近年、自転車の加害事故の増加がニュースになっています。自転車は道路交通法上、軽車両とされ、自動車と同様に道路交通法で規制される”車”です。交通事故賠償の世界での自動車との違いは、「自賠責保険があるか、ないか」ではないでしょうか。

 自転車対歩行者、あるいは自転車同士の事故は交通事故相談の中でも、実はかなりの数なのです。私達が注目することは、やはり、個人賠償責任保険です。相手に保険があること、すなわち、回収の問題をクリアできるのです。加害者のお財布から治療費や慰謝料を取ることは非常に難しく、相手に資力がなければ「ない袖は振れん」と・・お手上げです。どんな敏腕弁護士でも苦戦必至、あるいはあきらめとなります。

 保険さえあれば・・解決の目処がつくのです。

日々、保険の勉強が大事です  

個人賠14級9号:頚椎捻挫(40代女性・東京都)

【事案】

歩行中、横断歩道で信号待ちしていたところ、自転車から衝突を受ける。直後から頚部痛や頭部痛、膝や肩の痛み、めまいや不眠に悩まされる。続きを読む »

 相手に自賠責なくとも対応は変わりません。これがこのシリーズの決め言葉でしょうか。

 本件はTFCC損傷+突き上げ症候群のケースで、同症状で何度も自賠責や労災に障害申請してきた経験の応用に過ぎません。自信を持って対応、連携弁護士と完全解決へまっしぐらです。

 国内事務所で最もTFCC損傷に取り組んでいるかも?です  

個人賠14級9号:TFCC損傷(50代女性・静岡県)

【事案】

T字路で自転車同士自転車の出会い頭衝突。両手関節を痛め、特に右手関節は尺骨突き上げ症候群となった。下図青丸の部分が小指側の手関節部にある「三角線維軟骨複合体」を突き上げて激痛が起きるのです。前腕~手関節の骨折で発症し、これもTFCC損傷の原因と言えます。この場合、手術で尺骨を骨切りして短縮し、突き上げを抑えることになります。

問題点】

幸い、相手に個人賠償責任保険の加入があったが、長期の治療・リハビリからか、弁護士が介入してきた。相手弁護士は治療費と入通院の慰謝料を認め、自賠責基準程度での示談を画策のよう。

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保険会社の立場も分かりますが・・    先日、依頼者様が通院する個人整形外科に伺ってきました。その整形外科は以前に別の依頼者の件で大変お世話になったのですが、少しご無沙汰にしていると営業方法が少々変わっていました。

 まず、交通事故で通院される場合には、初診時に「保険会社からの支払いが止まった場合には、患者様から自由診療でお支払いしていただきます」という旨の念書に署名しなければ治療を受けることが出来ないというものです。後日、医療事務長の方にお話を伺ったところ、「保険会社が遡及して打切りを行ったため、支払予定だった機関の治療費請求が宙に浮いてしまったことがあったのです。患者さんには高額すぎて支払えないと言われてしまい、結局回収できなかったのです。」と大変憂いておりました。

 保険会社にも言い分はあるでしょう。患者さんの対応や医療照会を行った結果、治療に疑念を感じることも多いかと思います。しかし、治療費一括支払いは保険会社と病院、患者との信頼によって成り立っているのです。もちろん、お金を支払うのは保険会社ですから、病院も最後には従う他ないのです。

 現在依頼を受けている案件でも、同じようなことが起こっております。治療を継続していたのですが、保険会社から「弊社としましては、その一ヶ月前までしか治療費をお支払いできないことになりました。」との連絡があったそうです。急いで、健康保険適用の手続きと、病院へ事情を説明し、支払いについて待って頂いている状況です。

 本来であれば、まず患者が治療費を支払い、その領収書を保険会社に送付して求償するという方法が正しいと思います。しかし、治療費も高額で手続きも面倒なため、被害者救済という観点から保険会社が一括支払いを行ってくれているのです。被害者にとってはとてもありがたいことなのですが、そのような問題を残している事も事実です。現に大きな病院では、一括支払いを受け付けておらず、自由診療で患者本人から支払いを受けるところも増えてきています。大きなけがになればなるほど、治療費の額が大きくなるため、病院としても治療費の回収に難儀しているようです。

