本件では、珍しく認定等級の見通しを外しました。もちろん、すべての障害を漏らさず網羅した申請なので、等級を取りこぼすことはありませんが・・。

 人体の関節の機能障害では、その可動域制限が認められるには、医学的に(物理的にと言った方が?)関節が曲がらなくなる理由が必要です。最たるものが関節内骨折です。変形の具合によっては、関節の動きを邪魔するからです。ですので、関節部から離れた骨折、その関節の可動に影響ない癒合状態では、可動域制限は疑われるのです。

 また、骨折が関節に直接及ばなくても、腕や脚の骨折でその骨癒合を待つ間、関節を動かさないでいると、やはり、曲がりが悪くなります。しかし、その可動域制限は2次的な症状と判断され、「リハビリ不足」のレッテルから、後遺障害と認めないのです。例外として、関節を動かす神経が断絶した場合、その神経麻痺を原因に認める場合があります。    頚椎はじめ脊椎の可動域制限は、その可動をつかさどる部位でなければ否定されます。例えば、腰椎破裂骨折の場合、第4~5腰椎がひどく破壊されれば、もしくは3椎体以上にまたがる固定術で固定されたら、腰椎の可動域制限があって然りとなります。それが、第1~2腰椎では、”腰の曲がりに影響しない”と判断されます。横突起が折れた程度では、これも同じです。

 以上が、非公表ながら自賠責の認定基準であると把握しています。

 本例の場合、基準通り、頚椎の横突起は頚部の可動に影響しません。では、椎間関節は可動域に影響するのか?・・これが本例から判明しました。文字から椎間関節は、関節内骨折の響きがありますが、「頚椎部の運動障害」の根拠となる部位としては重要視していませんでした。神経症状狙いのところ、普通に可動域を主治医に記載頂き、審査に付しました。結果は以下の通りです。   これも貴重な認定例になりました  

8級2号:第7頚椎横突起・椎間関節内骨折(40代男性・東京都)

  【事案】

自動車の後部座席に搭乗中、交差点で信号無視の自動車の側突を受け、自動車が横転したもの。頚椎、鎖骨を骨折、頭部は硬膜下出血、顔面は切創、以後、強度の神経症状が続いた。

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 後遺障害ではなかなか珍しい傷病名ですが、近年増加しており、まとめてみたいと思います。    まず、パニック障害とは、不安障害に属するものであり、その他に「恐怖症」、「強迫性障害」、「外傷後ストレス障害(PTSD)」、「急性ストレス障害」、「全般性不安障害」、「一般身体疾患による不安障害」、「物質誘発性不安障害」、「特定不能の不安障害」に分類されるようです。「不安障害」というのは、精神疾患の中で、不安を主症状とする疾患群をまとめた名称です。その中には、特徴的な不安症状を呈するものや、原因がトラウマ体験によるもの、体の病気や物質によるものなど、様々なものが含まれています。中でもパニック障害は、不安が典型的な形を取って表れている点で、不安障害を代表する疾患のようです。  

 不安障害の原因については、まだ十分に解明されていないのですが、かつては心理的要因が主な原因であると考えられてきました。しかし、近年では、心因だけではなく様々な脳内神経伝達物質系が関係する脳機能異常(身体的要因)があるとする説が有力になってきているようです。パニック障害では、大脳辺縁系にある扁桃体を中心とした「恐怖神経回路」の過活動があるとする有力な仮説があります。大脳辺縁系は本能、情動、記憶などに関係する脳内部位で、扁桃体は快・不快、怒り、恐怖などの常道の中枢としての働きをしています。内外の感覚刺激によって扁桃体で恐怖が引き起こされると、その興奮が中脳水道灰白質、青班核、傍小脳脚核、視床下部など周辺の神経部位へ伝えられ、すくみ、心拍数増加、呼吸促迫、交感神経症状などのパニック発作の諸症状を引き起こしてくると考えられています。

 尚、パニック障害は何の理由もなく突然パニック発作が出現することが典型的とされているようですが、「過去に何らかのきっかけがあった」、「発症前1年間のストレスが多い」、「小児期に親との別離体験をもつ」などの心理的要因があることが多いという報告があるようです。

 その他にも社会的要因にも原因があることが分かっています、現代だと「新型コロナウイルス」による影響が今後出てくるのではないかと思われます。  

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 高齢者が転んで入院すれば、即に認知症を発症するか症状が進行します。脚を骨折すれば二度と歩けなくなる、これはむしろ普通のことです。しかし、これが交通事故によるものなら、認知症や寝たきりの責任をすべて加害者に求めることができるのでしょうか?  

