今週はスケジュールがズタズタでした。この日誌を20日に書いています。日誌を欠いた日に遡っています。タイムマシンに乗ったつもりでいきます。

「憲法9条を考える」ではなく「14級9号を考える」と題し、意見展開します。

 今週の等級認定実績は山崎先生が手掛けたPTSD(心的外傷後ストレス症候群)も出色ですが、私の右足挫傷もレアケースと思います。これらは骨折等の損傷を伴わない非器質性障害です。精神的なダメージや打撲捻挫の類は、医学的に「治るもの」とされています。長期化しても後遺障害としては成立しづらく、客観的に障害を示すような画像や検査数値が表れにくいと言えます。いくら自分が「精神的におかしくなった」、「痛みが消えない」と主張しても、信じてもらうことは大変難しいのです。なぜなら多くの被害者はその被害者意識から、被害を強く訴えがちだからです。

 それら客観的な証拠がない場合(画像や検査数値がはっきりしない)でも、訴える症状やその治療経過から「障害がある」と推認、等級が認められることもあります。その最大パターンがむち打ち、頸椎捻挫、外傷性頚部症候群です。多くの場合、追突されて首を痛めるのですが、まず医学的な常識から言えば、捻挫は消炎鎮痛処置を施し、安静にすることで完治します。それは個人差がありますがおよそ3か月以上かかることはありません。保険会社をこれを根拠に治療費の支払いを打ち切ります。

 しかし、単なる捻挫ながら、それが頚部の神経になんらかのきっかけを与え、謎の神経症状が長きにわたり続くことがあります。これを外傷性頚部症候群と曖昧な傷病名で定義しています。具体的な症状は疼痛だけではなく、しびれ、首から上肢・指先にかけての放散痛(首を曲げると指先まで電気が走るようなしびれや痛み)、そしてこれまた医学的に曖昧な表現になりますが、不定愁訴(なんだか調子悪い)、そして自立神経失調症と同じような症状を示すバレリュー症候群となります。

 このような相談者を100人以上経験しています。この方達は「なんで大したケガでもないのにそんなに長く通院しているの?」、「単なる更年期障害じゃないの?」・・・周囲から理解されません。確かに精神的な鬱や更年期障害等、心や体の不調と交通事故が重なりやすいことも事実です。調子悪いときに事故に遭って、それが事故のせいと思い込む、または事故のストレスで余計悪化する・・・。私も多くの場合、内在的な理由かな?と思っています。しかし事故外傷の起因性が大きく、それが強く推察される患者も一定数存在します。これらを医学的な証拠の有無だけで判断すれば、すべて非該当(障害なし)です。後遺障害等級は1~13級までとなります。しかし障害認定において「推察」できる、つまりある程度被害者の訴える症状に耳を傾ける余地を残したのが14級9号ではないかと思います。

 つづく