win 事前認定が多く利用されるのは何故か。

 前回説明した内容から、事前認定は、加害者側の任意保険会社が、サービスで後遺症(後遺障害)の申請をしてくれるものです。この事前認定が多くなされる理由(視点)として、以下の(1)~(4)が挙げられるとみています。これらはそれぞれ重なり合う箇所があります。   (1)交通事故被害者が手続方法を調べることにまで手が回らないこと。

 交通事故に遭われた方は、ご自身の治療で大変な思いをされています。中には治療するために通院していくだけでも体力がすり減っていく者もいます。そのような方ですと治療途中で後遺症(後遺障害)の申請方法を調べる余裕がない場合があります。そのような状況で、保険会社がサービスとして申請しますといえば、頼んでしまうことも無理はありません。   (2)交通事故被害者が交通事故での手続の流れをそもそも知らないこと。

 交通事故について調べるのは、実際に交通事故にあってからであることが通常です。そして、交通事故で大怪我をし、治療しながら交通事故の手続き等を調べることは、とても困難です。ご自身の治療で忙しい中、交通事故について調べる余裕がない方の場合、次の(3)で説明致しますが、専門の方から勧められる楽な事前認定を選択することがあります。また、調べる余裕がある幸運な方は、被害者請求と事前認定とを比較できる場合もありますが、後述する(4)であげられるように、手続きが面倒で複雑であることがわかると、やはり手続きが楽な事前認定を選択することがあります。   (3)相談した弁護士や保険会社の人から事前認定を勧められたこと。

 治療で忙しいと交通事故の手続きを調べられない方もいます。そのようなときは誰かに相談します。その際に思い浮かべやすい各交通事故の専門の方として、いつも連絡が来る加害者側の任意保険会社や、ご自身が契約している任意保険会社が筆頭としてあげられます。

 これらの保険会社がアドバイスする際に、事前認定のみを勧められることが多く、またそれしか説明されないことが多いのが現状です。そうなると、被害者にとってはその情報のみが唯一の答えになりますので、事前認定を選択することが多くなります。

 では、何故、事前認定を勧めるのでしょうか。

 理由の1つとして、保険会社の担当者が、事前認定の方法しか知らない場合が多いことがあげられます。交通事故で実際に後遺症(後遺障害)が認められるレベルの大怪我をする人の割合は、交通事故全体からすると少ないのが現状です。このことから、保険会社の担当者は後遺症(後遺障害)が認められない人の処理が大多数となります。また、その担当者は年間に交通事故の処理をおよそ100件もしています。そのような多忙な中で、被害者の一部が交通事故の後も症状が残存していると相談してきたとしても、そもそも後遺症(後遺障害)が認められる可能性が低い現状、さらに、審査するところは同じなのでどちらを選択しても結果は変わならい故、担当者は被害者にとって煩雑な被害者請求よりも、簡易な事前認定をアドバイスすることが多くなります。

 また、別の回で説明致しますが、事前認定は申請者が任意保険会社であることと関連して、任意保険会社が後に交渉しやすくなる場合があることもあげられます。そして、このような事前認定を普通とする歴史を繰り返してきた保険会社からすると、相手が無保険(任意保険に入っていない)の場合しか被害者請求はしないものだと担当者は思っています。そのような方の場合ですと、事前認定しか紹介されません。   (4)交通事故被害者にとって被害者請求の手続が非常にめんどくさいこと。

 交通事故のことについて、親切な任意保険会社の担当者や、詳しい士業者の説明によって、被害者請求と事前認定とを比較して調べることができる方も近年では増えつつあります。しかし、手続きで取得する必要のある書類は多く、また怪我の内容・症状によっては、特殊な書類も必要になることもあります。そして、被害者請求の申請者は被害者自身です。よって、交通事故に遭い、怪我で大変な思いをしており、治療で忙しい被害者はそれらの書類を回収する必要があります。常識的に考えて被害者は嫌がります。しかも、事前認定は保険会社が申請してくれるのでとても楽です。よって、仮に被害者請求と事前認定とを比較できたとしても、事前認定を選択するは無理もありません。  

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win  後遺症(後遺障害)の申請については、被害者請求と事前認定と比較して説明していきます。 c_g_a_5-118x300  被害者請求とは、端的に言えば、交通事故の被害者が、ご自身の怪我によって残存した症状(後遺症)が、等級が認められるレベル(後遺障害であること)である旨の主張を被害者自身で自賠責調査事務所に申請することです。

 自分の怪我について、一番詳しいのは医者と本人ぐらいなので、その本人(被害者)自身が申請をするのは自然な流れです。これだけ聞くと、何を当たり前のことを言っているのかと思う方が多くいらっしゃると思われます。しかし、この被害者請求は現実的には行われないことの方が多いのです。

 この点、後遺症(後遺障害)が残るレベルの怪我をする者の絶対数の割合は、交通事故全体の割合からすると多くありません。よって、後遺症(後遺障害)の申請数自体は少ないといえます。ここでは、交通事故の被害者のうち、後遺症(後遺障害)が残ってしまった者のみを前提にして説明させて頂きます。

※交通事故の発生件数  警視庁の発表によれば、平成24年は66万5,138件、25年は62万9,021件、26年は57万3,842件、と減少傾向にあり、損害保険損率算定機構(平成25年度の事業概況)によれば、交通事故による死亡者、負傷者も年々減少してきています。

 後遺症(後遺障害)の申請方法には、被害者請求の他に事前認定という方法があります。事前認定とは、通院するために治療費等を出してくれた加害者側の任意保険会社が、サービスの一環として、自賠責調査事務所に後遺症(後遺障害)の申請をしてくれるものです。後述しますが、後遺症(後遺障害)の申請方法として一番多く選択されるのはこの事前認定です。

 以上から、被害者請求と事前認定との違いとして、

 申請者が、  前者の場合は被害者、  後者の場合は加害者側の任意保険会社、  であることがわかります。

 このことのみでは単に申請者が異なるだけで別に変わらないようにも見えます。しかし、この申請者が誰であるかが、その後の交通事故被害者の行方に大きく影響してしまうことがあります。

 次回から、この申請者の違いによる観点を中心に、被害者請求と事前認定について述べていきたいと思います。  

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 人身傷害特約と無保険車傷害特約 その3

  3:人身傷害特約と無保険車傷害特約双方を使う。

 前回のまとめですが、 1:では5000万円、 2:でも5000万円を回収できますので、結論としては変化がないと説明させて頂きました。

 しかし、皆様はここで一つ疑問が出てくると思います。

 過失分は人身傷害特約で回収し残りの分は無保険車傷害特約から回収できないのか?