 このようなお悩みをかかえている被害者や病院も多いことでしょう。この文章がそのような方々に届くことを祈っております。  

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 学生時代は勉強嫌いで、60分も机に座っていること自体、苦痛でした。

 そのツケが回ったのか、現在、毎月のように首都圏各地でセミナー、研修会を実施しています。学生時代と違いは、講義する側になったことでしょうか。本日も、地元である越谷市で1時間ほどお時間を頂き、「人身傷害・約款、各社の違いと対策」をテーマとしました。

 本HPでも、平成24年2月最高裁判決以後の各社の約款改定に注目し、適時、取り上げてきました。現在、保険会社の、あるいは人身傷害の迷走は一応、答えを定めた感があります。各社の約款は大きく3グループに分かれたと言ってよいでしょう。その3グループの約款にもそれぞれ問題点があり、それに対する対策を間違えれば、被害者さんは大変な損となってしまいます。   (A)平成24年2月最高裁判決を受け入れ、人身傷害の請求の時期に関わらず裁判基準を認める、整合性を持ったAグループ。⇒ 過去記事 (SJNK、朝日、セコム、セゾン、ソニー、そんぽ24)

 ただし、裁判せねばダメなのか・・

   (B)頑固に保険会社基準を押し通そうとする、困ったBグループ。

  “人身傷害のゾンビ約款”と呼んでいます。⇒ 過去記事 (東海日動、日新、イーデザイン、共栄、JA、全労災)

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佐藤も困った・・    先日、依頼者から「たった今、労災の面談に行ってきたのですが、顧問医の先生が手術した方がいいかもしれないから、一度診てもらってから労災の後遺障害申請をすべきではないか?と言われました。」と連絡がありました。つまり、労災・顧問医の後遺障害診断となるはずが、医師の判断で順延されてしまいました。後日、労災の担当者に電話をして確認したところ、担当者もこのような経験はなく、顧問医の独断であることが判明しました。

 顧問医の先生は依頼者の状態があまりにも悪い為、今後の身体のためを想って助言してくださったのでしょう。しかし、今回は交通事故の業務災害であるため、相手(加害者・保険会社)がいるのです。既に症状固定し、弁護士が賠償交渉を進めている中、「一度診てもらい、然るべき治療を行ってから再度面接に来てください。」と言われましても…。もちろん、顧問医の判断は間違っていないと思います。それが、医師の見解であり、推奨やアドバイスに留まれば問題ありません。しかし、申請者が将来の手術の可能性を理解した上で、後遺症申請を望んでいるにも関わらず、再度治療を行ってから出直しを命ずるのはどうでしょうか。この行動により被害者、保険会社、弁護士、労災の担当者、事故に関わる関係者の全てが困ってしまうのです。

 このような場合、各基準監督署には顧問医が1人?しかいないため、その顧問医の意見を無視して手続きを進めることはできないようです。このままでは手続きが宙ぶらりんのまま、事故を解決することが出来ません。そこで、担当者から上司に話を通していただきました。特例で別の基準監督署で面談を行い、手続きを進めてはどうか?と提案をしてくださり、手配も進めてくださいました。    日ごろから病院に同行し、医師の診察や検査、診断書の内容等に苦労している弊所ですが、保険会社や労災の担当者もまた然りと痛感しました。    ”診断権”をもつ権力者であり、医師という天才たちと一緒に仕事をすることがどれだけ難しいか、改めて思い知った今日この頃でした。  

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 5月20日、ボクシングの村田vsエンダム戦、多くの観衆は村田の判定勝ちと思ったでしょう。結果はご存知の通り、疑惑の判定結果となりました。

 異例にも、世界ボクシング協会(WBA)のヒルベルト・メンドーサJr.会長自ら採点に「怒り」を露わにし、「委員会に再戦を要求する」と発信しています。        ボクシングに限らず、スポーツの世界では、時折、判定の問題が起きます。

 野球の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で西岡 剛選手のタッチアップをアウトと判定したデービッドソン審判。

