次に三井住友さんの約款です。損J日興、東海日動とも違う、微妙かつ独自の内容です。  

<人身傷害> 第5条 損害額の決定

  (1)次の①~③区分ごとに、自社基準で算定します。

① ケガの損害 ② 後遺障害の損害 ③ 死亡      (かなり略しました)   (2)(1)の規定に関わらず賠償義務者がある場合には、保険金請求権者は、(1)の区分ごとに<別紙>に定める基準により算定された金額のうち、賠償義務者に損害請求すべき損害に係る額を除いた金額のみを当社が人身傷害保険金を支払うべき損害の額として、当社に請求することができます。  この場合における、賠償義務者に損害賠償請求すべき損害に係る額とは、(1)①から③までの区分ごとに算定された金額に対し、次の手順に基づいて決定した賠償義務者の責任割合を乗じた額(賠償義務者がある場合において、自賠責保険等によって支払われる金額を下回る場合には、自賠責保険等によって支払われる金額とします。)の合計額とします。

① 当社と保険金請求者との間の協議

② ①の協議が成立しない場合は、当社と保険金請求者との間における訴訟、裁判上の和解または調停。     相変わらず難解な文章です。弁護士の先生ですら「訳わからん」と言っています。訳します・・

 「まず、人身傷害の保険金は当社の基準で計算します。それで納得できなければ話し合いましょう。それでもダメなら、うちと裁判して決めようや。」    何とまぁ、三井住友さんの約款は関西っぽいノリを感じます。続いて無保険車傷害ですが、人身傷害約款の(2)とほぼ同じ意味です。あえて全文を対比してみましょう。  

<無保険車傷害> 第6条 損害額の決定

  当社が無保険車傷害を支払うべき損害の額は、賠償義務者が被保険者またはその父母配偶者もしくは子が被った損害に対して法律上負担すべきものと認められる損害賠償責任の額によって定めます。この場合における損害のは、保険金請求者と賠償義務者との間で損害賠償責任の額が定められているといないにかかわらず、次の手続きによって決定します。

① 当社と保険金請求者との間の協議

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 人身傷害を日本で初めて開発・発売した、まさにリーディングカンパニーを冠する東京海上さん。しかし、人身傷害の支払い問題となると、国内損保では一番遅れていると言わざるを得ません。

 もちろん、平成24年2月最高裁”人身傷害の求償額を巡る判決”で、「差額説」と決まった以降は人傷先行の場合は、裁判基準にて総損害額を算定することは約款上、約束されました。(その部分は約款の色を赤にしました)    まずは他社に比して細かく丁寧に規定されている約款を確認してみましょう。例によってわかりやすく、言い直し、省略=( )を加えています。  

<人身傷害>  第4条  お支払いする保険金 <無保険車傷害> 第6条 お支払いする保険金

 (無保険車傷害の約款は人身傷害の(1)(2)(3)(6)をほぼ踏襲、その他、多くの規定は人身傷害を準用しています)    (1)1回の人身傷害事故について、当会社は、被保険者1名について次の算式によって算出される額をを保険金として支払います。ただし、1回の人身傷害事故について当会社の支払う保険金の額は、被保険者1名について、保険証券記載の保険金額を限度とします。

 (2)の規定により決定された損害の額 - (5)の表の費用の額の合計額 = 保険金の額

  (2) ① 傷害      ② 後遺障害 続きを読む »

 損保ジャパンは1度、無保険車傷害特約を人身傷害・約款に吸収させて、算定基準を人身傷害と同一にしました。結果、裁判基準を認める無保険車傷害特約・約款の改悪、不合理の感が否めませんでした。その後、また分離させましたが、肝心の支払い基準はどうなったのでしょうか。これに関して旧損保ジャパンは、26年7月改定から先進的かつフェアな約款に改定済みです。    先に人身傷害を請求し、後に賠償請求を行った場合の求償に関しては、裁判基準で総損害額をみます。これは最高裁判例以来、全社認めて約款改定しました。残った問題である、先に加害者に賠償請求した場合、保険金算定の基となる総損害額を裁判で決まった額とするのか、あくまで自社の算定基準とするのか・・(「人傷基準差額vs裁判基準差額説」の対立で問題となっています)。

 これについて、以下の約款で明確に回答しています。つまり、人身傷害を先に請求しようが、相手から賠償金を先にとろうが、請求の順番に関わらず、「裁判で決まった額なのか否か」で支払い基準を合わせる事にしたのです。

 ここでは説明しきれないので、わからない方は過去記事を ⇒ すべては約款で準備されていた

 では、約款ですが、人身傷害も無保険車傷害もほぼ同じです。  

<人身傷害特約> 第6条(損害額の決定) <無保険車傷害特約> 第8条(損害額の決定)

  (1)損害額は、被保険者が第2章(保険金を支払う場合)(1)のいずれかに該当した場合の、次の区分(①~③)ごとの、それぞれ普通保険約款別表3に定める損害額算定基準に従い算出した金額と自賠責保険等によって支払われる金額(注1)のいずれか高い金額の合計額とします。

