他記事からの引用で恐縮ですが、損保会社の気になる新システムです。完全普及と言えそうなスマホを活用した新システムは、各分野で近々の課題となっています。弊所でも応用したシステムが望まれます。本格的な導入は無理としても、アイデアは参考にしたいものです。   「視界共有システム」の全国展開  ~迅速な損害調査でお客さまを全力でサポート!!~

 MS&ADインシュアランスグループのあいおいニッセイ同和損害保険株式会社(社長:金杉 恭三)は、ICT(Information and Communication Technology) を活用した商品・サービス強化の一環として、2016年度よりスマートフォンを活用した「視界共有システム」を、一部の提携修理工場との間でトライアル導入を進めてきました。6月より全国の修理工場へ対象範囲を拡大し、動画と音声によるリアルタイムな損害調査を実現し、これまで以上に迅速な対応でお客さまを全力でサポートしていきます。

1、「視界共有システム」導入の背景

 当社の損害サービス業務は、゛お待たせしないサービス゛、゛親身な対応゛、゛プロフェッショナルの安心゛を提供する「全力サポート宣言」を掲げ、サービスの向上に努めています。とりわけ、事故車両の見積業務の精度向上と修理期間短縮を目指して取り組んできました。  事故車両の損害調査は、技術アジャスター(物損事故調査員)が修理工場などに出向き損害を直接確認する方法、工場から伝送された静止画像にて確認する方法、または写真プリントで損傷を確認する方法を用いていますが、いずれの方法も損害確認・修理開始までに一定の時間を要していました。

2、リアルタイム損害調査を可能にした「視界共有システム」

 スマートフォンを活用した「視界共有システム」は、高品質な動画映像により、静止画像では確認が困難であった細かい線傷やパネルの歪みなどが確認でき、遠隔地の修理工場ともリアルタイムで修理内容の打合せ・決定が可能となります。その結果、修理工場はお客さまへ修理 内容・金額を早期に案内することができ、迅速な修理着工・納車や保険金支払いが可能となりました。

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受傷機転とは、簡単に言えば、どんな事故だったのか、ということです。

自動車同士の事故だったのか、オートバイと自動車との衝突事故だったのか、歩行者がオートバイにはねられたという事故だったのか、自動車運転中に追突されたのか等、被害者(相談者)がどこで、どのように衝撃を受けて、どんな怪我を負ったのか、を相談者から確認します。

何故なら、自賠責の後遺障害等級申請手続きや保険手続きだけでなく、弁護士が相手方保険会社に請求するときにも極めて重要な情報になるからです。

過去の例をあげていきたいと思います。

(1)交通事故で肩腱板を損傷しました、という相談者がおりました。 診断書には肩腱板損傷とありますが、画像所見が明確ではありませんでした。受傷機転を確認すると、自動車運転中、後ろから相手方自動車が追突してきたというものでした。肩に直接衝撃を受けたわけではなかったのです。 通常、交通事故の強い衝撃で肩腱板を損傷するような場合、受傷直後は激痛で動けなかったり、MRIで明確な水分反応があったりする等、損傷箇所が素人でもわかります。また逆を言えば、それだけの強い衝撃が肩になければ、通常、事故によって損傷することはありえないのです。通常、自動車乗車中に追突されたようなレベルの衝撃では、完全に損傷することはないといえます。よって、受傷機転から、その相談者には自賠責等級の認定は厳しい旨伝えました。 その後、後遺障害等級を被害者請求で申請したようですが、案の定、非該当となりました。

(2)膝の靱帯を損傷しました、という相談者がおりました。 画像上、靱帯損傷が認められそうでしたが、診断名が上がったのが事故から何カ月も経過してからでした。保険会社も治療費をこれ以上出すのが厳しいという対応で、症状固定はやむを得なかった状況でした。 他方、受傷機転を確認したところ、オートバイ運転中に大型トラックが衝突してきたというもので、はねられた後、相談者は身を投げ出されてアスファルトに激突の上、ガードレールにあたってひどい痛みを発症したそうです。相談者はすぐに救急搬送されました。 事故の衝撃から、靱帯損傷をしても無理はない事故状況であったことから、必要な検査を十分にした上で、後遺障害等級申請をして、ギリギリ、等級が認定されました。

これらのことからいえるのは、受傷機転は怪我や症状の確認の基本と言えることです。

受傷機転で発症した症状とその原因をしっかり説明が出来なければ、どんな素晴らしい(?)診断名があったとしても、自賠責調査事務所は診断名を疑い、症状を疑ってきます。他方で、画像所見が明確であったとしても、受傷機転からそのような怪我をするはずがないと判断されてしまうと、事故と怪我との因果関係を疑ってきます(実際に、事故以外の怪我であったことが判明したケースもあります)。

当たり前といえば当たり前の話だと思われますが、どんな時であっても基本(常識)を忘れるようなことがあってはならないということでしょうか。

 

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交通事故で肩腱板を損傷しました、膝の半月板が損傷しました等、過去に様々な相談がきました。

相談会では診断書だけでなく、画像も可能であれば持参して頂いて、総合的に判断します。

ここで注意が必要になるのが、まず、診断書に明確に診断名がない場合とある場合とがあることです。例えば、相談者は骨折したと主張していますが、診断書上では「不全骨折」や「骨挫傷」とあるだけ、もっと酷ければ「骨折の疑い」とされている状態で、完全に骨折したと主張してくる相談者もおりました。

医師が明確に診断できない場合もありますが、実際に明確な所見がない場合もあります。保険手続き上の観点でしか確認することはできませんが、念の為、画像も確認させて頂くようにしています。

他方で、明確に診断名がある場合でも、画像を確認すると、明確でない場合もあります(実際に病院同行して確認すると、医師の方から明確ではない、次回に書く診断書に「疑い」と記入したりすることもありました)。

明確な診断ができる場合とできない場合があることはよくあることですが、交通事故被害者にとっては心配の種です。その場合、専門医に診て頂き、診断名を確定した上で治療方針を相談されるのが理想です。