 二次的な障害の発症・進行は、”間接損害”と呼ばれ、常に賠償上の難しい問題となっています。交通事故によって直接破壊された部位でなければ、また、直接の原因がなければ、その後遺症は自賠責保険の認定基準から外れます。すべての障害を、老若男女・十把一絡げで判定する自賠責保険の限界を感じるところです。自賠責は良くも悪くも平等、個別具体的な事情は後の賠償交渉で決着するしかありません。

 本件は、受傷初期からそのような事情をご依頼者に説明、症状固定をいたずらに伸ばすことなく、骨癒合をみて8か月目にしました。年齢と骨折箇所から、早期の症状固定と言えます。      秋葉は内孫、おばあちゃん子でしたから・・   11級9号:中足骨・基節骨骨折(90代女性・栃木県)   【事案】

道路を横断中、自動車の衝突を受けたもの。骨折箇所は、上肢は左上腕骨骨幹部、下肢の脛骨・腓骨は骨幹部、右肋骨、左骨盤、右足趾は母指・基節骨、第2~5中足骨。加えて頭部・顔面の打撲。   【問題点】

足趾(足指)を除いては、骨折箇所が関節に直接影響を及ぼさない所ばかり。上肢・下肢は骨幹部で、予後の癒合は良好。また、肋骨と骨盤(恥座骨)も癒合さえすれば、深刻な障害は残らない。しかし、高齢者である。上肢は肩関節、下肢は足関節の拘縮が進み、可動域制限が残存した。

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 多発骨折と言っても、癒合さえすれば問題を残さない部位があれば、深刻な後遺症となる部位もあります。傷病名が複数の場合、その整理をしながらの作業になります。症状固定時に残る後遺障害等級を想定した設計図を描くこと、これが専門家の仕事です。

 本件は、諸事情から回復が進まず、症状固定まで時間がかかりました。2年を待ちましたが、なんとか取りこぼしなく、設計図通りの認定を得て、弁護士に引き継ぎました。十分な逸失利益獲得へ準備は整いました。

 症状固定まで2年、大過なく認定へ   10級10号、12級5号:鎖骨骨折(30代女性・千葉県)   10級11号:足関節脱臼骨折(30代女性・千葉県)   続きを読む »

 今回は、醜状痕と脊柱の変形の両方が認定されたケースです。それに、神経症状の14級9号の認定が加わりました。   前回 ⇒ 実績投稿:神経症状の認定にこだわる ① 顔面の骨折、その逸失利益請求に備える

    実績投稿:神経症状の認定にこだわる ② 脊柱の骨折、その逸失利益請求に備える    もっとも、本件の場合、剛腕振るって認定をねじ込んだわけではなく、頚髄損傷の診断名から14級認定が容易でした。頚髄損傷(脊髄損傷)も軽重、症状の差があります。しびれも深刻な症状ですが、完全麻痺ですと一生手足が動かなくなります。奇跡でもなければ、ほぼ治りません。それに比べれば、痛み・しびれは軽減の余地がありますから、14級は妥当かもしれません(画像所見さえ抑えられたら12級13号ですが・・)。

医師の初期診断では、MRIを診ずに脊髄損傷(の疑い)の診断名は多いものです  

14級9号:中心性頚髄損傷(40代女性・埼玉県)

【事案】

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 醜状痕の後遺障害認定基準は ↓ にまとめてあります。     実績ページ:醜状痕    問題は、この表に合致しないケースです。今までもいくつかありましたが、面接による審査で柔軟に判定頂きました。本例もそれを期待しましたが、追加提出の写真から普通に基準に当てはめた判断でした。その認定自体、不当とまでは思いませんが、被害者さんの心情を思うと、もう少し悩んで欲しかったように思います。   面接審査が減る一方に感じます  

12級14号:顔面瘢痕(40代女性・埼玉県)

