これは、どの商売にも共通することと思いますが、ご依頼者が相談に訪れてきたら、まず、お話を傾聴し、信じることから受任者としての仕事を始めます。依頼を請け負うとは、相互信頼があって成立するものです。

 かつて保険販売の場面で、お客様のお話にどうも嫌な感じがして、契約を慎重に構えていました。上司に相談するも、「バカ、お客様を信頼しないでどうする!」と叱られたことがあります。至極、もっともなことです。しかし、とりわけ保険業界はそれ程単純ではありません。上司はこう続けました。「まず、信頼が基本だが、よく話を聞いて、慎重に契約判断をすることも大事だ」と。結局、契約を引き伸ばす私に見切りを付けて、そのお客様は去りました。後でわかったことですが、そのお客様は、(不自然な)保険金支払い歴が10回を越える要注意人物でした。今で言うところの、「保険支払、半端無い」保険会社が契約を拒んで当然のお客様だったのです。

 保険の営業マンは、このお客様を直ちに保険金詐欺者と断定する立場ではありません。それでも、正しい保険運営には、契約段階から未然に不当な支払を防ぐことが絶対に必要です。残念ながら、信頼してはいけない契約者、依頼者も一定数存在するのです。

 被害者救済業とはいえ、今もそのスタンスは変わらないと思います。交通事故の受任経験の少ない、若手弁護士さんなどが、依頼者を信じて受任してしまい、後に保険会社と裁判上で、(不正請求の)証拠を突きつけられて火達磨に・・少なからず聞いてきました。依頼者を信じるという、原則的な美徳を持ったこの弁護士さんを責めることはできません。しかし、迂闊に保険金詐欺の片棒を担ぐ事は、故意過失は無いにしろ、犯罪に加担することになります。その点、士業者は盲目的な受任を避けるべきで、犯罪を未然に防ぐ、助長を防ぐ、社会的役割があるように思います。

 昨年も、ある交通事故被害者さんが相談会にやってきました。相手保険会社の横暴な対応を切々と訴えています。実際、相手弁護士から債務不存在確認訴訟(「びた一文支払う言われはない!」と加害者側から逆訴訟されて・・)を打たれました。気の毒な被害者を救うべく、受任することになる寸前、「本当に助けるべき被害者なのだろうか?」私の頭を過ぎりました。・・・調べてみると、数度の保険金詐欺容疑で実刑判決を食った経歴がありました。本件事故の状況や経過も、過去の手口に類似しています。直ちに、弁護士に受任謝絶するよう伝え、事なきを得ました。

 依頼のお断りを伝えた際、その被害者さんは「今後、私は交通事故にあっても信じてもらえないのでしょうか?」と言いました。

 私はこう答えました。「そうですよ。イソップのオオカミ少年の童話を知っていますか? 人の信用を踏みにじった以上、仕方ありませんよ。 もっとも、まったく疑いのない事故状況で、それなりの大ケガをすれば別ですが。」

 実際にオオカミに食われるまで、信用の回復は難しいということです。

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 自動車保険の契約中、新しい車に買い替えた場合、納車までに車両入替・異動手続を行う必要があります。

 最近はスマホから手続きの一部が可能です。従来通り、新しい車検証の提出は必要です。もし、手続きを怠ってしまった場合、新しい車で事故があっても、原則、保障されません。しかし、手続きの猶予があり、新車の納車翌日から30日以内に手続きを行い、保険会社の承認を得れば、納車日に遡って保障が適用されます。つまり、手続きを忘れて新車に乗って事故にあっても、30日以内なら保険適用OKとなります。(以下、損保ジャパン日本興亜 契約のしおりから抜粋)

 このルールは、ほぼ各社共通です。この他にも、契約更改や年齢条件など各種変更を怠った場合でも、救済措置は用意されています。しかし、これらの措置はあくまで救済であって、保険契約のルール通り、しっかり事前に手続きをすべきです。せっかく払っている掛金を無駄にできません。経験上、保険が漏れている時に限って事故は起こるものです。  

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 交通事故被害者さまのご相談を頂く中で、もっともご回答に窮することは、被害者感情の持っていきどころです。

 車の修理費など物損の場合、被害者さんにとって、その修理費を相手から取ることで全てOKとはいきません。純粋に修理費は直接損害と呼ばれ、まともな見積もりを突きつければ、大抵の損保は支払いに応じます。しかしながら、細かいことになりますが、車の修理に出す手間や様々な書類や交渉ごとに割く時間、これらの損害・対価は法律上、認められません。また、買って間もない新車などは「修理ではなく、取り替えてくれ!」と言いたくなります。高級車となれば、「格落ち」も発生しているかもしれません。これらは間接損害と呼ばれ、これを相手保険会社に請求しても、すんなり支払いを受ける事は困難です。それこそ、裁判などで白黒をつけない限り取れないものです。もっとも、裁判でも負ければ取れません。