画像を診て診断できるのは医師のみです。あくまで診断等はせず、保険手続き上の観点で画像上、所見が明確はどうかを判断することがあります。何故なら、交通事故の場合、後遺障害等級の判断に直接影響があるからです。

しかし、今まで見た画像の中には画像所見が不明確な場合も多く、専門医でないとわからないようなことがありました。

それでは、そのような場合、他に判断材料はないのかという問題になってしまいますが、私たちは診断書や画像の他に、もう一つ注目することがあります。それが表題に上がっている「受傷機転」です。  

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 東京オリンピックを前に、事務所周辺のホテル建設ラッシュはすさまじいものがあります。既に事務所から半径500m以内に軽く20軒のホテルがありますが、まだまだ足りないようです。そこで、近年注目されている民泊すが、法整備も進みましたので、次いで新しい保険の開発となりました。以下、概要がわかりましたので、周辺知識として書き留めておきたいと思います。

 

MS&ADインシュアランス グループのあいおいニッセイ同和損害保険株式会社(社長:金杉 恭三)は、2018年6月の住宅宿泊事業法(以下、民泊新法)施行を踏まえ、民泊事業に伴うリスクに対応すべく、民泊事業者向け商品を発売します(2018年6月15日以降保険始期契約より)。   1、背景

・近年、外国人観光客の急増に伴う宿泊施設の不足等を背景に、民泊事業への期待が高まっています。

・法制度面でも、民泊新法施行により、旅館業法の許可を取得していない事業者についても、一定条件を満たすことで民泊事業(住宅宿泊事業)を営むことが可能となりマーケットの拡大が予想されます。

・一方で、事業リスクへの対応の必要性も増していくものと思われることから、民泊事業者(ホスト)と宿泊者(ゲスト)のリスクに対応した「民泊事業者向け商品」を開発し、販売を開始しました。    2、商品改定の概要

民泊新法に基づく「住宅宿泊事業者」向けのプランと旅館業法の許可が必要となる「簡易宿泊事業者」向けのプランを用意しました。

対象商品

施設所有(管理)者賠償責任保険(住宅宿泊事業者向け)   旅館賠償責任保険(簡易宿所事業者向け)   商品概要

住宅宿泊事業者・簡易宿所事業者を対象とした保険で、損害賠償責任とそれに伴う費用をカバーする商品です。    この保険は、施設賠償責任保険が元になっています。簡単に言いますと、受け入れ側の不手際で、宿泊客に損害を与えてしまった場合、その賠償金を肩代わりする保険です。従来からの宿泊施設の専用商品として、旅館賠償責任保険もあります。一般住宅への宿泊、いわゆる民泊は施設賠の特約に、簡易宿泊施設には従来の旅館賠の特約でカバーするようです。   

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 朝5時からレジュメをまとめ、午前のうちに東京駅を出発、現地で代理店さんと打合せ後、相談者さま1名を経て、セミナー突入。今回は久々に人身傷害の約款22社比較。

 ここ数年は約款改定のペースが速く、ほとんど不定期に変化があります。今回も老眼の進行も顧みず、22社の約款に目を通しました。やはりと言うか、1年前の内容から変わっている会社がありました。約款をテーマにした講義では、このようなチェックは欠かせません。油断のならない作業となります。その変化については、非常にマニアックですので、またの機会に解説したいと思います。

 とくに時間を割いた会社はAIGです。今年からAIUと富士火災が合併しましたが、自動車保険の約款は概ね富士火災を踏襲しています。とくに、人身傷害の支払基準上、人傷先行のケースは、三井住友、あいおいニッセイ同和に同じく、「過失分限定払い」となっています。また、賠償先行のケースでは、相手から賠償金を獲得後、自己の過失分を自身加入の人身傷害保険に請求する場合、その損害総額の算定に当たって、裁判上の判決・和解で決まった額であれば、それを損害総額とみなす、損J日興タイプの約款を組み込んでいます。悪い事と良い事を併用していますが、最終的にもめた場合、契約者との協議、それでもダメなら自社との裁判ですから、居直り約款の域を出ていません。だいだい、明確な基準を示すべき約款が、「自社基準が嫌なら話し合いで決めましょう、それでもだめなら訴えて」・・・おかしな話です。約款ですから、単に基準を示すだけで良いのに、もめることを予定したような書きよう・・・なにか後ろめたさを自覚しているのでしょうか。

 今後も適時、約款チェックを続けていかねばなりません。事故が起きてから加入していた保険にがっかりさせられる・・これだけ約款が複雑になれば、契約前のパンフレットや代理店さんの説明が追いつきませんので、仕方のない現象かもしれません。それでも、交通事故のプロを自称する以上、常に約款ウォッチャーでなければなりません。  

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 ご存知の通り、西日本は未曾有の大雨によって、歴史的災害となってしまいました。火災保険でも、総合タイプは水害による家屋浸水は保険支払いの対象です。気になる記事を見つけたので、取り上げます。

 火災保険の掛金は全国一律ではありません。地域によって料率が定められており、住んでいる場所によって掛金が違ってきます。過去の災害記録からでしょうか、崖や扇状地など、都市部では住宅密集地が高いように思います。このような大雨災害が続けは・・料率の見直しが進み、又は引き受け禁止地区もあり得ます。

 さらに、土砂災害は雨とは限りません。地震や地盤面の変動・・・地震によるものであれば、地震保険に加入していなければなりません。雨や地震以外、自然に起こる地盤面の陥没や崩落には、対応する保険がありません。

 日本列島は危険な所なのだと実感します。外資系の保険会社が、(通販であれだけ自動車保険を売りながら)火災保険に参入しない理由の一つと言われています。      日本は災害大国。至る所に断層が走り、全国に約66万区域もの土砂災害警戒区域があり、地震や豪雨による災害がほぼ毎年、各地で起きています。7月、西日本は記録的な豪雨に見舞われ、土砂災害や浸水などの被害が相次ぎました。先々も安心して暮らすには、居住地の災害リスクを軽視できません。