【事案】

歩行中、信号のない道路を横断中、原付バイクから衝突される。腰椎破裂骨折、頚髄損傷の他、顔面を強打した。

【問題点】

額に皮下血腫、顎下に4cm以上の線状痕があったが、線状痕については、正面からは分からない場所にあった。また、皮下血腫については、10円玉以上の瘢痕があったが、7級の「組織陥没」に皮下血腫の凹凸が適用されるのかが問題となった。

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 直ちに弁護士介入すべき事故もあれば、相手の反応を窺うように、まず、本人からの請求とすることがあります。    自賠責保険や労災が絡まない事故の場合、その後遺障害等級は誰が決めるのでしょうか? 多くの場合、企業・スポーツ施設は施設賠償責任保険を付保しています。加害者側である、その保険会社の”自社認定”の審査に付すことになります。すると、お手盛り審査ですから、最初から弁護士が介入するのは得策ではありません。施設側の保険会社は、被害者と穏便に(つまり、安い保険金額)相対交渉で解決する期待を持ちます。ですから、相手の等級回答を待ってから、弁護士介入が望ましいのです。これを、私達は「時間差介入」と呼んでいます。交渉事ですから、駆け引きは当然で、綺麗ごとだけでは済まないのです。    本件もその形を取りましたが、高望みなく、妥当な等級に落ち着きました。一方、施設側(裏に隠れた保険会社)も、最初から賠償保険の存在を隠し、安い傷害保険金のなめた提示をしてきたのですから、お互いさまです。    このような企業保険では、約款上、自動車保険のように担当者がじかに示談代行をしません。相手保険は加害者側企業の後ろに隠れて、操ることになります。その点からも、自動車保険の示談代行は便利です。お金を取っての示談代行は、非弁護士行為との指摘もありますが、保険会社の示談行為は、弁護士会が許している数少ない例です。このような企業の賠償保険でも、お互い駆け引きの無駄をなくすためも、示談代行OKとすべきかなぁ、少し思います。   現場調査でコースを回ってみたかった(経費で落ちますよね?)    

施設賠償11級7号:胸椎・腰椎圧迫骨折(50代男性・神奈川県)

  【事案】

ゴルフのプレイ中、キャディが操縦するリモコン式カートが背後から衝突、転倒したもの。直後から全身の痛みに悩まされる。診断名は胸椎と腰椎の圧迫骨折となった。

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 腰椎や胸椎の骨折から、脊柱の変形=11級7号は画像と診断名だけで認定は容易です。しかし、後の賠償交渉では、11級の慰謝料は問題ないとして、相手損保は逸失利益を0円回答してきます。これは、最初に東京海上日動さんが、「単なる変形では痛みは消失傾向」、「骨再生が進めば限りなく治るもの」との医学的論文を根拠に、逸失利益を否定する流れを作ったと思います。他損保もそれに倣って、逸失利益0円回答が目立ちます。

 もちろん、そのように緩解する(症状が緩む)患者さんもいるでしょう。しかし、個別具体的に症状をみる基本は変わりません。多くの患者さんの場合、深刻か否か程度の差はありますが、一定期間は痛みや不具合が残るようです。

 したがって、自賠責保険の後遺障害認定において、「腰痛は(脊柱の変形と)通常派生する関係にある障害と捉えられることから、前記等級に含めての評価となります・・・」の文言を、認定書の理由に必ず残してもらうように申請しています。これで神経症状が内包されている評価になります。後に弁護士はこれを基に、痛みの継続を逸失利益(喪失期間5~10年)の請求根拠としています。本件に関しても、後遺障害診断書の記載に際し、主治医に自覚症状の記載を怠りなくお願いしました。さらに、別部位での14級9号認定も加えて、万全の状態で連携弁護士に引き継ぎました。     併合とならない14級9号の認定であっても、障害によっては無駄にならないのです     11級7号・14級9号:腰椎破裂骨折(10代男性・千葉県)

【事案】

バイクで直進中、左側民家から自動車が発進、衝突したもの。第1腰椎の破裂骨折は手術で前後3椎体を固定、他は両恥座骨、鎖骨、肩甲骨をそれぞれ骨折した。 受傷初期からご相談を頂き、入院先に訪問した。重傷案件ではあるが、術後から元気で、以後もどんどん改善が進んだ。「これが若さか」。

