膝関節はじめ、各関節の痛みの軽減によく目にする治療法です。スポーツ選手の治療法としても有名です。少し調べてみました。
(1)PRP療法(自己多血小板血漿 注入療法)とは? その効果は?
ご自身の血液中に含まれる血小板を利用した再生医療です。血小板の成分だけを高い濃度で抽出し、患部に注射します。
スポーツ外来では肘や膝、靭帯損傷・骨折などの治癒を高める目的で行われます。従来の治療法として、テニス肘、ゴルフ肘、ジャンパー膝などの膝の膝蓋腱炎、アキレス腱炎には、ステロイド剤を注射していました。また、変形性関節症の方に対する薬物療法としては、痛み止めの内服やヒアルロン酸の注射などを行ってきました。総じて、靭帯損傷や骨折では、固定して時間を待つしかありませんでしたが、この療法で積極的に改善を図ることができるようになりました。
この療法が痛みを軽減させる理屈を説明します。血液中の血小板には組織修復=自然治癒力を促進する様々な成長因子、サイトカインなどの分子が多く含まれており、これらの分子が周囲の細胞に働きかけ、損傷した組織の修復が促進され、「早期治癒」や「痛みを軽減」させるのです。
(2)膝の痛みに対するPRP治療
ひざの変形・痛みは、PRP療法との相性が良いと言われています。例えば、膝関節の変形で悩んでいる方は変形の進行に伴い、軟骨がすり減ったり、半月板が傷んだり、炎症が起きてひざに水がたまったりします。PRPはこうした組織の修復を促したり、関節の炎症を抑制を図ります。
しかし、血小板自体は軟骨や半月板にはならない細胞のため、完全に軟骨が無くなってしまった部分にPRPが軟骨を作ることは不可能です(それは、iPS細胞による再生医療の分野に期待がかかっています)。完全に軟骨が削れて、骨どうしがぶつかり合い骨も削れてしまいO脚が進行、変形性膝関節症になりますが、PRPではそれを進行を抑制する効果を期待しているのです。
薬物に頼った既存の治療が無効であった方の中にも、PRPを関節に注射することにより痛みが取れる方がいることが分かりました。また、PRPは自分の血液ですので、薬物のように副作用を起こすことは滅多にないというのも、この治療が欧米でも広く支持されている理由の一つです。
<順天堂医院さま、Dr.KAKUKOスポーツクリニックさまHPを参照しました>