 サッカーでは、ワールドカップ日韓大会での韓国vsイタリア、韓国vsスペイン。この二試合は疑惑判定のオンパレード。ヨーロッパのサッカーファンは、日韓大会自体を脳内から消去しています。     疑惑の判定は、交通事故業界でも目にしています。ご存知の通り、ケガの後遺症は自賠責保険(調査事務所)で調査・等級認定がなされます。あくまで相手方の保険会社ではなく、中立的な機関でのジャッジとなります。しかし、時折、誤認定が起こります。その多くは申請側の提出書類の不備、不正確な診断、検査不足を原因とするものです。したがって、被害者が、異議申立(再申請)によって、間違いを正す必要があります。

 その自賠責の初回審査の傾向が昨年の秋頃から、微妙な変化をみせています。それは、審査期間が短くなったことです。以前から、本部審査に上がらない、むち打ち等の神経症状・14級9号は、およそ40日で認定結果をだすように推奨されていました。それが、最近は30日を切るようなスピード認定が多くなりました。もちろん、早い事は関係者の努力の賜物であり、被害者にとっても歓迎すべき事です。

 問題は「非該当」の超高速・判定です。そもそも、14級9号の対象となる神経症状の多くは、骨折等、明らかな人体への破壊のない、いわば、本人が痛いと言っているだけの”証拠無き”認定なのです。受傷機転や治療経過から信憑性を測り、認定するわけですから、審査側も難しい判断を迫られていることは理解できます。すると、疑わしいものは当然として、「初回申請はまず蹴って(非該当)みよう」としているのではないか?と勘ぐってしまいます。事実、以前、自賠責共済の審査をするJA職員の方から、そのような方針を伝え聞きしました。

 つまり、スピード認定=審査の簡素化が、「軽率な非該当を生んでいるのではないか?」との、疑惑になるのです。    その、疑惑の非該当→再申請 の記録を明日から3つ紹介したいと思います。  

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山本さんイラストsj連日の登板!

 後遺障害等級の等級を決めるためには、基本的には自賠責調査事務所に申請をする必要があります。この自賠責調査事務所の申請先は、交通事故の加害者が加入している保険会社(共済)が窓口となります。申請先が知りたい場合、事故証明書で確認できます。

 自賠責保険(共済)は、自動車 やバイクを運転する際に、自動車損害賠償保障法によって加入が義務づけられている強制保険です。よって、滅多なことでは自賠責調査事務所に後遺障害等級の申請ができないということは生じません。しかし、例外的に自賠責調査事務所に申請ができないことがあります。

 例えば、そもそも加害者がいないような事故であることはもちろんですが、加害者がいても、ひき逃げ等で見つからなかった場合や、加害者の車検切れで自賠責保険(共済)切れにもなり、その後加入されていないような場合、自転車による事故等があげられます。

 後遺障害の審査は別として、保険未加入でも加害者に賠償金を請求できますが、大抵、そのような加害者はお金を持っていません。    ない袖は、c_y_56  そのような場合、被害者ご自身の保険会社(任意保険)の人身傷害特約や無保険者傷害特約への請求をしている場合があります。もしこのような任意保険の保険もない場合には、政府の保障事業を利用できる場合があります。

 政府の保障事業で治療をしている場合には、審査は自賠責調査事務所にすることになりますが、任意保険の場合、後遺障害等級の申請は、自社認定となります。自社認定とは、端的に言えば、自賠責に出さずに任意保険会社で等級を決定する方法です。よって、任意保険会社に後遺障害診断書や画像、診断書・レセプトをすべてそろえた上で提出することになります。

 ある相談者から指摘がありましたが、自社認定の場合、自賠責調査事務所のような第三者的(客観的)に等級を判断する機関ではなく、あくまで支払う側がする審査なので、公平に審査して頂けるのか不安があるとのことです。任意保険会社の担当者も専門的な判断が要求される場合、やはり、慎重になります。そこで、そのような場合には自賠責に諮問をかけます。

 自賠責に諮問をかけ、その意見によって等級が決まりますので、自社認定であっても、主治医にしっかりとまとめて頂いた後遺障害診断書や画像、必要な検査をした場合には、その検査表、診断書・レセプト等、自賠責調査事務所に申請をする場合と同じように書類等をそろえる必要があります。

