありますが、まず被害者さんに今までの相手保険会社さんとの交渉の内容を確認しました。そこで相手の保険会社さんとの最後のやり取りを聞いたところ、その電話の内容がかなりかわいそうでした。紹介します。

保険会社Aさん:「Bさん、被害者請求したそうですが、等級は決まりましたか?」

被害者Bさん:「はい、おかげさまで9級が取れました。」

保険会社Aさん:「えっ!9級ですか・・そうですか。」

 (思っていたより高い等級で少々びっくりです)

保険会社Aさん:「では今後の話し合いを始めたいのですが・・」

被害者Bさん:「はい、話し合いについては私も仕事に復帰して忙しいですし、精神的にもキツいので弁護士の先生にお願いしました。」

保険会社Aさん:「えーっ!・・・・もう頼んじゃったのですか?」

被害者Bさん:「はい」

保険会社Aさん:「そうですか・・・」 (電話でもわかるくらいしょんぼり)

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 A君は早速、会社の事務に「自損事故保険が出るそうなので、手続きお願いします」と願い出ました。しかし事務の担当者も、「それ何ですか?良くわからないので・・・」困ったようです。そこで上司に同じようにお願いしても、「上に言っておくよ」と言いましたがそれっきり。会社はなんだかよくわからない保険だし、労災でA君を補償したのだし、障害で会社を辞めるようだし、・・・親身になってくれないのです。

 仕方ないので私が会社の担当者に説明を申し出ました。まずは会社の事務、続いてその上司に説明、すると会社の弁護士がでてきて、「労災で十分でしょ」と頓珍漢な対応、まったく自動車保険を知らないようです。まるでA君が会社相手に訴訟を起こそうとしているとでも思っているのか、変に力が入っています。

 弁護士を相手にしていてもダメなので、会社の保険を担当している代理店さんに話を通しました。自損事故保険については、さすがに代理店、多少(多少では困りますが・・)知っています。「早速保険会社に聞いてみます」と返答、そしてN保険会社も「出る可能性があります」との返答になりました。

 しかしさらに障壁、会社の部長が「会社に許可もなく勝手に保険を使っては困る!」そして「掛け金が上がるのでは?」と横槍です。会社には再三請求のお願いをしています。そしてすでに対人・対物賠償の適用・支払となっており、追加請求が出ても来年の等級ダウン、掛け金UPは決まっています。

 この部長にしっかり説明し、「会社には一切迷惑がかかりません」と約束し、理解を得ました。これでようやく保険の請求手続きです。 保険金請求書と後遺障害診断書を提出しました。

 障害の内容から後遺障害保険金10級280万円、入院1か月で18万円、通院40日で16万円、合計314万円となるはずです。しかしここに至ってもすんなり支払ってくれません。

N保険会社 担当者:「自損事故保険は相手の自賠責保険からの支払のない場合に支払われます。したがって相手にも過失の可能性があるので、ごにょごにょ・・・」

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 ハンドルを誤って崖から転落、電信柱に衝突などの自爆事故や、止まっている前車に追突してケガ=100:0(100%自分責任)事故などでは当然ですが相手からなんの補償もされません。そうなると自分の加入している保険からのでるものを探します。この場合、自動車任意保険からは自損事故保険(特約)が適用されます。しかしかなりの受傷者が保険をもらいそびれているのではないかと危惧しています。

 では実際にあった自損事故保険(特約)が適用されたエピソードで解説します。

 

 A君は運送会社の新米ドライバーで入社半年目、ようやく2tトラックの運転も慣れてきました。しかしあるときハンドル操作を誤ってセンターラインをオーバーし、対向車に衝突、右足首を骨折してしまいました。幸い対向車も大型トラックで、相手ドライバーも軽傷でした。  てこの2tトラックには会社で加入している任意保険があったので、ここから相手のケガに対人賠償を、相手の車の修理費に対物賠償をそれぞれ適用し、無事に解決できました。ただし、運送会社ではたくさんの車両に任意保険をかけているので、自動車保険を最低限に切り詰めています。相手への補償は対人:無制限、対物:1000万まで掛けていますが、運転者に対する補償である、人身続きを読む »

 昨日の表を見て何が言えるでしょうか?