 しかし、損害保険料率算出機構の調査によると、住まい取得時の立地条件について、4割の人は交通の便や通勤時間を、2割の人は価格を最も優先すると答えました。一方、災害リスクの低さを優先するとした人は僅かで、地震や火山などのリスクは7%強、洪水など風水害のリスクに至っては1%強の人しか優先するとしていません。

 土砂災害から国民の生命・身体を保護するため、国は2001年に土砂災害防止法を施行しています。同法による「警戒区域」の指定は、土砂災害が起こる区域を事前に示し、被害を防止するためにあります。自治体は土砂災害が起こり得る危険箇所のうち、住民などの生命・身体に危害が生じる恐れがある区域を「土砂災害警戒区域(イエローゾーン)」に指定し、ハザードマップなどでの危険周知や、避難体制などの必要な措置を講じることになっています。

 さらに、著しい危害が生じる恐れがある区域は「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」と定め、特定の開発行為を規制したり、移転勧告などの措置を講じたりすることとなります。

 しかし、イエローゾーン・レッドゾーン共に、住宅の新築は禁止されていません。こうした危険な地域でも火災保険や地震保険には加入できますし、一定の損害については保険金を受け取れます。

 豪雨や融雪洪水などを原因とする災害は「水災」として補償されます。例えば、14年の広島土砂災害の土石流は豪雨が、17年の九州北部豪雨災害は台風が原因の水災ですから、火災保険に水災の補償が含まれていれば補償対象です。16年の熊本地震では土砂崩れが起きましたが、こちらは地震保険の契約があれば補償を受けられます。

 一方、18年4月に起きた大分県中津市の土砂災害。こちらは豪雨や地震ではなく、地質が原因で起きた災害とみられています。この場合、火災保険・地震保険のいずれからも補償が受けられません。「不測かつ突発的な事故(破損・汚損)」を補償する火災保険もありますが、「土地の沈下・隆起・移動などに起因する損害」は対象外であり、保険でカバーされません。

 危険箇所でも住宅は建てられますし、火災保険にも加入できます。しかし保険金を受け取れない災害なら、被災後の経済的ダメージが相当深刻になることは言うまでもありません。自然災害が頻発する今、住まいの立地選択にはより慎重であるべきでしょう

(清水香さま記事 日経マネー2018年8月号の記事から引用しました)  

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 近年、台風以外の大雨での災害が増えたように思います。都市部ではゲリラ豪雨、山間部では雨で地盤が緩んだ土砂崩れなど、雨による保険支払は地震災害を凌ぐとさえ言われています。

 古い記事で恐縮ですが、損保商品の水害補償を復習したいと思います。基本は以下の通りですが、新商品では支払基準や新しい特約で、内容が違っている可能性があります。記事を鵜呑みにせず、必ず約款を確認し、担当者に問い合わせて下さい。(交通事故以外にはなかなか手が回りませんので・・・)

 

火災保険の風水害支払

地震や津波、噴火は別途、地震保険に加入する必要があります。台風の被害も自然災害ですが、普通の火災保険でもカバーされます。住宅火災保険、普通火災保険、団地保険などでは風災は補償されますが水災の補償は付帯していません。「風災」「水害」共に補償しているのは住宅総合保険、店舗総合、住宅金融公庫特約火災保険、債権保全火災保険(ローンを組む時に強制的に加入された火災保険)などです。

1、(旧約款)「水害」は以下のどちからで支払われます。

(ア)保険金額(再調達価額)の30%以上の損害生じた場合、実損額。

(イ)床上浸水もしくは地盤面から45cmを超える浸水の場合、保険金額の5%。

例・・・建物を1000万円評価で契約した場合、(ア)修理費実額、(イ)50万円となります。

※ (ア)の実損額、(イ)の5%の部分は最近明記していない会社が多いです。恐らく災害規模に応じて流動的な運用部分かもしれません。   2、(新約款) 損保ジャパン日本興亜 個人用火災総合保険『THE すまいの保険』の場合

● 建物

台風や豪雨等によって洪水(こうずい)となり、家屋が流されたり(建物の協定再調達価額の30%以上の損害*)、居住部分が床上浸水したことにより建物が損害を受けた場合に、保険金をお支払いします。

次の算式により算出した額とします。ただし、火災保険の保険金額を限度とします。    損害額*1-自己負担額*2=損害保険金*3   * 1 損害額とは、協定再調達価額を基準として算出し、保険の対象を事故発生直前の状態に復旧するために必要な費用をいいます。(協定再調達価額限度)

* 2 建物を復旧できない場合または建物の損害の額が協定再調達価額に達した場合は、自己負担額を差し引かず、協定再調達価額を損害保険金としてお支払いします。ただし、火災保険の保険金額を限度とします。

* 3 セットされる特約によっては、上記とお支払いする損害保険金の額や支払限度額が異なります。

● 家財

台風や豪雨等によって洪水(こうずい)となり、家財が流されたり(家財の再調達価額の30%以上の損害*)、保険の対象である家財を収容する建物の居住部分が床上浸水したことにより家財が損害を受けた場合に、保険金をお支払いします。

次の算式により算出した額とします。ただし、火災保険の保険金額を限度とします。    損害額*1-自己負担額=損害保険金*2   * 1 損害額とは、再調達価額を基準として算出し、保険の対象を事故発生直前の状態に復旧するために必要な費用をいいます。(再調達価額限度) ただし、明記物件の場合は時価額を基準に算出します。

* 2 セットされる特約によっては、上記とお支払いする損害保険金の額や支払限度額が異なります。   ★ 「雨による」土砂崩れは「水害」として対象となります。雨以外の土砂崩れは、「土地の沈下・隆起・移動などに起因する損害」で免責となります。

★ 「津波」による水害は、地震保険の補償範囲になります。     

自動車保険(車両保険)