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 顔面醜状痕、顔に傷が残るのは辛いものです。老若男女によって、その障害によるダメージはそれぞれ格差があると思います。10年前の基準では男女で差があり、3cm線状痕では、男子は14級、女子は12級としていたのです。それが、男女差別として改正されたのは以下の通りです。    ⇒ 醜状痕は残らないほうがいい    現在、医療の進歩から、形成術、美容整形術でかなり消すことができるようになりました。本件の場合は瘢痕でしたが、手術によってわずかな線状痕まで回復させる見込みがありました。面積から7級となる瘢痕も、12級の線状痕まで治すことができそうでなのす。

 しかし、損害賠償金の請求上、これはかなり賠償金が減ることになります。自賠責保険の保険金額ですら、7級は1051万円、12級は224万円です。つまり、手術前に症状固定して1000万円もらってから、20~30万円自腹となる手術費を払う方が圧倒的に賠償金が手元に残ります。多くの被害者さんは、たいてい「完全に治るまで示談しない!」と治療を続けますが、12級まで治してしまうと・・224万円まで減るのです。だったら、手術は示談してから(賠償金をもらってから)が得ではないですか。    この損得勘定は、あさましい考えでしょうか?    私達はこう考えます・・・己の治療方針と賠償方針を選択するは、被害者の権利です。   私達の仕事は、その情報提供をすることです。  

7級12号:顔面醜状痕(10代女性・山梨県)

【事案】

自転車で信号待ち停止中、信号無視で交差点に進入してきた車が青信号で進入してきた車と衝突、その衝撃で歩道に乗り上げてきた車に跳ね飛ばされた。まったくの”とばっちり事故”。全身を強く打ち、多発骨折、顔面にも傷を負った。

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新型コロナウイルスの影響力

   2度目の緊急事態宣言が発令されるなど、関東では、新型コロナウイルスの猛威が止まりません。本当に医療従事者の方々には感謝してもしきれません。そんなコロナ禍においても、病院に同行することが多いのですが、交通事故被害者においても新型コロナウイルスの影響が少なからず、出始めております。    今回の依頼者は、交通事故にて顔面を骨折しており、受傷初期から味覚・嗅覚障害に悩んでおられましたが、耳鼻科にて診察を受けるだけで、具体的なことは何一つしていませんでした。そのため、耳鼻科の主治医に紹介状を依頼し、いつもお世話になてっている専門院へお連れしました。(ここでは、初診の当日に検査を実施してもらうことができますので、再度の検査受診が不要なこと、耳鼻科ではトップクラスの実績を持っておられるため、安心してお任せすることができます。)

 病院の玄関前にて問診表を記載すると、味覚・嗅覚に異常がある方については、診察を受けることができないかもしれないという説明を受けましたが、無事に診察を受けたところ、「新型コロナウイルスの影響で、味覚の検査については、実施することができない。これは、本日限りの話ではなく、新型コロナウイルスが落ち着くまでは、当面そのように対応しているため、味覚の検査については、大きい病院でやってもらってほしい。」とのことでした。    その後、味覚・嗅覚異常があるので、病院から抗原検査を受けるよう指示されたようです。それから約1時間後、抗原検査の結果について「陰性反応」が出たため、嗅覚の検査だけ受けて帰宅することになりました。本来であれば、ろ紙ディスク検査を受けるはずが、抗原検査を受けることになるとは思わなかったため、再度の紹介状手配や、検査先の手配等、ふりだしに戻ってしまった1日でした。

← おなじみ、T&Tオルファクトメーター検査

 そのうち、検査通院に際し、PCR検査での「陰性」結果が必須になってしまうのではないか、交通事故被害者の治療は二の次になってしまい、一刻を争う方が、新型コロナウイルスの影響によって不利益を被ってしまうのではないかと心配が尽きません。しかしながら、命が一番大切であることには変わりありません。命を第一優先に考え、その中でどのようにすべきか、一人一人が考えなければならないと考えさせられる日となりました。  