 例外もありますが、あくまで一般的なケースに限定した内容をまとめました。まるで三つ巴の利害の上に成り立つバランス状態ですね。以下簡単に要約します。

自由診療の場合を要約すると・・・

患者:しっかりとした治療を受けられるが、内容によっては保険会社の支払い拒否、また長期の治療には打ち切りの危険もはらんでいる。

病院:儲かる。

保険会社:自賠責限度の120万までなら腹は痛まない。しかし超えると自社持ち出しに・・・打ち切り攻勢、支払い削減モードに!

健康保険使用の場合を要約すると・・・

患者:治療費の精算の面倒がある場合が多い。第三者傷害届の記載・提出が必要。特殊なケガでは治療内容にやや心配。検査についても病院側の協力が得られるか心配。

病院:利益薄く、それなりの対応となる可能性あり。患者の言いなりにはならない。もちろん区別しない病院も大多数ですが。

保険会社:治療費の軽減に成功!代わりに被害者になんらかの見返りは、「しない」。あえて言えば厳しい打切り攻勢は弱く、ソフトな対応に。                                        続きを読む »

健保、自由診療をめぐる、患者、病院、任意一括社(事故相手側 保険会社)、3者は以下のような利害をはらんでいます。

 

健康保険

自由診療

(加害者側保険会社支払とします)

患者 利便性 何故自分が悪くないのに自分の保険を使うの?、と言った不合理感。自己負担分を窓口で建て替える面倒あり。健保への書類の記載・提出も必要。 相手保険会社が一括払いと言って治療費を直接病院へ精算してくるケースが多く、支払い面で楽です。 治療内容 健保適用外の手術や薬もあり、治療方法が限定されることがある。 患者の希望なども反映しやすい。高いお金を払っている患者は病院にとってお客様。事故との因果関係については、治療費を支払う相手保険会社が認めれば問題ない。認めなければ争い必至。 長期になれば打切り攻勢を受けます。 検査 事故との因果関係を重視、患者の自由なリクエストより医師の判断が重要。因果関係のない治療・検査は健保が支払いを拒否するからです。 病院 利益 健保(1点10円)ではねぇ…。対応について露骨に差をつける病院もあります。 大歓迎。 治療内容 健保が支払いを拒まない内容に限定。 患者の希望も通りやすいが、相手保険会社の厳しい目もある。しかしながら、けっこう病院側の都合?で高額な治療を行っている。 検査 因果関係を考慮。病院側が健保の審査を配慮し、必要性の判断をします。 相手保険会社のチェックも気にする必要があるが、割と患者主体。 保険 会社 利益 おおむね治療費が半分以下で済むので歓迎。 自賠責限度の120万円を超えない軽傷なら割とおおらかだが、超えると非常に困る。 重症なら絶対に健保にしてほしい。 治療内容 余分な治療・検査はされ辛い。健保のチェックがあるので、ひとまず安心。 診療内容・検査はレセプトで毎月チェックします。必要ないものは支払わず、争います。 そして何より早期打切りが至上命題。 検査

  もちろん多くの病院は健保、自由診療で差をつけませんが・・

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 何故、病院は自由診療にこだわるのでしょうか?もうお察しと思いますが、治療費を高く請求できるからです。治療費の請求内訳は点数で計算します。注射が300点、点滴が500点…などと診療報酬明細書に記載されています。この1点当たりいくらで設定するか?自由とはこの1点当たり○○円とする自由です。通常、各県医師会申し合わせの点数設定がなされています。1点は健康保険=10点、労災=12円、自由診療=12円と暫定的な指標を設定しています.

この2割増程度の差なら問題は起きませんが、交通事故をはじめ、第三者による加害行為での自由診療=12円ではない県が多いのです。  交通事故については損保業界と医師会の間でも1点12円の暫定的な合意がなされています。しかしあくまで暫定的、かつ各県医師会のそれぞれの合意に過ぎず、単価もバラバラ、そして東京都およびその近郊の県は未だ合意がありません。地域医師会が莫大な数の病院をまとめきれないこともあり、暗黙の了解事項ということで点単価の相場が1点20円となっています。東京、千葉、埼玉、茨城、神奈川など首都圏、大阪周辺などが20円以上となっています。とくに埼玉県は「20円と30円の混合方式。総額90万円を超えたら健康保険水準を適用しても構わない」…これが悪名高い「埼玉方式」です。

 患者を無視した医師会と保険会社の勝手な合意は不健全とも言えますが、法的な見解ではいくつかの判例で違法とまでは判旨されていません。しかし少なくとも不透明には感じますね。