① ケガの損害 ② 後遺障害 ③ 死亡   (2)加重障害に関すること(省略)   (3)(1)および(2)の定に関わらず、賠償義務者が負担すべき法律上の損害賠償責任の額を決定するにあたって、判決または裁判上の和解において(1)および(2)の規定により決定される損害額を超える損害額(注2)が認められた場合に限り、賠償義務者が負担すべき法律上の損害賠償責任の額を決定するにあたって認められた損害額(注2)をこの特約における損害額とします。ただし、その損害額(注2)が社会通念上妥当であると認められる場合に限ります。

(注1)自賠責保険が無い場合、政府の保障事業からの補償も対象 (省略)

(注2)訴訟費用、弁護士報酬、遅延利息、その他費用は損害額に含みませんので、差し引きます(省略)

  (解説)相変わらず、持って回った言い回しですが、つまり、「まずは(1)の自社基準で払います」「裁判できまった額なら(1)の自社基準ではなく、裁判基準で払います」とのことです。  

 この約款タイプは他に朝日、セゾン、セコム、そんぽ24、ソニーさんです。全社調べる時間があったら頑張ってみます。

 明日はこの問題に、頑固な東海日動さん  

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 過去、何度も自賠責の「加重」によって、煮え湯を飲まされ、時には救済されたものです。自賠責保険や労災の独自ルールながら、裁判でも同じ計算が踏襲される傾向でした。しかし、今年、加重ルールを否定する高裁判決がでました。遅ればせながら取り上げます。   「神経障害は同一」覆す  自賠責保険適用認める事故で新たに後遺症・東京高裁     脊髄損傷で車いす生活となった50代男性が、新たに車との接触事故で腕のしびれなどが生じたとして、運転女性と自動車損害賠償責任(自賠責)保険の加入先だった東京海上日動火災保険に約460万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が20日、東京高裁であった。杉原則彦裁判長は「事故前と事故後の障害は、一体的に評価されるべき同一の部位とは言えない」と述べ、約410万円の支払いを命じた一審さいたま地裁判決を支持し、女性側の控訴を棄却した。  男性側の弁護士は「神経系統は同一部位だとして新たに生じた障害への賠償を認めてこなかった自賠責保険の運用ルールを否定した画期的な判決。高裁レベルでは初めてではないか」と評価している。(時事通信社)

   加重とは・・同じケガが同一部位に加算されても、「元々の障害があるから、今回の障害は相殺ね」、もしくは「元々の障害を上回る障害が加わったら、新しい障害の保険金-元々の障害の保険金=支払い保険金としますね」との制度です。まず、公平、合理的なルールと思います。しかし何事も例外はあるもので、一部の被害者さんいとっては理不尽なルールとなります。

 この機に少し復習してみましょう。  

後遺障害等級における加重とは? 自賠法施行令2条2項では加重障害を規定しており、すでに後遺障害のある者が、自動車事故により同一の部位について後遺障害の程度を重くしたときは、加重した限度で保険金額を認定する、と記載されています。

すでに後遺障害がある者とは、本件事故の発生前に、すでに後遺障害のあった者のことです。 その後遺障害については、先天性、後天性、自動車事故によるもの、賠償を受けたか受けないかに関係なく、後遺障害等級表に定める程度の後遺障害が存在していた者をいいます。

加重とは、自動車事故により新たな傷害が加わった結果、後遺障害等級表上、既存障害よりも重くなった場合をいいます。 自然的経過や既存障害の原因である疾病の再発等、新たな自動車事故以外の事由で後遺障害の程度を重くしても、加重と判断されません。 同一部位に新たな傷害が加わったとしても、既存障害以上の後遺障害が発生しなければ、加重とはなりません。 1)受傷前の手指用廃、受傷後切断 Q事故前の業務中の受傷で右人差し指の用を廃していた被害者が、今回の事故で右人差し指を切断するに至りました。 自賠責保険の認定等級と保険金の支払額はいくらになるでしょうか?

右人差し指の用廃は12級10号、右人差し指の切断は11級8号です。 等級は、右手人差し指を亡失したものとして11級8号が認定されますが、保険金支払では、11級、331万円から12級224万円が差し引かれ、331万円-224万円=107万円の支払となります。 続きを読む »

 「人身傷害」と「無保険車傷害」の併存問題、続いて東京海上日動の整理を見てみましょう。   (3)東京海上日動

人身傷害条項 第5条(支払い限度額に関する特則)

(1)第4条(お支払いする保険金)(1)ただし書の規定にかかわらず、下表のすべてに該当する場合は、1回の人身傷害事故について当会社の支払う保険金の額は、被保険者1名について2億円を限度とします。

① 第1条(この条項の補償内容)(2)の表の①に該当する事故のうち、無保険車の運行に起因する事故により人身傷害事故が生じ、その直接の結果として、第4条(お支払いする保険金)(2)の表の②または同表の③に該当すること。 ② 賠償義務者があること。 ③ 保険証券記載の保険金額が無制限以外であること。    ①は読みづらいですが、従来の無保険車による傷害事故を指しています。②は事故の相手がいること、つまり、自爆事故ではないとの意味です。③は人身傷害の限度額が無制限であれれば、無保険車による被害は2億円ではなく無制限とします。

 要するに内容は三井住友と同じです。人身傷害約款に無保険車傷害を吸収させました。すると、三井住友同様、人身傷害を付保していない契約はどうなるのか?東海日動はしつこく?、いえ、論理的に整理しています。   18  無保険車事故傷害特約