 つまり、自動的にすべての損害を回収することなど、そもそも無理なのです。手間暇・金銭をかけて、苦労を重ね、自ら戦わなければ実現できません。この原則をすんなり理解できるか?一般的に欧米人と日本人の意識の違いを感じるところです。とくにアメリカ人の場合、歴史やメンタリティから、他人に対する信頼は大変に薄いものです。交通事故の相手があっさり「すみません」と非を認めて、即座に賠償してくれる期待など持っていないのです。明らかに自分が悪い追突事故でさえ、加害者は「I’m sorry」とは言わないことが普通です。また、お金がなく、任意保険に加入していないかもしれません。一方の被害者も、相手の誠意と賠償資力を期待していませんから、しっかり車両保険・人身傷害保険に加入、あるいは弁護士を雇うのです。言葉さえ通じない多種多様の民族の合衆国ですから、自分が受けた被害は自助努力や戦いで回復することが身に染みているのです。

 その点、日本はほぼ単一民族、全国的に日本語が通じ法律も統一、島国ならではのご近所関係・相互扶助もあり、他人に対する信頼は世界一のレベルではないでしょうか。その証拠に、落とした財布が届く率は63%との統計があります。ちなみに他国の統計は目にしたことがありません。他国にとって、ほとんど0%のことなど数えないからだと思います。これは世界に誇るべき日本人と美徳と同時に、被害者感情に大きく作用しているのではないかと私は考えるのです。交通事故の被害にあったのだから、「(信用すべき他人が)すべて弁償してくれるはず・・これって普通でしょ!」と。

 残念ながら、こと交通事故の争いとなれば日本人の美徳は薄れます。相手保険会社はさながらアメリカ人になります。グローバルスタンダードを高圧的に押し付ける存在ですから、法律に従って決して甘くない対応となります。基本、被害者側が証拠を集めて突きつけなければ払いません。間接損害の請求など、端から拒否します。

 それでも、直接損害の支払ならかなり信頼できる存在です。また、ケガをすれば、治療費の一括払い(病院に直接、治療費支払い)など、アメリカ人のくせに、似合わないサービスをしてくれます。また、強制保険(自賠責保険)により、任意保険以前に被害者に多少の過失があっても、一定額まで100%の治療費が確保できます。ヨーロッパの福祉国家さながら、健保・労災・自賠責と、社会保障制度が確立しています。これらは、発展途上国が目標としている社会保障制度:3種の神器で、世界的にあたり前に実現しているものでありません。国民国家としての努力の賜物です。実に、世界の半分以上の国は自賠責保険がないのです。そして、任意保険の会社があっても、肝心の加入率は30%程度が普通なのです。日本は80%のようです。すると、5台に1台は無保険になりますが、80%以上は世界的に優秀な加入率なのです。これらの比較から、いかに他人から被った被害の回復は大変なことで、当たり前に助けてもらえる事ではない世界基準を知ることになります。

 落ちていた財布を拾って届ける優しく気高い精神の人が、ある日交通事故被害にあったとして、対する他人(加害者側)が決して優しくも道徳的でもないことに直面します。当然、感情的にすんなり受け入れられるものではありません。連携弁護士を含む私達はその意を汲み、できるだけ損害を回復するように働くことになります。それには、被害者さんの自助努力や費用負担も当然に必要です。そして、私達は被害者の皆様の怒りや失望を、戦いへ切り替えさせることから着手します。損害回復は当たり前のことではない、戦いであると理解することからのスタートなのです。    ちなみに、私は過去4度財布を拾い、届け出て無事に持ち主に届きましたが ・・・ 逆に、自身2度財布を落とすも、まったく届きませんでした。日本も信用できませんわ(怒)!  

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 近い将来、否、既に各分野にAI(≒人工知能)導入が進み、これは規定路線と言えます。当然、交通事故の調査・解決の場面でも活用が期待されます。

 ドライブレコーダーと連動したシステムの開発が発表されました。新聞記事から引用します。  

損保ジャパンとジェネクスト、AIでドラレコ映像を解析 責任割合を自動算出へ

 ジェネクストは8日、損害保険ジャパン日本興亜と共同で自動車事故の責任割合自動算出システムを開発すると発表した。このシステムは、自動車事故の発生時、ドライブレコーダーが撮影した映像とGPSの位置情報をもとに事故の状況をAIが分析し、自動車事故の責任割合を自動的に算出する。これによって自動車事故の原因を正確に究明するとともに、事故対応の迅速化を目指す。

 あおり運転による交通事故の報道をきっかけに、ドライブレコーダーが一気に普及した。それに伴い、自動車事故が発生したとき、ドライブレコーダーが記録した映像を事故の責任割合の算出に活用する機会が増えている。一方で、ドライブレコーダーは広角レンズを通して撮影するため、映像に歪みが生じてしまう。事故発生時の速度や車間距離など、ドライブレコーダーをもとに事故発生時の状況を解析し事故の責任割合を判定するためには、解析に必要な専門の技術と多くの時間が必要であった。