     ブラックジャックには点数など関係ありません。当然自由診療です。  (医師免許なく治療をするのは有償無償問わず違法です。)

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 再開します。

 「健康保険治療のデメリット」を解説する前に、まず「交通事故で健康保険が使えるか?」について。

 交通事故の患者が病院にかかるとき、病院の窓口でほぼ健康保険の使用を拒否されます。これは病院側の内規のようなもので正式な法律・ルールではありません。

 そもそも健康保険の趣旨は国民にあまねく治療が受けられるために、国家全体で患者を支えるセーフティーネットです。保険料(掛け金)と言わず、健康保険税(税金)と呼ぶことからもわかりますね。  したがって交通事故に限らず第三者の加害行為でケガをした場合、被害者は国民全体で支えるものではなく、第一にはその加害者が責任を負うべきである、とういう考えです。確かにその通り、筋は通っています。  しかし、加害者が保険をかけていない、支払い能力がない、または被害者自らにも過失責任がある場合など、治療費の支払いがかさみますので、健康保険が使用できないと困ります。しかし現実には多くの窓口で「使用できません」と対応されることが多いのです。

 病院の窓口に「交通事故の場合、健康保険は使えません」という張り紙を目にすることがあります。

 厳密に言えばこれは健康保険法違反です。

 健康保険法第1条:健康保険ニオイテハ被保険者ノ業務外ノ事由ニ因ル疾病(負傷・死亡・分娩)ニ関シ保険給付ヲ為スモノトス

 つまり業務中災害(労災適用)以外は健康保険の使用は可能です。加害者がいる場合は使えません、などとどこにも書いていません。これが冒頭の疑問に対する答えです。

 これは病院側も承知していることなのですが、自由診療で受診してもらいたいがために、窓口の医事課の職員に細かい説明はせずに、「使用できない」と思い込ませているだけです。事実、責任者、多くの場合院長先生に事情を通すと、正当な理由があれば問題なく使えます。どうやら健保使用の可否判断を窓口の職員にさせないようにしているようです。できるだけ自由診療で押し通す姿勢ですね。この意地悪な対応に患者は悩まされています。そして加害者側の保険会社も困っている問題でもあります。

 時間になってしまいました、、、明日もう少し掘り下げます。

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 続きます。

 自賠責保険の基準内で解決する場合、健康保険を使って治療費を安くすれば、限度額120万までなら過失に関係なく全額支払いを受けられる。つまり最終的に手にする慰謝料が治療費に食われて減額することを防ぐことができる。

 これは自身にも大きな過失がある場合の鉄則です。

 相手保険会社の担当者は過失の有無に関係なく、賠償額を計算する際、自賠責基準と自社の任意保険基準の両方を試算します。そして原則多い方を提示します。(これは保険会社にいたからこそ知っている流れ)。  もっとも後遺障害の賠償金を除く、傷害分の慰謝料の場合、自賠責の金額を100とすると、任意保険の基準額はケガの軽~重に応じて100~120程度、つまり同額か~20%増し程度です。自賠基準は最低補償、それに色を付けた程度の任意基準も安いのです。 だからこそ裁判基準、首都圏では「赤い本基準」で請求しなければ話になりません。

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 ネットを検索しているとき、他の弁護士や行政書士、その他交通事故相談サイトをみることがあります。その情報の多さにびっくりです。とても勉強になる情報もあれば、これって間違っているのでは?と思う情報もあります。

 その中で一つ気になったことを。それは「自由診療か健康保険診療か?」の選択です。まずは質問と回答を見てみましょう。  

質問者 交通 花子(仮名)

 先日自動車運転中、交差点で出合い頭に衝突し、首を痛め、通院中です。相手も私も保険会社を通して交渉をしていますが、私が優先道路ながら過失が20%あるそうです。そして相手保険会社から「健康保険を使って」と頼まれています。なぜ事故の責任のない(少ない)私が自らの健康保険を使わなければならないのか納得がいきません。私の加入している保険会社まで、私にも過失があるので使った方がいいと言います。病院では「交通事故なので健康保険は使えません」と困惑しています。 もう何が正しいのかわかりません。アドバイスをお願いします。