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 人身事故の被害者さんにとって、交通事故被害の回復とは、できるだけ治すこと、そして、少しでも多くの金銭賠償を得る事ではないでしょうか。    本例は、かつて相談会に参加された被害者さんの話です。面白かったので紹介します。    自転車走行中、自動車と衝突・転倒して、顔面裂傷に。病院で5針程縫ったそうです。幸い、他のケガは打撲・捻挫程度でした。事故から半年、相手保険会社からも慰謝料の提示が届き、解決に向けて相談会にいらっしゃいました。

 腕や脚の打撲では、整形への通院は最初の数回のみでしたので、神経症状の後遺障害は望めません。しかし、顔面の傷ははっきり残っておりました。後遺障害は顔面の醜状痕(線状痕は長さ3cmで12級14号)狙いとします。12級が取れれば、自賠責保険で224万円、弁護士介入後の慰謝料なら290万円の増額が見込めます。

 早速、計ったところ、2.5cm、3cmにわずかに至りません。顔面の線状痕は、頭髪や眉で隠れているところは対象外です。本件の被害者さんは、以下のイラスト(実際の自賠責保険の書類から勝手に改造、すみません)の通り、眉にまたがる傷で、眉の部分を計測から除外すると3cmに至らないのです。          12級14号は諦めか・・と私達は意気消沈、重苦しい空気が流れました。    するとその時、この被害者さん、なんと「それなら、眉を剃ります!」と宣言。    その想像図は以下の通り、    続きを読む »

 賠償金の目途が立たない・・当然、弁護士先生は報酬が見込めず、尻込みしてしまいます。まして、外国人で障害が複雑であれば、費用対効果から謝絶するでしょう。でも、そんな時こそ普段の宣伝「被害者救済」を思い起こして頂きたいと思います。

 良くてせいぜい、「等級が取れてから又来て下さい」の対応ですが・・本件の場合はその等級を取ることが難しく、等級認定こそが解決のすべてなのです。もっとも、何もできない、どうしたらよいかわからないのに受任する事務所も困ったものです。    本件の場合、交通事故に関する知識と経験が本物であれば、報酬の目途は立ちます。少なくとも秋葉事務所は、です。    そして、他事務所から見捨てられた困っている人を助ける”男気”でしょうか。    外国の方のご依頼も多いのです  

(別表Ⅰ)2級1号:高次脳機能障害(20代男性・千葉県)

【事案】

被害者は歩行者、交差点で飛び出して優先走行の大型車両と出合い頭衝突、受傷した。主な診断名は脳挫傷、外傷性くも膜下出血、上顎骨骨折、歯牙欠損。記憶と認知機能の低下、情動障害を残す高次脳機能障害に陥った。付随して、左半身麻痺、嗅覚・味覚障害を併発した。他にそしゃく・開口障害の兆候もあった。

事故状況から加害車両の任意保険の対応なく、自賠責保険しか頼れない状態。最大の問題は外国人であるが故、頼れるのは家族・親戚だけで、諸々の手続きが手詰まりの状態で相談会にいらした。

【問題点】

元々、来日すぐ日本語学校を卒業しており、日本語をマスターしていたはずが、まったく日本語を話せなくなった。母国語も意味不明な言動という。明らかに重度の情動障害、性格変化、易怒性、幼児退行がみられた。また、本人が自覚しているか怪しい味覚・嗅覚障害、そして半側空間無視の兆候から、それぞれ該当する検査が必要であった。しかし、多くの検査は日本語か英語、せいぜい中国語版しかなく、検査の徹底は無理であった。

当然、どこの法律相談、弁護士事務所も尻込みして受任して頂けない。賠償金の目途が立たず、日本語のコミュニケーションも困難、このような案件を受任できる事務所は、日本で秋葉事務所しかないと断言する。

【立証ポイント】

これこそ、厳密な過失減額がない自賠責保険が勝負を決する。幸い、国内在住のご親戚が日本語堪能であり、その協力で脳神経外科、整形外科、リハビリ科、耳鼻科、口腔外科、歯科を何度も往復、その病院同行回数は13回を数えた。さらに、カルテ開示、健保レセプトの開示なども加算された。外国人である故の不利はこれだけではない。日常生活状況を克明に掴むため、家族とも通訳を介して何度も質問を繰り返し、できるだけの完成度とした。これら、およそ8か月の調査を決行の末、審査に付した。