 損保ジャパン日本興亜は事故原因追及のプロセス効率化と迅速な対応を実現するため、ドライブレコーダーの映像解析サービスを主要事業とするジェネクストと共同で自動車事故の責任割合自動算定システムを開発することにした。

 ジェネクストはドライブレコーダーが撮影した映像から、速度、車間距離、位置情報を正確に取得できる特許技術を持っている。この技術をもとに、今回開発のシステムではAIが事故発生時の映像から車両の動きや道路の状況を読み取る。そして、AIが事故発生時の映像から読み取った情報と、損害保険ジャパン日本興亜がこれまで蓄積した知見をもとに、自動車事故の責任割合の判定を行う。損害保険ジャパン日本興亜は今回のシステムの開発を通じて自動車事故における責任割合判定プロセスの明確化とともに、事故解決の迅速化を目指すとしている。  <財形新聞さま より>  

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 SJNKの代理店さまは既にご存知と思いますが、ついにベールを脱いだ、今年1月改定の弁護士費用特約を特集します。

 目玉は二つです。一つは、既に他社でも採用している、自転車による被害事故などを含む、日常生活の被害事故に係る法律上の損害賠償請求を行う=「日常型」の発売と、これは業界初となる、お客さまが加害者となった場合、負担する刑事事件の弁護士費用等を補償の対象とする「刑事弁護士費用」の新設です。これは、以前から隠れたニーズと思っておりました。

 もし、交通事故で加害者となって警察に拘留された場合、自責の念や衝撃で誰もがパニック、あるいは頭が真っ白です。その上、人生初となるであろう警察の取り調べが続くのです。以後の対策はもちろん、精神的なケアが急務です。急いで弁護士を警察署に接見に向かわせる必要があります。この特約、他社さんもデフォでお願いしたいと思います。

 また、弁護士の当てのないお客様には、LAC(簡単に言うと日弁連の対保険会社機関、弁護士費用もLAC基準で縛る事ができます)経由で弁護士紹介を可能としました。保険会社が抱える協力弁護士の紹介は、現場では既に各社共に行われてきたことです。

 以下、同社案内から抜粋・加筆します。  

1.開発の背景

 現在の「弁護士費用特約」について、お客さまから「自動車事故だけではなく、自転車事故などの日常生活被害事故も対象にしてほしい」というご要望をいただいていました。また、不慮の自動車対人加害事故を起こしてしまったお客さまから「裁判所から起訴状が届いたが、どうしたらよいか」などの刑事事件に関するご相談をいただくケースがありましたが、この場合には一般的な助言を行い、詳細はお客さま自身で弁護士にご相談いただくようご案内していました。今回、このようなお客さまのご要望にお応えするため、「弁護士費用特約」の補償範囲を拡大し、また同時に弁護士をご紹介することでお客さまの負担を軽減するサービスを提供します。  

2.商品概要

・「弁護士費用特約(日常生活・自動車事故型)」を新設し、日常生活被害事故および自動車対人加害事故の弁護士費用等を補償の対象に追加します。

・現在ご提供している「弁護士費用特約」を「弁護士費用特約(自動車事故限定型)」に名称変更し、自動車対人加害事故の弁護士費用等を補償の対象に追加します。

 

3.補償内容・金額

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 北方領土問題の渦中、民間企業間の提携が進んでいるようです。三井住友さんはロシアへ進出でしょうか。遠い欧米諸国の中で、もっとも近く隣接している国はロシアのみです。私もロシアに行ったことがありますが、日本から最も近いヨーロッパを実感しました。(過去記事⇒イエローサブマリン

 10年20年先は、国境など関係なく保険販売網が広がるのでしょうか・・。    

 MS&ADホールディングス傘下の三井住友海上(「同社」)は、ロシア大手損害保険会社Ingosstrakh Insurance Company(以下「インゴストラッハ社」)と戦略的提携契約を締結した。 本提携により、ロシア全域に83支店、およびCIS(※)諸国6ヵ国に拠点を有するインゴストラッハ社のネットワークを活用し、今後日露経済協力等を通じて増加が見込まれる同地域における日系企業のお客さまに、より高品質なサービスを提供していく。 三井住友海上は、今後も海外事業で培ったノウハウや戦略パートナーシップ契約等を活用し、さらなるお客さまサービスの向上に努めていく。 (※)独立国家共同体(Commonwealth of Independent States)。旧ソビエト連邦諸国によって形成されたゆるやかな共同体。   続きを読む »