一般条件、エコノミー+A特約、共に風水災による被害(風で看板が飛んできてフロントガラスが割れた、ドアを開けた際にあおられドアが壊れた等々)、大雨や洪水の水没(修理費や清掃費)について保険金がおります。

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 1年に2~3件は、審査を間違えたような認定に出くわします。それは、実態よりも軽く判断されることだけではなく、重めの等級が付いてしまうことも含みます。秋葉事務所でも、疑問の残る認定を今年上半期で既に3件カウントしています。

 もちろん、自賠責も労災も厳密な基準が存在し、また、微妙な案件については、自賠責は専門部会があり、13級以上の認定となれば、全件ではないようですが、上部審査を仰ぐことになります。この内部的な基準や審査過程は非公表なので、推察するしかありません。労災は顧問医の診断がありますので、書面審査を原則とする自賠責に比べて、やや安心感をもっています。

 冒頭に戻りますが、明らかな骨折等の器質的損傷があれば、明確な基準に当てはめやすいと思います。しかし、頚椎捻挫などによる神経症状は、客観的な数値がありませんので、症状の一貫性など、全体的に信憑性を判断します。しかし、これもどちらともいえない微妙な判断を強いられる案件もあるはずです。その場合、やはり、審査員の裁量如何になってしまうと思います。年間5万件ほどの14級9号認定に、より精密な調査・審査をすることに限界があります。これ以上、多くの人員や時間を割く事は不可能だと思います。恐らく、14級9号が一番、審査員によって、判断がぶれると思っています。

 その他、鎖骨の変形の判断も、やはり、基準は明確な左右差としていながら、微妙な差の場合は、判断する人の主観に委ねられます。醜状痕なども、○cm以上との基準がありますが、前提として「目立つか否か」を検討しますので、審査側の判断や面接官(1名ではなく、2名となっていますが)の主観で分かれることが少なからずありました。

 高次脳機能障害の等級判定も、専門的な審査会の合議を経ていますが、障害の実像を1、2、3、5、7、9の6段階で判別することは決して簡単ではないと思います。診断書はじめ、各種検査データ等、提出書類の充実が明暗を分けます。しかしながら、これら書類は自動的に集まるものではなく、医師も完全に把握していません。審査側も、審査上欠かせない書類は追加要請してくれますが、親切に提出すべき書類を教えてくれるわけではありません。したがって、主張していないこと=書面化していない障害は「存在しない」ことになります。ですから、私達のような業者が必要であるとアピールしています。個人的には、自賠責側が被害者さんとご家族に面接する必要性を感じていますが、これも、人的・時間的に不可能でしょう。

 人が審査する以上、このようなジャッジのぶれは仕方ないと言えます。ただし、その結果、数十万~数百万円の賠償金をほとんど決定してしまう、自賠責・後遺障害等級の怖さがあります。この分野のプロを名乗る以上、しっかり証拠や主張を揃え、審査側のぶれを少なくする努力をしていきたいと思います。   

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  本日は久々に、都内北部の損保代理店さま向けのセミナーでした。いつも相談を頂いているお馴染みの代理店さまだけではなく、全くの新顔の皆様も参加され、活発にご質問を頂きました。

 

 交通事故は身近なトラブルではありますが、近年の権利意識の向上によって、様々な民事トラブルが起きています。それは、代理店様の経験・相談内容から垣間見ることができます。例えば、昨日の相談ケースでは、公園で犬の散歩中、犬が急に吠えたことに驚いて転倒した高齢者の事故がありました。

この場合、真っ先に浮かぶ保険は、飼い主(加害者)側の個人賠償責任保険です。これは日常生活において、第3者に損害を与えた場合、その賠償金を肩代わりしてくれる保険です(超簡単に説明)。

 被害者側は、まず、各種傷害保険の加入を探します。共済も含め、通院1日あたり○○円と通院補償があります。

 さらに、相手との賠償交渉で弁護士費用特約が強い味方となります。自動車保険の弁護士費用特約でも、三井住友さん、あいおいさん、AIGさん、ソニーさんの場合、「日常型」であれば、このような事故でも対応できます。東京海上日動さんは”超保険”にて「日常型」が選択できます。チャブさんはすべて「日常型」ですし、プリベント小額短期保険はより広い範囲で活用できます。この補償の違いを、すらすら言える人が専門家ではないかと思います。

 

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 公的年金加入者で、障害を負った方に支給される障害年金、これは年金が単なる貯金ではなく、保険を兼ね備えたすぐれた制度であることを示しています。

 近年、支給者が増加しており、特に若年層の精神障害が増えているそうです。障害年金の手続きを扱う社労士の先生からも、その傾向を聞きました。身体の障害は、車イスの使用など、割と外見上はっきりしています。比して、精神障害は、その程度は外見からではわかりづらいものです。もちろん、専門医の診断なくして障害認定はありませんが、本人の訴え=自覚症状が出発点です。心療内科の医師は、仮に、患者本人が大げさな症状を訴えても、無下に否定はしません。患者の声に耳をかたむけることが治療の前提だからです。もしかすると、医師を欺き、大げさに装うことが成功するかもしれません。生活保護も含め、公的な補助制度はある意味、詐病者の温床との指摘もあります。

 かつて、相談会に参加した、精神障害2級の被害者さんは、どうみても、それほど重くは見えませんでした。しかし、心療内科の医師が書いた診断書は2級相当、就労不能の内容でした。「えっ、そんなに重いの?」、私は専門医ではないので、単なる素人見立てかもしれませんが・・。この方、2級ながら、その支給金でパチンコはじめギャンブルに勤しみ、ドライブが趣味で海外旅行も行き、ナンパをして飲み歩きもしています。ただし、月に1回はフラフラになって心療内科に通っています。医師の前で「夜、眠れません」「幻覚が・・」と言うそうです。 今度は(軽微なケガの)交通事故で賠償金請求の相談です。

 本当に障害者なのでしょうか?

