もう、最初から肋骨変形狙いでした。左右14本バキバキで、14級ではかわいそうです。おそらく審査側も同じ感想をもつはずです。初期の相談から、丁寧にフォローを続けて、体幹骨の変形12級を鎖骨・肋骨双方で達成しました。  その後の賠償交渉では、本来、逸失利益の見込めない鎖骨・肋骨の変形でありながら、連携弁護士はしっかり交渉で確保しました。折れ方や治療経緯をみれば、痛み・不具合の残存は強く残るはず、逸失利益が生じて然るべきと思います。

なかなか取れない肋骨変形、弊所では3例目の成功です  

併合11級:鎖骨・肋骨骨折(50代女性・静岡県)

  【事案】

自宅の敷地内に停車中、自車からドアを開けて荷物を降ろしている際、後方から前方不注意の自動車の衝突を受け、体がドアに挟まれ受傷したもの。右鎖骨と左右14本の肋骨が折れた。   【問題点】

当初、退勤時であることから労災適用の可能性があった。ただし、途中の買い物により、寄り道で免責の可能性が・・。トライしてみましょうと申請のところ、労災OKとなった。

症状としては、骨癒合が中々進まず、激痛に耐えながら症状固定まで13カ月を要することに。また、症状固定後も、リハビリしていた整形外科が閉院してしまうなど、山あり谷ありであった。

当初から注力した部位は、肋骨の変形癒合(12級5号)。「裸体で確認できる」ことが条件であるが、多くの場合、外側から確認できるほどの変形に至らない。   【立証ポイント】

骨癒合をじっくり待って、仕上げの作業に移った。鎖骨の撮影は慣れたもので、簡単に変形・左右差を確認できた。肋骨は、家族に協力により撮影角度などを工夫して残した。また、治療経過や困窮点など、文章4頁で補完した。

そのような努力が審査側に伝わったのか、鎖骨と肋骨、双方に12級5号が認定された。ひどいケガであることは審査側もわかっているはず。必要書類となる診断書と画像だけではなく、それ以外の添付書類を緻密に作成すること、これらの立証努力は審査側の助けにもなるのです。 続きを読む »

 最初に言いますが、保険会社は悪意をもって払い渋りをしたわけではないと思います。後遺障害についての知識が無いがゆえに、保険請求を抑制しようとしたのだと思います。

 自動車保険に付保されている、自身のケガの為の保険は、1に人身傷害保険、2に搭乗者傷害保険、3に自爆事故に限定した自損事故保険です。1と2は、保険請求しても、翌年の無事故割引に影響がありません。3の自損事故だけ、割引等級が下がります。したがって、少額の保険金ならば請求しない、といった判断になります。ところが、本件は「少額ではない!」と、秋葉は画像を観て判断しました。その顛末は以下の通りです。 あらゆる保険請求、ご相談下さい

自損事故11級7号:腰椎圧迫骨折(20代男性・東京都)

【事案】

バイクで走行中、カーブでスリップ・転倒したもの。レントゲンで腰椎に圧迫骨折があり、コルセット固定とした。

  【問題点】

単独事故である故、自身の自動車保険からの支払いとなる。人身傷害保険が未加入だったので、搭乗者傷害保険から支払いを受けていたが、自損事故保険についての案内がなかった。

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 今年に入って、頭部外傷から調節能力の低下を訴える被害者さんの検査を手配しました。調節能力とは、簡単に言うと、近距離の文字が見えない、ピントが合わない状態で、老眼のことです。秋葉も数年前から老眼で不便しています。その障害の立証には、検査としてアコモドポリレコーダーが必要です。この設備ですが、大学病院の眼科であっても必ず置いていいるわけではなく、わりと老舗の個人眼科に置いてあったりします。   👉 老眼と調節機能障害、その検査    今回も検査先に誘致、無事に検査を終えました。検索すると、弁護士などのホームページで、「調節能力の検査には〇〇検査が必要です。」と書かれていますが、さて、実際に検査先に誘致できるものでしょうか・・。被害者救済とは以下のプロセスを指します。    検査できる病院に誘致 → 検査結果を回収 → 適切に記載された診断書を確保 → 自覚症状などの文章作成    これら具体的な実働が必要なのです。知識のアドバイスだけでは、多くの被害者さんは路頭に迷うと思います。知識だけとは「絵にかいた餅」なのです。

