昨年から、”JA自賠責共済の審査を、自賠責保険の調査事務所に任す”との報が届いていました。最近、JAへの審査案件で具体的な回答がいくつかあり、いよいよ実体の把握に至りました。 具体的に説明しますと、
「(JA共済連で行っていた)JA自賠責共済にかかる損害調査業務を、平成28年10月1日から、平成30年10月までを目処に、その調査業務を損害保険料算出機構・自賠責損害調査事務所に移管します」
とのことです。今年に入って関東各県では移管が完了しているようです。 これは私達にとっては大変喜ばしいことなのです。今まで、数々のJA自賠責共済の認定でびっくりするようなジャッジを受けて、再請求(異議申立)の手間が増えていました。14級9号は明らかに自賠責保険の審査より厳しかったと思います。さらに、難事案の調査・審査について、農協職員に審査能力があるのか?と思っていました。
例えば、高次脳機能障害、PTSD、そして異議申立(再請求案件)です。これらは、自賠責保険でも特定事案として、特別な「審査会」に移送して調査・判定をしています。代表的な審査会として、以下3つが挙げれます。 1、脳外傷による高次脳機能障害に該当する可能性がある事案等
2、非器質性精神障害に該当する可能性がある事案等
3、異議申立事案 このように、自賠責保険では外部の医師、弁護士を交えた専門部会で慎重な調査・判断をしていますので、一定の信頼を置いていました。しかし、これら難事案であっても、自賠責共済はJAの各都道府県にある本部組織である「共済連」で決めてしまっていたのです(例外的に15年前、高次脳機能障害は自賠責の専門部会扱いとしました)。特に被害者の一生がかかった後遺障害等級を、加害者側が審査・決定していいのか!と怒りにも似た感情も沸きました。事実、実態より低い等級が判断され、現在も連携弁護士の訴訟にかかっている案件もあるのです。 かつて、身内審査との批判をしたことがあります。⇒ JA自賠責共済の審査・・14級9号は? 「14級9号の初回申請はとりあえず非該当にしとくのか!」、「せめて、後遺障害の審査だけでも自賠責保険の調査事務所に任せてもらえないか?」、私一人が吼えたところで・・でした。今まで、このJAの身内審査について、問題提起する声をそれ程多く聞きませんでした。つまり、批判の声からの改正ではなく、組織内のスリム化の要請からかもしれません。それでも、弁護士を含めた私達のような業者はもちろん、なにより、事故相手がJA自賠責共済に加入していた被害者にとって朗報なのです。きっと、心あるJA担当者もホッとしているのではないでしょうか。