 以下の毎日新聞の記事を見て、まず、ターゲットは弱年層の精神障害認定者ではないかと思いました。詐病者は論外としても、若年層は比較的、回復しやすく、薬やカウンセリングで、就労・日常生活が可能な患者も多いはずです。  

障害年金 1000人打ち切りか 審査集約、戸惑う受給者

<5/29(火)毎日新聞 記事より抜粋>

 日本年金機構が障害基礎年金の受給者約1000人余りに対し、障害の程度が軽いと判断して支給打ち切りを検討していることが判明した。対象者には、特例的に1年間の受け取り継続を認めつつ、今年度中に改めて支給の可否を審査するとの通知が届いている。都道府県単位だった審査手続きが全国で一元化された影響とみられるが、受給者の間には「症状は改善していないのに困る」と戸惑いが広がっている。

 障害基礎年金は、20歳前から難病を抱える人や、国民年金加入者が障害を負った場合などに、年80万円程度を下限に支払われる。機構や関係者によると、通知を受け取ったのは1010人で、いずれも20歳前から障害がある成人という。

 1010人は2017年、症状に応じ数年おきに必要な更新時期を迎え、医師の診断書を提出した。機構は同年12月~今年1月、「障害基礎年金を受給できる障害の程度にあると判断できなかった」との審査結果を通知。ただし17年度は支給を続け、18年度に改めて審査した上で「診断書の内容が同様なら支給停止になることもある」と示した。

 1000人規模の支給打ち切りが過去にあったかどうか、機構は「データがない」と明らかにしていないが、経過措置を設ける通知を出したのは初めてという。厚生労働省幹部は「影響の大きさを考慮した激変緩和の意味もある。審査をし直した結果、継続が認められる可能性もある」と話す。

 背景にあるのは審査手続きの変更だ。以前は都道府県ごとにあった機構の事務センターが認定業務を担当し、それぞれ地域の医師が診断書をもとに審査していた。しかし、不認定の割合に地域差があると問題視され、機構は17年4月に認定業務を東京の障害年金センターに集約。審査する医師も変わった結果、不認定の割合が増えたという。

 機構の担当者は「審査業務の変更という特別な事情を考慮し、今回の診断書だけで障害の程度を判断するのは適切でないと考えた。対応は妥当だ」と説明する。【原田啓之】

   障害基礎年金・・・20歳前や国民年金の加入時などに病気やけがで障害を負った人に支給される年金。障害の程度によって1、2級に区分される。年間支給額は1級が約97万円、2級が約78万円で、子どもがいれば人数に応じた加算がある。受給者は2017年3月末時点で約184万人。初診時に会社勤めなどで厚生年金に入っていた人には、等級区分が異なる「障害厚生年金」が支給される。  

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 健康保険を利用した場合、その自己負担額(1~3割の窓口負担)が高額になった場合、月毎の限度額を超えた分の払い戻しができます。お馴染みの精度ですが、その限度額を一目で確認できる忘備録が必要と思いました。業務日誌にUPしておきたいと思います。詳しくは、全国協会健保のHPをご覧下さい。内容は社保(協会・組合)、国保も概ね同じです。   (1)手続きの流れ

1、治療費の支払

2、高額療養費支給申請書の提出⇒(協会けんぽ、組合健保の会社、国保は市町村の窓口)

3、審査=医療機関から提出される診療報酬明細書から検討します。審査期間はおよそ3ヶ月が目安です。

4、払い戻しまで時間を要するため、医療費の支払いに充てる資金として、高額療養費支給見込額の8割相当額を無利子で貸付してくれる「高額医療費貸付制度」があります。   (2)必要書類

・健康保険高額療養費支給申請書

・マイナンバーによる課税情報等の確認申出書(診療月が平成29年7月以前分については、マイナンバーの情報連携が利用できないため、添付不要)

・マイナンバーカードのコピー(表裏)・・・マイナンバーによる情報連携を希望する場合。自己負担限度額の所得区分が低所得者になる方。

<ケガの場合>

・負傷原因届

<第3者によるケガの場合>

・第三者行為による傷病届

<その他>

・公的制度から医療費の助成を受け、窓口負担が軽減されている方は、助成を受けた医療機関の領収書

・亡くなった方の医療費を相続人が請求する場合は、亡くなった方と相続人の続柄がわかる「戸籍謄本」。

・その他書類の提出要請が必要な場合があります。   (3)限度額の表

70歳未満の方(平成27年1月診療分から )

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 また新しい保険が開発されました。<朝日新聞4月の記事より>    独り暮らしの高齢者が誰にもみとられず自宅で亡くなる「孤独死」。賃貸住宅で亡くなった場合、大家がスムーズに対応できるよう必要な費用を補償する保険商品が増えてきた。超高齢化社会で家を貸す側も居住者の「もしも」に備える必要が高まっているようだ。

 損保ジャパン日本興亜は6月から、火災保険とセットで「孤独死」に対応した保険を売り出す。居住者が亡くなった後の部屋の清掃や修復、遺品整理や見舞金など、オーナーに必要になる費用を補填する。その後、空室が続いた場合の家賃も1年間まで補償する。出費や損失補償額を各100万円までとした場合、保険料は年2万5000円。

 三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は、同様の商品を共同開発し2015年10月に発売。今年2月末時点で、両社で計1万2千件の契約があった。「高齢化の伴う突発的な事態に備えたいとのオーナーのニーズは高まっている(三井住友海上)。こうした保険が広がることで、独り暮らしの高齢者が賃貸住宅に入居しやすくなることも期待される。

 東京都監察医務院によると、東京23区内の65歳以上の単身世帯の人が自宅で亡くなり、死因がはっきりしない孤独死は2016年で3175人。10年前より焼く1300人増えた。

 以前から「家賃補償保険」がありました。これは、空き室の家賃収入減のリスクを回避するため、アパートオーナーに勧める商品でした。しかし、掛金が高いのか、あまり売れた印象を持っていません。社会的なニーズに今ひとつ・・だったのかも知れません。この保険が、現在の社会問題に即応した特約をつけて新しく生まれ変わった印象です。

