鼻篩骨骨折(びしこつこっせつ)
(1)病態
鼻骨々折に合併して、鼻骨の奥、裏側部分の両眼の間を骨折したときは、重症例となります。
(2)症状
鼻篩骨には、瞼が付着している突起や涙を鼻に流している孔があり、先の鼻骨骨折の症状に加えて、
① 眼球陥没、目が窪む、 ② 眼角隔離、両目の距離が離れる、
③ 涙小管断裂、涙が止まらない、 ④ 鼻筋の強い凹みなどの症状が出現します。
(3)治療
治療は、なるべく早期に骨折した骨を元の位置に戻し、必要なら骨を移植することです。
しかし、頭蓋底骨折を合併していることも多く、個々のケースで形成術の時期や術式が異なります。
(4)後遺障害のポイント
秋葉事務所では未経験の症例です。基本通り、諸症状を神経系統の障害で評価します。それと鼻に変形がないか、つまり醜状痕を確認します。
交通事故110番では、原付を運転中に追突され、前方のトラックの荷台に鼻を打ちつけた事故で、鼻骨々折、および鼻篩骨々折の相談例がありました。
眼球陥没、目が窪む、眼角隔離、両目の距離が離れる、涙小管断裂、涙が止まらない、鼻筋の強い凹みなどの症状が出現し、眼球陥没と眼角隔離は、なんとか目立たない程度に改善したのですが、右目の涙小管断裂と鞍鼻変形は改善が得られず、後遺障害を残したのです。
涙小管断裂では14級相当、鞍鼻変形では、当初12級14号でした。未婚の女性であり、火の玉の異議申立を敢行、連携弁護士は自賠責・調査事務所の面接に立ち合い、7級12号に繰り上げ認定に成功、併合7級としました。
次回 ⇒ 鼻軟骨損傷