 本件では人身傷害特約で2500万円、残りについては、無保険車傷害特約で回収し、合計5000万円を回収できないかという流れです。この流れでは手続きも早く、交通事故の早期解決が出来そうです。では、実際にそのようなことができるのでしょうか。

 結論から申しますと、保険会社は実際の運用段階では、約款上、併用を認めない記載があり、人身傷害特約と無保険車傷害特約のいずれかしか適用を認めないようにしているところが大多数です。 c_y_39  仮に約款やホームページ等でいずれも適用できるようなことが記載されていても、保険会社の担当者はどちらかのみ適用させるか、若しくは人身傷害特約を適用させて運用していこうとします。後者は、保険会社に勤めていた方からのお話では、担当者が無保険車傷害特約を知らないからであると言われています。何故なら、担当者は無保険車傷害特約を使ったことが無く、保険会社も研修や業務で教える機会があまりないことが多いことが理由として挙げられます。

 よって、 3:人身傷害特約と無保険車傷害特約双方を使うことは現実的ではないのかもしれません。

 しかし、無保険車傷害特約は、死亡もしくは後遺症(後遺障害)が認められないと利用できないという特徴があります。  この点、交通事故の内容によっては、当初は重傷でも、腕のいい医者に巡り合うことができて、外観上完治しているような場合がありますが、目に見えない障害が残存してしまうようなケースもあります。また、治療期間が一定期間あるものの、死亡してしまったケースもあるでしょう。このように、死亡、後遺症(後遺障害)が残存するかどうかがわからない時期に保険会社が人身傷害特約と無保険車傷害特約のどちらを適用すべきかが判断できないことがあります。

 そのような場合はどのように保険会社は運用していくのでしょうか。

 元保険会社社員の方のお話ですと、この場合には、保険会社は先に人身傷害特約を適用させます。治療費(実額損害)を人身傷害特約で支払った後、後遺症(後遺障害)申請をして等級が認められた場合には、まずそのまま人身傷害特約で保険会社は運用していき、人身傷害特約の支払いで足りない分(慰謝料等)を無保険車傷害特約を適用して支払う運用をするようです。

 上記したように、無保険車傷害特約を保険会社の社員は知らないことが多く、後で気がつく場合が多いことからこのような事態が生じることもあるのです。

 前回からの比較をまとめますと、相手方加害者が保険に入っている場合には過失分、支払限度額で人身傷害特約、無保険車傷害特約のどちらが得になるのかを判断することになります。

 これに対して相手方が無保険車であった場合、弁護士の運用次第ですが、人身傷害特約、無保険車傷害特約のいずれも同額回収できますので、結論としては変化がありません。後者の場合で皆様に必要なのは、弁護士がこれらを知っているか否かを判断する力です。  

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 人身傷害特約と無保険車傷害特約 その2

   前回の記事で、人身傷害特約と無保険車傷害特約との比較を説明しました。

 今回は、以下の事例(相手方加害者が完全な無保険者である場合)から、どのように保険を使ってお金を回収するのかを検討したいと思います。

 <事例>  Aさんは自転車で横断歩道を赤信号であるにもかかわらず進み、無保険のBさんが横断歩道上でAさんをはねてしまいました。Aさんは脳挫傷で後遺症(後遺障害)が残りました。Aさんの損害額は、裁判所の基準で合計1億円になりました。しかし、Aさんにも5割の過失が認められました。  しかし、Bさんは保険に入っておらず、貯金もまったくありませんでした。そこで、幸いにもAさんには人身傷害特約(支払限度額は5000万円)と無保険車傷害特約がありました。 c_y_164  では、これらの特約をどのように使った方が良いでしょうか。  使い方としては、以下の3つに分けられると考えております。

1:人身傷害特約を使う。 2:無保険車傷害特約を使う。 3:人身傷害特約と無保険車傷害特約双方を使う。

 今回は 1:、 2:についてまとめさせていただきます。

  1:人身傷害特約を使う

 ここでは以前に説明した人身傷害特約を先に使ってから裁判で解決する流れで検討していきます。  本件事故がAさんの任意保険会社の算定基準ですと総額5000万円であったとします。その額から過失分を差し引いた2500万円が、まず人身傷害特約で出ます。その後、弁護士が裁判で決着をつけても、Bさんは無保険、無一文であるいから、仮に裁判所の基準で総額が1億円であったとして、過失分を差し引いた5000万円を請求できたとしても、金銭の回収は出来ません。  この場合、2500万円を回収して終わりそうです。  ただ、支払限度額が5000万円であり、2500万円については上記5000万円の請求権が認められたことを盾にAさんの任意保険会社に交渉する余地があります。何故なら、以前に説明しました通り、約款で裁判所の算出額を尊重する旨が記載されていることがあるからです。 よって、ここでの金額は5000万円とします。

2:無保険車傷害特約を使う

 この場合でも、本件事故がAさんの任意保険会社の算定基準で総額5000万円であったとします。過失分を差し引いた2500万円が、無保険車傷害特約で出ます。そしてBさんは無保険、無一文であり、裁判所の基準で総額1億円、過失分を差し引いた5000万円を請求しても、金銭の回収は出来ません。

 但し、懇意にしている弁護士によりますと、全額を回収できる方法もあるとのことです。  手続きの流れは簡単に言いますと、以下の通りです。

① 後遺症(後遺障害)の認定。 ↓ ② 加害者(Bさん)に損害賠償請求訴訟を起こし、確定判決を得る。  この場合、加害者が裁判を欠席したら、判決が公示されて終わります。 ↓ ③ 確定判決書を添えて自身の任意保険会社に保険請求をする。

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 任意社の意見書(もしくは情報)で被害者に等級が認めてもらえるよう推すケースが存在します。

 それでは実例(仮名)で説明しましょう。

   追突事故で頚椎捻挫となり、半年間、2日に1回の頻度で通院している被害者:又吉さんが相手保険会社:ピース損保から打ち切りを迫られています。ただし、又吉さんは詐病や心身症の問題のある被害者ではなく、有名な作家で社会的な地位もあり、収入も多く、ピース損保も乱暴な扱いはできません。

 ピース損保の担当者:綾部さんはなかなか治らず長く通院している又吉さんに「もう治療費は払えません、今後は後遺障害を申請したらいかがでしょうか?弊社も出来るだけの賠償金を提示します」と水を向けます。

 そこで又吉さんは言われるがまま、後遺障害診断書を主治医に記載いただき、綾部さんに託しました。

 綾部さんは自賠社に送達する際、「又吉さんは有名な作家です。神経症状が重篤で、後遺障害に値します」旨の情報を添えました。

 それを受けた審査先である自賠保険調査事務所ですが、もちろん、任意社の意見で左右されることなく、定型書類から厳正に審査をします。しかし、半年間に渡り被害者を見続けてきた担当者:綾部さんの意見を無視できません。大いに参考となるはずです。それが治療経緯・症状の一貫性を重視する14級9号なら最重要情報にすら思えます。