 現在、高齢者社会の進行と共に、若い人の自動車保険や働き盛りの医療・傷害保険などは当然に契約数が減少しています。逆に、新しいニーズとして高齢化のリスクに対応する商品が続々と開発されています。この保険も、「高齢独居者の入居増加に対する貸主のニーズ」から生まれたものです。オーナーは若い人ならともかく、独り暮らしの高齢者の入居は、病気や孤独死の問題が想定され、敬遠したいものです。この保険の普及によって、「高齢独居者の入居問題」の緩和に期待がかかります。  

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 前日の解説から、給与額・勤務日、その対比がはっきりしていれば、(b)方式=「休日を差し引いた勤務日数で月給を割って、日額を算定する」ことが正しい算定となります。それでは、アルバイト・パート・日雇い労働者の場合を続けます。

  (2)日雇い労働者やアルバイトについても、労働契約上、実際に労働した時間に応じた金額の給与が支給されることになっているはずですので、適切な証拠があれば、事故前に実際に労働した単位時間(実労働日1日)当たりの基礎収入を算定することが可能です。

 そして、労働契約上、各週・月のどの日に勤務するかが概ね決まっている者(アルバイトにはそのような者が相当数いると思われます。)については、事故に遭わなかった場合、どの日に労働していたかを認定することがきるため、(b)の計算方法で休業損害を算定することができます。このような場合に、被害者側が(b)の計算方法で算定した休業損害を請求しているにもかかわらず、(c)の計算方法を採用することは、休業損害を過少に認定することになるので、適切とはいえません。    他方、日雇労働者は、通常、短期の契約を予定していて、事故の発生の時点で、将来どの日に労働するかが決まってないことが多いと思われます。

 また、アルバイトにも、労働契約上、各週・月のどの日のどの時間に勤務するかが決まっていない者もいます。このような給与所得者についいては、事故に遭わなかった場合、どの日に労働をしていたかを認定することが困難であり、(b)の計算方法で休業損害を算定することはできません。

 しかし、通院などによって、事故に遭わなかった場合と比較して、その分の労働の機会を失い、現実の減収が生じたとみることができますので、休日を含んだ一定期間の給与の平均日額を基礎収入とし、これに通院日等を乗じる方法((c)の計算方法)で休業損害を算定することになると考えられます 。  

 アルバイトについては、時給が定められており、勤務日(シフト)もある程度固定していれば、以前から保険会社も(b)方式で算定してくれました。日雇いも同じく、計算が易しいものです。しかし、今回の解説を読むと、証拠が必要であると読み取れます。保険会社に(b)方式で請求をすれば、勤務予定表や過去の勤務表なども必要になるかもしれません。

 保険会社は常に”払い過ぎ”に臆病な生き物です。細かい立証を待たず、(c)方式での支払が無難なのでしょう。そもそも、休業損害の支払いは、被害者の差し迫った損害に対し、急いで対応するものです。したがって、案件の性質に合わせて柔軟に算定方式を使い分けることはもちろん、まずは(c)方式での支払いを受けて、最終的な賠償交渉で、立証書類を基に(b)方式に算定し直し、不足分の追加請求も有かと思います。

 総括しますと、判で押したように「事故前の3ヶ月を90日で割って、日額を算定する」方式は、もはや、スタンダードではない。ただし、「休日を差し引いた実勤務日数から、日額を算定する」方式は、それを裏付ける書類が必要であること。また、実勤務日数と対応する給与が明らかではない場合や、急場しのぎでは、「事故前の3ヶ月を90日で割って、日額を算定する」方式もあり得る、と言う所でしょうか。    

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 今年の『損害賠償算定基準2018・下巻』(いわゆる赤本)引用、 武富 一晃 裁判官 の解説を続けます。   (2)以下、どのような場合にどの計算方法を用いるべきか、給与所得者が継続して完全休業する場合と給与所得者が就労しながら一定の頻度で通院を行っている場合に分けて検討していきます。   給与所得者が継続して完全休業する場合

 休業損害は、事故による受傷を原因とする休業のために支給を受けられなかった減収分(差額)について認められるところ、労働契約上、勤務時間等が定まっていて、実際に労働した時間に応じた金額の給与が支給されている給与所得者については、休業損害を正確に算定するため、計算方法 ②で収入日額を算定し、これに実際の休業日数を乗じる方法((b)の計算方法)によるべきという考え方もあり得ます。

 しかし、完全休業の期間がある程度長期の場合には、(a)、(b)の計算方法のいずれを採用しても、結論に大きな差は出ません。また、休業損害は、事故後も事故前と同様に勤務を続けたという仮定的な状況において得られたはずの給与と現実に得た給与の差額を算定するものであること、給与は、基本給のほか、時間外・休日・深夜労働の割増賃金や歩合給を含む諸手当の金額、時間外労働や休日労働を含む実際の労働時間によって決まるものであって、同じ労働契約のもとでも、金額が期間ごとに変動することから、その性質上、厳密な意味で正確な休業損害を算定することはできません。

 したがって、ある程度長い期間継続して完全休業する場合には、(a)(b)の計算方法のいずれかを採用してもよいと考えられます。実務上、(a)の計算方法が採用されることが少なくないのは、このような事情によるものと思われます。 続きを読む »

 (今まで保険会社が判で押したように提示してきた)休業損害の計算方法について、以前から議論がありました。ついにと言うべきか、今年の『損害賠償算定基準2018・下巻』(いわゆる赤本)において、具体的な見解が示されました。今後の交通事故賠償のスタンダードになりうる算定基準と思います。連携弁護士K先生から、早速のご指摘がありましたので、同本より抜粋して勉強したいと思います。    まず、問題点を簡単に説明します。