 結局は遺漏なき提出書類の完備と、それに付随する十分な医療調査が必要です。どこで審査されようと、被害者側が損害を立証する基本は変わりません。  

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山本さんイラストsj久々に投稿します! 前回のつづきです   ⇒  前記事    異議申立は何度も挑戦できるか?    交通事故に遭い、後遺障害申請をしても非該当であったり、等級結果に納得がいかない相談者がいらっしゃいます。中には既に自賠責調査事務所に異議申立を実施した方もいらっしゃいます。そのような場合、もう一度異議申立ができるのか、仮に可能であっても等級が認定されることはあるのか、等を相談されます。

 結論として、自賠責調査事務所に対して異議申立は何度でも可能です。

 よって、納得のいくまで挑戦をすることができます。

 しかしながら他方で、異議申立が通る可能性は低く、初回の異議申立であったとしても全体のうち約6%しか通りません。さらに、2回目以降の異議申立が通る可能性はさらに低くなります。

 そのような状況から、異議申立は何度も可能ではありますが、通る可能性は極めて低いといえます。上記内容は、自賠責調査事務所に対する申請でしたが、これとは別の機関に審査を依頼する方法もあります。

 より公正・中立な判断を行う第三者機関として、平成14年に「一般財団法人 自賠責保険・共済紛争処理機構」が設立されました。    申請に必要な書類は以下の通りです。

① 紛争処理申請書 ② 紛争処理申請書記入要領 ③ 申請書別紙 ④ 同意書 ⑤ 委任状 ※

 上記書類の書式は上記機構のHPからダウンロードできます。

※ 弁護士等に依頼する場合、委任状が必要ですが、その委任状はダウンロードできません。相談された弁護士等に委任状を用意して頂く必要があります。    上記機構は、外部の医師、弁護士等、第三者の参加があり、より中立・公平に審査ができる点でメリットがあります。しかしながら他方で、自賠責調査事務所に対する異議申立の場合と異なり、申請は一度しかできませんので、異議申立をするにあたってはご注意ください。  

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  昨日は審査会の概要、歴史について勉強しました。それでは、実際の利用数について、同じく「2016年度 自賠責保険の概況 (損害保険料算出機構 出版)」から確認してみましょう。

 図9、審査会での後遺障害判定が注目です。自賠責の後遺障害のおよそ65%は、むち打ち14級9号ですから、審査会は一部の重傷者や異議申立のための機関と言えます。  

自賠責保険(共済)審査会」で審査を行った件数

   図8 有無責等の専門部会<2015年度>         続きを読む »

 先日の「JAが自賠責共済の審査をやめる」の記事で度々でてきた、自賠責保険の審査会について、改めて調べてみました。2016年版「自動車保険の概況」(発行:損害保険料率算出機構)からの抜粋です。 c_g_a_4

自賠責保険(共済)審査会における審査について

  認定が困難なケースや異議申し立てがあったケースなどについては、その審査にあたって特に慎重かつ客観的な判断が必要とされます。そこで、当機構では、自賠責保険(共済)審査会を設置し、審査体制を整えています。

 審査会では、審査の客観性・専門性を確保するため、日本弁護士連合会が推薦する弁護士、専門医、交通法学者、学識経験者等、外部の専門家が審議するとともに、事案の内容に応じ専門分野に分けて審査を行います。

 審査会の対象となる事案は「特定事案」といい、次のような事案が対象となります。   <対象となる事案>  ・死亡時案で全く支払われないが減額される可能性がある事案  ・異議申立事案 続きを読む »

 昨年から、”JA自賠責共済の審査を、自賠責保険の調査事務所に任す”との報が届いていました。最近、JAへの審査案件で具体的な回答がいくつかあり、いよいよ実体の把握に至りました。    具体的に説明しますと、

「(JA共済連で行っていた)JA自賠責共済にかかる損害調査業務を、平成28年10月1日から、平成30年10月までを目処に、その調査業務を損害保険料算出機構・自賠責損害調査事務所に移管します」

 とのことです。今年に入って関東各県では移管が完了しているようです。    これは私達にとっては大変喜ばしいことなのです。今まで、数々のJA自賠責共済の認定でびっくりするようなジャッジを受けて、再請求(異議申立)の手間が増えていました。14級9号は明らかに自賠責保険の審査より厳しかったと思います。さらに、難事案の調査・審査について、農協職員に審査能力があるのか?と思っていました。