 ちなみに、自賠責の受付業務が民営化される以前の大らかな時代、センター長が調査事務所に電話して、「等級はどうなっているのか?」「なんとか○級はつかないか?」などと話をしていました。現在でも調査事務所から任意社に電話がかかってきて、「この(申請があがってきた)被害者って、どんな人?」などと聞かれることがあります。このようなやり取りは被害者請求でも同じです。何を言われるかわからない?だから「担当者とケンカするな!」と言っているのです。

・・・・

 そして、めでたく又吉さんに14級9号が認められました。綾部さんは早速、後遺障害(慰謝料+逸失利益)を加算した賠償金提示を行いました。その額は、

 通院慰謝料(567000円)+後遺障害(800000円)で合計1367000円です。

 さらに綾部さん、「即断してくだされば、上席に掛け合って150万円お支払いさせていただきます」とたたみ込みます。

 又吉さんも「100万円を超えているし、そんなものかな・・」と150万円で承諾しました。こうしてめでたく解決です。

   詳しい方はもうお解かりですね。実はピース損保、自賠責から通院慰謝料で55万円程度、後遺障害で75万円、つまり150万のうち130万円は自賠から回収できるので、任意社は20万円しか出費していないのです。このように対人担当者は、軽傷なら「自賠内で解決」、後遺障害でも「自社の支払いはちょっとだけ」が腕の見せ所です。そして本件の場合、綾部さんは又吉さんが弁護士に相談する前に急いで150万円提示、まさに火花の散るようなスピード解決を図り、成功したのです。

 もし、弁護士に赤本で計算されたら・・通院慰謝料89万円+後遺障害{慰謝料110万円+逸失利益100万円(年収500万として)}=合計 約300万円!

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 加害者側の任意保険・担当者は「常に被害者への支払いを少なくすることが仕事」「後遺障害を認められないように妨害する存在」なのでしょうか? c_y_193

 営利企業である保険会社が支払いの抑制に傾くのは当然の摂理でしょう。それでは低い賠償金で解決させれば優秀な社員となるのでしょうか?・・そんな単純なものでありません。対人担当者の成績を評価する上で、「支払い保険金の抑制」は評価が難しい項目と言えます。なぜなら、約款の規定以下の少ない保険金で示談した場合、それなりの理由がなければ倫理上、問題とされるからです。つまり、原則「約款に則り、適正な支払い」をしなければなりません。

 支払い保険金の多寡はそもそも、保険会社の基準が裁判基準に比べ極端に低く設定されていることが原因です。これは結局、自賠基準→任意基準→裁判基準のトリプルスタンダードの問題に帰結します。そうなると、賠償金を自賠責保険の範囲で解決させること、なるべく任意保険からの支払いを少なくすることは評価になるようです。

 それでは、担当者の評価で一番の項目は何でしょうか? それは”案件の処理スピード”です。担当者は毎月10件ほどの交通事故のファイルが机に置かれます。あっという間に年間100件です。つまり、毎月10件づつ解決していかなければ、どんどんファイルが溜まっていくのです。担当者が必死に「治療費の打切り」「示談」を切り出してくるのは、単純に「急いでいるから」です。

   掲題に戻ります。それでは、後遺障害申請の場合、一括社意見書なるものが必ず添付されるのでしょうか?そして、必ず被害者に不利になるようなことが書かれるのでしょうか? 

 まず、前提ですが、この書類もマル秘扱いです。表向きは「存在しない」とされても仕方ないでしょう。当然に社外秘はおろか、社内でも限定された者しか目に出来ません。顧問・協力弁護士にも見せませんし、存在すら言わないものです。だからと言って、裏の必須書類とまでは言い過ぎです。実務上、全件に添付されるわけでもなく、また、書面とは限りません。消極的な物言いですが、「被害者の詳細情報が等級審査に必要な情報となり、任意社から調査事務所へその情報伝達が遮断されることはない」、これが正解です。    明らかに軽いケガでありながら長期通院していること、賠償志向が強く詐病者と疑われるような事情、問題のある被害者・・これらの情報は必ず伝達するでしょう。これはある意味、必要な情報伝達と言えます。さすがにネットで書かれているような、恣意的・不当に被害者を貶めるような、認定を妨害することはほとんどないと思います。「絶対ない」とは言えないところがなんとも・・開示されない(存在しない?)以上、わからないからです。

 そして、昨日の最後に書きました、逆に「被害者に等級を認めてもらう意見書」も存在します。それは、障害が明白であり、気の毒な被害者である情報はもちろん、示談の際に賠償金額を盛る必要があるケースで起こります。それは、後遺障害が認められて「後遺障害保険金があった方が大きい賠償金を提示できる」ことを意味します。

 次回、わかり易く実例で説明します

 つづく  

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 自賠責保険への被害者請求、ここ10年で周知が進んだようです。昔は相手に任意保険がなかった場合、仕方なく行う作業でした。しかし、交通事故の情報がネットに溢れ返っている現在、後遺障害の申請の一手段として認知された感があります。それでも後遺障害申請の主流は相手保険会社経由で申請する「事前認定」です。

 巷の(とくに行政書士)HPを観ると、被害者請求を推進する業者は「事前認定」をすると、相手保険会社の担当者が通称”任意社一括意見書”を添付し、等級認定を邪魔する」などと解説しています。

 また、逆に「そんな書類は存在しない」と言い切っている法律家さんもおります。特に(なぜか保険会社に詳しいはずの?)保険会社の協力弁護士さんに多い傾向です。    一括意見書は存在するのか?また、意見書で被害者の等級認定を妨害しているのか? 被害者さんだけではなく、業者の皆さん必見! 真相に迫ります。   f_c_035  まず、任意保険の担当者による事前認定の事務を簡単に説明します。後遺障害の申請に必要な書類を集積し、「整理表」なる書類とともに自賠の窓口社を経由して調査事務に送達されます。特に意見書のようなものは必須の提出書類に含まれていないようです。表向きはそのような書類の存在を明言している様子はありません。

 保険会社に在籍していた時も一括者意見書なる書類をじっくり目にしたことはありません。後年、サービスセンター(支払部門)の人身担当者に直接、聞いてみました。すると、「確かに自賠の審査上、必要書類ではないけど・・特別に必要な情報として伝達事項を書面にすることはあるよ」と、やや歯切れ悪い回答。

 そもそも対人賠償の担当者は保険金支払いのルールブックである「約款」のみを傍らに置いて仕事をしているわけではありません。机の中に「任意保険算定の運用基準」のような別のルールブックが存在します。これは文字通り、約款だけでは算定できないイレギュラーな事に対処するルールです。これは、サービスセンターのセンター長、統括社員、賠償主任、対人担当者しか見ることが出来ません。もちろん、営業部門にいた私にも見せてくれません。後に研修で短期間サービスセンターに配属された際、マル秘扱いながら陰でこっそり見せてもらったことがあります。休業損害や慰謝料、逸失利益等の別計算、特別なケースの対処法が記載されていました。何事も正規のルールでは対処できないことがあるものです。まして、交通事故のような揉め事の解決には非正規のルールも必要でしょう。

 話を一括意見書に戻します。これも非正規ルールの中で存在するものです。ただし、巷の行政書士が被害者請求を煽るため、事前認定の”害悪物”として挙げるような単純なものではありません。中には「この被害者は後遺障害に該当する。理由は○○、○○・・」など、被害者に有利な情報が書かれることもあるのです!