 会社は労災の請求に消極的です。

 また、社員も労災を請求したのですが、会社の顔色をうかがって遠慮してしまいます。使われている側なので仕方ありません。

 問題は、会社側に正しい知識がないことです。とくに、「労災を使うと、掛金が上がるから・・」、これについて、調べました。

   以下に該当する会社については、一定規模の基準によって労災掛金が±40%の範囲で増減します。   ○ 100人以上の労働者を使用する会社   ○ 建設業等で労災保険料が年間100万円の会社   ○ 20人以上100人未満の労働者を使用し、災害度係数が0.4以上の会社    災害度係数とは{社員数×(業種ごとの労災保険料率-非業務災害率)}で算出します。この非業務災害率は現在0.06%となっております。

 従業員数80名の飲食業の場合、上記の計算式にあてはめると・・・ 80名×(0.3%-0.06%)=0.192≦0.4

 ・・・災害度係数は0.4未満となり、基準を満たさないため労災保険料が高くなることはありません。    つまり、労災保険料率が0.4%を超えない会社については、建設業(掛金100万超)を除き、100人未満であれば労災保険料率が高くなることはありません。20人未満の会社は当然に関係ありません。    また、通勤災害は、被害者・社員か、加害者が悪いのであって、会社にまったく責任がありません。労災側の調査によっては、労災掛金に影響ありません。  

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 労災と加害者側の賠償金(自賠責保険・任意保険)がかぶる場合、労災の障害給付は一時金でも年金であっても、「支給調整」を行います。ここが、皆様の知りたい核心ではないでしょうか。

○ 障害給付の支給調整

 第三者行為災害における損害賠償請求額と労災保険の給付の支給調整方法については、「求償」と「控除」の2種類があります。   ○「求償」とは、被災者等が第三者に対して有する損害賠償請求権を、政府が保険 給付の支給と引換えに代位取得し、この政府が取得した損害賠償請求権を第三者 や保険会社などに直接行使することをいいます。   ○「控除」とは、第三者の損害賠償(自動車事故の場合自賠責保険等)が労災保険の 給付より先に行われていた場合であって、当該第三者から同一の事由につき損害 賠償を受けたときは、政府は、その価格の限度で労災保険の給付をしないことを いいます。   ① 労災の支給調整の対象は「逸失利益」

 逸失利益とは・・・本来得られるべきであるにもかかわらず、債務不履行や不法行為が生じたことによって得られなくなった利益を指します。得べかりし利益(うべかりしりえき)とも言われます。逸失利益の算定では果たしてどこまでが本来得られるべきであった利益か、その確定は容易でなく訴訟などでもよく争点となります。

 自賠責保険ではこの逸失利益の限度額を明確に定めており、限度額を下回る80歳超の高齢者を除いては、ほとんど限度額で頭打ちとなります。これは弁護士さんにも多いのですが、自賠責保険の後遺障害保険金を定額の慰謝料と読み違えています。自賠責保険金額はあくまで、定額の慰謝料+計算された逸失利益(限度有)の合計です。

 障害給付金は一定の治療後、後遺症による将来に向けた補償ですから、逸失利益と性質が同じものとされます。したがって、逸失利益と二重に支払われることなく、逸失利益を超えた金額を給付することになります。逆に、労災先行で労災を全額支給した場合、後に自賠責に求償することになります。

 尚、賠償金の内の慰謝料は「精神的損害」ですから、民事上の「償い」であるところ、公共の補償と相殺すべきではなく、別物と考えられます。    つづく(いずれ、計算例をUPします)  

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 交通事故の場合、真っ先に請求する相手は、通常、加害者の保険会社ではないでしょうか。

 それは通勤災害、業務災害の場面でも同じかと思います。まず、加害者が補償するのが筋です。多くの場合、労災適用など気にせずにスルー、相手の任意保険、その加入がない場合は自賠責保険に請求に留まることが多くを占めます。実際、労基に問い合わせも、「労災は、自賠責を使い切ってからですよ」と内規で制限しているような対応です。社会保障制度ですから、じゃぶじゃぶ使われるなど困ります。加害者に支払い能力、つまり何らかの保険がある場合は、そちらを優先させ、支払いを抑制しなければならないことは理解できます。

  

 しかし、労災の法律を紐解くと、健康保険に同じく、「使うか否か」、「その順番」でさえも、請求者の意思が第一です。とくに法律の規制などしていません。したがって、自己に過失がある場合の事故や、重傷で治療費が莫大となるケースは労災も併用すべきと思います。そして、最大の動機は、休業給付と障害給付で、相手からの賠償金とは別腹の「特別給付」がもらえることです。  さらに、再発申請やアフターケア制度もあります。至れり尽くせり、原則、労災使うべきと断言します。

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 そんなわけはありません。年金制度は国と国民の信用の根幹、これが反故にされたら、もはや国民国家ではありません。

 とは、言いたいものの、12年前、日本中を震撼させた「消えた年金問題」・・ミスで相当数の記録が消されました。昨年9月にも、労災の休業給付のデータがミスで抹消され、大幅な支給遅れとなったことは記憶に新しいと思います。