○ 保険会社が用いる、休業損害の計算方法とは・・

 事故がおきた日の前の月、前々月、その前月、の3ヶ月間の給与を合算し、それを90日で割った金額を「休業日額」とします。これに、実際に事故で休んだ日を乗じます。

(例)会社員の山本さんは追突事故でむち打ちになり、大事をとって、翌日から会社を3日休みました。その後も、週2回の通院の日は会社を休みました。2ケ月後に完治して示談となりました。会社を休んだ日は合計で15日でした。  会社で書いてもらった休業損害証明書を保険会社に提出したところ、計算・提示してきた休業損害の計算式は以下の通りです。尚、山本さんの給与額ですが、ここしばらく毎月25万円でした。   25万円×3ヶ月=75万円 ÷ 90日 = 8333円(日額)× 15日(休んだ日)= 124995円     山本さんは、そんなものかなぁと印鑑を押しましたが。どうも釈然としません。なぜなら、日額の計算は、完全にお休みとなっている土日も含んでいます。本来、25万の月給は、土日を除いた週20日前後の業務に対しての賃金です。事故前の3ヶ月の出勤日は祭日もありますので、それをひくと(20日、22日、21日)でした。したがって、   25万円×3ヶ月=75万円 ÷ (20日+22日+21日=63日) =11904円(日額)× 15日(休んだ日)= 178560円     保険会社の計算に比べ、約5万円も高いのです。これが正当な計算ではないかと・・・    これら計算方法による金額の違いが、長らく議論となっていました。     ここで、最新の裁判官の解説を見てみましょう。

 

給与所得者の休業損害を算定する上での問題点

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 通勤災害のレアケースについて、実例から検証します。  

(Q)電車内で喫煙している高校生に注意し、暴行を受けた場合は通勤災害はおりる?     (A)正義感からの行動ですが、残念ながら通勤災害の認定は困難となります。    労災保険法7条では、

 通勤災害とは・・・「労働者の通勤による負傷、障害または死亡を言い、」

 通勤によるとは・・・「通勤と相当因果関係があること、つまり通勤に通常伴う危険が具体化したこと、」

 このように難解な定義をクリアしなければなりません。

 本件の場合、被災者の故意によって生じた災害、通勤の途中で怨恨をもって喧嘩を仕掛け、負傷した場合は、通勤していることが原因となって災害が発生したものではないので、通勤災害とは認められないとしています。通勤中ではありますが、通勤とは関係ない揉め事によるケガになるのです。

 ところが、車で出勤途中の労働者が、犬を轢きそうになって犬の飼主に暴行された事例は、通勤災害が認められています。

 「自動車で通勤する労働者が、通勤の途中で犬を轢きそうになることは、通常発生し得るできごとであり、また、この様なできごとに遭遇した場合において、当該犬の飼主が反射的に暴行におよぶこともあり得ることであるから・・・通勤と暴行に相当因果関係が認められる。そして本件では飼主との間に私的な怨恨関係が認められず、被災者に加害者の暴行を誘発するような言動が一切行われていない。」

 認めるにしても、認めないにしても、まったくの解釈論に聞こえます。このような、理屈如何によって適否が決まってしまうのです。 したがって、先の喫煙の件を通勤災害とするには、被災者の通勤経路上の被災場所で、これまで頻繁に、犯罪が発生していたかどうか、加害者と被災者の間に私的な怨恨関係がなかったかどうか、被災者に災害を誘発する言動があったか、なかったのか、これらが問題となるのです。

 すると、よくある例ですが、満員電車で肩がぶつかり、口論の末、暴行を受けてケガをした場合はどうでしょう? 通勤経路上はOK、頻繁に肩がぶつかる場所ですからこれもOK、私的な怨恨関係は微妙ですが、行き当たりの人同士ですから大丈夫とします。しかし、口論の末ですから、暴行を誘発する言動は成立し、「社会通念上、通勤に通常伴う行為」から外れてNG=適用できなくなります。

 では、口論せずにいきなり殴られれば、これは、反射的な暴力ですからOKとなるはずです。

 審査は厚生労働省のお役人様ですから、車内喫煙を注意することが、社会通念上、通勤に通常伴う行為であると認識させない 限り、通勤災害は適用されないことになります。レアケースは常に弾かれ易く、また、通勤災害の適用がケースbyケースと説明される所以と思います。  

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(Q)共稼ぎの妻を会社に送り、迂回して出勤の途上、交通事故受傷しました。通勤災害と認めらるか?    弊社の従業員の田中さんは夫婦共稼ぎをしています。 昨日、田中さんは妻を会社に送り届けた後の通勤途上で交通事故受傷しました。 田中さんの自宅を起点にすると、彼の妻の勤務先は弊社を通り過ぎて約1km先となります。 つまり、寄り道=回り道をして交通事故受傷しているのですが、この場合、通勤災害の適用は可能でしょうか?   (A)労災は、「合理的な経路なのか、」を検討します。本件の場合、迂回の距離が問題になるようです。    3つの例から検討します。   ① 自宅から同一方向で妻の勤務先が約450m離れているとき、 マイカー通勤の共稼ぎ夫婦で、妻の勤務先が同一方向にあって、しかも夫の通勤経路からさほど離れていない場合は、 2人の通勤をマイカーの相乗りで行い、妻の勤務先を経由することは通常行われることであり、合理的な経路として取り扱うのが妥当であると判断しています。

② 自宅から同一方向で妻の勤務先が3km離れているときは、 妻の勤務先が同一方向にはあるが、迂回距離が3kmと離れており、著しい遠回りと認められるところから、 これを合理的な経路として取り扱うのは困難と判断しています。

③ 別のケースで、自宅から同一方向で妻の勤務先が4km離れているときは、 これは②の事例に従って却下されたのですが、被災労働者は労働保険審査会に対し、「当時、妻は妊娠8ヵ月の身重であり、満員のバスに乗れる状況になかった。」として異議を申し立てました。

 結果、妻は妊娠8ヵ月の身重の状態であり、バスに乗るにも十分に注意しなければならなかった時期であったことを勘案すれば、被災当日、最短の通勤経路から多少離れて妻を勤務先まで送ったことは、やむを得ない必要な行為であったとして、 通勤災害を認定したのです。

 このように、迂回の距離がかなりあったとしても、迂回の理由によって認められるケースもあります。    本件の場合、同一方向かつ、距離が1km以内ですから、認定されると考えます。   ※ 注意が必要なことは、迂回距離の1Km、3Kmは、労災が絶対的な基準として公表しているものではありません。「寄り道は○km以内」と明確な基準を設定しているものではなく、③のように迂回の理由を含め、通勤路の距離や通勤手段などから総合的に検討、個別判断していると思います。   

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 通勤災害の「寄り道」についてケーススタディを続けましょう。   (Q)帰宅途中、美容院に寄った後の交通事故受傷は通勤災害となるでしょうか?