 例えば、高次脳機能障害、PTSD、そして異議申立(再請求案件)です。これらは、自賠責保険でも特定事案として、特別な「審査会」に移送して調査・判定をしています。代表的な審査会として、以下3つが挙げれます。   1、脳外傷による高次脳機能障害に該当する可能性がある事案等

2、非器質性精神障害に該当する可能性がある事案等

3、異議申立事案    このように、自賠責保険では外部の医師、弁護士を交えた専門部会で慎重な調査・判断をしていますので、一定の信頼を置いていました。しかし、これら難事案であっても、自賠責共済はJAの各都道府県にある本部組織である「共済連」で決めてしまっていたのです(例外的に15年前、高次脳機能障害は自賠責の専門部会扱いとしました)。特に被害者の一生がかかった後遺障害等級を、加害者側が審査・決定していいのか!と怒りにも似た感情も沸きました。事実、実態より低い等級が判断され、現在も連携弁護士の訴訟にかかっている案件もあるのです。    かつて、身内審査との批判をしたことがあります。⇒ JA自賠責共済の審査・・14級9号は?    「14級9号の初回申請はとりあえず非該当にしとくのか!」、「せめて、後遺障害の審査だけでも自賠責保険の調査事務所に任せてもらえないか?」、私一人が吼えたところで・・でした。今まで、このJAの身内審査について、問題提起する声をそれ程多く聞きませんでした。つまり、批判の声からの改正ではなく、組織内のスリム化の要請からかもしれません。それでも、弁護士を含めた私達のような業者はもちろん、なにより、事故相手がJA自賠責共済に加入していた被害者にとって朗報なのです。きっと、心あるJA担当者もホッとしているのではないでしょうか。

banzai  

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佐藤イラストsj佐藤です 意外なケースでした

 先日、弁護士さんから驚きの解決に至った事案の報告を受けたので、記事にさせていただきます。

c_y_164 本件の事案を簡単にご説明いたします。Aさんが営業車で外回り中に一時不停止の加害車両に側面衝突され、頚椎腰椎捻挫となりました。通常であれば、相手の任意保険会社に治療費を出してもらい、通院。リハビリに励み完全復活を目指し、症状が残るようであれば後遺症の申請?といったところでしょうか。

 しかし、今回は相手が無保険のため、任意保険会社がありません。運よく?Aさんは業務中であったため、会社から労災適用を許可してもらい、通院を続けました。

 その後、Aさんの自賠責と労災で後遺症申請をサポートし、両方とも14級が認定されました。危ういポイントがいくつもあったのですが、なんとか第一段階突破です。Aさんは仕事以外で車を使わない為、保険には加入していませんでした。幸い会社の保険があったので、上司を説得して、なんとか保険を使わせてもらえることになりました。「よかったぁ、これで無保険車傷害特約を使ってAさんにも慰謝料等がたくさん入り、いい解決になるなぁ。」と安心して弁護士さんにAさんをご紹介したのですが…。

 後日、弁護士さんから連絡がありました。「Aさんの件ですが、保険会社に確認したところ今回は無保険車傷害特約が使えないみたいですよ。」弁護士さんから資料をいただき、加入保険内容と約款を精査することに。なんと会社の保険には「傷害従業員就業中対象外特約」!!に加入していたのです。すぐにAさんに連絡して今回の報告をすると、「大事なときに使えない保険って意味あるのでしょうか。」・・確かにその通りです。本来であれば、人身傷害がない場合は「無保険車傷害特約」が付帯されているため、弊所も安心していたのですが、まさかこんな落とし穴が待っているとは…。

 しかし、気落ちしていてもしょうがありません。弁護士さん、Aさんと再度打合せを重ね、だめ元で加害者に直接請求をしてみることにしました。内容証明を打ち、しばらく様子を見ることに。すると1週間もしないうちに請求した金額を全額振り込んできたのです。弁護士さん曰く、「このようなことはあまり経験がない」との事でした。なにはともあれAさんは本件事故で満額の回収ができたので、Aさん、弁護士さんともに大満足の結果となりました。(請求額を満額払えるようであれば、任意保険に入ってくださいね。)  