 亡くなった私の祖父は年金に関する疑念が強く、自営でしたがとうとう国民年金に加入せず、老後は年金がありませんでした。当時、戦争(報道)で国に騙されたと思った世代は、国家・行政への信頼が薄いのでしょうか。「消えた年金問題」とは、その疑念が本当になってしまった事件です。決して間違ってはいけない行政の制度ですが、所詮人のやること、ミスはどうしてもでてしまうものです。いつも思うのですが、何故か間違って多く払ってしまったケースが少ないことです。それはともかく、再発防止の努力と迅速なリカバリーをお願いしたいと思います。

 また、昨日の記事の通り、当時、私もたった12年前の厚生年金記録を消された1人です。「昔の手書きデータを電子化する際に漏れた」との言い訳が利かない年数です。今回の労災記録抹消も、何故バックアップしていなかったのか不思議に思います。やはり、国のやることであっても万全の信頼を置くことなく、自らがチェックすることが必要ではないかと思います。記録を修正してもらうことは当然ですが、責任を追及する手間はそれなりに大変です。ここで行政側のミスを責めても、苦言を呈しても、問題提議しても、何の得にもなりません。何事も取引は相互確認が大切です。それは、買い物をして、お釣りを確認する作業に等しいものかもしれません。  

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 少し古いニュースですが、昨年秋に厚労省から掲題のミスが報告されました。ちょうど、労災セミナーのレジュメを作成していましたので、改めて取り上げたいと思います。

 かつて、「消えた年金」が大問題になったことがありますが、当然、労災でもさもありなん、と思います。私も3年分の厚生年金の加入記録を見事に消されました(怒)。

 実際、労災請求の現場では、従前から「労災はできるだけ使わないように」と会社側が労災請求に消極的な姿勢を感じています。使われている側・社員も、会社に逆らってまで請求はできません。それが、パート・アルバイト、契約社員なら尚更です。構造的に労災はアンタッチャブルなのです。では、手続きを助けてくれる業者や士業の先生が望まれますが・・肝心の社労士先生は会社側から顧問料をもらっている、言わば会社側の立場です。会社の意向に逆らって従業員を助けるわけがありません。もちろん、福利厚生に理解ある社長、つまり、従業員を大切にしている企業であれば、顧問の社労士先生にお願いしていただけます。しかし、このような企業は少数ではないかと思っています。

 今回、問題となった休業給付の手続きも、まぁ面倒なもので、特別給付を知らない人も多い。一部上場企業ならまだしも、会社側の事務員が不慣れな書類作成に右往左往、社労士の先生の多くも会社の要請無くば、まして無償では手伝いません。そして、昭和のお役所体質は改善したとはいえ、厚労省職員の信じられない電子的なミス・・・やはり、誰かが、手続き面で目を光らせる必要があります。今のところ、交通事故絡みならば私達がそれを担っていますが・・。

 人は基本的にミスをするものです。二重三重にチェックをする必要があり、請求側=民間の自助努力として、労災事故で苦しむ被害者を救済する体制も望まれると思う次第です。、  

休業補償27億円、処理ミスで1.1万人分支給遅れ 厚労省

  厚生労働省は7日、休業中の賃金を補償する労災保険の休業給付と休業特別支給金について、約1万1千人分(総額約27億8千万円)の支払いが遅れていると発表した。職員のシステムの誤操作が原因。同省は14日までの支払いを目指すとしている。

休業給付と休業特別支給金は労働者災害補償保険法に基づき、業務上の負傷などで労働ができない場合、休業4日目から支給される。支給額は休業1日につき賃金相当額の8割程度。

同省によると、6日に担当職員が会計システム上で支給に関係ない事務処理をしていたところ、誤操作で支給に関するデータを消去。本来は7日または10日に支給予定だったが、ほとんどが復元できず、予定通りの支払いができなくなった。

会計システムの操作は通常、複数人でチェックする体制だった。同省は誤操作の理由を検証し、再発防止策を検討する。

これまでに支給の申請者から支払いの遅れに関する問い合わせの電話が100件以上寄せられているといい、ホームページに問い合わせ先を公表するなどして対応している。同省担当者は「発表が遅れ、多大なご迷惑をおかけして申し訳ない。適切に対処していきたい」としている。 <日本経済新聞 平成30年9月7日>  

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(1)一側の腎臓を失ったもの

①  一側の腎臓を失い、腎機能が高度低下していると認められるものは、7級5号が認定されます。

 腎機能が高度低下しているとは、糸球体濾過値(GFR)が31~50 ml/分であるものを言います。高度低下は、腎機能の低下が明らかであって、濾過機能の低下により、易疲労性、ホルモンの産生機能の低下により貧血を起こし、動悸、息切れを生じるような状態です。   ②  一側の腎臓を失い、腎機能が中等度低下していると認められるものは、9級11号が認定されます。