 当社に勤務するOLの堀越さんは、今月末で退職します。その2日前に社内で送別会をやってくれました。軽く飲食があり、流れ解散で午後5時頃に会社を出ました。そして、堀越さんは途中の乗換駅近くの美容院に立ち寄り、美容院を出て帰宅の途中に交通事故で受傷しました。

 美容院は大変込み合っており、2時間も待たされたとのことですが、本件は通勤災害となるでしょうか?   (A)S58-8-2基発第420号で「出退勤の途中、理・美容のため理髪店もしくは美容院に立ち寄る行為は、特段の事情が認められる場合を除き、労災保険法第7条3項但書に規定する、日用品の購入その他これに準ずる日常生活上、 必要な行為に該当するものとする。」との行政解釈が示されました。

 信じられないことに、少し前までは、男子の理髪店での散髪は「日常生活上、必要な行為」として認められていながら、女子の美容院は認められていなかったのです。労働局のお役人は、そのことを、「美容院は女子が美しくなるところ?」と理解していたようです。エステ、ネイルであればそうなりますが・・。

 (ちなみに、飲食も社内、かつ、短時間であり、送別会自体は会社の行事、つまり”業務”に入りますので、退社後の「通勤中の事故」であることに問題はありません。)    問題は「特段の事情」になるか?です。

 理髪店や美容院で1~2時間の待ち時間は日常茶飯事ですから、これは問題になりません。

 論点は美容院に行く目的と頻度となります。基本的に、お役人は、床屋さんは月に1回程度行く日常の身だしなみと考えているようなのです。頻度は髪型などから個人差がありますが、ここでも生真面目に検証されます。   ・お見合いの前日に特別な髪型にしてもらい、ついでに美顔術まで受けた?

・お正月を前に日本髪を結いに行った?

・・・これらは、非日常・イベント的な行為ですので、通勤災害から外れます。

・キャバ嬢さんが出勤前に美容院に寄った? しかも、週2回!

・・・これは仕事の内容と密接に関係する行為ですし、その頻度も仕事上過度とは言えません。日常生活上、必要な行為と認められるでしょう。(問題はキャバクラが労災に入っているか?でしょう。)   ※ ...

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 4年前の古いニュースからで恐縮です。 ご存知の通り、アジア各国の中間層に自家用車の購入・所持が増大しています。中国もかつては富裕層に限られたマイカー所持でしたが、当然に中間層の所得が向上、自動車は上向き産業となっています。  自動車の増加に付随して交通事故問題が浮上することは、歴史の必然です。今後、自賠責保険の整備と自動車保険の販売増がアジア各国で軒並み進んでいくことでしょう。日本は人口減の局面ですので、すでに自動車登録台数も下り坂となっています。自動車保険も成熟産業から斜陽産業へ・・保険の個人マーケットでは、国内損保の目は海外へ向いているのです。

 中国は日本のように、自賠責保険がどこの会社であっても関係なく、どの保険会社(任意社)でも一括払いができる・・この融通が利きません。ご存知の通り、任意社は、先行して対人賠償の対応・支払を行い、後に自賠責保険に求償します。一見、当たり前のようで、これは被害者にとって請求先が2ヶ所にならずに済む、便利な制度なのです。

 一方、中国では、自賠と任意、それぞれの会社に請求することになります。よって、自動車保険の契約者は、事故のときに面倒なので、自賠と任意を(一括払いし易くするため)同じ会社にしていました。これは、海外の保険会社の参入に致命的な問題です。自賠責は共産主義国のバリバリ国営企業です。いくら任意保険の販売の許可を得ても、中国の国民は自賠責と違う会社を選びません。したがって、自賠責保険の参入なくして、中国の自動車保険のマーケットなど、無きに等しいものだったのです。

 しかし、時代の趨勢でしょうか、中国はもはや「開放政策」などと呼ばなくなったくらい、市場の解放が進み、海外との貿易額はヨーロッパの資本主義国すら上回ります。4年前、ついに、自賠責保険の販売を日本の保険会社へ許可しました。欧米と日本の保険会社にとって、中国における自動車保険の自由化を果たしたと言えます。  

大手損保、中国で自賠責保険に参入へ 東京海上などが認可取得

  日本の大手損害保険会社が中国の自動車損害賠償責任保険(自賠責)市場に参入する。東京海上ホールディングス(HD)など大手損保3グループは日本での自賠責にあたる「交通強制保険」を取り扱う認可を12日までに中国当局から取得。損保各社は国内市場の伸び悩みを補うため、有望な中国市場の開拓を急ぐ。

損害保険ジャパンなどが傘下のNKSJHDと、三井住友海上火災保険などのMS&ADインシュアランスグループHDも進出の見通しが立った。いずれも中国当局から「商品販売」の認可を得て正式に販売を始める。

中国では事故を起こすと、任意保険と自賠責保険の申請手続きをする。別々の保険会社だと申請に手間がかかるため同じ会社の保険に入るのが普通だが、これまで日系損保は任意保険しか扱えず、苦戦を強いられてきた。欧米系損保は日本に先んじて認可を得ている。

中国の損保市場は2010年の約3900億元(6兆4000億円)から、13年には約6400億元(10兆5000億円)と急拡大している。  <日経新聞より引用>  

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