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佐藤イラストsj年間120件の病院同行は伊達じゃない!    先日、依頼者とともに個人整形外科へ同行したときのことです。後遺障害診断書と今までに撮影したレントゲンを依頼したところ、後遺障害診断書はすんなりOK。しかし、画像については改めて医師面談の予約を取ってからでないと渡せないとの事でした。本来、患者さんの個人情報なので、本人が希望すればいいのではないか?と心の中で思いつつ、医師の指示に従い再度予約を取り、医師面談へ。  ところが、「今まで被害者側の調査員から画像を要求されたことがないし、今まで治療費を支払っていたのは保険会社だから、患者側に画像を出すことはできない。」と態度が急変してしまったのです。(前回、お邪魔したときは医師面談さえしてもらえれば画像は出せると仰っていたのに…。)

 そこで、今回の事情を説明すると、「保険会社の担当者に画像を提供していいか聞いてみて許可が出れば、出しますよ。」と態度が軟化しました。事務の女性も被害者請求の事が分かっていないだろうと思い、担当者への伝言をお願いし、待合室で待機することに。数分後に院長からお声が掛かり、「保険会社の許可が出たので今回は特別に画像を渡します。」と画像を頂く事が出来ました。

 もちろん患者さんに優しい病院や、医師もたくさんいらっしゃいますが、後遺障害申請に協力的な病院や医師はそうそういらっしゃいません。さらに保険会社とのやりとりも関係してきます。加害者は保険会社という大きな味方に守られていますが、被害者は一人で戦わなければならないのです。少しでも被害者の味方が増えるように、また被害者が一人で戦わずに済むような世の中になるといいですね。今後、交通事故で苦しむ被害者が少なくなるように、私も日々精進していきます。

 20070418  医師は診断書や画像の手配が面倒なのです・・特に保険会社がらみの患者は  

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 続いて、JA(農協)、マイカー共済(全労災)の共済2社、通販社を見てみましょう。    内容的には国内社のBタイプとほぼ同じです。しかし、家族限定に関しては特約を設定していない会社(ソニー、チューリヒ)もあります。年齢条件不適用特約はあくまでイレギュラーな救済措置です。約款のどこにあるのか、探すのに一苦労でした。  

会社名

約款

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 まずは国内社からです。

 各社、概ねBタイプを標準としています。富士火災、AIU、全労災は古いAタイプを残したまま?と思います。それぞれ、内容・条件の違いではなく、約款構成・説明の違いです。

 ※ 家族限定(本人・配偶者限定)では2つの場面が想定されます。2段書きとなっている約款は、上段「本人限定で新たに配偶者・子供が増えた場合、本人・配偶者限定で新たに子供が免許を取った場合に、異動手続き漏れを救済する特約」と、下段「家族から外れた運転者が事故を起こした場合を救済する特約」です。

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 ご存知の通り、任意保険には「年齢条件」があります。高い年代ほど割引率が増し、掛け金が安くなります。 しかし、契約時に定めた年齢条件に合致しない運転者が事故を起こした場合、原則、保険金はでません。しかし、自動車保険の性質上、事故でケガをさせた場合の賠償金には一定の救済措置があります。ケガをさせられた方は、相手が任意保険の年齢条件に違反したことなど無関係ですから、保険が効かなかったら大変です。

 おさらい ⇒ 年齢条件違反でも保険は使える?

 それでは、一覧表に入る前に、久々に「年齢条件不適用特約」について、各社の最新約款を確認してみましょう。目まぐるしく改定の進む約款ですが、この特約は落ちついた感がします。しばらく改定はないでしょう。右側に家族限定等の不適用特約も加えました。 表を見る前にA、Bの内容をおさらいします。   A:『年齢条件特約の不適用に関する特約』

1.「年齢条件に違反」して被保険自動車を運転して起した事故を補償します。 2.『対人賠償』と『対物賠償』のみ補償 3.「家族か否か」、「免許を取ってからの期間」などの条件はありません。 4.年齢条件に適合した本来負担すべき保険料と、実際に負担した保険料との差額に応じて保険金は減額されます。(全年齢と35歳未満不担保の掛金差はおよそ100:50なので、保険金も半分だけ払うイメージ) 5.最初から「記名被保険者・本人が年齢条件を満たしていない」契約の場合は、そもそも適用できません。   B:『運転免許取得者に対する「賠償損害」自動担保特約』

1.「新たに免許を取得した家族」が「年齢条件に違反」して被保険自動車を運転して起した事故を補償します。適用には保険会社の承認が必要です。 2.補償の対象となるのは、 ...