 つづく  

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人身傷害特約と無保険車傷害特約

   無保険車傷害特約とは、簡単に言ってしまうと、交通事故の加害者が保険に入っていない輩であったり、あるいは保険に入っていても被害者への支払額を全額カバーできないような場合に、支払ってもらえない分の金額を自分の入っている保険から回収するものです。

 特に、ひき逃げや、暴走行為の被害者等、加害者がいない場合や加害者に支払能力が無い場合の事故の際に活躍する特約です。

 この点、人身傷害特約のメリット1の箇所で、加害者がいない場合や加害者に支払能力が無い場合の事故のときでもお金を回収できると説明しました。このメリットの部分は無保険車傷害保険でも重なっているといえます。そして、これまで説明してきました人身傷害特約と無保険車傷害特約との違いのひとつとして、保険会社の支払限度額が(会社によって少々差がありますが)、最高2億円、もしくは無制限であることがあげられます。この点、人身傷害特約の場合、多くが5000万円の支払限度額であるのに対して(これだけでもかなりの高額ではありますが)非常に高額のお金を回収できます。 c_y_195  皆様はこの段階である疑問を抱くと思います。

 何故高い保険料を支払ってまで人身傷害特約にも入る必要があるのか。  同じようにカバーされるのであれば、どっちか片方に入っておいて保険料を節約したほうがいいのではないか。だったら、支払額の多い無保険車傷害特約に入っておいて人身傷害特約は入らなくていいかもしれない・・・。

 ※ 統計的にみて、人身傷害特約よりも無保険車傷害特約に入っている場合が多いです。なぜなら無保険車傷害特約は対人賠償に自動担保されているからです。

 この点、無保険車傷害特約と人身傷害特約との区別については、被害者に過失があった場合に出てきます。

 前回説明した通り、人身傷害特約のメリットとして、被害者に過失があっても過失分は回収できる点をあげました。これに対し、無保険車傷害特約の場合、被害者の過失分を減額して支払われます。  過失が1割であっても、請求額が全額で1億円であればそのうち1000万円を引かれてしまいます。重篤な被害が出れば出るほど過失額も大きくなります。そして、1割や2割の過失は、前回説明しました通り、皆様がある種、常識的な運転をしていてもたまたま運悪く事故に巻き込まれてしまうこともあります。それで過失分を減額されてしまうと、重篤な被害者にとっては将来の生活そのものにも影響が大きく出るといえます。

 以上から、いくら支払限度額が多くても、最終的に回収できる金額を確保できなければ意味がないといえます。                   c_y_101続きを読む »

win メリット3:後遺障害を申請していなくても、または申請中であっても請求できる。  交通事故に遭われた方は、基本的に治療費の悩みがあります。

 修療費を加害者の任意保険会社が支払ってくれる場合には、特に悩む必要はありません。しかし、加害者が無保険の場合、被害者は加害者に治療費を請求するしかありませんが、ほとんどと言っていいほど支払ってくれません。  c_y_164  また、保険会社の対応が遅れてしまっている場合や、被害者の方も過失があり、過失のことで加害者(相手の保険会社)と揉めている場合には、相手方の保険会社が対応してくれない場合があります。

 そうなってしまった場合、お金がない被害者ですと、治療を受けられないで重症化してしまう方が出る恐れがあります。また、被害者には、交通事故に遭われた後、仕事が制限されてしまい、給料が減ってしまう方もいます。そのような方の中には、治療開始直後は貯金の切り崩し等で治療費を出せていたとしても、途中で出せなくなることもあります。

 そのようなときに、人身傷害特約を利用すれば、治療費を賄うことが出来ます。

 治療を継続してきた被害者は、完治すればいいですが、被害者の中には後遺症(後遺障害)が残存してしまう方もおります。そのような被害者は後遺障害の申請をする必要が出てきますので、主治医に症状固定して頂くことになります。  症状固定後に申請手続きに移りますが、これら手続きには時間がかかります。そしてその間はお金が入らない状態になります。  この点、人身傷害特約は、後遺症(後遺障害)が認められようと認められないとにかかわらず、支払われます。

 そこで、人身傷害特約を利用して、自賠責分(最低額)の通院慰謝料や休業損害分を先に請求することが出来ます。

 ただ、後の賠償交渉等を視野に入れている被害者もおります。 そのような方の場合、賠償交渉等を含み、手続き(特に計算)が複雑になりますので、先に人身傷害特約を使う必要性があるような方にお勧めします。

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win  人身傷害特約の支払額は、ある損保会社の約款によれば、以下のようになります(基本的に保険会社はこの内容で共通しています)。

A、まず、その任意保険会社が定めた額を支払うこと。

B、そして、賠償義務者がいて、しかも判決・裁判上の和解で出された損害賠償額が上記額を超えていた場合、その基準が社会通念上妥当(常識的)であれば、その基準により算出された額とすること。

 つまり保険会社は、消費者と契約をして、なるべく安い金額で済ませようとしますが、裁判所の出した金額であれば、その額を尊重するため、裁判等で出た基準での金額にしようとしているのです。早い話、知らなければそれまでなのです。

sanma  もちろん、任意保険会社が定めた人身傷害特約の額の方が裁判等で出てくる金額よりも低いものです。保険会社は営利企業ですので、損しないよう、まず相場よりも低い額で提示し、その額で交通事故の被害者がOKした場合には、示談されたので、その額で交通事故は解決したものとされてしまいます。そこで、皆様は弁護士を依頼して交渉してもらい、裁判等での解決を望むと思います。実際には、弁護士が裁判基準の額を請求すれば、保険会社は無駄な裁判等を嫌うので、交渉による解決で終わり、実際に裁判等を行わないケースもあります。

 ただし、被害者ご自身に交通事故の発生について過失があった場合、その分は損害賠償額から引かれます。人身傷害特約は過失があっても支払われるのですが、上記それぞれの支払額から、以下のように算出できます。

(例) ...