第1条 (この特約の適用条件)  この特約は、この保険契約に対人賠償保険が適用され、かつ、人身傷害保険が適用されていない場合に適用されます。

19  無保険車事故傷害特約不適用に関する特約 第1条 (この特約の適用条件) 続きを読む »

 それでは人身傷害と無保険車傷害の競合問題について、3メガ損保の現約款を確認してみましょう。

 いずれも「27年10月改定」版からです。(最近は毎年のように約款改定が続き、追いかけるのが大変です!) c_y_1

(1)損保ジャパン日本興亜

4-5 無保険車傷害特約  第10条 支払い保険金の計算

⑦ 普通保険約款人身傷害条項第8条(支払い保険金の決定)の保険金が支払われる場合は、その保険金額 ・・を無保険車傷害の保険金から差し引きますよ。    つまり、無保険の自動車にケガをさせられた場合、多くは人身傷害で治療費や休業損害を賄っているはずです。続いて後遺障害が生じた場合も「まず人身傷害で支払い、足りなければ無保険車傷害から払います」、との意味になります。これは実務的な流れを裏付けるものです。

 損保ジャパンは日本興亜との合併前、一時期、人身傷害の約款に無保険車傷害を組み込みましたが、すぐに無保険車傷害を独立した約款に戻しました。結局、両者の約款を併存させたまま、被り問題をこの約款条文で調整しました。

 最初からこうすればよかったのにね。

★ 限度額は人身傷害付き契約(THEクルマの保険)、人身傷害がない契約(SGP)共に、限度額の記載がありません。2年前の改定から「2億円」⇒「無制限」に統一したようです。保険証券には「無制限」ときっぱり記載されています。

  (2)三井住友

人身傷害条項続きを読む »

mikurasu  会社で働く方たちは協会けんぽと組合けんぽという言葉をきいたことがありますよね?

 全国健康保険協会(通称=協会けんぽ)と健康保険組合(通称=組合健保)があります。    協会けんぽは適用事業所である中小企業等で働く従業員やそのご家族が加入している保険です。保険料率は各都道府県や標準報酬によって決まり、事業主と被保険者の負担割合は折半になっています。

 組合健保は政府に代わって健康保険事業を行う公法人であり、厚生労働大臣の許可を得て設立されます。1つの会社で700人以上の従業員がいる場合か、同じ業種の会社または同じ地域の会社が集まって3000人以上の従業員がいる場合に設立できます。    1、協会けんぽの場合、協会けんぽのサイトに「協会けんぽについて」→「個人情報保護」→「保有個人情報の開示請求について」→「診療報酬明細書(レセプト)の開示について(ご本人用)」をクリックすると、必要書類の欄に請求書のPDFデータがありますので、それをダウンロードして記入します。具体的には全国健康保険協会支部長の欄には、所属する支部を記入します。お手元の保険証の下の保険者名称の欄に支部名が記載されています。診療年月には開示を希望する期間を、診療報酬明細書等区分には病院の名称、所在地を記載し、必要な区分に〇をつけます。開示する書類は年度ごと(毎年4月1日から翌年3月31日まで)によって手数料300円(収入印紙)がかかります。

2、請求は窓口・郵送どちらでも可能ですが必要書類が多少異なるので、注意が必要です。窓口であれば、「診療報酬明細書等開示請求書」、「身分証明書」を、郵送であれば「診療報酬明細書等開示請求書」、「身分証明書のコピー」、「住民票(請求の30日以内のもの)」を用意し、全国健康保険協会の所属する支部に提出します。

3、その後、開示請求手数料の納付書が届きますので、その金額を納付し、領収書の写しをFAXで送信するとスムーズに進みます。その後決定の書類が届きますので、開示請求の意思と方法(閲覧かコピー請求)を示します。コピー請求の場合、開示書類の枚数によって該当金額を切手同封で支払うと、無事にレセプトが届きます。

 組合健保の場合は、協会けんぽと流れはほぼ一緒ですが、申請書類様式が各組合よって異なりますので、ご自身が所属されている組合のホームページ又は会社の事務の方に聞くことが望ましいと思います。    

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 平成10年10月、東京海上から人身傷害特約(保険)が発売されました。以後、各社、ほぼ同内容で続きました。

 しかし、従来から存在していた、搭乗者傷害特約、無保険車傷害特約、自損事故特約と”自らの人身事故に支払われるもの”として、補償が被ることになりました。

 搭乗者傷害保険は重複して支払われるので問題ないとして、無保険者車傷害と自損事故は調整が必要となりました。損保ジャパンは無保険車傷害を一時期、人身傷害約款に組み込み、また独立させた経緯があり、軽く混乱したと言えます。また、各社、約款に不明記ながら、「人身傷害の金額を超えたら無保険車傷害で支払う」などの社内規定で整理したり、また、請求事故が起きたら、その都度、社内会議で決めていたようです。

c_y_200(例1)人身傷害と無保険車傷害が競合した場合

 人身傷害は最低保険金額が3000万円、最高は無制限です。保険金額は選択でき、最も多い契約金額は5000万円です。対して無保険車傷害は2億円、もしくは無制限が保険金額です。保険金額は選択できず、約款で決められています。