審査側の自賠責・調査事務所も大変だったと思うが、それでも当方の努力から、審査期間はわずか3か月半で済んだとも言える。傷害部分の120万円も、治療費を差し引いた残りの分も支払ってくれた。

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 今朝から、ある記事へのアクセスが↑↑↑で、なぜかなぁ~?と思っていたら、歌手のミーシャさんのおケガの記事をみました。    胸椎の横突起骨折との診断ですが、アクセスが集中したのは、これ ↓    頚椎の棘突起骨折:症状・後遺障害等級・慰謝料について解説    棘突起が読めなくて、検索したのかな、それとも、直接リンクが張られたのかも・・この記事は関連する記事や実績を盛り込んで、金澤が再編集したものです。思わぬ再ブレイク記事となりました。いつか、好情報や人気アクセスの記事をアンソロジー形式で、再UPしてみようかと思います。

 毎日、営業日に欠かさずUPしてきた業務日誌も、来年2月で10年を迎えます。      MISIAさん、落馬で大けが news23の取材中

 歌手のMISIAさんがTBSの報道番組「news23」の取材中に落馬し、胸椎(きょうつい)棘(きょく)突起部を骨折する全治6週間のけがをしていたことがわかった。同局が19日、発表した。MISIAさんは現在、自宅療養中だという。

 同局によると、同番組のクルーは15日午後、地方の乗馬クラブでMISIAさんが知的障害のある選手たちと乗馬をしながら交流するプログラムに参加する様子を取材。MISIAさんが乗馬している様子を撮影していた際、馬が突然スピードを上げ、落馬したという。MISIAさんはその後インタビューにも答えたが、翌日、医師の診察を受けたところ骨折が判明。同クラブのトレーナーからは「取材クルーの動きや機材に馬が反応した」と指摘されているという。

 同局は「取材中にけがをされたことについて、MISIAさんに心よりお見舞い申し上げます。当該の馬は調教されており、乗馬している人がコントロールできる状態にあったとのことでしたが、MISIAさんがけがをされることになってしまいました。取材クルーの動作や機材の存在が刺激を与えることになったのであれば、誠に申し訳なく、心よりおわび申し上げます」としている。

 当日の取材内容の放送についてはMISIAさん側から承諾を得られており、後日放送予定という。

 MISIAさんは公式サイトで、12月5、6日に予定していたクリスマス・チャリティ・ライブの中止とチケットの払い戻しを発表した。

<朝日新聞デジタル さまより引用>  

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  <第3問> 「ブラックジャック」から      『ブラックジャック』、漫画やアニメを観ない方でも知っているでしょう。彼の場合、左半面に移植した皮膚が青黒く、これは瘢痕になります。さらに斜めに10cmを超える線状痕(手術痕と思われる)がざっくり入っています。現在の技術では皮膚を再移植して、手術痕の縫い痕もレーザーで何回か焼き落とす手術をすれば、かなり目立たなくなります。なぜこのままなのかは、(答え)で解説するとして・・。

 それでは問題です。瘢痕と線状痕の両方が残存した、ブラックジャックの顔面醜状痕は何級でしょうか?      基準表だけでは判明しませんが・・。

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  <第2問> 「ゴールデンカムイ」から      こちらも大人気、アイヌブームの火付け役『ゴールデンカムイ』、もはや令和のスカーフェイス代表、ご存じ「不死身の杉元」登場!

 キズ=線状痕は長さで判断します。杉本の場合は、横1本縦2本ざっくりいってます(図の赤線)。彼の場合は日露戦争(有名な二百三高地)での負傷です。 実際、明治政府は日露戦争後の傷痍兵(しょうい軍人)へ、初めて国家の制度として補償を行った記録が残っています。

 さて、杉元 佐一の線状痕は何級でしょうか?    ヒント:通常、複数の線状痕が近接している場合、長さを合計して判定します。      これも、基準表を見ないとわからないでしょう。

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 秋葉は弁護士向けの研修で、後遺障害・醜状痕を度々取り上げました。醜状痕はややマニアックな分野であり、被害者さんや医師も、あまり注目していません。形成術は日進月歩ですから、ひと昔前と違って、かなり醜状痕は消せるようになりました。限りなく消せること、医学の進歩が進めば、認定は少なくなるのではないかと思います。