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 弊事務所では重傷案件を数多くお預かりしています。最近では弁護士事務所から「重傷・難事案専門の行政書士、医療調査事務所」との評価を頂いております。ご期待に応えるよう、日々勉強です。

 重傷者は交通事故で人生が一変し、その補償問題は被害者のみならず、家族全員に及んできます。多くは弁護士と共同して対応しています。賠償交渉はもちろん、障害の立証や公的補償制度の利用を含めた膨大な事務が生じるからです。いずれも解決まで長いお付き合いとなります。

 それでは、今年上半期認定された案件の中から数例を紹介します。

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政府の保障事業 別表Ⅰ 2級1号:脊髄損傷(40代男性・神奈川県)

【事案】

二輪車で直進中、右側駐車場から右折合流してきた二輪車と接触、転倒したもの。頚髄損傷となり、下肢は完全麻痺、上肢は回復傾向。現在も車イス生活を強いられている。

【問題点】

相手は任意保険があるものの、自賠責保険が未加入。相手は自身の過失について認めず、賠償対応を拒否。連携弁護士から賠償交渉を含めた等級申請を相手任意社に打診のところ、「自賠がないから対応しない」、「自社認定も行わない」など信じられない対応。 幸いながら、治療費・休業損害は労災から支給を受けていた。

【立証ポイント】

脊髄損傷の評価について、基本通り医師面談を行い、診断書類を集積した。続いて、政府の保障事業並びに労災の障害給付へそれぞれ申請した。双方の給付金は支給調整となるが、まず労災の1級:障害年金が決定し、前払い一時金を選択した。したがって、続く政府の保障事業からの支給は相殺され、「てん補なし」となった。

”労災1級””介護を要する2級1号認定”をもって、連携弁護士は任意社相手に盤石の体制で交渉中。裁判必至、勝負はこれからです。  

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win メリット2:被害者に過失がある交通事故でも契約した金額の範囲内で補償される。    皆様が交通事故に遭われた場合、相手方加害者やその加害者が加入している保険会社に損害賠償を請求します。

 例えば、頸椎捻挫により、首を痛めたり、腕に痺れが出たりした等の後遺症が残ったとします。症状固定後、後遺障害の申請をしたところ、14級9号の等級が認められたとします。後遺障害等級が認められた場合、自賠責保険の基準では75万円回収できますが、弁護士に依頼すれば、交通事故紛争処理センターを利用すれば、約300万円回収できます。しかし、これは被害者に交通事故での過失(不注意)が全くなかった場合です。

 交通事故での過失は、意外なところで出てきます。  何故なら、皆様がいつも100%交通ルールを守って自動車を運転することはほぼ100%無いといえるからです。皆様はこれを聞いて「そんなわけないだろう!ちゃんと交通ルールを守って安全運転しているよ!」と激怒するかもしれません。ただ、皆様やその周囲の人の運転をよく思い出してみてください。

 例えば、  「交差点の信号が黄色だけど、ちょっとスピードを出せば赤になってもギリギリ他の信号が青にならないうちに交差点を通り抜けられそうだ」と思ってスピード違反と信号無視をしたこと、  「制限速度は時速50キロだけど、前に自動車がいないし、すぐ後ろに自動車が走っているから、もう少しスピードを出して、車間距離を稼いでゆったり運転しようかな」と思ってスピード違反をしたこと、  等々を、皆様は絶対にしたことはないと言い切れますか。

 私は決してこのような運転をするなとか、このような運転を非難しているわけではありません。ただ事実としてありえることを申しているのです。

 仮にこれらのような運転をしたとしても、ネズミ取りに捕まるぐらいで交通事故にまで発展するようなことは少ないとみています。

 しかし相談者の中には、これらの運転をたまたましていた時に、たまたま運が悪くて、もっとひどい運転をした加害者が現れてしまい、たまたま自分も交通事故に巻き込まれた方もいらっしゃいます。

※ もちろんこれらの運転をした方が加害者になることも往々にしてありますが、ここではそれについては置いておきましょう。

 誰もがしてしまっている「普通」の運転で交通事故に遭ってしまい、あろうことか自分に過失(10%)が認められてしまい、上記した約300万円から、過失分(-30万円)が減額された金額(270万円)になってしまうことがあります。皆様はこのようなことがあると理不尽に感じませんか。    c_b_k_5  しかし、人身傷害特約に加入しておけば全額が賠償請求できなくても、過失分の差額を回収できます。以前のブログでも説明した通り、人身傷害特約は、支払限度額(最多契約額は5000万円)の範囲内で補償され、上記した内容の場合、30万円分回収できることになります。

 賠償金の額が300万円程度であれば、これで解決できます。

 しかし、損害賠償額がもっと多く、しかも人身傷害特約を使うタイミングを間違えますと、全額回収することが出来なくなることがあります。

 そのタイミングについては次回に説明させて頂きます。  

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win メリット1:加害者がいない場合や支払能力が無い場合の事故でも治療費等を回収できる。

 自分の身は自分で守るというのは、古今東西いわれ続けいている原則です。これは交通事故でもいえることです。文字通りであれば、交通事故に遭わないようにするために様々な対策をすることを思い浮かべるかもしれません。これは間違ってはいませんが、それでも交通事故に遭ってしまうこともあります。  以下では、交通事故に遭うことを前提とした、自分の身を守る方法について、人身傷害特約の上記メリットと併せて述べさせていただきます。

 交通事故の被害者は、まず、治療するために費用が掛かりますが、そのために仕事を休む場合があり、また、交通事故によって怪我・死亡したことで本来健康に働いていれば得られたであろう給料・ボーナスが減少・無くなった場合の損害(逸失利益)が生じます。  これらについては、損害賠償請求できます。さらに、怪我そのものを負わされたことに対する慰謝料請求もできます。

 通常、これらの損害賠償請求は交通事故の加害者に対してするものです。しかし、交通事故の加害者がすべての賠償責任を負うことは現実的に不可能です。そこで、強制加入式の自賠責保険は勿論、交通事故に備えて任意保険に入るのです。これらのことは、保険に加入している方々にとってはあまりにも当たり前のことすぎて、つまらないかもしれません。しかし、皆様にはある意味ホットな話題かもしれませんので、もう少々お付き合いください。

 最近の交通事故で皆様の記憶にあるものは何でしょうか。  交通事故に遭われた方はご自身の交通事故を思い浮かべるかもしれませんが、私は某S川で起きた家族4人が死亡し、子供1人が生き残ったものの意識不明状態が継続している事件を思い浮かべます。ネットやニュースを見てみると、加害者は若く、しかも任意保険は未加入とのことです。

 このような者は例外であるとみてしまえばそれまでですが、実際に任意保険未加入の加害者は派手な事故をしていなくても現実に存在しております。弊所の相談者の中には、加害者が任意保険に加入していなかった方もいらっしゃいました。このような方は全体的にみて多いとは言い切れませんが、決して少ないとも言い切れませんでした。