 ケガの治療費や休業損害は人身傷害で支払います。なぜなら、無保険車傷害は後遺障害と死亡のみの補償だからです。後遺障害が認定された場合、やはり、人身傷害特約で支払います。それが契約金額を超えた場合、ようやく無保険車傷害からの支払いとなります。

 明らかな高額賠償の場合、最初から治療費・休業損害・その他費用を人身傷害から、後遺障害・死亡保険は無保険車傷害からとばっさり分けたケースもありました。   (例2)人身傷害と自損事故が競合した場合

 自損事故は死亡1500万円、介護費用200万円、入院1日6000円、通院1日4000円の定額保険なので、支払い保険金は人身傷害の方がほとんどのケースで高額になります。したがって、約款上、人身傷害付きの保険では自損事故特約は消滅しています。     さて、(例1)の実務上の対応もさることながら、人身傷害と無保険車傷害の併存問題について、約款上の整理もしくは統合を各社、進めました。最新約款を確認してみたいと思います。 

 前置きが長くなりましたが、ここからが本シリーズの主題に入ります。

 続き⇒  

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セミナー表紙20160214_00002 昨年末から自動車保険の約款をテーマとしたセミナーが続いています。  約款と言えば「難解」、「何が言いたいのか解らない」等々・・約款をじっくり精読してから契約を検討する自動車保険の契約者さんは皆無でしょう。一部の約款マニアは別として、保険会社社員や代理店さんですら、余程必要がないかぎり、約款を開くことはありません。現場ではカラーで解りやすいパンフレットで十分なのでしょう。

 さて、被害者救済業を名乗る以上、約款の熟知・活用は私達にとって避けられない重要事項です。

 とくに、任意保険に未加入の自動車による被害者さんは、人身傷害特約、無保険車傷害特約が頼りとなります。無保険車の被害者にとって知られざる重大なテーマなのです。

 約款解説は毎回長文となり、シリーズ化しますが、まずは以前に使用した表をご覧下さい。自動車保険で自らのケガ・後遺障害・死亡に支払われる主要な補償は以下の通りです。見ての通り、いくつか補償がダブっています。平成10年10月に東京海上が開発、販売をスタートさせた人身傷害特約の登場によってダブりが頻発したと言えます。

 明日からの内容について、下表と併せて以下を復習しておくと理解が容易となります。(長いですよ)

そして『無保険車傷害特約』は吸収された・・・①~⑧

結局、無保険車傷害特約は独立した ①~③  

契約車 搭乗中 他車 搭乗中 歩行中 自転車 他の交通機関 保険金 計算方法 重複 払い  人身傷害保険 〇 △ (特約で選択) △ (特約で選択) 実額 × 無保険車 傷害 特約 〇 〇 〇 実額 × 自損事故特約 〇 〇 × 定額 × 搭乗者傷害保険 〇 × × 定額 〇

  ※ 保険金支払い方法

実額… 実際にかかった治療費、交通費の他、契約している会社の基準により慰謝料、逸失利益、休業損害を個別に計算する。

定額… 契約時に定めた死亡・後遺障害・手術・入院・通院・その他金額。その金額により入通院は1日当たり○○円、もしくは部位症状別に○○円と決まります。   ※ 重複払い

 搭乗者傷害(現在は多くの会社で「傷害一時金」と改名されています。あえて旧名で表記します。)のみ、上の3つに加算して支払われます。しかし治療費を人身傷害に、後遺障害を無保険車傷害にと、ケガと後遺障害を別々に請求する場合は重複とはなりません。

 つづく  

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mikurasu

 健康保険と言っても種類は様々で、国民健康保険、後期高齢者医療制度(国民健康保険)、社会保険、船員保険等があります。まずは、一番多いとされる国民健康保険の開示請求について説明します。

 国民健康保険は請求者の住所を管轄する各市町村役場に請求します。残念ながら費用、費用の支払い方法、必要書類等は各自治体によって様々なので、直接窓口へ行くか、電話で聞いてしまうしかありません。後期高齢者医療制度も国民健康保険と同じですが、唯一異なる点は、管轄しているのが各自治体ではなく、広域連合だということです。その点に注意が必要です。

 郵送でも申請が可能であれば、HPから書式をダウンロードし、必要事項を記載の上、本人確認書類(運転免許証、健康保険証等コピー)を添付する必要がある場合が多いです。

 以前担当した案件では、半身麻痺の依頼者の開示を役所の方に電話で伝えたところ、「本来は直接窓口でしか対応しないのですが、今回だけは特別に」と郵送での申請を許可して頂いたことがありました。別の役所では、「郵送での申請は絶対に受け付けません。その代わり、代理人が直接窓口に来て頂ければ認めます。但し、本人がどうしても来られない事情がある場合にはそのことを証明する書類(診断書等)を持参してください。」との事でした。 biz21  このように役所によって、担当者によって対応が様々なのです。開示請求が必要な場合、まず、ご自身の住まいを管轄する自治体に問い合わせることが大事です。

 次回は会社員の方必見、社会保険の開示請求について説明いたします。  

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mikurasu 初登場! 第2のカプセル怪獣ミクラス=MC佐藤    最近、診療報酬明細書(レセプト)開示請求が必要な場合が多かったのでそのことを記載したいと思います。