 

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 弊所への死亡事故の相談は、年に平均1~2件でしょうか。最近では、令和5年に2件、今年も2件、受任となりました。

 死亡事故では、秋葉の医療調査はほとんど生じません。99%弁護士の仕事になります。それでも、わずかに書類収集を担うこともあります。また、原因調査と言いますが、事故現場の実調をすることもあります。事故状況の詳細は、後に弁護士が開示する刑事記録で足りますが、被害者側としても検証すべきことがあります。今年、解決の2例を挙げておきます。   わずかでもお役に立ちたいと思っています   死亡:急性硬膜下血腫(80代女性・神奈川県)   死亡:胸腹部外傷(40代男性・埼玉県)  

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 昨日の続きです。事件の顛末と、高次脳機能障害以外の認定、3部位を紹介します。    人身傷害へ裁判基準の慰謝料・逸失利益を回収するため、裁判前提で進めてきましたが・・ご本人が復職されて回復が進んでいること、労災で高次脳機能障害がほとんど認められなかったことで、訴訟上、後遺障害等級の維持が危ぶまれます。裁判での実質審議を避けるか、チャレンジするか・・ご本人・ご家族、弁護士と慎重に協議を重ねました。そして、人身傷害の低い基準ながら、その支払いで矛を収めることが得策と判断しました。    自賠責保険は早々と3カ月で認定を取りましたが、労災・障害給付の申請と続く審査請求、人身傷害の提示待ち・・・これらで2年近く徒過しました。長期間の苦しい戦いでした。    難しいコントロールとなりました    高次脳機能障害以外の主な認定結果は以下の通りです。    12級5号:肩鎖関節脱臼   11級7号:第2頚椎骨折   14級相当:嗅覚障害  

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 精子・卵子が出来なくなった場合です。交通事故では珍しく、秋葉事務所でも認定は1件のみです。一方、勃起障害(ED障害)はいくつの相談・受任がありました。ざっと等級は以下の通りです。   (男子)

・常態として精子が存在しないもの = 7級相当   ・勃起障害、射精障害 = 9級相当    いずれも、単なる泌尿器科では対応できないことが多く、勃起障害を立証するリジスキャン検査を実施できる病院は限られます。   (女子)

・常態として卵子が形成されないものは7級相当     7級相当:生殖機能障害+11級10号:排尿障害(20代男性・東京都)   【事案】

 歩行中、自動車の衝突を受け、骨盤を骨折した。自動車は逃走したが、後に逮捕され、幸い任意保険の存在を確認できた。内臓損傷は数箇所に及び、大腸・小腸の切除と一時的な人工肛門の増設を含め、腹部に数度の手術を施行した。不幸にも、最初の術中に低酸素脳の状態が生じ、脳にも障害を残すことになった。主な症状を列挙すると、生殖機能、排便・排尿の障害、脳由来の神経症状から軽度の言語障害と易疲労性、体感バランス・筋力の低下、4肢の軽度麻痺、さらに、胸腹部・背部・臀部の広範囲に瘢痕・手術痕を残した。   【問題点】

 非常に多くの障害を残したことから、検査、診断書記載について、それぞれ担当した専門科の医師の協力を取り付ける必要があった。自賠責保険が規定する障害の系列について、立証作業を整理・構築でき、必要な検査を熟知している事務所に依頼できるか否か・・本件事故の解決の第一歩を誤ってはいけない。   【立証ポイント】