 さて、研修上では醜状痕の実例を漫画やアニメから説明すると、参加者の食いつきが良好で、実に理解が深まります。そこで、今日から3問、皆さまも一緒に考えて頂きたいと思います。クイズ大好きの秋葉が、今話題のアニメから(かなり便乗)、手塚 治虫先生の有名マンガまで、誰もが知っているキャラクターの力を借りて出題します。(著作権への配慮から仕方なく鉛筆でイラスト書きました)   <第1問> 「鬼滅の刃」から  

 このコロナ下、閑古鳥が鳴く映画館が満席に。空前の大ヒット、もはや社会現象『鬼滅の刃』から主人公 竃門 炭治郎。交通事故や労災ではなく、彼の額には生まれつき痣があります(イラストの赤い部分)。この醜状痕は、瘢痕(はんこん)に分類されます。瘢痕はその大きさ(面積)によって、等級が決定します。 さて、炭治郎の瘢痕は何級でしょうか?

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 いくらホームページで、「我こそは交通事故の専門家」と標榜しても、その実力は結局、依頼してみなければわかりません。商売上の呼び込みですから、これは仕方ないと思います。かつて、我こそラーメン日本一のテレビ企画があり、参加した全国のラーメン屋さんが腕を競いました、もちろんTVショーですから、全国すべてのラーメン屋さんの参加など無理で、本当の日本一かどうかわかりません。それでも、上位のお店はそれなりに箔が付くと思います。

 翻って、交通事故の被害者の代理人となって、賠償交渉を担う弁護士さんの優劣はどうでしょう。弁護士さんの実力はHPで誇る受任数より、裁判判例を取っているか否かに尽きると思います。裁判を数多くこなし、その中で後の事件に影響、指針を与えるような判例を取っている事務所は、まず間違いなく力量ありと言えます。

 私たちの業務である医療調査・保険手続きですが・・事務所の能力を数値化することは無理です。ミシュランのように★★★格付けなら可能かもしれませんが、まさか、交通事故被害者が覆面審査員として依頼者になることなど・・ないと思います。実力を数字にしずらく、比較・競争の機会もまずありません。しかし、本件では図らずも”違い”を見せることができました。

 先の2事務所ではまったく歯が立たなかった案件ですが、以下の通りに見事クリアしました。この成功の蓄積こそ、多くの弁護士事務所からの信頼・依頼に繋がっているものと思います。弁護士事務所からの評価・紹介数こそ、事務所の実力のバロメーターではないでしょうか。   知識・経験で勝っているだけではありません。それ以上に気合の差です!  

12級6号:橈骨・尺骨骨折(50代女性・茨城県)

  【事案】

自動車運転中、対向自動車が別の自動車と衝突、その反動でセンターラインを越えて衝突したもの。まったくのとばっちり事故。その衝突で、鎖骨、胸骨、肋骨、左橈尺骨、仙骨、腸骨を骨折、以後、長い治療とリハビリの日々となる。

【問題点】

折れ方から当然に手関節の可動域制限が残存した。しかし、症状固定時期に主治医に左手関節の計測をして頂いたところ、不正確な計測で機能障害の等級がつかないレベルに。

本件委任を受けた弁護士事務所は、医師面談に外注スタッフを2度にわたって派遣したが、いずれもこの主治医に再計測・修正を拒否された。もう1院のリハビリ先に出向くも、この主治医に遠慮したのか、どうしても診断書を書いてもらえない。2事務所のスタッフさん、まったく役に立たず。

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 匂いの件では、嗅覚障害、その脱出と減退の基準は凡百のホームページですでに説明しています。

 問題は、T&Tオルファクトメーターの検査を熟知しているのか否か、確実に検査誘致できるかです。弊所ではそれこそ、全国の嗅覚障害の被害者さんから相談を頂いています。    基礎知識の復習 ⇒ 嗅覚・味覚の検査    さらに詳しく(弁護士向け講習会のテーマ)⇒ 演習問題     匂いに異常を訴える被害者さんに対して、しっかり嗅覚検査に誘導できるのか? これこそ事務所の実力です。しかし、残念ながら知識はあるものの、実際に嗅覚の検査に誘致できる事務所は、弁護士、行政書士含め、ほんの一握りかと思います。障害の立証に長けた本物が少ないゆえ、秋葉事務所の電話は鳴りやまないのかと思います。