 皆様は当たり前と思っているかもしれませんが、実際に任意保険に加入していないのに自動車を運転し、交通事故を引き起こしてしまう加害者は存在します。もちろん強制加入の保険である自賠責保険は皆様加入されていると思いますが、実際に交通事故が生じたとしても自賠責で補償される額は最低基準であり、100%賄えません。

※知り合いが交通事故に遭った際、加害者が外国人(加害者曰く、ブラジル系?)の人で日本に出稼ぎできた者でした。その者は交通事故当日に高跳びされたそうです。もう察しの良い方はお気づきかもしれませんが、任意保険は勿論、自賠責にも未加入でした。幸い知り合いは怪我が軽くて済みましたが、治療費等は結局泣き寝入りです。

c_y_164  加害者が任意保険未加入であった場合、被害者は泣き寝入りするしかないのでしょうか。それとも、一生かけてでも加害者を追い続けて何年かかってでも全額支払わせますか?それとも、(某団体に)債権譲渡して少額でもいいから回収しますか?

 どれも非現実的です。

 またこれらと違って、加害者がひき逃げをしてしまうこともあります。  ひき逃げ加害者がその後捕まればいいですが、捕まらずにいる場合もありますので、加害者はおろか、自賠責、加害者の任意保険会社にも請求できません。

 この点、ご自身で契約された人身傷害特約は現実的な解決ができます。冒頭で述べましたように、人身傷害特約に入っていれば約款上定められている支払限度額(加入額の3000万円~無制限、最多契約額は5000万円)の範囲内で、実際にかかった治療費、休業損害、慰謝料、逸失利益、その他費用が支払われます。

※前回述べた支払額で、裁判所基準等との差が出てくるのは慰謝料と逸失利益の額であり、その他については差がありません。

※死亡や大怪我の場合、上記した支払限度額の範囲内では賄いきれないことがありますので、この場合は無保険車傷害特約が活躍します。

 結局、冒頭でも述べましたが、自分の身は自分で守るしかないのです。

 加害者の保険会社におんぶにだっこの状態で安心するよりも、まずご自身の保険会社で安心した方がより安心すると思いますが、皆様は如何でしょうか。  

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 もう一つの本音にも触れておきましょう。

 成功報酬の請求の局面において、事前認定の場合、賠償総額がまとまって報酬が計算しやすくなります。示談前に自賠責保険を受け取ると、賠償総額が減ってしまい、その分の報酬を取ることに議論が生じます。特に弁護士費用特約を請求する際、弁特社(保険会社)から理解を得ずらい、面倒な議論なのです。

  <被害者請求の憂鬱> 「被害者請求は無駄だからやらない」だけの理由ながら、(被害者請求を希望する)依頼者を必死に説得している事務所があり、この弁護士の意図が謎でした。看板(HP)の通り、等級認定からしっかり取り組んでいるのなら、おのずと診断書や検査データが手元に集まるはずです。行きがけの駄賃ではないですが、そのまま被害者請求としてもよいような気がします。

 これについてある弁護士先生から裏事情を聞き、うなずけました。流れで説明します。

 まず、相手保険会社に事前認定で等級を確定させます。続いて賠償金の請求書を突きつけます。その計算は、まだ自賠責保険金を受け取っていないので、自賠分を含んだ請求書が作れます。結果として獲得額が増大、報酬を高額にできるという仕組みです。

 さらに、後に弁護士費用特約を請求する際、報酬計算上、自賠責保険金分の控除を防ぐ効果もあります。もし、被害者請求等で先に自賠責保険を確保したら・・弁特社から「被害者請求は弁護士が医師から診断書を預かり、自賠に提出するだけですよね、だから自賠責保険金分は獲得した賠償金から引いて下さいよ」と言われ易くなります。    benngosi  もっとも、被害者請求のプロセスでしっかりとした立証作業を行っている弁護士は自信を持って、「自賠責の等級認定においても被害者請求を選択、これこれの作業を行いました。これも獲得した賠償金の一部です」と弁特社に力強く主張、理解を得ています。ところが、「事前認定も被害者請求も同じ」と被害者請求の効果を否定している先生は・・このような抗弁が出来なくなってしまうのです。

 報酬が被害者請求のおかげで減ってしまう? やはり、「依頼者のため」だけとは言い切れない、商売上の事情が存在するようです。

   さて、昨日に続き、双方の本音を垣間見ました。このような裏事情が「事前認定か被害者請求か?」の議論を障害立証という本質から遠ざけ、形式論としてしまったのです。

 当然ですが、被害者にとってそのような業者の事情は関係ありません。改めて事前認定、被害者請求、どちらを選ぶのか? やはり、本質(医療調査を徹底した、障害の立証作業が本来の目的)に立ち返って考える必要があります。  

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 数年前、この問題に対して結論したつもりです。

 事前認定vs被害者請求 最終決着します!

 それでも巷では議論が絶えず、被害者が迷っているのが現状です。被害者が客観的に判断できるよう情報発信されるべきですが、それぞれの立場に立脚した意図が邪魔をしているようです。そこで、両派の本音を探ってみましょう。   <被害者請求派>  前回説明したように、メリット・デメリット以前に商売上、被害者請求としなければなりません。審査手続き相手保険会社に任せてしまえば、この分野で行政書士の活躍は制限されてしまいます。だからこそ、必死に事前認定を否定するのです。  そもそも、被害者請求の書類など誰でも書ける簡単なものです。仮に代書するとしてもわずかの手間賃で十分です。被害者請求の効果を誇大化し、さも業者の尽力で等級を獲得したかのようにすり替えて報酬を得ることが問題なのです。

 請求書の提出はおまけ的な作業です。それ以前に、しかるべき知識の下にしっかりとした医療調査を行えば、まさに被害者請求のメリットを生かしたことになります。しかし、中には専門知識乏しく、なんら具体的な立証作業を行わず、単に書類を集めて提出するだけ、この手間賃程度の事務でちゃっかり高額な報酬を抜き取る姑息な先生が存在します。これでは無駄な手間とお金を浪費した事前認定です。ここが被害者請求派の病巣と思っています。

 被害者請求をする意味は、被害者側の立証作業を充実させることです。請求形式ではないのです。形式のみの作業で、(自らの収入のためだけに)被害者請求のメリットを強調する行政書士を見抜かなければなりません。もちろん、支払う報酬額に納得できれば、余計なお世話ですが・・。    報酬はさておき、専門性に疑問を持ったら依頼は慎重にすべきでしょう。     <事前認定派>  等級認定は相手保険会社任せ、等級が出るまで何もしない先生は、結局、交通事故がまったくわかっていない素人かもしれません。必要な検査も実施されないまま、「早く医師に診断書を書いてもらって保険会社に提出して下さい!」と依頼者を急かすだけが仕事となります。確かに等級が決まらなければ賠償交渉ができません。だから「早く事前認定を!」となるのです。