 ご本人・ご家族は各事務所を吟味し、その評価から弊所を選んでいただいた。ご期待に応えるべく、まず、後遺障害を系列ごと3つに作業を分類し、それぞれの主治医に面談を重ねた。生殖機能障害の立証については、2つの面から試みた。   続きを読む »

 泣きそうになりますが、以下等級を確認します。   (男子)

・両側の睾丸を失ったもの = 7級13号

・陰茎の大部分を欠損したもの「生殖器に著しい障害を残すもの」 = 9級17号

・一側の睾丸を失ったもの「胸腹部臓器の機能に障害を残すもの」 = 13級相当

(女子)

・卵巣喪失 = 7級相当

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 秋葉事務所には珍しい傷病名のご相談、受任が多いのですが、振り返るとシモの後遺障害も多数経験しております。排尿障害は毎度の症状で、件数も多いのですが、排便の認定は今のところ1件です。    シリーズ1回目は、排尿障害について実例から振り返ります。

 排尿障害とは、おしっこにまつわる後遺症です。大きく分けて、① 閉尿(尿がでない、でづらい、尿意が乏しい)、② 頻尿(尿の回数が頻繁になる、尿意がありすぎる)、③ 尿失禁(尿意がすると我慢できない、くしゃみ程度で漏れる、知らずに漏れてしまう)です。事故外傷では、主に腰椎・骨盤の骨折後、馬尾神経にダメージが加わると発生します。

   等級は程度に応じて、   ① 閉尿 = 9級11号・11級10号・14級相当 

 排尿検査(ウロフロー)の残尿量、あるいは糸状ブジー(※)の使用によって程度が決まります。    ※ ブジーとは?・・・食道、直腸、尿道、尿管、鼻涙管など、管状臓器の内径を拡張させるために用いる医療器具。    ② ...

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 自動車の衝突の際、シートベルトのテンションがかかり、人体をシートに保持します。それで、フロントガラスへぶつかることなく人体を守ります。一方、ベルトの締め付けから、胸に青あざが残ることがあります。また、女性に多いのですが、ベルトの締め付けで鎖骨や肋骨、胸骨が折れることもあります。

 本例もベルトによる受傷と思いましたが、ご本人の説明ではエアバックは開かず、ハンドルに胸を強打したとのことです。本件の被害者さんは小柄の為、シートをかなり前方にしており、ハンドルと体の間がわずかだったことがその理由です。

 胸骨自体は、亀裂骨折程度なら、保存療法で癒合を待つのみです。ただし、胸骨が折れるほどの衝撃から、胸部の痛み、軽い呼吸困難が続きました。14級が認定されてしかるべき案件でした。

胸骨での認定は少ないものです  

14級9号:胸骨骨折(70代女性・静岡県)

【事案】

業務で自動車を走行中、細いカーブにて対向車が目測を誤り、当方に寄ってきて正面衝突したもの。衝突角度からかエアバックは開かず、胸部をハンドルに打ち付け、胸骨の骨折となった。胸骨は保存療法とされたが、頚部・腰部を含め胸部の激痛からリハビリを継続することになった。   【問題点】

過失割合に争いがあり、相手損保は30(当方):70(相手)の主張。過失減額を考慮して労災治療とした。また、治療先の医師との関係が上手くいかず、医師から早期の打切りを宣告された。   【立証ポイント】

病院に同行して、再三病院側を説得した。なんとかリハビリを継続させ、6カ月目で自賠責、労災共に申請に漕ぎつけた。

結果、胸部、頚部、腰部にそれぞれ14級9号がついた。もちろん労災からも14級で特別給付8万円を確保、自車の保険からは特別給付金が支払われ、最終的には、弁護士の交渉で過失割合を10:90程に修正、追加で200万円余りを追加獲得した。