 診療報酬明細書(レセプト)開示?と思う方が多いと思います。多くの被害者の方は、加害者の任意保険会社の一括対応により支払いなく治療・入通院しているので、診断書・診療報酬明細書(レセプト)、事故証明書等は保険会社の担当者が持っています。ですので、それらの書類を取得するためには、担当者に連絡し、コピーを欲しいと言えば送って頂けるでしょう。

 しかし、相手が無保険であったりすぐに一括対応を打ち切られてしまい、ご自身の健康保険や、労災で通院した場合はどうでしょうか・・。

 相手が無保険の場合や保険会社が払ってくれなかった場合、それらの書類をご自身で取得しなければならいなのです。今回は稀ではありますが、そのような場合の手続きについて説明いたします。

 まずは一番書類がシンプルな労災編です。今回は治療先の病院が労災指定病院であると仮定します。

1、労災で通院している場合、厚生労働省のホームページにある「保有個人情報開示請求書(標準様式第1号)」をダウンロードし、記入します。具体的には、行政機関の長の欄には労災指定病院の所在地の都道府県の労働局長を記入し、開示請求する個人情報には通院期間分のレセプトの事を記載します。開示する書類は年度ごと(毎年4月1日から翌年3月31日まで)によって手数料300円(収入印紙)がかかります。

2、請求は窓口・郵送どちらでも可能ですが必要書類が多少異なるので、注意が必要です。窓口であれば、「保有個人情報開示請求書(標準様式第1号)」、「身分証明書」を、郵送であれば「保有個人情報開示請求書(標準様式第1号)」、「身分証明書のコピー」、「住民票(請求の30日以内のもの)」を用意し、労働局総務部企画室に提出します。

3、その後決定の書類が届きますので、開示請求の意思と方法(閲覧かコピー請求)を示します。コピー請求の場合、開示書類の枚数によって該当金額を切手同封で支払うと、無事にレセプトが届きます。

 次回は健康保険の開示請求について説明いたします。  

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 続きまして、3メガ損保を比較してみましょう。まったくの横並びと思いきや、わずか違いがあるようです。もっとも、支払基準には社内マル秘運用マニュアルがあり、事案によって増減の調整があることもあります。そして、裁判となれば、和解・判決の額を渋々支払います。

 いずれも27.10改定約款を確認しました。地裁基準は「赤い本」です。

 かなり面倒、マメじゃないと出来ない作業です。   c_s_k_70

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近年、目まぐるしく毎年改定をしている保険約款ですが、割と保険金の額は一定でした。それでも、各社、わずかな変更があるようです。最新の慰謝料額を下記にまとめました。

地裁基準は「赤い本」から。任意保険は損保ジャパン日本興亜を参照。

これは今月の研修でレジュメに挿入したものです。(平成27年10月~約款を確認)

 

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win 前回の続きです。

4:保険会社と揉めてしまい、弁護士を入れられた後の相談

 物損の交渉で、金額が納得いかないで保険会社と揉めてしまうことがあります。その金額が相場通りであったとしても、納得できずに争ってしまうことがあります。

 ある相談者は、物損の金額が相場通りであっても納得いかずに保険会社と揉めてしまい、弁護士まで入れられたことがあります。弁護士を入れられると、その後の治療費はおろか、後遺障害の申請にも影響が出かねません。特に、ムチウチ等の場合、神経症状が医学的にはっきり出ることは少なく、つまり、証拠が乏しいものです。したがって、調査事務所に症状を信じてもらうことが最大のテーマです。保険会社と揉めていることや弁護士を入れられる等、その被害者は揉める人だと見られてしまうと症状を信じるのに抵抗を覚えられかねません。   20120120_1  納得いかない点があって争うにしても、感情的に走らず、喧嘩せず、周囲の意見を集めてからでも遅くはありません。   5:漫然と通院し続けた後の相談

 治療をしても症状が緩和せず、辛い思いをし続ける交通事故被害者が相談に来ることがあります。持参して頂いた画像や診断書、本人の症状を確認していくと、現在通っている病院の医師(主治医)の診断のみではなく、他の専門医や専門的な検査ができる病院を紹介して頂く必要があった場合もあります。

 早期に相談に来られた方は余裕をもって検査や転院、セカンドオピニオンが可能です。しかし他方で、事故から半年経過し、保険会社から治療費を打ち切られてしまってから、あるいは打ち切り寸前で、まだ症状が緩和せずに相談に来られた方もおります。

 当然診断書には該当しそうな診断名が無く、専門医に診てもらえず、とても申請にあげられる状態ではありませんでした。なお、中には漫然と通院し続けた後で、かつ前回述べた、後遺症(後遺障害)の申請をしてからの相談者もおりました。   6:長く治療を受けすぎた後の相談