回答者 保険代理店 Ζ さん

 お話の事故状況であれば、優先道路の花子さんも過失があります。仮に交渉結果が20:80で決まったとします。そうすると相手からの治療費、休業損害、に慰謝料を加えた賠償金は20%カットされて支払われます。しかし自賠保険は限度額の120万までは過失減額なく全額支払います。健康保険を使った場合、自由診療の治療費は半分以下に圧縮されます。したがって自賠責保険の基準内で解決する場合は、治療費を圧縮するために健康保険を使う方が慰謝料のカットを防ぐことができて得です。    これはあくまで自分にも過失があり、自賠責保険の限度額120万円で収めた方が得であるというケースの場合です。もっとも、事故の多くは軽傷で120万以下に収まるので、ひとまず正答です。もう少し考察してみましょう。

   明日に続く  

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<トランス・コスモス健康保険組合の発表から>

 保険者代表として参加したトランス・コスモス健康保険組合の美山博邦常任理事は、捻挫の症状で柔道整復に1年間通ったり、医師の診断よりも負傷部位が増えるなどの不自然な事例を報告した上で、「『手技』や『後療』の定義を明確にするほか、長期施術の実態について明らかにしてほしい」と訴えた。さらに、「国は、『給付は保険者の義務』としているが、払い過ぎた保険料の回収は『保険者の義務』としていて、保険者の財政が保護されない」と指摘し、国の姿勢を批判した。 JCOAの医療システム委員会の山根敏彦委員は、医業類似行為の広告の実態を報告。「交通事故治療」とうたっているケースや、雑誌に広告か記事かが分からないような形で文章が掲載されているケースなどを問題視した。山根氏は、柔道整復が広告に掲載できない例として、

(1)「各種保険取扱」をうたうこと

(2)「交通事故」「労災」「生活保護」を記載すること

(3) 料金を広告すること              などを挙げた。

 その上で「厚生労働省にも、しっかり監視するように申し入れた。違反する広告を見た場合、県の担当部局や保健所に通報するのが良いのでは」とアドバイスした。山根氏は、柔道整復師の療養費の適正化の動きが出てきたことを踏まえて、「今後はあん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費が、大きく増えていく可能性がある」との危機感も示している。   <解説、意見>

 各種保険適用は×であっても、慢性的な腰痛にも親身に施術してくれる整骨院・接骨院や針鍼灸・マッサージは一定の治療機関として、その存在は欠かせません。しかし、昨年私の実家の近所に「マッサージ無料!」の広告がドンと掲示された接骨院が開業しました。チラシにも「マッサージ30分無料」とあります。それを見た父が試しに行ってみたようです。何故か健康保険証持参で。そして、お財布からは広告通りお金は払わなかったのですが、しっかり健康保険の提示を要求され、健康保険から施術料を請求したようです。(この院、後に閉院となりました)    「どこが無料やねん!」 思わず関西的な突っ込みをしてしまいました。    このような例から、柔整師の保険請求にはモラル的な問題が散見されます。とにかく柔整師の施術料請求にはトラブルが頻発しています。このエセ無料マッサージ、しかも、急性期としての治療など必要ない患者に対する施術料は、皆の健康保険の掛金から捻出されているのです。医療費の健康保険財政の問題はその支出の増大から国家の一大問題です。やはり不正・不当な請求に対しては厳しい監視が必要です。    背景には・・・「2000年から2010年にかけて柔道整復師が2万人近く増えて、5万428人となったことなどを報告。」・・・増えすぎた柔整師と競争の激化が背景にあると思います。もちろん素晴らしい技術と精神を持った先生もたくさん存在しますが、技術・モラルの低下傾向も指摘されます。それは3年間半日程度通学しただけで80%が合格する試験制度にも問題の温床があると言えます。準医療行為とはいえ、人の生命・健康にかかわる仕事なのですからそれなりの重みは必要ではないでしょうか。

 とくに交通事故受傷者で自賠責保険での施術に対しては、柔整師は医師の診断・治療を経てから指示・紹介のある患者を受けもつ・・現状、この連携体制が徹底されていないように思います。柔整師は応急処置以外では疼痛の緩和が主目的のはずです。整骨院・接骨院が医師の紹介状なしに、急性期の患者の施術(少なくとも健保、労災、自賠責を使った)をすれば罰則、にまで厳しくすべきではないでしょうか。これですべてが解決するとは思えませんが、各種保険に対して、医師の初期診断や紹介状で保険治療の判断が付与されれば、無駄な保険利用の施術には抑制が効くはずです。

 

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