医師に嫌われると等級は取れません。つまり、200万円を失うところだったのです。東京からわざわざ病院同行する意味があるのです。  

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 同時期に、もう一人耳鳴りを訴える被害者さんを、秋葉が担当しました。その方は、2回、後遺障害申請を重ねましたが、「難聴」と「耳鳴り」は否定されました。事故前に症状はなく、受傷直後から症状を訴えていたにも関わらず、耳鼻科の受診と検査が遅れ、その後も継続的に治療や検査を行わなかった為、症状は加齢によるものと判断されてしまったのです。お人柄はウソや不正を行うような人ではありません。むしろ、正直者に過ぎ、医師が「加齢では? 事故のせいかわからない」と言われて、通院の継続を止めてしまったのです。丁寧に経緯を説明し、熱心に書類を揃えて提出しましたが、取り繕うことは叶いませんでした。

 一方、本件被害者は耳鳴りの認定を得ました。両者の運命を分けたのは、タイトル通り、受傷初期からの耳鼻科を受すること+継続的に治療や検査を重ねることです。これらが、事故外傷との因果関係を担保するのです。

だから、早めのご相談をお願いします。  

12級相当:耳鳴り(50代男性・埼玉県)

【事案】

原付バイクで信号のある交差点を直進中、対向車線の右折車に衝突される。直後から耳鳴りが発症した。

  【問題点】

受傷初期から発症しているものの、骨折などの器質的損傷がないため、事故による症状と信じてもらえるかどうかがカギとなる。   続きを読む »

(4)後遺障害のポイント   Ⅰ. 頭部外傷 高次脳機能障害認定の3要件?

① 頭部外傷後の意識障害、もしくは健忘症あるいは軽度意識障害が存在すること、

② 頭部外傷を示す以下の傷病名が診断されていること、

③ 上記の傷病名が、画像で確認できること、

 そして、②の頭部外傷の傷病名には、脳挫傷、急性硬膜外血腫、びまん性軸索損傷、急性硬膜下血腫、びまん性脳損傷、外傷性くも膜下出血、外傷性脳室出血、低酸素脳症と記載されています。

 この低酸素脳症が、肺脂肪塞栓、脳脂肪塞栓に合併する後遺障害、高次脳機能障害となります。   Ⅱ.

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肺脂肪塞栓(はいしぼうそくせん)   (1)病態

 骨折の合併症の中で、最も重篤なものです。骨折により損傷した骨髄中の脂肪滴が、破綻静脈内に入り、脂肪滴が静脈を通じて大量に全身に循環した結果、肺や脳などに脂肪による塞栓が生じると、重篤な呼吸・神経麻痺を起こします。

 多発外傷>骨盤骨折>大腿骨骨折>脛骨骨折の順で発症の可能性が高く、上腕骨骨折、頭蓋骨々折、胸骨々折や肋骨々折では、まったくと言っていいほど報告がありません。骨折と脂肪塞栓の因果関係について、外傷後の骨折の結果、体内の脂肪代謝が変化し脂肪塞栓を引き起こしているのではないか? そんな学説もあり、現在も、原因は特定されていません   (2)症状

 通常は受傷後、12~48時間の潜伏期を経て発症、多くは発熱、頻脈、発汗が初症状で、過半数の症例に前胸部や結膜に点状出血=赤いポツポツが見られます。肺に塞栓が生じたときは、胸痛、頻呼吸、呼吸困難の症状を訴え、低酸素脳症に発展したときは、意識障害を起こします。詰まった脂肪が大きく、太い血管に詰まったときは、ショック状態で死に至ります。    余談ですが、歌手のフランク永井さんは交通事故ではありませんが、この低酸素脳症で歌手復帰ができないまま、お亡くなりになりました。呼吸症状のために急速なヘモグロビンの低下を招き、動脈血ガス分析=動脈中の二酸化炭素や酸素量を調べる検査では、70㎜Hg以下の低酸素血症を示します。