 交通事故で保険会社は、打ち切りにならない限り、基本的に症状固定日まで治療費を出してくれます。特に重傷者の場合、保険会社は治療費を長期間出してくれる傾向があります。治療費を出してくれるのであれば、打ち切られるまで通院した方がいいのではないか、完治を目指して通院を継続したいのだから治療は長いことに越したことはないのではないか、そのような声をよく耳にします。勿論、私達は交通事故被害者の怪我が完治することを望んでおります。しかし他方で、治療にはお金がかかること、保険会社はいつまでも治療費を出してくれるわけではないこと、また、医者は懸命に治療をしても怪我によっては治療費が打ち切られても完治しきれず、長期間治療をする必要がある場合もあることを知っています。

 ある程度まで治療した後、症状が安定したころ、医師から症状固定の話が出てきます。保険会社は傷病名から社内的な基準の治療期間で、医療照会等をかけて治療費の打ち切りを検討します。そして、被害者は怪我が完治しなかった場合、遺症(後遺障害)が残ったまま治療費支払い終了を迫られます。

 しかし、長期にわたった治療で治りかけた怪我の症状が残った場合、後遺症(後遺障害)の等級が低いレベルで出される可能性があります。すると、将来にわたって治す予定の怪我の治療費がその分安くなってしまいます。最悪、低い等級のために将来の治療費を賄うことが困難になってしまうこともありえます。被害者は治療をしつつ、相手方加害者や相手方保険会社等を相手に損害賠償請求をする必要もあります。よって、被害者は怪我を完治したい場合、怪我の重さから後遺症(後遺障害)について視野に入れつつ治療を継続し、医師の治療の見通しや保険会社との折衝について考えなければなりません。  f_c_031続きを読む »

win (2)加害者側の任意保険への直接請求権の行使について (物損の場合)

 治療費等、人傷の場合には、被害者請求や人身傷害特約を利用することで早期解決できるので、直接請求権の行使は現実的ではありませんでした。しかし、「直接請求権」は約款をみてみますと、人傷だけではなく、物損にも行使できる旨が記載されています。現在では普段の生活で自動車をよく利用される時代です。自動車の修理費は、人によっては治療費や慰謝料以上に強く求められることもあります。

 物損の場合、自賠責が適用されず、被害者請求はできない。また、人身傷害特約も物損には適用されません。加害者が物損の修理費を払いたくなく(経済的に支払えない場合もあります)、しかも自分の保険会社を利用しようともしない場合、泣き寝入りしてしまいます。そこで、相手方の任意保険会社に直接請求することを約款で認め、このような場合に泣き寝入りせずに物損解決ができるようになっております。

 この点、直接請求権を行使するための要件は、前回述べた内容と同様です。

 人傷の場合と同様、その中で最も現実的な方法は、「③ 損害賠償請求権者が被保険者に対する損害賠償請求権を行使しないことを被保険者に対して書面で承諾した場合」とみています。他方で、物損の場合、人傷の場合と異なり、賠償額の算定は比較的容易です。よって、前回述べた、「① 保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について、被保険者と損害賠償請求権者との間で、判決が確定した場合または裁判上の和解もしくは調停が成立した場合」の方法も理論上できそうです。

 しかし、実際に①の方法を利用するとしても、弁護士に依頼しても受任してくれない可能性があります。何故なら、物損は人傷よりも多くの場合、賠償額が低いため、結果として弁護士の報酬が低くなり、弁護士を使うことが現実的ではなくなるからです。すると、物損のみの交通事故の場合、被害者自身が裁判等をすることになることも視野に入れなければなりません(本人訴訟)。

 なお、物損額が60万円以下であれば、少額訴訟という制度を利用でき、仮にその額を超える場合でも140万円を超えないのであれば、簡易裁判所で訴訟をすることになります。いずれも、端的に言えば、事件の早期解決を図れる点で共通しております。これらの制度については、裁判所や弁護士によく相談してみてください。

 この論点を含む、物損の直接請求権については、ボスがメインブログで、ストーリーを絡めて詳しく解説しておりますので、ご参照ください。  ⇒ 「事故の相手が保険を使ってくれない」  

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win (2)加害者側の任意保険への直接請求権の行使について

 自賠責保険で、治療費等を回収する方法として、被害者請求を説明しました。上記タイトルの直接請求権とは、端的に言えば任意保険会社版の被害者請求です。つまり、交通事故の被害者が加害者の任意保険会社に直接、治療費等を請求することです。

 通常、交通事故があった場合、加害者が自分の任意保険会社に対応をお願いすることで、一括対応をすることになります。ただ、交通事故の当事者はあくまで、被害者と加害者です。加害者側の任意保険会社が勝手に被害者に治療費等を支払うことはしません。契約者である加害者から連絡がなければ積極的に支払う義務もありません。この点、加害者が「自分が悪く無い事故なのに責任を取りたくないから保険を使わないよ」と言って、被害者に治療費はおろか、加害者自身の任意保険会社にも連絡しないことがあります。

 この様な不都合を回避するために、被害者は加害者の任意保険会社に直接請求点を行使して治療費等を回収できます。しかし、直接請求権による方法はあまり現実的ではありません。治療費を被害者自身で賄うことが困難な被害者にとっては特に言えます。その原因は、直接請求権の要件の厳しさにあります。

 直接請求権を行使するための要件としては、以下の通りです(ある損保会社の約款を参考にしました)。

① 保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について、被保険者と損害賠償請求権者との間で、判決が確定した場合または裁判上の和解もしくは調停が成立した場合

