実話 「隠れ特約」に翻弄されて 最終回

 あ○おい担当者:「割合に応じて49%払えます。したがって利害関係を持つ弊社も訴訟参加します」
 何を今更!それなら最初に言ってくれよ あ○おいさん! このまま裁判沙汰にでもならなければ黙っていたつもり?事故から5年も経って「実は半分くらいは払えます、だから裁判にも口を出しますよ」ですって。呆れます。

 ちなみに裁判の結果に利害関係をもつ者が顔を出してくることを訴訟参加といいます。この者を補助参加人と呼びます。これで本裁判の顔が出揃いました。
 
原告: Bさん  原告代理人: D弁護士 
被告: A君   被告代理人: C弁護士
補助参加人: あ〇おい損保    参加人代理人: E弁護士
補助参加人: ア〇サダイレクト損保  参加人代理人: F弁護士


 とまぁ、豪華絢爛、この裁判の出演者はこのように整理できます。普通、原告、被告、補助参加人の2社は裁判所に出廷しません。したがって実質はD弁護士 対 C、E、F弁護士 です。(弁護士は大繁盛ですね)
 
 あ○おいさんは裁判で「Bさんの請求額に対して意見がある」とし、今まで5年間特約の存在を黙っていながら堂々と医療調査を要求して、収束しかけた裁判を長引かせています。2度も自賠責保険調査事務所による医療審査を経ているのに、この場に及んでケチをつけてくる。今まで黙って様子見しておいて、いざ払う羽目になってから、反論してくる?これは厚顔無恥です。
 そもそもA君が訴えられているわけで、A君の弁護士に任せればいいのに?と思います。おそらく加害者側は心情的に被害者にできるだけ保険金を払ってあげたいのです。その気持ちを代理人であるC弁護士が汲み、反論が鈍る危険性を感じ…あ〇おいさんは黙っていられないのでしょう。
 
 もう被害者も加害者も関係なし、とにかくあ〇おいもア○サも「少しでも支払いを減らしたい!」のです。
 
 これはもはや交通事故、加害者と被害者 の争いではありません。
 
「障害補償を少しでも多く求める被害者」と「少しでも払いたくない保険会社」の争いです。
          
     
 総括するとBさんは加害者のみならず、二つの保険会社による2つの「隠れ特約」に翻弄されたのです。おかげで普通なら治療後1年で解決するはずの事故が4年以上かかっているのです。
 
 信頼しているD弁護士は孤軍奮闘ながら冷静着実に審議を進めています。
 
 はたして結果は?物語はここまで。判決はこの夏を予想、いずれ報告します。
   

 資本主義社会では、民間企業であり利益追求を至上とする保険会社の「払い渋り姿勢」は正当な業務であると言えます。この物語に登場する担当者も普通に仕事をしているに過ぎません。私もそれぞれの立場を理解しているつもりです。

 しかし多くの契約者から集める掛け金は「一人は全体の為、全体は一人の為」の相互扶助精神に活かされるものです。今回のケースは特約の隠ぺいと言われても仕方ない。周知義務の不徹底、説明義務の怠慢を超える対応ではありませんか。正当な業務での支払削減なら契約者全体の利益となります。しかし冷徹な駆け引きや姑息な手段を使って特約を隠匿し、支払いを削減しようとする振る舞いに対して、問題を提起したいのです。

 保険会社社員はもちろん、交通事故に関係するすべての事業者に是非とも道徳的観点に立った仕事をしてほしいと思います。 私の知っている保険会社社員は皆まじめで誠実、一生懸命仕事をしています。それはア○サさんやあ○おいさんの社員も同様です。保険会社は社会のセーフティーネットであり、被害者を助ける仕事です。自身の立場を言い訳とせず、自分の子供に胸を張って自らの仕事を説明できるよう、会社組織の圧力に負けず、少しの良心を持って、わずかでも踏ん張ってもらいたいと思います。

 「お父さんの仕事はね、会社の儲けのために被害者がかわいそうでも、できるだけお金をあげないように頑張る仕事だよ」・・・そんな父親になってほしくありません。