 しかし、匂いの障害とは不思議なものです。被害者さんの多くは味覚障害と一緒に症状を訴えます。双方一緒の検査は珍しくありません。風味障害と言って、匂いを感じなくなると、味覚も減退することが多くなります。味を感じる器官より以上に、匂いに準じて味を感じてしまうことがあります。匂いから味を脳が判断することがあるのです。「コーヒーは味より香り」の理屈です。

 直接、嗅覚神経がやられる顔面骨折、頭蓋底骨折は嗅覚障害の疑い濃厚です。一方、脳損傷による嗅覚障害は弊所ではおなじみで、多数の認定例があります。高次脳機能障害からの派生になりますが、被害者さんによっては嗅覚の減退ではなく、過敏になった方もおりました。電車に乗ると、女性の化粧品の匂いが異常に匂うようになり、とくにシャネルのNo.5など特定の香水が気になるそうです。そのレベルは、頭痛すら催すほど耐えられないのです。我慢できず、「君の香水のせいだよ♪」 と、電車を降りてしまいます。嗅覚障害は脱失(まったく匂いがしなくった)や、減退(一部の匂いがしなくった)だけではないのです。

 後遺障害等級は脱失で12級、減退で14級ですが、過敏には等級認定がありません。今後、弁護士が個別具体的な症状として法廷で争うことに期待しています。全国の弁護士先生に呼び掛けたい、味覚・嗅覚・聴覚・視覚これら感覚器障害で本気で戦うのであれば、是非、秋葉事務所も仲間に入れて頂きたいと思います。

 秋葉は、T&Tオルファクトメーター検査のキットを買おうと考えた事務所ですよ(イソ吉草酸とスカトールの強烈な悪臭から購入を断念しました)。       君のドルガバ、シャネル、ディオールも・・・ある意味、後遺障害に関わります。  

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 めまいと言えばヒッチコックの映画、そして、事務所の売上表を見る時でしょうか    交通事故などの外傷に限らず、めまいに悩まれている方は多いと思います。めまいの原因は様々で、眼神経そのものに原因がある場合、耳の三半規管の異常、脳神経の影響、自律神経の障害など・・それぞれ、受診科も違いますので、まず、原因部位を特定しなければなりません。まして、交通事故によるむち打ちで発症した場合、その立証は険しい道です。最初から医師と検査設備に恵まれることなど稀です。また、賠償上の理由からですと、本例のように医師が取り合ってくれません。    本件は「外側半規管耳石症(クプラ型)」が診断されたものです。運よく、検査や診断書が整ったので等級認定に至りました。秋葉事務所としても、事務所の経験則に大いに寄与する、貴重なケースとなりました。    続きを読む »

 交通事故の解決において、”多くの場面”で弁護士の活躍は欠かせません。しかし、”すべての場面”ではありません。必ずしも賠償交渉が必要ではないケースも存在します。

 本例の場合も、受傷初期の段階で賠償金を十分に勝ち取れるか否か、法律の専門家である弁護士ですら判断するのは難しく、受任はある意味ギャンブルとなります。仮に弁護士費用特約があったら、受任はしてくれますが、恐らく「等級が取れるまで」待っているだけで、それまでは、女性事務員が電話対応のみ、ほとんど放置は目に見えています。

 これは、「細かいことは自分でやって下さい」「弁護士の仕事は賠償交渉だけ」と考える法律事務所が多いからです。しかし、自分ですいすい諸事務を進めていける被害者さんばかりではありません。こうして、多くの被害者さんは難渋の日々を送ることになるのです。

 弁護士以外の活躍が望まれる場面、本例はその典型だと思います。   私達に任せて!  

11級7号:胸椎圧迫骨折(40代男性・神奈川県)

【事案】

原付バイクで走行中、交差点で左折の際に転倒し、さらに後続車にひかれて受傷した。顔面や肋骨を骨折、第11胸椎を圧迫骨折した。

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