② 被保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について、被保険者と損害賠償請求権者との間で、書面による合意が成立した場合

③ 損害賠償請求権者が被保険者に対する損害賠償請求権を行使しないことを被保険者に対して書面で承諾した場合

④ 法律上の損害賠償責任を負担すべきすべての被保険者について、次のア.またはイ.のいずれかに該当する事由があった場合

ア.被保険者またはその法定相続人の破産または生死不明 イ.被保険者が死亡し、かつ、その法定相続人がいないこと。    これらの中で、最も現実的な方法は、③の方法ではないかとみています。 ①の方法は、治療中で全体の被害額が確定していない状態であることから、裁判がやりづらいこと。 ②の方法は、加害者が任意保険会社を使用しないと言い張っている状況等で現実的に同意するわけがないこと。 ④の方法は、加害者が死んでしまったレベルでなければなりません。    繰り返しますが、以上の要件を満たすための手続きはとても厳しく、面倒です。これらの手続きをするのであれば、自賠責に被害者請求をする方が現実的です。最近では人身傷害保険が普及しているので、本人もしくは家族に加入がないか探して人身傷害に請求するケースが多くなりました。

 自賠責は対人事故に適用されますが、物損は適用外です。これに対し、直接請求権は物損でも利用できます。次回は、物損で自動車の修理代を回収することとからめて説明します。  

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 今回は②任意保険の場合をあげてみたいと思います。

 ②任意保険の場合、(1)被害者自身の任意保険と、(2)加害者側の任意保険、とに分けられます。

(1)被害者自身の任意保険の場合について

 被害者が契約されている保険特約で、後遺症(後遺障害)の申請前、申請中段階でお金が欲しい場合にご確認して頂きたいものとして、A:搭乗者傷害保険、B:人身傷害特約、C:無保険車傷害特約、が主にあげられます。

A:搭乗者傷害保険について  これは、簡単に述べますと、保険契約した自動車に乗っているときに交通事故に遭った場合にお金が支払われる特約です。また、これは保険会社によって傷害一時金と改名されています。死亡、後遺症(後遺障害)で等級が認められたりした場合にも支払われますが、傷害の場合、後遺症(後遺障害)で等級申請する前の段階でも支払われます。

 怪我の部位、症状によって支払われる金額が変化しますが、基本的に通院に数が5日以上になった場合に支払われます。なお、損保ジャパン日本興亜の最新の約款では、人身傷害特約内に搭乗者傷害保険の内容が収められております。

B:人身傷害特約について  人身傷害特約については、別の記事で説明しました。この特約も、保険契約した自動車に乗っているときに交通事故で死亡、受傷した場合にお金が支払われる保険です。Aの搭乗者傷害保険との違いは怪我の部位、症状によって支払われる金額が変化するわけではなく、実際にかかった費用が(支払限度額は契約で定めます。5000万円の契約が多いようです。)支払われる点にあります。

 怪我が重く、しかも、加害者が自賠責のみしか入っていない(最悪、自賠責にも入っていないこともあります)場合、実際にかかった治療費全額が手に入らない場合に大変有効な特約です。

C:無保険車傷害特約、  この特約についても、別の記事で人身傷害特約との比較の際に説明しました。これは、死亡と後遺障害に限定されますが、交通事故加害者が保険に入っていない場合や、保険に入っていても被害者への支払が不十分であったり、まったく支払われなかったりする場合に、不足分の金額を被害者自身の保険から回収するものです。Bの人身傷害特約と同じく、加害者が自賠責のみしか入っていない場合や、自賠責にも入っていない場合に有効な特約である点で共通しています。

 実際の運用も、B:人身傷害特約とほぼ同様の流れになりますので、保険会社によっては一時期、人身傷害特約と一緒になったり、独立したり、と変遷がありましたが、現在ではどちらか一方のみを適用し、もう一方は適用しないという流れが主流になっています。

※なお、近日中にメインブログで東京海上日動火災の最新約款についてボスがまとめる予定です。その中には無保険車傷害特約についても触れますので、お楽しみにお待ちください。

 人身傷害特約と無保険車特約のどちらを適用するかは、別の記事でも触れましたが、前者は被害者に過失があった場合にも満額獲得できるのに対し、後者では請求者の過失が反映されます。また、人身傷害特約の場合、多くの契約が5000万円程度であるのに対し、無保険車傷害特約の場合、基本的に2億円~無制限です。 よって、過失の有無やその重さ、怪我の重さも加味した上で、どちらを適用するのかを決めることをお勧めします。  

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win   方法としては、①自賠責保険の場合、②任意保険の場合、に分けられます。

 今回は①自賠責保険の場合あげてみたいと思います。  

① 自賠責保険の場合

 (1)被害者請求(16条請求)

 加害者が自賠責には入っていても、任意保険に入っていなかったり、仮に任意保険にも入っていたとしても、被害者の過失が大きく、相手の保険会社が一括対応してくれなかったりする場合もあります。

このような場合に、治療費が膨大になり、治療を受けたりすることが困難であることがあります。被害者が治療や交通事故による損害賠償を受けるために、自賠責は16条で被害者が加害者の加入している自賠責に対して、請求できるようにしました。

