14級9号の認定は本人の訴える症状と無理のない受傷機転(どのような事故でどのように痛めたのか)、そして症状の一貫性、治療内容の相当性などから認定に導かれます。もちろん、患者の訴える症状と、医師の診断する他覚的所見が一致していれば言うことなしです。しかし、こと頚椎・腰椎捻挫では自覚症状のみで、多くの場合、画像所見は年齢変性、神経学的所見も目立ったものはでません。したがって、受傷~症状固定の流れを通して、残存する症状の信憑性を判断するしかないのです。

 それでは、特に疑いなく症状が一貫している場合、受傷機転をどう捉えるか?・・審査担当者の印象で決まってしまいます。本件の場合、駐車場内かつ相手は後進であるからスピードは遅く、しかも前方からの衝撃です(一般的に人間の首は後ろからの不意打ちに弱いものです)。救急搬送された訳でもなし、年齢も若くなく、医師も加齢の影響を示唆・・認定はどちらに転んでもおかしくないと思います。

 14級9号の認定率もしくは、相談会での認定予想が80~90%になってしまう理由はまさにここにあります。相談者さまに対して、結果をコミットできないのです。100%認定を目指しますが、14級9号はそもそも「証拠なき認定」であることをご理解いただいています。
 

14級9号:頚椎捻挫(60代女性・埼玉県)

【事案】

駐車場内で自動車に搭乗・停車中、駐車しようとした自動車の逆突を正面やや右方から受けて受傷した。帰宅後、頚部・腰部の痛みに加え、上肢のしびれを発症、翌日から通院した。

【問題点】

早期に相談会にいらしたが、この受傷機転から等級認定は厳しいと予断した。しかし、理学療法を継続した結果、症状が残った場合は申請することにした。

【立証ポイント】

医師も「加齢の影響が大きい」とみていたようである。医師面談にて、丁寧に自覚症状を記載頂き、唯一の多覚的所見としてスパーリング検査(+)を落とし込む。あとは無駄な記載を排した結果、14級の認定に至った。
症状の一貫性が評価されたわけだが、審査担当者の印象によっては被害等も十分にありうると思います。この辺が14級9号の読みづらいところ。