 腎機能が中等度低下しているとは、糸球体濾過値(GFR)が51~70 ml/分であるものを言います。中等度は、高度に至らないまでも同様の症状が生じる状態です。また、健常人と腎機能低下の者(血清クレアチニン1.5~2.4mg/dl)を比較すると、 前者に比べ後者は運動耐容能が有意に低く、嫌気性代謝閾値が約4.3METsという報告がなされています。この知見を踏まえると、おおむね高度低下では、やや早く歩くことは構わないが、 早足散歩などは回避すべきと考えられています。   ③  一側の腎臓を失い、腎機能が軽度低下していると認められるものは、11級10号が認定されます。

 腎機能が軽度低下しているとは、糸球体濾過値(GFR)が71~90 ml/分であるものを言います。 ...

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佐藤が担当します    労災の後遺障害等級認定には面談があり、顧問医や職員が等級を決定する為に「調査結果復命書」というものを作成致します。その文書一式に「顧問医の等級認定に関する意見書」と資料、「認定理由書」が入っている為、審査請求を行う場合には開示することが必須かと思われます。手続きについては診療報酬明細書開示等とほとんど一緒ですが、記載していきます。   1、まずは、厚生労働省のホームページにある「保有個人情報開示請求書(標準様式第1号)」をダウンロードして、記入します。

2、具体的には、行政機関の長の欄には「労災指定病院の所在地の都道府県の労働局長」を記入し、開示請求する個人情報には「私が、〇年〇月〇日に負傷した通勤災害にかかる、〇〇労働基準監督署から支給決定を受けた障害等級認定の決定理由がわかる調査結果復命書文書一式。(障害補償給付請求書及び診断書を含む。)」というような文言を記載すればよいでしょう。開示するには300円(収入印紙)がかかります。

3、請求は窓口・郵送どちらでも可能ですが、

 窓口であれば・「保有個人情報開示請求書(標準様式第1号)」、「身分証明書」を郵送であれば「保有個人情報開示請求書(標準様式第1号)」、「身分証明書のコピー」、「住民票(請求の30日以内のもの)」を用意し、労働局総務部(各都道府県によって担当部署が違いますので、電話で確認をするとよいでしょう)に提出します。

4、その後決定の書類が届きますので、開示請求の意思を示します。開示書類の金額(切手)を支払うと、無事に資料が届きます。    ※:審査請求は、労災保険給付の決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に行う必要がありますので、ご注意ください。   

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 労災の申請の場合、治療費や休業給付はそれぞれ病院・会社に記載いただければ、記載を間違えない限り、支給金額は請求どおりに支給されます。ここで、油断できない請求項目は何と言っても後遺障害です。

 後遺障害は第1級から14級まで細かく規定されています。ご存知の通り、自賠責保険はこれを準用しています。双方、まず、主治医に記載をお願いしますが、脊髄損傷や高次脳機能障害はじめ、難しい傷病・障害となれば、A4の診断書1枚ではとても足りません。診断書に添付すべき準診断書や意見書、各種検査データ、レントゲン、MRI、CTなど画像もすべて揃えて提出する必要があります。もっとも、労基の担当者が追って五月雨に要請してきますし、最終的には労災顧問医の診断の機会があります。そこで、誤診(誤判断)がなければ、無事に等級認定となります。

 ちなみに、自賠責は書面審査が原則です。(醜状痕の面接はその例外です。)だからこそ、後遺障害診断書の記載が重要で、それがおざなりであれば、残念な結果となります。異議申立件数の多さがそれを物語っています。

 (しかしながら、再請求で等級変更となる率は、ここ数年約5%と残念な結果)

 顧問医の診断があるからと言って、労災の審査・認定にも間違いがないとは言えません。必要な検査と正確な診断書を漏らさないよう、しっかり取り組む必要があります。ここに、医学的な知識がないと、どんな検査が必要で、どのような診断書が望ましいのかわかりません。したがって、医師に丸投げではなく、正確な誘導ができる専門家が潜在的に望まれています。

 弊所では年間200~300件の病院同行(場合によっては紹介)と医師面談、検査誘致を実施、間違いのない障害認定を確実にしています。また、地域の医療情報の精通につながっています。    

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 自賠法に規定される自賠責保険は、交通事故・被害者救済の第一の制度と言えます。今号は目先を変えて、他国の自賠責保険を勉強、日本と比較してみましょう。 (損害保険協会資料より引用、修正・加筆しています)  

 

国名

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 基本は本人(あるいは代理者)記載、署名・印 ⇒ 会社の証明・印 ⇒ 病院の証明・印 ⇒労基に提出となります。(治療費に関するもの以外は病院を経ません)

 以下、主だった書類を整理します。   ① 第3者行為災害届

 事故状況はもちろん、相手と自分の任意・自賠責保険内容の記載はじめ、事故状況や診療内容まで4枚に及び、その他地図の記載など、初めて書く被害者にとって面倒なものです。