 これまでは、後遺症(後遺障害)の申請段階での説明を主にしてきましたが、後遺症(後遺障害)申請以前に被害者が実質的に治療費を回収できるようになっているのです。但し、この手続きは後遺症(後遺障害)の申請と同様、審査に時間がかかります。迅速に治療を受けたい場合には、以下の(2)仮渡金請求の方法もとることができます。   (2)仮渡金請求(17条請求)

 この請求は、賠償金支払い前に、治療費や生活費、葬儀費等が必要な被害者が請求するものです。この請求方法も、上記(1)の被害者請求と同様、加害者が任意保険に入ってない、または、被害者の過失が大きく、加害者の任意保険会社が一括対応をしないような場合に有効です。

 急ぎお金が必要なときには、以下の通り、治療中でも一時金を請求できます。(1)被害者請求と異なる特徴として、死亡や一定の傷害があった場合に、診断書さえあれば診療報酬明細書や治療費の領収書がなくても支払われるという迅速性があげられます。一定の場合に支払われる金額は、以下の通りです。

① 死亡の場合:290万円

② 傷害の場合

A:入院14日以上で、かつ治療に30日以上を要する場合や背骨等の骨折で脊髄を損傷した場合。→40万円 B:入院14日以上を要する場合や上腕又は前腕の骨折の場合。→20万円 C:上記以外で治療11日以上を要する場合。→5万円

 詳しくは ⇒ 自賠責保険の請求形態について

 仮渡金請求は被害者請求と比較して迅速に進められますが、被害状況がはっきりしている場合には、被害者請求を並行して進めることもできます。

 ただし、最近では、任意保険の特約の発展(人身傷害保険等)により、仮渡金請求を利用せずに治療費等を確保できるので請求の機会は少なくなっているようです。  

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 交通事故に遭われて被害者となった方は、まず、怪我を治せるかどうかが気になるかもしれません。しかし、それと同時に問題となるのは、治療費や収入についてではないでしょうか。

 これまでは後遺症(後遺障害)の申請で等級を得た上でのお金の得方を説明していきました。

 しかし、後遺症(後遺障害)の申請に行きつく前に費用面で満足に治療を受けられない場合もあります。

 例えば、加害者が自賠責以外の保険に入っていなかったり、最悪、自賠責にも入っていなかったりする場合(日本人であればほとんどこのような場合はありませんが、外国人の場合、未加入の者もおりました。)もあります。仮に、加害者が任意保険に入っていても、被害者の過失が大きくて一括対応してくれない場合等、治療費が賄えない場合があります。   c_y_164  怪我が軽ければ自腹でも大丈夫かもしれません。しかし、怪我が重い場合もあり、金銭的に治療が受けられず、また、もっとひどい場合、仕事ができず、収入がなくなり、ご自身の生活が立ち行かない場合もあります。

 基本的に、賠償関係は弁護士が最後(等級を獲得してから)にまとめてするものです。しかし、これらのような事情の場合、後遺症(後遺障害)申請に行きつく以前の問題です。

 これまでに説明してきた内容と一部重なりますが、次回から後遺症(後遺障害)の申請前、ないしは申請中の段階で治療費等のお金を先取りする方法ついてまとめていきたいと思います。  

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win 事前認定で等級が認められた方への朗報? その2

 根拠について

 まず、被害者が病院で治療等をして頂いた後、病院からの治療費等の請求があります。被害者は治療費等を支払い、その支払い分を加害者に請求することになります。その後、加害者は自己が加入している自賠責保険に、自賠責分の金額の範囲であれば、支払い分を請求することができます。この流れは、自賠責法上では15条に規定されております。

 これが本来の流れですが、加害者が治療費等を負担できない(または、しない)ことが多い、または被害者も治療費立替えの負担がある現状から、加害者の加入している任意保険会社にすべて対応してもらう方法があります。この方法では、治療費等の負担をこの任意保険会社に負わせ、任意保険会社も自賠責分の金額の範囲であれば、自賠責の方に負担分を請求します。

 現状では、これが一般化しており、これを俗に、「一括対応」といいます。

 被害者の多くは一括対応によって手続きが進んでいたと考えます。  以下では、一括対応を前提として、説明していきます。

 一括対応によって、ムチウチの被害者は半年通院し、その後、事前認定で等級が認められたとします。この場合でも、一括対応の状態は継続しています。ここまでですと、加害者側の任意保険会社がすべてのお金の流れを握っている状態になっています。これに対し、被害者が、事前認定で等級が認められた後、被害者請求をした場合、自賠責から等級分の金額が振り込まれる旨の説明をしました。

 これは、今までの治療費に関しては加害者側の任意保険会社が一括対応してお金を出していましたが、後遺障害(慰謝料、逸失利益)に関しては、自賠責に直接被害者が請求することになります。

 どうしてこのようなことができるのか。

 結論として、治療費に関しては、加害者請求(15条)を前提とした加害者側の任意保険会社の契約に基づくサービスであるのに対し、後遺障害に関しては被害者請求という、自賠責法(16条)に基づく権利である点で異なるからです。

 サービスを利用するかどうかは被害者次第であり、被害者は国の唯一の立法機関である国会によって制定された法律上の権利である被害者請求を行使できるのです。もちろん行使するかどうかも被害者の自由です。  

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