 この先生の推奨する「事前認定」は単なる”手抜き””知識不足”なので問題外です。「事前認定派」と言うより「等級でてから派」でしょうか。この先生は保険会社から紹介された弁護士に多いようです。協力弁護士は加害者(側の保険会社)の味方として、普段は(問題のある?)被害者をいじめています。ある意味、”保険会社と仲良し先生”です。硬派な弁護士はこれを利益相反?に近いと考え、被害者専門に特化、保険会社からの仕事は引き受けていません。    保険会社とガチンコに戦ってくれるのか? 後遺障害の知識があるのか?・・疑問や違和感を感じたら、弁護士交代を考えても良いと思います。

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   一方、足の切断や意識障害で寝たきりなど、誰が見ても明らかな障害の場合、合理的に事前認定を選択するケースも存在します。立証作業いらずのケースですね。  その他、むしろ事前認定にすべき事情があることも経験しています。だからと言って、結論を「ケース by ケース」としてしまうにはあまりにも乱暴ですが・・。

 つづく  

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 相変わらず「事前認定と被害者請求、どちらがいいのか?」が質問されます。被害者はネット情報や各相談先の回答によって、迷っているようです。特に多いパターンですが・・

 「依頼した弁護士が「被害者請求など無駄、相手保険会社に任せるべき!」と言って被害者請求してくれません。ネットでは絶対に被害者請求にすべき!と書いてあるのですが・・」

 加害者側の保険会社と戦うためにせっかく依頼した弁護士が、「相手保険会社を通して審査を任せるべき」と依頼者を説得している姿に違和感を覚えます。逆に被害者請求を煽る業者の論調も、商売上に立脚した胡散臭いものに感じます。まさにネット情報の功罪ですね。

c_g_a_5-118x300 まず、弊事務所の姿勢ですが、基本方針は被害者請求です。誤解しないで欲しいのは、等級申請は医療調査を主体とした立証作業が本質であって、事前認定か、被害者請求とするかなど、形式上・手続上の手段でしかない、と捉えている点です。大事なことは障害の立証作業、つまり遺漏なき検査データと間違いのない診断書を収集することです。これを漫然と医師任せ、相手保険会社任せにすると・・正確な後遺障害等級が認定されず、大変なことになりますよ、と注意喚起しています。

 しかし、両派それぞれ主張が分かれます。

  <被害者請求派>  事前認定は相手保険会社の妨害がある等、危機感を煽ります。それに比べ被害者請求は自ら書類を精査して申請できる点、先に自賠責保険金を確保できるメリットを訴えています。  自賠責保険の被害者請求を推進しているのは、ほぼ100%が行政書士です。なぜなら、この手続きを仕事として報酬を得ている以上、絶対に譲れない手続きなのでしょう。

  <事前認定派>  対して、事前認定で十分と主張するのは弁護士でも保険会社の顧問・協力弁護士を兼務、もしくは経験者に多くみられます。理由は審査先はどちらも一緒であること、審査はあくまで定型書類を対象としていること、したがって、せっかく一括社が事前認定してくれるのであれば、被害者請求など無駄な労力でしかない、となります。

   どちらもそれなりに納得できる意見です。それでも私はそれぞれの立場に立脚した極論と思っています。まして、双方の単純な優劣を語る時点で不毛な議論に陥ります。目的はあくまで前述の通り、被害者の障害立証です。そのために決め手となるのは医証収集・医療調査であって、申請方法ではありません。

 私は被害者請求を基本としつつ、実は被害者請求の代理請求をほとんどやっていません。事情によりどうしても必要なケースは年に1件あるかないかです。では、手続きはどうしているか?ですが、多くのケースは集めた医証を弁護士に託し、弁護士が代理請求します。もしくは、被害者が自ら請求を行います。医証を集める作業で私の立証作業は完了しているのです。  提出書類を託した弁護士や被害者に、形上、どちらの請求とするか選択を任せていることになります。結果として、ほぼ全件、被害者請求で提出しているようです。 

 行政書士の資格で自賠責保険の代理請求ができるか?と言った、法律上の解釈・争いはひとまず置いておくとして、私は被害者請求を是としながら、行政書士が自賠責に代理請求をする必要性を特段に感じていません。

 したがって、私は商売上の理由からこの問題を談じているわけではないのです。

 つづく  

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win  人身傷害特約とは、端的に言ってしまうと、保険契約した車に乗っているときに自動車事故で死亡、受傷した場合に補償される保険です。

 支払額は、原則として、以下のように決められます。これは、とある保険会社の約款内容を要約したものですが、全保険会社が、以下の内容とほぼ同様です。

 「我が社が支払う保険金額は、被保険者が傷害・後遺障害・死亡のいずれかに該当した場合、それぞれ定めた算定基準に従って出した金額です。」

 この算定基準で導き出される金額は、どのぐらいなのでしょうか。

 興味のある方は、ご自身の保険約款や保険証券で確認していただいても結構ですが、結論を先に申し上げますと、自賠責保険での金額よりも高額ではありますが、裁判所基準での金額よりも低額です。

裁判所基準とは、簡単に言ってしまえば弁護士が訴訟や交渉解決する際に持ち出す基準です。保険会社は、弁護士が入っているか否かで支払う金額に差を設けております。弁護士が入っていなければ、契約者様と保険会社との間で契約した保険契約に基づいて金額を算出しますが、仮に弁護士が入っている場合、諸事情により裁判所基準での金額を算出します。 ※ この諸事情については、次回にご説明いたします。

 これのみでみると、人身傷害特約そのものに意味がないように思う方がいらっしゃると思います。何故なら、はじめから弁護士に等級を基準に、裁判所基準での金額分を加害者や相手方が契約している保険会社に請求して頂ければ十分であるといえるからです。

 では、わざわざ高いお金を支払ってまで人身傷害特約に加入するメリットとはいったい何なのでしょうか。

 人身傷害特約に加入していた場合、代表的なメリットとして、以下の3つが挙げられます。

メリット1:加害者がいない場合や支払能力が無い場合の事故でも治療費を回収できる。 メリット2:被害者に過失がある交通事故でも契約した金額の範囲内で補償される。 メリット3:後遺障害を申請していなくても、または申請中であっても請求できる。 c_y_101続きを読む »