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 秋葉事務所では早期の症状固定を推奨しています。

 正確に言うなら、適切な時期での症状固定を逃さないよう、呼びかけています。もちろん、無理に治療途上で症状固定をすれば、後の治療費の目処が建たず、被害者に不利益が生じます。当然ですが、まず、医師の判断を土台に医学的見地から検討すべきでしょう。私達は不当に後遺障害等級を重くしようと画策しているわけではありません。つまり、すべての要素を総合して、適切な時期を被害者自ら決めるべきと思っています。

 周囲から誤解の声が生じないよう、以前から説明する必要があると思っていました。これを今年最後の投稿にします。    とくに機能障害(関節の可動域制限の場合)では・・ 

 症状・回復程度がプラトー、つまり言葉上、回復の限界を指しますが、より実情的には、症状が一進一退になった状態です。関節可動域でですと、骨折の場合は骨癒合後の機能回復訓練(つまり、リハビリ)を経たレベルでしょうか。この時点で症状固定を検討します。被害者はこれを漫然と徒過することなく、後遺障害の申請をすべきです。すみやかな症状固定は、自身の利益に叶うだけではなく、周囲から歓迎されるからです。   ① 回復期の適切な時期、それも早ければ、明瞭な画像や数値が出やすく、審査側は判定がしやすくなります。時間が長いほど症状がぼやけます。中途半端な回復の懸念だけではなく、既往症や新たな病気やケガ、加齢が影響するからです。

② 対応している保険会社も症状固定・等級申請→早期解決を歓迎します。よく誤解されますが、保険会社は後遺障害の軽重による支払い保険金の大小より、解決スピードを重んじます。後遺障害等級が重いことなど担当者の責任ではないからです。サラリーマンである彼らの評価は、後遺障害等級の程度より、案件の処理速度なのです。

③ なにより、被害者は後遺障害等級が下がれば賠償金が減ります。「治るまで治療費を払わせるんだ!」との気持ちはわかりますが、大抵、後遺障害の賠償金額より、その間の治療費が(一部の例外を除き)はるかに安いのです。賠償金を得た後、健康保険を使ってじっくり回復努力を続ける方が明らかに得です。    症状固定日を定めることは、最終的には「被害者の権利」と、私は考えています。   kansetu_1    近時に再手術が必要なケース、治療方針が大きく変更、新たな治療を試みるケース等、例外はあくまで例外です。慢性的な症状改善のための長期リハビリや東洋医学の施行、なんとなく経過観察、ましてや完全回復を目指す・・これらのために、症状固定日を先延ばしする必要はないと断じます。

 とくに、可動域制限は症状固定後も多くのケースで回復が進みます。逆に、リハビリをサボれば改善は逆戻りします。回復努力を怠れば廃用性拘縮(動かさないので曲がらなくなる)まっしぐらです。また将来、加齢と共に制限がぶり返すこともあります。将来の回復・悪化はあくまで予想に過ぎません。また、関節角度の計測ですらその時の調子の良し悪しで上下します。なぜか計測者の力の入れ具合?にも左右されます。この通り、可動域制限の計測数値自体、曖昧なものです。(等級の判定は計測された数値に見合った変形や転位、器質的損傷の残存等、画像所見が前提です。)

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山本さんイラストsjつづき   ① 関節部分を骨折している場合について