「第三者行為災害届」提出時に添付する書類一覧表 

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 お客様にお勧めした保険・特約が必ずしも、付保頂けるわけではありません。それでも、代理店さまにおかれましては、契約の際に、「お勧めしていたが、お客さまの判断で加入しなかった」と「その保険・特約の説明をしていなかった」では、大違いです。前者はお客様も納得するしかありませんが、後者では信頼が揺らぐ事は間違いありません。これは保険代理業を営むプロにとって、常態的なテーマと言えるでしょう。    今年のケースでは、同居の父が(認知症の影響か)赤信号で交差点を横断、自動車と接触して高次脳機能障害となった件がありました。当然、自身の過失を大きく取られ、相保からの一括対応はありません。しかしながら、契約していた自動車の人身傷害は「搭乗中のみ担保」です。わずか2000円掛金を安くした結果、2000万円を失うことになりました。保険設計上、ご契約者さまの同居に高齢者や子供さんがいれば、「搭乗中のみ」は避けるべきでしょう。さらに弁護士費用特約も未加入で、弁護士にも頼めず、自身で相手の自賠責に被害者請求をする難儀となりました。通販系の保険なら、自己責任で済まされますが、本件は代理店担当者がおりました。契約者様は事故が起きて、初めて対応する保険契約がないことを知ったのですが、時既に遅しです。担当者に責任はないとはいえ、悔やまれます。損保代理店さんは、家族構成や自動車の使用範囲など、契約者さまの観察に遺漏無く、保険設計する姿勢が大事と思います。  

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 自賠責保険は労災をベースとしたものから独自の基準を加味して完成したもので、1955年(昭和30年)に「交通事故が発生した場合の被害者の補償」を目的として開始された対人保険制度です。

 その認定基準もほとんど労災を踏襲しますが、独自の判断基準も盛り込まれています。制度発足から60年を越えますので、その間、基準変更を繰り返してきました。運用基準的な細かいものは非公表ですが、認定等級の変更は公になっています。例えば、醜状痕の男女別等級認定の件は、京都地裁で2010年5月27日に、”男性の著しい外貌醜状障害について、女性の7級よりも低い12級と定めていた障害等級表を違憲”と判断、この判決を受けて、翌年に労災も自賠責も男女の区別なく等級を整理・改訂しました。判決を取った弁護士団の先生方の尽力に敬意です。

 自賠責保険の認定は自賠法に準じた画一的な基準ですから、個別具体的な事情を斟酌して判断することはなく、あくまで基準に則って等級認定を行います。基準に合致せず、不利益が生じるのであれば、それは後の賠償交渉、続く裁判上で立証を負い、審議に付す必要があります。その点、自賠責保険は被害者の個性とは対極にあるものです。性別、職業は当然に、外見や健康状態も既往症でない限り関係ありません。年齢からの区別は逸失利益の計算に影響しますが、高齢者でない限りその計算は自賠責保険金額の限度額をオーバーしますので、気になりません。    やはり、何事もスタンダード(基準)からのスタートが望ましいものです。まず、根拠がなければ世の揉め事は大渋滞を起こします。交通事故の障害認定も同じく、入り口の整理には「目安」「決まり事」が絶対に必要です。しかし、一方で基準に胡坐をかくことの弊害も起きるものです。自賠責保険でよくある「損する人」は以下の通りです。   ・醜状痕の男女平等、職業平等は絶対か?

⇒ 本音を言えば、損得に個人差はあると思います。いかつい中年男性と婚姻前の若い女性を平等に扱う事自体は?・・もちろん憲法上の平等には叶いますがねぇ。  また、当然ですが外貌・容姿を職業にしている、芸能人・モデルさんなどは画一的な基準ではまったく酷です。

・2.7cmの顔面線状痕、3mm足らず非該当に(泣)

⇒ 3cmで12級ですが、3mm満たないながら、非常に目立つ場合は気の毒です。ちょっとまけてくれないかなと思います。

・寝たきりとなった場合の介護費用、例えば自宅介護料は十分か?

⇒ 自賠責では別表Ⅰの別枠等級にて増額していますが、自宅介護ではまったく足りません。これは裁判必至なのです。

・上肢・下肢の機能障害は3区分(8級・10級・12級)できっちり分けられる

⇒ 患者の回復努力にて差がでます。元々、体力と根性のある方が苦労して、あるいは長期間リハビリを粘って回復を果たし、関節可動域制限のわずか5°のオーバーで等級を逃すことがあります。

 これらは、つまり個別の事情に即していません。自賠責保険の認定基準・等級を超越した賠償交渉が必要です。このような自賠責保険の判断のみで賠償交渉を終わらせるなど悔しいものです。    また、逆に自賠責保険の画一的な判断が被害者に対して有利に働く、「得する人」も生じます。   ・日焼けした精悍な男性が額に線状痕、12級ゲット!