 あたり前のことですが、自らの傷害・障害を訴える際、まず自覚症状 =「痛い」を主張します。ただし、「痛い」証拠を突きつけなければ信用してもらえないでしょう。交通事故で保険会社に保険金や賠償金を請求する際、その証拠をもって主張することになります。     c_g_a_6  交通事故外傷では多くの場合、その証拠とは画像を指します。逆を言えば画像に出ないものは否定されることが原則です。しかしながら、一部の障害は画像にでないものもあり、これは専門的な検査数値であったり、専門医の診断・意見を参考にします。また、おなじみの14級9号「局部に神経症状を残すもの」は画像が不明瞭であっても、治療経過や症状の一貫性から推測していただけます。言わば「証拠なき認定」です。

 自賠責の後遺障害審査で一苦労するのがその画像の収集です。これは被害者請求であっても事前認定でも同じです。事前認定の場合、担当者は苦労して各病院に依頼をかけます。病院側も往々にして面倒、遅れがちです。中には拒否する病院すらあります。  神奈川県のある大学病院では「画像はフィルムでしか渡せません」とCD(100~1000円程度。どんなに高くても5000円)に焼いてくれません。その病院に画像請求すると、「CRが40枚、CTが100枚、MRIが80枚… 一枚1000円ですので… 消費税入れて237600円です。どうしますか?」と返事がきます。費用だけの問題ではなく、レントゲンはともかく、CTやMRIはパソコン画面でなければよく観えません。これはもはや嫌がらせです。この病院に被害者も保険会社も調査事務所も皆、泣かされています。この病院だけは際立って特異ですが、画像集めは大変なのです。

 被害者請求であれば、この画像収集を被害者自らがやらねばなりません。また、最近は弁護士、特に行政書士がこれを有償で代行してくれます。    しかし、ある調査事務所の方から聞いたところ、「弁護士事務所は画像を提出してくれないことが多い」と聞きました。おそらく、「事務方に任せた結果、画像の収集・提出をもらしてしまうことが多いのでしょう」と推論しましたが、まったく一枚も画像を出さず、明らかに意図的に画像提出を怠っている事務所も少なくないそうです。(これは最近の某調査事務所員さまのブログでも取り上げておりました。)

 要するに画像収集は面倒 ⇒ 要求してきてから対応しよう ⇒ なんといっても調査事務所からの依頼であれば費用は調査事務所もち・・

 このようにズルい意図が見え隠れします。しかし、私が問題視したいことは、この手抜き被害者請求ではありません。審査前にその弁護士が画像を一切見ていないことが大問題だと思っています。タイトルに戻ります。障害の証明=画像がすべて、なのです。骨折の状態、癒合状態、転位・変形を確認せずして、それに適合した診断書が書かれているかなど、判断しようがありません。つまり、証拠を吟味せずして、医師の診断と審査、二重に丸投げしている状態です。これでは申請を法律家に託した意味がありません。画像を掌握・精査しなければ、事前認定と被害者請求の優劣を語るどころではないのです。

 何のためにお金をかけてまで被害者請求としたのか・・これは業界全体のテーマと思います。単に”自らの報酬のために被害者請求(が有利です!)を煽っている”風潮に私たちチーム全員が憂慮しています。

   弊事務所は複雑な治療経緯、長期かつ10箇所を超える病院の案件が多く、毎度、提出書類・画像の収集に四苦八苦しています。たまに、提出をもらすこともあります。多くは病院側の事情ですが、その点、反省しております。それでも等級を決める重要な画像を見落とすような仕事はしていません。常に「画像こそそべて」の姿勢をお約束しています。

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 行政書士の請求に対する各社の動向ですが、かつて「行政書士への費用は明確に制限規定を設けた」件について書いたと思います。詳しくは ⇒ エトセトラ⑧

 以前から国内社の対応は「法律相談費用(10万円限度)の範囲でなんとかしたい」意向がありました。最近は約款まで記載せずとも、重要事項説明書やパンフレットに行政書士への支払い制限を書くようになっています。外資系は元々、”支払い対象は弁護士のみ”が多数であったのですが、近年、行政書士へ対象範囲を広げています。しかし、支払い内容は当然に渋いものでしょう。

 久々に某通販系の担当者と弁護士費用(以下、弁特)について、電話でお話をする機会がありました。その会社はLAC基準を前面とし、小額案件は弁護士でも着手金は10万円まで、行政書士は「着手金・報酬」などそもそも発生せず、「文章作成料金」の費用について10万円限度と徹底した対応をしています。元来、弁特は各社、各支払い課、担当者によって支払い基準・解釈がばらばらの対応ですが、この会社は珍しく全国的に支払い基準が統一しているようです。

   第三者的な分析が多いこのシリーズですが、今回は私(弊事務所)の姿勢を明確にしておきましょう。

 最初に言いますが、”保険会社が事前に支払い基準を示すこと”について、私は賛成です。それさえクリアにしているなら弁特社を横暴と思いませんし、担当者と喧嘩になることもありません。会話の応酬は以下の通り・・ tel13 (担当者)  行政書士は資格上、文章作成の費用しか発生しないはずです。したがって、着手金・報酬は弁護士のみで、行政書士には10万円の費用までです。

(秋葉)  確かに文章作成料としての代書代・手間賃は5万円程度です。弊事務所ではそれに調査費用が上乗せされます。そちらの費用がはるかにかさみます。その初期経費は着手金でまかなっています。また、その調査の成果に応じて報酬を決めますので、「着手金&報酬」制度は依頼者の理解が得られやすいのです。  弁護士のみ「着手金&報酬」が発生する?といった概念は単に御社のお考えでしょう。

(担当者) 続きを読む »

 それでは、お待たせしました。各社、最新の動向について発表しましょう。

 この各社の約款をトレースする作業に10時間要しました。これは出版を予定して調査したものです。後日、加筆・修正した「保険約款」の解説本の出版を予定しています。

   この特約はおおむね2つのタイプに分かれます。ここではAタイプBタイプと区分します。3年前の約款から変化が見られるようです。  

A:『年齢条件特約の不適用に関する特約』

1.「年齢条件に違反」して被保険自動車を運転して起した事故を補償します。 2.『対人賠償』と『対物賠償』のみ補償 3.「家族か否か」、「免許を取ってからの期間」などの条件はありません。 4.年齢条件に適合した本来負担すべき保険料と、実際に負担した保険料との差額に応じて保険金は減額されます。(全年齢 と 35歳未満不担保 の掛金差はおよそ 100 : 50 ) 5.最初から「記名被保険者・本人が年齢条件を満たしていない」契約の場合は、そもそも適用できません。

<主な適用社>

富士火災 全労災 セコム  ・・・この3社はAタイプBタイプを併存させています。適用上、Bタイプが優先です。

  B:『運転免許取得者に対する「賠償損害」自動担保特約』

1.「新たに免許を取得した家族」が「年齢条件に違反」して被保険自動車を運転して起した事故を補償します。適用には保険会社の承認が必要です。 2.補償の対象となるのは、 続きを読む »

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