 より具体的にいえば、関節部分の(1)骨折後の骨の変形や(2)骨折後の癒合不全、(3)骨の転移、等が原因として関節の可動域が制限されることがあります。   (1) 関節部分の骨折があり、その後の骨の癒合がうまくいかず、変形してしまい、関節の動きが制限されてしまっても無理はない状態などをいいます。   (2) 靱帯が剥がれてしまい、骨折しただけでなく、靱帯のバネの働きによって骨が引っ張られてしまったことが原因で、骨の癒合がうまくいかないこともあります。 この癒合不全により、関節を動かす際にどこかで引っかかったりする場合があり、物理的に関節が動かなくなることがあります。   (3) 骨折後の骨の転移(骨がズレること)により、関節が曲がらなくなることがあります。     弊所やその他交通事故に詳しい法律事務所や行政書士事務所はこれら(1)~(3)についてを画像(XPやCT等)で確認します。 c_g_l_62  骨幹部が折れても関節に影響はなく、痛みで曲げられないことは初期にはあるかもしれませんが、痛みは徐々に引いていきますので、ある程度になりましたらリハビリをする必要があります。    そのリハビリをさぼってしまうと、痛みで体を動かさないで筋肉が拘縮してしまい、可動域に制限が生じることがあります。これを一般的に廃用性拘縮といいますが、廃用性の拘縮については、治療努力が認められず、また、頑張れば骨は問題ないので生涯にわたって治らない怪我ではないとみなされてしまう恐れがありますので、ご注意ください。  

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新たな請求漏れが起きる仕組みを解説します。まず、改定(搭乗者傷害が人身傷害に吸収される)前後の約款を比べてみましょう。

(前の記事:請求漏れの危険性①

25損J証券  損保ジャパン「ONE STEP」 平成25年証券

 搭乗者傷害が人身傷害に吸収された ↓

26損J証券  損保ジャパン「THE クルマの保険」 平成26年証券

さて、新約款では搭乗者傷害がなくなりました。それでも、人身傷害保険に含まれる特約として、事故で5日以上入通院した場合、旧搭乗者傷害保険の名残りである「部位症状別払い」に同じく、即時に定額の10万円or20万円が発生します(しかし、この改定で、骨折以上の重傷による高額保険金(最高100万円)が無くなってしまいました)。契約自動車に乗っている時のケガであれば、搭乗者傷害保険は相手からの賠償に関係なく支払われるので、代理店さんも習慣的に忘れることなく、請求の案内をします。 続きを読む »

自動車保険でありがちの請求漏れは、搭乗者傷害です。人身傷害保険が発売される前から多かったと思います。

25損J証券  損保ジャパン「ONE STEP」 平成25年証券

とくに、自動車対自動車の事故で負傷し、0:100で相手が一方的に悪く、相手の加入している任意保険会社から100%の賠償が得られた場合です。

この場合、相手から全額補償されたので、自分の保険を使わずに済んだ!、で済んでしまいがちです。しかし、搭乗者傷害保険は相手からの賠償金の支払いに関係なく、重複して支払われます。別個に自分が掛金を払って加入している傷害保険だからです。

その後、人身傷害特約(保険)の登場で、補償がダブることになりました。

契約車 搭乗中 他車 搭乗中 歩行中 自転車 他の交通機関 保険金 計算方法 重複 払い 人身傷害保険 〇 △ (特約で選択) △ (特約で選択) 実額 × 無保険車傷害 特約 〇 〇 〇 実額 × 自損事故特約 〇 〇 × 定額 × 搭乗者傷害保険 〇 × × 定額 〇

人身傷害の登場で、やや混乱しました。そこで、各社はここ数年の間、このダブりを解消するため、人身傷害の約款に、無保険車傷害と自損事故、搭乗者傷害を組み込む約款改定を進めてきました。

損保ジャパンも「旧ONE STEP」から「THE クルマの保険」に変更する際、細かな統合・修正を加えて約款をすっきりさせました。

しかし、冒頭の搭乗者傷害の請求漏れは無くならず、別の理由で加速したようです。理由は人身傷害が実額補償であることに端を発します。つまり、0:100事故で、相手からの賠償金にて被害の全額が回収できた場合は、多くの場合、人身傷害の支払いは発生しません。「自分の保険を使わずに済んで良かった」までは、いつものパターンです。しかし、以下の証券ではどうでしょう?

26損J証券

人身傷害の欄、「人身傷害 死亡・後遺障害 定額給付金」に注目して下さい。

これは、旧搭乗者傷害保険が吸収されたもの・・と理解している代理店さんが多いようです。私もそう理解していました。

この特約から最近、3件うっかり請求漏れする場面に出くわしました。ここに、歴戦の代理店さんですら気付かない落とし穴があったのです。

♪  I have a ...

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