 肺に塞栓が認められるケースでは、肺のXPで、両肺野に特有の snow storm =吹雪様の陰影が見られ、脳内に塞栓が生じたときは、MRIで、急性期には点状出血に一致してT2強調で白質に散在する高信号域の小病巣がみられます。 続きを読む »

肺血栓塞栓(はいけっせんそくせん)

(1)病態

 心臓から肺へ血液を運ぶ血管である肺動脈に、血液や脂肪の塊、あるいは空気などが詰まり、肺動脈の流れが悪くなる、閉塞してしまうことを肺塞栓症と呼んでいます。血栓が原因では、血栓塞栓、脂肪では脂肪塞栓、空気では空気塞栓と呼ばれています。

 これらの中では、肺血栓塞栓症が最多となっていますが、交通事故で発症することは稀です。次に多いのは、交通事故や外傷などで、下腿骨を骨折したとき、骨髄にある脂肪が血液の中に入り、静脈を通って肺に詰まる脂肪塞栓で、複数例を経験しています。

 余談ですが、最後の空気塞栓は、疾患ではなく、自殺目的です。静脈に空気を注射すると、その空気は泡となり、血管の中を流れ、最後は肺で詰まるのです。ある心臓外科医は、七転八倒の苦しみであり、自殺の中では、最悪の選択と言っています。

 肺血栓梗塞は、塞栓により、肺組織への血流が途絶え、その部位から先の肺が壊死するものです。代表的には、下肢の静脈内でできた血栓が肺に詰まるエコノミークラス症候群です。飛行機を利用する海外旅行では、座ったまま、長時間同じ姿勢で過ごすことが多く、下肢の深部静脈内に鬱血が生じ、この血流の停滞で、血液が固まり、血栓ができることが予想されます。目的地に到着、飛行機から降りようと立ち上がり、歩き始めたときに、血栓が血液の流れに乗って移動し、肺動脈を閉塞するのです。長時間の座位を続けるのではなく、ときどき、下肢の屈伸運動をする、脱水にならないように水分を十分に補給することが、予防になります。    症状・治療・後遺障害のポイントは、次の肺脂肪塞栓で、詳細を解説しています。     次回 ⇒ 肺脂肪塞栓  

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 弊所の実績を観ても、肋骨骨折は明らかな変形が無い限り、等級はつかないものです。変形の12級5号、痛みの13号はもちろん、14級9号がつくとしても、近い部位である腰椎捻挫で認められる傾向です。この点、本件は肋骨骨折後のわき腹痛に14級がついた珍しい例と言えます。

 他に、プラトー骨折の14級9号、腰椎横突起骨折後の腰痛に14級9号がつきました。これらはお馴染みの認定でしょうか。 また、自賠責保険の有責条件である”他人性”、後の賠償問題では主婦性の立証など、勉強になる論点が目白押し、新人さん向けの研修になるような案件でした。   ついでの認定かな?

14級9号:肋骨骨折・腰椎横突起骨折(70代女性・静岡県)

【事案】

友人の自動車の後部座席に搭乗・走行中、交差点を赤信号で直進、対抗右折車と衝突したもの。明らかな赤侵入のため、直進車の過失が100%となった。すると、被害者にとって自車の運転者が加害者となる。その損保社の対応で治療を進めていた。骨折箇所は膝(脛骨近位端)と肋骨、腰椎横突起。   【問題点】

肋骨、腰椎横突起共に、ひどい転位や変形の危険がなければ保存療法となる。癒合に問題なければ、12級に届かないどころか、14級も否定されることがある。   【立証ポイント】

後遺障害診断書に骨折部分の痛み、不具合を丁寧に記載頂く。肋骨は脇腹痛、腰椎横突起は腰痛として、それぞれ14級9号が認定された。   ★ 併せて認定、手術しない程度のプラトー骨折で14級 👉 14級9号:脛骨高原骨折(70代女性・静岡県)  

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過換気症候群(かかんきしょうこうぐん)

