ADRシリーズが未完だったので続けます。

交通事故

・物の損壊に関する紛争

・自転車事故による紛争

・自賠責保険対象外車両の事故に関する紛争

※ 埼玉県内において発生した交通事故に限る

 交通事故における死亡事故発生件数は、ここ数年下降線です。しかし物損事故は相変わらず微増状態です。また後遺障害の申請・認定件数も微増となっています。すなわち交通事故を解決する機関、代理人はまだ必要とされています。これも比較的損害が小規模の事故であれば、時間、経費の点から裁判や弁護士による交渉などは馴染みません。当事者間の示談、もしくは斡旋・仲裁機関の活躍が望まれます。そこで相続や離婚などに続き、交通事故もADRの扱い項目に加わりました。

 しかし相続や離婚と多少印象が違うように思います。それは相続や離婚と違い、交通事故の解決に「保険」が関与するケースが多いからです。3項目を一つ一つ見ていきましょう。

① 物に関する紛争

 物損事故ですね。これはそのほとんどが任意保険会社の対物賠償保険で解決を図っているのが現状です。任意保険の加入率は約80%です。そこから漏れた紛争、もしくは保険会社の関与で解決できなかった紛争が対象でしょうか?となると加害者の支払い能力と斡旋の強制力が問題となります。簡易裁判所の調停ですらこの分野には30%を切る成立率です。それはやはり加害者に資力がなく回収できない場合や、斡旋案の拘束力がないためどちらかが席を蹴っておしまいとなるケースが多いからです。

お金のない加害者にどうやって修理費をださせるか?斡旋案が公の認証を受けても、相手から回収できず、空手形となっては意味がありません。また、任意保険会社熟練の交渉でも解決できない案件にどう立ち向かうか?これは大変難しい斡旋となるはずです。

② 自転車事故に関する紛争

 近年、高齢者の被害事故が増えている中、高齢者の自転車搭乗中の被害事故も当然増加しています。この分野をあえて自転車の加害事故と読み替えます。自動車が絡めば自動車保険の問題に戻るからです。
 まず関係する保険は個人賠償責任保険が対象となりますが、この加入率は自動車任意保険より低いですが、相手が加入していれば回収の目途が立ちます。10年前と違い、個人賠償責任保険もある程度の示談代行を保険会社がやってくれます。しかし保険未加入の場合、ADR、斡旋機関の出番の一つと成り得ます。

③ 自賠責対象外車両の事故に関する紛争

 ここが最大の問題点と思います。少し長くなりますので明日に続きます。