⇒ 初見ではエグザエルのアツシさんのように、ファッションで剃り込みを入れていると思いました。もちろん、本人は気にしているかと思います。しかし、キズに限らず、「障害が残った」と自覚していない被害者さんもけっこういます。

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 久々に賠償論を

 「同じ等級でも最後に貰える賠償金がこんなに違うの!?」

 相談会に参加される方から、このようなお声をよく聞きます。今回は疼痛の残存である12級13号と、可動域制限である12級6号(上肢)、12級7号(下肢)の遺失利益について比較・説明します。

(例)Aさん(男性30歳 会社員 年収400万円)は横断歩道を歩いて渡っていたところ、前方不注意の車にぶつけられ、救急搬送。「左足関節脱臼骨折」と診断され、固定術が施行され約2週間の入院。その後、月1回の診察とリハビリにて経過観察中です。(過失はありません)

 さて、このような場合、今後どのように進めていけばいいでしょうか?

⇒ 答えは簡単です。まずは完治を目指して治療に専念しましょう。誰だって後遺症は残したくありませんから、一生懸命リハビリを頑張るでしょう。最初から後遺症を目指す人などいませんし、それは良いこととは思えません。(後遺症に特化した弊所が言うのだから信憑性がありませんか?(笑))後遺症に特化した弊所も最初から後遺症を狙うようなことはしません。但し、治療と並行して元に戻らなかった場合に備えることも重要です。    先の例の続きですが、骨癒合の経過もよく、事故から半年後に抜釘手術が施行されました。現在の症状としては、「まだ痛みが残っており、痺れや触った感覚も正常の右足と比べると鈍いように感じます。足首の曲がり具合も正常な足の半分程度は動くようになりました。」  さて、事故から半年が経過して良くなってきてはいるが、元には戻っていない。保険会社からも治療費についてはなにも言われていない。このような場合にどうしますか?

 ⇒ 色んな選択肢があると思いますが、弊所では迷わず症状固定に進みます。もちろん、症状固定してから治療費は一切出なくなりますが、その分メリットもあります。Aさんのお怪我と残存症状からすると足関節の可動域制限(12級7号 正常値の3/4制限)が認定される可能性が極めて高いと思います。12級7号が認定された場合には、逸失利益を相場である67歳まで請求・交渉しますので、Aさんの場合には37年(中間利息が引かれますが)となります。    一方、治療費は一切出したくないので、まだ事故として治療を続けます!と意気込んだAさんは、その後3ヶ月リハビリを行い、可動域も少し回復しましたが痛みや痺れ、感覚の低下はやはり元には戻りません。主治医からも症状固定を打診されたので、後遺障害診断を受けました。可動域は背屈15°、底屈40°で12級7号の対象ではなくなってしまいました。Aさんは12級13号が認定されたので、弁護士に示談交渉の依頼をしました。

 このAさんのような解決方法はよくあることですが、ここで号数による差額を計算してみましょう。(今回は遺失利益のみの差額を計算します)   <12級13号の場合>

年収400万円×労働能力喪失率14%×10年に対応するライプニッツ係数7.7217=432万4152円

<12級7号の場合>

年収400万円×労働能力喪失率14%×67歳までの37年に対応するライプニッツ係数16.7113=935万8328円   続きを読む »

 よくある質問です。厚労省のHPからの引用で恐縮ですが、非常にわかり易いのでほとんどコピペに近い状態でまとめました。   Q.後遺障害となって障害年金を受け取る場合や、死亡で遺族年金などを受け取る場合、労災の年金と(厚生・国民)年金、両方を受け取ることはできるのでしょうか?     A.年金は全額受け取れますが、労災年金は調整されるため全額を受け取ることはできません。    例えば、障害厚生年金と労災の障害補償年金の両方を請求・受取る場合、労災年金の額は減額され支給されることになっています。しかし、障害厚生年金はそのまま全額支給されることになります。ただし、この減額に当たっては、調整された労災年金の額と厚生年金の額の合計が、調整前の労災年金の額より低くならないように考慮されています。   (調整の考え方)  これは、両制度からの年金が未調整のまま支給されますと、受け取る年金額の合計が、被災前に支給されていた賃金よりも高額になってしまうからです。また、保険料負担について、厚生年金保険は被保険者と事業主とが折半で、労災保険は事業主が全額負担していることから、事業主の二重負担の問題が生じてしまうためです。

 この表から分かるように、障害厚生年金を受け取っている人が労災の障害補償年金を受け取る場合、障害厚生年金を全額受け取ることができますが、労災年金は0.83の調整率がかけられ全額を受け取ることはできません。しかし、障害厚生年金を受け取っている人が労災の(死亡で遺族が受取る)遺族補償年金を受け取る場合、調整は行われません。従って、厚生年金・労災年金ともに全額受け取れます。

 

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