  (1)病態

 胸部の外傷で紹介する傷病名の中で、もっとも軽傷なもので、後遺障害を残すこともありません。肩の力を抜いて、学習してください。

 ヒトが生きるには新鮮な酸素が必要であり、呼吸によって吸い込んだ酸素は全身を巡り、細胞の中で消費されて二酸化炭素となり、肺から呼吸によって吐き出されています。つまり、呼吸とは、酸素を吸って二酸化炭素を吐き出すことなのです。   (2)症状

 さて、過呼吸とは、呼吸が速く、浅くなることですが、この発作を目の当たりにすると、間断なく息を吐き続けるのですが、息を吸うことを忘れてしまい、白目をむいて倒れるような印象です。つまり、ヒトが無意識に行う、自然な呼吸のパターンが崩壊している状態なのです。これまでの交通事故110番の無料相談会で、複数回、そのような相談者さんが参加されました。最初は、代表の宮尾氏はじめ皆、驚愕、狼狽えました。

 その後、過換気症候群を知ってからは、慣れっ子となり、代表の宮尾氏から紙袋が渡され、この袋の中で反復呼吸をするように指示をして対処しています。であれば、2、3分で元通りとなり、落ち着きを取り戻しています。過換気症候群とは、精神的な不安を原因として過呼吸になり、その結果、息苦しさ、胸部の圧迫感や痛み、動悸、目眩、手足や唇の痺れ、頭がボーッとする、死の恐怖感などを訴え、稀には失神することもある症候群のことです。

 当然ですが、放置しておいても、この症状で死に至ることはありません。几帳面で神経質な人、心配症であり、考え込んでしまう人、10~20代の若者に多いとの報告がなされていますが、宮尾氏が経験した件は、全て30~40代の女性で、交通事故受傷後に、非器質性精神障害である不安神経症やパニック障害の診断がなされている被害者に限定されています。

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心肺停止(しんぱいていし)

(1)病態

 心肺停止とは、心臓と呼吸が止まった状態で、医療現場では、CPAと呼ばれています。心臓の動きが先に、肺呼吸が先に停止する、この2通りですが、いずれであっても、放置すれば、間違いなく2つは合併し、心肺停止状態となります。

 しかし、蘇生の可能性が残されているために、死亡ではありません。脳に血液が供給されず、手遅れとなれば、命はとりとめても、脳死状態になる危険があります。心肺停止の患者に対しては、人工呼吸や心臓マッサージなど迅速な救命措置が必要となります。心肺蘇生法はCPRと呼ばれています。   ◆ メディアの心肺停止  余談ですが、最近のメディアでは、自然災害や交通事故などで、心肺停止、心肺停止状態と表現することが増えています。日本では、医師が心・呼吸・脈拍の停止と瞳孔散大を確認して死亡宣告することで、法的に死亡が確定しています。

 医師以外でも、心・呼吸停止を確認することは可能ですが、死亡宣告をすることはできません。事故・災害現場で、まだ救出されておらず、医師も近づけない状態の遺体や、病院に搬送途中の遺体は、医師による死亡が未宣告であることから、心肺停止と表現されているのです。   (2)後遺障害のポイント

Ⅰ.

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(3)治療

 大動脈解離の主たる治療は、血圧を下げる療法と、手術療法があります。   ① 血圧を下げる治療

 大動脈解離の被害者に、最初に実施される治療方法です。確実に血圧を下げる必要から、点滴で薬剤が投与され、急性期を過ぎると内服薬で血圧をコントロールしていきます。100~120mmHg 以下がコントロールの目標とされています。   ② 手術、人工血管置換術

 手術では解離した大動脈を人工血管で取り換えるのが一般的ですが、解離した大動脈をすべて人工血管で取り換えようとすると、身体への負担が大き過ぎて、逆に死に至ることも予想されます。そこで,人工血管置換術では、内膜の傷の場所、解離の広がり、解離した血管の太さ、枝への血液の流れ、被害者の状態等を総合的に勘案して手術する場所を決定しています。      下のイラストですが、上行大動脈に解離があるときは、上行大動脈に解離が無いときに比較して致死率が高いといわれています。これは上行大動脈に位置する解離では、心臓や頭部に行く血管、大動脈弁などが巻き込まれ、規模の大きい合併症が起こりやすく、また解離した部分が容易に拡大して破裂する危険性が高いためです。上記の理由で、上行大動脈を巻き込んだ大動脈解離は、緊急手術が実施されています。

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外傷性大動脈解離(だいどうみゃくかいり)

(1)病態

 大動脈解離とは、大動脈解離は身体の中で一番太い大動脈が裂ける病気で、血管が破裂してショック症状を引き起こす、身体に酸素や栄養が供給されない緊急事態が一瞬のうちに起こります。病院に到着前に50%の人が亡くなるといわれており、致死率の高い、緊急性を要する外傷です。

 大動脈が縦裂きになった状態を大動脈解離といいます。縦裂きとは具体的には、内膜のどこかに傷ができ、本来、血液が流れるべき血管の内側から内膜の傷を通して内膜の外に血液が流出し、内膜と外膜が中膜のレベルで剥がれ、裂けてしまう状態のことを言い、解離とは剥がれて、裂けることです。血液が流れるべきでない場所、偽腔または解離腔にも、血液の流れや溜まりが生じます。

 内膜にできた穴をエントリーと言います。剥がれた内膜のヒラヒラはフラップと呼ばれています。約70%が高血圧を原因としており、その他には、外傷性、血管の病気、妊娠、大動脈2尖弁の先天的異常がありますが、ここでは外傷性について説明します。高所からの転落や、交通事故のハンドル外傷など、胸部に大きな衝撃が加えられたとき、大動脈に間接的に衝撃が加わって解離を生じると想定されています。   (2)症状

 血管が裂けているときは、裂けている部分に強烈な痛みを発症します。胸の血管では胸痛、背中なら背部痛、腰の部分では腰痛が生じるのですが、突き刺すような、ときに張り裂けるような強い痛みを生じると表現されています。痛みは血管の裂けが止まると消失しますが、引き続き、予断を許せない問題が起こります。   ① 大動脈破裂

 解離した大動脈の壁は外膜だけで保たれていますが、外膜は圧がかかると膨らみやすく、大動脈瘤を形成、破れて破裂することがあります。破裂、大出血をきたすと、急激に血圧が下がりショック症状を示します。心臓の周囲に血液が溜まると、心タンポナーデとなり、心臓の動きを妨げ、放置すれば死に至ります。   ② 臓器障害  大動脈解離が枝別れ部分に生じると、枝別れ部分が解離腔によって圧迫され、狭窄や閉塞することが予想されます。さらに、その枝別れ部分が引きちぎられ、枝への血流が不良となります。

 また枝別れ部分に解離がなくても、他の部分の解離により枝別れ部分が閉塞され、枝の血流が不良となることもあります。大動脈解離により、頭部の血管が閉塞されると脳梗塞となり、冠状動脈の閉塞は心筋梗塞となります。どの枝の血流が不良になっても、命にかかわる症状となります。   ③ 大動脈弁の閉鎖不全

 大動脈の始まりは心臓の出口ですが、ここには心臓から出た血液が、再び、心臓に戻ることなく、血液の流れを一方向にするための大動脈弁があります。大動脈の解離が根元まで進行すると、この弁の枠が壊れ、大動脈弁が閉じなくなり、一度、心臓から大動脈に出た血液が心臓に逆流することも予想されます。これを大動脈弁閉鎖不全と呼び、心臓には急激な負担がかかり、急性心不全状態となります。身体の血液の循環は不良となり、重症例では、急激に血圧が低下し、ショック状態を引き起こします。

   つづく ⇒ 外傷性大動脈解離 Ⅱ  

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